JP3780683B2 - 作業車両の変速制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の作業車両に設けられるギヤ式変速装置の変速切替を電気的に制御する変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ギヤ式変速装置の変速切替用シフタを油圧シリンダで駆動する変速制御装置において、変速シフト位置を設定する設定器と、前記油圧シリンダのピストンの作動量を検出するセンサとが制御部の入力側に接続され、且つ前記油圧シリンダ制御用電磁弁のソレノイドが制御部の出力側に接続されており、前記設定器の設定結果に応じて制御部からソレノイドに出力信号を出して油圧シリンダのピストンを作動させると共に、該油圧シリンダのピストンの作動に伴い変化する前記センサの検出値を制御部にフィードバックし、そのセンサの検出結果が予め設定された所定の値となると制御部からソレノイドへの出力信号を停止して油圧シリンダのピストンの作動を停止するように制御する構成のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の変速制御装置は、変速切替用シフタを駆動するための油圧シリンダのピストンの作動量を検出するセンサからの情報に基づいて変速切替を制御しているので、センサが故障した場合には変速切替をできなかった。トラクタ等の農業機械は短い期間に集中して稼働させる必要があるため、この期間中に上記の如くセンサの故障のため機械が使用できなくなると、作業計画に大きな狂いが生じる。そこで本発明は、センサが故障した場合等の非常時にでも応急的に対応できるようにすることを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明にかかる作業車両の変速制御装置は、ギヤ式変速装置と、その変速シフト位置を設定する増減速スイッチ(35,36)と、ピストンをニュートラル位置から伸長もしくは短縮させて前記変速装置の変速シフト位置を切り替える油圧シリンダ(42A,42B)と、該油圧シリンダ(42A,42B)のピストンの作動量を検出するポテンショメータ式変速位置センサ(45A,45B)と、前記設定器の設定結果に応じて前記油圧シリンダ(42A,42B)のピストンを前記センサの検出値が所定の値となる位置まで作動させるフィードバック式シフト制御もしくは前記設定器の設定結果に応じて前記油圧シリンダのピストンを予め設定された時間だけ作動させる時間式シフト制御のいずれかを選択するセットスイッチ(53)と、前記増減速スイッチ(35,36)、ポテンショメータ式変速位置センサ(45A,45B)、セットスイッチ(53)の信号に応じて前記油圧シリンダ(42A,42B)のピストンを伸縮操作する制御部(50)を具備するとともに、前記フィードバック式シフト制御での油圧シリンダ(42A,42B)のピストンストローク端基準位置の設定を、前記制御部への電源投入時、少なくとも前記増減速スイッチ(35,36)のON操作と車両のクラッチペダル(12)の踏込み操作を共に検出した状態で調整モードへ突入させ、前記油圧シリンダ(42A,42B)を実際に作動させることにより、基準位置のデータを取得して行う構成としたことを特徴としている。
【0005】
センサが正常に機能しているときは制御部がフィードバック式変速制御を行うようにし、センサの故障等により上記フィードバック式変速制御が行えない時は制御部が時間式変速制御を行うように切り替える。これにより、センサが故障した場合等の非常時にでも、作業車両を運転して作業を続行することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は作業車両の一種であるトラクタを表し、このトラクタ1は駆動車輪である前輪2,2及び後輪3,3を備えている。トラクタ1の機体前部にエンジン5が搭載され、その後側に後述する主クラッチを収容するクラッチケース6が設けられ、さらにその後ろ側に後述する前後進変速装置、主変速装置、及び副変速装置等を収容するミッションケース7が設けられている。
【0007】
左右の後輪3,3の前方から上方にかけてフェンダー9,9が取り付けられ、この左右フェンダーの間に座席10が設けられている。座席10の前方には、前輪2,2を操向操作する操向ハンドル11が設けられている。符号12は主クラッチを入・切操作するクラッチペダル、13は前進と後進を切り替える前後進切替レバー、14は変速位置を切り替える変速レバーである。
【0008】
機体の後部には図示しない昇降油圧シリンダで上下回動させるリフトアーム16,16が設けられており、このリフトアームの先端部と作業機装着用のロワリンク17,17の中間部とがリフトロッド18,18で連結されている。リフトアーム16,16を上げ作動及び下げ作動させることにより、ロワリンク17,17とトップリンク19とで構成される三点リンク機構により支持される作業機が昇降する。なお、片方のリフトロッド18(図示例では右側)は左右傾動用の油圧シリンダになっており、該油圧シリンダを伸縮させることにより、作業機の左右傾斜が調整される。
【0009】
図2はこのトラクタの伝動機構図である。エンジン5の回転動力は、クラッチケース6内の主クラッチ21を経由し、伝動入・切可能にミッションケース7に入力される。ミッションケース7に入力された動力は、前輪及び後輪を駆動する走行駆動力と外部動力取出用のPTO駆動力の二系統に伝動分岐される。
【0010】
走行駆動力は、多板油圧クラッチ式の前後進切替装置25、シンクロメッシュ式の主変速装置26、及び同じくシンクロメッシュ式の副変速装置27で変速される。前後進切替装置25は、前進油圧クラッチ25aを入かつ後進油圧クラッチ25bを切にすると前進速となり、前進油圧クラッチ25aを切かつ後進油圧クラッチ25bを入にすると後進速になり、両油圧クラッチ25a,25bをいずれも切にすると以後の伝動系統への動力伝達が断たれる中立状態になる。主変速装置26は「1速」〜「4速」の4段の変速位置を有し、また副変速装置27は「超低速」「低速」「中速」及び「高速」の4段の変速位置を有し、これら主変速装置26と副変速装置27の組み合わせにより、図3の表に示すような16段の変速段数が前後進共に得られるようになっている。
【0011】
これらの装置25〜27を経由した動力の一部は後輪デフ装置29に伝達され、左右の後輪3,3を駆動し、また、残りの動力は前輪伝動軸30を介して前輪デフ装置31へ伝達され、左右の前輪2,2を駆動する。
【0012】
一方、PTO駆動力は、PTO変速装置32を経由し、ミッションケース7の背面部から後方に突出するPTO軸33に取り出される。PTO軸33の突出部に、各種作業機(図示省略)への伝動軸が着脱自在に伝動連結するようになっている。
【0013】
主変速装置26と副変速装置27の変速シフト位置を切り替えるための前記変速レバー14は、図4に示すように、把手部分に押しボタン式の増速用変速スイッチ35と減速用変速スイッチ36が設けられ、レバー全体をH形のガイド溝37に沿って操作するようになっている。増速用変速スイッチ35を押すと主変速が「1速」から「4速」側へ順次シフトアップされ、減速用変速スイッチ36を押すと主変速が「4速」から「1速」側へ順次シフトダウンする。この主変速の切替は、後述する如くノークラッチ操作で行われる。また、クラッチペダル12を踏み込み主クラッチ21を切った状態で変速レバー14をガイド溝の各シフト位置へ操作することにより、副変速が「超低速(LL)」「低速(L)」「中速(M)」及び「高速(H)」に切り替わる。
【0014】
図5乃至図7は主変速装置26の変速シフト位置切替機構を表している。主変速装置26は、「1速」と「2速」を切り替えるシンクロメッシュ装置Aと、「3速」と「4速」を切り替えるシンクロメッシュ装置Bとを備えている。各シンクロメッシュ装置A,Bのシフタ40A,40Bは、上下平行に設けた摺動軸41A,41Bに摺動自在に嵌合し、ミッションケース7の外側面に設けた変速油圧シリンダ42A,42Bのピストン43A,43Bにそれぞれ連結されている。変速油圧シリンダ42A,42Bは、電磁弁44A,44Bによって制御される。変速油圧シリンダ42A,42Bはニュートラル位置Nを起点にしてピストン43A,43Bが後退及び突出するようになっており、ピストン43Aが後退すると「1速」、ピストン43Aが突出すると「2速」、ピストン43Bが後退すると「3速」、ピストン43Bが突出すると「4速」になる。ピストン43A,43Bの作動量は、ポテンショメータからなる主変速位置センサ(1−2速センサ45A、3−4速センサ45B)にそれぞれ検出される。
【0015】
副変速装置27は、「超低速」と「低速」を切り替えるシンクロメッシュ装置と、「中速」と「高速」を切り替えるシンクロメッシュ装置と備え、変速レバー14による手動操作でそれぞれのシンクロメッシュ装置のシフタを作動させるようになっている。「超低速」と「低速」のシフト位置は副変速位置センサ(LL−L速センサ)46Aに検出され、「中速」と「高速」のシフト位置は副変速位置センサ(M−H速センサ)46Bに検出される。
【0016】
図8は変速切替を制御する変速制御装置のブロック図であって、制御部としてのコントローラ50の入力側に、変速位置を設定する設定器としての前記変速スイッチ35,36と、前記主変速位置センサ45A,45Bと、前記副変速位置センサ46A,46Bと、クラッチペダル17を踏圧操作するとONになるクラッチペダルスイッチ51と、後記自動調整制御を行う際に使用するチェックスイッチ52と、後記時間式変速制御を行う際に使用する非常セットスイッチ53とが接続され、コントローラ50の出力側に、変速油圧シリンダ42A,42Bを制御する電磁弁44A,44Bを切り替えるためのソレノイド55,56,57,58と、前後進切替装置の油圧クラッチ25a,25bをON・OFF切り替える電磁弁V1 (図9参照)のソレノイド59,60と、前記油圧クラッチ25a,25bの昇圧制御用比例減圧弁V2 (図9参照)のソレノイド61と、警報ブザー62と、変速モニタ63とがコントローラ50の出力側に接続されている。また、コントローラ50には記憶手段としてEEPROM64とRAM65が接続されている。EEPROM54には、変速シフト位置ごとに予め定めたシフタの作動位置の基準値が記憶されている。
【0017】
工場出荷時や部品等のメンテナンスを行う時には、主変速装置26の駆動側と従動側が適正なタイミングで噛み合うように前記シフタ40A,40Bの作動位置の基準値(シフト基準値)を調整する初期調整を行う。この初期調整の順序を、図10及び図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0018】
電源を入れ、センサ類の値を読み込んだ後、予め設定した操作を行うと後述する自動調整モードへ突入する。この予め設定した操作とは、本例ではチェックスイッチ52をON、クラッチペダルスイッチ51をON、及び増速用及び減速用変速スイッチ35,36を共にONにする操作であり、これらの全ての操作を行った場合にのみ自動調整モードへ突入するようにコントローラ50の記憶装置に記憶されている。上記操作のいずれか一つでも行われない場合は、自動調整モードへ突入せず、ブザー52に出力する。後述する如く、変速油圧シリンダ42A,42Bを実際に作動させて自動調整制御を行うため、自動調整制御中、主クラッチ21が「入」であると危険であるので、クラッチペダルスイッチ51がONでないと自動調整モードへ突入しないようにしているのである。
【0019】
自動調整モードに突入すると、油圧を安定させるために一定時間(本実施形態では500msec)変速油圧シリンダ42A,42BをニュートラルN(「1速」〜「4速」出力OFF)に保持した後、主変速位置センサ45A,45Bのニュートラルのセンサ値を記憶する。
【0020】
そして、「1速」出力を実行し、一定時間(本実施形態では400msec)が経過したなら所定時間(本実施形態では10msec)ごとに1−2速センサ45Aの値を検出し、そのセンサ値と前回検出のセンサ値を比較する。両者の差が規定値以内(ほぼ0)である状態が一定時間(本実施形態では100msec)経過したなら、各センサ値の平均値を算出する。このセンサ平均値はシフタのストローク端の位置を表している。
【0021】
変速油圧シリンダのピストンの移動時間とシンクロメッシュ装置の同期時間を加味すると、変速出力開始してからシンクロメッシュ装置の駆動側と従動側の接続が完了するまでの時間は通常は0.2秒程度である。ところが、油温の影響等でそれ以上時間がかかることもあるので、本実施形態では、この時間の約2倍の0.4秒経過してからストロークセンサの値を検出することにより、誤検出を少なくしているのである。
【0022】
次いで、上記「1速」のセンサ平均値と「1速」のニュートラルセンサ値を比較する。両者の差が規定値以上である場合は、シフタが正しく作動したと判断し、センサ平均値データをRAM65にセットする。差が規定値未満である場合は、シフタが正しく作動していないと考えられるので、EEPROM64のデータ内容を変更しないようにNGをセットする。
【0023】
「2速」「3速」及び「4速」についても、上記「1速」の場合と同様にしてセンサ平均値を求める。ただし、「2速」から「3速」へ移行する際には、異なるシフタを作動させるので、変速油圧シリンダ42A,42Bを一定の待機時間(本実施形態では500msec)ニュートラルNに保持する。
【0024】
以上の操作を各変速位置ごとに複数回、例えば3回行う。そして、得られた複数の平均値データを比較し、下記のルールに基づいて、各変速位置ごとにシフタのストローク端の基準値を決定する。
【0025】
すなわち、(1)各データの差が全て規定内である場合は最小値(ニュートラルに近い側)を基準値としてRAM55に格納し、(2)規定外の差がある場合は最大値(ニュートラルに遠い側)を基準値としてRAM65に格納し、(3)各データとも差が規定外である場合は異常であると判断して、EEPROM64のデータ内容を変更しないようにNGをセットする。
【0026】
(1)の場合、各データの差は組付けのガタによるものであるので、いずれのデータを基準値として採用してもよいが、少しでも変速油圧シリンダの不必要な作動をなくすために最小値を基準値として採用している。よって、場合によっては最大値を基準値として採用してもよい。(2)の場合における差が規定外であるデータ値は、変速油圧シリンダ内にエアが溜まっていたり、シンクロメッシュ装置のピンの先端同士が当たりシフタが移動できなかったりした異常時のものであるので、最大値を基準値とすることにより、上記異常時のデータを基準値として採用されないようにしている。
【0027】
上記のようにして各変速位置ごとのシフタのストローク端の基準値が決定されたならば、それをEEPROM64に書き込み、ブザー52に出力する。また、異常が発生してEEPROM64のデータを変更しなかった場合は、正常時と異なる報知パターンでブザー62に出力する。例えば、正常時には報知音を2回出力し、異常時には報知音を連続出力する。そして、チェックスイッチ52をOFFにすると、初期調整が完了し、変速制御モードになる。
【0028】
変速制御モードにおいては、図12のフローチャートに示す順序で制御を行う。まず、自動調整制御で設定されたシフト基準値と、スイッチ、センサ類の信号とを読み込む。次いで、変速スイッチ35,36による主変速の変速操作の有無を判断し、変速操作があったならば次に進み、無かったならば、主変速用ソレノイド55,56,57,58への出力を現在のまま保持する。
【0029】
変速操作があった場合、前進ソレノイド59と後進ソレノイド60を共にOFFにして油圧クラッチ25a,25bを切り、前後進切替装置25を中立にする。次いで、非常セットスイッチ53の状態を判断し、当該スイッチがONである場合はフィードバック式シフト制御で主変速用ソレノイド55,56,57,58の出力を制御して変速シフト位置を切り替え、また当該スイッチがOFFである場合は時間式シフト制御で主変速ソレノイド55,56,57,58の出力を制御して変速シフト位置を切り替える。
【0030】
フィードバック式シフト制御もしくは時間式シフト制御により変速シフト位置を切り替えたならば、変速後のシフト位置を変速モニタ63に表示(これについては後で説明する)すると共に、油圧クラッチ昇圧制御を行い油圧クラッチ25a(或は25b)を接続する。この油圧クラッチ昇圧制御は、油圧クラッチのクラッチ圧を徐々に高めてクラッチを滑らかに且つ迅速に接続する処理を行う制御である。
【0031】
フィードバック式シフト制御は、図13のフローチャートに示す順序で行う。全体の流れとしては、第一段階で、現在のシフト位置を抜く方向にシフタが作動するように出力を実行し、主変速センサ45A(或は45B)の検出値が所定のシフト「抜け」判定基準と一致したなら上記出力を停止し、第二段階で、目標シフト位置へ入れる方向にシフタが作動するように出力を実行し、主変速センサ45A(或は45B)の検出値が所定のシフト「入り」判定基準と一致したなら上記出力を停止するように制御する。また、第一段階から第二段階へ移行する際には、中立を確保するためシフト「抜け」側の出力とシフト「入り」側の出力を一定時間(本実施形態では50msec)OFFに保持するようにしている。
【0032】
ここで、シフト「抜け」判定基準及びシフト「入り」判定基準は、ソレノイドに出力停止指令を出してから実際に変速油圧シリンダのピストンが停止するまでのピストン移動距離を考慮して設定された基準であり、下記の如く、シフト「抜け」判定基準はニュートラル位置から適正距離だけ離れた位置に設定され、シフト「入り」判定基準は初期調整で設定したシフト基準値よりもニュートラル側に適正距離だけ離れた位置に設定されている。
【0033】
ところで、電磁弁44A,44Bのスプールの動作速度は往方向と復方向とで異なり、また片ロッド型である変速油圧シリンダ42A,42Bはピストンロッドがある側と無い側とで油圧を受ける面積が異なるため、ピストンの動作速度はニュートラル位置から後退する時と、後退位置からニュートラル位置へ復帰する時と、ニュートラル位置から突出する時と、突出位置からニュートラル位置へ復帰する時とでそれぞれ異なっている。このため、シフト抜け判定基準及びシフト入り判定基準をニュートラル位置から一律に同じ距離に設定しておくと、シフト抜け判定時にニュートラル位置を少し越えてしまったり、シフト入り判定時に実際にはすでにシフト「入り」が完了しているのに油圧クラッチ25a(或は25b)の昇圧が行われないという不都合が生じる。そこで、どの変速位置についてもシフト抜け判定及びシフト入り判定が正確に行われるように、ピストンの動作速度に応じてシフト抜け判定基準及びシフト入り判定基準を設定している。
【0034】
具体的には、このトラクタの場合、ピストンの動作速度の速い側のシフト抜け判定基準はニュートラル位置よりシフト基準値に対し50%離れた位置、ピストンの動作速度の遅い側のシフト抜け判定基準はニュートラル位置よりシフト基準値に対し40%離れた位置、ピストンの動作速度の速い側のシフト入り判定基準はニュートラル位置よりシフト基準値に対し80%離れた位置、及びピストンの動作速度の遅い側のシフト入り判定基準はニュートラル位置よりシフト基準値に対し90%離れた位置にそれぞれ設定する。
【0035】
図14は「3速」から「4速」へのシフト変更及び「4速」から「3速」へのシフト変更時における主変速センサ値とソレノイド出力のタイムチャートである。
【0036】
「3速」の状態から、第一段階として3速ソレノイドをOFFすると共に4速ソレノイドをONすると、若干の時間差をおいてシフタが作動を開始し、3−4速センサ45Bの値が変化する。そして、そのセンサ値がニュートラル位置Nより3速シフト基準値S3に対し40%離れた位置を示す値(A点)となったならば、4速ソレノイドをOFFにする。
【0037】
その状態で一定時間(50msec)保持した後、第二段階として4速ソレノイドをONにする。すると、若干の時間差をおいてシフタが再び作動を開始し、3−4速センサ45Bの値が変化する。そして、そのセンサ値がニュートラル位置Nより4速シフト基準値S4に対し80%離れた位置を示す値(B点)となったならば、油圧クラッチ25a(或は25b)の昇圧を開始する。ここで、「4速」のシフト入り判定基準(ピストンの動作速度の遅い側)を「3速」のシフト入り判定基準(ピストンの動作速度の速い側)と同じようにニュートラル位置よりシフト基準値に対し90%離れた位置に設定しておくと、シフト「入り」が完了しているのに油圧クラッチの昇圧が行われないタイムラグが生じてしまうが、ピストンの動作速度に応じてシフト入り判定基準を変えることにより、このタイムラグをなくすことができる。
【0038】
また、「4速」の状態から、第一段階として4速ソレノイドをOFFすると共に3速ソレノイドをONすると、若干の時間差をおいてシフタが作動を開始し、3−4速センサ45Bの値が変化する。そして、そのセンサ値がニュートラル位置Nより4速シフト基準値S4に対し50%離れた位置を示す値(C点)となったならば、3速ソレノイドをOFFにする。ここで、「4速」のシフト抜け判定基準(ピストンの動作速度の速い側)を「3速」のシフト抜け判定基準(ピストンの動作速度の遅い側)と同じようにニュートラル位置よりシフト基準値に対し40%離れた位置に設定しておくと、ニュートラル位置を少し越えてしまうことになるが、ピストンの動作速度に応じてシフト抜け判定基準を変えることにより、これを防止できる。
【0039】
両ソレノイドがOFFの状態で一定時間(50msec)保持した後、第二段階として3速ソレノイドをONにする。すると、若干の時間差をおいてシフタが再び作動を開始し、3−4速センサ45Bの値が変化する。そして、そのセンサ値がニュートラル位置Nより3速シフト基準値S3に対し90%離れた位置を示す値(D点)となったならば、油圧クラッチ25a(或は25b)の昇圧を開始する。
【0040】
本実施形態ではシフト抜け判定基準及びシフト入り判定基準を予め定めた上記位置に設定するが、これを前回同じシフト変更を行った時の主変速センサ値の変化と昇圧タイミングを基にして各回ごとに補正するように構成してもよい。
【0041】
また、本実施形態では第一段階から第二段階へ移行する際に中立を確保するためシフト「抜け」側の出力とシフト「入り」側の出力をOFFにする時間を一定時間(50msec)に固定しているが、この中立保持時間を主変速センサの検出値の変化に基づき各回ごとに変更するようにしてもよい。すなわち、主変速センサの検出値の変化が0(零)もしくは0(零)に近い値となった時点で、目標とするシフト位置への出力実行を開始するのである。これにより、図15に示すように、中立保持時間を固定している場合(同図において破線で示す)と比較し、目標シフトへΔtだけ早く出力することができ、シフト変更に要する時間が短縮化される。
【0042】
時間式シフト制御は、図16のフローチャートに示す順序で行う。すなわち、現在のシフト位置を抜く方向にシフタが作動するように一定時間t1 だけ出力を実行し、次いで一定時間t2 だけ全出力をOFFに保持し、次いで目標シフト位置へ入れる方向にシフタが作動するように一定時間t3 だけ出力を実行するのである。このように、主変速センサの検出値が制御に関与せず、時間データのみでシフト変更を行う。このため、主変速センサが故障してフィードバック式シフト制御を行えない場合、非常セットスイッチ53をONにして時間式シフト制御でシフト変更を行うようにすることにより、応急的にトラクタを運転することが可能である。
【0043】
次に、変速モニタ63による主変速の変速シフト位置の表示方法について説明する。図17のフローチャートに示すように、コントローラ50からは、初期調整モードである場合は現在出力中の主変速シフト位置情報が変速モニタ63に送信され、通常の変速制御モードである場合は主変速センサの検出値データが変速モニタ63に送信される。
【0044】
変速モニタ63は、変速シフト位置を表示するLEDと数値及びメッセージを表示する液晶表示部とを備え、コントローラ50から送信されるデータを上記LEDと液晶表示部に表示するように、内蔵のマイコンによって図18のフローチャートに示す順序で制御する。
【0045】
コントローラ50から送信されるデータが初期調整モードのものである場合は次のように表示する。調整中である時は、は現在出力中のシフト位置をLEDに表示すると共に、液晶表示部に『シフト調整中』と表示する。調整が正常に終了した時は、液晶表示部に『シフト調整終了』と表示する。また、調整が正常に終了しなかった時は、異常が発生したシフト位置をLEDを点滅させて表示すると共に、液晶表示部にそのシフト位置の異常値を表示する。これにより、外部接続の別機材を使用することなく、異常であるセンサを判断することができる。また、その異常値を読み取ることにより、センサ自体が不良であるのか、或はセンサの取り付けが不良であるのかを判断できる。
【0046】
コントローラ50から送信されるデータが通常の変速制御モードである場合は、送信されてきた主変速センサの検出値データをLEDと液晶表示部に表示する。
【0047】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明にかかる作業車両の変速制御装置は、変速シフト位置を切り替える油圧シリンダのピストンの作動量を検出するセンサ情報に基づいて変速シフト切替を行うフィードバック式シフト制御と、前記センサ情報に関係なく時間データのみ変速シフト切替を行う時間式シフト制御とのいずれかを選択して行うことができるので、前記センサが故障したとしても、時間式シフト制御を選択することで作業車両を運転して作業を続行することができるようになった。また、変速シフタの作動位置の基準値を、変速用の油圧シリンダを実際に作動させて調整するので、工場出荷時や部品等のメンテナンスを行ったときに、車両の固体差に合った基準値を設定することができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】伝動機構図である。
【図3】変速段数と主変速の変速位置及び副変速の変速位置との関係を示す表である。
【図4】変速レバーの斜視図である。
【図5】主変速装置の変速位置切替機構の正面図である。
【図6】主変速装置の変速位置切替機構の側面図である。
【図7】主変速装置の変速位置切替機構の平面図である。
【図8】変速制御装置のブロック図である。
【図9】前後進切替装置及び主変速装置の油圧回路図である。
【図10】自動調整制御の全体のフローチャートである。
【図11】自動調整制御における自動調整出力実行制御のフローチャートである。
【図12】変速制御の全体のフローチャートである。
【図13】変速制御におけるフィードバック式シフト制御のフローチャートである。
【図14】中立保持時間を固定した場合におけるシフト変更時の主変速センサ値とソレノイド出力のタイムチャートである。
【図15】中立保持時間を各回ごとに変更する場合におけるシフト変更時の主変速センサ値とソレノイド出力のタイムチャートである。
【図16】変速制御における時間式シフト制御のフローチャートである。
【図17】コントローラによるシフト情報送信制御のフローチャートである。
【図18】変速モニタによりシフト情報表示制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1 トラクタ(作業車両)
2 前輪
3 後輪
5 エンジン
7 ミッションケース
14 変速レバー
25 前後進切替装置
26 主変速装置
27 副変速装置
35 増速用変速スイッチ(設定器)
36 減速用変速スイッチ(設定器)
42A,42B 変速油圧シリンダ
43A,43B ピストン
45A,45B 主変速センサ
50 コントローラ(制御部)
53 非常セットスイッチ
63 変速モニタ

Claims (1)

  1. ギヤ式変速装置と、その変速シフト位置を設定する増減速スイッチ(35,36)と、ピストンをニュートラル位置から伸長もしくは短縮させて前記変速装置の変速シフト位置を切り替える油圧シリンダ(42A,42B)と、該油圧シリンダ(42A,42B)のピストンの作動量を検出するポテンショメータ式変速位置センサ(45A,45B)と、前記設定器の設定結果に応じて前記油圧シリンダ(42A,42B)のピストンを前記センサの検出値が所定の値となる位置まで作動させるフィードバック式シフト制御もしくは前記設定器の設定結果に応じて前記油圧シリンダのピストンを予め設定された時間だけ作動させる時間式シフト制御のいずれかを選択するセットスイッチ(53)と、前記増減速スイッチ(35,36)、ポテンショメータ式変速位置センサ(45A,45B)、セットスイッチ(53)の信号に応じて前記油圧シリンダ(42A,42B)のピストンを伸縮操作する制御部(50)を具備するとともに、前記フィードバック式シフト制御での油圧シリンダ(42A,42B)のピストンストローク端基準位置の設定を、前記制御部への電源投入時、少なくとも前記増減速スイッチ(35,36)のON操作と車両のクラッチペダル(12)の踏込み操作を共に検出した状態で調整モードへ突入させ、前記油圧シリンダ(42A,42B)を実際に作動させることにより、基準位置のデータを取得して行う構成としたことを特徴とする作業車両の変速制御装置。
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