JPH08267143A - 電縫管の捩じれ矯正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接不良やロール疵による歩留りの低下を防
ぎ、捩じれを精度良く矯正する。 【構成】 電縫管製造ラインにおけるスクイズロールの
出側に配置されてシーム部の捩じれを矯正する装置であ
る。電縫管Ｐの略全周を電縫管Ｐと０．１％以上のリダ
クションをもって抱持すべく電縫管Ｐの外周部に複数の
アイドルロール１２を配置する。シーム部の捩じれ角度
に応じて、これらアイドルロール１２を一体的に前記電
縫管Ｐの管軸回りに所定角度回動させる回動機構を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電縫管の製造ラインに
おいて、スクイズロールを出た後のシーム部の捩じれを
矯正し、シーム位置を安定させる装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】電縫管は図４に示すような設備を用いて
製造されるのが一般的である。先ず、コイル状に巻かれ
た帯鋼１をロール成形機２で平板から断面円形に近い形
に成形した後、溶接機３でその板端を溶融し、スクイズ
ロール４で溶鋼を排除すると同時に板端を接合する。そ
の後、シーム熱処理装置５で熱処理した後、超音波探傷
機６でシーム部の欠陥を探傷し、サイジングミル７で所
定の外径まで絞った後にタークスヘッド８で曲がりを矯
正して真直な電縫管Ｐとなしている。

【０００３】しかしながら、製造しようとする電縫管Ｐ
の外径が比較的小さく、板厚が大きい場合には、製管の
途中で捩じれることが多い。そして、この捩じれが大き
くなると、超音波探傷機がシーム部に追従できなくなっ
て探傷が不可能になる。また、捩じれ角度が時間の経過
とともに変化する場合には、タークスヘッドの調整が困
難であるので、曲がりが矯正できなくなる。従って、下
工程における生産効率が著しく阻害され、歩留りの悪化
を招くことになる。

【０００４】そこで、このような問題を解決するため
に、例えば特開平１−２７３６１１号，特開昭６２−１
９７２２２号，実開昭６２−１６５０１１号等が提案さ
れている。このうち、特開平１−２７３６１１号は、ロ
ール成形機のなかに配置されているサイドロールを造管
ライン方向に対して直角方向に移動させて捩じれを修正
するものである。また、特開昭６２−１９７２２２号
は、スクイズロールの出側に互いに反対の方向に傾斜さ
せた一対の捩じれ矯正ロールを配置して捩じれを矯正す
るものである。また、実開昭６２−１６５０１１号は、
左右に移動可能なバーチカルロールスタンドを備え、上
下いずれかのロールフランジの径を小径とし、上下の周
速差を利用して捩じれを矯正するものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のうち、先ず特開平１−２７３６１１号で提案されたも
のでは捩じれ角度を制御する精度が低く、また、特開昭
６２−１９７２２２号で提案されたものでは捩じれ矯正
ロールを鋼管に押しつける力が大きすぎて鋼管に変形を
生じさせ、また、実開昭６２−１６５０１１号で提案さ
れたものでは周速差に起因するロールとの摩擦によって
ロール疵が生じるという欠点がある。

【０００６】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて
なされたものであり、溶接不良やロール疵による歩留り
の低下を防ぎ、捩じれを精度良く矯正できる捩じれ矯正
装置を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の電縫管の捩じれ矯正装置は、電縫管製
造ラインにおけるスクイズロールの出側に配置され、電
縫管の略全周を電縫管と０．１％以上のリダクションを
もって抱持すべく電縫管の外周部に配置された複数のア
イドルロールと、シーム部の捩じれ角度に応じて、これ
らアイドルロールを一体的に前記電縫管の管軸回りに所
定角度回動させる回動機構を備えさせているのである。

【０００８】

【作用】本発明の電縫管の捩じれ矯正装置は、電縫管製
造ラインにおけるスクイズロールの出側に配置され、電
縫管の略全周を電縫管と０．１％以上のリダクションを
もって抱持すべく電縫管の外周部に配置された複数のア
イドルロールと、シーム部の捩じれ角度に応じて、これ
らアイドルロールを一体的に前記電縫管の管軸回りに所
定角度回動させる回動機構を備えたものであり、シーム
部の捩じれが検出された場合には回動機構を作動させて
その捩じれ角度に応じて複数のアイドルロールを一体的
に電縫管の管軸回りに所定角度回動させれば、これらア
イドルロールと電縫管との摩擦力で電縫管が矯正され
る。

【０００９】図３はロールで鋼管にリダクションを作用
させてロールを回転させた時に生じる動摩擦力とリダク
ションの関係を示すものであり、この図３よりリダクシ
ョンを０．１％以上にすることでより大きな摩擦力が働
き、より迅速に捩じれを矯正できることが判る。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の電縫管の捩じれ矯正装置を図
１及び図２に示す１実施例に基づいて説明する。図１は
本発明の電縫管の捩じれ矯正装置の正面図、図２は図１
の右側面図である。

【００１１】図１及び図２において、１１は例えば図４
に示すような電縫管製造ラインにおけるスクイズロール
４の出側に配置される本発明の電縫管の捩じれ矯正装置
であり、以下のような構成となっている。

【００１２】１２は電縫管Ｐの略全周を電縫管Ｐと０．
１％以上のリダクションをもって抱持すべく電縫管Ｐの
外周部に配置された例えば３個のアイドルロールであ
り、それぞれロールホルダー１３で回転自在に保持され
ている。そして、これらロールホルダー１３は回転体１
４の前面に突出状に取り付けられている。

【００１３】回転体１４は例えば外径の異なる同心円の
二段状に形成され、前面側の小径部の外周にウォームホ
イール１４ａが刻設されており、また後面側の大径部が
多数のロール１５を介して保持体１６に回転自在に保持
されている。すなわち、回転体１４は多数のロール１５
によって保持体１６に対して回転自在に保持されてお
り、従って、この回転体１４の軸心を電縫管Ｐの搬送ラ
インと同軸に配置すれば、回転体１４の前面側にロール
ホルダー１３を介して保持されたアイドルロール１２は
搬送ラインを移動する電縫管Ｐを０．１％以上のリダク
ションをもって抱持した状態で回転することになる。

【００１４】１７は前記回転体１４のウォームホイール
１４ａに噛合すべく、前記保持体１６に回転自在に取り
付けたウォームであり、サーボモータ１８によって所定
角度正逆回転できるようになっている。本発明の電縫管
の捩じれ矯正装置１１は上記したような構成であり、電
縫管製造ラインにおけるスクイズロールの出側に、回転
体１４の軸心が電縫管Ｐの搬送ラインと同軸となるよう
に配置しておくのである。

【００１５】そして、例えば製造中の電縫管Ｐのシーム
部の捩じれを発見した時には、その検出したシーム部の
捩じれ角度だけシーム部の捩じれと反対方向に電縫管Ｐ
を捩じるように、サーボモータ１８を作動させてアイド
ルロール１２を一体的に所定角度回動させるのである。
これによって、電縫管Ｐにはシーム部の捩じれと反対方
向への大きな摩擦力が作用して迅速に捩じれが矯正され
ることになる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の電縫管の
捩じれ矯正装置は、電縫管製造ラインにおけるスクイズ
ロールの出側に配置してシーム部の捩じれを矯正するの
で、溶接不良の原因とはならず、また、複数のアイドル
ロールで電縫管の略全周を電縫管と０．１％以上のリダ
クションをもって抱持した状態で回転するので、電縫管
は変形せず、ロール疵が生じることもない。さらに、シ
ーム部の捩じれ角度に応じて、これらアイドルロールを
一体的に電縫管の管軸回りに所定角度回動させるので、
捩じれを高精度に矯正でき、超音波探傷機での未探傷が
なくなってタークスヘッドでの曲がり矯正が容易とな
る。従って、スクラップとなる電縫管の数が減少して歩
留りが向上するとともに、下工程での生産効率が著しく
向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電縫管の捩じれ矯正装置の正面図であ
る。

【図２】図１の右側面図である。

【図３】ロールで鋼管にリダクションを作用させてロー
ルを回転させた時に生じる動摩擦力とリダクションの関
係を示す図である。

【図４】一般的な電縫管製造ラインの概要を説明する図
である。

【符号の説明】

Ｐ 電縫管 １１ 電縫管の捩じれ矯正装置 １２ アイドルロール １８ サーボモータ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電縫管製造ラインにおけるスクイズロー
   ルの出側に配置されてシーム部の捩じれを矯正する装置
   であって、電縫管の略全周を電縫管と０．１％以上のリ
   ダクションをもって抱持すべく電縫管の外周部に配置さ
   れた複数のアイドルロールと、シーム部の捩じれ角度に
   応じて、これらアイドルロールを一体的に前記電縫管の
   管軸回りに所定角度回動させる回動機構を備えたことを
   特徴とする電縫管の捩じれ矯正装置。