JP3195648B2 - 米からの抗酸化剤および鮮度保持剤 - Google Patents
米からの抗酸化剤および鮮度保持剤Info
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Description
は有機溶媒抽出物を用いることにより、安全で、医薬、
食品、化粧品等幅広い分野で使用可能な抗酸化剤および
鮮度保持剤に関するものである。
多種多様の商品が市場に出まわるようになっている。そ
れに伴って経時的に起こる品質の変化が問題となってき
ている。例えば、医薬、化粧品の場合には、物によって
は経時的に酸化が起こり、有効成分の効果が変化した
り、あるいは全く異なった物質になる危険性がある。ま
た、食品においても酸化することにより風味を損なった
り、見栄えを損なったりすることがある。
ためには、安全で、しかも、酸化防止効果に優れた抗酸
化剤の開発が望まれている。しかし、現実には一般的に
キノン、アミン、フェノール系の限られたもののみが使
用されているだけである。
E、ビタミンC等も使用されている。しかし、これらは
全て合成品あるいは自然界より単離された物質であり、
長期的に飲食または塗布することによる副作用が問題と
されている。そこで、最近では天然物指向により天然物
からの抗酸化剤も開発されているが、原料が高価であっ
たり、安定した品質のものが得られにくかったり、ま
た、効果においても顕著なものは未だ開発されていない
のが現状である。さらに野菜、魚肉等の短時間で鮮度が
落ちる生鮮食品においては、鮮度が命である。鮮度が落
ちることにより、見栄え等が損なわれ商品価値が下がる
わけである。
も延ばすことができるものの出現が待ち望まれているわ
けであるが、抗酸化剤同様に天然物で、しかも、顕著な
鮮度維持効果のあるものは未だ出現していない。
みりん、酢、麹などとして用途開発され、古くから生活
に欠かせないものとなっているが、新規な用途での用途
開発はほとんどなされていない。これは、米を単なる主
食であるとみるか、またはせいぜい澱粉源としてしかみ
ていなかったということによるものであると思われる。
また、食以外の用途としては糠袋が知られているが、糠
袋にしても皮膚によいとされ、慣例的にそのまま使用さ
れていたのみであり、有効成分という概念もなければ、
抽出という考え方も全くなかったのである。
医薬、化粧品、食品等あらゆる分野において防がなけれ
ばならない条件となっている。また、生鮮食品において
は、鮮度保持剤の出現が待ち望まれており、しかも、安
全性、副作用の面からも天然物、それも単離されたもの
でないものでという要求がさらに強まっている。すなわ
ち、人体にとって安全で、しかも、安価であり、また、
簡単に製造でき、抗酸化効果および鮮度保持効果に優れ
た抗酸化剤および鮮度保持剤の開発が待たれている。
和すの観点から、主食である米を中心に種々の植物成分
の研究を進めてきた。その過程で、米には今まで予測で
きなかった数多くの可能性、効果があることが判明して
きた。そこで、主食として用いられ安全性が最も高いこ
とが実証されている米をテーマとして取り上げ、米の総
合利用研究を行ってきた。その結果、米の抽出物に抗酸
化作用、鮮度保持効果があることを見出し、本発明を完
成するに至った。
たは有機溶媒抽出物をそのまま、あるいはこれを含有し
てなることを特徴とする抗酸化剤および鮮度保持剤であ
って、米を水抽出(酸、アルカリ抽出も含む)またはア
ルコールなどの有機溶媒で抽出することにより、簡単安
価に、しかも、全く安全に上記の効果を顕す非常に優れ
た抗酸化剤および鮮度保持剤が得られるのである。
体化すると表面積が大きくなるため、きわめて抽出効率
が良好となる。この方法は、粉砕機または精米機等を用
い、一般的な方法によればよい。粉砕しなくてもよい
が、この場合には、米組織の分解および抽出に長時間を
要する。
しくは粉砕または粉体化したものに加水する。原料とし
ては、玄米、白米及び糠のいずれでもよいが、白米を一
部でも含んでいるものを用いる。加水量については、米
に対して2〜5倍量で効率よく抽出されるが、収率、作
業性、最終使用目的等に応じて適宜選定すればよい。こ
の後、加温してゆき、沸騰状態になった時点で抽出を完
了する。抽出を完了した後、使用目的により、圧搾、濾
過を行えば、清澄な抽出エキスが得られる。なお、最初
から熱水を加えて抽出を行ってもよい。
成分が解明されていないが、この未知の有効成分が熱に
安定であることは確認できたので、高温が効率的であ
る。低温でも長時間置けば、充分に抽出を行うことがで
きる。ただし、40℃以下の低温の場合は、pHを酸性
あるいはアルカリ性にするか、防腐剤を加えることが必
要である。抽出時間は、沸騰抽出の場合には数分でよい
が、それ以下の中温の場合には数時間から一昼夜が必要
である。低温の場合は、米の粉砕状態にもよるが、数日
〜1ケ月必要である。ただし、この場合にも、なるべく
最後には加熱するのがより効果的である。
現象である。糊状になれば、抽出効率が悪くなるのみで
なく、実作業においては困難を極める。これを防ぐため
には、アミラーゼを加えて反応させるか、塩酸などで酸
性にして澱粉を分解すればよく、この方法を用いること
により、充分に解決でき実用上も全く問題がない。
定であるためか、酸抽出あるいはアルカリ抽出を行うの
も有効である。また、水抽出の場合、酸、アルカリで前
処理するか、米の組織に働く酵素(例えば、アミラー
ゼ)を反応させて前処理を行い、抽出する方法が効率的
である。これは、前処理により、有効成分がより抽出さ
れやすくなるためであると思われる。
たエキスが抽出されることが判明した。このことは、有
効成分の解明を進める上で、また、有効成分をコンクに
抽出したり、水に溶けないものとの配合という利用用途
の上で極めて有効である。この場合、なるべく微粉砕ま
たは粉体化することが好ましい。また、ここで用いる有
機溶媒は、アルコールのような人体に投与しても安全な
ものを使用することが望ましい。
のように有機溶媒抽出または水抽出し、その抽出物中の
有効成分をさらに溶媒抽出すると、より有効である。し
かし、これは濃縮状態が得られるためと思われ、澱粉な
どの不用なものを除いたり、濃縮することにより、同等
の効果が得られる。また、抽出物にさらにアルコール発
酵または乳酸発酵等の有機酸発酵を組み合わせても同等
の効果であった。
も身近すぎて、このような抗酸化剤あるいは鮮度保持剤
として使用するという概念すらなく、思いもよらないこ
とであった。また、食べる以外には清酒、焼酎、酢など
に用いられてきたが、米の抽出という考え方も方法も取
られていない。これは、抽出しようとすると米の特性と
して糊状になり、従来の考え方では非常に困難であった
ことにもよるものと思われる。そのため本発明において
は、有機溶媒抽出、酸、アルカリ抽出などを用い、ま
た、水抽出の場合、アミラーゼ等を作用させ、抽出を容
易にすることにより、目的を達成することができるよう
にしたのである。このようにして十分抽出操作を行って
初めて、非常に優れた抗酸化剤および鮮度保持剤として
の有効成分を抽出することができるのである。
剤としての有効性を実験結果に基づいて示す。まず、本
発明品による酸化物の生成抑制効果をロダン鉄法により
調べた。すなわち、本発明品によるきわめて酸化されや
すいリノール酸の酸化抑制効果を調べた。測定方法は以
下に示すとおりである。
l、水0.5ml、2.6%リノール酸エタノール溶液
0.2mlを加えてよく混合し、37℃で5日間放置す
る。 の酸化処理液50μl、75%エタノール溶液
4.85ml、30%アンモニウムチオシアネート50μ
l、0.02M塩化第二鉄の35%塩酸溶液50μlを
混合し、5分後に500nmの吸光度を測定する。 サンプルの代わりに蒸留水を用いて同様に行い、コ
ントロールとする。 結果を表1に示した。
きわめて酸化されやすいリノール酸に対して優れた酸化
防止効果を持つことが判明した。次に、DPPH法によ
り、本発明品の還元作用の強さを調べた。すなわち、本
発明品を安定なラジカルであるDPPHと反応させ、本
発明品のラジカル捕捉能を調べた。方法は以下に示すと
おりである。
l、99%エタノール溶液1.5ml、5×10-4M D
PPHエタノール溶液1.0mlを混合する。 混合直後、1時間後、2時間後、3時間後の525
nmにおける吸光度を測定する。 サンプルの代わりに蒸留水について同様に吸光度を
測定し、コントロールとする。 結果を表2に示した。
して水を用いたものでは、DPPHを還元することによ
り起こる吸光度の低下はほとんど認められなかったのに
対して、本発明品を用いたものでは、吸光度がコントロ
ールの7.5%ときわめて低かった。これは、DPPH
の安定なラジカルが、本発明により還元されて独特の発
色を失ったことによるのであり、本発明品がきわめて有
効な酸化防止効果を有することを明らかにしたのであ
る。
べるため、本発明品をレタスに噴霧して試験した。レタ
スに水を噴霧して常温で放置しておくと、12時間後に
はしなってきて、2日目には傷口が褐変した。ところ
が、本発明品を50倍に希釈して噴霧したレタスにおい
ては、22時間後までみずみずしく、また、4日目まで
変色しなかった。
が最も必要なことであり、極端にいえば、みずみずしさ
などは時間単位で延びても、その効果は大変大きいこと
である。さらには、変色を2日間も延ばすことができる
ので、本発明品は、鮮度を保持するという保存効果も有
するのである。そこで、この鮮度保持効果を例証するた
めに、チロシナーゼ活性阻害作用の試験をし、その結果
を表3に記載した。
4%チロシン溶液)、緩衝液( Mcllvaine Buffer pH
6.8)を各1mlを吸光セルに正確に取り、水および実
施例1で得られた本発明品を、それぞれ1mlずつ正確に
入れ、攪拌混和して35℃に保ち、5分後、吸光度目盛
を波長475nmに合わせてゼロ補正を行い、次いで、
チロシナーゼ溶液(チロシナーゼ5.3mgを0.9%N
aCl溶液に溶かしたもの)0.02mlを正確に加え、
直ちに攪拌してインキュベートした。この時の吸光度を
経時間(3分置き)にプロットした。
シナーゼ活性阻害作用において非常に顕著な効果がある
ことが判明した。このことからも鮮度保持剤として非常
に有効であるといえる。すなわち、本発明(1)は、白
米の水抽出物または有機溶媒抽出物を有効成分として含
有する抗酸化剤に関する。また、本発明(2)は、該水
抽出物が、60℃以上で抽出されたものである、前記抗
酸化剤(1)に関する。更に、本発明(3)は、該水抽
出物または有機溶媒抽出物が、更にアルコール発酵又は
有機酸発酵されている、前記抗酸化剤(1)に関する。
また、本発明(4)は、白米が酵素により前処理されて
いる、前記抗酸化剤(1)に関する。更に、本発明
(5)は、鮮度保持のための、前記抗酸化剤(1)に関
する。
米を水抽出あるいは有機溶媒抽出することにより、簡単
にきわめて優れた抗酸化作用を有する抗酸化剤および鮮
度保持剤が得られるのである。しかも、米は今まで主食
であったため、食以外の新規な分野での利用用途の開発
はほとんどなされていなかった。さらに、米が主食とさ
れてきたことは、安全性も実証されているのである。し
たがって、本発明は、抗酸化効果および鮮度保持効果に
優れ、医薬品、化粧品、食品等の幅広い分野で利用可能
な抗酸化剤および鮮度保持剤を安全性の実証されている
身近な米から簡単に得られることを見出したものであ
り、米の過剰生産といわれている現在、新たな利用用途
を見出したこと、および米のイメージアップによる消費
拡大を図り得ることは、極めて有意義なことである。
トルと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、
徐々に温度を上げて行き、5分間煮沸抽出した後、30
℃まで冷却した。その後、しぼり機でしぼり、本発明品
41リットルと残渣16kgを得た。
加え、よく攪拌し、6時間放置した。その後、しぼり機
でしぼり、圧搾液4.6リットルと残渣1.2kgに分離
した。この圧搾液を1N NaOHで中和し、本発明品
4.7リットルを得た。
添加し、よく攪拌して放置した。4日後、しぼり機でし
ぼり、圧搾液2.5リットルと残渣1.2kgを得た。こ
の圧搾液の一部1リットルに500ml加水し、ロータリ
ーエバポレーターによりアルコールを完全に除去し、本
発明品480mlを得た。
Claims (5)
- 【請求項1】 白米の水抽出物または有機溶媒抽出物を
有効成分として含有する抗酸化剤。 - 【請求項2】 該水抽出物が、60℃以上で抽出された
ものである、請求項1記載の抗酸化剤。 - 【請求項3】 該水抽出物または有機溶媒抽出物が、更
にアルコール発酵又は有機酸発酵されている、請求項1
記載の抗酸化剤。 - 【請求項4】 白米が酵素により前処理されている、請
求項1項記載の抗酸化剤。 - 【請求項5】 鮮度保持のための、請求項1記載の抗酸
化剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP14199992A JP3195648B2 (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | 米からの抗酸化剤および鮮度保持剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP14199992A JP3195648B2 (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | 米からの抗酸化剤および鮮度保持剤 |
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JPH05308939A JPH05308939A (ja) | 1993-11-22 |
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ID=15305037
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP14199992A Expired - Lifetime JP3195648B2 (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | 米からの抗酸化剤および鮮度保持剤 |
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JP2004248592A (ja) * | 2003-02-20 | 2004-09-09 | Sanpo Kk | チロシナーゼ阻害剤及びその製造方法 |
JP2007223990A (ja) * | 2006-02-27 | 2007-09-06 | Chikuno Shokuhin Kogyo Kk | 抗酸化組成物 |
JP6706017B2 (ja) * | 2014-04-07 | 2020-06-03 | 共栄化学工業株式会社 | 幹細胞機能維持剤 |
JP6599607B2 (ja) * | 2014-10-24 | 2019-10-30 | 共栄化学工業株式会社 | 抗酸化剤、皮膚化粧料及び毛髪化粧料 |
-
1992
- 1992-05-08 JP JP14199992A patent/JP3195648B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
New Food Industry,(1982)Vol.24,No.10,p.49−53 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05308939A (ja) | 1993-11-22 |
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