JP3550413B2 - 米からの抗酸化剤および鮮度保持剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、米あるいは発芽させた米を用いることにより、安全で、医薬、食品、化粧品等幅広い分野で使用可能な抗酸化剤および鮮度保持剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在では流通が完備されたことにより、多種多様の商品が市場に出まわるようになっている。それに伴って経時的に起こる品質の変化が問題となってきている。例えば、医薬、化粧品の場合には、物によっては経時的に酸化が起こり、有効成分の効果が変化したり、あるいは全く異なった物質になる危険性がある。また、食品においても酸化することにより風味を損なったり、見栄えを損なったりすることがある。
そこで、安定した商品を消費者に供給するためには、安全で、しかも、酸化防止効果に優れた抗酸化剤の開発が望まれている。しかし、現実には一般的にキノン、アミン、フェノール系の限られたもののみが使用されているだけである。
【0003】
また、最近では天然物指向によりビタミンE、ビタミンC等も使用されている。しかし、これらは全て合成品あるいは自然界より単離された物質であり、長期的に飲食または塗布することによる副作用が問題とされている。そこで、最近では天然物指向により天然物からの抗酸化剤も開発されているが、原料が高価であったり、安定した品質のものが得られにくかったり、また、効果においても顕著なものは未だ開発されていないのが現状である。さらに野菜、魚肉等の短時間で鮮度が落ちる生鮮食品においては、鮮度が命である。鮮度が落ちることにより、見栄え等が損なわれ商品価値が下がるわけである。
そこで、鮮度を1日でもあるいは1時間でも延ばすことができるものの出現が待ち望まれているわけであるが、抗酸化剤同様に天然物で、しかも、顕著な鮮度維持効果のあるものは未だ出現していない。
【0004】
一方、米は主食以外に清酒、焼酎、甘酒、みりん、酢、麹などとして用途開発され、古くから生活に欠かせないものとなっているが、新規な用途での用途開発はほとんどなされていない。これは、米を単なる主食であるとみるか、またはせいぜい澱粉源としてしか見ていなかったということによるものであると思われる。また、食以外の用途としては糠袋が知られているが、糠袋にしても皮膚によいとされ、慣例的にそのまま使用されていたのみであり、有効成分という概念もなければ、有効成分を利用するという考え方も全くなかったのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、酸化は医薬、化粧品、食品等あらゆる分野において防がなければならない条件となっている。また、生鮮食品においては、鮮度保持剤の出現が待ち望まれており、しかも、安全性、副作用の面からも天然物、それも単離されたものでないものでという要求がさらに強まっている。すなわち、人体にとって安全で、しかも、安価であり、また、簡単に製造でき、抗酸化効果および鮮度保持効果に優れた抗酸化剤および鮮度保持剤の開発が待たれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、動植物合和すの観点から、主食である米を中心に種々の植物成分の研究を進めてきた。その過程で、米には今まで予測できなかった数多くの可能性、効果があることが判明してきた。そこで、主食として用いられ、安全性が最も高いことが実証されている米をテーマとして取り上げ、米の総合利用研究を行なってきた。そのうちの一つのテーマとして、米からの抗酸化剤および鮮度保持剤について鋭意研究を行なった。その過程で、本発明者らは、米を水抽出または有機溶媒抽出によって得られるものが、優れた抗酸化剤および鮮度保持剤とについて、すでに発明した(特願平4−141999)。
しかし、より安価に、より高い効果を持つ抗酸化剤および鮮度保持剤を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明(1)は、白米の加水物を蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、澱粉分解酵素、リグニン分解酵素及びペクチン分解酵素からなる群より選択される2種以上の酵素により分解または麹を作用させたものを有効成分として含有する抗酸化剤である。
本発明(2)は、白米を抽出するに当たり、その抽出前、抽出と同時または抽出後に、蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、澱粉分解酵素、リグニン分解酵素及びペクチン分解酵素からなる群より選択される2種以上の酵素により分解または麹を作用させたものを有効成分として含有する抗酸化剤である。
本発明(3)は、更に、アルコール発酵又は有機酸発酵されたものである、前記発明(1)又は(2)の抗酸化剤である。
本発明(4)は、白米が、白米、玄米または発芽米の形態である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの抗酸化剤である。
本発明(5)は、鮮度保持のための、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの抗酸化剤である。
【0007】
本発明において、米および発芽させた米に含有されている抗酸化および鮮度保持効果を有する成分は未だ解明するに至っていないが、米および発芽させた米を下記のように処理したものは、抗酸化および鮮度保持効果を示すことが判明した。
▲1▼ 発芽させた米の粉砕物をそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
▲2▼ 米または発芽させた米の抽出物をそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
▲3▼ 米または発芽させた米の加水物を酵素分解または麹を作用させたものをそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
▲4▼ 米または発芽させた米を抽出するに当り、その抽出前、抽出と同時または抽出後に酵素分解または麹を作用させたものをそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
▲5▼ 米または発芽させた米の抽出物あるいは麹を作用させたものに、アルコール発酵あるいは有機酸発酵を行なったものをそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
【0008】
本発明で使用される米とは、ジャポニカ、インディカ米を問わず、うるち米、および餅米等の玄米および白米を指し、品種、種類は問わない。さらに、精白時に出てくる92%以上の赤糠、あるいは92%以下の白糠を使用してもよく、安価で経済的である。また、発芽させた米が使用される。なお、有効成分は、熱および光に対して安定であるため、上記の原料は、浸漬、蒸煮、焙煎(砂焙り、網焙り、熱風焙煎等全てを指す)、蒸煮焙煎、凍結乾燥等の表面変性、UV照射等の光変性、パットライス等の加圧焙煎、揚げる等の原料処理をしてもよく、また、効果も変わらなかった。
米および発芽させた米は、そのまま用いても有効であるが、実用上の面から粉砕して用いるのが好ましい。米および発芽させた米を粉砕して粉体化するには、粉砕機または精米機を用い一般的な方法で行えばよい。
【0009】
米を発芽させる場合、胚芽のついた米を水に浸漬あるいは水を噴霧して発芽させる。発芽させる時の温度は5〜70℃である。ただし、発芽さえすれば、温度および時間は問わない。また、発芽中に水が腐敗する危険性がある場合は、腐敗しないように水を取り替えるか、何らかの防腐を行うのが好ましい。ここで、発芽とは、発芽する直前から発芽したものまで全てを指す。この発芽させた米をよく洗浄して用いる。この時、乾燥して用いてもよい。
米または発芽させた米を抽出、あるいは酵素分解または麹を作用させる場合、原料の米を粉砕して顆粒あるいは粉体化すると、表面積が大きくなるため効率がよくなる。粉砕しなくてもよいが、この場合には、米組織の分解および抽出に長時間を要する。
【0010】
米または発芽させた米を水抽出する場合、抽出温度は、高温が効率的であるが、低温でも十分に抽出を行うことができる。ただし、40℃以下の低温の場合は、PHを酸性あるいはアルカリ性にするか、防腐剤あるいはアルコールを加えて、米が腐敗しないように処理することが望ましい。抽出時間は、有効成分さえ抽出できれば、長くても短くてもよく、抽出温度により定めればよい。また、抽出は、加圧下または常圧下で行っても、減圧下で行ってもよい。
水抽出の場合、最も問題になるのは糊化現象である。糊状になれば、抽出効率が悪くなるばかりでなく、実作業においては困難を極める。これを防ぐためには、アミラーゼを加えて反応させるか、塩酸などで酸性にして澱粉を切ってやればよく、この方法を用いることにより、十分に解決でき、実用上も全く問題はない。
【0011】
抽出物中の有効成分は、酸、アルカリに安定であるためか、酸分解抽出、あるいはアルカリ分解抽出を行うのも有効である。この場合、必要により中和、脱塩を行う。
有機溶媒で抽出する場合も、米はなるべく微粉砕または粉体化して抽出することが望ましい。有機溶媒はアルコール、アセトン、n−ヘキサン、メタノール等の一般的な有機溶媒でよいが、人体に対して有害なものは抽出後、溶媒を完全に除去する必要があるので安全なものがよい。
また、米あるいは発芽させた米を酵素分解、または麹を作用させてもよい。ここで言う酵素分解とは、澱粉分解酵素、蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、リグニン分解酵素、ペクチン分解酵素等米に働く酵素を1種または2種以上作用させることをいう。また、麹として麹菌の種類および米の品種、種類は問わない。
【0012】
さらに、前記の抽出を行うに当り、抽出の前、抽出と同時、または抽出の後に上記の酵素分解および麹を作用させてもよい。
本発明においては、さらに上記の処理を行なうと同時または処理後、アルコール発酵あるいは乳酸発酵、酢酸発酵等の有機酸発酵を行うと、次のような点でも有効である。
まず、アルコール発酵を行なえば、塗布時にベタツキがないばかでなく、濃縮がしやすく、有効成分の濃縮が容易になる。また、乳酸発酵は飲料等の用途に使用する場合、風味をよくし、酢酸発酵は酢という調味液用途として本発明品を利用することができ、有機酸発酵することにより幅広い用途として使用することができる。
なお、必要により酵母による通気発酵、アルコール沈澱、合成吸着剤等により除糖を行なってもよい。
また、92%以上の赤糠部分を調べてみたところ、効果はあるが、弱いことが判明した。
以上のようにして得られた本発明品は、残渣を分離することなくそのまま、あるいは圧搾、濾過して用いる。
【0013】
以下に、本発明品の抗酸化剤および鮮度保持剤としての有効性を実験結果に基づいて示す。
まず、本発明品による酸化物の生成抑制効果をロダン鉄法により調べた。すなわち、本発明品によるきわめて酸化されやすいリノール酸の酸化抑制効果を調べた。測定方法は以下に示すとおりである。
試薬の調製
(1) 0.2M リン酸緩衝液(pH7.0)
(2) 2.6% リノール酸エタノール溶液
(3) 75% エタノール溶液
(4) 30% アンモニウムチオシアネート
(5) 0.02M 塩化第二鉄の35%塩酸溶液
【0014】
操作方法
▲1▼ 試料溶液0.2ml、0.2Mリン酸緩衝液0.1ml、水0.5ml、2.6%リノール酸エタノール溶液0.2mlを加えてよく混合し、37℃で5日間放置する。
▲2▼ ▲1▼の酸化処理液50μl、75%エタノール溶液4.85ml、30%アンモニウムチオシアネート50μl、0.02M塩化第二鉄の35%塩酸溶液50μlを混合し、5分後に500nmの吸光度を測定する。
▲3▼ サンプルの代わりに蒸留水を用いて同様に行い、コントロールとする。
結果を表1に示した。
【0015】
【表1】
【0016】
表1から明らかなように、本発明者は、きわめて酸化されやすいリノール酸に対して優れた酸化防止効果を持つことが判明した。また、実施例30〜34で得られた本発明品においては、かなり効果があり、米をアルコール発酵、乳酸発酵、酢酸発酵することにより、優れた効果が得られた。
次に、DPPH法により、本発明品の還元作用の強さを調べた。すなわち、本発明品を安定なラジカルであるDPPHと反応させ、本発明品のラジカル捕捉能を調べた。
【0017】
方法は以下に示すとおりである。
試料の調製
(1) 試料溶液 1%w/v水溶液
(2) 0.1M リン酸緩衝液(pH6.5)
(3) 99% エタノール溶液
(4) 5×10−4M DPPHエタノール溶液
操作方法
▲1▼ 試料溶液0.5ml、0.1Mリン酸緩衝液2.0ml、99%エタノール溶液1.5ml、5×10−4M DPPHエタノール溶液1.0mlを混合する。
▲2▼ 混合直後、3時間後の525nmにおける吸光度を測定する。
▲3▼ サンプルの代わりに蒸留水について同様に吸光度を測定し、コントロールとする。
結果を表2に示した。
【0018】
【表2】
【0019】
表2より明らかなように、コントロールとして水を用いたものでは、DPPHを還元することにより起こる吸光度の低下はほとんど認められなかったのに対して、本発明品においては、吸光度がかなり低い値を示した。これは、DPPHの安定なラジカルが本発明により還元されて、独特の発色を失ったことによるのであり、本発明品がきわめて有効な酸化防止効果を有することを明らかにしたのである。
次に、本発明品の鮮度保持効果について調べるため、実施例30で得られた本発明品をレタスに噴霧して試験した。レタスに水を噴霧して常温で放置しておくと、12時間後にはしなってきて、2日目には傷口が褐変した。ところが、本発明品を50倍に希釈して噴霧したレタスにおいては、22時間後までみずみずしく、また、4日目まで変色しなかった。
【0020】
野菜などはかまぼこ同様、鮮度を保つことが最も必要なことであり、極端にいえば、みずみずしさなどは時間単位で延びても、その効果は大変大きいことである。さらには、変色を2日間も延ばすことができるので、本発明品は、鮮度を保持するという保存効果も有するのである。
そこで、この鮮度保持効果を例証するために、チロシナーゼ活性阻害作用の試験をし、その結果を表3に記載した。
なお、操作方法としては、基質液(0.04%チロシン溶液)、緩衝液(Mcllvaine Buffer pH6.8)を各1mlを吸光セルに正確に取り、水および本発明品を、それぞれ1mlずつ正確に入れ、攪拌混和して35℃に保ち、5分後、吸光度目盛を波長475nmに合わせてゼロ補正を行い、次いで、チロシナーゼ溶液(チロシナーゼ5.3mgを0.9%NaCl溶液に溶かしたもの)0.02mlを正確に加え、直ちに攪拌してインキュベートした。この時の吸光度を経時間(5分置き)に測定した。
チロシナーゼ活性阻害率を次式により算出し、その結果を表3に示した。
【0021】
【数1】
【0022】
【表3】
表3から分かるように、本発明品は、チロシナーゼ活性阻害作用において非常に顕著な効果があることが判明した。このことからも鮮度保持剤として非常に有効であるといえる。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
胚芽のついたままの米1kgを25℃の水につけ、3日間浸漬させ、米を発芽させた。この発芽米をよく洗浄した後、50℃で24時間乾燥し、その後、細かく微粉砕し、本発明品990gを得た。
(実施例2)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に水1500mlを添加、塩酸でPHを落とし10日間放置した。その後、絞り機で絞り、得た清澄液を中和して、本発明品1200mlと残渣760gを得た。
(実施例3)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例3と同様の操作を行い、別の本発明品1190mlを得た。
【0024】
(実施例4)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に液化酵素10gと水1500mlを添加した。その後、徐々に温度を上げていき、5分間煮沸抽出した後、冷却した。その後、絞り機で絞り、本発明品1420mlと残渣560gを得た。
(実施例5)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例4と同様の操作を行い、別の本発明品1400mlを得た。
(実施例6)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に2N−NaOH1500mlを添加して5日間放置した。その後、絞り機で絞り、清澄液1350mlと残渣650gを得た。この清澄液を10N−HClで中和して、本発明品1480mlを得た。
【0025】
(実施例7)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例6と同様の操作を行い、別の本発明品1490mlを得た。
(実施例8)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に95%エタノール1500mlを添加して、5日間放置した。その後、絞り機で絞り、清澄液1300mlと残渣650gを得た。この清澄液に水2000mlを添加し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、本発明品1500mlを得た。
(実施例9)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例8と同様の操作を行い、別の本発明品1500mlを得た。
【0026】
(実施例10)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に麹300g、水1500mlを加え、55℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1230mlと残渣1000gを得た。
(実施例11)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例10と同様の操作を行い、別の本発明品1210mlを得た。
(実施例12)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に蛋白分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1310mlと残渣670gを得た。
【0027】
(実施例13)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例12と同様の操作を行い、別の本発明品1380mlを得た。
(実施例14)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に脂肪分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1290mlと残渣680gを得た。
(実施例15)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例14と同様の操作を行い、別の本発明品1360mlを得た。
【0028】
(実施例16)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に繊維分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1330mlと残渣650gを得た。
(実施例17)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例16と同様の操作を行い、別の本発明品1370mlを得た。
(実施例18)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に澱粉分解酵素2gと水1500mlを加え、55℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1380mlと残渣600gを得た。
【0029】
(実施例19)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例18と同様の操作を行い、別の本発明品1400mlを得た。
(実施例20)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物にペクチン分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1320mlと残渣660gを得た。
(実施例21)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例20と同様の操作を行い、別の本発明品1300mlを得た。
【0030】
(実施例22)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に蛋白分解酵素2g、脂肪分解酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペクチン分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1420mlと残渣560gを得た。
(実施例23)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例22と同様の操作を行い、別の本発明品1440mlを得た。
(実施例24)
実施例22と同様の操作をして、米の酵素分解物2000gを得た。その後、徐々に温度を上げていき、5分間煮沸抽出した後、冷却した。その後、絞り機で絞り、本発明品1400mlと残渣550gを得た。
【0031】
(実施例25)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例24と同様の操作を行い、別の本発明品1420mlを得た。
(実施例26)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に麹300gと40%エタノール1500mlを加え、55℃で48時間放置した。その後、絞り機で絞り、清澄液1300mlと残渣850gを得た。その後、清澄液に1000mlの水を加水し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、本発明品1300mlを得た。
(実施例27)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例26と同様の操作を行い、別の本発明品1300mlを得た。
【0032】
(実施例28)
実施例4と同様にして、米の抽出物2000gを得た。この抽出物に蛋白分解酵素2g、脂肪分解酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペクチン分解酵素2gを添加し、50℃で24時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1400mlと残渣580gを得た。
(実施例29)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例28と同様の操作を行い、別の本発明品1390mlを得た。
(実施例30)
実施例24と同様にして、米の酵素分解抽出物2000gを得た。この酵素分解抽出物に酵母を添加し、16日間アルコール発酵した。その後、絞り機で絞り、本発明品1880mlと残渣80gを得た。
【0033】
(実施例31)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例30と同様の操作を行い、別の本発明品1800mlを得た。
(実施例32)
実施例24と同様にして、米の酵素分解抽出物2000gを得た。この酵素分解抽出物を煮沸殺菌した後、37℃まで冷却し、前もって乳酸菌を培養したスターター200mlを添加後、よく攪拌密封し、37℃で2日間乳酸発酵を行った。その後、絞り機で絞り、本発明品1380mlと残渣590gを得た。
(実施例33)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例32と同様の操作を行い、別の本発明品1400mlを得た。
【0034】
(実施例34)
実施例24で得られた本発明品1000mlに95%エタノール80mlを添加し、20日間酢酸発酵を行った。その後、濾過をし、本発明品990mlを得た。
(実施例35)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例34と同様の操作を行い、別の本発明品1000mlを得た。
【0035】
【発明の効果】
前記のデーターからも明らかなように、米あるいは発芽させた米を用いることにより、簡単にきわめて優れた抗酸化作用を有する抗酸化剤および鮮度保持剤が得られるのである。しかも米は今まで主食であったため、食以外の新規な分野での利用用途の開発はほとんどなされていなかった。さらに、米が主食とされてきたことは、安全性も実証されているものである。したがって、本発明は、抗酸化効果および鮮度保持効果に優れ、医薬品、化粧品、食品等の幅広い分野で利用可能な抗酸化剤および鮮度保持剤を安全性の実証されている身近な米から簡単に得られることを見出したものであり、米の過剰生産といわれている現在、新たな利用用途を見出したこと、および米のイメージアップによる消費拡大を図り得ることは、極めて有意義なことである。
Claims (5)
- 白米の加水物を蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、澱粉分解酵素、リグニン分解酵素及びペクチン分解酵素からなる群より選択される2種以上の酵素により分解または麹を作用させたものを有効成分として含有する抗酸化剤。
- 白米を抽出するに当たり、その抽出前、抽出と同時または抽出後に、蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、澱粉分解酵素、リグニン分解酵素及びペクチン分解酵素からなる群より選択される2種以上の酵素により分解または麹を作用させたものを有効成分として含有する抗酸化剤。
- 更に、アルコール発酵又は有機酸発酵されたものである、請求項1または2記載の抗酸化剤。
- 白米が、白米、玄米または発芽米の形態である、請求項1〜3のいずれか一項記載の抗酸化剤。
- 鮮度保持のための、請求項1〜4のいずれか一項記載の抗酸化剤。
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