JP3786975B2 - 裁断装置および裁断方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、織地、編地、紙、プラスチックおよびレザーなどのような可撓性のシート材料を裁断するための装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
典型的な第1の先行技術は、たとえば特公昭56−8759(特開昭52−87780)に示されている。この先行技術では、裁断刃をソレノイドの回転出力によってシート材料と係合しない上昇位置とシート材料に係合する下降位置との間で往復動させ、また本発明でいう押さえ部材に相当するシート押さえは、それ自身の自重によって前記シート材料の上面を押圧して、裁断刃の上昇動作によってシート材料が持上げられるのを阻止し、このシート押さえの上限位置を設定するために引下げ用のソレノイドを設けた構成が開示されている。
【0003】
また第2の先行技術は、たとえば特公平4−33595(特開昭62−297092)に開示されている。この先行技術では、ベースフレームを空気圧アクチュエータによって上昇した非裁断位置と下降した裁断位置との間で往復動させ、またベースフレームには2本の垂直杆の下端に本発明でいう押さえ部材に相当する押圧盤が担持され、螺旋圧縮スプリングによって押圧盤をベースフレームに対して下方に付勢し、ベースフレームが上昇位置にあるとき、前記押圧盤はシート材料の表面よりも上方に配置されるようにした構成が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの第1および第2の先行技術では、裁断刃の上昇位置はシート材料の最大許容積層厚によって決められており、裁断刃が上昇した状態である非裁断位置は、その裁断刃の刃先がシート材料から確実に離脱するように設定されている。特に、上記第1および第2の先行技術では、前記裁断刃は上昇位置と下降位置との2位置しかとれないために、シート材料の最大許容積層厚に比べてごく僅かな枚数の薄いシート材料を裁断する場合であっても、最大許容積層厚に等しいシート材料を裁断する場合と同じストロークであり、したがって最大許容積層厚の範囲内でシート材料が薄くなればなるほど、裁断刃の不所望な動作が多くなり、生産効率が悪いという問題が生じる。
【0005】
したがって本発明の目的は、裁断されるべきシート材料の厚みに応じて裁断刃の非裁断位置を変化させるように制御して裁断刃の無駄な動作をなくし、生産性の向上を図ることができるようにした裁断装置および裁断方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多数の剛毛ブラシの先端によって一平面内に延びるように構成される支持面を有し、シート材料が積層状態で載置されるテーブルと、該一平面内で走行駆動される裁断ヘッドとを有し、裁断ヘッドには、裁断刃と、裁断刃を該一平面に垂直なZ軸方向に予め定める振幅で往復振動させてシート材料を裁断させる機構を内蔵するヘッドブロックとを備える裁断機において、
テーブル上に載置されるシート材料の表面に接触して、表面の位置を検出し、検出されるシート材料の表面位置に基づいて、シート材料の積層厚を設定する積層厚設定手段と、
裁断刃がシート材料を突刺して、裁断刃の刃先がテーブルを構成する剛毛ブラシ中に挿入されている状態で、裁断刃の往復振動による裁断が行われる裁断位置が予め規定され、積層厚設定手段に設定された積層厚に応じて裁断刃の先端がシート材料の表面から予め定める間隔を有するように定められる非裁断位置と裁断位置との間で、ヘッドブロックをZ軸方向に昇降移動させる昇降移動手段とを含むことを特徴とする裁断機である。
【0007】
また本発明の前記積層厚設定手段および前記昇降移動手段は、前記裁断ヘッドに備えられることを特徴とする。
【0008】
また本発明の前記積層厚設定手段には、裁断刃の周縁部でシート材料の表面を押さえる押さえ部材が前記Z軸方向に変位可能に設けられ、この押さえ部材がばね付勢されてシート材料の表面に当接し、ばね付勢に抗して変位を開始する位置に応じてシート材料の表面の位置が検出されることを特徴とする。
【0009】
また本発明の前記裁断ヘッドには、前記非裁断位置で裁断刃の研磨が可能な研磨手段と、前記非裁断位置で裁断刃の刃幅測定が可能な刃幅測定手段が備えられることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、多数の剛毛ブラシの先端によって一平面内に延びるように構成される支持面を有するテーブルと、該一平面内を走行移動可能で該一平面に垂直なZ軸方向に予め定める振幅で往復振動可能な裁断刃を備える裁断ヘッドとを含む裁断機で、該テーブル上に積層状態で載置されるシート材料を裁断する裁断方法において、
裁断刃がシート材料を突刺して、裁断刃の刃先がテーブルを構成する剛毛ブラシ中に挿入されている状態で、裁断刃の往復振動による裁断が行われる裁断位置を予め規定しておき、
テーブル上に載置されるシート材料の表面に接触して、表面の位置を検出し、
検出されるシート材料の表面位置に基づいて、シート材料の積層厚を設定し、
設定されるシート材料の積層厚に応じて、裁断刃の先端がシート材料の表面から予め定める間隔を有するように定められる非裁断位置を設定し、
シート材の裁断は裁断位置で行い、裁断刃の退避は非裁断位置で行うように、裁断刃を該一平面に垂直なZ軸方向に昇降移動することを特徴とする裁断方法である。
【0011】
【作用】
本発明に従えば、テーブルには一平面内に延びる支持面が形成され、この支持面には複数のシート材料が積層して載置される。裁断ヘッドは裁断刃を備え、裁断刃は往復振動され、前記シート材料を所定の裁断形状に裁断する。裁断刃は昇降移動手段によってZ軸方向に昇降移動される。裁断刃を非裁断位置に退避するときは、昇降移動手段によって前記裁断刃の刃先がシート材料の表面から予め定める間隔を有するようにZ軸方向に移動される。このような裁断刃のZ軸方向の移動は、積層厚設定手段によって設定されたシート材料の積層厚に基づいて達成される。
【0012】
裁断刃の非裁断位置がシート材料の積層厚に応じて設定されるので、シート材料の積層厚に拘らず、裁断刃のシート材料に臨む刃先がシート材料の表面からむやみに大きな間隔をあけて離間せず、裁断刃の無駄な移動時間をなくし、所定の裁断パターンを裁断するために要する時間を短縮して、生産効率を向上することができる。このような裁断時間の短縮は、長期にわたる多くの裁断回数に累積されることによって大きな生産量の差を生じ、格段に生産性を向上させることができる。
【0013】
また本発明に従えば、積層厚設定手段および昇降移動手段は裁断ヘッドに備えられる。これによって、裁断ヘッドがテーブル上を広範囲に走行駆動されても、各走行位置で裁断時間を短縮することができる。
【0014】
また本発明に従えば、積層厚設定手段には押さえ部材が設けられ、この押さえ部材がZ軸方向に変位してシート材料表面に当接する位置から表面の位置が検出され、表面の位置に基づいて厚みが設定される。裁断中の押さえ部材の作用位置はシート材料表面を基準として設定すればよいので、一連の動作で効率よく設定することができる。
【0015】
また本発明に従えば、裁断ヘッドには研磨手段と刃幅測定手段とが備えられ、非裁断位置で、裁断刃の研磨と刃幅測定とが可能である。これによって、裁断刃の研磨または刃幅測定を、裁断ヘッドが裁断すべきパターン間で移動を行うためなどで、シート材料から引抜かれて退避しているときに行うことができる。
【0016】
さらに本発明に従えば、裁断刃をシート材料に挿入させた裁断位置で往復振動させながら所定の裁断形状に裁断するに際して、裁断刃の非裁断位置が、その裁断刃の刃先がシート材料の表面から予め定める間隔を有するように設定される。裁断刃と裁断刃を往復振動させる機構を内蔵するヘッドブロックとを、裁断刃が裁断位置と非裁断位置との間を移動するように、昇降移動させる。
【0017】
このようにして、シート材料の表面と非裁断位置にある裁断刃の刃先との間にむやみに大きな間隔が生じることをなくし、積層厚に応じた最小の移動量で裁断刃を挿入および引抜くことができ、無駄な動作およびそれに要する作動時間をなくして、生産効率を向上することができる。
【0018】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の裁断装置に備えられる裁断ヘッド1の基本的構成を示す簡略化した斜視図である。多数の剛毛ブラシ4によって構成される平坦な支持面5上には、衣服などの生地である複数のシート材料3が積重して載置される。これらのシート材料3を所定の形状に裁断するための裁断装置の裁断ヘッド1は、基本的に、裁断刃6と、裁断刃6を前記支持面5に垂直なZ軸方向に裁断刃振動用モータ48(図4参照)によって往復振動させるヘッドブロック9と、ヘッドブロック9をZ軸方向に昇降変位させる空気圧シリンダ11と、裁断刃6の刃先がシート材料3の表面7から予め定める間隔L1を有するように、前記空気圧シリンダ11をZ軸方向に移動させる移動手段13と、裁断刃6の周縁部で支持面5上に載置されたシート材料3を押さえる押さえ部材であるフットプレッサ14と、前記フットプレッサ14のZ軸方向の位置を検出する位置検出手段16と、この位置検出手段16からの出力に応答して、前記移動手段13を制御する制御手段17とを含む。
【0019】
前記ヘッドブロック9には、図示しないクランク機構が内蔵され、このクランク機構によって前記裁断刃6がZ軸に沿って往復振動される。Z軸を中心に裁断刃6を角変位させるためのR軸手段15も設けられ、予めプログラミングされた裁断方向に刃先を向けながら裁断動作を行うように構成される。このようなヘッドブロック9は、一対の平行な案内軸49a,49bに沿って前記空気圧シリンダ11によって裁断刃6とともに上下に変位駆動される。裁断開始位置あるいは大きな角度で裁断方向を変換する位置などにおいて、空気圧シリンダ11のピストン棒18が縮退して裁断刃6がシート材料3を突き刺す。裁断終了位置にくるとピストン棒18が伸長して裁断刃6がシート材料3から抜取られる。このようにして、裁断刃6がシート材料3から抜取られた状態の非裁断位置では、その裁断刃6の先端6aが前記予め定める間隔L1を有するように設定されている。空気圧シリンダ11は、摺動板10に固定される。ヘッドブロック9が下降するときの下限は、後述するストッパによって規定され、裁断刃6の裁断位置は固定される。
【0020】
前記移動手段13は、摺動板10に固定されたナット部材10aに螺合するねじ棒19と、ねじ棒19の上端部に固定されたプーリ20と、ねじ棒19を双方向A1,A2に回転駆動するためのZ軸リフトモータ21と、Z軸リフトモータ21の出力軸23に固定されるプーリ24と、各プーリ20,24間にわたって巻掛けられて張架されるタイミングベルト25と、前記ナット部材10aの上限位置と下限位置とを検出する一対のリミットスイッチ26a,26bとを有する。
【0021】
前記Z軸リフトモータ21は、フレーム12に取付けられ、たとえばステッピングモータが用いられる。また、前記ねじ棒19のリードは3mm/rev程度に選ばれる。また、各リミットスイッチ26a,26bは、上下に間隔L2=50mmをあけて配置され、前記Z軸リフトモータ21のパルスレートが1000パルス/secの場合、摺動板10を40mm/secで昇降変位駆動することができる。各リミットスイッチ26a,26bのいずれか一方のスイッチング態様が変化すると、制御手段17は停止信号を出力して前記Z軸リフトモータ21を停止させる。前記摺動板10は、裁断ヘッド1のフレーム12に形成された案内溝(図示せず)に沿ってZ軸方向に摺動自在である。
【0022】
フットプレッサ14は、案内軸14a,14bの下端に固定される。案内軸14a,14bの上端にはばねが設けられ、フットプレッサ14をZ軸上でシート材料3の表面7から離反する方向に付勢する。摺動板10に固定される空気圧シリンダ27と、空気圧シリンダ27のピストン棒28の先端部に固定される取付片29と、この取付片29の下端部に軸支されるローラ29aとは、フットプレッサ14をZ軸上で表面7側に押圧する。空気圧シリンダ27のピストン棒28のストロークL3は、たとえば20〜30mmに選ばれている。
【0023】
シート材料3の積層厚を検出するために、フットプレッサ14を用いることができる。空気圧シリンダ27を伸長させた状態から、Z軸リフトモータ21によって摺動板10を下降させる。下降中に、フットプレッサ14がシート材料3の表面7に当接したら前記Z軸リフトモータ21を停止する。このようなフットプレッサ14の当接状態は、位置検出手段16によって検出される。
【0024】
前記位置検出手段16は、フットプレッサ14に当接するローラ29aが軸支される取付片29から上方に立上がるラック33と、このラック33に噛合するピニオン34と、ピニオン34の回転量を検出するロータリエンコーダ35とを含んで構成される。ロータリエンコーダ35は、R軸本体15aに対して固定される。このようなロータリエンコーダ35のカウント値の変化が任意の設定値L4に達したら、前記Z軸リフトモータ21を停止する。前記ヘッドブロック9は、Z軸に沿って往復振動する出力軸50を有し、この出力軸50には前記裁断刃6が角変位および着脱自在に設けられる。裁断刃6は、大略的に直円筒状のR軸本体15aおよび作動リング51内を挿通する。作動リング51は、R軸本体15aの内周側に設けられモータ52からタイミングベルト52aを介して上部の歯車51aに回転力が伝達されることによって、Z軸まわりに矢符A1,A2方向に回動され、裁断刃6の刃先が裁断プログラムに従った裁断方向に向けられる。R軸本体15aは、摺動板10に固定される。前述の案内軸14a,14bの他端は、作動リング51内で保持される。
【0025】
作動リング51内には、裁断刃6を挟んで上下に各対を成す研磨ローラ53a,54a;53b,54bが設けられ、裁断時には、非接触状態である。前記作動リング51に同軸にかつ相互に回転自在に設けられる内歯歯車55によって各研磨ローラ53a,54a;53b,54bは回転駆動される。研磨時には、前記内歯歯車55の下方に同軸に設けられるカムリング57を外部から拘束する。作動リング51の回転方向に従って、一方対の研磨ローラ53a,54aまたは他方対の研磨ローラ53b,54bのいずれかが交互に裁断刃6に接触するように揺動される。前記内歯歯車55は、モータ58からタイミングベルト59を介する動力によって回転駆動される。
【0026】
空気圧シリンダ11を伸長させて裁断刃6が前記移動手段13によって設定される非裁断位置に引上げられたときは、各研磨ローラ53a,54a;53b,54bが刃先を研磨した後、刃幅検出手段60の作動ピン61を前進させて検出ピン62を押圧した後、退避させて、たとえば、移動量と押圧力の変化とから前記裁断刃6の刃先の摩耗量を計測することもできる。すなわち、検出ピン62が前進して刃先に接触すると押圧力が検出される。検出ピン62を退避させて、押圧力が消失するときが刃先の位置を示す。裁断刃6が摩耗すれば、刃先の位置が検出ピン62の前進側に変化する。
【0027】
図2を参照して、設定値L4は、織地、編地、紙、プラスチックおよびレザーなど、吸引したときの空気透過性が高いシート材料の場合には、表面7が限りなく平面に近いので、フットプレッサ14を近づけることができ、そのストロークL3からフットプレッサ14の変位量L5を引いた値(L4=L3−L5)である。このとき設定値L4は、前記ロータリエンコーダ35のカウント値から演算して求められる。またスキーウェアの生地などのように吸引しても空気透過性が低いシート材料の場合には、設定値L4を大きくしなければならず、フットプレッサ14のストロークL3を超えるため、Z軸リフトモータ21のステップ数に基づいて前記設定値L4が演算して求められる。このようにして求められる設定値L4は、シート材料3の材質や積層厚、および裁断速度などの裁断条件に応じて適宜増減された値であり、作業者が後述の図3に示される入力手段36などから入力し、設定する。このように入力された設定値L4は、1マーク分のシート材料3に対する裁断終了時まで維持し続けられるけれども、途中で作業者が設定値を変更することも可能である。
【0028】
1マーク分の裁断終了時には、空気圧シリンダ11が伸長して裁断刃6がシート材料3から上方の非裁断位置に離脱し、かつ空気圧シリンダ27が収縮してフットプレッサ14がシート材料3から離反した上限位置に復帰する。また、前述の設定値L4に対応する動作などで各リミットスイッチ26a,26bのうちいずれか一方がオンした場合には、エラーとなってZ軸リフトモータ21およびその他の裁断動作が停止される。また、裁断中で方向変換などのために待機状態にしたときには、裁断刃6は非裁断位置に退避し、フットプレッサ14はシート材料3に当接させておく。
【0029】
図3は、裁断ヘッド1を備える裁断装置37の全体の構成を示す斜視図である。前述した裁断ヘッド1を備える裁断装置37は、テーブルとして、基台38上に水平に載置された3つの吸引ボックス39a,39b,39cと、各吸引ボックス39a,39b,39c上に前記支持面5を形成する剛毛ブラシ4と、各吸引ボックス39a,39b,39cの下部に設けられ、各吸引ボックス39a,39b,39cを介して支持面5上のシート材料3を吸引するための吸引ダクト40と、吸引ダクト40に吸引力を導入する吸引源41とを有する。また裁断装置37は、Y軸方向に延びるY軸ビーム43を有し、前記Y軸方向と直交するX軸方向に沿って走行駆動される走行体44とを備える。これらのX軸とY軸とを含む一平面上に、前記支持面5が形成されている。なお、本発明の他の実施例として、前記走行体44が、Y軸ビーム43をZ軸方向に昇降移動させるようにしてもよい。Y軸ビーム43には、前記裁断ヘッド1がY軸方向に移動自在に支持され、支持面5上に載置されたシート材料3を予め設定された裁断データに従って、希望する形状に裁断することができるように構成される。
【0030】
図4は裁断ヘッド1をY軸方向から見た拡大断面図であり、図5は図4の上方から見た断面図であり、図6は図4の左側から見た断面図である。前記Y軸ビーム43には、その軸線と平行に2本のレール45a,45bが固定され、これらのレール45a,45bに沿って前記裁断ヘッド1のY軸方向の移動が案内される。レール45a,45bには、フレーム12の支持部12aに固定される摺動部材47a,47bがそれぞれ係合される。支持部12aの上面には凹所12bが形成される。凹所12bは、ヘッドブロック9の下降時に、ストッパ22を受ける。ストッパ22は、硬質ゴムで先端が形成され、ヘッドブロック9に固定されている。このため、空気圧シリンダ11が縮退して裁断刃6によってシート材料3を裁断するときの裁断位置は、摺動板10の昇降移動によって非裁断位置が変化しても、支持面5に対して一定となる。
【0031】
作動リング51の上部には、原点カム56が取付けられる。原点カム56は、裁断刃6の刃先の向き、すなわちR軸の基準方向の検出のために使用する。裁断刃6の刃幅の測定は、図6に示すような一定の向きのときに可能となる。刃幅検出手段60は、R軸本体15aに取付けられる。この方向では、作動ピン61と検出ピン62とは同一軸線上となる。検出ピン62は作動リング51内をY軸方向に挿通し、その内側の先端は裁断刃6の刃先に臨む。検出ピン62の先端が刃先に当接する位置とR軸の位置との間隔が、裁断を行うにあたって補償すべき刃幅となる。この刃幅は、裁断刃6の研磨による摩耗や交換によって変化する。R軸に対して、実際にシート材料3を裁断する刃先の位置は刃幅だけずれているので、正確な裁断パターンを得るためには、裁断ヘッド1のX軸方向およびY軸方向の移動量を補償する必要がある。
【0032】
図7は、1マーク分の裁断を開始する際の制御手段17による制御動作を説明するためのフローチャートである。まず、ステップm1で支持面5上に裁断されるべきシート材料3が載置され、裁断ヘッド1がテーブルの隅などの原点に復帰して制御動作が開始される。移動手段13は上昇した状態となる。ステップm2で裁断ヘッド1が裁断開始位置へ移動して空気圧シリンダ27が圧力付勢されて、ピストン棒28が伸長し、これによってフットプレッサ14が下降する。ステップm3でZ軸リフトモータ21が下降方向に駆動される。このようなZ軸リフトモータ21の駆動によって、フットプレッサ14は徐々に下降し、シート材料3の表面7に当接して、さらに表面7を押圧するに至る。フットプレッサ14が押圧されると、案内軸14a,14b上端のばねの押圧力に抗して、上方に変位する。この変位は、位置検出手段16によって検出される。ステップm4においてロータリエンコーダ35が変位を検出すると、ステップm5でその変位量L5が基準値と同じであるか否かが判断され、同じであればステップm6へ移り、Z軸リフトモータ21の下降動作を停止して、ステップm7で制御動作が終了し、予め定めるプログラムにしたがってシート材料3に対する1マーク分の裁断動作が続けられる。
【0033】
このようにして移動手段13の位置を設定することによって、フットプレッサ14および裁断刃6の上昇位置をシート材料3の表面7に存在する盛上がりをクリアできる程度に設定することが可能である。これによって、裁断刃6およびフットプレッサ14の昇降時の無駄な動作を可及的に少なくして、生産性を向上することができる。
【0034】
また本発明の他の実施例として、前記シート材料3がたとえばスキーウエア用の生地などの空気透過性が低く、表面に膨らみのある材料である場合には、図8に示されるフローチャートにしたがって裁断前の制御動作を行う。すなわち、ステップn1で制御動作が開始され、ステップn2でフットプレッサ14が下降して、ステップn3でZ軸リフトモータ21が駆動される。ステップn1〜n4は、図7のステップm1〜m4と同様である。ステップn4で、ロータリエンコーダ35が変位量L5を検出すると、ステップn5でZ軸リフトモータ21が上昇する方向、すなわち、逆回転する方向に駆動を開始する。ステップn6でフットプレッサ14の上昇量が設定値L4と同じであるか否かが判断され、同じであればステップn7でZ軸リフトモータ21の上昇動作が停止され、ステップn8で制御動作が終了する。
【0035】
このようにして、フットプレッサ14の位置設定動作を利用して、裁断刃6およびフットプレッサ14とシート材料3とが接触を確実に断てるように、裁断刃6およびフットプレッサ14の上昇位置を設定することができる。
【0036】
図9は、図1に示す実施例から、移動手段13およびフットプレッサ14に関連する構成を簡略化して示す。移動手段13は、テーブルの支持面5に対するR軸本体15aのZ軸方向の位置を設定する。空気圧シリンダ11が伸長して、裁断刃6の先端6aがシート材料3の表面7から間隔L1をあけて退避する非裁断位置では、裁断ヘッド1のX軸およびY軸方向への移動や、R軸方向の角変位を行う。空気圧シリンダ11が縮退して、裁断刃6をシート材料3に挿入する裁断位置は、ストッパ22がフレーム12に当接することによって規定される。フットプレッサ14は、案内軸14a,14bの下端に取付けられ、その上端はばね64a,64bによって上方に付勢される。裁断中の生地押さえであるフットプレッサ14の位置を設定する際のロータリエンコーダ35が検出する変位量によって、シート材料3の積層厚を検出し、併せて移動手段13の設定を行うことができる。
【0037】
図10〜図12は、裁断刃6の研磨に関連する構成を示す。図10は部分断面図、図11および図12は図10の切断面線XI−XIから見た断面図であり、図12は一部を省略して研磨状態を示す。
【0038】
モータ58からの駆動力は、プーリ58aおよびタイミングベルト59を介して、内歯歯車55の外周側に伝達される。内歯歯車55の内周側に噛合する遊星歯車65の回転を各研磨ローラ53a,53b;54a,54bに伝達するのは回転伝達手段67であり、前記作動リング51の回転を係止し、かつその係止状態を解除するのはロック手段69である。
【0039】
作動リング51は、摺動板10に対して固定されるR軸本体15aに上下一対の軸受71,72を介して回転自在に軸支される。作動リング51の上方には原点カム56が取付けられる。原点カム56の周縁部に近接して、原点検出器73が設けられる。原点カム56の突起部が原点検出器73の位置にあるときを、裁断刃6の刃先の向きの基準とする。
【0040】
回転伝達手段67では、遊星歯車65は軸75aに固定される。この軸75aの近傍には、軸75aと平行にもう1つの軸75bが配置され、各軸75a,75bには、相互に噛合する歯車76a,76bがそれぞれ固定され、前記遊星歯車65の回転力を一方の歯車76aを介して他方の歯車76bに伝達し、この歯車76bが固定される軸75bに伝達される。一方の軸75aにはまた、軸線方向に間隔をあけて一対のプーリ77a,78aが固定される。他方の軸75bについても同様である。これらのプーリ対間には、揺動部材79a,79bの一端部が揺動自在に装着される。各揺動部材79a,79bの他端部には、軸80a,80bが挿通され、各軸80a,80bの各両端部には前記研磨ローラ53a,54a;53b,54bが回転自在に装着される。
【0041】
R軸本体15aには取付片81が固定され、取付片81には前記ロック手段69が設けられる。ロック手段69は、前記取付片81に固定される空気圧シリンダ82と、空気圧シリンダ82のピストン棒の先端部に固着される当接片83とを有し、この当接片83はカムリング57の歯付部57aの外周面に当接/離反して、カムリング57の回転を係止し、かつその係止状態を解除することができる。
【0042】
図12に示すように、カムリング57には、その内周面から半径方向外方に凸となるカム溝84a,84bと、当接部85の両側に周方向に延びる2つの透孔86a,86bとが形成される。前記カム溝84a,84bには、前記揺動部材79a,79bに一体的に形成されるホロア87a,87bが嵌まり込み、カム面に沿って案内される。各揺動部材79a,79bには、引張コイルばね88の両端部がそれぞれ係止され、研磨ローラ53a,54a;53b,54bが相互に近接する方向に付勢される。これによって各ホロア87a,87bが半径方向外方、すなわち各ホロア87a,87bが各カム溝84a,84bに臨んだときに、各カム面に弾発的に当接する方向にばね付勢される。
【0043】
前記裁断刃6は、作動リング51内に立設される案内部材89の案内溝内に嵌まり込んで案内され、案内部材89には取付片90が固定される。取付片90には、2つの揺動アーム91a,91bがピン92a,92bによって揺動自在に連結され、各揺動アーム91a,91bの遊端部93a,93bは前記透孔86a,86b内に嵌まり込む。各揺動アーム91a,91bは、引張コイルばね94によって各遊端部93a,93bが相互に近接する方向にばね付勢される。カムリング57の歯付部57aから当接片83が離反しているときには、カムリング57と作動リング51とは一体で回転し、ホロア87a,87bは両カム溝84a,84bの中央に留まる。
【0044】
この状態で、空気圧シリンダ82に圧縮空気が供給されると、そのピストン棒が伸長して当接片83が歯付部57aの外周面に当接し、これによってカムリング57の回転が阻止される。R軸駆動用のモータ52が回転駆動されると、作動リング51が一方向Cに僅かに回転し、一方のホロア87aがカム溝84a内に嵌まり込み、また一方の揺動アーム91bの遊端部93bが当接部85に当接した状態で、引張コイルばね94のばね力に抗して、他方の揺動アーム91aから離反する方向に角変位して拡げられる。この状態においては、遊星歯車65の公転動作が拘束され、前記内歯歯車55の回転が遊星歯車65、各軸75a,75b、各歯車76a,76bに、各プーリおよびベルト95,95bを介して各研磨ローラ53a,54a;53b,54bに伝達されて回転駆動される。これらの研磨ローラ53a,54a;53b,54bの回転数は、4500〜8000rpm程度に選ばれ、研磨ローラ54a側で裁断刃6の刃先を研磨する。
【0045】
また、R軸駆動用のモータ52が逆方向に回転駆動を開始すると、その回転は上述のようにして各研磨ローラ53a,54a;53b,54bに伝達されるとともに、作動リング51は、前記回転方向Cとは逆方向に回転されて、他方のホロア87bがカム溝84b内に嵌まり込み、これによって研磨ローラ54b側によって裁断刃6の他側面が研磨される。このような裁断刃6の研磨時において、各研磨ローラ53a,54a;53b,54bの裁断刃6への当接圧力は、前記引張コイルばね88のばね力によって調整することができる。また研磨量は、各カム溝84a,84bの内周面96からの深さdによって設定することができる。このようにして、裁断刃6がどのような回転位置にあっても、ロック手段69によってカムリング57の回転を停止させた状態で、研磨ローラ53a,54a;53b,54bを裁断刃6に接触させて研磨することができる。
【0046】
図13は、刃幅測定に関する具体的構成を示す。刃幅検出手段60は、作動リング51に設けられ、前記検出ピン62を備える第1ブロック101と、第1ブロック101よりもR軸8に関して半径方向外方で前記R軸本体15a側に設けられる第2ブロック102とから成る。第1ブロック101は、直円筒状の内周面を有するばね収納孔103が形成され、前記作動リング51に固定される保持部材104と、前記検出ピン62に装着された状態で、ばね収納孔103内に収納される第1圧縮コイルばね105とを有する。前記検出ピン62は、直円柱状の小径部106と、小径部106の一端部に一体的に形成される直円柱状の大径部107とを有し、小径部106の裁断刃6に臨む端部付近には、係止リング108が装着されて、第1圧縮コイルばね105のばね力によって検出ピン62がばね収納孔103から離脱してしまうことを防止している。
【0047】
このような係止リング108によって検出ピン62が抜止めされた状態では、この検出ピン62の小径部106の裁断刃6に臨む端部106aと、大径部107の前記小径部106と反対側の端部107aとは、保持部材104から両側に突出している。このような第1ブロック101は、前記作動リング51のR軸8まわりの回転によって回転する。
【0048】
前記第2ブロック102は、前記R軸本体15aに固定されるケーシング110と、ケーシング110内に収納される押圧部材111と、ケーシング110に固定され押圧部材111をR軸8に向けて近接/離反変位駆動するリニアステッピングモータ63と、前記押圧部材111の変位を検出する近接スイッチ112とを有する。前記押圧部材111は、シリンダ113と、シリンダ113内に変位可能に収納されるピストン114とを有する。シリンダ113は、小径筒部115と、小径筒部115の軸線方向一端部に一体的に連なる大径筒部116とから成る。大径筒部116には、前記ピストン114が嵌まり込むピストン室117が形成され、また小径筒部115には、ピストン114から同軸に延びるピストン棒118が挿入されるばね収納孔119が形成される。ばね収納孔119内のピストン棒118には、第2圧縮コイルばね120が装着され、このばね120によってピストン114がR軸8に関して半径方向外方、すなわち図13の左方に弾発的に付勢される。第2圧縮コイルばね120のばね定数は、第1圧縮コイルばねのばね定数よりも大きくしておく。
【0049】
前記ケーシング110には、シリンダ113の小径筒部115が挿通する挿通孔121が形成され、前記リニアステッピングモータ63の出力軸122が図13の右方へ伸長したときにケーシング110の外部へ突出することができる。また出力軸122が図13の左方へ退避した状態では、前記小径筒部115の軸部123の先端部である作動ピン61と前記検出ピン62の大径部107の端部107aとは間隔D1をあけて離間している。また、検出ピン62の小径部106と端部106aと裁断刃6の刃先66とは間隔D2をあけて離間している。さらにシリンダ113の大径筒部116の端面124とピストン114の前記端面124に対向する端面125とは間隔D3をあけて離間しており、さらに小径筒部115の端面126とこの端面126に対向するピストン棒118の端面127とは間隔D4をあけて離間している。前記間隔D1はたとえば1.5mmに選ばれ、また前記間隔D2は7.5mmに選ばれ、さらに前記間隔D3は1.0mmに選ばれ、前記間隔D4は1.0mmに選ばれる。
【0050】
前記シリンダ113の大径筒部116には、その軸線方向に延びる案内長孔128a,128bが形成され、各案内長孔128a,128bには、前記ピストン114に固定された案内ピン129a,129bが移動自在に挿通される。
【0051】
前記リニアステッピングモータ63は、ステップサイズが0.029mm/パルスであり、リードピッチが0.7mm/回転であり、たとえば420パルス/secで12mm/secの移動速度で出力軸122を伸長/縮退変位駆動させることができる。
【0052】
またシリンダ113の大径筒部116には、検出ピン62の先端部106aが裁断刃6の刃先66に当接したことを検出するための当接位置検出スイッチ130が設けられ、前記近接スイッチ112がオフした状態、すなわちリニアステッピングモータ63の出力軸122が伸長して押圧部材111がケーシング110内で図13の右方へ移動した状態で、前記当接位置検出スイッチ130がオンすると、検出ピン62の端部106aが刃先66に当接したものと判断し、前述したようにして刃幅を測定することができる。裁断前後の刃幅の差から裁断刃6の摩耗量を求めることができる。
【0053】
上述の実施例では、移動手段13において、Z軸リフトモータ21からの回転力をねじ棒19に伝達して、空気圧シリンダ11を上下に昇降変位させるようにしたけれども、本発明の他の実施例として、前記ねじ棒19に代えて摺動板10にラックを取付け、このラックに噛合するピニオンを回転駆動させて摺動板10を移動させて、裁断刃6およびフットプレッサ14の上限位置を設定するようにしてもよい。また、フットプレッサ14を用いてシート材料3の積層厚を検出しているけれども、レーザビームや測距センサなどを使用してもよい。さらに、これらのセンサは、裁断ヘッド1の内部または外部のいずれに設けてもよい。さらにまた、シート材料3の積層厚は、たとえば別途測定したデータを裁断装置に設定するようにしてもよい。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、裁断刃の非裁断位置がシート材料の積層厚に応じて設定される。シート材料の積層厚に拘らず裁断刃がシート材料に臨む下端がシート材料の表面からむやみに大きな間隔をあけて離間せず、シート材料の積層厚に応じて裁断刃の上昇量を調整し、裁断刃の無駄な上昇・下降動作およびそれに要する作動時間をなくし、1つの裁断パターンを裁断するために要する時間を短縮して、生産効率を向上することができる。このような裁断時間の短縮は、長期にわたる多くの裁断回数に累積されることによって大きな生産量の差を生じ、格段に生産性を向上させることができる。
【0055】
また本発明によれば、裁断ヘッドがテーブル上を広範囲に走行しても、各走行位置で積層厚の検出と非裁断位置の設定を行うことができる。
【0056】
また本発明によれば、裁断時に生地押さえとして使用される押さえ部材を用いて、積層厚を検出することができる。
【0057】
また本発明によれば、非裁断位置で、裁断刃の研磨と刃幅測定とを行うことができる。これらの処理のために必要な裁断刃の昇降移動量が最小となるので、生産効率が向上する。
【0058】
さらに本発明によれば、裁断刃の非裁断位置が、その裁断刃の先端がシート材料の上面から予め定める間隔を有するように設定されるので、裁断刃をシート材料から抜取る上昇動作および裁断刃をシート材料に挿入する下降動作において、シート材料の上面と上限位置にある裁断刃の先端との間にむやみに大きな間隔が生じることをなくし、積層厚に応じた最小の移動量で裁断刃を上昇および下降させることができ、無駄な動作およびそれに要する作動時間をなくして、生産効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の裁断装置に備えられる裁断ヘッド1を示す簡略化した斜視図である。
【図2】フットプレッサ14のシート材料3に対する変位量を説明するための一部の断面図である。
【図3】裁断ヘッド1を備える裁断装置37の全体を示す斜視図である。
【図4】図3の切断面線IV−IVから見た拡大断面図である。
【図5】図4の上方から見た裁断ヘッド1の断面図である。
【図6】図4の左側から見た裁断ヘッド1の断面図である。
【図7】制御手段17による制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施例の制御手段17による制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1の実施例における移動手段13およびフットプレッサ14に関連する構成を簡略化して示す図である。
【図10】図1の実施例の部分断面図である。
【図11】図10の切断面線XI−XIから見た断面図である。
【図12】図10の切断面線XI−XIから見た一部省略断面図である。
【図13】図1の実施例の刃幅検出手段60の断面図である。
【符号の説明】
1 裁断ヘッド
3 シート材料
4 剛毛ブラシ
5 支持面
6 裁断刃
7 上面
8 下面
9 ヘッドブロック
10 摺動板
11 空気圧シリンダ
13 移動手段
14 フットプレッサ
15a R軸本体
16 変位量検出手段
17 制御手段
21 Z軸リフトモータ
35 ロータリエンコーダ
37 裁断装置
51 作動リング
52,58 モータ
55 内歯歯車
57 カムリング
60 刃幅検出手段
62 検出ピン
69 ロツク手段

Claims (5)

  1. 多数の剛毛ブラシの先端によって一平面内に延びるように構成される支持面を有し、シート材料が積層状態で載置されるテーブルと、該一平面内で走行駆動される裁断ヘッドとを有し、裁断ヘッドには、裁断刃と、裁断刃を該一平面に垂直なZ軸方向に予め定める振幅で往復振動させてシート材料を裁断させる機構を内蔵するヘッドブロックとを備える裁断機において、
    テーブル上に載置されるシート材料の表面に接触して、表面の位置を検出し、検出されるシート材料の表面位置に基づいて、シート材料の積層厚を設定する積層厚設定手段と、
    裁断刃がシート材料を突刺して、裁断刃の刃先がテーブルを構成する剛毛ブラシ中に挿入されている状態で、裁断刃の往復振動による裁断が行われる裁断位置が予め規定され、積層厚設定手段に設定された積層厚に応じて裁断刃の先端がシート材料の表面から予め定める間隔を有するように定められる非裁断位置と裁断位置との間で、ヘッドブロックをZ軸方向に昇降移動させる昇降移動手段とを含むことを特徴とする裁断機。
  2. 前記積層厚設定手段および前記昇降移動手段は、前記裁断ヘッドに備えられることを特徴とする請求項1記載の裁断機。
  3. 前記積層厚設定手段には、裁断刃の周縁部でシート材料の表面を押さえる押さえ部材が前記Z軸方向に変位可能に設けられ、この押さえ部材がばね付勢されてシート材料の表面に当接し、ばね付勢に抗して変位を開始する位置に応じてシート材料の表面の位置が検出されることを特徴とする請求項2記載の裁断機。
  4. 前記裁断ヘッドには、前記非裁断位置で裁断刃の研磨が可能な研磨手段と、前記非裁断位置で裁断刃の刃幅測定が可能な刃幅測定手段が備えられることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の裁断機。
  5. 多数の剛毛ブラシの先端によって一平面内に延びるように構成される支持面を有するテーブルと、該一平面内を走行移動可能で該一平面に垂直なZ軸方向に予め定める振幅で往復振動可能な裁断刃を備える裁断ヘッドとを含む裁断機で、該テーブル上に積層状態で載置されるシート材料を裁断する裁断方法において、
    裁断刃がシート材料を突刺して、裁断刃の刃先がテーブルを構成する剛毛ブラシ中に挿入されている状態で、裁断刃の往復振動による裁断が行われる裁断位置を予め規定しておき、
    テーブル上に載置されるシート材料の表面に接触して、表面の位置を検出し、
    検出されるシート材料の表面位置に基づいて、シート材料の積層厚を設定し、
    設定されるシート材料の積層厚に応じて、裁断刃の先端がシート材料の表面から予め定める間隔を有するように定められる非裁断位置を設定し、
    シート材の裁断は裁断位置で行い、裁断刃の退避は非裁断位置で行うように、裁断刃を該一平面に垂直なZ軸方向に昇降移動することを特徴とする裁断方法。
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