JP3013884B2 - ダンパー装置及びフライホイール機構 - Google Patents

ダンパー装置及びフライホイール機構

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JP3013884B2
JP3013884B2 JP8118803A JP11880396A JP3013884B2 JP 3013884 B2 JP3013884 B2 JP 3013884B2 JP 8118803 A JP8118803 A JP 8118803A JP 11880396 A JP11880396 A JP 11880396A JP 3013884 B2 JP3013884 B2 JP 3013884B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダンパー装置及び
フライホイール機構、特に、エンジン側のクランクシャ
フトとトランスミッション側入力シャフトとの間に配置
されトルクを伝達するダンパー装置及びフライホイール
機構に関する。
【0002】
【従来の技術】車輌においてエンジンとトランスミッシ
ョンとの間には、両者間にトルクを伝達するとともに捩
じり振動を減衰するためのダンパー装置が設けられてい
る。ダンパー装置は、一般に、エンジンのクランクシャ
フトに連結された入力側部材と、トランスミッションか
ら延びるメインドライブシャフトに連結される出力側部
材と、入力側部材と出力側部材とを円周方向に弾性的に
連結する捩じり振動減衰部とを備えている。また、クラ
ンクシャフトと入力側部材との間にはエンジン側からの
曲げ振動を吸収するためのフレキシブルプレートが設け
られている。フレキシブルプレートは、内周端が複数の
ボルトによりクランクシャフトの先端に固定されてい
る。複数のボルトは、円周方向に等間隔で配置されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のダンパー装
置では、軸受がボルトのピッチ円より外周側に配置され
ている。そのため、減衰部の径方向内周側の設計自由度
が限定されてしまう。本発明の目的は、減衰部の径方向
内周側の設計自由度を向上させることにある。
【0004】本発明のさらに他の目的は、軸受の径方向
を短縮することにある。本発明のさらに他の目的は、ダ
ンパー装置の軸方向を短縮することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のダンパ
ー装置は、エンジン側のクランクシャフトとトランスミ
ッションから延びるメインドライブシャフトとの間でト
ルクを伝達するダンパー装置であって、入力側部材と出
力側部材と軸受と捩じり振動減衰部とを備えている。入
力側部材は、円板第1入力側プレートを有する。出
力側部材は、第1入力側プレートの内周側に延び前記ト
ランスミッション側入力シャフトに連結されるボスを有
し、前記入力側部材に相対回転可能に配置される。軸受
は、第1入力側プレートに固定される外輪とボスの外周
固定される内輪とを有し、入力側部材と出力側部材を
相対回転自在に支持する。捩じり振動減衰部は、入力側
部材と出力側部材とを円周方向に弾性的に連結するとと
もに入力側部材と出力側部材との間の捩じり振動を減衰
するためのものである。
【0006】請求項1に記載のダンパー装置では、トル
クは入力側部材から捩じり振動減衰部を介して出力側部
材に伝達される。捩じり振動が入力されると、入力側部
材と出力側部材が相対回転して捩じり振動減衰部が振動
を減衰する。ボスが入力側部材の第1入力側プレートの
内周側に配置されていることで、ダンパー装置全体の軸
方向寸法が短くなっている。さらに、軸受は第1入力側
プレートとボスの外周との間に配置されているため、半
径方向に小型化されている。その結果、捩じり振動減衰
部の径方向内周側の設計自由度が向上する。
【0007】請求項2に記載のダンパー装置では、請求
項1において、入力側部材は円板状の第2入力側プレー
トをさらに有し、第1及び第2入力側プレートは外周部
同士が固定され、捩じり振動減衰部が内部に配置された
環状流体充填室を形成し、出力側部材は、ボスと一体回
転するように形成され環状流体充填室内で捩じり振動減
衰部に係合する円板状のドリブンプレートをさらに有し
ている。
【0008】請求項3に記載のダンパー装置では、請求
項2において、出力側部材は、ボスと一体回転するよう
に設けられた円板状のイナーシャ部材をさらに有してい
る。 請求項4に記載のダンパー装置では、請求項3にお
いて、出力側部材は、イナーシャ部材の外周部に固定さ
れたリングギアをさらに有している。請求項5に記載の
フライホイール機構は、エンジン側のクランクシャフト
とトランスミッションから延びるメインドライブシャフ
トとの間でトルクを伝達するフライホイール機構であっ
て、リング部材と円板状の第1及び第2入力側プレート
とハブと円板状のイナーシャ部材と軸受と捩じり振動減
衰部とを備えている。リング部材はクランクシャフトと
一体回転する。円板状の第1及び第2入力側プレートは
リング部材に固定され、外周部同士が固定されて環状流
充填室を形成する。ハブは、メインドライブシャフト
が相対回転不能に連結されるスプライン孔が形成され第
1及び第2入力側プレートの内周側に延びるボスを有す
る。円板状のドリブンプレートはボスと一体回転するよ
うに設けられ、環状流体室内に配置されている。円板状
のイナーシャ部材は、ボスと一体回転するように設けら
れている。軸受は第1入力側プレートに固定された外輪
ボスの外周に固定された 内輪とを有し、第1入力側プ
レートボスを相対回転自在に支持する。捩じり振動減
衰部は環状流体充填室内に配置され、第1及び第2入力
側プレートドリブンプレートとを円周方向に弾性的に
連結するとともに第1及び第2入力側プレートとドリブ
ンプレートとの間の捩じり振動を減衰するためのもので
ある。
【0009】請求項6に記載のフライホイール機構で
は、ハブに円板状のイナーシャ部材が固定されているた
め、出力側機構の慣性モーメントが増大する。その結
、フライホイール機構を含む駆動系において共振周波
数を車両のアイドル回転数(実用回転数)以下に下げる
ことが可能になる。ボスが第1及び第2入力側プレート
の内周側に配置されていることで、全体の軸方向寸法が
短くなっている。さらに、軸受は第1入力側プレートと
ボスの外周との間に配置されているため、半径方向に小
型化されている。その結果、捩じり振動減衰部の径方向
内周側の設計自由度が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】第1実施例 図1〜図3は、本発明の一実施例としてのフライホイー
ル機構1を示している。フライホイール機構1は、エン
ジン側のクランクシャフト301からトランスミッショ
ンのメインドライブシャフト302にトルクを伝達する
ための装置である。図1においては、図の左側にエンジ
ン(図示せず)が配置され、図の右側にトランスミッシ
ョン(図示せず)が配置されている。さらに、図1にお
けるO−O線がダンパー装置1の回転軸線であり、図2
におけるR1 方向がダンパー装置1の回転方向である。
【0011】クランクシャフト301には、あらかじめ
フレキシブルプレート2が固定されており、このフレキ
シブルプレート2にフライホイール機構1は取り付けら
れる。フレキシブルプレート2は、概ね円板状の部材で
あり、曲げ方向に撓みが可能であり、回転方向に剛性が
高い。フレキシブルプレート2は、中心に中心孔2aを
有している。また、フレキシブルプレート2は、半径方
向中間部に円周方向に等間隔で形成された複数の丸孔2
bを有している。この丸孔2bの内周側には円周方向に
等間隔で複数のボルト孔2cが形成されている。ボルト
孔2cを貫通するボルト6によって、フレキシブルプレ
ート2の内周端がクランクシャフト301の先端に固定
されている。さらに、フレキシブルプレート2の外周部
エンジン側には、図3に示す複数の弧状イナーシャ部材
7がリベット51により固定されている。このイナーシ
ャ部材7により、ダンパー装置1の慣性モーメントが増
大している。また、イナーシャ部材7は環状部材を円周
方向に分割した形状であるために、フレキシブルプレー
ト2の曲げ方向の撓みを保証している。フレキシブルプ
レート2の外周端は、複数のボルト10により円板プレ
ート9を介してリング部材8(後述)に固定されてい
る。イナーシャ部材7はボルト10に対応する切欠きを
有している。
【0012】フライホイール機構1は、主に、フレキシ
ブルプレート2に固定されたリング部材8と、ハブフラ
ンジ3と、ダンパー4とを備えている。ハブフランジ3
(出力側部材)は、ボス3aと、ボス3aの外周に一体
形成されたフランジ3bとからなる。ボス3aの中心に
は、トランスミッション側から延びるメインドライブシ
ャフト302のスプライン歯に係合するスプライン孔3
cが形成されている。
【0013】ダンパー4は、主に、第1入力側プレート
13と、第2入力側プレート14と、ドリブンプレート
19と、コイルスプリング22及び粘性抵抗発生部25
(捩じり振動減衰部)とを備えている。第1入力側プレ
ート13及び第2入力側プレート14は円板状板部材で
ある。このダンパー第1入力側プレート13の内周端は
第2入力側プレート14の内周端よりさらに半径方向内
周側に延びている。第2入力側プレート14は、外周部
に、エンジン側に延びかつ第1入力側プレート13の外
周端に固定された円筒壁を有している。また、この円筒
壁は、リング部材8の内周に溶接されている。このよう
にして、第1及び第2入力側プレート13,14は、リ
ング部材8と一体回転する。すなわち、プレート13,
14は入力側部材の一部として機能している。第1入力
側プレート13と第2入力側プレート14とは、ドリブ
ンプレート19、コイルスプリング22及び粘性抵抗発
生部25等を収容する環状流体充填室Aを形成してい
る。この環状流体充填室A内には粘性流体が充填されて
いる。リング部材8がプレート13,14の外周部に固
定されているため、ダンパー4の軸方向寸法を大きくせ
ずに入力側部材の慣性モーメントを十分に確保してい
る。
【0014】ドリブンプレート19は円板状の部材であ
り、複数のリベット20により内周端がハブフランジ3
のフランジ3bに連結されている。このようにして、ド
リブンプレート19は、ハブフランジ3と一体回転す
る。すなわち、ドリブンプレート19は、ハブフランジ
3のフランジとしてすなわち出力側部材の一部として機
能する。ドリブンプレート19の半径方向中間部には、
図2に示すように、円周方向に延びる複数の窓孔19a
が形成されている。さらに、ドリブンプレート19の外
周端両側面には、それぞれ環状のシール用溝19bが形
成されている。また、ドリブンプレート19の外周面1
9cからは複数の突起19dが半径方向外側に延びてい
る。
【0015】コイルスプリング22はそれぞれ大小のコ
イルスプリングが組合せられたものであり、ドリブンプ
レート19の窓孔19a内に配置されている。コイルス
プリング22の両端にはシート部材23が配置されてい
る。なお、第1入力側プレート13及び第2入力側プレ
ート14にはドリブンプレート19の窓孔19aに対応
する部分にスプリング収容部13a,14aが形成され
ている。スプリング収容部13a,14aの円周方向両
端には、シート部材23が当接している。このようにし
て、入力側プレート13,14とドリブンプレート19
とがコイルスプリング22を介して円周方向に弾性的に
連結されていることになる。なお、図2に示す自由状態
においては、シート部材23は、入力側プレート13,
14のスプリング収容部13a,14a端部とドリブン
プレート19の窓孔19a端部とには内周部分でしか当
接していない。すなわち、コイルスプリング22は偏当
たり状態で窓孔19a及びスプリング収容部13a,1
4a内に収納されている。
【0016】次に、粘性抵抗発生部25について説明す
る。粘性抵抗発生部25は、環状流体充填室A内で最も
外周に配置された環状ハウジング27と、環状ハウジン
グ27を第1入力側プレート13及び第2入力側プレー
ト14に連結する複数のピン28と、ハウジング27内
に配置された複数のスライドストッパー29とから構成
されている。
【0017】環状ハウジング27は、第2入力側プレー
ト14の外周壁内側に配置され、軸方向両端面が入力側
プレート13,14に挟まれている。環状ハウジング2
7の内周側には円周方向に延びる開口が形成されてお
り、開口内にドリブンプレート19の外周部が挿入され
ている。環状ハウジング27内には、粘性流体が充填さ
れる環状流体室Bが形成されている。さらに、環状ハウ
ジング27内には、円周方向に等間隔で複数のストッパ
ー部27aが一体形成されている。ストッパー部27a
は、環状流体室Bを複数の弧状流体室B1 に分割してい
る。ストッパー部27aはピン28が挿通される孔を有
している。ピン28は両端が入力側プレート13,14
に回転不能に係合している。これにより、環状ハウジン
グ27と入力側プレート13,14とが一体回転するよ
うになっている。また、このピン28の胴部の長さによ
って、粘性抵抗を決定する環状ハウジング27の幅寸法
が決定される。
【0018】環状ハウジング27の半径方向内方端部に
は、互いに近づく方向に突出する環状の突起27bが形
成されており(突起27b間が前記開口となってい
る)、この突起27bがドリブンプレート19に形成さ
れた環状のシール用溝19bに嵌合して、環状流体室B
の内周側をシールしている。突起27bとシール用溝1
9bとの係合部分は、粘性流体を介して、入力側機構
(入力側プレート13,14及び環状ハウジング27)
と出力側機構(ドリブンプレート19、ハブフランジ
3)との間で生じる荷重(スラスト荷重、ラジアル荷
重、曲げ荷重)を後述する軸受17とで分担して支持し
ている。
【0019】なお、各ストッパー部27a間の中間部分
には両端面の半径方向内側においてリターンホール27
cが形成されている。リターンホール27cによって粘
性流体は環状流体室Bと環状流体充填室Aとの間を自由
に行き来できる。図2に示す自由状態においてドリブン
プレート19の突起19dは、リターンホール27cに
対応する位置に配置されている。
【0020】各弧状流体室B1 内で、ドリブンプレート
19の突起19dを外周側から覆うキャップ状の樹脂製
スライドストッパー29が配置されている。スライドス
トッパー29は環状ハウジング27の外側内周面と一致
する外周部を有しており、弧状流体室B1 内で円周方向
に移動自在に配置されている。スライドストッパー29
は、ドリブンプレート19の突起19dに対して、円周
方向壁部が突起19dに当接する範囲内で円周方向に移
動自在である。スライドストッパー29は、円周方向両
壁部の半径方向内側において切欠き29aを有してい
る。また、スライドストッパー29の軸方向両壁部の半
径方向内側には切欠き29bが形成されている。ストッ
パー部29の半径方向内側部は環状ハウジング27の環
状突起27bに当接している。
【0021】各弧状流体室B1 内は、スライドストッパ
ー29によってR2 側の第1大分室31とR1 側の第2
大分室32とに分割されている。さらに、スライドスト
ッパー29内は、ドリブンプレート19の突起19dに
よってR2 側の第1小分室33とR1 側の第2小分室3
4とに分割されている。第1小分室33と第2小分室3
4との間は、ドリブンプレート19の突起19dとスラ
イドストッパー29との間に形成された隙間、スライド
ストッパー29の切欠き29b及びリターンホール27
cによって粘性流体が自由に行き来可能である。さら
に、粘性流体は、第1大分室31と第1小分室33との
間でスライドストッパー29のR2 側切欠き29aを通
って自由に行き来が可能であり、第2小分室34と第2
大分室32との間ではスライドストッパー29のR1
切欠き29aを通って自由に行き来可能である。但し、
スライドストッパー29の円周方向壁部が突起19dに
当接すると、スライドストッパー29における円周方向
内外の粘性流体の流れは遮断される。
【0022】ストッパー部27aの内周面とドリブンプ
レート19の外周面19cとの間が、チョーク部Cとな
っている。このチョーク部Cを粘性流体が通過すると大
きな粘性抵抗が発生するようになっている。ドリブンプ
レート19の内周部とハブフランジ3のフランジ3bと
がリベット20によって固定された部分に、図4に示す
ようにばねシール部材35が挟まれている。ばねシール
部材35は円環状の薄い板金製であり、リベット20が
貫通する複数の孔を有する固定部35aと、固定部35
aの内周側からトランスミッション側に延びる外周円筒
部35bと、外周円筒部35bから外周側に延びる圧接
部35cとを備えている。圧接部35cは、図4に示す
ように、第2入力側プレート14の内周端部エンジン側
に弾性的に当接している。この圧接力によって生じる反
力により、ドリブンプレート19及びハブフランジ3が
エンジン側に付勢されている。ばねシール部材35は、
環状流体充填室Aにおいて第2入力側プレート14とハ
ブフランジ3との間をシールしている。
【0023】第1入力側プレート13の内周端の中心孔
は、ボス15に嵌合し溶接により固定されている。ボス
15のエンジン側外周面15aはフレキシブルプレート
2の中心孔2a内に嵌入している。ボス15内には、軸
方向に貫通する中心孔15cと中心孔15cに連通する
とともに環状流体充填室Aに通じる径方向孔15bとが
形成されている。中心孔15c内には、リベット16が
挿入され中心孔15cを塞いでいる。組立時において、
中心孔15cと径方向孔15bとを利用して環状流体充
填室A内に粘性流体を容易に充填及び排出できる。その
結果、コストが低くなる。
【0024】ボス15のトランスミッション側外周面
と、ハブフランジ3のボス3a内周部との間には軸受1
7が配置されている。軸受17は、ボス15とハブフラ
ンジ3とを相対回転自在に支持している。軸受17の内
輪は、ボス15の溝に固定されている。軸受17の外輪
は、ボス3aの内周に固定されている。このように、ボ
ス15がフレキシブルプレート2の中心孔2aに位置決
めされ、さらに軸受17の位置決めを行っている。この
結果、フレキシブルプレート2、ボス15及び軸受17
の同心度が向上する。
【0025】ハブフランジ3はトランスミッションのメ
インドライブシャフト302に連結されている。そのた
めハブフランジ3は変位しにくく、軸受17に極端に大
きな力が作用しない。軸受17はクランクボルト6のピ
ッチ円D(図2)内側に配置されている。入力側機構と
出力側機構との間で生じる荷重が、粘性抵抗発生部25
において環状ハウジング27の環状突起27bとドリブ
ンプレート19のシール用溝19bとの嵌合によっても
分担支持されているので、軸受17に作用する荷重をさ
らに少なくできる。軸受17の径が小さくなることで、
コストが下がり、減衰部4の内周側の設計自由度が向上
する。そのため、たとえば、ドリブンプレート19を内
周側に延ばしたりコイルスプリング22をより内周側に
配置することが可能になる。また、クランクボルト6の
頭部が回転するための空間を容易に確保できる。
【0026】軸受17は、両端面において内輪と外輪と
の間をシールするシール部材を有している。このシール
部材は、内輪と外輪との間に潤滑剤を密封するととも
に、環状流体充填室Aにおいてボス15とハブフランジ
3の内周部との間をシールしている。ハブフランジ3
は、前述したようにばねシール部材35によってエンジ
ン側に付勢されている。そのため、軸受17には、ハブ
フランジ3からエンジン側に予圧が与えられている。こ
のように、ばねシール部材35は、環状流体充填室Aを
シールするとともに軸受17に予圧を与える部材として
も機能しており、単一部材で複数の機能を有している。
この結果、部品点数を減らすことができ、製造コストが
低くなる。また、ばねシール部材35は板金製であるの
でコストが低くなる。
【0027】ハブフランジ3のフランジ3bのトランス
ミッション側にはイナーシャ部材42(慣性体)が設け
られている。イナーシャ部材42は第2入力側プレート
14のトランスミッション側を覆う円板状の部材であ
り、内周端がリベット20によってフランジ3bとドリ
ブンプレート19とに固定されている。また、イナーシ
ャ部材42は円板状であるので、フライホイール機構1
全体が軸方向にコンパクトになっている。イナーシャ部
材42が設けられることによって、出力側機構の慣性モ
ーメントが増大している。さらに、イナーシャ部材42
の外周にはエンジン始動用リングギア11が溶接されて
いる。イナーシャ部材42が円板状部材なので、リング
ギア11を固定しやすくなっている。そのため、コスト
が低下する。リングギア11は従来はリング部材8の外
周に溶接されていた部材であるが、本実施例のように入
力側機構から出力側機構に移すことで、容易に出力側機
構の慣性モーメントを増大できる。出力側機構の慣性モ
ーメントが増大すると、フライホイール機構1を含む駆
動系において共振周波数を自動車のアイドル回転数(実
用回転数)以下に下げることが可能になる。従来からあ
るリングギア11を用いることで、コストが低くなって
いる。
【0028】次に動作について説明する。クランクシャ
フト301からトルクがフレキシブルプレート2に入力
されると、そのトルクはリング部材8及び入力側プレー
ト13,14を通り、コイルスプリング22を介してド
リブンプレート19に伝達される。ドリブンプレート1
9のトルクはハブフランジ3に伝達され、さらにメイン
ドライブシャフト302からトランスミッション側に出
力される。クランクシャフト301からリング部材8に
伝わるトルクに含まれる曲げ振動は、フレキシブルプレ
ート2によって絶縁され、ダンパー4側に伝達されにく
い。たとえ曲げ振動が伝達されたとしても、ハブフラン
ジ3はメインドライブシャフト302に支持されている
ため変位しにくく、軸受17に働く荷重は小さい。した
がって、軸受17に係る荷重が少なくなるので、軸受1
7を径方向に小型化できる。そのため軸受17は安価に
なる。曲げ荷重は、環状ハウジング27の環状突起27
bとドリブンプレート19のシール用溝19bとの係合
とによって分担支持される。
【0029】次に、クランクシャフト301からダンパ
ー装置1に捩じり振動が伝達されたときの動作について
説明する。但し、ここでは捩じり振動が伝達されたとき
の動作を、出力側機構(ドリブンプレート19及びハブ
フランジ3)を他の図示しない部材に回転不能に固定し
て、それに対して入力側機構(第1入力側プレート1
3、第2入力側プレート14及び環状ハウジング27)
を捩じった場合の動作に置き換えて説明する。
【0030】スライドストッパー29の円周方向壁部が
ドリブンプレート19の突起19dに当接しないような
小さな偏位角度の捩じり振動(以後、微小振動と言う)
が伝達されたときの動作を説明する。図5に示す自由状
態で入力側プレート13,14がR2 側に捩じれたとす
る。すると、スライドストッパー19がR2 側に移動
し、図6に示すように、スライドストッパー29内で第
1小分室33は拡張され第2小分室34は縮小される。
第2小分室34から第1小分室33へは、粘性流体はス
ライドストッパー29の外周部と突起19dとの間、切
欠き29b及びリターンホール27cを通って自由に流
れる。また、粘性流体は、スライドストッパー29内と
環状流体充填室Aとの間でリターンホール27cを通っ
て自由に行き来できる。
【0031】図6の状態からさらに捩じり動作を続ける
と、やがて図7に示すようにスライドストッパー29に
おけるR1 側の円周方向壁部がドリブンプレート19の
突起19dに当接する。これ以後は、スライドストッパ
ー29はドリブンプレート19に係止された状態とな
り、環状ハウジング27とスライドストッパー29との
間に相対回転が生じる。なお、図7に示す状態では第2
大分室32とリターンホール27cとは連通している
が、さらに捩じり動作が進むと図8に示すようにリター
ンホール27cは突起19dによって塞がれる。
【0032】図5に示す自由状態から環状ハウジング2
7がR1 側に捩じれた場合にも、前述した動作と同様な
動作が行われる。微小振動時には、スライドストッパー
29と環状ハウジング27との間で相対回転が生じない
ので第2大分室32は縮小されず、チョーク部Cを粘性
流体が通過しない。すなわち、微小振動時には大粘性抵
抗は生じない。また、微小振動時には、コイルスプリン
グ22はドリブンプレート19の窓孔19a及び入力側
プレート13,14のスプリング収容部13a,14a
に対して偏当たり状態で伸縮している。したがって、低
剛性状態が得られる。すなわち、微小振動の場合は、低
剛性・小粘性抵抗の特性が得られ、トランスミッション
の歯打ち音、こもり音等の異音発生を効果的に抑えるこ
とができる。
【0033】次に、大きな偏位角度を有する捩じり振動
(以後、大振動と言う)が伝達された時の動作について
説明する。図2に示す自由状態から環状ハウジング27
がドリブンプレート19に対してR2 側に回転した場合
は、スライドストッパー29がR2 側に移動する。以
後、微小振動の場合と同様に図5から図8までの動作を
行う。図8に示すように、第2大分室32のR2 側がス
ライドストッパー29とドリブンプレート19の突起1
9dとの間でシールされた状態になると、第2大分室3
2が縮小され始める。この結果、第2大分室32内の粘
性流体はチョーク部Cを通ってR1 側の弧状流体室B1
へと流れる(図9)。粘性流体がチョーク部Cを流れる
ときには大きな粘性抵抗が生じる。なお、各第1大分室
31内には、リターンホール27cを通って環状流体充
填室Aから粘性流体がスムーズに流入する。したがっ
て、環状流体室B内に粘性流体が不足することはない。
【0034】図9に示す位置から環状ハウジング27が
1 側に捩じれると、中立位置を通過し、図9と逆の動
作を行う。以上に説明したように、大振動時には、大き
な粘性抵抗が得られる。しかも、捩じり角度が大きくな
ると、コイルスプリング22のシート部材23が窓孔1
9aの端部及び入力側プレート13,14のスプリング
収容部13a,14a端部に全面的に当たるようになる
ので剛性が高くなる。すなわち、大振動時には、高剛性
・大粘性抵抗の特性が得られ、ティップイン・ティップ
アウト時の振動(アクセルペダルを急に操作したときに
生じる車体の前後の大きな振れ)を効果的に減衰でき
る。
【0035】図9に示すように、環状ハウジング27が
ドリブンプレート19に対して所定角度R2 側に捩じれ
た状態で微小振動が伝達されたとする。すると、スライ
ドストッパー29は円周方向壁部が突起19dに当接し
ない角度範囲内で突起19dに対して往復捩じれ動作を
繰り返す。このときは、粘性流体はチョーク部Cを流れ
ず、大きな粘性抵抗を発生しない。すなわち、環状ハウ
ジング27とドリブンプレート19との捩じれ角度が大
きくなっていても、微小振動を効果的に吸収できる。第2実施例 図10は、本発明の一実施例としてのフライホイール機
構101を示している。フライホイール機構101は、
エンジン側のクランクシャフト301からトランスミッ
ションのメインドライブシャフト302にトルクを伝達
するとともに捩じり振動を減衰するため装置である。図
10においては、図の左側にエンジン(図示せず)が配
置され、図の右側にトランスミッション(図示せず)が
配置されている。さら、図10におけるO−O線がフラ
イホイール機構101の回転軸線である。
【0036】クランクシャフト301には、あらかじめ
フレキシブルプレート102が固定されており、このフ
レキシブルプレート102にフライホイール機構101
は取り付けられる。フレキシブルプレート102は、概
ね円板状の部材であり、曲げ方向に撓み可能であり、円
周方向に剛性が高い。フレキシブルプレート102は、
中心に中心孔102aを有している。また、フレキシブ
ルプレート102は、半径方向中間部に円周方向に等間
隔で形成された複数の窓孔102bを有している。この
窓孔102bの内周側には円周方向に等間隔で複数のボ
ルト孔102cが形成されている。ボルト孔102cを
貫通するクランクボルト106によって、フレキシブル
プレート102の内周端がクランクシャフト301の先
端に固定されている。さらに、フレキシブルプレート1
02の外周部エンジン側には、複数の弧状イナーシャ部
材107がリベット151により固定されている。この
イナーシャ部材107により、ダンパー装置101の慣
性モーメントが増大している。また、イナーシャ部材1
07は環状部材を円周方向に分割した形状であるため
に、フレキシブルプレート102の曲げ方向の撓みを保
証している。フレキシブルプレート102の外周端は、
複数のボルト110により間に円板状プレート109を
介してリング部材108に固定されている。イナーシャ
部材107はボルト110に対応する切欠きを有してい
る。
【0037】フライホイール機構101は、主に、フレ
キシブルプレート102に固定されたリング部材108
と、ハブフランジ103と、ダンパー104とを備えて
いる。ハブフランジ103は、ボス103aと、ボス1
03aの外周に一体形成されたフランジ103bとから
なる。ボス103aは、エンジン側に突出し、中心には
トランスミッション側から延びるメインドライブシャフ
ト302のスプライン歯に係合するスプライン孔103
cが形成されている。ボス103aの中心孔のエンジン
側には、中心孔を塞ぐキャップ状部材141が固定され
ている。
【0038】ダンパー104は、主に、第1入力側プレ
ート113と、第2入力側プレート114と、ドリブン
プレート119と、コイルスプリング122及び粘性抵
抗発生部125(捩じり振動減衰部)とを備えている。
第1入力側プレート113と第2入力側プレート114
は、円板状板金製部材である。第1入力側プレート11
3は、円板部113aと円板部113aの中央からエン
ジン側に突出する中空キャップ113bとから構成され
ている。中空キャップ113は円板部113aの中心か
ら絞り加工で一体形成されたものである。中空キャップ
113bの中心には、中心孔113cが形成されてい
る。第2入力側プレート114は外周部においてエンジ
ン側に延びかつ第1入力側プレート113の外周端に固
定された円筒壁を有している。また、この円筒壁は、リ
ング部材108の内周に溶接されている。このようにし
て、第1及び第2入力側プレート113,114はリン
グ部材108と一体回転する。すなわち、プレート11
3,114は入力側部材として機能する。第1入力側プ
レート113と第2入力側プレート114とは、ドリブ
ンプレート119、コイルスプリング122及び粘性抵
抗発生部125等を収容する環状流体充填室Aを間に形
成している。この環状流体充填室A内には粘性流体が充
填されている。この粘性流体により、各部品が潤滑され
て寿命が長くなっている。第1及び第2入力側プレート
113,114が円板プレートからなるため、ダンパー
104の軸方向寸法が短い。リング部材108がプレー
ト113,114の外周部に固定されているため、ダン
パー104の軸方向寸法を大きくせずに入力側部材の慣
性モーメントを十分に確保している。
【0039】ドリブンプレー119は円板状の部材であ
り、内周端が複数のリベット120によりハブフランジ
103のフランジ103bに連結されている。このよう
にして、ドリブンプレート119はハブフランジ103
と一体回転する。つまり、ドリブンプレート119は、
ハブフランジ103のフランジとしてすなわち出力側部
材の一部として機能する。ドリブンプレート119の半
径方向中間部には、円周方向に延びる複数の窓孔119
aが形成されている。さらに、ドリブンプレート119
の外周端両側面には、それぞれ環状のシール用溝119
bが形成されている。また、ドリブンプレート119の
外周面119cからは複数の突起119dが半径方向外
側に延びている。
【0040】コイルスプリング122はそれぞれ大小の
コイルスプリングが組み合わされてできたものであり、
ドリブンプレート119の窓孔119a内に配置されて
いる。コイルスプリング122の両端にはシート部材1
23が配置されている。なお、第1入力側プレート11
3と第2入力側プレート114とにはドリブンプレート
119の窓孔119aに対応する部分にスプリング収容
部113d,114dが形成されている。スプリング収
容部113d,114dの円周方向両端には、シート部
材123が当接している。このようにして、入力側プレ
ート113,114とドリブンプレート119とがコイ
ルスプリング122を介して円周方向に弾性的に連結さ
れていることになる。なお、自由状態においては、シー
ト部材123は、入力側プレート113,114のスプ
リング収容部113d,114d端部とドリブンプレー
ト119の窓孔119a端部とには内周部分でしか当接
していない。すなわち、コイルスプリング122は偏当
たり状態で窓孔119a及びスプリング収容部113
a,114a内に収容されている。
【0041】次に、粘性抵抗発生部125について説明
する。粘性抵抗発生部125は、環状流体充填室A内で
最も外周に配置された環状ハウジング127と、環状ハ
ウジング127を第1入力側プレート113及び第2入
力側プレート114に連結する複数のピン128と、ハ
ウジング127内に配置された複数のスライドストッパ
ー129とから構成されている。
【0042】環状ハウジング127は、第2入力側プレ
ート114の外周壁内側に配置され、軸方向両端面が入
力側プレート113,114に挟まれている。環状ハウ
ジング127の内周側には円周方向に延びる開口が形成
されており、開口内にドリブンプレート129の外周部
が挿入されている。環状ハウジング127内には、粘性
流体が充填される環状流体室が形成されている。さら
に、環状ハウジング127内には、円周方向に等間隔で
複数のストッパー部127aが一体形成されている。ス
トッパー部127aは、環状流体室Bを複数の弧状流体
室に分割している。ストッパー部127aはピン128
が挿通される孔を有している。ピン128は両端が入力
側プレート113,114に回転不能に係合している。
これにより、環状ハウジング127と入力側プレート1
13,114とが一体回転するようになっている。ま
た、このピン128の胴部の長さによって、粘性抵抗を
決定する環状ハウジング127の幅寸法が決定される。
【0043】環状ハウジング127の半径方向内方端部
には、互いに近づく方向に突出する環状の突起127b
が形成されており(突起127b間が前記開口となって
いる)、この突起127bがドリブンプレート119に
形成された環状のシール用溝119bに嵌合して、環状
流体室Bの内周側をシールしている。環状突起127b
とシール用溝119bとの係合シール部分は、粘性流体
を介して、入力側機構(入力側プレート113,114
及び環状ハウジング127)と出力側機構(ドリブンプ
レート119、ハブフランジ103)との間で生じる荷
重(スラスト荷重、ラジアル荷重及び曲げ荷重)を後述
する軸受117と分担して支持している。
【0044】なお、各ストッパー部127a間の中心部
分には両端面の半径方向内側においてリターンホール1
27cが形成されている。リターンホール127cによ
って粘性流体は環状流体室Bと環状流体充填室Aとの間
を自由に行き来ができる。自由状態においてはドリブン
プレート119の突起119dは、リターンホール12
7cに対応する位置に配置されている。
【0045】スライドストッパー129は、各弧状流体
室内で、ドリブンプレート119の突起119dを外周
側から覆うキャップ状の部材である。スライドストッパ
ー129及び残りの粘性流体部125の構造は、前記第
1実施例のスライドストッパー29及び粘性抵抗発生部
125の構造と同様であるので説明を省略する。ドリブ
ンプレート119の内周部とハブフランジ103のフラ
ンジ103bとがリベット120によって固定された部
分には、バネシール部材135が挟まれている。バネシ
ール部材135は円環状の薄い板金製であり、リベット
120によって固定された固定部と、固定部の外周側か
ら延びて第2入力側プレート114の内周端部エンジン
側に当接し内周端部をトランスミッション側に付勢する
付勢部とを有している。この付勢力によって生じる反力
により、ドリブンプレート119及びハブフランジ10
3がエンジン側に付勢されている。バネシール部材13
5は、環状流体充填室Aにおいて第2入力側プレート1
14とハブフランジ103の外周との間をシールしてい
る。
【0046】第1入力側プレート113の中空キャップ
113bは、フレキシブルプレート102の中心孔10
2a内に挿入されている。すなわち、第1入力側プレー
ト113は、クランクシャフト301に固定されたフレ
キシブルプレート102(クランクシャフト側の芯出し
部)によって位置決めされ、芯出しされている。ハブフ
ランジ103のボス103aは、第1入力側プレート1
13の中空キャップ113b内に配置されている。ボス
103aは、ダンパー104(第1及び第2入力側プレ
ート113,114)の軸方向寸法の大半内に収められ
ている。この結果、フライホイール機構101が軸方向
にコンパクトになっている。第1入力側プレート113
の円板部113aの内周とハブフランジ103のボス1
03aの外周との間には軸受117が配置されている。
軸受117は、外輪が円環状の支持部材152とリベッ
ト153とによって外輪が第1入力側プレート113に
固定されている。これにより、軸受117が確実に第1
入力側プレート113に支持されている。ボス103a
は、軸受117の内輪の内側に挿入され、さらに内輪の
トランスミッション側端面に当接する部分を有してい
る。
【0047】このようにして、第1入力側プレート11
3がフレキシブルプレート102の中心孔102aに位
置決め(芯出し)され、さらにその第1入力側プレート
113が軸受117を支持している。これにより、フレ
キシブルプレート102、第1入力側プレート113、
軸受117及びハブフランジ103の同心度が向上す
る。
【0048】軸受117は、第1入力側プレート113
の内周とボス103aの外周との間に配置されているた
め、クランクボルト106のピッチ円D内側に配置でき
るほど径が小さい。したがって、ダンパー104の内周
側の設計自由度が向上する。そのため、たとえばドリブ
ンプレート119を内周側に延ばしたりコイルスプリン
グ122をより内側に配置することが可能になる。ま
た、クランクボルト106の頭部が回転するための空間
を容易に確保できる。なお、ハブフランジ103はトラ
ンスミッションのメインドライブシャフト302に連結
されている。そのためハブフランジ103は変位しにく
く、軸受117に極端に大きな力が作用しない。
【0049】軸受117は、両端面において内輪と外輪
との間をシールするシール部材を有している。このシー
ル部材は、内輪と外輪との間に潤滑剤を密封するととも
に、環状流体充填室Aにおいて第1入力側プレート11
3の内周とハブフランジ103のボス103aとの間を
シールしている。ハブフランジ103は、前述したよう
にバネシール部材135によってエンジン側に付勢され
ている。そのため、軸受117には、ハブフランジ10
3からエンジン側に力をかけられて予圧されている。こ
のように、バネシール部材135は、環状流体充填室A
をシールするとともに軸受117に予圧を与える付勢部
材としても機能しており、単一部材で複数の機能を有し
ている。この結果、部品点数を減らすことができ、製造
コストが低くなる。また、バネシール部材135は板金
製であるのでコストが低くなる。
【0050】また、この実施例では、ハブフランジ10
3のボス103aが第1入力側プレート113の中空キ
ャップ113b内に挿入されている。この結果、ダンパ
ー装置101全体の軸方向寸法が短縮される。しかも、
この構造において軸受117が第1入力側プレート11
3の内周部をボス103aの外周との間に配置されてい
るので、軸受117をさらに径方向に小型化できる。こ
れにより、コストが低くなる。
【0051】ハブフランジ103のフランジ103bの
トランスミッション側には第1イナーシャ部材142が
設けられている。第1イナーシャ部材142は、第2入
力側プレート114のトランスミッション側を覆う円板
状の部材であり、内周端がリベット120によってフラ
ンジ103bとドリブンプレート119とに固定されて
いる。第1イナーシャ部材142のトランスミッション
側には第2イナーシャ部材144がリベット143によ
って固定されている。第2イナーシャ部材144は円板
状の部材であり、第1イナーシャ142のトランスミッ
ション側に全面的に当接している。この第1イナーシャ
部材142及び第2イナーシャ部材144によって、出
力側機構の慣性モーメントが増大している。第1及び第
2イナーシャ部材142,144は円板状なので、ダン
パー装置101全体が軸方向にコンパクトになってい
る。さらに、第1イナーシャ部材142の外周にはエン
ジン始動用リングギア111が溶接されている。エンジ
ン始動用リングギア111は従来はリング部材108の
外周に溶接されていた部材であるが、本実施例のように
入力側機構から出力側機構に移すことで、容易に出力側
機構の慣性モーメント比を増大できる。出力側機構の慣
性モーメント比が増大すると、ダンパー装置101を含
む駆動系において共振周波数を車輌のアイドル回転数
(実用回転数)以下に下げることが可能になる。従来か
らあるエンジン始動用リングギア111を用いることで
コストが低くなっている。
【0052】動作について前記第1実施例とほぼ同様で
あるので、説明を省略する。
【0053】
【発明の効果】本発明に係るダンパー装置及びフライホ
イール機構では、ボスが入力側部材の円板プレートの内
周側に配置されていることで、ダンパー装置全体の軸方
向寸法が短くなっている。さらに、軸受は円板プレート
の内周とボスの外周との間に配置されているため、半径
方向に小型化されている。その結果、捩じり振動減衰部
の径方向内周側の設計自由度が向上する。ここでは、ダ
ンパー装置の出力側部材はトランスミッション側入力シ
ャフトに連結されているため、出力側部材が変位しにく
く、軸受に極端に大きな力が作用しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるフライホイール機構の
縦断面概略図。
【図2】トランスミッション側から見たフライホイール
機構の切欠き平面図。
【図3】エンジン側から見たフライホイール機構の切欠
き平面図。
【図4】図1の拡大部分図。
【図5】図2の拡大部分図。
【図6】捩じれ動作の一状態を示す、図5に相当する
図。
【図7】捩じれ動作の一状態を示す、図5に相当する
図。
【図8】捩じれ動作の一状態を示す、図5に相当する
図。
【図9】捩じれ動作の一状態を示す、図2の拡大部分
図。
【図10】本発明の他の実施例における図1に相当する
図。
【符号の説明】
1,101 フライホイール機構 2,102 フレキシブルプレート 3,103 ハブフランジ 4,104 ダンパー 6,106 クランクシャフト 13,113 第1入力側プレート 14,114 第2入力側プレート 15 ボス 17,117 軸受 102a 中心孔 103a ボス部 113a 円板部 113b 中央キャップ 301 クランクシャフト 302 メインドライブシャフト
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−6243(JP,A) 実開 平5−64555(JP,U) 特公 昭57−50982(JP,B2) 特公 昭57−18049(JP,B2) 米国特許5441452(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/134 F16F 15/16 F16F 15/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン側のクランクシャフトとトランス
    ミッションから延びるメインドライブシャフトとの間で
    トルクを伝達するダンパー装置であって、 円板第1入力側プレートを有する入力側部材と、 前記第1入力側プレートの内周側に延び前記メインドラ
    イブシャフトに連結されるボスを有し、前記入力側部材
    に相対回転可能に配置される出力側部材と、 前記第1入力側プレートに固定される外輪と前記ボスの
    外周に固定される内輪とを有し、前記入力側部材と前記
    出力側部材とを相対回転自在に支持する軸受と、 前記入力側部材と前記出力側部材とを円周方向に弾性的
    に連結するとともに前記入力側部材と前記出力側部材と
    の間の捩じり振動を減衰するための捩じり振動減衰部
    と、 を備えたダンパー装置。
  2. 【請求項2】前記入力側部材は円板状の第2入力側プレ
    ートをさらに有し、 前記第1及び第2入力側プレートは外周部同士が固定さ
    れ、前記捩じり振動減衰部が内部に配置された環状流体
    充填室を形成し、 前記出力側部材は、前記ボスと一体回転するように設け
    られ前記環状流体充填室内で前記捩じり振動減衰部に係
    合する円板状のドリブンプレートをさらに有している、
    請求項1に記載のダンパー装置。
  3. 【請求項3】前記出力側部材は、前記ボスと一体回転す
    るように設けられた円板状のイナーシャ部材をさらに有
    している、請求項2に記載のダンパー装置。
  4. 【請求項4】前記出力側部材は、前記イナーシャ部材の
    外周部に固定されたリングギアをさらに有している、請
    求項3に記載のダンパー装置。
  5. 【請求項5】エンジン側のクランクシャフトとトランス
    ミッションから延びるメインドライブシャフトとの間で
    トルクを伝達するフライホイール機構であって、前記クランクシャフトと一体回転するリング部材と、 前記リング部材に固定され、外周部同士が固定されて環
    状流体室を形成する円板状の第1及び第2入力側プレー
    トと、 前記メインドライブシャフトが相対回転不能に連結され
    るスプライン孔が形成され前記第1及び第2入力側プレ
    ートの内周側に延びるボスを有するハブと、 前記ボスと一体回転するように設けられた前記環状流体
    充填室内に配置された円板状のドリブンプレートと、 前記ボスと一体回転するように設けられた円板状のイナ
    ーシャ部材と、 前記第1入力側プレートに固定された外輪と 前記ボスの
    外周に固定された内輪とを有し、前記第1入力側プレー
    と前記ハブとを相対回転自在に支持する軸受と、 前記環状流体充填室内に配置され、前記第1及び第2入
    力側プレートと前記ドリブンプレートとを円周方向に弾
    性的に連結するとともに前記第1及び第2入力側プレー
    トと前記ドリブンプレートとの間の捩じり振動を減衰す
    るための捩じり振動減衰部と、 を備えたフライホイール機構。
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US5441452A (en) 1991-06-01 1995-08-15 Luk Lamellen Und Kupplungsbau Gmbh Antifriction bearing for use in apparatus for damping fluctuations of torque in power trains of motor vehicles

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JPH08270732A (ja) 1996-10-15

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