JP3790714B2 - 釣り用バケツ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り具入れや撒き餌入れ等に使用される釣り用バケツに関する。
【0002】
【従来の技術】
実開平6−61081号公報または図7,図8に示すように、従来、釣り具入れや撒き餌入れに使用される釣り用バケツ(以下、「バケツ」という)1は、柔軟性,防水性を有する合成樹脂シートで形成されて上方が開口する箱状のバケツ本体3と、当該バケツ本体3の開口部5を覆う蓋体7と、バケツ1を運搬するためのハンドル9やベルトを備えたものが広く知られており、通常、蓋体7は、その周縁部がバケツ本体3の開口部5に沿ってファスナ11で止着できるようになっている。
【0003】
そして、撒き餌入れとして使用する場合に、いつでも撒き餌が掬えるように図8の如くファスナ11を半ばまで開けて蓋体7を折り曲げ、蓋体7に装着した係合具13,15同士を係合させてバケツ1を半開状態で使用できる構成が一般的である。
尚、以下、本明細書に於て、半開状態とは、バケツ本体の開口部が全開状態以外で開放された状態をいう。
【0004】
また、特開平10−248463号公報には、図9及び図10に示すようにバケツ本体17と、その上部の開口部19を開閉可能に覆う蓋体21との間に、バケツ本体17の一側に固定される固定蓋23と、当該固定蓋23との間の屈折部25を介して開口部19を自由に開閉する可動蓋27とからなる補助蓋29を介装して、可動蓋27の横幅の略中央部に柄杓が嵌挿可能な切欠き部31を設けたバケツ33が開示されており、切欠き部31に嵌挿した柄杓の持ち上げ操作で屈折部25を境に可動蓋27が開いて、図10の如くバケツ33が半開状態で使用できるようになっている。
【0005】
そして、このバケツ33も、蓋体21と開口部5の周縁部に沿ってファスナ35が取り付けられており、これを閉めることで開口部19が蓋体21によって完全に閉鎖されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図8及び図10の如くバケツ1,33を半開状態で使用すると、撒き餌が乾燥し、また、雨天時に雨が中に入り込んでしまうことがある。
【0007】
このため、半開状態で使用していても、状況に応じ撒き餌を取り出してはすぐに蓋体を閉めて、必要なときだけ蓋体を開ける事態も生ずるが、このような場合に一々ファスナまで閉める作業は面倒で、通常、図7のバケツ1にあっては、蓋体7の開放端側7aをバケツ本体3の開口部5に被せるだけのことが多い。
しかし、通常、蓋体7は柔軟性を有する材料で柔らかく形成されているため、斯様に蓋体7の開放端側7aを開口部5に被せただけでは、風で煽られて開放端側7aが開いてしまったり、開放端側7aがバケツ本体3内に入り込んで、雨がこれを伝わって中に入ってしまう欠点があった。
【0008】
そして、図9のバケツ33にあっても、可動蓋27を単に閉じただけでは、風で煽られて可動蓋27が簡単に開いてしまい、バケツ本体17を閉じた状態に保持しようとするならば、ファスナ21を一々閉じる必要があった。
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、半開状態で使用し易く、また、一々ファスナ等の留め具で蓋体を保持しなくても、蓋体が風で煽られて開くことのないバケツを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、上部が開口するバケツ本体と、当該バケツ本体の開口部を開閉自在に覆う蓋体とからなるバケツに於て、上記蓋体を折曲り部を介して折り曲げ可能に形成し、当該折曲り部を挟んで蓋体の一方側の周縁部に、閉鎖時にバケツ本体の外周を覆う壁部を延設すると共に、蓋体の周縁部をファスナを介してバケツ本体の開口周縁部に止着可能として、前記折曲り部に対応する部分で当該ファスナを屈曲させたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、上部が開口するバケツ本体と、当該バケツ本体の開口部を開閉自在に覆う蓋体とからなるバケツに於て、上記蓋体を折曲り部を介して折り曲げ可能に形成し、当該蓋体の周縁部に、閉鎖時にバケツ本体の外周を覆う壁部を延設すると共に、上記折曲り部に対応する部分の壁部に切欠きを設けたことを特徴とする。
そして、請求項3に係る発明は、請求項2に記載のバケツに於て、蓋体は、周縁部がファスナを介してバケツ本体の開口周縁部に止着可能で、当該ファスナは、折曲り部に対応する部分で屈曲していることを特徴とする。
【0011】
(作用)
各請求項に係る発明によれば、半開状態で使用している蓋体を伏せると、壁部がバケツ本体の外周を覆ってバケツ本体内への雨の浸入を防ぎ、また、風で煽られても、壁部がバケツ本体の外周に引っ掛かって蓋体が不用意に開くことを防止する。
このため、請求項1及び請求項3に係る発明によれば、半開状態で使用した蓋体を伏せればよく、一々ファスナで蓋体をバケツ本体に止着する必要がない。
【0012】
また、請求項1に係る発明によれば、折曲り部を挟んで蓋体の一方側の周縁部に壁部が延設され、請求項2に係る発明によれば、蓋体の周縁部に壁部を延設すると共に、折曲り部に対応する部分の壁部に切欠きを設け、更に、請求項1,3に係る発明によれば、ファスナが折曲り部に対応する部分で屈曲しているため、バケツの半開状態が維持し易くなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0014】
図1乃至図3は請求項1に係るバケツの一実施形態を示し、図1に於て、41はエチレン酢酸ビニル,塩化ビニル等の柔軟な合成樹脂シートの端部を溶着や接着等で接合して形成した防水性を有するバケツ本体で、図2に示すようにバケツ本体41は方形状に形成されて上部が開口し、開口部43の一側に、バケツ本体41と同一材料で形成された蓋体45がヒンジ部材(連結部材)47を介して連結されている。
【0015】
また、一対のハンドル49がバケツ本体41の前側面51と後側面53の外周に取り付けられているが、図3に示すようにバケツ本体41の側面の上部、即ち、前後側面51,53と左右側面55,57を構成する合成樹脂シートの上部は、金属や合成樹脂で形成された平面視矩形状のフレーム59で外側に折り返されて開口部43の開口周縁部を形成しており、夫々の折返し片61は、端部を除き各側面51,53,55,57の外側にウエルダ加工によって接合されている。そして、各折返し片61の端部と、蓋体45の周縁部との間にファスナ(留め具)63が縫着されており、ファスナ63の操作部65をヒンジ部材47まで移動させると蓋体45が全開状態となり、また、図2に示すように操作部65をハンドル49間まで移動させると、後述するように蓋体45が半開状態で使用できるようになっている。
【0016】
そして、図1に示すようにヒンジ部材47は右側面57の折返し片61と蓋体45との間に取り付けられているため、ハンドル49が邪魔にならずに蓋体45を開くことができ、また、上記フレーム59によってバケツ本体41の自立性,強度アップと開口部43の形状保持が図られている。
【0017】
尚、図3中、67,69は、折返し片61と蓋体45に縫着されたファスナ63の帯である。
而して、本実施形態に係るバケツ71は、上述の如き構成に加え、以下の如き特徴を有している。
即ち、図1に示すように蓋体45の表面側の略中央には、前側面51から後側面53方向に溝を設けて薄肉とされた折曲り部73が設けられており、当該折曲り部73を介して蓋体45の反ヒンジ部材47側の一方側(以下、「可動蓋」という)45aと、ヒンジ部材47側の他方側(以下、「固定蓋」という)45bが谷折りできるようになっている。
【0018】
そして、図示するように折曲り部73を挟んで可動蓋45aの周縁部には、当該可動蓋45aを開口部43に被せた際(蓋体45の閉鎖時)に、バケツ本体41(前後側面51,53と左側面55)の上部外周を覆う壁部(以下、「スカート部」という)75が、当該外周に沿って延設されている。そして、前,後側面51,53と左側面55の折返し片61は、当該スカート部75の形状に沿って裁断されてその端部にファスナ63が取り付き、また、蓋体45側も固定蓋45bの端部からスカート部75の端部に亘って、ファスナ63が屈曲し乍ら取り付けられている。
このようにファスナ63は、スカート部75の形状に沿って前記折曲り部73に対応する部分で屈曲している。
【0019】
本実施形態はこのように構成されており、例えば撒き餌入れとしての使用に当たって、ファスナ63の操作部65をヒンジ部材47まで移動させてファスナ63を開けると、蓋体45が全開状態となって、可動蓋45aと固定蓋45bの双方がヒンジ部材47側外方へ展開できる。
一方、図2の如く操作部65を折曲り部73まで移動させた後、折曲り部73を介して可動蓋45aを固定蓋45b側へ展開して開口部43を開放すれば、バケツ71が半開状態で使用できることとなる。
そして、スカート部75が折曲り部73を挟んで可動蓋45aの周縁部に設けられ、更にファスナ63が、スカート部75の形状に沿って前記折曲り部73に対応する部分で屈曲して設けられているため、スカート部75が折曲り部73での可動蓋45aの展開に支障を来すことがなく、バケツ71の半開状態が維持されることとなる。
【0020】
そして、撒き餌をした後に、開いた可動蓋45aを開口部43に被せれば開口部43が閉鎖されるが、スカート部75がバケツ本体41の上部外周を覆ってバケツ71内への雨の浸入を防ぎ、また、風で煽られても、スカート部75がバケツ本体41の上部外周に引っ掛かって、可動蓋45aが不用意に開くことを防止する。
【0021】
従って、本実施形態によれば、図2の如く蓋体45の可動蓋45a側を開いて半開状態で使用がし易く、また、ファスナ63を閉じず、開いた可動蓋45aを開口部43に被せるだけで可動蓋45aが風で煽られて不用意に開いてしまうことがない。
このため、撒き餌後に一々ファスナ63を閉じる煩わしさがなくなり、また、このようにファスナ63を一々閉じなくてもよいため、可動蓋45aを再び手で持ち上げるだけで可動蓋45aを簡単に開くことができる等、従来に比し使い勝手が飛躍的に向上することとなった。
【0022】
図4乃至図6は請求項2及び請求項3に係るバケツの一実施形態を示し、本実施形態は、溝を設けて薄肉とした上記実施形態の折曲り部73に代え、蓋体45-1の表面側の略中央に、前側面51から後側面53方向に折り曲げグセを付けて折曲り部77を設けると共に、固定蓋45b-1の周縁部に、ヒンジ部材47部分を除くバケツ本体41(前,後側面51,53と右側面57)の上部外周を覆う壁部(以下、「スカート部」という)79を、当該外周に沿って延設したもので、スカート部79は可動蓋45a側のスカート部75に比し高さが小さく形成されている。
【0023】
そして、図4及び図5に示すように折曲り部77に対応するスカート部75,79間にV字状の切欠き81を設けて、可動蓋45aの開閉に支障がないように構成されており、前後側面51,53と左右側面55,57の折返し片61は、両スカート部75,79の形状に沿って裁断されてその端部にファスナ63が取り付き、また、蓋体45-1側もスカート部75,79と切欠き81の端部に亘ってファスナ63が屈曲し乍ら取り付けられている。
このように本実施形態では、ファスナ63がスカート部75,79の形状に沿って折曲り部77に対応する部分で屈曲している。
【0024】
このように本実施形態に係るバケツ71 -1 は、折曲り部77に対応するスカート部75,79間にV字状の切欠き81を設けると共に、スカート部75,79の形状に沿ってファスナ63を折曲り部77に対応する部分で屈曲して設けたので、本実施形態によっても、可動蓋45aの開閉に支障がなく、半開状態でバケツバケツ71 -1 が使用し易い利点を有する。
また、ファスナ63を閉じず、開いた可動蓋45aを開口部43に被せるだけで可動蓋45aが風で煽られて不用意に開いてしまうことがないため、撒き餌後に一々ファスナ63を閉じる煩わしさがない等、所期の目的を達成することができることは勿論、本実施形態によれば、更にスカート部79がバケツ本体41の上部外周を覆って、バケツ71-1内への雨の浸入をより確実に防止することができる利点を有する。
【0025】
尚、上述した各実施形態では、積極的に溝や折り曲げグセを設けて折曲り部73,77を形成したが、蓋体全体に柔軟性を持たせてもよく、この場合、手で押さえなくても折り返し状態が維持できればよい。また、可動蓋45aを開いたままに保持する留め具を設けてもよい。
また、上記各実施形態では、蓋体45,45-1の可動蓋45aと固定蓋45b,45b-1を一体に設けたが、可動蓋と固定蓋を別部材で構成してこれらを連結してもよく、この場合、可動蓋側の剛性を固定蓋より大きくすると、閉じた時に確実にスカート部がバケツ本体の開口部外周に被ることとなる。
【0026】
更にまた、上記各実施形態では、蓋体45,45-1をヒンジ部材47を介してバケツ本体41に連結したが、バケツ本体に対して蓋体がファスナやバックル等の留め具を介して着脱自在なバケツに本発明を適用することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、各請求項に係る発明によれば、蓋体を折り曲げて半開状態でバケツが使用し易く、また、半開状態で使用した蓋体を伏せると、壁部がバケツ本体の外周に被るために、風で煽られても蓋体が開き難いといった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の一実施形態に係るバケツの全体斜視図である。
【図2】蓋体の半開状態のバケツの全体斜視図である。
【図3】図1に示すバケツの要部拡大断面図である。
【図4】 請求項2及び請求項3の一実施形態に係るバケツの全体斜視図である。
【図5】蓋体の半開状態のバケツの全体斜視図である。
【図6】図4に示すバケツの要部拡大断面図である。
【図7】従来のバケツの全体斜視図である。
【図8】蓋体の半開状態のバケツの全体斜視図である。
【図9】従来の他のバケツの全体斜視図である。
【図10】蓋体の半開状態のバケツの全体斜視図である。
【符号の説明】
41 バケツ本体
43 開口部
45,45-1 蓋体
45a 可動蓋
45b,45b-1 固定蓋
63 ファスナ
71,71-1 バケツ
73,77 折曲り部
75,79 スカート部
Claims (3)
- 上部が開口するバケツ本体と、当該バケツ本体の開口部を開閉自在に覆う蓋体とからなる釣り用バケツに於て、
上記蓋体を折曲り部を介して折り曲げ可能に形成し、当該折曲り部を挟んで蓋体の一方側の周縁部に、閉鎖時にバケツ本体の外周を覆う壁部を延設すると共に、
蓋体の周縁部をファスナを介してバケツ本体の開口周縁部に止着可能として、前記折曲り部に対応する部分で当該ファスナを屈曲させたことを特徴とする釣り用バケツ。 - 上部が開口するバケツ本体と、当該バケツ本体の開口部を開閉自在に覆う蓋体とからなる釣り用バケツに於て、
上記蓋体を折曲り部を介して折り曲げ可能に形成し、当該蓋体の周縁部に、閉鎖時にバケツ本体の外周を覆う壁部を延設すると共に、上記折曲り部に対応する部分の壁部に切欠きを設けたことを特徴とする釣り用バケツ。 - 蓋体は、周縁部がファスナを介してバケツ本体の開口周縁部に止着可能で、当該ファスナは、折曲り部に対応する部分で屈曲していることを特徴とする請求項2に記載の釣り用バケツ。
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