JP3785943B2 - 接続変換装置およびそれを用いた住宅用分電盤 - Google Patents

接続変換装置およびそれを用いた住宅用分電盤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線導体と差込接続式(プラグイン式)の回路遮断器との間に介在し電線導体と回路遮断器とを電気的に接続する接続変換装置およびそれを用いた住宅用分電盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、集合住宅やマンション等の各需要家に使用される住宅用分電盤にあっては、各需要家内に設けられた火災報知器や消火設備等の非常用機器への電源を確保するできるように、主幹開閉器の一次側(電源側)から非常用電源を得る非常電源系を設けてあり、非常電源系には一次送り開閉器が挿入されている。ここに、一次送り開閉器は入力側が主幹開閉器の一次側に送り線を介して接続されている。
【0003】
また、近年、本出願人は、分電盤の施工時間の短縮化を目的として、主幹開閉器の二次側(負荷側)に接続される分岐開閉器として電源側の接続方式が差込接続式(いわゆるプラグイン式)の回路遮断器を用いた分電盤(例えば、特開平11−187517号公報参照)を提案している。このようなプラグイン式の回路遮断器では、電源側に端子ねじを用いずに電線導体を接続することができるので施工時間を短縮することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、分解開閉器と一次送り開閉器とで回路遮断器を共通化するために、一次送り開閉器としてもプラグイン式の回路遮断器を用いることが考えられるが、送り線は単なる被服電線であり、一次送り開閉器としては送り線の末端の電線導体を接続するねじ式の回路遮断器を使用しなければならず、一次送り開閉器をプラグイン式の回路遮断器とすることができなかった。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、電線導体と差込接続式の回路遮断器との間に介在し電線導体と差込接続式の回路遮断器とを電気的に接続することが可能な接続変換装置およびそれを用いた住宅用分電盤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、電線導体と背板の周縁の全周が側板に囲まれた前面開口する住宅用分電盤の箱本体内にハンドルを前面側として配設される差込接続式の回路遮断器との間に介在し電線導体と回路遮断器とを電気的に接続する接続変換装置であって、前面側から見た形状が長方形状の基台であり長手方向の両端部にそれぞれ端子台を有する基台と、端子台に配設され電線導体を接続する端子ねじ付きの端子部および基台の短手方向の一側面から突出する形で配設され回路遮断器を差込接続する差込刃が段差部を介して連続一体に形成された2つの同形状の端子板とを備え、各端子板は互いの差込刃が厚み方向において対向し且つ差込刃の厚み方向の表裏が逆になる形で配設され、基台には短手方向の他側面に開口され各端子板それぞれの段差部と差込刃の基部とが収納される2つの収納溝が形成されてなることを特徴とするものであり、端子台に配設され電線導体を接続する端子ねじ付きの端子部および基台の短手方向の一側面から突出する形で配設され回路遮断器を差込接続する差込刃が段差部を介して連続一体に形成された2つの同形状の端子板を備えていることにより、一次送り開閉器として差込接続式の回路遮断器を用いることができるから、分岐開閉器と一次送り開閉器とで同じ構成の回路遮断器を用いることができ、しかも、各端子板は互いの差込刃が厚み方向において対向し且つ差込刃の厚み方向の表裏が逆になる形で配設されているので、2つの端子板を共通化しながらも端子部と差込刃とを同一面上に形成するのに比べて差込刃間の絶縁距離を大きくでき、2つの端子板が共通化されていることで端子板の製造作業が容易になり低コスト化を図ることができるとともに部品管理が容易になる。また、各端子板の端子部と差込刃とが段差部を介して連続一体に形成され、基台には短手方向の他側面に開口され各端子板それぞれの段差部と差込刃の基部とが収納される2つの収納溝が形成されているので、段差部の厚み方向への端子板の移動を規制することができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記各端子台それぞれの前面は取付面からの距離がそれぞれ異なる位置に形成されているので、端子板間の間隔をさらに広げることができ、絶縁距離を大きくすることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、少なくとも基台の前面側および前記他側面側を覆う絶縁材料よりなるカバーを前記基台に取着してあるので、端子板の絶縁を図れる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記基台の短手方向の他方側および前面に引掛突起を設けるとともに、引掛突起に引掛けられる引掛孔を前記カバーに設けてあるので、前記カバーの取付作業が容易になる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記基台の前記他側面に設けた引掛突起は先端部が前記他側面に向かって延設され、前記基台の前面に設けた引掛突起は先端部が前記差込刃の突出方向へ延設されているので、前記カバーを前記基台の他側面に設けた引掛突起と前記基台の前記他側面との間で挟む形で引掛けることができ、前記カバーが外れにくくなる。
【0011】
請求項6の発明は、背板の周縁の全周が側板に囲まれた前面開口する箱本体と、上下に操作されるハンドルを有しハンドルを前面側として箱本体内に配設される主幹開閉器と、主幹開閉器の負荷側端子に電気的に接続され左右方向に延長される形で箱本体内に配設される導電バーと、上下に操作されるハンドルを有しハンドルを前面側として箱本体内で上下2段に配置され電源側の端子部が導電バーに差込接続される複数の回路遮断器からなる分岐開閉器と、主幹開閉器に対して電源側の電路に電線導体を介して接続され左右方向において主幹開閉器に対して分岐開閉器とは反対側で前記基台の一側面が主幹開閉器に対向する形で箱本体内に配設される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の接続変換装置と、上下に操作されるハンドルを有し左右方向において主幹開閉器に対して分岐開閉器とは反対側で箱本体内で上下2段に配置され差込刃にそれぞれ上下から差込接続される2つの回路遮断器からなる一次送り開閉器とを備えてなることを特徴とするものであり、左右方向において主幹開閉器と接続変換装置との間に一次送り開閉器が位置することになるので、左右方向において接続変換装置の基台が一次送り開閉器よりも外側に位置し、接続変換装置の端子部への電線導体の接続作業が容易になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、図4ないし図6に示すように、1つの主幹開閉器31と複数の分岐開閉器32と2つの一次送り開閉器33とを内器として箱体1の中に配置した住宅用分電盤であって、分岐開閉器32は上下2段に配置してある。箱体1は合成樹脂成形品であり矩形枠状の箱本体10と、箱本体10の前面側(図5における右側)に結合される蓋体20とで構成される。
【0013】
箱本体10は矩形枠状に形成された背板11の外周縁の全周に亘って側板12が前方に突設された形状に形成され、背板11には矩形状に開口した開口窓13が形成される。背板11の左右両端部にはそれぞれ上下2個の支持台14a,15aが突設され、両支持台14a,15aの周囲にはそれぞれ断面L字状であって矩形領域の角部をなすように配列されたガイド壁14b,15bが形成される。上側の支持台14aには下方に隣接して背板11からの突出寸法が支持台14aよりもやや大きい抜止ボス14cが形成される。また、下側の支持台15aの周囲に設けたガイド壁15bの前端面には下半分程度の受け片15cが連続一体に形成されている。背板11から受け片15cまでの寸法は背板11から支持台15aの先端面までの寸法よりもやや大きく設定されている。背板11の開口窓13の上下の周縁には左右方向に等ピッチで多数個の通し孔16が形成される。また、開口窓13における左右方向の中間部には上下の通し孔16に螺合する固定ねじ17aを用いて中桟17が取り付けられる。中桟17には上下2個の載置台18a,19aが形成され、下側の載置台19aには受け片15cと同様に断面L字状に形成された受け片19bが設けられる。
【0014】
一方、蓋体20は後端部外周面が箱本体10の側板12の前端部外周面にほぼ一致し、矩形状に形成された4個の窓孔21a〜21dが開口し、窓孔21a〜21cは箱本体10に収納された主幹開閉器31や分岐開閉器32や一次送り開閉器33のハンドル31a,32a,33aを前面側に露出させるために設けられている。
【0015】
ところで、箱本体10の背板11に形成した開口窓13の左側の支持台14a,15aと中桟17に設けた載置台18a,19aとの間には主幹開閉器31を取り付ける第1架台40が架設され、開口窓13の右側の支持台14a,15aと中桟17に設けた載置台18a,19aとの間には分岐開閉器32を取り付ける第2架台50が架設される。第1架台40と第2架台50とは互いに連結され一体化される。
【0016】
第1架台40と第2架台50とを連結した状態では全体として矩形状をなし、左側縁の上下両端部にそれぞれ支持片41,41を突設し、右側縁の上下両端部にそれぞれ支持片51,51を突設した形を有する。各支持片41,51には、支持台14a,15aに螺入される取付ねじ25(図6参照)の頭部の直径よりも大きい丸孔状の大径部の上縁の一部に取付ねじ25の直径よりも幅狭の溝部が連続する鍵穴状に形成された取付孔41a,51aがそれぞれ形成されている。したがって、各支持台14a,15aに取付ねじ25を緩く螺入した状態で、取付ねじ25の頭部に取付孔41a,51aの大径部を通し、取付ねじ25の頭部を溝部に対応する部位までスライドさせた後に取付ねじ25を締め付けることにより箱本体10に第1架台40および第2架台50を容易に取り付けることができる。また、上述したように支持台14a,15aの周囲にはガイド壁14b,15bが形成されているから、第1架台40の取付位置をガイド壁14b,15bに合わせることで容易に位置決めできる。さらに、下側のガイド壁15bおよび中桟17にはそれぞれ受け片15c,19bが形成されているから、第1架台40および第2架台50の一部を受け片15c,19bの後面側に重複させれば、取付ねじ25が万一外れても受け片15c,19bで第1架台40および第2架台50の荷重を受けることができる。
【0017】
取付孔41a,51aの溝部に取付ねじ25を挿入した状態では、取付孔41a,51aの大径部に抜止ボス14cが挿入されるように抜止ボス14cの位置が設定されており、取付ねじ25を締め付けた後には、支持片41,51は箱本体10に対して回り止めされる。また、抜止ボス14cが取付孔41a,51aの大径部に挿入されることによって、取付ねじ25が多少緩んでも支持片41,51が箱本体10に対してがたつくのを防止することができる。たとえば、地震などの外部振動によって取付ねじ25に緩みが生じたとしても、箱本体10に対して第1架台40および第2架台50が移動したり脱落したりするのを防止することができる。
【0018】
第1架台40は、図6ないし図8に示すように、箱本体10に形成した開口窓13の上下の幅寸法よりも上下の幅寸法が小さい縦長の長方形状に板金(鉄板)により形成されている。第1架台40の左側縁には上下一対の支持片41が突設され、右側縁には上下一対の連結片42が突設される。連結片42には支持片41と同様の鍵穴状の連結孔42aが形成され、連結孔42aの右側に隣接して止め孔42bが形成されている。
【0019】
第1架台40の左側部には2個の連結孔40aが形成されている。本実施形態では、主幹開閉器31が遮断された状態でも火災報知器などへの電源を確保することができるように、主幹開閉器31の電源側(一次側)から主幹開閉器31を通さずに電源を得る電源系を設けてあり、この電源系には箱本体10に収納される内器としての一次送り開閉器33が挿入される。一次送り開閉器33は分岐開閉器32と同構成を有するものであり、電源側には導電バー(後述する)が挿入接続されるスリット状の3つの端子部34a〜34cが設けられる。一次送り開閉器33においては中央の端子部34bには導電バーを接続する部材(受刃)が設けられておらず、端子部34a,34cのみが利用される。また、一次送り開閉器33の器体には長手方向の一端面に取付溝35が形成されている。
【0020】
一次送り開閉器33を箱本体10に取り付ける部材としては、補助取付板60が用いられる。補助取付板60は上下方向に長い矩形状に形成され上下両端部に段差部61を介して2個の連結片62が延設されている。各連結片62には連結孔62aが形成され、連結孔62aを通して第1架台40に設けた連結孔40aに連結ねじ63を螺合させることにより、第1架台40に補助取付板60が連結される。ここで、段差部61を設けていることによって主幹開閉器31と一次送り開閉器33との高さの違いを吸収して、主幹開閉器31においてハンドル31aが形成されている面と、一次送り開閉器33においてハンドル33aが形成されている面とをほぼ同一面上に揃えることができる。
【0021】
補助取付板60は一次送り開閉器33と左右方向の幅寸法がほぼ等しく形成され、補助取付板60の上端部の前面には上段の一次送り開閉器33の取付溝35に挿入される取付係止片64が切り起こして形成されている。また、補助取付板60の下端部の前面には下段の一次送り開閉器33の取付溝35に挿入される取付係止板67を取り付けるための固定孔69が形成されており、固定ねじ68を取付係止板67に形成した挿通孔67aに挿通して固定孔69に螺合することで係止取付板67が固定されている。
【0022】
補助取付板60の長手方向の中間部の左端縁からは接続変換装置70の基台70aを取り付けるための補助片65が延設されており、補助片65の長手方向の両端部にはそれぞれ固定孔65aが形成されている。
【0023】
接続変換装置70は、図1ないし図3および図8に示すように、2つの端子板71が合成樹脂成形品の基台70aに挿入保持されている。接続変換装置70は基台70aの長手方向を上下方向として箱本体10の内部に配置され上下両端部にそれぞれ端子台72a,72bを有している。端子台72a,72bは取付面(補助片65の前面)からの突出寸法が異なるように形成されており、取付面からの端子台72aの前面までの距離の方が端子台72bの前面までの距離よりも長くなっている。
【0024】
端子板71,71は、端子台72a,72bに配設され電線導体を接続する端子ねじ付きの端子部71bおよび基台70aの左右方向(短手方向)の右側面から突出する形で配設され回路遮断器からなる一次送り開閉器33の端子部34a,34cが上下から差込接続される差込刃71aが段差部71cを介して連続一体に形成されている。端子台72a,72bの前壁には端子ねじ73a,73bが挿通される挿通溝78,78が形成され、端子部71b,71bには端子ねじ73a,73bが螺合される端子孔76,76が形成されている。基台70aには端子板71,71を挿入保持するために左側面に開口した収納溝70bが形成され、収納溝70b,70bの開口縁には端子板71,71を保持する止め片70c,70cが形成されている。基台70における各収納溝70,70の底面には差込刃71a,71aが挿通される挿通孔70f,70fが形成されている。ここに、各収納溝70b,70bは、端子板71,71における差込刃71a,71aの基部と段差部71,71とが収納されるようにL字状に開口されており、段差部71,71が収納される部位の前後方向の寸法は同じ値に設定されている。また、段差部71,71が収納される部位は差込刃71a,71aの厚み方向において差込刃71a,71a間の距離が大きくなる向きに沿って形成されている。
【0025】
各端子板71,71の端子部71b,71bには各端子ねじ73a,73bを用いて2本の接続線84の電線導体が接続され、各端子板71,71は接続線84を介して主幹開閉器31の電源側端子31bにおける一方の電圧極と中性極とにそれぞれ接続される。また、各端子台72a,72bの前面には端子部71b,71bの周縁の一部が当接する立壁72c,72dが立設されているので、端子ねじ73a,73bを締め付けるときに端子板71,71のがたつきを防止できる。
【0026】
また、基台70aには補助取付板60から延設された補助片65の固定孔65aに対応する2個の取付片74が形成され、取付片74の挿通溝74aを通して挿入される固定ねじ75を固定孔65aに螺合させることにより基台70aが補助片65に固定される(つまり、補助取付板60に固定される)。基台70aの前面および左側面には引掛突起70d,70eが突設されており、断面コ字状に形成された絶縁材料からなるカバー77の引掛孔77a,77bに引掛突起70d,70eを係合させることによって、基台70aの前面および左側面および一次送り開閉器33の上下方向における端子部34a〜34c側を覆う形でカバー77が基台70aに容易に取り付けられ、端子板71,71の絶縁を図れる。
【0027】
ここに、引掛突起70eは基台70aの前面から突出する部分と、その部分の先端から差込刃71aの突出方向へ延設される部分とを有する逆L字状の形状に形成されている。また、引掛突起70dは基台70aの左側面から突出する部分と、その部分の先端から前方へ突出する部分とを有するL字状の形状に形成され、さらにそのL字状の部分の先端から差込刃71aの突出方向へ延設される部分が形成されている。すなわち、引掛突起70dは、基台70aの左側面に向かって突出する部分を有している。ここに、引掛突起70dにおいて差込刃71aの突出方向へ突出する部分の突出寸法は引掛突起70eにおいて差込刃71aの突出方向へ突出する部分の突出寸法よりも小さく設定してある。
【0028】
したがって、カバー77は引掛突起70eを引掛孔77bに挿入した状態から左方向へスライドさせることで引掛突起70eを引掛孔77bの周部に重複させて引掛けるとともに、引掛突起70dを引掛孔77aに挿入させて引掛けることにより、カバー77が接続変換装置70の基台70aに保持される。要するに、基台70aの左側面に突設された引掛突起70dと前面に突設された引掛突起70eとは引掛方向が同じになり、カバー77の一部を引掛突起70dと基台70aの左側面との間で挟む形で引掛けることができるので、カバー77が外れにくくなる。なお、カバー77には、各一次送り開閉器33の前面であって端子部34a〜34c側の端部にそれぞれ2つ突設された結束用突部39が挿入される4つの挿通孔77cが形成されている。
【0029】
しかして、接続変換装置70では、端子台72a,72bに配設され電線導体を接続する端子ねじ付きの端子部71b,71bおよび基台70aの短手方向の一側面から突出する形で配設され回路遮断器を差込接続する差込刃71a,71aが段差部71c,71cを介して連続一体に形成された2つの同形状の端子板71,71を備えていることにより、一次送り開閉器33として差込接続式の回路遮断器を用いることができるから、分岐開閉器32と一次送り開閉器33とで同じ構成の回路遮断器を用いることができ、しかも、各端子板71,71は互いの差込刃71a,71aが対向し且つ差込刃71a,71aの厚み方向の表裏が逆になる形で配設されているので、2つの端子板71,71を共通化しながらも端子部71b,71bと差込刃71a,71aとを同一面上に形成するのに比べて差込刃71a,71a間の絶縁距離を大きくでき、2つの端子板71,71が共通化されていることで端子板71,71の製造作業が容易になり低コスト化を図ることができるとともに部品管理が容易になる。
【0030】
また、各端子板71,71の端子部71b,71bと差込刃71a,71aとが段差部71c,71cを介して連続一体に形成され、基台70aには少なくとも段差部71c,71cが収納される収納溝70b,70bが形成されているので、段差部71c,71cの厚み方向への端子板71,71の移動を規制することができる。
【0031】
分岐開閉器32を取り付ける第2架台50は、板金(鉄板)により形成されたものであり、右端縁の上端部および下端部に支持片51が突設され、左端縁の上端部および下端部に連結片52が突設されている。支持片51には上述したように鍵穴状の取付孔51aが形成されるが、連結片52には連結突起52aが突設され、連結突起52aの右側近傍には止めねじ孔(図示せず)が形成されている。連結突起52aは第1架台40の連結片42に設けた連結孔42aにおける大径部に挿入され、上述の止めねじ孔には止め孔42bを通して連結ねじ53が螺合する。
【0032】
したがって、第2架台50の連結片52の前面側に第1架台40の連結片42を重ね合わせ、連結突起52aを連結孔42aに挿入するとともに、止め孔42bを通して連結ねじ53を上述の止めねじ孔に螺合させることによって、第1架台40と第2架台50とが結合される。この構成によって、連結ねじ53が多少緩んでも第1架台40と第2架台50とが外れることがない。
【0033】
ところで、第2架台50の前面側には合成樹脂成形品からなるバー支持部材80が取着される。バー支持部材80は中性極の導電バー90aと2本の電圧極の導電バー90b,90cとの3本の導電バー90a〜90cが支持されている。バー支持部材80に取り付けられた導電バー90a〜90cは主幹開閉器31の負荷側端子31c,31c,31cと電気的に接続される。負荷側端子31c,31c,31cと導電バー90a,90b,90cとは端子ねじ93,96,96を用いて外れないように接続される。
【0034】
導電バー90a〜90cは分岐開閉器32を接続するために設けられており、上述のように上下2段に8個ずつの分岐開閉器32を配列している。分岐開閉器32は一次送り開閉器33と同様の形状であって、電源側にはスリット状の3つの端子部(図示せず)が設けられる。各分岐開閉器32はそれぞれ各導電バー90a,90b,90cのうちの2本にのみ電気的に接続され、他の1本はダミーとして扱われる。なお、分岐開閉器32はバー支持部材80に固定される。
【0035】
分岐開閉器32がバー支持部材80に固定された状態では、上下の分岐開閉器32の間に隙間が形成される。この隙間を覆う形で分岐開閉器32の前面には結束部材100が取り付けられる。結束部材100は導電バー90aに固定される。結束部材100には上下の各分岐開閉器32の前面に重なる部位まで延長された結束片103が形成され、結束片103の先端部に設けた切欠溝104が分岐開閉器32の前面に突設された結束用突部39に係合することによって、上下の分岐開閉器32が結束片103に連結されるようにしてある。
【0036】
上述したように、第1架台40には主幹開閉器31および一次送り開閉器33が取り付けられ、第2架台50には分岐開閉器32が取り付けられている。分岐開閉器32と一次送り開閉器33とは同じ構成である。主幹開閉器31と分岐開閉器32と一次送り開閉器33とは、いずれもハンドル31a〜33aが前面側になるように配置され、かつハンドル31a〜33aの開閉操作時の移動方向が上下方向となるように配置される。また、上下2段の分岐開閉器32ではハンドルの開操作位置と閉操作位置との上下の位置関係が逆になるように配置してある。
【0037】
また、本実施形態の住宅用分電盤では、左右方向において主幹開閉器31と接続変換装置70の基台70aとの間に一次送り開閉器33,33が位置することになるので、左右方向において接続変換装置70の基台70aが一次送り開閉器33,33よりも外側(左方)に位置し、接続変換装置70の端子部71b,71bへの電線接続作業が容易になる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明は、電線導体と背板の周縁の全周が側板に囲まれた前面開口する住宅用分電盤の箱本体内にハンドルを前面側として配設される差込接続式の回路遮断器との間に介在し電線導体と回路遮断器とを電気的に接続する接続変換装置であって、前面側から見た形状が長方形状の基台であり長手方向の両端部にそれぞれ端子台を有する基台と、端子台に配設され電線導体を接続する端子ねじ付きの端子部および基台の短手方向の一側面から突出する形で配設され回路遮断器を差込接続する差込刃が段差部を介して連続一体に形成された2つの同形状の端子板とを備え、各端子板は互いの差込刃が厚み方向において対向し且つ差込刃の厚み方向の表裏が逆になる形で配設され、基台には短手方向の他側面に開口され各端子板それぞれの段差部と差込刃の基部とが収納される2つの収納溝が形成されてなるものであり、端子台に配設され電線導体を接続する端子ねじ付きの端子部および基台の短手方向の一側面から突出する形で配設され回路遮断器を差込接続する差込刃が段差部を介して連続一体に形成された2つの同形状の端子板を備えていることにより、一次送り開閉器として差込接続式の回路遮断器を用いることができるから、分岐開閉器と一次送り開閉器とで同じ構成の回路遮断器を用いることができ、しかも、各端子板は互いの差込刃が厚み方向において対向し且つ差込刃の厚み方向の表裏が逆になる形で配設されているので、2つの端子板を共通化しながらも端子部と差込刃とを同一面上に形成するのに比べて差込刃間の絶縁距離を大きくでき、2つの端子板が共通化されていることで端子板の製造作業が容易になり低コスト化を図ることができるとともに部品管理が容易になるという効果がある。また、各端子板の端子部と差込刃とが段差部を介して連続一体に形成され、基台には短手方向の他側面に開口され各端子板それぞれの段差部と差込刃の基部とが収納される2つの収納溝が形成されているので、段差部の厚み方向への端子板の移動を規制することができるという効果がある。
【0039】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記各端子台それぞれの前面は取付面からの距離がそれぞれ異なる位置に形成されているので、端子板間の間隔をさらに広げることができ、絶縁距離を大きくすることができるという効果がある。
【0040】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、少なくとも基台の前面側および前記他側面側を覆う絶縁材料よりなるカバーを前記基台に取着してあるので、端子板の絶縁を図れるという効果がある。
【0041】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記基台の短手方向の他方側および前面に引掛突起を設けるとともに、引掛突起に引掛けられる引掛孔を前記カバーに設けてあるので、前記カバーの取付作業が容易になるという効果がある。
【0042】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記基台の前記他側面に設けた引掛突起は先端部が前記他側面に向かって延設され、前記基台の前面に設けた引掛突起は先端部が前記差込刃の突出方向へ延設されているので、前記カバーを前記基台の他側面に設けた引掛突起と前記基台の前記他側面との間で挟む形で引掛けることができ、前記カバーが外れにくくなるという効果がある。
【0043】
請求項6の発明は、背板の周縁の全周が側板に囲まれた前面開口する箱本体と、上下に操作されるハンドルを有しハンドルを前面側として箱本体内に配設される主幹開閉器と、主幹開閉器の負荷側端子に電気的に接続され左右方向に延長される形で箱本体内に配設される導電バーと、上下に操作されるハンドルを有しハンドルを前面側として箱本体内で上下2段に配置され電源側の端子部が導電バーに差込接続される複数の回路遮断器からなる分岐開閉器と、主幹開閉器に対して電源側の電路に電線導体を介して接続され左右方向において主幹開閉器に対して分岐開閉器とは反対側で前記基台の一側面が主幹開閉器に対向する形で箱本体内に配設される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の接続変換装置と、上下に操作されるハンドルを有し左右方向において主幹開閉器に対して分岐開閉器とは反対側で箱本体内で上下2段に配置され差込刃にそれぞれ上下から差込接続される2つの回路遮断器からなる一次送り開閉器とを備えてなるものであり、左右方向において主幹開閉器と接続変換装置との間に一次送り開閉器が位置することになるので、左右方向において接続変換装置の基台が一次送り開閉器よりも外側に位置し、接続変換装置の端子部への電線導体の接続作業が容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接続変換装置の分解斜視図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上の側面図である。
【図4】同上を用いた住宅用分電盤の正面図である。
【図5】同上を用いた住宅用分電盤の分解斜視図である。
【図6】同上を用いた住宅用分電盤のカバーを取り外した状態の一部破断した正面図である。
【図7】同上を用いた住宅用分電盤の要部正面図である。
【図8】同上を用いた住宅用分電盤の要部分解斜視図である。
【符号の説明】
70 接続変換装置
70a 基台
70b 収納溝
71 端子板
71a 差込刃
71b 端子部
72a,72b 端子台
73a,73b 端子ねじ
76 端子孔

Claims (6)

  1. 電線導体と背板の周縁の全周が側板に囲まれた前面開口する住宅用分電盤の箱本体内にハンドルを前面側として配設される差込接続式の回路遮断器との間に介在し電線導体と回路遮断器とを電気的に接続する接続変換装置であって、前面側から見た形状が長方形状の基台であり長手方向の両端部にそれぞれ端子台を有する基台と、端子台に配設され電線導体を接続する端子ねじ付きの端子部および基台の短手方向の一側面から突出する形で配設され回路遮断器を差込接続する差込刃が段差部を介して連続一体に形成された2つの同形状の端子板とを備え、各端子板は互いの差込刃が厚み方向において対向し且つ差込刃の厚み方向の表裏が逆になる形で配設され、基台には短手方向の他側面に開口され各端子板それぞれの段差部と差込刃の基部とが収納される2つの収納溝が形成されてなることを特徴とする接続変換装置。
  2. 前記各端子台それぞれの前面は取付面からの距離がそれぞれ異なる位置に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の接続変換装置。
  3. 少なくとも基台の前面側および前記他側面側を覆う絶縁材料よりなるカバーを前記基台に取着してなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の接続変換装置。
  4. 前記基台の前記他側面および前面に引掛突起を設けるとともに、引掛突起に引掛けられる引掛孔を前記カバーに設けてなることを特徴とする請求項3記載の接続変換装置。
  5. 前記基台の前記他側面に設けた引掛突起は先端部が前記他側面に向かって延設され、前記基台の前面に設けた引掛突起は先端部が前記差込刃の突出方向へ延設されてなることを特徴とする請求項4記載の接続変換装置。
  6. 背板の周縁の全周が側板に囲まれた前面開口する箱本体と、上下に操作されるハンドルを有しハンドルを前面側として箱本体内に配設される主幹開閉器と、主幹開閉器の負荷側端子に電気的に接続され左右方向に延長される形で箱本体内に配設される導電バーと、上下に操作されるハンドルを有しハンドルを前面側として箱本体内で上下2段に配置され電源側の端子部が導電バーに差込接続される複数の回路遮断器からなる分岐開閉器と、主幹開閉器に対して電源側の電路に電線導体を介して接続され左右方向において主幹開閉器に対して分岐開閉器とは反対側で前記基台の一側面が主幹開閉器に対向する形で箱本体内に配設される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の接続変換装置と、上下に操作されるハンドルを有し左右方向において主幹開閉器に対して分岐開閉器とは反対側で箱本体内で上下2段に配置され差込刃にそれぞれ上下から差込接続される2つの回路遮断器からなる一次送り開閉器とを備えてなることを特徴とする住宅用分電盤。
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