JP3787403B2 - 磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な磁気抵抗効果型ヘッドとそれを用いた磁気記録再生装置に係り、特に、巨大磁気抵抗効果を利用して、磁気記録媒体の情報を再生する再生ヘッドとして好適な磁気抵抗効果型ヘッドとそれを用いた磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録再生装置には記録ヘッドとともに再生ヘッドが搭載されており、再生ヘッドとして、異方性磁気抵抗効果を利用したAMR(Anisotropic Magnetoresistive)ヘッドが知られている。このAMRヘッドにおいては、ヘッドから発生するバルクハウゼンノイズを抑制し、磁気記録再生装置の誤動作を防止することが要求されていることから、磁気抵抗効果膜を単一の磁区に保つための磁区制御層をヘッドに設ける構成が採用されている。
【0003】
磁区制御層が設けられた第一世代のAMRヘッドにおいては、例えば、米国特許第4663685 号に記載されているように、パターンド・エクスチェンジと呼ばれる磁区制御方式が採用されている。この方式は、反強磁性膜などからなる磁区制御層をパターンニングし、パターンニングされた磁区制御層を磁気抵抗効果膜(MR膜)の端部領域のみに積層して配置し、この領域を単一の磁区に保ち、MR膜のうち中央の感磁部(一対の電極に挟まれ、磁界の変化を電気信号に変換する領域)を単一の磁区状態に誘導するものである。
【0004】
パターンド・エクスチェンジ方式を採用したAMRヘッドによれば、例えば、論文:日本応用磁気学会誌第19巻頁105(1995)に記載されているように、磁区制御層の間隔を電極間隔に比べて大きくすることによって、感度が向上することが知られている。
【0005】
第二世代のAMRヘッドにおいては、第一世代のAMRヘッドよりも製造し易い点を考慮して、例えば、特開平3−125311 号公報に記載されているように、ハードバイアス方式が採用されている。この方式は端部領域にまで伸びていたMR膜の両側を切り落し、感磁部にのみにMR膜を形成し、このMR膜の両側に永久磁石膜を配置し、永久磁石膜の作る磁界によって感磁部を単一の磁区状態に保つものである。なお、特開平7−57223号公報に記載されているように、永久磁石膜の代わりに、軟磁性膜(強磁性膜)と反強磁性膜との積層膜を用いたものが提案されている。
【0006】
ハードバイアス方式を採用したAMRヘッドによれば、例えば、米国特許第 5438470 号に記載されているように、電極の一部をMR膜上に形成することによって、低抵抗,高い信号雑音比,高い電気的信頼性を持つヘッドが得られる。しかしながら、この構造のヘッドは、例えば、論文:IEEE Trans. Magn.,vol.32,p.67(1996)に記載されているように、クロストーク特性が悪い、すなわち隣接トラックの信号の読みにじみが大きいという欠点があることが知られている。
【0007】
一方、AMRヘッドに代わる次世代の高感度なMRヘッドとして、例えば、特開平4−358310 号公報に記載されているように、巨大磁気抵抗効果を利用したスピンバルブヘッドが提案されている。このスピンバルブヘッドは、磁気抵抗効果膜として、磁気記録媒体からの磁界により磁化方向が変化する第一の強磁性膜と、磁化方向が固定された第二の強磁性膜との間に挿入された非磁性導体膜とから構成され、第二の強磁性膜がその磁化方向を固定する反強磁性膜もしくは永久磁石膜に積層された構成となっている。また、スピンバルブヘッドの出力を高くするために、その応用として特開平5−347013 号公報に記載されているように、デュアルタイプのスピンバルブヘッドが提案されている。このデュアルスピンバルブヘッドは、磁気抵抗効果膜として、磁気記録媒体からの磁界により磁化方向が変化する第一の強磁性膜と、磁化方向が固定された第二および第三の強磁性膜と、第一の強磁性膜と第二の強磁性膜との間に挿入された非磁性導体膜と、第一の強磁性膜と第三の強磁性膜との間に挿入された非磁性導体膜とから構成され、第二の強磁性膜と第三の強磁性膜は、第一の強磁性膜に対して相対するように第一の強磁性膜の上下に積層されており、第二,第三の強磁性膜はそれぞれの磁化方向を固定する反強磁性膜もしくは永久磁石膜に直接積層された構成となっている。
【0008】
これら各スピンバルブヘッドでは、磁気記録媒体からの磁界により磁化方向が変化するのは第一の強磁性膜であるので、スピンバルブヘッドにおいては、第一の強磁性膜を単一の磁区状態にすることが要求される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
スピンバルブヘッドはAMRヘッドに代わるヘッドとして知られているが、ハードバイアス方式を用いた従来のスピンバルブヘッドにおいては、磁区制御層の強さによっては再生波形が歪んだり、再生出力が低下したりすることがある。
【0010】
例えば、第一の強磁性膜を単一の磁区に制御するための磁区制御層の強さが必ずしも十分でない場合には、再生波形が歪み、磁気記録再生装置が誤動作することがある。この歪みは一般にバルクハウゼンノイズと呼ばれるものであり、このノイズの発生原因は、第一の強磁性膜端部の磁化の不連続な動きにあることがわかった。しかも、このバルクハウゼンノイズは、スピンバルブヘッドの方がAMRヘッドよりもより発生し易い。これは、前述したようにスピンバルブヘッドでは、第一の強磁性膜の磁化を真横に向けた状態を中心に動作させる一方、AMRヘッドではMR膜の磁化を斜め45°付近に傾けた状態を中心に動作させることによっている。つまり、スピンバルブヘッドでは、磁気記録媒体の漏洩磁界(正,負)を印加した時、第一の強磁性膜端部の磁化が上下方向に反転しているためである。これは、磁区制御層の強さが必ずしも十分でない場合、第一の強磁性膜端部の磁化が真横を向くと、静磁エネルギーが高くなるので、磁化方向としては斜め上または斜め下が安定な状態であるからである。これに対して、AMRヘッドでは、第一の強磁性膜端部の磁化は常に斜め方向を向いているので、スピンバルブヘッドのような磁化の不連続な動きは生じにくい。
【0011】
次に、磁区制御層の強さがある程度十分な場合、磁気記録再生装置の高トラック密度化に際して、スピンバルブヘッドの電極の間隔を狭くすると、単位電極間隔当たりの出力(感度)が急激に低下する。スピンバルブヘッドの出力は、基本的には電極の間隔に比例して大きくなる。この理由は、電圧が変化する部分が直列に長く接続される程、全体の電圧変化が大きくなることにある。ところが、従来のハードバイアス構造のスピンバルブヘッドにおいて電極の間隔を単に狭くすると、単位電極間隔あたりの出力(感度)が急激に低下する。特に電極間隔を2μm以下にすると、ヘッドの感度は本来の感度の90%以下に低下する。この感度の低下の原因は、電極の下に積層されている磁区制御層の影響で、第一の強磁性膜の左右両端領域の感度が低いことにある。よって電極間隔が狭くなり、磁区制御層の影響が強くなるにつれて感度の高い中央部分の割合が少なくなり、結果として感度が低下する。従って、従来のハードバイアス構造のスピンバルブヘッドでは、電極間隔を単に狭くすると、感度が急激に低くなり、磁気記録再生装置の誤動作が増加する。この結果として、磁気記録再生装置の高トラック密度化が困難となる。
【0012】
更に、磁区制御層の強さがある程度十分な場合、電極間隔が一定でも、ヘッドの出力は磁区制御層の強さが強くなる程急激に低下する。例えば、磁区制御層の強さを示す尺度である長手バイアス比が2の場合、ヘッドの出力は本来の出力の60%程度に低下する。ここで、長手バイアス比は、磁区制御層が永久磁石の場合、永久磁石膜の残留磁束密度Brと膜厚tとの積算値(Br・t)と、スピンバルブヘッドにおける第一の強磁性膜の飽和磁束密度Bsと膜厚tとの積算値(Bs・t)との比で表わされる値である。また長手バイアス比は、磁区制御層が強磁性膜と反強磁性膜との積層膜の場合、磁区制御層における強磁性膜の飽和磁束密度Bsと膜厚tとの積算値(Bs・t)を、スピンバルブヘッドにおける第一の強磁性膜の飽和磁束密度Bsと膜厚tとの積算値(Bs・t)との比で表わされる値である。
【0013】
更に、磁区制御層は第一の強磁性膜とは別工程で作製されるため、磁区制御層の強さ、すなわち長手バイアス比は、ある範囲のバラツキを有する。その結果としてヘッドの出力にバラツキが発生する。しかも、磁区制御層の強さが不十分であると、前述したように、バルクハウゼンノイズが発生するところから、磁区制御層の強さは、必要な値よりも若干大きく設定されている。その結果として出力が低くなる。
【0014】
このように、従来のハードバイアス構造のスピンバルブヘッドでは、ヘッドの出力は磁区制御層の強さに大きく依存しているため、磁区制御層の強さが強い場合には、出力が低下し、磁気記録再生装置の誤動作が増加する。
【0015】
本発明の目的は、電極間隔が狭い場合には磁区制御層の強さに依らず安定した高い再生出力を得ることができる磁気抵抗効果型ヘッドとこのヘッドを用いた磁気再生装置及び磁気記録再生装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、磁気記録媒体のトラック幅に対応した大きさの複数の膜が多層に積層された磁気抵抗効果膜と、磁気抵抗効果膜の積層方向と交差する幅方向の領域の両側に隣接して配置された磁区制御層と、磁区制御層上に積層されて磁気抵抗効果膜と電気的に接続された一対の電極とを備え、磁気抵抗効果膜は、磁気記録媒体からの磁界により磁化方向が変化する単層又は複数層の第一の強磁性膜と、磁化方向が固定された単層又は複数層の第二の強磁性膜と、第一の強磁性膜と第二の強磁性膜との間に挿入された非磁性導体膜とを有し、第二の強磁性膜がその磁化方向を固定する反強磁性膜もしくは永久磁石膜上に直接積層されている磁気抵抗効果型ヘッドであって、
前記一対の電極の一部がそれぞれ前記磁気抵抗効果膜上に積層され、前記各電極の間隔が前記磁気抵抗効果膜の幅よりも狭く形成されていること又は電極は磁気抵抗効果膜の中心部にのみ電流を流す位置に配置され、その間隔が2μm以下であることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッドを構成したものである。
【0017】
また、その間隔は0.25〜1.5μmとすることができる。
【0018】
巨大磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果型ヘッドのうち、第二の強磁性膜上に磁化方向を固定する反強磁性膜もしくは永久磁石膜が直接積層されているものには、一対の電極の一部がそれぞれ前記反強磁性膜もしくは永久磁石膜上に積層され、各電極の間隔が磁気抵抗効果膜の幅よりも狭く形成されている構成を採用することができる。
【0019】
本発明は、磁気記録媒体のトラック幅に対応した大きさの複数の膜が積層された磁気抵抗効果膜と、磁気抵抗効果膜の両側に隣接して配置された磁区制御層と、該磁区制御層上に積層されて磁気抵抗効果膜と電気的に接続された一対の電極とを備え、前記磁気抵抗効果膜は、磁気記録媒体からの磁界により磁化方向が変化する第一の強磁性膜と、磁化方向が固定された第二および第三の強磁性膜と、前記第一の強磁性膜と第二の強磁性膜との間に挿入された第一の非磁性導体膜と、前記第一の強磁性膜と第三の強磁性膜との間に挿入された第二の非磁性導体膜と、前記第一の強磁性膜は第二の強磁性膜の上に積層され、第三の強磁性膜は第一の強磁性膜の上に積層されており、前記第二および第三の強磁性膜の磁化方向を固定する反強磁性膜もしくは永久磁石膜とを有する磁気抵抗効果型ヘッドにある。
【0020】
その巨大磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果型ヘッドのうち、第三の強磁性膜上に磁化方向を固定する反強磁性膜もしくは永久磁石膜が直接積層されているものには、一対の電極の一部がそれぞれ前記反強磁性膜もしくは永久磁石膜に積層され、各電極の間隔が磁気抵抗効果膜の幅よりも狭く形成されているか、又は前述の如く磁気抵抗効果膜の中心部にのみ電流を流す位置に配置され、その間隔が2μm以下である構成を採用することができる。
【0021】
本発明の磁気抵抗効果型ヘッドにおいて、磁区制御層に永久磁石膜を用いた場合には第二又は第三の強磁性膜の磁化方向を固定する磁性膜には反強磁性膜を用い、磁区制御層に反強磁性膜と軟磁性膜との積層膜を用いた場合の第二又は第三の強磁性膜の磁化方向を固定する磁性膜には反強磁性膜又は永久磁石膜を用いるのが好ましい。前者の関係が特に好ましいものである。
【0022】
磁気抵抗効果膜の幅は、一対の電極の間隔に0.5〜4μm を加えた値が好ましい。
【0023】
また、一対の電極のうち電極間隔を規定する各電極端部の位置は、磁気抵抗効果膜の幅方向両端部からそれぞれ0.25〜2μm の範囲が好ましい。
【0024】
更に、一対の電極の電極間隔は2μm以下、特に2μm未満、より0.25 〜1.5μm に設定することができる。
【0025】
本発明の磁気抵抗効果型ヘッドは再生ヘッドとして用いられ、以下の装置に適用することができる。
【0026】
(1)情報を磁気的に記録する磁気記録媒体と、磁気記録媒体から漏洩する磁界の変化を電気信号に変換する再生ヘッドと、再生ヘッドからの電気信号を処理する再生処理回路とを備えた磁気再生装置。
【0027】
(2)情報を磁気的に記録する磁気記録媒体と、電気信号に応じた磁界を発生しこの磁界による情報を磁気記録媒体に記録させる記録ヘッドと、磁気記録媒体から漏洩する磁界の変化を電気信号に変換する再生ヘッドと、再生ヘッドからの電気信号を処理する再生処理回路とを備えた磁気記録再生装置。
【0028】
(3)複数台の上述の磁気記録再生装置と、これらの装置の動作を制御するコントローラとを備えたディスクアレイ装置。
【0029】
前記した手段によれば、各電極の相対向する端部が磁気抵抗効果膜の幅方向の端部位置に比べて内側に配置され、磁気抵抗効果膜の幅方向端部には実質的に電流が流れず、磁区制御層からの磁界の影響を受けにくい中央部にのみ電流が流れるため、磁区制御層の強さが必ずしも十分ではない時でも、磁気抵抗効果膜からバルクハウゼンノイズが発生するのを抑制することができる。更に、磁区制御層の強さが十分な場合でも、出力を高く保つことができる。しかも電極の幅を狭くしても、高感度な出力を保持できるとともに、読みにじみを小さくでき、高トラック密度化にも対応することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明に係るスピンバルブヘッドの媒体対向面を示す構成図である。図1において再生用の磁気抵抗効果型ヘッドとして構成されたスピンバルブヘッド(巨大磁気抵抗効果型ヘッド)は磁気抵抗効果膜10,磁区制御層12,一対の電極14を備えており、磁気抵抗効果膜10が反強磁性膜16上に積層されている。磁気抵抗効果膜10は、磁気記録媒体のトラック幅に対応した大きさの複数の膜が多層に積層されている。多層膜は、第一の強磁性膜18,非磁性導体膜20,第二の強磁性膜22,24から構成されており、第二の強磁性膜24が反強磁性膜16上に積層されている。これら多層膜は、所定の幅(磁気抵抗効果膜の幅26)に対応した大きさに切り落された状態で積層されている。なお、磁気抵抗効果膜の幅26は、第一の強磁性膜18、非磁性導体膜20、第二の強磁性膜22,24の幅のうち、最も狭い幅で定義する。第一の強磁性膜18は自由層として、例えばNiFe,CoFe,CoNiFe等を用いて構成され、膜厚は5nm(好ましくは2〜15nm)に設定されている。非磁性導体膜20には、例えばCuが用いられており、膜厚は2nm(好ましくは1〜5nm)に設定されいる。第二の強磁性膜22,24はそれぞれ固定層として積層膜を構成しており、第二の強磁性膜22には、例えばCoが用いられ、膜厚は1nmに設定されている。第二の強磁性膜24には、例えばNiFeが用いられており、この膜厚は1nmに設定され、好ましくは両者で1〜5nmである。反強磁性膜16にはNiOが用いられており、この膜厚は50nm(好ましくは20〜80nm)に設定されている。そして第二の強磁性膜22,24はその磁化方向が反強磁性膜16との交換結合によってほぼ媒体対向面を指すように固定されている。第一の強磁性膜18の磁化方向は、例えば磁気抵抗効果膜の幅方向に設定されており、この磁化方向は磁気記録媒体の磁界によって紙面と垂直方向に変化するようになっている。第一の強磁性膜18は第二の強磁性膜22,24の合計の厚さより大きく約2〜3倍の大きさを有する。
【0031】
磁区制御層12は永久磁石膜28と配向制御下地膜30とが積層された積層膜で構成されており、磁区制御層12は磁気抵抗効果膜10の積層方向と交差する幅方向の領域の両側に隣接して配置されている。永久磁石膜28としては、例えばCoCrPt系の合金が用いられており、配向制御下地膜30としては、10nm(好ましくは5〜20nm)のCrが用いられている。そして磁区制御層 12から発生する磁界によって第一の強磁性膜18が単一の磁区に制御されるようになっている。磁区制御層12は第一の強磁性膜18とほぼ同じ高さに配置されており、その厚さは10nm(好ましくは4〜30nm、より5〜15nmが好ましい)である。
【0032】
一対の電極14はそれぞれ磁区制御層12上に積層されており、各電極14の一部が第一の強磁性膜18上に積層されている。すなわち各電極14は、電極間隔32を保って第一の強磁性膜18と磁区制御層12上に積層されている。各電極14は、例えばAu,Cu,Taなどの金属で構成されており、各電極14の電極間隔32は磁気抵抗効果膜の幅26よりも狭く設定されている。
【0033】
スピンバルブヘッドでは、出力はスピンバルブ膜固有の比抵抗変化量Δρと、第一の強磁性膜と第二の強磁性膜の磁化方向のなす角度Δθの余弦cosΔθ との積に比例する。そして比抵抗変化量ΔρがAMRヘッドに比べて2倍以上高いところから、スピンバルブヘッドがAMRヘッドに比べて高感度であることが知られている。ここで、第二の強磁性膜の磁化方向を媒体対向面に対して垂直に、例えば、真下(マイナス90°)付近に固定したとすると、cosΔθ は第一の強磁性膜の磁化方向と媒体対向面とのなす角度θを用いて、cos(θ+90°)と書き直すことができる。すなわち、出力はsinθ に比例する。このため、出力をθの変化に対して線形に変化させるためには、θは0°付近が望ましい。よって、第一の強磁性膜の磁化方向は、媒体対向面とほぼ平行、すなわちほぼ真横になるように設定してある。
【0034】
図2は、スピンバルブヘッドの反強磁性膜16として、NiOの代わりに、 FeMn系,NiMn系,CrMn系などの合金を用いたスピンバルブヘッドの構成図である。第二の強磁性膜22,24のうちいずれか一方を省略することも可能である。図2に示すように、磁気抵抗効果膜10の積層方向が図1とは異なり、磁気抵抗効果膜10上に反強磁性膜16が積層される。また、図1,図2に示したいずれの場合にも、反強磁性膜16は永久磁石膜に置換することができる。本図面における各層の厚さは図1と同様である。磁区制御層12は反強磁性膜16の上面より下になる。
【0035】
図3は、スピンバルブヘッドの出力を高くするため、その応用であるデュアルスピンバルブヘッドを用いた構成図である。この場合の磁気抵抗効果膜10の構成は、図3に示すように、第一の強磁性膜18,磁化方向が固定された第二の強磁性膜22,24,第三の強磁性膜36,38,第一の強磁性膜18と第二の強磁性膜22との間に挿入された非磁性導体膜20と、第一の強磁性膜18と第三の強磁性膜36との間に挿入された非磁性導体膜34とから構成されており、第二の強磁性膜22,24は反強磁性膜16上に積層され、反強磁性膜40は第三の強磁性膜36,38上に積層された構成となっている。第一の強磁性膜18は自由層として、例えば、NiFe,CoFe,CoNiFe等を用いて構成され、膜厚は5nmに設定されている。非磁性導体膜20,34には、例えばCuが用いられ、膜厚は2nmに設定されている。第二の強磁性膜22,24および第三の強磁性膜36,38は、それぞれ固定層として積層膜を構成しており、第二の強磁性膜22,第三の強磁性膜36には例えばCoが用いられ、ともに膜厚は1nmに設定されている。第二の強磁性膜24,第三の強磁性膜38には例えばNiFeが用いられ、ともに膜厚は1nm(好ましくは0.5〜3nm)に設定されている。反強磁性膜16,40にはNiO,CoO等酸化物やFeMn系, NiMn系,CrMn系の合金などから最も適したものが選ばれる。ここで反強磁性膜16,40は同一の材料で構成しても別材料で構成してもよく、更に永久磁石に置換することもできる。また第二の強磁性膜22,24のうちいずれか一方を省略することもでき、同様に第三の強磁性膜36,38のうちいずれか一方を省略することもできる。他の各層の厚さは図1と同様である。
【0036】
また上記各スピンバルブヘッドにおいて、永久磁石膜28は、NiFe系合金と反強磁性膜であるFeMn系,NiMn系,CrMr系などの合金との積層膜に置換することもできる。この場合、配向制御下地膜30はTaなどに置換した方が良い特性が得られる。磁区制御膜12は磁気抵抗効果膜10の上面より下に形成される。
【0037】
図4は、本発明におけるスピンバルブヘッドを用いて再生信号を測定するに際して、磁区制御層12の磁界の強さを示す長手バイアス比を0.8 と低くして測定した測定結果を示す線図である。この時、同一の条件で従来のハードバイアス構造のスピンバルブヘッドを測定したところ、従来のヘッドではバルクハウゼンノイズが生じているのに対して、本発明によるヘッドに依れば、バルクハウゼンノイズが抑制されていることがわかる。これは、各電極14の電極間隔32が磁気抵抗効果膜の幅26よりも狭く設定され、磁気抵抗効果膜10のうちバルクハウゼンノイズの発生源である端部には電流が流れないので、このバルクハウゼンノイズを感知しなくても済むためである。このため、磁区制御層12の磁界の強さが十分でない場合でも、バルクハウゼンノイズの発生が抑制され、このヘッドを磁気記録再生装置に用いても、磁気記録再生装置の誤動作を少なくすることができる。
【0038】
図5は、磁区制御層の強さが十分な場合として、長手バイアス比を1.5 とした時の単位電極間隔当たりの出力(感度)と電極間隔との関係を従来のハードバイアス構造のヘッドと比較した線図である。なお、本発明におけるスピンバルブヘッドにおいては、各電極14が第一の強磁性膜18を覆う距離34に対応したオーバーラップ量を0.5μm とし、磁気抵抗効果膜の幅26を電極間隔32 +1.0μm としている。
【0039】
図5から、本発明のヘッドに依れば、従来のヘッドとは異なって、電極間隔32が0.5μm と極めて狭くなった場合でも、感度を高く保つことができることがわかる。
【0040】
図6は、本実施形態におけるスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドのマイクロトラック特性を比較したものである。マイクロトラック特性の半値幅は、実効的な再生幅を示し、この比較により読みにじみの大小の比較が可能となる。なお、図6では、本発明におけるヘッドのオーバーラップ量は左右ともに 0.5μm としている。そして電極間隔は各ヘッドととも1.0μm とした。ここでマイクロトラック特性は、磁気記録媒体上にトラック幅0.2μm 程度の細い領域に信号を記録し、このマイクロトラックの信号をヘッドの下で移動させることによって求められる。
【0041】
図6から、本発明のヘッドの半値幅(実効トラック幅)は1.0μm と電極間隔に等しく、読みにじみは小さいことがわかる。一方、従来のヘッドでは0.9μmと電極間隔よりもむしろ若干狭い。
【0042】
そこで、本発明に依るヘッドと従来のヘッドの出力に関して、実効トラック幅で規格化して比較したところ、従来のヘッドの規格化出力は0.78 であったのに対して、本発明のヘッドでは0.95 と約2割高い結果が得られた。この結果からも、本発明のヘッドは従来のヘッドよりも有利であることがわかる。
【0043】
このように、長手バイアス比が大きく、電極間隔が狭くなった場合でも、高感度さを保持でき、かつ読みにじみが小さいため、磁気記録再生装置が高トラック密度化されても、本発明のヘッドを用いれば、磁気記録再生装置の誤動作を少なくすることができる。
【0044】
図7は、電極間隔が1μmと狭い場合の出力とオーバーラップ量との関係を測定した結果を示す線図である。
【0045】
図7から、ヘッドの出力を本来の出力の90%以上に保つためには、オーバーラップ量を0.25μm 以上にすれば良いことがわかる。これは、磁気抵抗効果膜10の幅方向の端部の領域、すなわち感度が低い領域には実質的に電流が流れず、感度の高い中央部の領域にのみ電流が流れるので、出力を高く保つことができるからである。このため、狭電極間隔でありながら高感度なヘッドとするためには、各電極14の先端側の端部は左右ともに磁気抵抗効果膜10の幅方向の端部よりも0.25μm 以上内側になるように配置することが望ましい。
【0046】
一方、オーバーラップ量を余り大きくすると、磁気抵抗効果膜10の両側に隣接して配置されている磁区制御層12の効果が感磁部にまで波及しなくなる。すなわち本発明のスピンバルブヘッドでは、磁化の最も不安定でノイズ発生源になり得る部分は各電極14の内側の端部の領域である。これは、この領域で電流によるバイアス磁界のねじれが生じるからである。従って、各電極の端部位置において、電流によるバイアス磁界(5〜10エルステッド程度)を上回る、磁気抵抗効果膜の幅方向の実効的異方性磁界が磁区制御層12によって第一の強磁性膜18に印加されていることが望ましい。
【0047】
図8は磁区制御層12からの距離と実効的異方性磁界との関係を求めた結果を示す線図である。図8には、第一の強磁性膜18の幅方向の実効的な異方性磁界の分布が示されている。ここでは、原点に存在する磁化のみが強く幅方向に拘束されている(磁区制御されている)ことを仮定した。図8から実効的な異方性磁界を10エルステッド以上にするには、磁区制御層12からの距離は2μm以下にすると良いことがわかった。そこで、各電極14の内側(先端側)の端部位置を、磁気抵抗効果膜10の幅方向の端部位置に比べて左右ともにそれぞれ2μm以下の範囲内で内側になるように配置することが望ましい。すなわち、各電極14に対するオーバーラップ量としては、0.25μm 以上で2μm以下の範囲内にあることが望ましい。
【0048】
図9は、電極間隔を1.0μm と狭くした場合のヘッドの出力と長手バイアス比との関係について従来のヘッドと比較した結果を示す線図である。
【0049】
図9から、本発明のヘッドに依れば、長手バイアス比、すなわち磁区制御層12の磁界の強さが大きくなっても、磁区制御層12の磁界の影響を大きく受けることなく出力の低下を低く抑えることができる。
【0050】
本実施形態によれば、電極間隔が狭くなっても、磁区制御層12の磁界の強さが強くなっても出力の低下を低く抑えることができ、高出力のヘッドを提供することができる。
【0051】
電極を磁気抵抗効果膜の上に積層することによって、電極と磁気抵抗効果膜との間の接触抵抗を低くする(従来:1〜5Ω,本発明1Ω以下)にすることができる。よってヘッドノイズや不要な発熱を抑えることができる。
【0052】
また、本実施形態によるヘッドを以下の装置に用いれば、誤動作の少ない装置を提供することができる。例えば、磁気再生装置として、情報を磁気的に記録する磁気記録媒体と、磁気記録媒体から漏洩する磁界の変化を電気信号に変換する再生ヘッドと、再生ヘッドからの電気信号を処理する再生処理回路を備えたもの。更に、この再生装置の要素に加えて、電気信号に応じた磁界を発生しこの磁界に依る情報を磁気記録媒体に記憶される記録ヘッドを備えたもの。
【0053】
(実施例2)
図10は、本発明の一実施形態であるスピンバルブヘッドの媒体対向面を示す構成図である。図10において再生用の磁気抵抗効果型ヘッドとして構成されたスピンバルブヘッド(巨大磁気抵抗効果型ヘッド)は、磁気抵抗効果膜10,磁区制御層33,一対の電極31を備えており、磁気抵抗効果膜10は、磁気記録媒体のトラック幅に対応した大きさの複数の膜が多層に積層されている。
【0054】
多層膜は、第一の強磁性膜11,非磁性導体膜19,第二の強磁性膜13から構成されており、第二の強磁性膜13の上に反強磁性膜21が積層されている。これら多層膜からなる磁気抵抗効果膜10と反強磁性膜21とは、積層して形成された後に、磁気抵抗効果膜10の幅(第一の強磁性膜11,非磁性導体膜19,第二の強磁性膜13の幅のうち、最も狭い幅で定義する)51が所定の大きさである例えば2.0μm になるように、一括して両横が切り落されている。第一の強磁性膜11は自由層として、例えばNi80Fe20を用いて構成され、膜厚は例えば2〜15nm程度の間の最適な値に設定されている。また、第一の強磁性膜11は自由層として、例えばNi80Fe20,Ni68Fe17Co15,Co60Ni20Fe20,Co90Fe10,Co等の単層膜、及びこれらのうちの幾つかの膜を最適に積層した多層膜を用いて構成することもできる。非磁性導体膜19には、例えばCuが用いられており、膜厚は例えば1〜4nm程度の間の最適な値に設定されている。第二の強磁性膜13は固定層として、例えばCoを用いて構成され、膜厚は例えば1〜5nm程度の間の最適な値に設定されている。また、第二の強磁性膜13は固定層として、例えばNi80Fe20,Ni68Fe17Co15,Co60Ni20Fe20,Co90Fe10,Co等の単層膜、及びこれらのうちの幾つかの膜を最適に積層した多層膜を用いて構成することもできる。反強磁性膜21には例えば Cr45Mn45Pt10が用いられており、この膜厚は例えば30nm程度に設定されている。また反強磁性膜21には、上記のほかに例えばFe50Mn50, Mn80Ir20,Ni50Mn50等を用いることもできる。そして、第二の強磁性膜13はその磁化方向が反強磁性膜21との交換結合によってほぼ媒体対向面を指すように固定されている。第一の強磁性膜11の磁化方向は、例えば磁気抵抗効果膜の幅方向に設定されており、この磁化方向は磁気記録媒体の磁界によって紙面と垂直方向に変化するようになっている。なお、反強磁性膜21は永久磁石に置換することもできる。
【0055】
磁区制御層33は、例えば永久磁石膜と配向制御下地膜とが積層された積層膜で構成されており、磁区制御層33は磁気抵抗効果膜10の積層方向と交差する幅方向の領域の両側に隣接して配置されている。磁区制御層33を構成する永久磁石膜としては、例えば、Co75Cr10Pt15,Co75Cr10Ta15等が用いられており、配向制御下地膜は例えばCrが用いられている。また、磁区制御層33を構成する永久磁石膜としては、他に例えばCo80Pt20を用いることもでき、また、Co75Cr10Pt15,Co75Cr10Ta15,Co80Pt20等の合金にZrO2,SiO2,Ta25等の酸化物を添加したものを用いることもできる。これらの場合、配向制御下地膜を省略することもできる。そして磁区制御層33から発生する磁界によって第一の強磁性膜11が単一の磁区に制御されるようになっている。また、磁区制御層33は、反強磁性膜と強磁性膜と配向制御下地膜との積層膜で構成することもできる。この場合、反強磁性膜はFe50Mn50, Mn80Ir20,Ni50Mn50,Cr45Mn45Pt10等の合金から選択され、強磁性膜はNiFe系,CoFe系,CoNi系の合金等から選択され、配向制御下地膜はTa等が良い。また反強磁性膜としてNiO,CoO等を用いることもでき、この場合には配向制御下地膜は省略することができる。
【0056】
一対の電極31は、それぞれ磁区制御層33上に積層されており、各電極の一部が反強磁性膜21の上に積層されている。ここで、各電極と反強磁性膜との積層幅53は例えば0.5μm に設定されている。すなわち、磁気抵抗効果膜の幅51は2.0μmであるので、各電極31は、電極間隔52が1.0μmになるように保たれながら、磁区制御層33と反強磁性膜21上に積層されている。各電極31は、例えばTa,Au,Cu等の低抵抗の金属で構成されている。
【0057】
図11は、反強磁性膜21として上述の合金の代わりにNiO,CoO等の酸化物を用いたスピンバルブヘッドの断面図である。図11に示すように、磁気抵抗効果膜10と反強磁性膜21の積層方向が図10とは異なり、反強磁性膜21の上に磁気抵抗効果膜10が積層される。よって一対の電極31は、それぞれ磁区制御層33上に積層されており、各電極の一部が第一の強磁性膜11の上に積層されている。なお、反強磁性膜21は永久磁石に置換することができる。各層の厚さは図10と同様である。
【0058】
図12は、スピンバルブヘッドの感度を高くするためその応用であるデュアルスピンバルブヘッドを用いた場合の断面図である。この場合の磁気抵抗効果膜10の構成は、反強磁性膜21の上に第二の強磁性膜13,非磁性導体膜17,第一の強磁性膜11,非磁性導体膜23,第三の強磁性膜15,反強磁性膜22が逐次直接積層された構成となっている。第一の強磁性膜11は自由層として、例えばNi80Fe20,Ni68Fe17Co15,Co60Ni20Fe20,Co90Fe10,Co等の単層膜、及びこれらのうちの幾つかの膜を最適に積層した多層膜を用いて構成されており、膜厚は例えば2から15nm程度の間の最適な値に設定されている。非磁性導体膜17及び非磁性導体膜23には、例えばCuが用いられており、膜厚は例えば1から4nm程度の間の最適な値に設定されている。第二の強磁性膜13及び第三の強磁性膜15は固定層として、例えばCo, Ni80Fe20,Ni68Fe17Co15,Co60Ni20Fe20,Co90Fe10等の単層膜、及びこれらのうちの幾つかの膜を最適に積層した多層膜を用いて構成されており、膜厚は例えば1〜5nm程度の間の最適な値に設定されている。反強磁性膜21,22には、Fe50Mn50,Mn80Ir20,Ni50Mn50, Cr45Mn45Pt10等の合金や、NiO,CoO等の酸化物から最適なものが選ばれる。ここで、反強磁性膜21,22は同一の材料で構成しても別材料で構成しても良く、更に永久磁石に置換することもできる。他、各層の厚さは図10と同様である。
【0059】
図10〜図13の磁区制御層の位置及び厚さは実施例1と同様の関係を有するものである。
【0060】
以下、本発明のスピンバルブヘッドの一例として、図10に示したヘッドを用いて特性の説明を行う。図14は図10に示すスピンバルブヘッドと図13に示す電極の一部をMR膜上に形成した比較のAMRヘッドとの再生特性の比較を行った結果である。なお、図13に示したAMRヘッドは、磁気抵抗効果膜10としてMR膜41,中間Ta層42,SAL43が積層した構造を有する。図14では各電極31が反強磁性体21、またはMR膜41上に積層されている部分の幅53(磁区制御層33から各電極31の端部までの距離(オーバーラップ量)を変化させて、ヘッドの再生出力を測定した。電極間隔52は1.0μm 一定とし、オーバーラップ量53を変化させた場合には、磁気抵抗効果膜の幅51も同時に変化させた。図14に示すように比較の図13のAMRヘッドの場合、オーバーラップ量53を大きくしても、出力はあまり上昇しない。しかしながら、本発明のスピンバルブヘッドの場合、オーバーラップ量53を大きくした場合の出力上昇は著しい。スピンバルブヘッドで出力が高くなるのは、磁区制御層33の影響で感度の低くなっている磁気抵抗効果膜10の幅方向の端部領域を、各電極31でオーバーラップすることによって、実質的には電流を流さず、感度の高い中央部分の出力のみを取り出しているためである。一方、AMRヘッドでこの効果がはっきりと現われないのは、磁気抵抗効果膜10のうち各電極31がオーバーラップした部分の磁化状態がオーバーラップ無しの場合とは大きく異なるため、出力が低下し、これが出力の上昇分をキャンセルしてしまうことにあるとわかった。このような、オーバーラップの有無による磁化状態の違いは、本発明のスピンバルブヘッドでは極めて小さい。これは第二の強磁性膜13の磁化状態が、電流によって変化しにくいという特徴によっている。よって、本発明のスピンバルブヘッドには、各電極31の一部を反強磁性膜21等の上に形成することによって出力を高くできるという、特有の効果があることがわかった。
【0061】
次に、オーバーラップ量53の最適値を求めた。図14から、本発明のヘッドにおいて、ヘッドの出力を最大値の90%以上に保つためには、オーバーラップ量53を0.25μm 以上にすれば良いことがわかる。よって、狭電極間隔でありながら高感度なヘッドとするためには、各電極31の先端側の端部は、左右ともに磁気抵抗効果膜10の幅方向の端部よりも0.25μm 以上内側になるように配置することが望ましい。一方、オーバーラップ量53を余り大きくすると、磁気抵抗効果膜10の両側に隣接して配置されている磁区制御層33の効果が感磁部まで波及しなくなる。すなわち本発明のスピンバルブヘッドでは、磁化の最も不安定でノイズ発生源になり得る部分は各電極31の先端側の端部領域である。これは、ここを境にして電流によるバイアス磁界の有無の差が生じるからである。従って、各電極の端部位置において、電流によるバイアス磁界(5から10エルステッド程度)を上回る、磁気抵抗効果膜10の幅方向の実効的異方性磁界が、磁区制御層33によって第一の強磁性膜11に印加されていることが望ましい。図15は、オーバーラップ量53と、電極端部における磁気抵抗効果膜10の幅方向の実効的異方性磁界との関係を示す線図である。図15から電極端部位置での実効的異方性磁界を10エルステッド以上にするには、オーバーラップ量53は2μm以下にすると良いことがわかった。そこで、各電極31の先端側の端部位置を、磁気抵抗効果膜10の幅方向の端部位置に比べて、左右ともにそれぞれ2μm以下の範囲で内側になるように配置することが望ましい。すなわち、各電極31に対するオーバーラップ量53としては、0.25μm 以上で2μm以下の範囲内にあることが望ましい。
【0062】
図16は、スピンバルブヘッドにおいて、本発明のようにオーバーラップ量がある場合と、従来のヘッドのようにオーバーラップ量が無い場合の電極間隔(1μm)あたりの出力、すなわち感度と電極間隔との関係を示す線図である。本発明におけるスピンバルブヘッドにおいては、各電極31が反強磁性膜21を覆う幅に対応したオーバーラップ量53を0.5μm とし、磁気抵抗効果膜の幅51を電極間隔52に1.0μm を加えた値としている。図16から、本発明のヘッドによれば、従来のヘッドとは異なって、電極間隔52が0.5μm と極めて狭くなった場合でも、感度を高く保つことができることがわかる。
【0063】
また、本発明のスピンバルブヘッドでは、反強磁性膜21の一部に各電極31が積層されていることを考慮し、読みにじみの大小をマイクロトラック特性を測定することによって、従来のヘッドと比較した。電極間隔は、ともに1.0μmとした。なお、マイクロトラック特性は、磁気記録媒体上にトラック幅0.2μm程度の細い領域に信号を記録し、このマイクロトラックの信号をヘッドの下で移動させることによって求められる。オーバーラップ量53を0.5μm とした本発明のヘッドにおいて、マイクロトラック特性の半値幅すなわち実効トラック幅は1.0μm と電極間隔に等しく、読みにじみは小さいことがわかる。一方、従来のヘッドでは実効トラック幅は0.9μm と電極間隔よりもむしろ狭い。そこで、本発明によるヘッドと従来のヘッドの出力に関して、実効トラック幅で規格化して比較したところ、従来のヘッドの規格化出力は0.78 であったのに対して、本発明のヘッドは0.95 と約2割高い結果が得られた。この結果からも、本発明のヘッドは従来よりも有利であることがわかる。
【0064】
このように、電極間隔が狭くなった場合でも、高感度さを保持でき、かつ読みにじみが小さいため、磁気記録再生装置が高トラック密度化されても、本発明のヘッドを用いれば、磁気記録再生装置の誤動作を少なくすることができ、また磁気記録再生装置を低電力で動作させることができる。
【0065】
図17は、電極間隔を1.0μm と狭くした場合のヘッドの出力と長手バイアス比との関係について、従来のヘッドと比較した示した線図である。図17に示すように本発明のヘッドによれば、磁区制御層33の作る磁界の強さを示す長手バイアス比がバラツキを持っていても、この影響を直接受けること無く、出力のバラツキを低く抑えることができる。このため本発明のヘッドを用いれば、高歩留まりのヘッドを提供することができる。また長手バイアス比が高い場合にも高感度さを保持できるので、本発明のヘッドを用いれば、磁気記録再生装置の誤動作を少なくすることができ、また磁気記録再生装置を低電力で動作させることができる。
【0066】
図18は、本発明におけるスピンバルブヘッドを用いて再生信号を測定するに際して、長手バイアス比を0.8 と低くして測定した結果を示す線図である。この時、同一の条件で従来のスピンバルブヘッドを測定したところ、従来のヘッドではバルクハウゼンノイズと呼ばれる信号の不連続が観測されたのに対して、本発明によるヘッドによれば、バルクハウゼンノイズが抑制されていることがわかる。これは、各電極31の間隔52が磁気抵抗効果膜の幅51よりも狭く設定され、磁気抵抗効果膜10のうちバルクハウゼンノイズの発生源である端部には電流が流れないので、このバルクハウゼンノイズを感知しなくても済むためである。このため、磁区制御層32の強さが十分でない場合にも、バルクハウゼンノイズの発生が抑制され、このヘッドを磁気記録再生装置に用いても、磁気記録再生装置の誤動作を少なくすることができる。
【0067】
電極を磁気抵抗効果膜の上に積層することによって、電極と磁気抵抗効果膜との間の接触抵抗を低くする(従来:1〜5Ω,本発明1Ω以下)にすることができる。よってヘッドノイズや不要な発熱を抑えることができる。
【0068】
(実施例3)
図19は実施例1及び2に記載のスピンバルブヘッドの磁気抵抗効果型再生ヘッドを用いたハードディスク装置の概略図である。本装置はディスク回転軸64とこれを高速で回転させるスピンドルモータ65を持っており、ディスク回転軸64には一枚ないし複数枚(本実施例では二枚)のディスク40が所定の間隔で取り付けられている。よって各ディスク40はディスク回転軸64とともに一体となって回転する。ディスク40は所定の半径と厚みを持った円板で、両面に永久磁石膜が形成されており情報の記録面となっている。本装置はまた、ディスク40の外側にヘッドの位置決め用回転軸62とこれを駆動させるボイスコイルモータ63を持っており、ヘッドの位置決め用回転軸62には複数個のアクセスアーム61が取り付けられており、各アクセスアーム61の先端には記録再生用ヘッド(以後ヘッドと記す)60が取り付けられている。よって各ヘッド60は、ヘッドの位置決め用回転軸62が所定角度だけ回転することによって各ディスク40上を半径方向に移動し、所定の場所に位置決めされる。また各ヘッド60は、ディスク40が高速で回転する時に生じる浮力と、アクセスアーム61の一部を構成する弾性体であるジンバルの押し付け力とのバランスによって、ディスク40表面から数十nm程度の距離に保持されている。スピンドルモータ65とボイスコイルモータ63とはハードディスクコントローラ66にそれぞれ接続されており、ハードディスクコントローラ66によりディスク40の回転速度やヘッド60の位置が制御されている。
【0069】
図20は本発明のハードディスク装置に用いたインダクティブ型の記録ヘッド断面図であるが、この薄膜ヘッドは上部シールド膜186と、その上に付着された磁性膜からなる下部磁性膜184及び上部磁性膜185からなる。非磁性絶縁体189がこれらの磁性膜の間に付着されている。絶縁体の一部が磁気ギャップ188を規定する。支持体はエア・ベアリング表面(ABS)を有するスライダの形になっており、これはディスク・ファイル動作中に回転するディスクの媒体に近接し浮上する関係にある。
【0070】
薄膜磁気ヘッドは上部磁性膜185,下部磁性膜184により出来るバック・ギャップ190を有する。バック・ギャップ190は介在するコイル187により磁気ギャップから隔てられている。
【0071】
連続しているコイル187は例えばめっきにより下部磁性膜184の上に作った層になっており、これらの電磁結合する。コイル187は絶縁体189で埋められてあるコイルの中央には電気接点があり、同じくコイルの外端部終止点には電気接点として更に大きく区域がある。接点は外部電線及び読み取り書き込み信号処理ヘッド回路(図示略)に接続されている。
【0072】
本発明においては、単一の層で作られたコイル187が、やや歪んだ楕円形をしており、その断面積の小さい部分が磁気ギャップに最も近く配置され、磁気ギャップからの距離が大きくなるにつれ、断面積が徐々に大きくなる。
【0073】
しかし楕円形コイルはバック・ギャップ190と磁気ギャップ188との間で比較的密に多数本入っており、コイルの幅乃至断面直径はこの区域では小さい。更に、磁気ギャップから最も遠い部分での大きな断面減少は電気抵抗の減少をもたらす。更に、楕円(長円)形コイルは角や鋭い隅や端部を持たず、電流への抵抗が少ない。又、楕円形状は矩形や円形(環状)コイルに比べ導電体の全長が少なくて済む。これらの利点の結果、コイルの全抵抗は比較的少なく、発熱は少なく、適度の放熱性が得られる。熱を相当量減らすので、薄膜層の層崩れ,伸長,膨張は防止され、ABSでのボール・チップ突出の原因が除かれる。
【0074】
幅の変化がほぼ均一に進む楕円形コイル形状は、スパッタリングや蒸着等より安価な従来のめっき技術で付着できる。他の形状特に角のある形のコイルではめっき付着が不均一な幅の構造になり易い。角や鋭い端縁部の除去は出来上ったコイルにより少ない機械的ストレスしか与えない。
【0075】
本実施例では多数巻回したコイルがほぼ楕円形状で磁気コア間に形成され、コイル断面径は磁気ギャップからバック・ギャップに向けて徐々に拡がっており、信号出力は増加し、発熱が減少させる。
【0076】
本実施例では、インダクティブ型の記録ヘッドの上部及び下部磁性膜を以下の電気めっき法によって形成した。
【0077】
Ni++量:16.7g/l,Fe++量:2.4g/lを含み、その他通常の応力緩和剤,界面活性剤を含んだめっき浴において、pH:3.0 ,めっき電気密度:15mA/cm2 の条件でフレームめっきした上・下部磁気コアを有する誘導型の薄膜磁気ヘッドを作製した。トラック幅は4.0μm、ギャップ長は0.4μmである。この磁性膜の組成は42.4Ni−Fe(重量%)であり、磁気特性は飽和磁束密度(BS)が1.64T,困難軸保磁力(HCH)が0.5Oe で比抵抗(ρ)は48.1μΩcm であった。上部磁気コア85,上部シールド層を兼ねた下部磁気コア84,コイル187である。再生のための磁気抵抗効果型素子86,磁気抵抗効果型素子にセンス電流を流すための電極,下部シールド層,スライダの構成を有する。本実施例の磁気コアの結晶粒径は100〜500Åとなり、困難軸保磁力が1.0Oe 以下であった。
【0078】
このような構成で評価した本発明による記録ヘッドの性能(オーバーライト特性)を測定した結果、40MHz以上の高周波領域でも−50dB程度の優れた記録性能が得られた。
【0079】
図21は本発明のインダクティブ型記録ヘッドと磁気抵抗効果型再生ヘッドとを有する磁気ヘッドの斜視概念図である。ヘッドスライダを兼ねる基体150上に下部シールド182,磁気抵抗効果膜110,磁区制御膜141,電極端子140を有する再生ヘッドと下部磁性膜184および上部磁性膜183を形成し、下部ギャップ,上部ギャップの図示は省略してあり、コイル142は電磁誘導効果によって上部磁気コアおよび上部シールド兼下部コアに起磁力が発生するインダクティブ型記録ヘッドとを搭載したものである。
【0080】
図22は負圧スライダの斜視図である。負圧スライダ170は、空気導入面171と浮揚力を発生する二つの正圧発生面177,177とに囲まれた負圧発生面178を有し、さらに空気導入面179並びに二つの正圧発生面177,177と負圧発生面178との境界において負圧発生面178より段差の大きい溝174とから構成される。なお、空気流出端175には磁気ディスクに情報の記録を行う後述するインダクティブ型の記録ヘッドと再生を行う前述のMRセンサとが前述の図24に示す概略構造の記録再生分離型の薄膜磁気ヘッド素子176を有する。
【0081】
負圧スライダ170の浮上時においては、空気導入面179から導入された空気は負圧発生面178で膨張されるが、その際に溝174に向かう空気の流れも作られるため、溝174の内部にも空気導入面179から空気流出端175に向かう空気の流れが存在する。したがって、負圧スライダ170の浮上時に空気中に浮遊する塵芥が空気導入面171から導入されたとしても溝174の内部へ導入され、溝174内部の空気の流れによって押し流され、空気流出端178より負圧スライダ170の外へ排出されることになる。また負圧スライダ170の浮上時には溝4内部には常に空気の流れが存在し澱み等がないため、塵芥が凝集することもない。
【0082】
図23に本発明の一例である磁気ディスク装置の全体斜視図を示す。本磁気ディスク装置の構成は、情報を記録するための磁気ディスク、これを回転する手段のDCモータ(図面省略),情報を書き込み,読み取りするための磁気ヘッド、これを支持して磁気ディスクに対して位置を変える手段の位置決め装置、即ち、アクチュエータとボイスコイルモータなどからなる。これらの図では、同一の回転軸に5枚の磁気ディスクを取り付け、合計の記憶容量を大きくした例を示している。
【0083】
本実施例によれば高保磁力媒体に対しても、高周波領域でも十分に記録可能であり、メディア転送速度15MB/秒以上,記録周波数45MHz以上,磁気ディスク400rpm 以上のデータの高速転送,アクセス時間の短縮,記録容量の増大など優れたMR効果を有する高感度のMRセンサが得られることから面記録密度として3Gb/in2 以上との磁気ディスク装置が得られるものである。
【0084】
図24には上記の磁気記録再生装置を複数台組み合わせることによってディスクアレイ装置を組んだ場合の例を示す。この場合、複数の磁気記録再生装置を同時に扱うため、情報の処理能力が早くでき、また装置の信頼性を高めることができる。この場合にも、各磁気記録再生装置の性能(低誤り率,低消費電力等)が高い方が良いことは言うまでもなく、そのため高性能な複合ヘッドが不可欠である。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、各電極の間隔を磁気抵抗効果膜の幅よりも狭く形成し、磁気抵抗効果膜の中心部の領域にのみ電流を流すようにしたため、磁区制御層の強さが十分でないときでもバルクハウゼンノイズが発生するのを抑制することができ、磁区制御層の強さが十分なときでも、出力の変動を低く抑えることができる。更に、狭電極間隔であっても高感度でかつ読みにじみを少なくすることができ、高トラック密度化に適応することができる。
【0086】
また、本発明によるヘッドを磁気再生装置や磁気記録再生装置に用いれば誤動作の少ない装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1本発明のスピンバルブヘッドの構成図。
【図2】実施例1本発明の第二のスピンバルブヘッドの構成図。
【図3】実施例1本発明の第三のスピンバルブヘッドの構成図。
【図4】本発明のスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドの再生波形を示す特性図。
【図5】本発明のスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドにおける電極間隔と出力との関係を示す特性図。
【図6】本発明のスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドにおけるオフトラック量と出力との関係を示す特性図。
【図7】本発明のスピンバルブヘッドにおけるオーバーラップ量と出力との関係を示す特性図。
【図8】本発明のスピンバルブヘッドにおける磁区制御層からの距離と実効的異方性磁界との関係を示す特性図。
【図9】本発明のスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドにおける長手バイアス比と出力との関係を示す特性図。
【図10】実施例2に示すスピンバルブヘッドの構成図。
【図11】実施例2に示すスピンバルブヘッドの構成図。
【図12】実施例2に示すスピンバルブヘッドの構成図。
【図13】実施例2に示すAMRヘッドの構成図。
【図14】本発明と従来のAMRヘッドの出力とオーバーラップ量との関係を示す線図。
【図15】本発明のスピンバルブヘッドにおける実効異方性磁界とオーバーラップ量との関係を示す線図。
【図16】本発明のスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドにおける電極間隔と出力との関係を示す特性図。
【図17】本発明のスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドにおける長手バイアス比と出力との関係を示す特性図。
【図18】本発明のスピンバルブヘッドと従来のスピンバルブヘッドの再生波形を示す特性図。
【図19】本発明に係るハードディスク装置の概略図。
【図20】本発明に係るインダクティブ型磁気記録ヘッドの断面図。
【図21】本発明に係るインダクティブ型磁気記録ヘッドと磁気抵抗効果型再生ヘッドとを一体にした磁気ヘッドの部分斜視図。
【図22】本発明に係る負圧スライダーの斜視図。
【図23】本発明に係る磁気ディスク装置の全体図。
【図24】本発明に係るディスクアレイ装置の概念図。
【符号の説明】
10…磁気抵抗効果膜、11,18…第一の強磁性膜、12,33…磁区制御層、13,22,24…第二の強磁性膜、14,31…電極、15,36,38…第三の強磁性膜、16,21,22,40…反強磁性膜、17,19,20,23,34…非磁性導体膜、26,51…磁気抵抗効果膜の幅、28…永久磁石膜、30…配向制御下地膜、32,52…電極間隔、142,187…コイル、 183,185…上部磁性膜、184…下部磁性膜、186…上部シールド膜、188…磁気ギャップ、189…非磁性絶縁体、190…バック・ギャップ。

Claims (8)

  1. 磁界により磁化方向が変化する単層又は複数層の第1の強磁性膜と、磁化方向が固定された単層又は複数層の第2の強磁性膜と、前記第1の強磁性膜と第2の強磁性膜との間に挿入された非磁性導体膜とを有する巨大磁気抵抗効果膜と、
    前記第1の強磁性膜の両側にトラック幅方向に隣接して配置された一対の磁区制御層と、
    前記巨大磁気抵抗効果膜と電気的に接続され、かつ一部が前記巨大磁気抵抗効果膜の幅方向端部上に積層されている一対の電極とを備え、
    前記一対の電極の電極間隔は、前記巨大磁気抵抗効果膜の幅方向端部に実質的に電流を流さず、中央部に実質的に電流を流すように、前記第1の強磁性膜と前記非磁性導体膜と前記第2の強磁性膜の幅のうち最も狭い幅で定義される前記巨大磁気抵抗効果膜の幅よりも狭く形成されており、
    前記一対の電極の各電極は、前記巨大磁気抵抗効果膜の前記幅の幅方向端部に対し0.25〜2μmの範囲で前記巨大磁気抵抗効果膜と重なっていて、
    前記磁気抵抗効果膜の中央部に電流が流れるときと流れていないときとで、前記第2の強磁性層の磁化状態は略変化せず、前記第1の強磁性層の幅方向端部における磁化状態が安定化されていることを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド。
  2. 前記第2の強磁性膜の磁化方向を固定する反強磁性膜もしくは永久磁石膜が、前記第2の強磁性膜の非磁性導体層と接する面とは反対側に形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  3. 前記一対の電極の一部が前記反強磁性膜もしくは永久磁石膜上に積層されていることを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  4. 前記電極は、前記磁区制御層上に積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  5. 前記磁区制御層は、永久磁石、又は反強磁性膜と軟磁性膜との積層膜であることを特徴とする請求項1又は2記載の記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  6. 前記一対の電極の間隔は、前記一対の磁区制御層の間隔よりも狭く形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  7. 前記巨大磁気抵抗効果膜の幅は、前記一対の電極の間隔に0.5〜4μmを加えた値であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
  8. 前記一対の電極の電極間隔は2μm以下であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の磁気抵抗効果型ヘッド。
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