JP3497517B2 - 米からの活性酸素消去剤 - Google Patents

米からの活性酸素消去剤

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JP3497517B2
JP3497517B2 JP12928692A JP12928692A JP3497517B2 JP 3497517 B2 JP3497517 B2 JP 3497517B2 JP 12928692 A JP12928692 A JP 12928692A JP 12928692 A JP12928692 A JP 12928692A JP 3497517 B2 JP3497517 B2 JP 3497517B2
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嘉久 松尾
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、米の抽出物をアルコー
ル発酵させたものをそのまま、あるいはこれを含有して
なることにより、安全で、抗潰瘍作用、皮膚改善作用、
保存料としての効果等を併せ持ち、医薬、化粧品、食品
等の幅広い分野で使用可能な活性酸素消去剤に関するも
のである。 【0002】 【従来の技術】人間が健康体を保っている場合、生体内
の活性酸素と生体内での活性酸素消去酵素であるSOD
(スーパーオキサイドジスムターゼ)は、常にバランス
がとれており、活性酸素の濃度は、ほぼ一定に保たれて
いる。しかし、現在では、食生活のアンバランス、過度
のストレスおよび高齢化などにより、SODの生成が減
少し、また、一方では、喫煙、大気汚染などにより、活
性酸素が増加している。 【0003】その結果、生体内に活性酸素が過剰に存在
し、様々な組織障害をもたらしている。特に高齢者の場
合、SOD活性が低下し、活性酸素濃度が高くなること
により、関節リウマチやペーチェット病などの障害を起
こすことが多くなっている。また、活性酸素により生成
する過酸化脂質は、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、
ソバカス、皺、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性など
の近代病の主原因となっている。 【0004】また、高齢者でなくても、皮膚のように紫
外線のような環境因子の刺激を直接受ける部位では、活
性酸素が特に生成しやすいため、活性酸素濃度の上昇に
ともない、メラニン色素の生成、シミ、小皺等の障害を
起こしやすくなっている。 【0005】そこで、上述のような各種障害のもととな
る過剰な活性酸素を消去するSODが注目をあび、これ
らの障害を予防または治療するために、SODを医薬品
としたり、化粧品や食品に添加したりして利用する試み
はなされてきた。 【0006】しかし、SODは熱に不安定であり、しか
も、経口投与により失活してしまうため、また、著しく
高価であるため、SODによる活性酸素の消去は成功し
ていない。 【0007】上記実情から、活性酸素消去剤(SOD酵
素と同じような働きをする抗酸化物質を含むもの)の研
究が行われ、生薬抽出エキス等による活性酸素消去剤も
開発されているが、特殊な原料によるものであり、高価
であるばかりでなく、なかなか安定したものを供給する
ことができないのが現状である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】以上のように活性酸素
による各種の障害が認められて以来、生体内の活性酸素
を消去するためのさまざまな研究が盛んに行われてい
る。また、現在では、高齢化社会を迎えて、より健康で
老後をすごすということが望まれている。一方、美容の
面からも、活性酸素消去剤が注目をあびている。そこ
で、人体にとって安全で安価で、各種障害を起こす活性
酸素の消去効果に優れ、しかも、簡単に製造でき、安定
して供給できる活性酸素消去剤の開発が望まれている。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、動植物合
和すの観点から、主食である米を中心に種々の植物成分
の研究を進めてきた。その過程で米には今まで予測でき
なかった数多くの可能性、効果があることが判明してき
た。そこで、主食として用いられ安全性が最も高いこと
が実証されている米をテーマとして取り上げ、米の総合
利用研究を行ってきた。そのうちの一つのテーマとし
て、米からの活性酸素消去剤について鋭意研究を行い、
すでに米の抽出物を含有してなることを特徴とする活性
酸素消去剤を開発している。 【0010】この米からの活性酸素消去効果を持つ米の
抽出物は、皮膚改善剤、飲食品用天然保存料、抗潰瘍剤
としての用途を持つことが分かったのであるが、この米
の抽出物をアルコール発酵することにより、さらに優れ
た抗潰瘍剤、保存料、皮膚改善剤としての効果をもつ活
性酸素消去剤が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。 【0011】すなわち、本発明は、米の抽出物をさらに
アルコール発酵させたものをそのまま、あるいはこれを
含有してなることを特徴とする活性酸素消去剤であっ
て、米を水抽出(酸、アルカリ抽出も含む)またはアル
コールなどの有機溶媒で抽出後、さらにアルコール発酵
することにより、簡単、安価に、しかも全く安全に上記
の効果を顕す非常に優れた活性酸素消去剤が得られるの
である。 【0012】米を水抽出または有機溶媒抽出する場合、
まず、米を粉砕または粉体化すると表面積が大きくなる
ため、極めて抽出効率が良好になる。この方法は、粉砕
機または精米機等を用い、一般的な方法によればよい。
粉砕しなくてもよいが、この場合には、米組織の分解お
よび抽出に長時間を要する。 【0013】水抽出に当たっては、米を粉砕または粉体
化したものに加水する。米は玄米でも白米でもよい。し
かし、90〜100%部位に含まれる、いわゆる赤糠
(一般的に糠袋として使われている)といわれる部分に
は、ほとんど効果がない。加水量は1〜5倍量で効率よ
く抽出されるが、収率、作業性、最終使用目的などに応
じて適宜選定する。この後、加温して行き、沸騰状態に
なった時点で抽出を完了する。なお、最初から熱水を加
えて抽出を行ってもよい。 【0014】抽出液中の有効成分が解明されてはいない
が、これが熱に安定であるから、水抽出の際の抽出温度
は、高温が効率的であるが、低温でも長時間おけば同様
である。ただし、40℃以下の低温の場合は、pHを酸
性あるいはアルカリ性にするなど、なんらかの防腐を行
うことが必要である。抽出時間は、沸騰抽出の場合には
数分でよいが、それ以下の中温の場合には、数時間から
一昼夜が必要である。低温の場合には、米の粉砕状態に
もよるが、数日〜1ケ月必要である。ただし、この場合
にも、なるべく最後には加熱するのがより効果的であ
る。 【0015】水抽出の場合に、最も問題になるのは糊化
現象である。糊状になれば、抽出効率が悪くなるばかり
でなく、実作業においては困難を極める。これを防ぐた
めには、アミラーゼを加えて反応させるか、塩酸などで
酸性にして澱粉を切ってやればよく、この方法を用いる
ことにより、充分に解決でき、実用上も全く問題はな
い。 【0016】抽出物中の有効成分は、酸、アルカリに安
定であるためか、酸抽出あるいはアルカリ抽出を行うの
も有効である。また、水抽出の場合、酸、アルカリで前
処理するか、米の組織に働く酵素(例えば、アミラーゼ
等)を作用させて前処理を行い、抽出する方法がはるか
に効果的である。これは、前処理により、有効成分がよ
り抽出されやすくなるためであると思われる。 【0017】有機溶媒で抽出する場合も、米はなるべく
微粉砕または粉体化して抽出することが望ましい。有機
溶媒はアルコール、アセトン等の一般的な有機溶媒でよ
いが、人体に対して有害なものは抽出後、溶媒を完全に
除去する必要があるので、安全なものがよい。 【0018】抽出を完了した後、抽出物と抽出残渣に分
けることなくそのまま、または抽出残渣を分離してか
ら、次のアルコール発酵を行う。すなわち、麹または澱
粉分解酵素を加え、あるいは補糖を行い、さらに、酒母
または酵母を添加して糖化、発酵を行う。この際、麹と
澱粉分解酵素は併用してもよく、酒母と酵母も併用して
さしつかえない。また、麹あるいは澱粉分解酵素で糖化
した後、酒母あるいは酵母を添加して発酵させてもよ
い。 【0019】大量に製造する場合、糖化と発酵のバラン
スを考えながら、清酒醸造に準じて3段階あるいは何段
階にも分けて、米抽出物を添加するのが望ましいが、糖
化、発酵さえ行えば一度に添加してもよい。特に少量を
処理する場合においては、一度に添加するのが有効であ
る。 【0020】ここで、糖化に使用する澱粉分解酵素と
は、澱粉分解酵素および糖化酵素を指す。また、麹を使
用する場合においては、普通に使用されている麹を使用
してもよいし、アミラーゼ力価さえあれば麹菌の種類お
よび米の品種は問わない。 【0021】酸抽出あるいはアルカリ抽出を行ったもの
において、糖化、発酵の障害とならないpHに調整する
必要があるものは、酵母の発酵に適したpHまで調整し
て発酵を行う。糖化および発酵は約15〜20日間行
い、この際、腐敗が必要な場合は、酸を添加するか、温
度あるいは発酵の阻害にならない適当な防腐を施す。 【0022】上記のアルコール発酵を行った醪は、その
まま加熱するか、圧搾、濾過した後に加熱して、酵母の
増殖を止めて液状物を得ることにより、製品が得られ
る。さらに、この液状物を再度濾過するか、清澄化する
など、用途に合わせて仕上げる。また、抽出後、常道に
したがって乳酸発酵等の有機酸発酵を行っても、その効
果は同様であった。 【0023】米は主食として毎日食べており、あまりに
も身近すぎて、このように活性酸素消去剤として使用す
る概念すらなく、思いもよらないことであった。また、
食べる以外には、清酒、焼酎、酢などに用いられてきた
が、米の抽出という考え方も方法も取られていなかっ
た。これは、加熱抽出しようとすると米の特性として糊
状になり、従来の考え方では非常に困難であったことに
もよるものと思われる。そのため、本発明においては、
有機溶媒抽出、酸、アルカリ抽出を用い、また、水抽出
の場合、アミラーゼなどを作用させ、抽出を容易にする
ことにより、目的を達成することができるようにしたの
である。 【0024】このようにして充分抽出操作を行った後、
さらに発酵することにより初めて、非常に優れた活性酸
素消去剤としての有効成分が得られるのである。本発明
品の活性酸素消去効果について、以下に記載する。ま
ず、本発明品のスーパーオキサイド消去剤としての効果
を調べた。試験方法はNBT法により行った。 【0025】試薬の調整 0.05M Na2 CO3 緩衝液(pH10.2) 3mMキサンチン溶液;キサンチン45.64mgを
の緩衝液に溶解して100mlとする。 3mM EDTA溶液;EDTA・2Na 11
1.7mgを蒸留水で溶解して100mlとする。 BSA溶液;Bovin Serum Albumin (Sigma 製)1
5mgを蒸留水に溶解して10mlとする。 0.75mM NBT溶液;NBT(ニトロブルー
テトラゾリウム)61.32mgを蒸留水に溶解して10
0mlとする。 キサンチンオキシダーゼ溶液;キサンチンオキシダ
ーゼを蒸留水で希釈し、後記の操作法(分析法)の空試
験における吸光度が0.2〜0.23の範囲になるよう
に調整する。 6mM CuCl2 溶液;CuCl2 ・2H2
102.29mgを蒸留水に溶解して100mlとする。 【0026】操作法 試験管にNa2 CO3 緩衝液2.4mlをとり、これ
にキサンチン溶液、EDTA溶液、BSA溶液、NBT
溶液を各0.1ml加える。 次いで、試料溶液0.1mlを加え、25℃で10分
間放置後、キサンチンオキシダーゼ溶液0.1mlを加
え、手早く攪拌し、25℃でインキュベートする。 20分後にCuCl2 溶液0.1mlを加えて反応を
停止させ、560nmで吸光度を測定する。 比較のため、サンプルの代わりにスーパーオキサイ
ドジスムターゼ(Cu、Zn型SOD、活性3000〜
4000 unit /mg 和光純薬)水溶液0.1mlについ
ても同様に行い、この値をスーパーオキサイド消去率1
00とする。 また、サンプルの代わりに蒸留水を用いて同様に行
いブランクとする。測定結果を表1に示した。 さらに、比較のために清酒についても同様にスーパ
ーオキサイド消去率を求めた。 【0027】 【表1】 (注)本発明品は、実施例1により得られたものを用い
た。 【0028】表1からも分かるように、本発明品には顕
著な活性酸素消去作用があることが判明した。しかし、
清酒には活性酸素消去作用は全く認められなかった。次
に、実施例1により得られた本発明品およびSODを7
0℃10分間加熱処理し、そのスーパーオキサイド消去
能を調べた。スーパーオキサイド消去率の測定は、前記
方法により行った。その結果を表2に示した。 【0029】 【表2】 (注)本発明品は、実施例1により得られたものを用い
た。 【0030】表2より、SODは熱に対して不安定なの
に対して、本発明品は、熱安定性に優れていることが分
かった。このことより、本発明品の活性酸素を消去する
有効成分は、熱安定性に優れていることが証明された。
そこで、各用途面においての活性酸素消去効果を持つ本
発明品の効果を調べた。まず、人体に対する効果とし
て、皮膚改善効果、抗潰瘍効果を調べた。 【0031】皮膚改善効果の中の皮膚の若返り効果をみ
るために、70〜80歳の女性モニター6名に本発明品
を1週間、手の甲に塗ってもらい、その箇所をスンプ法
により採取し、そのスンプ像を顕微鏡写真に撮り、本発
明品未使用の肌と比較を行った。 【0032】図1に示すように、21歳の女性モニター
の肌は、皮溝1が多方向にはっきりと認められるだけで
なく、皮丘(亀甲紋)2がはっきりと現れている。しか
し、図2に示すように、71歳のモニターには、一方向
の皮溝1’だけしか認められず、また、皮丘は全く認め
られない。皮膚は年をとってくるにつれて弾力性を欠
き、つっぱってくるために皮溝は浅くなり、皮丘もだん
だん消えてくるといわれ、そのとおりのことが確認でき
た。 【0033】ところが、本発明品を1週間塗布したもの
では、図3に示すように、使用前には一方向だけしか認
められなかった皮溝1’が多方向に、それもはっきりと
認められた。そればかりでなく、塗布前には全くみられ
なかった皮丘(亀甲紋)2’までがはっきりと認められ
るようになり、21歳の女性の肌とほとんど変わらなく
なった。また、感触においても弾力性が増し、若返り効
果が認められた。この現象は、残り5人のモニターにも
同じように認められた。これは、本発明品を使用するこ
とにより、皮膚本来の機能が回復方向に向かい、明瞭で
整った皮紋が現れてくるということが言えるわけであ
る。このことから、本発明品には、はっきりと若返り効
果があることが実証されたのである。 【0034】次に、老化防止効果を実証するために、4
0歳代の女性モニター3名に本発明品を1週間、手の甲
に継続使用させ、スンプ法による顕微鏡観察を行った。
本発明品は、実施例1に準じて行ったものを使用した。
図4に示すように、本発明品を塗布しなかった肌は、一
方向の皮溝3ばかりが目立ち、その皮溝と直交する皮溝
3’は不明瞭であるのに対し、本発明品を1週間継続使
用した肌では、図5に示すように、不明瞭であった皮溝
3’がはっきり現れてきたばかりでなく、きめ細かな皮
溝がみられた。この現象は、他の2名のモニターにも同
様に現れた。このことから、本発明品は、皮膚の老化防
止に役立つ効果もあることが実証された。さらに、ひき
続き1ケ月間、本発明品を塗布し続けた肌を観察したと
ころ、より一層効果が認められた。 【0035】また、しわがのびる効果をみるために、モ
ニターの該当部位の皮膚を塗布前後において動摩擦計で
測定した。なお、測定条件は下記のとおりである。 温 度 25℃ 湿 度 60% 使用センサー KES−SE摩擦感テスターSE−2タ
イプ(0.5mmピアノワイヤー使用) 摩擦静荷重 50gf 測定速度 1mm/sec 測定距離 30mm(積分有効範囲20mm) 【0036】しわは喜怒哀楽による表情が長い間にわた
って繰り返されることにより、加齢に伴う筋肉の減退や
骨格の萎縮が加わると、各人特有の溝、たるみとなって
残ってくると言われている。図6に示すように、塗布前
はMMD(変動係数)0.0172であったのが、一週
間塗布後の肌は、図7に示すように、MMD0.004
2に下がった。6名の平均値もほぼ同様であった。これ
は、表面の凹凸がなくなったためと考えられ、このこと
からも、しわがのびたことが証明された。また、スンプ
法による顕微鏡写真の結果とあわせると、明らかにしわ
がのびていると断定できた。なお、同時にMIU(摩擦
係数)もみたところ、塗布前は0.123であったの
が、一週間塗布後の肌は0.073に下がり、肌をつる
つるさせる効果も合わせ持つことが判明した。 【0037】また、モニター全員から官能評価を聞いた
ところ、塗布した手は、もう一方の手と較べると潤いが
あり、きめ細かくなって皮膚がやわらかくなったばかり
でなく、僅か一週間にもかかわらず、しわも目立たなく
なったと全員が答えた。なお、白色効果について、第1
〜5図で使用したモニター9名で官能評価を行ったとこ
ろ、全員が塗布したところの肌の色が白くなったとし
た。さらに、本発明品の美白効果を例証するために、チ
ロシナーゼ活性阻害作用の試験をし、その結果を表3に
記載する。 【0038】操作方法としては、基質液(0.04%チ
ロシン溶液)、緩衝液( McllvaineBuffer pH6.
8)各1mlを吸光セルに正確に取り、水および実施例1
で得られた本発明品を、それぞれ1mlづつ正確に入れ、
攪拌混和して35℃に保ち、5分後、吸光度目盛を波長
475nmに合わせてゼロ補正を行い、次いで、チロシ
ナーゼ溶液(チロシナーゼ5.3mgを0.9%NaCl
溶液に溶かしたもの)0.02mlを正確に加え、直ちに
攪拌してインキュベートした。この時の吸光度を経時間
(3分置き)にプロットした。その結果を表3に示し
た。 【0039】 【表3】 【0040】表3から分かるように、本発明品の中に
は、チロシナーゼ活性阻害作用を有する物質があること
が判明した。これらのことから、本発明品には、しみ、
ソバカスを消す美白効果、肌を白くする色白効果がある
ことが証明された。以上の結果より、本発明品が幅広い
範囲で皮膚改善剤としての効果を併せ持つものであるこ
とが証明され、実使用においても非常に優れた皮膚改善
剤としての用途があることが判明した。 【0041】清酒を用いて同じようにスンプ法による顕
微鏡写真、動摩擦計によるしわのばし効果を調べてみた
が、清酒には本発明品のような効果が全くないことが分
かった。しかも、官能評価として、清酒を塗ると肌がべ
とつくとか、清酒独特のにおいがする等の欠点と言える
ことばかりの解答があり、本発明品のように肌が白くな
ったとか、みずみずしくなったという人は1人もいなか
った。 【0042】そこで、本発明品のみずみずしさ(保湿効
果)が非常に顕著であることを実証するために、本発明
品と米の抽出液および清酒についてのアミノ酸度を測定
してみた。その結果を表4に示した。 【0043】 【表4】 注1 本発明品は、実施例1により得られたもの 注2 米の抽出液は、実施例1により抽出のみを行った
もの 注3 アミノ酸度は、検体10mlを取り、フェノールフ
タレン指示薬2〜3滴を加えてN/10 NaOH溶液
で中和し、これを中性ホルマリン溶液5mlを加え、ここ
に遊離した酸をN/10 NaOH溶液で淡桃色になる
まで滴定したml数である。 【0044】以上の結果から分かるように、米を抽出し
たのみのものでは、ほとんどアミノ酸度は出ず、また、
清酒のように発酵のみでも、アミノ酸は1.4とわずか
しか出ない。しかし、本発明品のように抽出と発酵を組
み合わせることにより、7.5とアミノ酸度が非常に多
いことが分かる。 【0045】すなわち、本発明品のように抽出と発酵を
組み合わすことにより、抽出のみ、あるいはアルコール
発酵のみのものより自然保湿因子の主成分であるアミノ
酸が非常に多く出てきており、本発明品は、みずみずし
さ(保湿効果)を非常に顕著に持つ皮膚改善剤の用途で
あることが判明した。 【0046】次に、本発明品の活性酸素消去作用による
潰瘍に対する効果を調べた。すなわち、本発明品の抗潰
瘍剤としての効果をみるために、まず、拘束水浸ストレ
ス潰瘍に対する本発明品の経口投与においての効果を調
べた。その方法は、渡辺らの方法に準じて次のように行
った。8週齢のddY系雄性マウスを24時間絶食後、
実施例1により得た本発明品を0.3ml/マウス経口投
与し、30分後にストレスゲージに入れ、15℃の水中
に剣状突起まで浸し、拘束水浸ストレスを負荷した。5
時間後に頸椎脱臼して屠殺し、胃を摘出した。その後、
1%ホルマリン溶液1.5mlを胃内に注入し、さらに、
同液中に浸すことにより胃組織を軽く固定し、24時間
そのまま放置した。その後、大弯に添って切開し、腺胃
部に発生した損傷の長さ(mm)を測定し、一匹当たりの
その総和を潰瘍係数として表した。また、コントロール
としては、ストレスゲージに入れる30分前に同量の生
理食塩水を経口投与したものを用いた。マウスは各々1
5匹ずつで行った。また、比較対象として米のアルコー
ル発酵物と米の抽出物を用いた。その結果を示すと表5
のとおりである。 【0047】 【表5】 【0048】潰瘍係数の平均が65.6であるのに対し
て、米をアルコール発酵したものでは62.7とわずか
ではあるが有効であった。しかし、米を抽出したものを
用いることにより29.4と下がり、さらに、抽出後ア
ルコール発酵したものでは12.1%となった。すなわ
ち、米の抽出物でも拘束水浸ストレス潰瘍に対して有効
であるが、これを発酵することにより、相乗的にさらに
有効性が増すことが分かった。以上のように明らかに、
本発明品は、拘束水浸ストレス潰瘍に対する抗潰瘍剤と
しての用途があることが判明した。 【0049】次に、本発明品の飲食品に対する保存料と
しての効果を調べた。グラム陽性菌の代表として食品の
腐敗を起こす Bacillus subtilis、Bacillus cereus、
グラム陰性菌の代表として一般的な汚染の指標とされて
いる大腸菌 Escherichia coli に対する本発明品の効果
を調べた。培地は普通寒天培地(市販合成)10mlに本
発明品1ml(10%)添加したものを用いた。コントロ
ールとしては、本発明品の代わりに20%エタノール溶
液を10%添加したものを用いた。培養は35℃で行
い、10,24,48,72時間経過時点の各菌の発育
状態を観察し、表6〜8に示した。 【0050】 【表6】 【0051】 【表7】 【0052】 【表8】 注1 本発明品は、実施例1により得られたものを用い
た。 注2 評価は −:発育せず、+:少し発育あり、++:
発育あり、+++ :発育大 とした。 【0053】表6〜8から分かるように、コントロール
として水を10%添加した培地においては、10時間培
養した時点で、すでにどの菌の場合も発育が大となって
いるのに対して、本発明品を10%添加した培地では、
72時間培養した時点においても、完全に Bac.subtili
s 、Bac.cereusの発育が阻害されていた。また、E.coli
に対しては、48時間以上培養することにより発育が
認められたが、この場合もコントロールと比べると、大
きな発育阻害効果が認められた。 【0054】すなわち、本発明品は、食品の腐敗菌であ
るグラム陽性の Bac.subtilis 、Bac.cereusおよびグラ
ム陰性菌の代表のE.coli に対して、きわめて有効であ
ることが判明し、このことから、本発明品は、幅広い食
品に対して有効な優れた保存料としての用途があること
が判明した。また、本発明品には、前記のように顕著な
チロシナーゼ活性阻害効果があることから、カット野菜
等に対する鮮度保持効果もあるのではないかと考え、本
発明品の生鮮食品に対する効果を調べた。 【0055】試験方法は、本発明品をレタスに噴霧して
常温で放置し、その経時変化を観察した。また、コント
ロールとしては、本発明品の代わりに同様に水を噴霧し
たものを用いた。コントロールとして水を噴霧したもの
では、12時間経過後にすでに萎びてきて、2日目には
傷口が褐変したのに対して、本発明品を50倍に希釈し
て噴霧したレタスにおいては、20時間後までみずみず
しく、また、4日目まで褐変は認められなかった。 【0056】野菜の場合には、鮮度を保つことが最も必
要なことであり、極端にいえば、みずみずしさなどは時
間単位で延びても、その効果は大変大きいのである。さ
らに、本発明品を噴霧することにより褐変を防止できる
ことは、カット野菜等が多く流通している今日、大変大
きな意味のあることといえる。 【0057】次に、本発明品によるトリメチルアミン
(魚類の異臭成分)の抑制効果を調べた。また、本発明
の醸造調味料を清酒と比較するために、対象として一般
市販清酒を用いた。測定条件は以下のとおりである。 【0058】試料調製 栓付100ml容三角フラスコに0.001M−TMA水
溶液20mlを入れ、各試料を添加後、密封し、45℃恒
温槽中に25分間放置した。ヘッドスペースガス中のト
リメチルアミンの量をガスクロマトグラフィー(GC)
により定量した。結果は表9にTMAの残存率で示し
た。 【0059】 【表9】 注 本発明品は、実施例1で得られたものを用いた。 【0060】表9から明らかなように、市販清酒を添加
したものでは、魚の異臭成分の残存率が測定溶液中0.
06ml添加で80.2%、0.30ml添加でも43.5
%と高いのに対して、本発明品を添加したものでは、
0.06ml添加の場合53.6%、0.30ml添加の場
合9.3%ときわめて低くなっている。 【0061】すなわち、米を発酵した清酒には、魚の異
臭成分であるトリメチルアミンの抑制力はあまりないの
に対して、米の抽出物をアルコール発酵した本発明品に
おいては、顕著なトリメチルアミンの抑制効果がみられ
たのである。また、米の抽出物においては、トリメチル
アミンの抑制効果は全くなかった。これらの結果より、
本発明品には、鮮度保持効果、さらには魚臭等の臭いを
除く効果を併せ持つ優れた保存料としての用途があるこ
とが判明した。 【0062】 【発明の効果】前記のデーターから明らかなように、米
の抽出物をアルコール発酵させることにより、簡単に、
しかも、全く安全で、活性酸素消去効果に優れ、熱に対
しても安定な活性酸素消去剤が得られるのである。すな
わち、活性酸素消去効果を持った本発明品は、皮膚改善
剤、抗潰瘍剤、保存料等としての用途を持ち、幅広い分
野で利用可能な活性酸素消去剤である。 【0063】また、米は主食であったため、食以外の新
規な分野での製法、利用用途はほとんど開発されていな
かった。さらに、米が主食とされてきたことは、安全性
も実証されているものである。すなわち、本発明品は、
安全性の実証されている身近な米から、簡単に医薬、化
粧品、食品等幅広い分野で利用可能な活性酸素消去剤を
見出したばかりでなく、米の過剰生産といわれている現
在、新たな利用用途を見出したこと、および米のイメー
ジアップによる消費拡大を図り得ることは極めて有意義
なことである。 【0064】 【実施例】 実施例1 白米15kgを粉砕機により粉砕し、この粉末米に水2
2.5リットル、アミラーゼ10gを入れ、5分間煮沸
抽出を行った。その後、抽出物を15℃まで冷却し、こ
の抽出物に麹米7kg、乳酸150g、酵母を添加した。
2日後、粉砕した白米30kgと水42リットル、アミラ
ーゼ20gを上記の方法で抽出し、その抽出物に麹9kg
を添加、3日後に粉砕した白米60kg、水84リット
ル、アミラーゼ40gを上記の方法で抽出したもの、お
よび澱粉分解酵素40gを添加した。品温は10〜20
℃に保って糖化および発酵を行った。20日後、搾り機
により40kgの粕を分離して本製品260リットルを得
た。 【0065】実施例2 白米1kgを精米機により微粉砕し、95%のアルコール
5リットルで24時間抽出を行った。その後、15℃ま
で冷却し、搾り機により抽出エキス4.6リットルと抽
出残渣1.3kgを得た。この抽出液をロータリーエバポ
レーターで1リットルまで濃縮した。この濃縮液1リッ
トルに水7リットルを加えて希釈した後、抽出残渣1.
3kgと麹500gを添加して、20℃で20日間発酵を
行った。20日後、濾過を行い、本製品7.5リットル
と残渣700gを得た。 【0066】実施例3 白米1kgを粉砕機により粉砕し、0.1%の塩酸水5リ
ットルを加え、よく攪拌して24時間放置した。その
後、5分間煮沸抽出を行い、搾り機でしぼり、圧搾液
4.6リットルと残渣1.2kgに分離した。この圧搾液
を1/10N NaOHで中和後、抽出残渣1.2リッ
トルと酵母を添加し、20日間発酵を行った。その後、
濾過を行い、本製品4.5リットルと800gを得た。 【0067】
【図面の簡単な説明】 【図1】21歳の女性モニターの肌の皮溝と皮丘の態様
図。 【図2】71歳の女性モニターの肌の皮溝と皮丘の態様
図。 【図3】本発明品を1週間塗布した71歳の女性モニタ
ーの肌の皮溝と皮丘の態様図。 【図4】本発明品を塗布しなかった肌の皮溝と皮丘の説
明図。 【図5】本発明品を1週間塗布した肌の皮溝と皮丘の説
明図。 【図6】本発明品塗布前の肌の摩擦係数の測定グラフ。 【図7】本発明品を1週間塗布後の肌の摩擦係数の測定
グラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 35/78 C09K 15/04 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 白米の抽出物をアルコール発酵させたも
    のを有効成分として含有することを特徴とする活性酸素
    消去剤。
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