JP3789494B2 - ダンパー装置 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、ダンパー装置、特に、入力側回転体と出力側回転体との間に配置されトルクを伝達するダンパー装置に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
たとえば車輌のエンジンとトランスミッションとの間に配置され、エンジン側からの捩じり振動を減衰するためのダンパー装置としてフライホイール組立体が知られている。フライホイール組立体は、一般に、エンジンのクランクシャフトに連結された第1フライホイールと、トランスミッション側に配置された第2フライホイールと、両フライホイールを円周方向に弾性的に連結する減衰部とを備えている。減衰部は、両フライホイール間の捩じり振動を減衰するためのものである。
【0003】
前記従来のフライホイール組立体では、エンジン側から曲げ振動が伝わると騒音を発生してしまう。また、ダンパー装置の慣性モーメントが不足することがある。慣性モーメントが不足すると、フライホイール組立体においてエンジン側からの捩じり振動を吸収できなくなる。
【0004】
本発明の目的は、入力側回転体からの曲げ振動を吸収するとともに全体の慣性モーメントを増やすことにある。本発明の他の目的は、コストを下げることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るダンパー装置は、入力側回転体と出力側回転体との間に配置されトルクを伝達する装置であり、フレキシブルプレートと入力側部材と出力側部材と減衰機構と慣性部材とを備えている。フレキシブルプレートは内周端が入力側回転体に連結され、曲げ方向に撓み可能である。入力側部材は、外周部がフレキシブルプレート外周端に固定された円板状プレート部材及び円板状プレート部材の内周部に設けられたボスを含む。出力側部材は出力側回転体に連結されるとともに、入力側部材のボスに軸受を介して回転自在に支持され、かつ軸受及びボスとともにフレキシブルプレートの内周端に対して移動可能である。減衰機構は、入力側部材と出力部材とを円周方向に弾性的に連結し、入力側部材と出力側部材との間の捩じり振動を減衰するためのものである。慣性部材は、フレキシブルプレートに固定されている。
【0006】
慣性部材は、円周方向に配置された複数の部材からなるのが好ましい。複数の部材はそれぞれ弧状であり、円弧状に配置されているのが好ましい。複数の部材は、フレシブルプレートの外周部に固定されているのが好ましい。
【0007】
【作用】
本発明に係るダンパー装置では、入力側回転体からフレキシブルプレートにトルクが入力されると、そのトルクは入力側部材及び減衰部を通って出力側部材に伝達される。出力側部材からは出力側回転体にトルクが出力される。入力側回転体から伝えられる捩じり振動は減衰部で減衰され、曲げ振動はフレキシブルプレートが吸収する。また、フレキシブルプレートには慣性部材が固定されているので全体の慣性モーメントが増大する。その結果、エンジン側からのトルク変動を充分に吸収できる。
【0008】
慣性部材が円周方向に配置された複数の部材からなる場合、慣性部材がフレキシブルプレートの撓み特性を低下することはないために、フレキシブルプレートは十分に撓むことができる。複数の部材はそれぞれ弧状であり、円弧状に配置されている場合には、前記作用がさらに有効になる。複数の部材が前記フレシブルプレートの外周部に固定されている場合、前記作用がさらに有効になる。
【0009】
【実施例】
図1〜図3は、本発明の一実施例としてのダンパー装置1を示している。ダンパー装置1は、エンジン側のクランクシャフト301からトランスミッションのメインドライブシャフト302にトルクを伝達するための装置である。図1においては、図の左側にエンジン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。さらに、図1におけるO−O線がダンパー装置1の回転軸線であり、図2におけるR1 方向がダンパー装置1の回転方向である。
【0010】
ダンパー装置1は、主に、フレキシブルプレート2と、フレキシブルプレート2に固定されたリング部材8と、ハブフランジ3と、リング部材8とハブフランジ3とを円周方向に弾性的に連結し両部材間の捩じり振動を減衰するための減衰部4とを備えている。
【0011】
フレキシブルプレート2は、概ね円板状の部材であり、曲げ方向に撓みが可能であり、回転方向に剛性が高い。フレキシブルプレート2は、中心に中心孔2aを有している。また、フレキシブルプレート2は、半径方向中間部に円周方向に等間隔で形成された複数の丸孔2bを有している。この丸孔2bの内周側には円周方向に等間隔で複数のボルト孔2cが形成されている。ボルト孔2cを貫通するボルト6によって、フレキシブルプレート2の内周端がクランクシャフト301の先端に固定されている。さらに、フレキシブルプレート2の外周部エンジン側には、図3に示す複数の弧状イナーシャ部材7がリベット51により固定されている。このイナーシャ部材7により、ダンパー装置1の慣性モーメントが増大している。また、イナーシャ部材7は環状部材を円周方向に分割した形状であるために、フレキシブルプレート2の曲げ方向の撓みを保証している。フレキシブルプレート2の外周端は、複数のボルト10により円板プレート9を介してリング部材8に固定されている。イナーシャ部材7はボルト10に対応する切欠きを有している。
【0012】
ハブフランジ3は、ボス3aと、ボス3aの外周に一体形成されたフランジ3bとからなる。ボス3aの中心には、トランスミッション側から延びるメインドライブシャフト302のスプライン歯に係合するスプライン孔3cが形成されている。
【0013】
減衰部4は、主に、第1入力側プレート13と、第2入力側プレート14と、ドリブンプレート19と、コイルスプリング22と、粘性抵抗発生部25とを備えている。第1入力側プレート13及び第2入力側プレート14は円板状板部材である。第1入力側プレート13の内周端は第2入力側プレート14の内周端よりさらに半径方向内周側に延びている。第2入力側プレート14は、外周部に、エンジン側に延びかつ第1入力側プレート13の外周端に固定された円筒壁を有している。また、この円筒壁は、リング部材8の内周に溶接されている。第1入力側プレート13と第2入力側プレート14とは、ドリブンプレート19、コイルスプリング22及び粘性抵抗発生部25等を収容する流体空間Aを形成している。この流体空間A内には粘性流体が充填されている。
【0014】
ドリブンプレート19は円板状の部材であり、複数のリベット20により内周端がハブフランジ3のフランジ3bに連結されている。ドリブンプレート19の半径方向中間部には、図2に示すように、円周方向に延びる複数の窓孔19aが形成されている。さらに、ドリブンプレート19の外周端両側面には、それぞれ環状のシール用溝19bが形成されている。また、ドリブンプレート19の外周面19cからは複数の突起19dが半径方向外側に延びている。
【0015】
コイルスプリング22はそれぞれ大小のコイルスプリングが組合せられたものであり、ドリブンプレート19の窓孔19a内に配置されている。コイルスプリング22の両端にはシート部材23が配置されている。なお、第1入力側プレート13及び第2入力側プレート14にはドリブンプレート19の窓孔19aに対応する部分にスプリング収容部13a,14aが形成されている。スプリング収容部13a,14aの円周方向両端には、シート部材23が当接している。このようにして、入力側プレート13,14とドリブンプレート19とがコイルスプリング22を介して円周方向に弾性的に連結されていることになる。なお、図2に示す自由状態においては、シート部材23は、入力側プレート13,14のスプリング収容部13a,14a端部とドリブンプレート19の窓孔19a端部とには内周部分でしか当接していない。すなわち、コイルスプリング22は偏当たり状態で窓孔19a及びスプリング収容部13a,14a内に収納されている。
【0016】
次に、粘性抵抗発生部25について説明する。粘性抵抗発生部25は、流体空間A内で最も外周に配置された環状ハウジング27と、環状ハウジング27を第1入力側プレート13及び第2入力側プレート14に連結する複数のピン28と、ハウジング27内に配置された複数のスライドストッパー29とから構成されている。
【0017】
環状ハウジング27は、第2入力側プレート14の外周壁内側に配置され、軸方向両端面が入力側プレート13,14に挟まれている。環状ハウジング27の内周側には円周方向に延びる開口が形成されており、開口内にドリブンプレート19の外周部が挿入されている。環状ハウジング27内には、粘性流体が充填される環状流体室Bが形成されている。さらに、環状ハウジング27内には、円周方向に等間隔で複数のストッパー部27aが一体形成されている。ストッパー部27aは、環状流体室Bを複数の弧状流体室B1 に分割している。ストッパー部27aはピン28が挿通される孔を有している。ピン28は両端が入力側プレート13,14に回転不能に係合している。これにより、環状ハウジング27と入力側プレート13,14とが一体回転するようになっている。また、このピン28の胴部の長さによって、粘性抵抗を決定する環状ハウジング27の幅寸法が決定される。
【0018】
環状ハウジング27の半径方向内方端部には、互いに近づく方向に突出する環状の突起27bが形成されており(突起27b間が前記開口となっている)、この突起27bがドリブンプレート19に形成された環状のシール用溝19bに嵌合して、環状流体室Bの内周側をシールしている。突起27bとシール用溝19bとの係合部分は、粘性流体を介して、入力側機構(入力側プレート13,14及び環状ハウジング27)と出力側機構(ドリブンプレート19、ハブフランジ3)との間で生じる荷重(スラスト荷重、ラジアル荷重、曲げ荷重)を後述する軸受17とで分担して支持している。
【0019】
なお、各ストッパー部27a間の中間部分には両端面の半径方向内側においてリターンホール27cが形成されている。リターンホール27cによって粘性流体は環状流体室Bと流体空間Aとの間を自由に行き来できる。図2に示す自由状態においてドリブンプレート19の突起19dは、リターンホール27cに対応する位置に配置されている。
【0020】
各弧状流体室B1 内で、ドリブンプレート19の突起19dを外周側から覆うキャップ状の樹脂製スライドストッパー29が配置されている。スライドストッパー29は環状ハウジング27の外側内周面と一致する外周部を有しており、弧状流体室B1 内で円周方向に移動自在に配置されている。スライドストッパー29は、ドリブンプレート19の突起19dに対して、円周方向壁部が突起19dに当接する範囲内で円周方向に移動自在である。スライドストッパー29は、円周方向両壁部の半径方向内側において切欠き29aを有している。また、スライドストッパー29の軸方向両壁部の半径方向内側には切欠き29bが形成されている。ストッパー部29の半径方向内側部は環状ハウジング27の環状突起27bに当接している。
【0021】
各弧状流体室B1 内は、スライドストッパー29によってR2 側の第1大分室31とR1 側の第2大分室32とに分割されている。さらに、スライドストッパー29内は、ドリブンプレート19の突起19dによってR2 側の第1小分室33とR1 側の第2小分室34とに分割されている。第1小分室33と第2小分室34との間は、ドリブンプレート19の突起19dとスライドストッパー29との間に形成された隙間、スライドストッパー29の切欠き29b及びリターンホール27cによって粘性流体が自由に行き来可能である。さらに、粘性流体は、第1大分室31と第1小分室33との間でスライドストッパー29のR2 側切欠き29aを通って自由に行き来が可能であり、第2小分室34と第2大分室32との間ではスライドストッパー29のR1 側切欠き29aを通って自由に行き来可能である。但し、スライドストッパー29の円周方向壁部が突起19dに当接すると、スライドストッパー29における円周方向内外の粘性流体の流れは遮断される。
【0022】
ストッパー部27aの内周面とドリブンプレート19の外周面19cとの間が、チョーク部Cとなっている。このチョーク部Cを粘性流体が通過すると大きな粘性抵抗が発生するようになっている。
【0023】
ドリブンプレート19の内周部とハブフランジ3のフランジ3bとがリベット20によって固定された部分に、図4に示すようにばねシール部材35が挟まれている。ばねシール部材35は円環状の薄い板金製であり、リベット20が貫通する複数の孔を有する固定部35aと、固定部35aの内周側からトランスミッション側に延びる外周円筒部35bと、外周円筒部35bから外周側に延びる圧接部35cとを備えている。圧接部35cは、図4に示すように、第2入力側プレート14の内周端部エンジン側に弾性的に当接している。この圧接力によって生じる反力により、ドリブンプレート19及びハブフランジ3がエンジン側に付勢されている。ばねシール部材35は、流体空間Aにおいて第2入力側プレート14とハブフランジ3との間をシールしている。
【0024】
第1入力側プレート13の内周端の中心孔は、ボス15に嵌合し溶接により固定されている。ボス15のエンジン側外周面15aはフレキシブルプレート2の中心孔2a内に嵌入している。ボス15内には、軸方向に貫通する中心孔15cと中心孔15cに連通するとともに流体空間Aに通じる径方向孔15bとが形成されている。中心孔15c内には、リベット16が挿入され中心孔15cを塞いでいる。組立時において、中心孔15cと径方向孔15bとを利用して流体空間A内に粘性流体を容易に充填及び排出できる。その結果、コストが低くなる。
【0025】
ボス15のトランスミッション側外周面と、ハブフランジ3のボス3a内周部との間には軸受17が配置されている。軸受17は、ボス15とハブフランジ3とを相対回転自在に支持している。軸受17のインナーレースは、ボス15の溝に固定されている。軸受17のアウターレースは、ボス3aの内周に固定されている。このように、ボス15がフレキシブルプレート2の中心孔2aに位置決めされ、さらに軸受17の位置決めを行っている。この結果、フレキシブルプレート2、ボス15及び軸受17の同心度が向上する。この実施例では、入力側機構と出力側機構との間で生じる荷重が、粘性抵抗発生部25において環状ハウジング27の環状突起27bとドリブンプレート19のシール用溝19bとの嵌合によっても分担支持されているので、軸受17に作用する荷重を少なくできる。そのため、軸受17を径方向に小さくでき、コストが低くなる。軸受17はクランクボルト6のピッチ円D(図2)内に配置されている。この結果、減衰部4の内周側の設計自由度が向上する。そのため、たとえば、ドリブンプレート19を内周側に延ばしたりコイルスプリング22をより内周側に配置することが可能になる。また、クランクボルト16の頭部が回転するための空間を容易に確保できる。
【0026】
軸受17は、両端面においてインナーレースとアウターレースとの間をシールするシール部材を有している。このシール部材は、インナーレースとアウターレースとの間に潤滑剤を密封するとともに、流体空間Aにおいてボス15とハブフランジ3の内周部との間をシールしている。
【0027】
ハブフランジ3は、前述したようにばねシール部材35によってエンジン側に付勢されている。そのため、軸受17には、ハブフランジ3からエンジン側に予圧が与えられている。このように、ばねシール部材35は、流体空間Aをシールするとともに軸受17に予圧を与える部材としても機能しており、単一部材で複数の機能を有している。この結果、部品点数を減らすことができ、製造コストが低くなる。また、ばねシール部材35は板金製であるのでコストが低くなる。
【0028】
ハブフランジ3のフランジ3bのトランスミッション側にはイナーシャ部材42が設けられている。イナーシャ部材42は第2入力側プレート14のトランスミッション側を覆う円板状の部材であり、内周端がリベット20によってフランジ3bとドリブンプレート19とに固定されている。イナーシャ部材42が設けられることによって、出力側機構の慣性モーメントが増大している。さらに、イナーシャ部材42の外周にはエンジン始動用リングギア11が溶接されている。イナーシャ部材42が円板状部材なので、リングギア11を固定しやすくなっている。そのため、コストが低下する。リングギア11は従来はリング部材8の外周に溶接されていた部材であるが、本実施例のように入力側機構から出力側機構に移すことで、容易に出力側機構の慣性モーメントを増大できる。出力側機構の慣性モーメントが増大すると、ダンパー装置1を含む駆動系において共振周波数を自動車のアイドル回転数(実用回転数)以下に下げることが可能になる。従来からあるリングギア11を用いることで、コストが低くなっている。
【0029】
以上のような構成により、リング部材8、円板プレート9、第1入力側プレート13, 第2入力側プレート14及びボス15を含む入力側部材が構成され、ドリブンプレート19、ハブフランジ3、イナーシャ部材42及びリングギア11を含む出力側部材が構成され、コイルスプリング22及び粘性抵抗発生部25を含む減衰機構が構成されている。
【0030】
次に動作について説明する。クランクシャフト301からトルクがフレキシブルプレート2に入力されると、そのトルクはリング部材8及び入力側プレート13,14を通り、コイルスプリング22を介してドリブンプレート19に伝達される。ドリブンプレート19のトルクはハブフランジ3に伝達され、さらにメインドライブシャフト302からトランスミッション側に出力される。クランクシャフト301からリング部材8に伝わるトルクに含まれる曲げ振動は、フレキシブルプレート2によって絶縁され、減衰部4側に伝達されにくい。たとえ曲げ振動が伝達されたとしても、その曲げ荷重は、軸受17と、環状ハウジング27の環状突起27bとドリブンプレート19のシール用溝19bとの係合とによって分担されて支持される。したがって、軸受17に係る荷重が少なくなるので、軸受17を径方向に小型化できる。そのため軸受17は安価になる。
【0031】
次に、クランクシャフト301からダンパー装置1に捩じり振動が伝達されたときの動作について説明する。但し、ここでは捩じり振動が伝達されたときの動作を、出力側機構(ドリブンプレート19及びハブフランジ3)を他の図示しない部材に回転不能に固定して、それに対して入力側機構(第1入力側プレート13、第2入力側プレート14及び環状ハウジング27)を捩じった場合の動作に置き換えて説明する。
【0032】
スライドストッパー29の円周方向壁部がドリブンプレート19の突起19dに当接しないような小さな偏位角度の捩じり振動(以後、微小振動と言う)が伝達されたときの動作を説明する。図5に示す自由状態で入力側プレート13,14がR2 側に捩じれたとする。すると、スライドストッパー19がR2 側に移動し、図6に示すように、スライドストッパー29内で第1小分室33は拡張され第2小分室34は縮小される。第2小分室34から第1小分室33へは、粘性流体はスライドストッパー29の外周部と突起19dとの間、切欠き29b及びリターンホール27cを通って自由に流れる。また、粘性流体は、スライドストッパー29内と流体空間Aとの間でリターンホール27cを通って自由に行き来できる。
【0033】
図6の状態からさらに捩じり動作を続けると、やがて図7に示すようにスライドストッパー29におけるR1 側の円周方向壁部がドリブンプレート19の突起19dに当接する。これ以後は、スライドストッパー29はドリブンプレート19に係止された状態となり、環状ハウジング27とスライドストッパー29との間に相対回転が生じる。なお、図7に示す状態では第2大分室32とリターンホール27cとは連通しているが、さらに捩じり動作が進むと図8に示すようにリターンホール27cは突起19dによって塞がれる。図5に示す自由状態から環状ハウジング27がR1 側に捩じれた場合にも、前述した動作と同様な動作が行われる。
【0034】
微小振動時には、スライドストッパー29と環状ハウジング27との間で相対回転が生じないので第2大分室32は縮小されず、チョーク部Cを粘性流体が通過しない。すなわち、微小振動時には大粘性抵抗は生じない。また、微小振動時には、コイルスプリング22はドリブンプレート19の窓孔19a及び入力側プレート13,14のスプリング収容部13a,14aに対して偏当たり状態で伸縮している。したがって、低剛性状態が得られる。すなわち、微小振動の場合は、低剛性・小粘性抵抗の特性が得られ、トランスミッションの歯打ち音、こもり音等の異音発生を効果的に抑えることができる。
【0035】
次に、大きな偏位角度を有する捩じり振動(以後、大振動と言う)が伝達された時の動作について説明する。図2に示す自由状態から環状ハウジング27がドリブンプレート19に対してR2 側に回転した場合は、スライドストッパー29がR2 側に移動する。以後、微小振動の場合と同様に図5から図8までの動作を行う。図8に示すように、第2大分室32のR2 側がスライドストッパー29とドリブンプレート19の突起19dとの間でシールされた状態になると、第2大分室32が縮小され始める。この結果、第2大分室32内の粘性流体はチョーク部Cを通ってR1 側の弧状流体室B1 へと流れる(図9)。粘性流体がチョーク部Cを流れるときには大きな粘性抵抗が生じる。なお、各第1大分室31内には、リターンホール27cを通って流体空間Aから粘性流体がスムーズに流入する。したがって、環状流体室B内に粘性流体が不足することはない。図9に示す位置から環状ハウジング27がR1 側に捩じれると、中立位置を通過し、図9と逆の動作を行う。
【0036】
以上に説明したように、大振動時には、大きな粘性抵抗が得られる。しかも、捩じり角度が大きくなると、コイルスプリング22のシート部材23が窓孔19aの端部及び入力側プレート13,14のスプリング収容部13a,14a端部に全面的に当たるようになるので剛性が高くなる。すなわち、大振動時には、高剛性・大粘性抵抗の特性が得られ、ティップイン・ティップアウト時の振動(アクセルペダルを急に操作したときに生じる車体の前後の大きな振れ)を効果的に減衰できる。
【0037】
図9に示すように、環状ハウジング27がドリブンプレート19に対して所定角度R2 側に捩じれた状態で微小振動が伝達されたとする。すると、スライドストッパー29は円周方向壁部が突起19dに当接しない角度範囲内で突起19dに対して往復捩じれ動作を繰り返す。このときは、粘性流体はチョーク部Cを流れず、大きな粘性抵抗を発生しない。すなわち、環状ハウジング27とドリブンプレート19との捩じれ角度が大きくなっていても、微小振動を効果的に吸収できる。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係るダンパー装置では、曲げ振動はフレキシブルプレートによって吸収される。また、フレキシブルプレートには慣性部材が固定されているので全体の慣性モーメントが増大する。その結果、エンジン側からのトルク変動を充分に吸収できる。
【0039】
慣性部材が円周方向に配置された複数の部材からなる場合は、慣性部材がフレキシブルプレートの撓み特性を低下することはないために、フレキシブルプレートは十分に撓むことができる。複数の部材はそれぞれ弧状であり、円弧状に配置されている場合には、前記効果がさらに有効になる。複数の部材が前記フレシブルプレートの外周部に固定されている場合、前記効果がさらに有効になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるダンパー装置の縦断面概略図。
【図2】 トランスミッション側から見たダンパー装置の切欠き平面図。
【図3】 エンジン側から見たダンパー装置の切欠き平面図。
【図4】 図1の拡大部分図。
【図5】 図2の拡大部分図。
【図6】 捩じれ動作の一状態を示す、図5に相当する図。
【図7】 捩じれ動作の一状態を示す、図5に相当する図。
【図8】 捩じれ動作の一状態を示す、図5に相当する図。
【図9】 捩じれ動作の一状態を示す、図2の拡大部分図。
【符号の説明】
1 ダンパー装置
2 フレキシブルプレート
3 ハブフランジ
4 減衰部
7 慣性部材
8 リング部材
101 クランクシャフト
102 メインドライブシャフト
Claims (4)
- 入力側回転体と出力側回転体との間に配置されトルクを伝達するダンパー装置であって、
内周端が前記入力側回転体に連結され曲げ方向に撓み可能なフレキシブルプレートと、
外周部が前記フレキシブルプレートの外周端に固定された円板状プレート部材及び前記円板状プレート部材の内周部に設けられたボスを含む入力側部材と、
前記出力側回転体に連結されるとともに、前記入力側部材のボスに軸受を介して回転自在に支持され、かつ前記軸受及びボスとともに前記フレキシブルプレートの内周端に対して軸方向に移動可能な出力側部材と、
前記入力側部材と出力側部材とを円周方向に弾性的に連結し、前記入力側部材と出力側部材との間の捩じり振動を減衰するための減衰機構と、
前記フレキシブルプレートに固定された慣性部材と、
を備えたダンパー装置。 - 前記慣性部材は円周方向に配置された複数の部材からなる、請求項1に記載のダンパー装置。
- 前記複数の部材はそれぞれ弧状であり円弧状に配置されている、請求項2に記載のダンパー装置。
- 前記複数の部材は、前記フレシブルプレートの外周部に固定されている、請求項2ないし3のいずれかに記載のダンパー装置。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01768194A JP3789494B2 (ja) | 1994-02-14 | 1994-02-14 | ダンパー装置 |
US08/382,307 US5617940A (en) | 1994-02-08 | 1995-01-31 | Power transfer apparatus having a vibration dampening mechanism which provides structural support for the apparatus |
PCT/JP1995/000147 WO1995022016A1 (en) | 1994-02-08 | 1995-02-06 | Power transfer apparatus having a vibration dampening mechanism which provides structural support for the apparatus |
KR1019950704298A KR100242376B1 (ko) | 1994-02-08 | 1995-02-06 | 진동 완충 메커니즘을 가지는 동력 전달 장치 |
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DE19503975A DE19503975C2 (de) | 1994-02-08 | 1995-02-07 | Vorrichtung zur Kraftübertragung mit einer Einrichtung zur Schwingungsdämpfung und zur Halterung der Vorrichtung |
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