JP3678449B2 - 米からの水分保持能改善剤 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、米または発芽させた米を原料として得られ、今までにない保湿の持続性と水分保持能の増大を促し、表皮角質層自体を改善し健全化する効果を持つ優れた表皮角質層健全化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体は水によって構成され、表皮角質層はその外側あるいは内側からの水分をバランスよく維持、調整するための重要な働きをしているだけでなく、外界からの生理学的、化学的あるいは物理的影響など、様々な悪影響からのバリアー機能としても重要な役割を果たしている。しかし、生まれつき表皮角質層の機能が正常でないこと、あるいは健常人においても、何らかの原因(年令や風、季節、湿度など環境条件の変化)により、この機能が正常でなくなることから、様々な問題が起こってくる。その中でも、水分を正常に維持、調整する機能が失われることにより、表皮角質層自体の水分含量の低下を招き、皮膚はキメが荒くなり、皺、肌荒れ、ヒビ、アカギレなどが起こり、その結果、さらに魚鱗癬、乾皮症、掌蹠角化症などの疾患にまで発展することもある。
【0003】
従来、この失われた水分を補う意味で、様々な保湿剤が開発、研究されてきた。グリセリン、プロピレングリコールなどをはじめ、最近ではヒアルロン酸ナトリウムなどが、よく使用されている。ところが、これらの保湿剤には、本来、表皮角質層が担うべき機能を健全化するという概念はなく、角質層の水分を一時的に保つか、あるいは水分の蒸発を防ぐために、皮膚の表面で一時的なバリアー機能を持たせるというものであり、表皮機能に直接的に働きかけているのではないため、使用することを止めれば直ちに元の状態に戻ってしまうものである。
すなわち、現在、皮膚に対して安全で、しかも、表皮角質層の保湿持続性と水分保持能の増大を促し、さらには、表皮角質層の持つ本来の機能までも改善するような優れた表皮角質層健全化剤は、開発されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現在、薬剤の人体に対する副作用が問題となっており、全く副作用がなく、しかも、表皮角質層に対し、優れた保湿持続性と水分保持能の増大を促し、さらには、表皮角質層の持つ機能までも健全化する効果を持つような表皮角質層健全化剤が望まれている。
本発明は、安全で安価であり、常用しても全く安全な米を利用し、表皮角質層に対して、優れた保湿持続性と水分保持能の増大を促し、一時的に働きかけるのではなく、表皮角質層の持つ機能そのものを改善するような効果を持つ表皮角質層健全化剤を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、動植物合和すの観点から、主食である米を中心に種々の植物成分の研究を進めてきた。その過程で、米には今まで予測できなかった数多くの可能性および効果があることが判明してきた。そこで、主食として用いられ、安全性が最も高いことが実証されている米をテーマとして取り上げ、米の総合利用研究を行ってきた。そのうちの一つのテーマとして、米からの表皮角質層健全化剤について鋭意研究を重ねてきたのであるが、その過程で、米および発芽させた米には表皮角質層健全化剤としての効果を有する成分が含有されていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明において、米および発芽させた米に含有されている水分保持能改善効果を有する成分は、未だ解明するに至っていないが、米および発芽させた米を、下記のように処理したものは、水分保持能改善効果を示すことが判明した。
(1)発芽させた米の粉砕物をそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
(2)米または発芽させた米の抽出物をそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
【0007】
▲3▼ 米または発芽させた米の加水物を酵素分解または麹を作用させたものをそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
▲4▼ 米または発芽させた米を抽出するに当たり、その抽出前、抽出と同時または抽出後に酵素分解または麹を作用させたものをそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
▲5▼ 米または発芽させた米の抽出物あるいは酵素分解または麹を作用させたものに、アルコール発酵あるいは有機酸発酵を行なったものをそのまま、あるいはこれを含有してなるもの。
【0008】
本発明で使用される米とは、ジャポニカ、インディカ米を問わず、うるち米、および餅米等の玄米および白米を指し、品種、種類は問わない。さらに、精白時に出てくる92%以下の白糠を使用してもよく、安価で経済的である。また、発芽させた米が使用される。なお、有効成分は、熱および光に対して安定であるため、上記の原料は、浸漬、蒸煮、焙煎(砂焙り、網焙り、熱風焙煎等全てを指す)、蒸煮焙煎、凍結乾燥等の表面変性、UV照射等の光変性、パットライス等の加圧焙煎、揚げる等の原料処理をしてもよく、また、効果も変わらなかった。
【0009】
米および発芽させた米は、そのまま用いても有効であるが、実用上の面から粉砕して用いるのが好ましい。米および発芽させた米を粉砕して粉体化するには、粉砕機または精米機を用い一般的な方法で行なえばよい。
米を発芽させる場合、胚芽のついた米を水に浸漬あるいは水を噴霧して発芽させる。発芽させる時の温度は5〜70℃である。ただし、発芽さえすれば、温度および時間は問わない。また、発芽中に水が腐敗する危険性がある場合は、腐敗しないように水を取り替えるか、何らかの防腐を行うのが好ましい。ここで、発芽とは、発芽する直前から発芽したものまで全てを指す。この発芽させた米をよく洗浄して用いる。この時、乾燥して用いてもよい。
【0010】
米または発芽させた米を抽出、あるいは酵素分解または麹を作用させる場合、原料の米を粉砕して顆粒あるいは粉体化すると、表面積が大きくなるため効率がよくなる。粉砕しなくてもよいが、この場合には、米組織の分解および抽出に長時間を要する。
【0011】
米または発芽させた米を水抽出する場合、抽出温度は、高温が効率的であるが、低温でも十分に抽出を行うことができる。ただし、40℃以下の低温の場合は、PHを酸性あるいはアルカリ性にするか、防腐剤あるいはアルコールを加えて、米が腐敗しないように処理することが望ましい。抽出時間は、有効成分さえ抽出できれば、長くても短くてもよく、抽出温度により定めればよい。また、抽出は、加圧下または常圧下で行っても、減圧下で行ってもよい。
また、米の浸漬水あるいは浸漬水の中ですりつぶした液を用いてもよい。すなわち、米の成分が出てくる方法ならば何でもよい。
【0012】
水抽出の場合、最も問題になるのは糊化現象である。糊状になれば、抽出効率が悪くなるばかりでなく、実作業においては困難を極める。これを防ぐためには、アミラーゼを加えて反応させるか、塩酸などで酸性にして澱粉を切ってやればよく、この方法を用いることにより、十分に解決でき、実用上も全く問題はない。
抽出物中の有効成分は、酸、アルカリに安定であるためか、酸分解抽出あるいはアルカリ分解抽出を行うのも有効である。この場合、必要により中和、脱塩を行う。
【0013】
有機溶媒で抽出する場合も、米はなるべく微粉砕または粉体化して抽出することが望ましい。有機溶媒はアルコール、アセトン、n−ヘキサン、メタノール等の一般的な有機溶媒でよいが、人体に対して有害なものは抽出後、溶媒を完全に除去する必要があるので安全なものがよい。
【0014】
米あるいは発芽させた米を酵素分解する場合、まず、米あるいは発芽させた米に加水した後、酵素を添加する。加水量は収率、作業性、最終使用目的などに応じて適宜選定する。また、加水温度は酵素あるいは麹の至適温度が効率的であるが、低温でも長時間おけば酵素分解は十分に行われる。ただし、40℃以下の低温の場合は、なんらかの防腐を行うことが必要である。また、分解さえすれば温度は高温でもよい。分解時間は温度等に左右されるが、分解さえ行われれば短くても長くてもよい。
【0015】
ここで使用する酵素は、澱粉分解酵素、蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、リグニン分解酵素およびペクチン分解酵素のうち1種または2種以上である。また、麹を使用する場合においては、加水量、作用温度、作用時間は、酵素分解の場合と同様である。使用する麹は、一般に使用される麹でよく、麹菌の種類および品種は問わない。
【0016】
さらに、前記の抽出を行うに当たり、抽出の前、抽出と同時または抽出の後に、上記の酵素分解および麹を作用させてもよい。ここで、抽出と同時に酵素分解あるいは麹を作用させる場合、具体的には、有機溶媒中で酵素分解あるいは麹を作用させるか、減圧抽出下で酵素分解あるいは麹を作用させるなどの方法により行う。
本発明においては、上記の各処理を行うと同時または処理後、アルコール発酵あるいは乳酸発酵、酢酸発酵等の有機酸発酵を行えば、さらに有効的である。
【0017】
このアルコール発酵を行う場合、上記のようにして得られた抽出物、酵素分解物(酵素分解、抽出を組み合わせて得られるものも含む)または麹を作用させたものをそのまま、または圧搾、濾過して得た液をアルコール発酵させる。なお、酵素分解とアルコール発酵は同時に行ってもよい。すなわち、米または発芽させた米に加水後、酵素または麹、さらに酒母または酵母を添加して、糖化、アルコール発酵を行う。大量に製造する場合、糖化と発酵のバランスを考えながら、清酒醸造に準じて3段階あるいは何段階にも分けて、米または発芽させた米を添加するのが望ましい。特に少量を処理する場合においては、一度に添加するのが有効である。この際、腐敗が心配な場合は、酸を添加するか、発酵の阻害にならない適当な防腐を施す。
【0018】
アルコール発酵を行うと、ベトツキがなくなること、濃縮がしやすく有効成分の濃縮が容易になることなどの利点もある。
乳酸発酵を行う場合は、アルコール発酵の場合と同様で、この場合は、酒母または酵母の代わりに乳酸菌を添加して乳酸発酵を行う。乳酸発酵は一般的な常法によって行い、乳酸菌の種類および乳酸発酵の条件は問わない。
【0019】
次に、酢酸発酵の場合は、上記のようにして得られた発酵物をそのまま、あるいは希釈してアルコール4〜5%にした後、酢酸菌を添加して酢酸発酵を行う。また、アルコールのないものは、アルコールを添加して酢酸発酵を行えばよい。酢酸発酵は一般的な常法によって行い、酢酸菌の種類および酢酸発酵の条件は問わない。
以上のようにして得られた本発明品は、残渣を分離することなくそのまま、あるいは圧搾、濾過して用いる。そのまま用いるときは、殺菌あるいは除菌をして製品とする。なお、必要により酵母による通気発酵、アルコール沈澱、合成吸着剤等で除糖を行ってもよい。
【0020】
また、本発明品を配合する場合は、実際の用途に応じ、常法にしたがってクリーム、洗顔料、乳液、化粧水、クレンジング、パック、石鹸などの化粧料、軟膏剤、パスタ剤、ローション剤、チンキ剤、リエメント剤、ゼリー剤、エアゾール剤などの外用薬品のような剤型にする。他の配合成分は、通常用いられるものいずれでもよく、さらに、他の薬効剤を併用してもよい。
【0021】
本発明の表皮角質相健全化剤について調べた結果を以下に記載する。
(1)まず、本発明品の表皮角質層水分含有量の持続効果について、次のとおり検討した。
正常人(パネラー10名/各本発明品)の前腕屈部位(4×4cm2 )に本発明品を塗布し、塗布直後30,60,120分後の表皮角質層水分含量を測定し、塗布前と比較した。
【0022】
測定はIBS(株)社製 高周波伝導測定装置(SKICON−200)を使用した。測定条件は温度20℃、湿度50%の恒温恒湿の部屋で行い、パネラーは測定30分前から、前記の環境下で安静にした後、測定した。対照として、10%グリセリン、0.2%ヒアルロン酸ナトリウム、保湿外用剤として用いられている10%尿素配合ローション剤、そして水を用いた。
結果を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
表皮角質層水分含有量が高く持続されているということは、みずみずしくしなやかな肌を維持しているということであり、さらには、乾皮症等の皮膚疾患にも非常に有効と言える。
表1の結果より、本発明品は、全てにおいて塗布前と比較して、120分経過後でも表皮角質層の水分含有量が高く維持されている。それと比べると、対照となっている水、グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウムは、塗布後30分で塗布前と同様の水分含有量まで低下している。また、10%尿素配合ローション剤においても、僅かに表皮角質層の水分含有量を維持しているが、本発明品とは比べものにならないほど低いものであった。
【0025】
すなわち、本発明品は、既存の保湿剤では持っていなかった表皮角質層水分含有量の持続を促すという、今までにない優れた効果を持っていることが分かったのである。
【0026】
(2)さらに、本発明品の表皮角質層の健全化効果について、次のとおり検討した。
乾燥肌(パネラー5名/各本発明品)の前腕屈部分(4×4cm2 )に毎日、朝晩2回、1ケ月間、本発明品および対照として水を塗布してもらった。なお、塗布開始前、予め塗布部分の生体角質層水負荷試験を行っておき、1ケ月間塗布後、再び塗布部分の生体角質層水負荷試験を行い、さらに、塗布中止2週間後、同様の試験を行った。以下に生体角質層水負荷試験の方法を示す。
【0027】
▲1▼本発明品および水(対照)の塗布部分の被験部位を設定する。
▲2▼被験部位の角質層水分含有量を測定する。
▲3▼蒸留水を1滴、被験部位に乗せ、10秒後に乾いたガーゼで完全に水滴を拭き取る。
▲4▼拭き取った直後、30,60,90,120秒後の角質層水分含有量を測定する。
▲5▼水分吸水能および水分保持能は、次式に基づいて求めた。
【0028】
【数1】
【0029】
結果を表2に示した。
【0030】
【表2】
【0031】
表2の結果より、全ての本発明品において、塗布前と比較して、1ケ月間塗布後では、水分吸水能、水分保持能ともにかなり改善されていることが分かる。さらには、塗布中止後2週間が経過しても、ほとんど低下していないことも分かった。また、普通肌の人の水分吸水能、水分保持能を測定したところ、水分吸水能970、水分保持能6.3であり、本発明品によっては正常な肌と変わらないほどにまで改善されていることも分かった。さらに、外観上でも本発明品塗布部分は、肌がみずみずしく、また、張り、艶が出たと全員が答えた。
【0032】
この結果より、本発明品は、従来の保湿剤のように塗布することによって、一時的に水分を保ったり、あるいは一時的なバリアー機能を持たせるというものではなく、表皮角質層が本来担うべき機能を健全化するものであると言える。その結果、これまでにない優れた保湿の持続性を促し、表皮角質層の水分吸水能、保持能を改善し、最終的にみずみずしくしっとりとした張り、艶のある本来の肌へと健全化するのである。したがって、本発明品は、これまでにない非常に優れた表皮角質層健全化剤であると言える。
【0033】
(3)さらに、本発明品の表皮角質層健全化効果を肉眼的に実証することを検討した。
まず、ひどい肌荒れで悩む24才の女性パネラーの上腕内側をマイクロスコープ(オリンパス社製OUM1000NH)で観察した。そして、実施例30で得られた本発明品を10日間毎日、朝晩2回、継続塗布させた。塗布期間終了後、再び上腕内側の塗布部分をマイクロスコープで観察し、塗布前と肉眼的に比較した。結果を図1および図2に示す。
【0034】
図1のように、本発明品(実施例30)塗布前は、落屑による角質層の抜けが非常に目立ち、皮溝は全く見られず、ひどい肌荒れ状態であることが分かる。
これに対し、本発明品(実施例30)を10日間塗布することにより、図2のように、落屑による表皮角質層の抜けがほとんど見られず、皮溝、皮丘がはっきりとしている。さらに、皮溝の線が細く規則性も確認できるほどまでに改善されていた。
【0035】
以上のように、肉眼においても、本発明品の非常に優れた表皮角質層健全化効果が確認できた。
なお、上記本発明の調査結果は、実施例30のみのデータを示したが、その他の実施例により得られる本発明品についても、その効果に多少の差はあるものの、ほとんど同様の効果が得られた。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
胚芽のついたままの米1kgを25℃の水につけ、3日間浸漬させ、米を発芽させた。この発芽米をよく洗浄した後、50℃で24時間乾燥し、その後、細かく微粉砕し、本発明品990gを得た。
(実施例2)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に水1500mlを添加、塩酸でPHを落とし10日間放置した。その後、絞り機で絞り、得た清澄液を中和して、本発明品1200mlと残渣760gを得た。
【0037】
(実施例3)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例3と同様の操作を行い、別の本発明品1190mlを得た。
(実施例4)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に液化酵素10gと水1500mlを添加した。その後、徐々に温度を上げていき、5分間煮沸抽出した後、冷却した。その後、絞り機で絞り、本発明品1420mlと残渣560gを得た。
【0038】
(実施例5)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例4と同様の操作を行い、別の本発明品1400mlを得た。
(実施例6)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に2N−NaOH1500mlを添加して5日間放置した。その後、絞り機で絞り、清澄液1350mlと残渣650gを得た。この清澄液を10N−HClで中和して、本発明品1480mlを得た。
【0039】
(実施例7)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例6と同様の操作を行い、別の本発明品1490mlを得た。
(実施例8)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に95%エタノール1500mlを添加して、5日間放置した。その後、絞り機で絞り、清澄液1300mlと残渣650gを得た。この清澄液に水2000mlを添加し、ロータリーエバプレーターで濃縮し、本発明品1500mlを得た。
【0040】
(実施例9)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例8と同様の操作を行い、別の本発明品1500mlを得た。
(実施例10)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に麹300g、水1500mlを加え、55℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1230mlと残渣1000gを得た。
【0041】
(実施例11)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例10と同様の操作を行い、別の本発明品1210mlを得た。
(実施例12)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に蛋白分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1310mlと残渣670gを得た。
【0042】
(実施例13)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例12と同様の操作を行い、別の本発明品1380mlを得た。
(実施例14)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に脂肪分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1290mlと残渣680gを得た。
【0043】
(実施例15)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例14と同様の操作を行い、別の本発明品1360mlを得た。
(実施例16)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に繊維分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1330mlと残渣650gを得た。
【0044】
(実施例17)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例16と同様の操作を行い、別の本発明品1370mlを得た。
(実施例18)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に澱粉分解酵素2gと水1500mlを加え、55℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1380mlと残渣600gを得た。
【0045】
(実施例19)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例18と同様の操作を行い、別の本発明品1400mlを得た。
(実施例20)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物にペクチン分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1320mlと残渣660gを得た。
【0046】
(実施例21)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例20と同様の操作を行い、別の本発明品1300mlを得た。
(実施例22)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に蛋白分解酵素2g、脂肪分解酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペクチン分解酵素2gと水1500mlを加え、50℃で20時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1420mlと残渣560gを得た。
【0047】
(実施例23)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例22と同様の操作を行い、別の本発明品1440mlを得た。
(実施例24)
実施例22と同様の操作をして、米の酵素分解物2000gを得た。その後、徐々に温度を上げていき、5分間煮沸抽出した後、冷却した。その後、絞り機で絞り、本発明品1400mlと残渣550gを得た。
【0048】
(実施例25)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例24と同様の操作を行い、別の本発明品1420mlを得た。
(実施例26)
玄米を粉砕機にかけ、玄米の粉砕物500gを得た。この粉砕物に麹300gと40%エタノール1500mlを加え、55℃で48時間放置した。その後、絞り機で絞り、清澄液1300mlと残渣850gを得た。その後、清澄液に1000mlの水を加水し、ロータリーエバプレーターで濃縮し、本発明品1300mlを得た。
【0049】
(実施例27)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例26と同様の操作を行い、別の本発明品1300mlを得た。
(実施例28)
実施例4と同様にして、米の抽出物2000gを得た。この抽出物に蛋白分解酵素2g、脂肪分解酵素2g、繊維分解酵素2g、澱粉分解酵素2g、ペクチン分解酵素2gを添加し、50℃で24時間放置した。その後、絞り機で絞り、本発明品1400mlと残渣580gを得た。
【0050】
(実施例29)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例28と同様の操作を行い、別の本発明品1390mlを得た。
(実施例30)
実施例24と同様にして、米の酵素分解抽出物2000gを得た。この酵素分解抽出物に酵母を添加し、16日間アルコール発酵を行った。その後、絞り機で絞り、本発明品1880mlと残渣80gを得た。
【0051】
(実施例31)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例30と同様の操作を行い、別の本発明品1800mlを得た。
(実施例32)
実施例24と同様にして、米の酵素分解抽出物2000gを得た。この酵素分解抽出物を煮沸殺菌した後、37℃まで冷却し、前もって乳酸菌を培養したスターター200mlを添加後、よく攪拌密閉し、37℃で2日間乳酸発酵を行った。その後、絞り機で絞り、本発明品1380mlと残渣590gを得た。
【0052】
(実施例33)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例32と同様の操作を行い、別の本発明品1400mlを得た。
(実施例34)
実施例24で得られた本発明品1000mlに、95%エタノール80mlを添加し、20日間酢酸発酵を行った。その後、濾過をし、本発明品990mlを得た。
【0053】
(実施例35)
実施例1で得られた本発明品500gを用いて、実施例34と同様の操作を行い、別の本発明品1000mlを得た。
以上の実施例で得た本発明品を配合して化粧水タイプおよび乳液タイプとする場合の実施例について、次に記載する。なお、配合例は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例36) 化粧水
実施例22で得られた本発明品 10.0重量%
ソルビトール 3.0重量%
グリセリン 5.0重量%
精製水 76.4重量%
アラントイン 0.1重量%
ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体 0.5重量%
エタノール 5 重量%
以上の配合材料を常法により混合溶解し、化粧水タイプの製品を得た。
【0055】
【0056】
精製水にジプロピレングリコールを加え、加熱攪拌し、温度を70℃に保持し、これに本発明品、クインスシード抽出液、香料、エタノール以外の原料を加えて攪拌し、次に、ホモジナイザーで均一に乳化させる。得られた乳化液を冷却しながら攪拌下に、残りのものを徐々に加え、室温に冷却して乳液タイプの製品を得た。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布することにより、優れた保湿持続性と水分保持能の増大を促し、その結果、表皮角質層機能の健全化をもたらし、さらには、長期塗布あるいは継続使用することにより、肌のキメをより細やかに整え、また、よりみずみずしい肌へと健全化する今までにない優れた効果を持つ、人体に対して全く安全な表皮角質層健全化剤を簡単に得ることができる。
【0058】
米は今まで主食であったため、食以外の新規な分野での製法、利用用途はほとんど開発されていなかった。さらに、米は今まで主食とされてきたものであり、安全性も十分に実証されているものである。すなわち、本発明は、非常に優れた表皮角質層健全化剤を見出したばかりでなく、米の過剰生産といわれる現在、新たな利用用途を見出したこと、および米のイメージアップによる消費拡大を図り得ることは、極めて有意義なことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品を塗布する前の肌荒れで悩むパネラーの上腕内側をマイクロスコープで観察した結果を示す表面図である。
【図2】上記のパネラーにおいて、本発明品を10日間、毎日、朝晩2回、継続塗布させた後、マイクロスコープで観察した結果を示す表面図である。
Claims (1)
- 米または発芽させた米を蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、澱粉分解酵素及びペクチン分解酵素から選択した少なくとも1つで酵素分解したものに、アルコール発酵あるいは有機酸発酵を行ったものをそのまま、あるいはこれを含有してなる皮膚の水分保持能改善剤。
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