JP4187663B2 - 高加工性溶接管の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、次のような工程で、連続的にロール成形され、溶接されることが示されている。すなわち、図1に示されるように、巻回されている金属帯Sはアンコイラ1からレベラー2へ送給され、レベラー2により平坦矯正された後、ロール成形機に送られている。ロール成形機は、水平ロールであるブレークダウンロール3,3,・・、縦ロールであるクラスタロール4,4,・・、及び水平ロールであるフィンパスロール5,5,・・を備えている。
そして、ブレークダウンロールの段階では、各スタンド毎に図3に示されるような所定のプロフィールをもった上ロール8,8’及び下ロール9,9’の間に金属帯板を通し、板端から順にE1,E2,・・の曲率で湾曲させている。
しかしながら、このような方式では、金属板はロールにより複数回の押し曲げ加工を受けることになり、板内部に多くの歪みが発生し、また加工硬化を起こした状態で造管されている。また、2つのロール間での加工される態様となるため、ロールから受ける力の差で金属板の歪みや、極端な場合には板厚みに不均一箇所が生じ、フィンパスロールによる板端の突合せ性を悪化させる原因にもなっている。そして材質的に不均質な状態で造管され、あるいは突合せ部がずれた状態で造管された溶接鋼管は、その後の高加工に耐えられなくなっている。
また、加工硬化し、変形し難くなるために、突合せ部がラップして溶接部に段差ができたり、断面円形形状が変形したりして、溶接管の外観が低下することがある。特に、溶接部に段差が生じると、研削整形時に肉薄部分が生じ、後工程の過酷な加工に耐えられなくなるといった問題点もある。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、金属管を構成する金属板に与える歪みを極力少なくして突合せ性を高め、断面形状精度に優れた溶接管を得るとともに、造管された管に残存する応力・歪みを少なくして加工性に優れた溶接管の製造方法を提供することを目的とする。
したがって、造管された金属管の素材加工硬化の程度は少なく、また残留している応力や歪みも少ないために、過酷な加工にも耐えられる金属管が得られる。
また、本発明を実施する装置は、成形スタンド数が少ないために、ロール替えが容易であるばかりでなく、設置スペースも少なくてすむ。さらに駆動モーターの容量も小さくてすむ。総合的にみて、品質が良好な溶接管を低コストで製造することができる。
さらに、溶接管の形状確認を行い、その確認形状に基づいてサイドロールやスクイズロールの位置調整を行っているので、形状精度に優れた溶接管を得ることができる。
その具体的手段について説明する。
まず、図4,5に基づいて、用いる装置の概略を説明する。金属帯板Sの進行方向に順に、金属帯板の上面位置に水平に配置された押えロール11,金属帯板の下面位置に水平に配置された受けロール12,周面に所定曲率で凹部が設けられたロールが金属帯板の両端位置に垂直に一対で配置された第1のサイドロール13,同じく周面に所定曲率で凹部が設けられたロールが金属帯板の両端位置に垂直に一対で配置された第2のサイドロール14,フィンパスロール15,高周波コイル(図示せず),及びスクイズロール16が備えられている。さらに、スクイズロール16の後段に、レーザー平行光線照射装置17とレーザー照射部位を写し取るCCDカメラ18及びCCDカメラが写し取った形状をモニターする形状表示器(図示せず)が備えられている。
本態様では、溶接を高周波加熱で行っているが、レーザー溶接法やTIG溶接法を採用しても良い。
押えロール11は必ずしも必須ではないが、金属帯板に変形を押させ、所望の湾曲形状への成形を安定して行うためには備えていることが好ましい。
押えロール11及び受けロール12は、パスライン高さを維持するように金属帯板を支えるためのロールであって曲げるためのものではないので、ストレート形状のものが用いられる。
第1のサイドロール13で端部が湾曲された金属帯板は、その湾曲端部が第2のサイドロール14の凹部面に当接され、他の帯板部分もその当接点より下の凹部面によって上方に湾曲成形される。
また、Ws側及びDs側の各ロールは、第1のサイドロール13と同様に、それぞれ単独で位置調整できるように配置されている。
フィンパスロール15は、第1,第2のサイドロールで成形されたオープンパイプ形状を最終的に整え、突合せ端部のセンターリングを行うものである。従来の造管装置と同じである。ロールの凹面カーブは、造管されるパイプ外径の1.0〜1.1倍程度にすることが好ましい。
以上の各ロールには、駆動原は接続されていない。スクイズロールとしては従前のものが使用され、第1,第2のサイドロールに駆動原を連結しても、金属帯板とサイドロールとの接触面積も狭いため、ロールの回転力では金属帯板の走行を円滑に行えない。本発明では、高周波コイル及びスクイズロールの後段に設けたサイジングロール又はチャック式送り装置等でパイプの推進を行っている。
スクイズロール16の後段で送り装置の前段に、レーザー平行光線照射装置17とレーザー照射部位を写し取るCCDカメラ18が設置されている。CCDカメラには写し取った形状をモニターする形状表示器が連接されている。
造管すべき金属帯板Sを、水平に配置された押えロール11と受けロール12の間を通し、受けロール12で下面を支えつつこの受けロール12を経た金属帯板を直接第1のサイドロール13間に送り込む。第1のサイドロール3の周面に設けられた凹部面の中心よりも下の角度αの範囲の凹部面に金属帯板の端部を当接させ、一対のサイドロールの板幅方向中心部に向けた押圧力で、金属帯板の板幅方向両端部をサイドロールの凹部面に沿って上方に湾曲させる。上記角度αは30度以内にすることが好ましい。
受けロール12の手前に対向するように設けた押えロール11も、受けロール12が座屈を防止する際の反力を押えて金属帯板Sの変形を抑制し、第1のサイドロール13による板両端部の湾曲成形を補助する作用をはたしている。
このように、受けロール2の補助を得て、第1、第2のサイドロール13,14によりオープンパイプ状に成形され、次のフィンパスロール15で形を整えられ(図7参照),スクイズロールで突合せられ、高周波,TIG,レーザー等の通常の方法で溶接される。
本発明で用いる装置では、第1及び第2のサイドロールを構成する各ロール、あるいはスクイズロールを構成するロールは、それぞれ単独に位置調整可能に設置されている。また、本発明では、造管された溶接管の断面形状を、レーザー平行光線照射装置17とレーザー照射部位を写し取るCCDカメラ18を用いてモニタリングしている。このため、モニタリングしている形状を所望形状と比較して、モニタリング形状が所望形状になるように、前記いずれかのロール位置を微調整することにより、変形度合いを変え、あるいは突合せ部の調整を行うことができる。
押えロール及び受けロールとして、それぞれφ60mmで長さ300mmのロールを用い、受けロールはその表面が溶接鋼管の最下表面位置になるように設置した。第1のサイドロールとしては、外径100mm,長さ70mmで、凹部曲率が溶接鋼管外径の1.5倍としたロールを用い、その垂直方向中心位置を溶接鋼管の中心位置よりも22.5mm高い位置に対向配置した。第2のサイドロールとしては、外径100mm,長さ55mmで、凹部曲率が溶接鋼管外径の1.2倍としたロールを用い、その垂直方向中心位置を溶接鋼管の中心位置よりも11.1mm高い位置に対向配置した。さらに、外径90mmで、凹部曲率が溶接鋼管外径の1.05倍で4mm幅のフィンを有するフィンパスロールと、凹部曲率が溶接鋼管外径の1.0倍のスクイズロールを通常の位置に設置した。
スクイズロールにより金属板の板幅方向両端部を突合せ、高周波溶接し、外径28.6mmの金属溶接管を製造した。レーザー平行光線とその反射光を写し取るCCDカメラで得られた金属溶接管の形状を確認したところ、真円度が高く、溶接部の外観に優れた金属溶接管が得られていた。
また、例えば図10に示すように、形状が非対称になる場合がある。図10に示す形状不良はDs側板端部の曲げ変形が不充分であったことに起因している。そこで、板端部の曲げ変形を担う第1サイドロールのDs側ロールをラインセンター方向に移動させる。これにより、Ds側板端部の曲げ変形を十分に行わせることで、上記形状不良は解消される。この際も、調整表示器に示された形状を確認しながら第1サイドロールのDs側ロール移動量を調整する。
14:第2のサイドロール 15:フィンパスロール 16:スクイズロール
17:レーザー平行光線照射装置 18:CCDカメラ S:金属帯板
Claims (1)
- 金属帯板の進行方向に、水平なストレート形状の受けロール,周面に凹部を設けた一対のロールからなる第1のサイドロール,同じく周面に凹部を設けた一対のロールからなる第2のサイドロール,及びフィンパスロールとスクイズロールを順次備えた成形装置に、造管すべき金属帯板を受けロールで支えつつ進入させ、第1のサイドロールで両板幅方向端部近傍を上方に湾曲させ、次の第2のサイドロールで両板幅方向端部近傍を除き金属帯板の幅方向中心部までを上方に湾曲させた後、フィンパスロールで形を整えるとともに板幅方向両端部の位置を調整し、スクイズロールで両端部を突合せて溶接する場合、前記受けロールを経た前記金属帯板が直接前記第1のサイドロールに送り込まれることにより、前記受けロールにより前記金属帯板の板幅方向中央部近傍が下方に変形するのを防止するとともに、溶接の後工程で、レーザー平行光線とCCDカメラの組み合わせで造管された溶接管の形状を確認し、当該確認形状に基づいて前記第1及び第2のサイドロール並びにスクイズロールの位置を微調整して造管された溶接管形状を制御することを特徴とする高加工性溶接管の製造方法。
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