JP3785998B2 - 鋼管端部の矯正方法および矯正装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管、特にUOE鋼管を製造する時の鋼管端部の変形を適切に矯正するための矯正方法および矯正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
UOE鋼管を製造する場合には、鋼板をUプレスおよびOプレスで成型した後、突合せ溶接するが、この工程では、鋼管の真円度は出せないため、円周方向に10数個に分割した拡縮式のダイスを縮めた状態で鋼管内面に挿入し、そのダイスを拡げて拡管することで鋼管の真円度を上げる工程がある。
【0003】
この工程において、図6(a)に示すように、鋼管1の周方向でダイス2が直接当る管周部分1Aと、ダイスとダイスの間でダイス2が直接当らない管周部分1Bとがあり、ダイス2が直接当る管周部分1Aはダイス2の面に沿った形状で拡管するのに対し、ダイス2が直接当らない管周部分1Bはダイス面の拘束なしに拡管するため、管周部分1Bの曲率が円周部分1Aの曲率より小さくなる。その結果、ダイスの分割ピッチに対応して管周方向の曲率が周期的に変動し、図6(b)に示すように、鋼管1は多角形状となる。
【0004】
しかし、多角形状の鋼管と鋼管を突合せ溶接で接続すると、鋼管端部の突合せ面の高さが合わず信頼性にかける溶接となるため、高精度を要求する設備へ使用するには、管端部の真円度の良い鋼管の製造が要求される。
【0005】
これまで、鋼管端部の真円度を高める技術としては、特開平2−247017号公報や特開平6−198337号公報に記載の技術が知られている。
【0006】
特開平2−247017号公報に記載の技術は、鋼管端部の最下端部に管端部の内外面を押圧し矯正する1対のロールと、管端部の周方向に沿って矯正ロールから等距離の位置に配置された2対のクランプロールを用いて、まず、矯正ロールを無負荷状態で鋼管を回転させて管端周方向の曲率分布と平均曲率を求め、次いで、求められた平均曲率と曲率分布の差に応じて矯正ロールの圧下位置を制御することによって、管端部の真円度を矯正するものである。
【0007】
また、特開平6−198337号公報に記載の技術は、管内面側および管外面側にそれぞれ2個のロールを配設し、管端部を円周方向に曲げ・曲げ戻し矯正を行うことによって、管端部の真円度を矯正するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平2−247017号公報に記載の技術は、スペースが限られている管端内側に3個のロールを配置する必要があり複雑な構造になってしまう。しかも、矯正ロールとクランプロールとの間隔については考慮されていないため、ダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができない。
【0009】
また、特開平6−198337号公報に記載の技術も、管端内側に2個のロールを配置する必要があり複雑な構造になってしまう。さらに、4個のロールの間隔については考慮されていないため、ダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができない。
【0010】
したがって、本発明は、上記の問題点を解決するために、構造が簡単で、かつダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができる鋼管端部の矯正方法および矯正装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は下記の特徴を有する。
【0012】
[1]鋼管端部の矯正方法であって、鋼管端部の外面に接して下方から支持する2本の支持ロールを管周方向に間隔を開けて管軸方向に平行に配置するとともに、鋼管端部の内面に接する1本の押込みロールを前記2本の支持ロールの管周方向の中間位置に管軸方向に平行に配置し、まず、押込みロールを無負荷状態で回転させて鋼管端部の管周方向の曲率分布を測定し、測定された曲率分布から最大曲率と曲率変動ピッチを算出し、次いで、前記2本の支持ロールと鋼管端部外面がそれぞれ接する接触点の間隔が前記曲率変動ピッチよりも狭くなるように2本の支持ロールの間隔を設定するとともに、鋼管端部の管周方向の曲率が前記最大曲率に揃うように押込みロールの押込み量を設定し、鋼管を回転させて矯正することを特徴とする鋼管端部の矯正方法。
【0013】
[2]鋼管端部の矯正装置であって、鋼管を回転する手段と、鋼管端部の外面を下方から支持するロールであって軸心が鋼管と平行になるとともにその間隔が変更可能な2本の支持ロールと、前記2本の支持ロールの中間に位置し軸心が支持ロールと平行な1本の押込みロールと、管周方向の曲率分布を測定する曲率分布測定手段と、測定された曲率分布から最大曲率と曲率変動ピッチを算出し、それに基づいて2本の支持ロールの間隔と押込みロールの押込み量を設定するロール位置制御手段を備えていることを特徴とする鋼管端部の矯正装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図を参照しながら説明する。
【0015】
図1に本発明の鋼管端部の矯正装置の一実施形態を示す。(a)は全体図であり、(b)は(a)のA−A矢視図である。図1に示すように、鋼管1の両管端部のそれぞれに管端矯正装置本体4が配置されている。管端矯正装置本体4は、鋼管端部の外面を下方から支持するための2本の支持ロール5と、2本の支持ロール5の中間に押込みロール6を有している。2本の支持ロール5と押込みロール6の軸心はいずれも鋼管1の軸心と平行になっている。また、鋼管1の側面には、鋼管1を回転させるためのターニングロール3が配置されている。
【0016】
図2は、上記管端矯正装置本体4の詳細図である。(a)は管軸方向からみた図であり、(b)は(a)のA−A矢視図である。2本の支持ロール5には2本の支持ロール5の間隔を変更するための支持ロール駆動装置5Aが取り付けられている。また、押込みロール6には押込みロール6に押込み力を与えて押込みロール6の押込み量を調整するためのシリンダ等による押込み駆動装置6Aが取り付けられている。なお、押込みロール6は押込み力が付加されない時には自重によって鋼管1の内面に追従して位置が変化するようになっている。さらに、押込み駆動装置6Aには押込みロール6の位置を測定するための押込み量検出センサー8が取り付けられているとともに、押込みロール6には押込みロール6の回転角度を測定することによって鋼管1の回転位置を検出するための回転位置検出センサー10が取り付けられている。そして、管端矯正装置を制御するための矯正制御部(図示しない)が設けられており、押込み量検出センサー8と回転位置検出センサー10の測定データに基づいて支持ロール5の間隔および押込みロール6の押込み量を制御するようになっている。
【0017】
そして、上記の本発明の実施形態の矯正装置を用いた鋼管管端の矯正方法は以下の手順で行う。
(1)鋼管1の管端に管端矯正装置本体4を、鋼管1の側面にターニングロール3を配置する。
(2)支持ロール駆動装置5Aによって、支持ロール5と押込みロール6との距離が適切な値になるように2本の支持ロール5の間隔を設定する。
(3)押込みロール6を無負荷状態にして、ターニングロール3によって鋼管1を1回転させ、回転位置検出センサー10によって鋼管1の回転位置を測定するとともに押込み量検出センサー8によって押込みロール6の位置の変化を測定する。
(4)矯正制御部が、鋼管1の回転位置と押込みロール6の位置の測定データから鋼管端部の管周方向の曲率分布(または曲率半径分布)を算出し、それに基づいて最大曲率(=最小曲率半径)と管周方向曲率変動のピッチを求める。図3に示すように、支持ロール5の中心と押込みロール6の中心との水平方向距離をL、支持ロール5の外径をRB、押込みロール6の外径をRT、鋼管の厚さをt、鋼管1の回転位置をθ(θ=0〜2π)、支持ロール5の最上部を基準にした押込みロール6の最下部の下方向への位置をY(θ)とすると、鋼管端部外周の管周方向の曲率半径分布R(θ)と最小曲率半径Rminは下記の式で求められる。すなわち、
R(θ)=[L2/{2(Y(θ)+t)}]+(Y(θ)+t)/2−RB -------(1式)
Rmin=Min{R(θ)} -------(2式)
そして、曲率半径分布R(θ)の周期的な変動の周期が曲率変動ピッチLSとなる。
(5)矯正制御部が、算出した曲率変動ピッチLSと最小曲率半径Rminから、支持ロール5と鋼管1の接触点Sと押込みロール6の中心との水平方向距離LPが曲率変動ピッチLSの1/2より小さくなるように支持ロール5の中心と押込みロール6の中心との水平方向距離Lを定めるとともに、管周方向の曲率半径が最小曲率半径Rminに揃うように支持ロール5の最上部を基準にした押込みロール6の最下部の下方向への位置すなわち押込み量YPを以下の式によって決定する。すなわち、
LP<LS/2 -------(3式)
L={(Rmin+RB)/Rmin}×LP -------(4式)
YP=−{(R´min+RB)2−LP 2}1/2+(R´min+RB)−t -------(5式)
ここで、R´min=ΔR・Rminで、ΔR(<1)は鋼管1のスプリングバック定数である。
なお、Rmin>>RBの場合にはL=LPとしてもよい。
(6)上記の決定に基づいて、支持ロール駆動装置5Aが2本の支持ロール5の中心間の間隔を2Lに設定するとともに、押込み駆動装置6Aが押込みロール6の位置をYPになるように設定する。
(7)ターニングロール3によって鋼管1を1回転させる。
【0018】
以上のような手順で管端の矯正を行うことにより、鋼管端部の管周方向の曲率半径が最小曲率半径Rmin(=最大曲率1/Rmin)に揃うように矯正され、良好なる管端形状の鋼管が得られる。すなわち、2本の支持ロール5と鋼管1の接触点の間隔LPを曲率変動ピッチLSより狭くして押込みロール6を押し込んでいるので、ダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができる。
【0019】
また、最大曲率に揃うように押込みロールを押し込むので管端内側には押込みロールを1本配置するだけでよく、矯正装置の構造が簡単で済む。
【0020】
なお、上記の実施形態では、曲率半径分布R(θ)から曲率変動ピッチLSを求めたが、曲率変動ピッチLSはダイスの分割ピッチに対応しているので、ダイスの分割ピッチが分かっていればそれを曲率変動ピッチLSとしてもよい。
【0021】
また、上記の実施形態では、押込みロールを用いて曲率半径分布を測定したが、図4に示すように、押込みロールとは別に管端変形量検出センサー9を設けることでもよい。
【0022】
【実施例】
上記の本発明の一実施形態によって鋼管端部の矯正を行った結果を以下に示す。
(実施条件)
鋼管のサイズ:外径 1066.8mm、厚さ 8.7mm
支持ロール :直径 180mm、
押込みロール:直径 250mm
(実施結果)
先ず、2本の支持ロールの間隔を200mmに設定し、押込みロール6を無負荷状態にして、鋼管を1回転して押込みロール位置の変化を測定し、前記の(1式)、(2式)により鋼管端部外周の曲率半径分布を求めたところ、
最小曲率半径:532.4mm
曲率変動ピッチ:276mm
であった。
【0023】
次に、鋼管端部外周の曲率半径が最小曲率半径の532.4mmに揃うように、前記の(3式)、(4式)、(5式)に基づいて、矯正装置を下記のように設定し、鋼管を1回転して鋼管端部の矯正を行った。すなわち、
支持ロールと鋼管の接触点間距離:170.7mm
支持ロールの中心間距離 :200mm
押込みロールの押込み量 :0.5mm
押込み荷重 :39.9kN
そして、矯正後にも、押込みロール6を無負荷状態にして、鋼管を1回転して押込みロール位置の変化を測定することで、矯正後の鋼管端部の変形量を求めた。
【0024】
その結果を図5に示す。図5では、変形量の測定値のほぼ中心値を0mmとして表している。矯正前には管周方向に約30°ピッチの細かい周期で発生していた±1.0mm程度の大きな変形が、矯正後には矯正前の約20%の±0.2mm程度の変形量に低減しており、充分な矯正効果が得られている。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、2本の支持ロールと鋼管との接触点の間隔を曲率変動ピッチよりも狭くして押込みロールで押し込んで鋼管端部の管周方向の曲率半径が最大曲率に揃うように鋼管端部の矯正を行うので、矯正装置の構造が簡単で済むとともにダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明する全体図である。
【図2】本発明の一実施形態の詳細図である。
【図3】本発明の一実施形態における曲率分布等の測定方法を説明するための図である。
【図4】本発明の他の実施形態を説明する図である。
【図5】本発明の実施例を示す図である。
【図6】ダイスで拡大することにより鋼管が変形する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼管
2 拡管ダイス
3 ターニングロール
4 管端矯正装置本体
5 支持ロール
5A 支持ロール駆動装置
6 押込みロール
6A 押込み駆動装置
8 押込み量検出センサー
9 鋼管変形量検出センサー
10 回転位置検出センサー
S 鋼管と支持ロールの接触点
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼管、特にUOE鋼管を製造する時の鋼管端部の変形を適切に矯正するための矯正方法および矯正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
UOE鋼管を製造する場合には、鋼板をUプレスおよびOプレスで成型した後、突合せ溶接するが、この工程では、鋼管の真円度は出せないため、円周方向に10数個に分割した拡縮式のダイスを縮めた状態で鋼管内面に挿入し、そのダイスを拡げて拡管することで鋼管の真円度を上げる工程がある。
【0003】
この工程において、図6(a)に示すように、鋼管1の周方向でダイス2が直接当る管周部分1Aと、ダイスとダイスの間でダイス2が直接当らない管周部分1Bとがあり、ダイス2が直接当る管周部分1Aはダイス2の面に沿った形状で拡管するのに対し、ダイス2が直接当らない管周部分1Bはダイス面の拘束なしに拡管するため、管周部分1Bの曲率が円周部分1Aの曲率より小さくなる。その結果、ダイスの分割ピッチに対応して管周方向の曲率が周期的に変動し、図6(b)に示すように、鋼管1は多角形状となる。
【0004】
しかし、多角形状の鋼管と鋼管を突合せ溶接で接続すると、鋼管端部の突合せ面の高さが合わず信頼性にかける溶接となるため、高精度を要求する設備へ使用するには、管端部の真円度の良い鋼管の製造が要求される。
【0005】
これまで、鋼管端部の真円度を高める技術としては、特開平2−247017号公報や特開平6−198337号公報に記載の技術が知られている。
【0006】
特開平2−247017号公報に記載の技術は、鋼管端部の最下端部に管端部の内外面を押圧し矯正する1対のロールと、管端部の周方向に沿って矯正ロールから等距離の位置に配置された2対のクランプロールを用いて、まず、矯正ロールを無負荷状態で鋼管を回転させて管端周方向の曲率分布と平均曲率を求め、次いで、求められた平均曲率と曲率分布の差に応じて矯正ロールの圧下位置を制御することによって、管端部の真円度を矯正するものである。
【0007】
また、特開平6−198337号公報に記載の技術は、管内面側および管外面側にそれぞれ2個のロールを配設し、管端部を円周方向に曲げ・曲げ戻し矯正を行うことによって、管端部の真円度を矯正するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平2−247017号公報に記載の技術は、スペースが限られている管端内側に3個のロールを配置する必要があり複雑な構造になってしまう。しかも、矯正ロールとクランプロールとの間隔については考慮されていないため、ダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができない。
【0009】
また、特開平6−198337号公報に記載の技術も、管端内側に2個のロールを配置する必要があり複雑な構造になってしまう。さらに、4個のロールの間隔については考慮されていないため、ダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができない。
【0010】
したがって、本発明は、上記の問題点を解決するために、構造が簡単で、かつダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができる鋼管端部の矯正方法および矯正装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は下記の特徴を有する。
【0012】
[1]鋼管端部の矯正方法であって、鋼管端部の外面に接して下方から支持する2本の支持ロールを管周方向に間隔を開けて管軸方向に平行に配置するとともに、鋼管端部の内面に接する1本の押込みロールを前記2本の支持ロールの管周方向の中間位置に管軸方向に平行に配置し、まず、押込みロールを無負荷状態で回転させて鋼管端部の管周方向の曲率分布を測定し、測定された曲率分布から最大曲率と曲率変動ピッチを算出し、次いで、前記2本の支持ロールと鋼管端部外面がそれぞれ接する接触点の間隔が前記曲率変動ピッチよりも狭くなるように2本の支持ロールの間隔を設定するとともに、鋼管端部の管周方向の曲率が前記最大曲率に揃うように押込みロールの押込み量を設定し、鋼管を回転させて矯正することを特徴とする鋼管端部の矯正方法。
【0013】
[2]鋼管端部の矯正装置であって、鋼管を回転する手段と、鋼管端部の外面を下方から支持するロールであって軸心が鋼管と平行になるとともにその間隔が変更可能な2本の支持ロールと、前記2本の支持ロールの中間に位置し軸心が支持ロールと平行な1本の押込みロールと、管周方向の曲率分布を測定する曲率分布測定手段と、測定された曲率分布から最大曲率と曲率変動ピッチを算出し、それに基づいて2本の支持ロールの間隔と押込みロールの押込み量を設定するロール位置制御手段を備えていることを特徴とする鋼管端部の矯正装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図を参照しながら説明する。
【0015】
図1に本発明の鋼管端部の矯正装置の一実施形態を示す。(a)は全体図であり、(b)は(a)のA−A矢視図である。図1に示すように、鋼管1の両管端部のそれぞれに管端矯正装置本体4が配置されている。管端矯正装置本体4は、鋼管端部の外面を下方から支持するための2本の支持ロール5と、2本の支持ロール5の中間に押込みロール6を有している。2本の支持ロール5と押込みロール6の軸心はいずれも鋼管1の軸心と平行になっている。また、鋼管1の側面には、鋼管1を回転させるためのターニングロール3が配置されている。
【0016】
図2は、上記管端矯正装置本体4の詳細図である。(a)は管軸方向からみた図であり、(b)は(a)のA−A矢視図である。2本の支持ロール5には2本の支持ロール5の間隔を変更するための支持ロール駆動装置5Aが取り付けられている。また、押込みロール6には押込みロール6に押込み力を与えて押込みロール6の押込み量を調整するためのシリンダ等による押込み駆動装置6Aが取り付けられている。なお、押込みロール6は押込み力が付加されない時には自重によって鋼管1の内面に追従して位置が変化するようになっている。さらに、押込み駆動装置6Aには押込みロール6の位置を測定するための押込み量検出センサー8が取り付けられているとともに、押込みロール6には押込みロール6の回転角度を測定することによって鋼管1の回転位置を検出するための回転位置検出センサー10が取り付けられている。そして、管端矯正装置を制御するための矯正制御部(図示しない)が設けられており、押込み量検出センサー8と回転位置検出センサー10の測定データに基づいて支持ロール5の間隔および押込みロール6の押込み量を制御するようになっている。
【0017】
そして、上記の本発明の実施形態の矯正装置を用いた鋼管管端の矯正方法は以下の手順で行う。
(1)鋼管1の管端に管端矯正装置本体4を、鋼管1の側面にターニングロール3を配置する。
(2)支持ロール駆動装置5Aによって、支持ロール5と押込みロール6との距離が適切な値になるように2本の支持ロール5の間隔を設定する。
(3)押込みロール6を無負荷状態にして、ターニングロール3によって鋼管1を1回転させ、回転位置検出センサー10によって鋼管1の回転位置を測定するとともに押込み量検出センサー8によって押込みロール6の位置の変化を測定する。
(4)矯正制御部が、鋼管1の回転位置と押込みロール6の位置の測定データから鋼管端部の管周方向の曲率分布(または曲率半径分布)を算出し、それに基づいて最大曲率(=最小曲率半径)と管周方向曲率変動のピッチを求める。図3に示すように、支持ロール5の中心と押込みロール6の中心との水平方向距離をL、支持ロール5の外径をRB、押込みロール6の外径をRT、鋼管の厚さをt、鋼管1の回転位置をθ(θ=0〜2π)、支持ロール5の最上部を基準にした押込みロール6の最下部の下方向への位置をY(θ)とすると、鋼管端部外周の管周方向の曲率半径分布R(θ)と最小曲率半径Rminは下記の式で求められる。すなわち、
R(θ)=[L2/{2(Y(θ)+t)}]+(Y(θ)+t)/2−RB -------(1式)
Rmin=Min{R(θ)} -------(2式)
そして、曲率半径分布R(θ)の周期的な変動の周期が曲率変動ピッチLSとなる。
(5)矯正制御部が、算出した曲率変動ピッチLSと最小曲率半径Rminから、支持ロール5と鋼管1の接触点Sと押込みロール6の中心との水平方向距離LPが曲率変動ピッチLSの1/2より小さくなるように支持ロール5の中心と押込みロール6の中心との水平方向距離Lを定めるとともに、管周方向の曲率半径が最小曲率半径Rminに揃うように支持ロール5の最上部を基準にした押込みロール6の最下部の下方向への位置すなわち押込み量YPを以下の式によって決定する。すなわち、
LP<LS/2 -------(3式)
L={(Rmin+RB)/Rmin}×LP -------(4式)
YP=−{(R´min+RB)2−LP 2}1/2+(R´min+RB)−t -------(5式)
ここで、R´min=ΔR・Rminで、ΔR(<1)は鋼管1のスプリングバック定数である。
なお、Rmin>>RBの場合にはL=LPとしてもよい。
(6)上記の決定に基づいて、支持ロール駆動装置5Aが2本の支持ロール5の中心間の間隔を2Lに設定するとともに、押込み駆動装置6Aが押込みロール6の位置をYPになるように設定する。
(7)ターニングロール3によって鋼管1を1回転させる。
【0018】
以上のような手順で管端の矯正を行うことにより、鋼管端部の管周方向の曲率半径が最小曲率半径Rmin(=最大曲率1/Rmin)に揃うように矯正され、良好なる管端形状の鋼管が得られる。すなわち、2本の支持ロール5と鋼管1の接触点の間隔LPを曲率変動ピッチLSより狭くして押込みロール6を押し込んでいるので、ダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができる。
【0019】
また、最大曲率に揃うように押込みロールを押し込むので管端内側には押込みロールを1本配置するだけでよく、矯正装置の構造が簡単で済む。
【0020】
なお、上記の実施形態では、曲率半径分布R(θ)から曲率変動ピッチLSを求めたが、曲率変動ピッチLSはダイスの分割ピッチに対応しているので、ダイスの分割ピッチが分かっていればそれを曲率変動ピッチLSとしてもよい。
【0021】
また、上記の実施形態では、押込みロールを用いて曲率半径分布を測定したが、図4に示すように、押込みロールとは別に管端変形量検出センサー9を設けることでもよい。
【0022】
【実施例】
上記の本発明の一実施形態によって鋼管端部の矯正を行った結果を以下に示す。
(実施条件)
鋼管のサイズ:外径 1066.8mm、厚さ 8.7mm
支持ロール :直径 180mm、
押込みロール:直径 250mm
(実施結果)
先ず、2本の支持ロールの間隔を200mmに設定し、押込みロール6を無負荷状態にして、鋼管を1回転して押込みロール位置の変化を測定し、前記の(1式)、(2式)により鋼管端部外周の曲率半径分布を求めたところ、
最小曲率半径:532.4mm
曲率変動ピッチ:276mm
であった。
【0023】
次に、鋼管端部外周の曲率半径が最小曲率半径の532.4mmに揃うように、前記の(3式)、(4式)、(5式)に基づいて、矯正装置を下記のように設定し、鋼管を1回転して鋼管端部の矯正を行った。すなわち、
支持ロールと鋼管の接触点間距離:170.7mm
支持ロールの中心間距離 :200mm
押込みロールの押込み量 :0.5mm
押込み荷重 :39.9kN
そして、矯正後にも、押込みロール6を無負荷状態にして、鋼管を1回転して押込みロール位置の変化を測定することで、矯正後の鋼管端部の変形量を求めた。
【0024】
その結果を図5に示す。図5では、変形量の測定値のほぼ中心値を0mmとして表している。矯正前には管周方向に約30°ピッチの細かい周期で発生していた±1.0mm程度の大きな変形が、矯正後には矯正前の約20%の±0.2mm程度の変形量に低減しており、充分な矯正効果が得られている。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、2本の支持ロールと鋼管との接触点の間隔を曲率変動ピッチよりも狭くして押込みロールで押し込んで鋼管端部の管周方向の曲率半径が最大曲率に揃うように鋼管端部の矯正を行うので、矯正装置の構造が簡単で済むとともにダイスの分割ピッチに対応する短い周期の管周方向の曲率変動を充分矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明する全体図である。
【図2】本発明の一実施形態の詳細図である。
【図3】本発明の一実施形態における曲率分布等の測定方法を説明するための図である。
【図4】本発明の他の実施形態を説明する図である。
【図5】本発明の実施例を示す図である。
【図6】ダイスで拡大することにより鋼管が変形する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼管
2 拡管ダイス
3 ターニングロール
4 管端矯正装置本体
5 支持ロール
5A 支持ロール駆動装置
6 押込みロール
6A 押込み駆動装置
8 押込み量検出センサー
9 鋼管変形量検出センサー
10 回転位置検出センサー
S 鋼管と支持ロールの接触点
Claims (2)
- 鋼管端部の矯正方法であって、鋼管端部の外面に接して下方から支持する2本の支持ロールを管周方向に間隔を開けて管軸方向に平行に配置するとともに、鋼管端部の内面に接する1本の押込みロールを前記2本の支持ロールの管周方向の中間位置に管軸方向に平行に配置し、まず、押込みロールを無負荷状態で回転させて鋼管端部の管周方向の曲率分布を測定し、測定された曲率分布から最大曲率と曲率変動ピッチを算出し、次いで、前記2本の支持ロールと鋼管端部外面がそれぞれ接する接触点の間隔が前記曲率変動ピッチよりも狭くなるように2本の支持ロールの間隔を設定するとともに、鋼管端部の管周方向の曲率が前記最大曲率に揃うように押込みロールの押込み量を設定し、鋼管を回転させて矯正することを特徴とする鋼管端部の矯正方法。
- 鋼管端部の矯正装置であって、鋼管を回転する手段と、鋼管端部の外面を下方から支持するロールであって軸心が鋼管と平行になるとともにその間隔が変更可能な2本の支持ロールと、前記2本の支持ロールの中間に位置し軸心が支持ロールと平行な1本の押込みロールと、管周方向の曲率分布を測定する曲率分布測定手段と、測定された曲率分布から最大曲率と曲率変動ピッチを算出し、それに基づいて2本の支持ロールの間隔と押込みロールの押込み量を設定するロール位置制御手段を備えていることを特徴とする鋼管端部の矯正装置。
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