JP4009545B2 - 釣り用バケツ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り具入れや撒き餌入れ等に使用される釣り用バケツに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、釣り具入れや撒き餌入れに使用される釣り用バケツ(以下、「バケツ」という)は、柔軟性,防水性を有する合成樹脂シートで成形されて上方が開口する箱状のバケツ本体と、同じく柔軟性,防水性を有する合成樹脂シートで成形されてバケツ本体の開口部を覆う蓋体と、バケツを運搬するためのハンドルやベルトとからなるものが広く知られており、通常、蓋体はその周縁部がバケツ本体の開口部に沿ってファスナ等で止着できるようになっている。
【0003】
そして、この種のバケツは、撒き餌入れとして使用する場合、いつでも柄杓で撒き餌が掬えるように釣りをしている最中は足元に置いて使用することが多く、蓋体を半折りしてバケツを半開状態で使用したり、蓋体を全開してバケツを全開状態で使用できる構成が一般的である。
ところで、撒き餌の投入は釣りをし乍ら行うため、直ぐに柄杓の柄を握って撒き餌を撒くことができるようにしておくことが好ましく、従来、下記の特許文献1に開示されるように蓋体を開いてバケツ本体の縁に柄杓を立て掛けたり、特許文献2に開示されるように別体の柄杓保持具をバケツ本体の縁に取り付けてこれに柄杓を立て掛けたり、或いは特許文献3に開示されるようにバケツ本体の側面の外側にポケットを設けて、このポケットに柄杓を差し込んでおく等の方法が採られている。
【0004】
また、特許文献4には、図8乃至図10に示すようにバケツ本体1と、その上部の開口部を開閉可能に覆う蓋体3との間に、バケツ本体1の一側に固定される固定蓋5と、当該固定蓋5に屈折部7を介してバケツ本体1に対し自由に開閉する可動蓋9とからなる補助蓋11を介装して、可動蓋9の横幅の略中央部に柄杓13を嵌挿可能とする切欠き部15を設けると共に、可動蓋9を剛性蓋体で成形して、柄杓13の持ち上げ操作で屈折部7を支点に可動蓋9を開動可能としたバケツ17が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
実用新案登録第3004557号公報(第1頁−第2頁、図3)
【特許文献2】
実開平7−39451号公報(第1頁−第2頁、図1)
【特許文献3】
実用新案登録第3080164号公報(第1頁−第2頁、図1)
【特許文献4】
特開平10−248463号公報(段落番号「0008」〜「0021」、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、蓋体を開いてバケツ本体の縁に柄杓を立て掛けておくと、風で柄杓が移動してしまったりバケツ本体内に倒れて直ぐに使用することができず、使い勝手が悪いのが実情であった。
【0007】
また、上記特許文献2に開示された柄杓保持具をバケツ本体の縁に取り付けると、柄杓保持具がバケツ本体の内周面から突出するため、柄杓で掬った撒き餌をバケツ本体の内周面に押し付けて掬い部で団子状に固める作業をするときに邪魔になり、更にまた、柄杓の抜き取りと同時に柄杓保持具が外れて海中に落としてしまう等の不具合があった。
【0008】
一方、特許文献3に開示されたバケツにあっては、バケツ本体の外側に突出したポケットに釣糸が絡まる等して邪魔になり、また、ポケット内に撒き餌が溜まってしまう等の不具合が指摘されている。
そして、特許文献4に開示されたバケツは、可動蓋の開動を柄杓で迅速に行うことができる反面、可動蓋を開いた状態での柄杓の保持手段がないため、可動蓋を開け、バケツを足元に置いて必要に応じ柄杓で撒き餌を掬って投入する際に、従来と同様、柄杓をバケツ本体の縁に立て掛けておかなければならず、また、柄杓を切欠き部で保持させるには、逐一可動蓋を閉じなければならない欠点があった。
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、実釣時に蓋体を開いて使用している状態で直ぐに柄杓が使えるようにこれを保持し、而も、柄杓で撒き餌を掬う際に、スムーズに作業をすることのできるバケツを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、上部が開口するバケツ本体と、当該バケツ本体の開口部を開閉自在に覆う折り曲げ可能な蓋体とからなるバケツに於て、上記蓋体の裏面に、当該蓋体の折曲げ使用時に、一端側に設けた切欠き部がバケツ本体の開口部に突出する柄杓保持具を設けたことを特徴とする。
【0011】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1記載のバケツに於て、上記蓋体の折曲げ使用時に、当該蓋体を保持する保持具が設けられていることを特徴としている。
【0012】
(作用)
請求項1に係る発明によれば、蓋体を折り曲げて使用すると、柄杓保持具の一端側に設けた切欠き部がバケツ本体の開口部に突出し、当該切欠き部によって柄杓が保持できる。
【0013】
そして、請求項2に係る発明によれば、蓋体を折り曲げて保持具で保持すると、バケツが半開状態で保持される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1乃至図4は請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るバケツを示し、図1に於て、21はエチレン酢酸ビニル,塩化ビニル等の柔軟な合成樹脂シートの端部を溶着や接着等で接合して成形した防水性を有するバケツ本体で、図2に示すようにバケツ本体21は箱状に成形されて上部に開口部23が開口し、当該開口部23の一側に、バケツ本体21と同一材料で成形された蓋体25が、同じく合成樹脂シートからなるヒンジ部材27を介して連結されている。
【0016】
また、一対の運搬用のハンドル29がバケツ本体21の前側面31と後側面33の外周に取り付けられているが、バケツ本体21の側面上部、即ち、前後側面31,33と左右側面35,37を構成する合成樹脂シートの上部は、図3に示すように金属や合成樹脂で成形された平面視矩形状のフレーム39で外側に折り返されて開口部23の開口周縁部を形成しており、夫々の折返し片41は、端部を除き各側面31,33,35,37の外側にウエルダ加工によって接合されている。
【0017】
そして、各折返し片41の端部と、蓋体25の周縁部との間にファスナ43のテープ45,47が縫着されており、ファスナ43の操作部49をヒンジ部材27まで移動させると蓋体25が全開状態となり、また、図2に示すように操作部49をハンドル29まで移動させて蓋体25を半折りすると、半開状態でバケツ51が使用できるようになっているが、図1及び図3に示すように蓋体25の表面側の中央には、前側面31から後側面33方向に折り溝53が形成されており、蓋体25は当該折り溝53部分が薄肉となっている。
【0018】
このため、当該折り溝53を折り目として、蓋体25の反ヒンジ部材27側の一方側(以下、「可動蓋」という)25aが、ヒンジ部材27側の他方側(以下、「固定蓋」という)25bへ容易に谷折りできるようになっている。
そして、蓋体25を折り曲げて開いた状態でこれを保持する保持具として、可動蓋25aと固定蓋25bの表面にフック55,57が止着されており、折り溝53に沿って可動蓋25aを固定蓋25b側に折り曲げてフック55をフック57に係合すれば、図2に示すように固定蓋25b上に可動蓋25aが保持されてバケツ51が半開状態となる。
【0019】
また、図1及び図2に示すように可動蓋25aの周縁部には、可動蓋25aを開口部23に被せた際(蓋体25の閉鎖時)に、バケツ本体21(前後側面31,33と左側面35)の上部外周を覆う壁部(以下、「スカート部」という)59が当該外周に沿って延設されており、前,後側面31,33と左側面35の折返し片41は、当該スカート部59の形状に沿って裁断されてその端部にファスナ43が取り付き、また、蓋体25側も、固定蓋25bの端部からスカート部59の端部に亘ってファスナ43が屈曲し乍ら取り付けられている。
【0020】
そして、本実施形態に係るバケツ51は、上述の如き構成に加え、蓋体25の裏面側に柄杓保持具61を取り付けたことを特徴とする。
柄杓保持具61は、ゴムや合成樹脂等の可撓性または柔軟性を有する材料で成形された平面視矩形状の板材からなり、図2に示すように折り溝53を跨って蓋体25の略中央部に配置されている。そして、反ヒンジ部材27側に位置するその一端側61aに、出入れ口63が開口し且つ奥部が幅広な略C字状に切り欠かれた切欠き部65が形成されている。そして、図3に示すように一端側61a側に比し薄肉に成形された柄杓保持具61の他端側61bは、固定蓋25bの裏面側に熱溶着や接着(縫着でもよい)で止着されており、図2及び図4に示すようにファスナ43の操作部49を折り溝53まで移動させて蓋体25を半折りすると、言い換えれば、蓋体25の可動蓋25aをヒンジ部材27側へ谷折りして蓋体25の保持具のフック55をフック57に係合すると、固定蓋25bに沿って、柄杓保持具61の一端側61aの出入れ口63と切欠き部65がバケツ本体21の開口部23に突出するように現れるようになっている。
【0021】
尚、出入れ口63は開口部23に向けて徐々に幅が広がっており、斯かる形状によって柄杓67の柄69を出入れ口63から切欠き部65に誘導し易くなっている。
そして、図4に示すように切欠き部65は、柄杓67の柄69よりも大径に、また、出入れ口63は柄69よりも幅狭に成形されており、出入れ口63を変形させて柄69を切欠き部65に出し入れできるようになっている。そして、切欠き部65に柄杓67を保持させているとき、図示しないが柄杓67の掬い部はバケツ本体21内に差し込まれてその底に当接している。
【0022】
尚、図2に示すように本実施形態は、折り溝53を跨って柄杓保持具61を蓋体25の略中央部に配置したが、柄杓保持具61をハンドル29側に片寄らせて配置してもよい。
また、切欠き部65を小径にして、柄69を出入れ口63から押圧し乍ら切欠き部65に保持させてもよい。
【0023】
本実施形態に係るバケツ51はこのように構成されているから、撒き餌入れとしての使用に当たり、図2及び図4の如くファスナ43の操作部49を折り溝53まで移動させて、蓋体25の可動蓋25aを折り溝53に沿ってヒンジ部材27側へ谷折りしてフック55をフック57に係合すれば、固定蓋25bに沿って、柄杓保持具61の一端側61aの切欠き部65がバケツ本体21の開口部23に突出するように現れる。
【0024】
そして、出入れ口63を変形させ乍ら柄69を切欠き部65に出し入れすることによって、直ぐ使えるように柄杓67が柄杓保持具61で保持され、柄杓67で撒き餌を掬うときに柄杓保持具61が邪魔になることもなく、また、柄杓67で掬った撒き餌をバケツ本体21の内周面に押し付けて掬い部で団子状に固める作業をするときにも柄杓保持具61が邪魔になることもないし、柄杓67の抜き取りと同時に柄杓保持具61が外れてしまうこともない。
【0025】
また、撒き餌をした後に、開いた可動蓋25aを開口部23に被せて開口部23が閉鎖されるが、ファスナ43を閉めなくとも、スカート部59がバケツ本体21の上部外周を覆ってバケツ51内への雨の浸入を防ぎ、また、風で煽られても、スカート部59がバケツ本体21の上部外周に引っ掛かって可動蓋25aが不用意に開くことを防止する。
【0026】
更にまた、蓋体25を閉じると、柄杓保持具61は蓋体25の裏面に当接してバケツ本体21内に突出することがないため、物の収納の妨げとなることがない。
このように本実施形態によれば、実釣時に蓋体25を折り曲げて使用している状態で、直ぐに柄杓67が使えるようにこれを保持しておくことができると共に、柄杓67で撒き餌を掬うときに柄杓保持具61が邪魔にならず、作業がスムーズに行える利点を有する。
【0027】
図5乃至図7は請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るバケツを示し、以下、本実施形態を図面に基づき説明するが、上記第一実施形態と同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
図5に於て、25-1はヒンジ部材27を介してバケツ本体21に連結された蓋体で、当該蓋体25-1も前記蓋体25と同一材料で成形されているが、折り溝53は設けられていない。このため、蓋体25-1は材料自体が有する可撓性,柔軟性によって折れ曲がり、蓋体25に比し緩やかに湾曲して折れ曲がる。
【0028】
そして、本実施形態に於ても、蓋体25-1を折り曲げて開いた状態でこれを保持する保持具として蓋体25-1の表面にフック55,57が止着されており、蓋体25-1を半折りしてフック55をフック57に係合することで、図5の如くバケツ51-1が半開状態で使用できるようになっているが、本実施形態も、蓋体25-1の裏面側に柄杓保持具61を取り付けて、バケツ51-1の半開状態での使用時に、柄杓保持具61の一端側61aの切欠き部65がバケツ本体21の開口部23に突出するように構成したものである。
【0029】
図6及び図7に示すように柄杓保持具61は、切欠き部65が形成された一端側61aがヒンジ部材27に向かって蓋体25-1の裏面側中央に配置され、他端側61bが蓋体25-1の裏面に熱溶着や接着(縫着でもよい)で止着されている。
そして、ファスナ43の操作部49をハンドル29間まで移動させて、蓋体25-1を半折りしてフック55をフック57に係合すると、図7の如く柄杓保持具61が半折りした蓋体25-1と共に反転して現れ、一端側61aの切欠き部65がバケツ本体21の開口部23に突出するようになっている。
【0030】
本実施形態はこのように構成されているから、撒き餌入れとしての使用に当たり、ファスナ43の操作部49をハンドル29間まで移動させて、蓋体25-1を半折りしてフック55をフック57に係合すれば、図7に示すように柄杓保持具61が半折りした蓋体25-1と共に反転して現れ、切欠き部65がバケツ本体21の開口部23に突出する。
【0031】
そして、出入れ口63を変形させ乍ら柄杓67の柄69を切欠き部65に出し入れすれば、直ぐ使えるように柄杓67が柄杓保持具61で保持される。そして、柄杓67で撒き餌を掬うときに柄杓保持具61が邪魔になることもなく、また、掬った撒き餌をバケツ本体21の内周面に押し付けて掬い部で団子状に固める作業をするときにも柄杓保持具61が邪魔になることもないし、柄杓67の抜き取りで柄杓保持具61が外れてしまうこともない。
【0032】
従って、本実施形態によっても、第一実施形態と同様、実釣時に蓋体25-1を折り曲げて使用している状態で、直ぐに柄杓67が使えるようにこれを保持しておくことができると共に、柄杓67で撒き餌を掬うときに柄杓保持具61が邪魔にならず、作業がスムーズに行える利点を有する。
尚、上記第一,第二実施形態では、蓋体25,25-1をヒンジ部材27を介してバケツ本体21に連結したが、バケツ本体に対して蓋体がファスナやバックル等の留め具を介して着脱自在で、実釣時に蓋体を半折りして使用できるバケツに本発明を適用することも可能である。
【0033】
また、第一,第二実施形態では、蓋体25,25-1を半開状態にして柄杓保持具61が突出するようにしたが、例えば蓋体25を2/3程開いた状態で柄杓保持具61が突出するようにしてもよく、更にまた、柄杓保持具61は板状でなくてもよいし、その形状も上記実施形態に限定されるものではない。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、各請求項に係る発明によれば、実釣時に蓋体を折り曲げて使用している状態で、直ぐに柄杓が使えるように柄杓保持具で柄杓を保持しておくことができると共に、柄杓で撒き餌を掬うときに柄杓保持具が邪魔にならず、作業がスムーズに行える利点を有する。
そして、請求項2に係る発明によれば、蓋体を折り曲げて保持具で保持すれば、バケツを半開状態に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓋体を閉じた請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るバケツの全体斜視図である。
【図2】蓋体を半折りしたバケツの全体斜視図である。
【図3】蓋体を閉じたバケツの要部拡大断面図である。
【図4】蓋体を半折りしたバケツの要部拡大断面図である。
【図5】蓋体を半折りした請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るバケツの全体斜視図である。
【図6】蓋体を閉じたバケツの要部拡大断面図である。
【図7】蓋体を半折りしたバケツの要部拡大断面図である。
【図8】補助蓋を閉じた従来のバケツの全体斜視図である。
【図9】補助蓋の可動蓋を開けたバケツの全体斜視図である。
【図10】図8のバケツの使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
21 バケツ本体
23 開口部
25,25-1 蓋体
25a 可動蓋
25b 固定蓋
43 ファスナ
51,51-1 バケツ
53 折り溝
55,57 フック
59 スカート部
61 柄杓保持具
63 出入れ口
65 切欠き部
67 柄杓
69 柄

Claims (2)

  1. 上部が開口するバケツ本体と、当該バケツ本体の開口部を開閉自在に覆う折り曲げ可能な蓋体とからなる釣り用バケツに於て、
    上記蓋体の裏面に、当該蓋体の折曲げ使用時に、一端側に設けた切欠き部がバケツ本体の開口部に突出する柄杓保持具を設けたことを特徴とする釣り用バケツ。
  2. 上記蓋体の折曲げ使用時に、当該蓋体を保持する保持具が設けられていることを特徴とする請求項1記載の釣り用バケツ。
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