JPH0557082A - ミシンの針棒駆動装置 - Google Patents

ミシンの針棒駆動装置

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JPH0557082A
JPH0557082A JP3246684A JP24668491A JPH0557082A JP H0557082 A JPH0557082 A JP H0557082A JP 3246684 A JP3246684 A JP 3246684A JP 24668491 A JP24668491 A JP 24668491A JP H0557082 A JPH0557082 A JP H0557082A
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needle
lever
shaft
solenoid
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昌一 国枝
Motonari Nakano
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    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05BSEWING
    • D05B55/00Needle holders; Needle bars
    • D05B55/14Needle-bar drives

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来固定であった縫針の上死点や下死点の位
置を変更して、ミシンの運転騒音を小さくして縫針を止
めることなく飛び縫いを行ったり、ボーリングメスによ
る切込み深さを変更したり、手刺繍パターンのマーキン
グ処理を針孔跡を小さくしたりすることができるミシン
の針棒駆動装置を提供すること。 【構成】 ミシンモータ22により回転される歯車42
には偏心カム44が固定され、歯車42に従動して歯車
54が回転しリンク60を介してベルクランクレバー6
2が揺動される。レバー62には滑動子68が摺動可能
に支持され、その滑動子62はリンク72を介して針棒
軸80に固定されたレバー74に連結される。針棒軸8
0はレバー84を介して針棒に作動連結されており、そ
の揺動により針棒は上下往復動される。前記滑動子68
を前記偏心カム44,ソレノイド160等により移動さ
せると針棒の下死点の位置が変更される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ミシンの針棒駆動装置
に関するものであり、特に針棒の死点位置の変更が可能
な針棒駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ミシンには針棒駆動装置が設けられてい
る。針棒駆動装置により、先端部に縫針を保持した針棒
が軸方向に振動させられることによって、上糸が挿通さ
れた縫針が被加工材を貫通し、上糸の糸輪と下糸とが絡
まされて縫目が形成されるようになっているのである。
【0003】ミシンによって模様縫いやしつけ縫いを行
う場合には、被加工材の送り量に対する縫目の形成数を
通常の縫製時より減少させて大きな縫目を形成する、所
謂飛び縫いが行われており、例えば、特公昭57−35
675号公報には飛び縫いの可能な針棒駆動装置が記載
されている。この針棒駆動装置においては、針棒が、係
合部材とその係合部材に係合・離脱可能に設けられた係
合ピンとを介して、針棒クランクロッドにより軸方向に
振動させられるガイド棒に連結されることにより、飛び
縫いが可能とされている。すなわち、通常の縫製時に
は、係合ピンと係合部材とが係合させられ、ガイド棒を
介してクランクロッドの振動が針棒に伝達されることに
より、針棒が振動させられて縫目の形成が行われるのに
対して、飛び縫い時には、係合ピンと係合部材との係合
が解除され、針棒とクランクロッドとの連結が絶たれる
ことにより、針棒が一点で停止させられ、縫目が形成さ
れないようになっているのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように針棒の振動が停止させられることにより飛び縫い
が行われる場合には、布送り装置により被加工材が送ら
れる際、上糸が停止状態にある縫針の針穴内を滑ること
となるため、上糸と針穴内周面との摩擦力により被加工
材が引っ張られて引きつれが生じ易いという不都合があ
った。特に、布送り量が大きい場合や針棒が被加工材か
ら大きく離れた位置で停止させられている場合に、この
傾向が顕著に現れる。飛び縫い時には針棒の下死点、す
なわち針棒の被加工材に最も接近する点の位置を縫針が
被加工材を貫通しないか、貫通はしても縫目が形成され
ない位置に変更すれば、針棒を停止させずに飛び縫いを
行うことが可能となるのであるが、従来はこのように針
棒の下死点の位置を変更することは行われていなかっ
た。
【0005】針棒の死点位置の変更が不可能であったこ
とによって、上記飛び縫い実行時の他にも次のような不
都合が生じていた。まず、針棒の先端に縫針に代えてボ
ーリングメスを取り付け、被加工材にボーリング処理を
施す場合に、針棒の下死点位置の変更によって被加工材
の材質や厚さに応じて切込深さを変えることができれば
好都合なのであるが、それが不可能であった。また、縫
針に上糸を挿通せずに被加工材を貫通させて手刺繍パタ
ーン等のマーキング処理を施すことが行われているが、
下死点位置の変更が不可能であると縫針が深く刺さって
貫通孔が過大となり、さらに、スウェードやバックスキ
ン,合成皮革のような抵抗の大きい被加工材においては
多量の摩擦熱が発生するため、マーキング処理速度を低
くせざるを得なくなるという不都合があった。さらに、
通常の縫製を行う場合に針棒の振幅を必要以上に大きく
せざるを得ないという問題もあった。縫目を形成するた
めだけであれば、縫針を被加工材からそれほど多く離脱
させなくてもよく、針棒の上死点を比較的低くすること
ができるのであるが、被加工材をミシンにセットする際
には縫針が十分高くないと被加工材と干渉するため、針
棒の上死点を高くする必要がある。そのために、針棒の
振幅が必要以上に大きくなり、ミシンの運転騒音が大き
くなったり、あるいは運転速度を十分に高め得ないとい
う不都合があったのである。
【0006】本発明はこれらの不都合を解消し得る針棒
駆動装置を得ることを課題として為されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そして、本発明の要旨
は、ミシンの針棒駆動装置に、針棒の上死点と下死点と
の少なくとも一方を変更する死点位置変更手段を設けた
ことにある。死点位置の変更は、少なくとも2段階に行
い得ればよく、無段階の(連続的な)変更は多段階の変
更の極限と見做すこととする。
【0008】
【作用】上死点と下死点とのいずれか一方のみを変更す
れば、針棒の振幅が変わるため、死点位置変更手段は多
くの場合振幅変更手段であるが、これは不可欠なことで
はない。例えば、上死点と下死点とを同方向に同距離ず
つ変更すれば、振幅は変わらないのであるが、それでも
前記不都合は解消できるのである。
【0009】本発明が飛び縫いに適用された場合には、
死点位置変更手段により針棒の下死点の位置が、縫針が
被加工材を貫通しないか、あるいは貫通しても縫目が形
成されない位置で停止するように変更される。そのた
め、針棒が軸方向に振動させられても縫目が形成され
ず、飛び縫い中においても、針棒を停止状態に保つ必要
がない。すなわち、被加工材が送られる際に、縫針を下
降させて上糸の針穴に対する滑り量を減少させることが
でき、場合によっては滑りを無くすこともできるのであ
る。また、ボーリング処理に適用された場合には、被加
工材の材質や厚さに応じて針棒の下死点の位置を変更す
ることにより切込深さが変えられる。さらに、スウェー
ド等の抵抗の大きい被加工材にマーキング処理を施すた
めに本発明が適用された場合には、針棒の下死点の位置
を高くすることにより縫針の先端部のみが被加工材に刺
さるようにすることが可能となる。また、通常の縫製に
適用された場合には、被加工材をミシンにセットする際
に針棒の上死点の位置を高くすることにより、縫針の位
置を十分高くすることが可能となる。
【0010】
【発明の効果】したがって、飛び縫いを行う場合に、針
棒を停止させずに飛び縫いを行うことが可能となり、上
糸と針穴内周面との摩擦熱による上糸の損傷や、被加工
材の引きつれが防止される。また、ボーリング処理を施
す場合に、被加工材の材質や厚さに応じて切込深さを変
えることができ、針棒の下死点の位置を著しく高くする
ことにより浅く鋭い切込みを形成し得、下死点の位置を
比較的低くすることにより深い切込みを高速で形成する
ことができる。また、マーキング処理を施す場合に、貫
通孔が過大となることを防止し得、特に、スウェード等
の抵抗の大きい被加工材と縫針との摩擦熱の発生を最小
限に抑えることができるため、マーキング処理を高速で
行うことが可能となる。さらに、通常の縫製を行う場合
に、被加工材をミシンにセットする際、被加工材が縫針
と干渉することを防止し得、ミシンの運転騒音の発生や
運転速度の低下を回避することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を飛び縫いに適用した場合の実
施例を図面に基づいて詳細に説明する。図4において、
10は機枠である。機枠10は、コラム部12,アーム
部14およびベッド部16を備えている。アーム部14
およびベッド部16はそれぞれコラム部12から水平方
向に延び出させられており、コラム部12とアーム部1
4およびベッド部16とは仕切壁18により仕切られて
いる。コラム部12には、ミシンモータ22が配設され
ており、ミシンモータ22の出力軸24にはプーリ26
が相対回転不能に取り付けられている。また、仕切壁1
8にはボス28が形成されており、歯車軸30の基端部
がベアリング32,34を介して回転可能に支持されて
いる。歯車軸30は出力軸24と平行に延び出させられ
ており、先端部にはプーリ36が相対回転不能に取り付
けられている。プーリ26とプーリ36との間にはベル
ト38が巻き掛けられており、ミシンモータ22の回転
が歯車軸30に伝達されるようになっている。
【0012】歯車軸30には歯車42および偏心カム4
4が相対回転不能に取り付けられている。また、仕切壁
18のボス28の下方には別のボス46が形成されてお
り、歯車軸48がベアリング50,52を介して回転可
能に支持されている。歯車軸48の先端部には、歯車4
2と同径の歯車54が相対回転不能に取り付けられてお
り、歯車42と噛み合わされている。
【0013】歯車54の一端面にはスペーサ58を介し
てリンク60の一端が連結されており、リンク60の他
端はレバー62の一方のアームに連結されている。図1
に示すように、レバー62はベルクランク形を成してお
り、支軸64により仕切壁18に回動可能に支持されて
いる。したがって、歯車54の回転によりリンク60を
介してレバー62が支軸64まわりに回動運動させられ
る。レバー62の他方のアームはロッド状のスライド軸
66とされており、円筒状の滑動子68が摺動可能に嵌
合されている。滑動子68には耳片状の連結部70が形
成されており、この連結部70を間に挟んで一対のリン
ク72の一端がそれぞれ回動可能に連結されている。こ
れらリンク72の各他端は、レバー74の自由端に連結
されている。
【0014】レバー74の基端部は針棒軸80に嵌合さ
れ、スプリングピン78により固定されている。針棒軸
80は仕切壁18に形成されたボス82に回転可能に支
持されており、コラム部12内においてレバー74を保
持する一方、アーム部14内において、その軸方向に隔
たった2箇所に、2本のレバー84を保持している(図
1には破線で一方のみ示す)。各レバー84は針棒軸8
0の軸心に対してレバー74と反対方向に延び出してお
り、図5に示すように、レバー74と同様にスプリング
ピン86により針棒軸80に固定されている。したがっ
て、レバー62の支軸64まわりの回動運動が、滑動子
68および一対のリンク72を介してレバー74に伝達
され、レバー74の回動運動が針棒軸80を介してレバ
ー84に伝達される。
【0015】図4および図5に示すように、アーム部1
4には、各レバー84に対向する位置にそれぞれ開口9
0(両図において一方のみ示す)が形成されており、各
開口90の上方および下方には一対のガイドレール9
2,94がアーム部14の長手方向に沿って設けられて
いる。アーム部14には、これら開口90を閉塞する状
態で第一ヘッド96および第二ヘッド98が保持されて
いる。両ヘッド96,98はそれぞれ、機枠10側に開
口する箱状の針棒ケース100を備えている。針棒ケー
ス100の上下両端板102,104の開口側端部に
は、それぞれ水平な係合突部106,108が形成され
ており、ガイドレール92,94の溝にそれぞれ摺動可
能に嵌合されている。
【0016】第一ヘッド96の針棒ケース100には、
2本の針棒114,116が上下方向に振動可能に保持
されている。各針棒114,116はそれぞれ下端に縫
針118,120を保持している。針棒114,116
は上側端板102から針棒ケース100内に延びる円筒
状のガイド122および下側端板104に形成された貫
通穴124にそれぞれ挿通されており、針棒114,1
16の中央部にはそれぞれ係合部材126,128が嵌
合され、止めねじ130によって固定されている。ま
た、各係合部材126,128と下側端板104との間
にはそれぞれスプリング132が配設されて、針棒11
4,116を上方へ付勢している。針棒114,116
の上昇限度、すなわち上死点は、係合部材126,12
8の上端面がガイド122の下面に当接することにより
規定され、縫製作業が行われない状態では、針棒11
4,116が同じ位置の上死点で待機させられる。な
お、針棒114,116の針棒ケース100に対する軸
方向位置は、止めねじ130を緩めて係合部材126,
128の軸方向位置を変えることにより調整できる。
【0017】係合部材126,128の後端部にはそれ
ぞれ、図5に拡大して示すように、凸部および凹部を有
してL字形を成す係合部134,136が形成されてい
る。一方、針棒軸80に連結された2本のレバー84の
自由端部には、それぞれリンク138を介して伝達子1
40が回動可能に連結されている。各伝達子140の先
端部には、係合部材126,128の係合部134,1
36に対応する凹部および凸部を有する係合部が形成さ
れている。伝達子140は、もし係合部材126,12
8のいずれとも係合しなければ、自重によりリンク13
8から垂下する状態となるまで回動するのであるが、常
に係合部材126,128のいずれか一方とは係合し、
回動を防止された状態にある。例えば、図5に示すよう
に、係合部材126の係合部134と係合すれば、その
凹部および凸部が係合部134の凸部および凹部と噛み
合って水平な姿勢に保たれるのである。したがって、レ
バー84の時計方向の回動によりリンク138を介して
伝達子140が下降させられれば、係合部材126を介
して針棒114がスプリング132の付勢力に抗して押
し下げられる。また、レバー84が反時計方向に回動さ
せられれば、係合部材126と伝達子140とが係合し
た状態で、針棒114がスプリング132の付勢力によ
り上死点まで上昇させられる。
【0018】本実施例においては、レバー84の回動運
動が、リンク138,伝達子140および係合部材12
6,128によって、針棒114,116の上下方向の
振動に変換されるようになっており、レバー84の時計
方向への回動量が変更されることによって針棒114,
116の下死点が変更されるようになっている。
【0019】第二ヘッド98も第一ヘッド96と同様な
構造とされており、下端部に縫針142,144を保持
した針棒146,148が上下方向に振動可能に設けら
れている。針棒146,148の上死点も、針棒11
4,116の上死点と同じ高さとされており、ミシン停
止状態では針棒146,148が上死点に保持される。
また、針棒146,148には係合部材126,128
と同様な係合部材がそれぞれ取り付けられており、針棒
軸80の設けられたもう一方のレバー84にリンク13
8を介して連結された伝達子140がそれら係合部材に
係合させられるようになっている。したがって、レバー
84の回動運動が、リンク138,伝達子140および
係合部材によって針棒146,148の上下方向の振動
に変換される。これら一対のレバー84は、針棒軸80
と一体的に回動させられるようになっているため、レバ
ー74の回動により両レバー84が同時に回動させら
れ、各ヘッド96,98内においてそれぞれ伝達子14
0と係合させられた針棒114,146、あるいは針棒
116,148が同時にしかも同じ振幅で振動させられ
る。
【0020】図4に示すように、アーム部14には、針
棒軸80と平行に延びる針交換軸152が設けられてい
る。針交換軸152は、第一,第二ヘッド96,98の
両側板を貫通して延びており、その軸方向移動に伴って
各ヘッド96,98がガイドレール92,94に沿って
一体的に移動させられる。針交換軸152の基端部は長
円のリング部154とされており、アーム部14に固定
されたモータ156の出力軸に取り付けられたクランク
軸158に摺動可能に嵌合されている。したがって、2
つの伝達子140が針棒114および針棒146と係合
しており、針棒114,116,146,148の全て
が停止した状態で、モータ156が駆動されてクランク
軸158が半回転させられれば、針交換軸152が図に
おいて左方へ移動し、それに伴ってヘッド96,98が
左方へスライドさせられる。それにより、針棒114,
146の各係合部材と各伝達子140との係合が同時に
解除されるとともに、各伝達子140が続いて針棒11
6,148の各係合部材に同時に係合させられる。した
がって、次にレバー84の回動が行われれば、針棒11
4,146は上死点で待機させられ、代わって針棒11
6,148が上下動させられる。
【0021】図1に示すように、コラム部12内におい
て、偏心カム44と一対のリンク72との間には、電磁
石装置たるソレノイド160が配設されている。ソレノ
イド160はヨーク161,コイル162およびコア1
64から成っており、コイル162に励磁電流が供給さ
れることによりヨーク161およびコア164が励磁さ
れるようになっている。ソレノイド160は仕切壁18
に固定された支持部材166にボルト168により取り
付けられている。コア164には軸方向に貫通穴170
が形成されており、ロッド172が摺動可能に嵌合され
ている。ロッド172の一端部には円板174が同心に
固定されており、さらにその先端にはころ176が取り
付けられている。円板174は磁性材料から成ってお
り、被吸引部材として機能する。
【0022】ヨーク161の外周面に形成された段部と
円板174の肩面との間にはスプリング178が配設さ
れており、円板174がソレノイド160から離間する
向きに付勢され、ころ176が偏心カム44のカム面に
当接させられている。そのため、偏心カム44の回転に
よって、ロッド172が貫通穴170内を軸方向に摺動
し、円板174がソレノイド160に接近・離間させら
れる。偏心カム44のカム面は、円板174がソレノイ
ド160に接近するにしたがって、その接近速度が減少
するように形成されており、かつ、図2に示すように、
円板174がソレノイド160に最も接近した状態では
円板174とソレノイド160の端面との間に殆ど隙間
がない状態となるようにされている。なお、ロッド17
2の貫通穴170からの抜け出しは止め輪180により
防止されている。
【0023】図1に示すように、機枠10には反射型の
光電スイッチ182が設けられ、制御装置184に接続
されている。一方、歯車42の光電スイッチ182に対
向する面には反射面186が形成されている。反射面1
86は、偏心カム44によって円板174がソレノイド
160に最も接近させられたとき、図2に示すように光
電スイッチ182からの検出光を反射する位置に形成さ
れている。したがって、作業者により飛び縫いが選択さ
れている状態で光電スイッチ182が反射面186を検
出すれば、光電スイッチ182から制御装置184に検
出信号が出力され、その出力信号に基づいて制御装置1
84からソレノイド160に励磁電流が供給されるよう
になっている。このように、円板174がソレノイド1
60に接近するにつれて接近速度が減速されるととも
に、円板174がソレノイド160に最も接近したとき
にソレノイド160の励磁が行われることにより、図6
のグラフから明らかなように、円板174がソレノイド
160から離間した状態で円板174が吸引される場合
に比較して、ソレノイド160の吸引力、すなわち励磁
電流が小さくて済む。また、円板174のソレノイド1
60への衝突音も小さくなる。
【0024】本実施例においては、偏心カム44が減速
手段を構成しており、光電スイッチ182,反射面18
6および制御装置184が電磁石装置制御手段を構成し
ているのである。
【0025】一方、ロッド172の他端は支持部材16
6の貫通穴188を貫通して延び出させられており、リ
ンク190を介して一対のリンク72の中間部に連結さ
れている。偏心カム44の回転に基づくロッド172の
軸方向移動により、リンク190を介してリンク72が
移動させられ、滑動子68がレバー62のスライド軸6
6上を移動させられるようになっているのである。
【0026】また、作業者により縫製終了スイッチ等が
操作されることにより縫製作業が終了される場合には、
光電スイッチ182からの反射面186の検出信号に基
づいて制御装置184からミシンモータ22の駆動装置
に停止指令信号が出力される。したがって、飛び縫い時
においても、通常の縫製時においても、光電スイッチ1
82が反射面186を検出した時、すなわち、図2に示
すように針棒114,116,146,148が上死点
に達した時に、ミシンモータ22が停止させられ、針棒
114等が上死点で停止する。
【0027】以上のように構成された針棒駆動装置にお
いて、通常の縫目形成時には、ミシンモータ22の起動
により、歯車42,54および偏心カム44が回転させ
られる。図2に示すように、偏心カム44のカム面によ
り円板174が最もソレノイド160に接近したことが
光電スイッチ182により検出されれば、ソレノイド1
60に励磁電流が供給されて、円板174がソレノイド
160の端面に吸引保持される。
【0028】円板174がソレノイド160に吸引保持
された状態では、ロッド172およびリンク190がリ
ンク72側へ押し出されるため、図3に示すように、滑
動子68がスライド軸66の先端側へ移動させられ、レ
バー62の回動によりリンク72が高い位置まで上昇
し、レバー74およびレバー84の回動量が大きくなっ
て、針棒114,146の振幅が大きくなる。したがっ
て、図7のグラフに実線で示すように、針棒114,1
46の下死点の位置が、縫針118,142が被加工布
を十分貫通し得る高さとなり、針棒114,146の上
下動により、ベッド部14上に保持された被加工布の縫
製が行われる。
【0029】それに対して、飛び縫いが行われる場合に
は、光電スイッチ182がOFFとされ、ソレノイド1
60の励磁が行われないようにされる。したがって、図
1に示すようにスプリング178の付勢力により円板1
74がソレノイド160から離間させられ、ころ176
が偏心カム44のカム面に押し付けられた状態に保たれ
る。したがって、偏心カム44の回転に伴ってロッド1
72およびリンク190が軸方向に往復移動させられ
る。
【0030】ころ176が偏心カム44のカム面により
最も押し出された状態では、ロッド172およびリンク
190の軸方向位置が円板174がソレノイド160に
吸引保持された状態と等しくなるため、レバー84の反
時計方向の回動量がソレノイド160の励磁状態におけ
る回動量と等しくなる。したがって、針棒114,14
6の上死点の位置が通常縫製時と飛び縫い時とで同じ高
さとなる。
【0031】一方、偏心カム44が回転するにつれて、
スプリング178の付勢力によりロッド172およびリ
ンク190が偏心カム44側へ移動するため、リンク7
2が偏心カム44側へ引っ張られる。それにより、滑動
子68が図1に示すようにスライド軸66の基端部側へ
移動させられ、リンク72の上昇量が通常縫製時により
小さくなる。そのため、レバー74およびレバー84の
時計方向の回動量が小さくなり、針棒114,146の
振幅が通常縫製時よりも小さくなる。したがって、図7
のグラフに破線で示すように、針棒114,146の下
死点の位置が、縫針118,142が被加工布の上面に
達しない高さとなり、針棒114,146の上下動によ
り被加工布に貫通孔が形成されることがなく、縫目の形
成も行われない。
【0032】本実施例においては、偏心カム44,レバ
ー62,滑動子68,リンク72,ソレノイド160,
ロッド172,円板174,リンク190等により針棒
114,116,146および148の死点位置変更手
段が構成されているのである。
【0033】また、本実施例においては、飛び縫い時と
通常の縫製時とで上死点の位置が同一とされており、ど
ちらの場合でも、停止状態にある針棒は上死点で待機さ
せられるようになっているため、第一,第二ヘッド9
6,98の水平移動により、伝達子140と係合する係
合部材126,128を変更して針棒の選択変更を容易
に行うことができる。また、第一,第二ヘッド96,9
8は共通の針交換軸152により移動させられるため、
複数のヘッドの針棒の選択変更を一斉に行うことができ
る。
【0034】本実施例においては、光電スイッチ18
2,反射面186および制御装置184により停止制御
手段が構成されているのである。
【0035】さらに、本実施例においては、電磁石装置
が、ヨーク161,コイル162およびコア164を備
えたソレノイド160から成っており、通常の縫製時
に、コイル162に励磁電流が供給されることによりヨ
ーク161およびコア164が励磁されて円板174を
吸引保持するようになっていたが、コア164に代えて
永久磁石を備えた電磁石装置を使用することも可能であ
る。この電磁石装置を用いれば、通常の縫製時には永久
磁石の磁力により円板174が吸引保持され、飛び縫い
時にはコイルに永久磁石の磁力を打ち消すための電流を
供給することにより、円板174が電磁石装置から離間
させられる。したがって、通常の縫製時には励磁電流を
供給する必要がなく、消費電流が少なくて済む。
【0036】次に、本発明の第二実施例を図8および図
9に示す。なお、前記第一実施例と同様の部材には同一
の符号を付して、詳細な説明は省略する。本実施例にお
いては、ソレノイド160に代えて、ソレノイド200
を保持した支持部材202が設けられている。図9に拡
大して示すように、ソレノイド200は頭付ピン204
により支持部材202に固定されている。ソレノイド2
00はヨーク206,コイル208および可動鉄心21
0から成っており、コイル208に励磁電流が供給され
ることにより、可動鉄心210がスプリング212の付
勢力に抗してコイル208内に引き込まれるようになっ
ている。
【0037】支持部材202には軸方向に延びる貫通穴
214が形成されており、ロッド216が軸方向に移動
可能に嵌合されている。ロッド216にはリテーナ21
8が固定されており、先端部には前記実施例と同様なこ
ろ176が取り付けられている。リテーナ218と支持
部材202の肩面220との間にはスプリング222が
配設されており、常にはスプリング222の付勢力によ
ってころ176が偏心カム44のカム面に当接させられ
ている。また、ロッド216のリンク190側の支持部
材202からの突出部は大径部とされており、その大径
部の肩面が係合部224とされている。
【0038】一方、支持部材202には、係合部224
に係合可能な係合爪226の基端部が回動可能に取り付
けられている。係合爪226は可動鉄心210の突出端
部にピンと長穴とで連結されており、可動鉄心210の
摺動に伴って軸228まわりに回動させられるようにな
っている。
【0039】通常の縫製時には、ソレノイド200が消
磁状態とされ、スプリング212の付勢力により可動鉄
心210がソレノイド200から突出させられる。その
ため、偏心カム44の回転により、ロッド216がスプ
リング222の付勢力に抗して最もリンク72側へ突出
させられた状態で、係合爪226が二点鎖線で示すよう
にロッド216の係合部224に係合させられ、ロッド
216およびリンク190が突出する状態に保たれる。
【0040】一方、飛び縫いが行われる場合には、偏心
カム44がロッド216を最もリンク72側へ突出させ
る位置に達したとき、ソレノイド200が励磁され、可
動鉄心210が吸引されてソレノイド200内へ引き込
まれる。それにより、係合爪226が回動させられて係
合部224との係合が解除され、ロッド216がスプリ
ング222の付勢力により偏心カム44側へ移動させら
れ、ころ176が偏心カム44のカム面に当接させられ
る。したがって、偏心カム44の回転に伴ってロッド2
16およびリンク190が軸方向に移動させられ、前記
実施例と同様にレバー74およびレバー84の回動量が
小さくされて針棒114,146の下死点位置が高くさ
れることとなる。
【0041】本発明の第三実施例を図10に示す。図に
おいて、機枠300のアーム部302にはミシンモータ
304が固定されており、その出力軸306に歯車30
8が相対回転不能に取り付けられている。また、アーム
部302には歯車310,312が取り付けられて、こ
れらが噛み合わされており、歯車308の回転が各歯車
310,312に伝達されるようになっている。歯車3
10の回転軸313には偏心軸314が結合されてい
る。偏心軸314には揺動子316が回動可能に嵌合さ
れており、揺動子316は、支軸317によりアーム部
302に回転可能に支持されたレバー318の一方のア
ームに連結されている。レバー318の他方のアームは
スライド軸320とされており、滑動子322が摺動可
能に嵌合されている。したがって、歯車310の回転が
偏心軸314により揺動子316の揺動に変換され、揺
動子316の揺動によりレバー318が支軸317まわ
りに回動させられる。
【0042】アーム部302の先端部には、上下方向に
ガイド穴326,328が形成されており、下端部に縫
針330を保持した針棒332が上下方向に振動可能に
取り付けられている。針棒332の中央部にはスリーブ
334を介して上下動リンク336が連結されており、
上下動リンク336には針棒レバー338が連結されて
いる。針棒レバー338は、アーム部302に保持され
た針棒軸340により回動可能に支持されている。針棒
レバー338と滑動子322とは、スライド軸320と
ほぼ直交して上下方向に延びるリンク342により連結
されている。
【0043】また、歯車312の回転軸には偏心カム3
44が相対回転不能に取り付けられており、歯車312
と共に回転させられるようになっている。また、偏心カ
ム344のカム面には、ロッド350の一端部に保持さ
れたころ346が当接させられている。ロッド350の
他端部は垂直壁352に形成された貫通穴354に挿通
されており、その小径の先端部にはキャップ356が取
り付けられている。また、垂直壁352にはリテーナ3
58が取り付けられており、ロッド350の肩面とリテ
ーナ358との間にスプリング360が配設されてい
る。通常はスプリング360の付勢力によりころ346
が偏心カム344のカム面に当接させられているのであ
る。
【0044】垂直壁352には取付板362が取り付け
られており、この取付板362にソレノイド364が固
定されている。ソレノイド364の近傍には磁性材料製
の係合部材366が配設されている。係合部材366の
基端部は取付板362により回動可能に保持されるとと
もに、引張コイルスプリング368によりソレノイド3
64側に引き寄せられているが、先端部はロッド350
に取り付けられたキャップ356と係合しており、常に
は、偏心カム344の回転によるロッド350の移動に
伴ってソレノイド364に接近・離間させられるように
なっている。係合部材366がソレノイド364に最も
接近したことが図示しないセンサにより検出されて、図
示しない制御装置からソレノイド364に励磁電流が供
給されれば、係合部材366がソレノイド364に吸引
保持されるため、ロッド350のスプリング360の付
勢力による前進が阻止され、ころ346が偏心カム34
4のカム面から離間させられる。なお、偏心カム344
の形状は、係合部材366がソレノイド364に接近す
るに従って、その接近速度を減少させるようになってい
る。
【0045】本実施例においては、偏心カム344が減
速手段を構成しており、図示しないセンサおよび制御装
置がソレノイド364の制御手段を構成しているのであ
る。
【0046】リンク342の中間部からはリンク370
が針棒レバー338とほぼ平行に延び出させられてお
り、リンク342ところ346とを連結している。偏心
カム344の回転により、リンク370を介してリンク
342にその軸方向と直交する向きの力が加えられれ
ば、その力に応じて滑動子322がスライド軸320上
を摺動させられる。それにより、揺動子316と支軸3
17との距離Bと滑動子322と支軸317との距離A
との比率(レバー比)が変更される。
【0047】本実施例においては、偏心カム344のカ
ム面の形状が、レバー318が時計方向に回動するにつ
れて、リンク342が図において右方へ移動し、滑動子
322がスライド軸320の基端部に向かって摺動させ
られるようになっている。したがって、レバー比が小さ
くなり、レバー318の回動量に対する針棒レバー33
8の回動量が小さくされる。それに対して、レバー31
8が反時計方向に回動するにつれて、リンク342が左
方へ押し出され、滑動子322がスライド軸320の先
端部に向かって摺動するようにされているため、レバー
比が大きくなり、レバー318の回動量に対する針棒レ
バー338の回動量が大きくなるようにされている。
【0048】また、アーム部302には、図示はしない
が、図1と同様の光電スイッチが設けられており、歯車
310には反射面が形成されている。反射面は、歯車3
10の回転によりレバー318が時計方向に回動限度ま
で回動したときに光電スイッチと対向する位置に形成さ
れている。光電スイッチは図示しない制御装置に接続さ
れており、反射面を検出したとき、その検出信号を制御
装置に出力するようになっている。
【0049】以上のように構成された針棒駆動装置にお
いて、通常の縫製が行われる場合には、ソレノイド36
4が励磁されず、偏心カム344のカム面に沿ってころ
346,ロッド350およびリンク370等が摺動可能
とされる。ミシンモータ304の駆動により、揺動子3
16を介してレバー318のスライド軸320が回動さ
せられ、この回動がリンク342を経て針棒レバー33
8に伝達され、針棒レバー338が針棒軸340を支点
として回動させられることにより上下動リンク336お
よびスリーブ334を介して針棒332が上下動させら
れる。レバー318が時計方向へ回動するにつれて、す
なわち、針棒332が上昇させられるにつれてレバー比
が小さくなり、レバー318が反時計方向へ回動するに
つれて、すなわち針棒332が下降させられるにつれて
レバー比が大きくなるため、針棒332の下方への振幅
が大きくなる。したがって、針棒332の下死点位置
が、縫針330が被加工布を貫通し得る高さとなり、針
棒332の上下動により縫目が形成される。
【0050】一方、飛び縫いが行われる場合には、針棒
332が上死点に達したとき、ソレノイド364が励磁
され、係合部材366が吸引保持される。ロッド350
は、針棒332が上死点に達したとき最も右方へ移動さ
せられるため、係合部材366が最もソレノイド364
に接近させられる。このとき、ソレノイド364が励磁
されるため、係合部材366の励磁電流が小さくて済
み、吸引時の衝突音も小さくなる。
【0051】係合部材366がソレノイド364に吸引
保持されることにより、ころ346が偏心カム344の
カム面から離間した状態に保たれる。この状態では、針
棒332の下降時におけるレバー318のレバー比が針
棒332の上昇時と同じとなるため、針棒332の振幅
が通常よりも小さくなり、針棒332の下死点位置が、
縫針330が被加工布を貫通しない高さとされる。した
がって、針棒332が上下動させられても、被加工布に
縫目が形成されない。
【0052】縫製が停止される際には、反射面の検出信
号が光電スイッチから制御装置へ入力されるのに応じて
ミシンモータ304の駆動回路に停止指令信号が出力さ
れる。したがって、レバー318の時計方向への回動限
度、すなわち、針棒332が上死点に位置する状態にお
いて針棒332が停止させられる。針棒332の上死点
位置は飛び縫い時にも通常縫製時にも同じ高さとされて
いるため、常に針棒332が同じ高さで停止することと
なる。
【0053】本発明の第四実施例を図11に示す。本実
施例において、機枠400のアーム部402には、プー
リ404が回転可能に支持されている。プーリ404に
はベルト406が巻き掛けられており、図示しないミシ
ンモータの回転が伝達されるようになっている。プーリ
404と一体的に回転可能な回転軸408には偏心軸4
10が結合され、その偏心軸410には揺動子412が
回転可能に嵌合されている。この揺動子412の自由端
部はレバー414の自由端部に連結されている。
【0054】レバー414の基端部はアーム部402に
回転可能に支持された歯付プーリ418の支軸420に
固定されて、レバー414と歯付プーリ418とが一体
的に回動するようにされている。また、アーム部412
には歯付プーリ422が回転可能に支持されており、両
歯付プーリ418,422間に歯付ベルト424が巻き
掛けられている。したがって、プーリ404の回転に基
づく揺動子412の上下運動がレバー414の回動運動
に変換され、そのレバー414の回動運動が歯付プーリ
418,歯付ベルト424を経て歯付プーリ422に伝
達されるようになっている。歯付プーリ422にはスラ
イドリンク426が一体的に回動可能に取り付けられて
いる。スライドリンク426は長手方向(図において左
右方向)に延びる切欠428を備えており、滑動子43
0が摺動可能に嵌合されている。
【0055】また、アーム部402の先端部には、2個
のガイド穴431が同心に形成されており、下端部に縫
針432を保持した針棒434が上下方向に振動可能に
挿通されている。針棒434の中央部にはスリーブ43
6を介して上下動リンク438が連結されており、上下
動リンク438には針棒レバー440が連結されてい
る。針棒レバー440はアーム部402に取り付けられ
た針棒軸442に回動可能に支持されている。針棒レバ
ー440と滑動子430とは、スライドリンク426と
ほぼ直交して上下方向に延びるリンク444により連結
されている。
【0056】リンク444の中央部には、スライドリン
ク426,針棒レバー440とほぼ平行に延びるリンク
446を介して、アーム部402に固定されたエアシリ
ンダ450内を摺動可能なピストンロッド452が連結
されている。エアシリンダ450内はピストン453に
よって2つの室454,456に分割されており、各室
454,456は電磁方向切換弁458を介してエア供
給装置460に接続されている。電磁方向切換弁458
はソレノイド462およびスプリング464を備えてお
り、通常は、ソレノイド462が消磁状態とされてお
り、スプリング464の付勢力により室456がエア供
給装置460と、室454が大気とそれぞれ連通させら
れ、図11に示すようにピストンロッド452が前進
(図において左方へ移動)させられているが、ソレノイ
ド462が励磁されれば、室454がエア供給室460
と、室456が大気とそれぞれ連通させられるため、ピ
ストンロッド452が後退(図において右方へ移動)さ
せられる。
【0057】アーム部402には第一実施例と同様に光
電スイッチが設けられており、制御装置に接続されてい
る。光電スイッチはスライドリンク426に形成された
反射面を検出し、その検出信号を制御装置に出力するも
のである。反射面は、スライドリンク426が最も時計
方向へ回動した時、光電スイッチに対向する位置に形成
されている。
【0058】以上のように構成された針棒駆動装置にお
いて、通常の縫製が行われる場合には、ソレノイド46
2が消磁状態とされ、リンク444に左向きの力が作用
させられ、滑動子430がスライドリンク426の先端
側へ移動させられる。この状態でミシンモータが駆動さ
れることにより、プーリ404が回転させられ、揺動子
412,レバー414,歯付プーリ418を介してスラ
イドリンク426が歯付プーリ422と一体的に回動さ
せられる。この回動運動が滑動子430,リンク444
を経て針棒レバー440に伝達され、針棒レバー440
が針棒軸442まわりに回動させられることにより、針
棒434が上下動させられる。滑動子430はスライド
リンク426の先端部に位置させられるため、スライド
リンク426の回動量に対する針棒レバー440の回動
量が大きくなり、針棒434の振幅が大きくなる。した
がって、針棒434の下死点位置が、縫針432が被加
工布を十分貫通し得る高さとなり、縫目の形成が行われ
る。
【0059】それに対して、飛び縫いが行われる場合に
はソレノイド462が励磁状態とされるため、滑動子4
30がスライドリンク426の基端部側に移動させられ
る。この状態で通常縫製時と同様にスライドリンク42
6が回動させられることにより、スライドリンク426
の回動量に対する針棒レバー440の回動量が小さくな
り、針棒434の下死点位置が高くなり、上死点位置が
低くなって振幅が通常縫製時より小さくなる。したがっ
て、針棒434の下死点位置が、縫針432が被加工布
を貫通しない高さとなって、針棒434が上下動させら
れても縫目が形成されない。
【0060】縫製停止時には、反射面の検出信号が光電
スイッチから制御装置へ出力されるのに対応してソレノ
イド462が消磁され、滑動子430がスライドリンク
426の先端側へ移動させられるとともに、ミシンモー
タに停止指令信号が出力され、針棒434が上死点で停
止させられる。針棒434は通常縫製時でも飛び縫い時
でも同一の位置で停止させられるのである。
【0061】なお、本実施例において、飛び縫いを行う
場合に、針棒434の下降中にソレノイド462を励磁
してピストンロッド452を後退させ、針棒434の上
昇中に消磁してピストンロッド452を前進させて、針
棒434の上死点位置は変えず、下死点位置のみを高く
するようにすることも可能である。
【0062】本発明の第五実施例を図12に示す。本実
施例において、機枠500のコラム部502にはミシン
モータ504が固定されている。ミシンモータ504は
正逆両方向に回転可能とされており、その出力軸505
にはプーリ506が相対回転不能に取り付けられてい
る。また、ミシンモータ504の上方には、針棒軸50
8が仕切壁509に形成されたボスに回転可能に保持さ
れている。針棒軸508にはプーリ510が相対回転不
能に取り付けられており、これらプーリ506とプーリ
510とにはベルト512が巻き掛けられて、ミシンモ
ータ504の回転が針棒軸508に伝達されるようにな
っている。
【0063】針棒軸508は機枠500の図示しないア
ーム部側へ延び出させられており、アーム部内におい
て、レバー514がスプリングピン516により相対回
転不能に取り付けられている。レバー514の自由端部
にはリンク518を介して伝達子520が連結されてい
る。また、アーム部には前記第一実施例と同様の針棒ケ
ースが設けられており、針棒ケース内には、下端に縫針
522を保持した針棒524が上下動可能に保持されて
いる。針棒524は図示しないスプリングにより上昇方
向に付勢されている。針棒524には係合部材526が
取り付けられており、伝達子520が係合部材526に
係合させられている。
【0064】ミシンモータ504には回転制御装置53
0が接続されている。ミシンモータ504の出力軸には
図示しないエンコーダが取り付けられており、ミシンモ
ータ504の回転角度および回転方向が検出され、その
検出信号が回転制御装置530に入力され、それに基づ
いてモータ504の駆動回路に制御信号が出力され、モ
ータ504の回転が制御されるようになっている。
【0065】したがって、通常の縫製時には、回転制御
装置530によりミシンモータ504の回転量が大きく
され、針棒軸508およびレバー514の回動量が大き
くされることによって、針棒524の振幅が大きくさ
れ、縫針522により被加工布に縫目が形成される。一
方、飛び縫い時には、ミシンモータ504の回転量が減
少させられ、針棒524の振幅が小さくされて、下死点
位置が縫針522が被加工布を貫通しない高さに変更さ
れ、縫目の形成が行われない。なお、上死点位置は不変
であり、針棒524は通常縫製時にも、飛び縫い時に
も、同一の位置で停止させられるようになっている。
【0066】本実施例においては、エンコーダおよび回
転制御装置530が停止制御手段を兼ねているのであ
る。
【0067】本実施例においては、回転制御装置530
により、縫製終了時にミシンモータ504の回転角度を
増大させて針棒524の上死点位置を上昇させることに
よって、針棒524および縫針522の上昇端位置を縫
製時よりも高くすることが可能であり、縫製は比較的小
さい振幅で静粛に行いながらミシンに被加工布をセット
する作業の容易化を図ることができる。また、ミシンモ
ータ504の正逆両方向の回転角度を同量ずつ変更し、
針棒524の上死点および下死点を同量ずつ上昇あるい
は下降させることにより、針棒524の振幅は変えずに
振動中心のみをずらすようにすることも可能である。こ
のようにすれば、被加工布にマーキング処理を施す場合
には、針棒524の振動中心を通常縫製時よりも上昇さ
せることにより、縫針522の先端のみが被加工布に刺
さるようにし得、飛び縫いを行う場合には、針棒524
の振動中心をさらに上昇させることにより、縫針522
が被加工布に刺さらないようにすることができるのであ
る。
【0068】以上、本発明のいつくかの実施例について
説明したが、これらの実施例において、ソレノイドの励
磁中に瞬時停電等が発生して電流が絶たれることに備え
て、バックアップ用のバッテリ等を設けることが望まし
い。このようにバッテリを設ければ、例えば、第一実施
例において偏心カム44ところ176が衝突したり、針
棒114等の振動速度が急に変わったりすることを良好
に防止し得る。
【0069】また、前記第一実施例においては、ソレノ
イド160が消磁状態にある場合には、常に飛び縫い動
作が行われるようになっているため、ソレノイド160
を消磁したまま縫針118,120等と釜との出会い位
置の調整等を行うことができないが、ソレノイド160
の近傍に偏心カムを配設し、その偏心カムを手動で回転
させてころ176およびロッド172を移動させ、縫針
118等を通常の縫製位置に設定する手動切換手段を設
ければ、ソレノイド160を消磁したまま、上記のよう
な調整作業を行うことができる。
【0070】その他、当業者の知識に基づいて種々の変
形,改良を施した態様で、本発明を実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例である針棒駆動装置におい
て飛び縫い時の針棒下降状態を示す正面断面図である。
【図2】上記装置において針棒上昇状態を示す正面断面
図である。
【図3】上記装置において通常縫製時の針棒下降状態を
示す正面断面図である。
【図4】上記装置を備えたミシンの要部を示す正面図
(一部断面)である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】上記装置のソレノイドの吸引力と被吸引部材と
の距離との関係を示すグラフである。
【図7】上記装置の通常縫製時と飛び縫い時との針棒の
振幅変化を示すグラフである。
【図8】本発明の第二実施例である針棒駆動装置を備え
たミシンの要部を示す正面図である。
【図9】上記装置の要部を示す正面断面図である。
【図10】本発明の第三実施例である針棒駆動装置を備
えたミシンの要部を示す正面図(一部断面)である。
【図11】本発明の第四実施例である針棒駆動装置を備
えたミシンの要部を示す正面図(一部断面)である。
【図12】本発明の第五実施例である針棒駆動装置の要
部を示す正面断面図である。
【符号の説明】
44 偏心カム 62 レバー 68 滑動子 72 リンク 74 レバー 80 針棒軸 84 レバー 114 針棒 116 針棒 160 ソレノイド 172 ロッド 174 円板 176 ころ 178 スプリング 182 光電スイッチ 184 制御装置 186 反射面 190 リンク 200 ソレノイド 222 スプリング 224 係合部 226 係合爪 314 偏心軸 318 レバー 322 滑動子 332 針棒 344 偏心カム 346 ころ 350 ロッド 360 スプリング 364 ソレノイド 366 係合部材 368 引張コイルスプリング 410 偏心軸 414 レバー 426 スライドリンク 430 滑動子 434 針棒 450 エアシリンダ 452 ピストンロッド 458 電磁方向切換弁 504 ミシンモータ 524 針棒 530 回転制御装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部に縫針を保持した針棒を軸方向に
    振動させる針棒駆動装置において、前記針棒の上死点と
    下死点との少なくとも一方の位置を変更する死点位置変
    更手段を設けたことを特徴とするミシンの針棒駆動装
    置。
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