JP3779501B2 - 自動車用かじ取りシステム - Google Patents

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  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者により操作可能なかじ取りハンドル、かじ取り可能な車輪のかじ取り操作用かじ取り操作器、かじ取りハンドルにより操作可能なかじ取り角目標値発生器、かじ取り可能な車輪により操作可能なかじ取り角実際値発生器、かじ取り角の目標値と実際値との比較に応じてかじ取り操作器を操作する調整兼制御装置を持つ、自動車用かじ取りシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
このようなかじ取りシステムは、特にステア・バイ・ワイヤ(Steer−by−wire)作動のために構成することができ、その際場合によっては従来のかじ取り装置において普通のかじ取り柱を、別の機械的システム又は液圧システム特に静液圧システムに代えることができる。
【0003】
車両の安全性従って乗客の安全性を高めるため、自動車製造者により、異なる構想に基く最大の努力がなされる。この構想の1つによれば、例えば車両と障害物との衝突の危険を減少する手段が示される。このような衝突は、例えば第1の車両の車線変更の際第2の車両が第1の車両のいわゆる死角にある時、起こることがある。しかし車両の操車の重要でないほど、衝突の頻度はそれだけ大きい。例えば割込み駐車の際衝突の心配のため、余裕のない駐車間隙では、車両を割込み駐車する試みが全く行われないことがしばしばある。
【0004】
車両の操車のため、間隔測定センサ装置に基いて、車両と障害物との間の危険間隔に達すると音響信号を発生して運転者に警告する電子割込み補助装置が公知である。比較的高い速度では、例えば車線変更の際、このような割込み駐車補助装置は衝突の防止には不適当である。
【0005】
欧州特許出願公開第0738647号明細書から、剛性かじ取り柱を持つ従来の動力かじ取り装置が公知であり、このかじ取り装置は、運転者により加えられる手動かじ取り力を援助するサーボモータを持っている。更に公知の動力かじ取り装置は、車両とかじ取り方向に検出される障害物との間に衝突の可能性があるか否かを決定する手段を持っている。公知の動力かじ取り装置において衝突の危険が確認されると、動力補助の減少が行われるので、衝突進路は増大される手動力でのみ制御することができる。その際動力かじ取り装置は、衝突を回避するため、動力援助がなくなっている普通の動力かじ取り装置のように緩慢に動作することがある。
【0006】
しかし公知の動力かじ取り装置から公知の衝突回避原理は、剛性かじ取り柱を持つかじ取り装置にしか適用できない。ステア・バイ・ワイヤ作動で動作するか又は開いたかじ取り柱を持つかじ取り装置即ち剛性かじ取り柱を持たないかじ取り装置例えば液圧リンク機構を持つかじ取り装置、クラツチ、遊星歯車装置又はかじ取りハンドルからかじ取りされる車輪への剛性伝動を中断する他の歯車装置を持つかじ取り柱で動作するかじ取りシステムにおける使用は不可能である。なぜならば、かじ取りハンドルとかじ取りされる車輪との間に剛性連結なしのこのようなかじ取りシステムでは、動力援助のこのような減少は、運転者によりかじ取りハンドルの所で感じ取られないので、かじ取りされる車輪へ車輪横力が作用する際、運転者によってはもはや制御不可能な走行方向変化が起こるからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かじシステムを備えた車両と障害物との衝突の危険が減少され、かじ取りシステムが更にステア・バイ・ワイヤ作動に適するように、最初にあげた種類のかじ取りシステムを構成するという問題に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によればこの問題は、請求項1の特徴を持つかじ取りシステムによって解決される。
【0009】
本発明は、衝突かじ取り角と一致する目標かじ取り角の運転者による設定が困難にされるか又は阻止されるように、かじ取り装置へ介入するという一般的な考えに基づいている。この手段により、衝突の原因となる誤ったかじ取りがかじ取りシステムの既に目標値側で阻止されるか又は減少され、かじ取りシステムの実際値側は不変のままである。特にかじ取り操作器は、同じ大きさの安定化操作力をかじ取り可能な車輪へ伝達することができる。衝突かじ取り角と一致する目標かじ取り角の設定が困難にされるか又は阻止されると、実際かじ取り角と目標かじ取り角との不変な関係から、衝突かじ取り角の1つと一致する実際かじ取り角も、設定困難又は全く設定不可能になるので、検出される障害物と車両との衝突進路が効果的に阻止又は回避される。
【0010】
かじ取りシステムの不変な実際値側により、例えばかじ取り可能な車輪へ作用する横力が制御できないかじ取り操作を生じることはない。従って本発明によるかじ取りシステムは、特にステア・バイ・ワイヤ作動に適している。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の基礎になっている問題は、更に請求項2の特徴を持つかじ取りシステムによって解決される。
【0012】
ここで本発明は、特にステア・バイ・ワイヤ作動で動作するかじ取りシステムにおいて、設定される実際かじ取り角が検出される衝突かじ取り角の1つに一致しない場合にのみ、目標かじ取り角により規定される実際かじ取り角の設定が行われるように、実際かじ取り角と目標かじ取り角との関係を変える、という一般的な考え方に基いている。目標かじ取り角を越える目標かじ取り角は考慮されないままである。この手段も、車両と検出される障害物との衝突を効果的に防止する。このシステムでもかじ取り可能な車輪のかじ取りのための操作力は不変に存在するので、この実施形態でも、かじ取り可能な車輪へ横力が作用する場合、制御できないかじ取り運動を生じることはなく、それによりこのかじ取りシステムもステア・バイ・ワイヤ作動で使用することができる。
【0013】
この解決策は運転者の希望によりかじ取りシステム又は車両を優先させるが、前にあげた解決策は異なる考えに従い、車両に対する最終的な制御を運転者に任せている。
【0014】
特に本発明によるかじ取りシステムの最初にあげた実施形態の発展では、逆かじ取り手段が設けられ、この逆かじ取り手段によりかじ取りハンドルが、運転者によりかじ取りハンドルへ加えられるかじ取り力とは逆に作用する逆かじ取り力の作用を受けることができる。本発明により提案される逆かじ取り手段は、かじ取りハンドルにより発生される逆かじ取り力が運転者によりかじ取りハンドルへ加えられるかじ取り力より小さい場合、衝突かじ取り角と一致する目標かじ取り角の設定を困難にし、かじ取りハンドルにより発生される逆かじ取り力が運転者によりかじ取りハンドルへ加えられるかじ取り力に等しいか又はこれより大きい場合、衝突かじ取り角と一致する目標かじ取り角の設定を阻止することができる。
【0015】
逆かじ取り力を加えるため、逆かじ取り手段は制動機又は電動機を備えていることができ、これらの部材の各々はかじ取りハンドル又はこれに結合されるかじ取り伝達系に連結されて、適当な逆かじ取り力をかじ取りハンドルの所で発生する。
【0016】
特にステア・バイ・ワイヤ作動で動作するこのかじ取りシステムでは、運転者の運転の感じを改善するためかじ取り可能な車輪へ作用する横力を模擬するため調整兼制御装置により操作される手動力操作器が設けられ、この手動力操作器が特にかじ取り伝達系を介してかじ取りハンドルに連結されて、減少した模擬車輪力をかじ取りハンドルへ伝達し、それにより運転者は、車両の現在の道路状態及び走行状態についての感じを得ることができる。このような手動力操作器は、本発明によるかじ取りシステムでは逆かじ取り手段として用いられて、所望の逆かじ取り力を発生することができる。従ってこのようなかじ取りシステムでは、本発明による衝突防止手段を、多額の構造費なしに実現することができる。
【0017】
本発明によるかじ取りシステムの有利な実施形態では調整兼制御装置により操作される音響手段又は光学手段又は触覚手段が設けられ、衝突かじ取り角と一致するかじ取り角を設定する試みの際、運転者のために音響又は光又は触覚信号を発生することができる。このような警報信号により更に運転者の注意を喚起し、適当な反応を行わせることができる。
【0018】
運転者への警告のために触覚信号を発生する実施形態では、触覚信号を振動の形で形成し、かじ取りハンドルの所で感じられるようにすることができる。触覚信号は、例えば前記の手動力操作器又は逆かじ取り手段により発生することができる。これらの振動は運転者のかじ取り運動に重畳されることがあり、有利な実施形態では、かじ取り操作器の操作の際目標かじ取り角に応じて、かじ取りハンドルの所でかじ取り角に重畳されるこれらの振動が除かれるので、これらの振動はかじ取りされる車輪へ伝達されることはない。
【0019】
前記の実施形態では、衝突が予測される方向に運転者が車両をかじ取りしたい事例が大体述べられているが、次の実施形態は、障害物が検出される時点に車両が既に衝突進路をとっている走行状況を考慮している。
【0020】
本発明によるかじ取りシステムの有利な実施形態によれば、衝突かじ取り角の1つと一致する実際かじ取り角が存在すると、かじ取り操作器の操作により調整兼制御装置が、衝突かじ取り角の1つと一致しないかじ取り角を設定するためのかじ取り介入を行い、このかじ取り介入が目標かじ取り角と無関係に行われる。この手段により、特に車両の操車の際衝突を効果的に防止することができる。
【0021】
前記の実施形態の有利な構成では、目標かじ取り角と無関係なかじ取り介入が、車両の現在の走行状態に応じて行われ、現在の走行状態を検出する手段が設けられている。例えばこのようなかじ取り介入は、緩慢な車両運動の際、車両から僅かな間隔の所にある障害物との衝突を防止するために有利である。これとは異なり、もっと高い速度ではかじ取り介入が行われないように、調整兼制御装置をプログラミングすることができる。
【0022】
本発明によるかじ取りシステムの別の有利な実施形態では、調整兼制御装置が、車両の現在の走行状態に応じて制動機介入又は機関介入又は変速機介入又は懸架装置介入を行うことができる。例えば比較的高い速度において横滑りする車両と、機関出力、懸架装置及び車両の配分される個別車輪制動への適切な介入によって、かじ取り介入になるよりも著しくよく安定化することができる。
【0023】
本発明によるかじ取りシステムの別の重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面及び図面についての以下の説明から明らかになる。
【0024】
前述しかつなお後述する特徴が、本発明の範囲を離れることなく、それぞれ前述の組合わせにおいてだけでなく、他の組合わせ又は個々でも使用可能なことは明らかである。
【0025】
本発明の好ましい実施例が図面に示されており、以下に説明される。
【0026】
【実施例】
図1によれば、ステア・バイ・ワイヤ作動に適した本発明によるかじ取りシステムは、かじ取りハンドル1を持ち、車両の運転者がこのかじ取りハンドルをつかんで、手によりかじ取り力をかじ取りシステムへ与える。かじ取りハンドル1は、かじ取り伝達系2に相対回転しないように連結され、このかじ取り伝達系2のかじ取りハンドル1から遠い方の端部は、ピニオン37を介してかじ取りタイロツド3にかみ合っている。このかじ取りタイロツド3は、車両のかじ取り可能な車軸のかじ取り可能な車輪4のかじ取りに用いられる。
【0027】
かじ取り伝達系2には液圧継手5が設けられて、かじ取りシステムの通常作動では開離しており、それによりかじ取りハンドル1はかじ取りタイロツド3から切離されている。図示したかじ取りシステムは、従って通常作動ではステア・バイ・ワイヤ原理に従って動作する。
【0028】
かじ取りシステムのステア・バイ・ワイヤ作動のためかじ取り伝達系2にかじ取り角目標値発生器6が設けられて、かじ取りハンドル1により操作可能である。かじ取り角目標値発生器6は、そのつど所望の目標かじ取り角に関連する信号値を発生する。これらの信号値は、適当な信号導線7を経てかじ取りシステムの中央の調整兼制御装置8へ伝送される。この調整兼制御装置8はなるべく計算機により援助され、記憶装置及びその中に記憶されるかじ取りシステムの作動用プログラムを含んでいる。
【0029】
適当な個所、ここではかじ取りタイロツド3に近いほうのかじ取り伝達系2の端部に、かじ取り角実際値発生器9が設けられて、車輪4の現在のかじ取り角を検出し、それに関連する信号値を適当な信号導線10を介して調整兼制御装置8へ伝送する。
【0030】
かじ取り角の目標値と実際値との比較により、調整兼制御装置8は制御又は調整信号を発生し、この信号が適当な信号導線11を介して比例操作弁12へ伝送され、それによりこの操作弁12が適当に切換えられる。図1には操作弁12の初期位置が示され、例えばかじ取りシステムの給電がないと、操作弁12は初期位置をとる。
【0031】
操作弁12は、液圧媒体ポンプ14を経て液圧媒体タンク15から液圧媒体を吸入される圧力導管13を、かじ取り操作器18の接続部16及び17に接続する。どの方向にかじ取り旋回が望まれるかに応じて、一方の接続部16又は17が他方の接続部より大きい圧力を加えられる。実施例ではかじ取り操作器18は複動ピストン−シリンダ装置として構成され、そのピストン19はかじ取りタイロツド3に連結されているので、ピストン19の操作運動は、かじ取りタイロツド3を介して車輪4のかじ取り運動を生じる。かじ取り操作器18ではピストン19により2つの室38及び39が互いに分離され、これらの室の一方が接続部16に連通し、他方が接続部17に連通している。室38及び39の圧力差はピストン19の運動を生じる。低い方の圧力を持つ室38又は39に接続されているかじ取り操作器18の接続部16又は17は、操作弁12を介して戻り導管20に接続され、この戻り導管20はかじ取り操作器18において押出される液圧媒体を液圧媒体タンク15へ戻す。
【0032】
かじ取り操作器の接続部16及び17の間に安全弁21が設けられて、非常の場合接続部16及び17を短絡して、かじ取り操作器18の液圧阻止によるかじ取り装置の拘束を防止する。図示した実施例では、安全弁21がこの非常位置で示されている。しかしかじ取りシステムの通常作動では、安全弁21が別の位置をとり、この別の位置で接続部16及び17は安全弁21を介して互いに接続されてはいない。ここでも例えば停電が起こると、安全弁21がひとりでにその非常位置をとる。
【0033】
接続部16及び17に接続される圧力センサ22及び23は、接続部16及び17における現在の液圧媒体圧力従ってこれに連通するかじ取り操作器18の室38及び39の圧力を測定する。適当な信号導線24及び25を介して、圧力値に関連する信号値が調整兼制御装置8へ伝送される。
【0034】
操作弁12を操作し従ってかじとり操作器18を操作する上述した制御信号のほかに、調整兼制御装置8は更に適当な制御導線26を介して別の制御信号を手動力操作器27へ送る。この手動力操作器27は例えば電動機として構成され、伝動装置例えば円板28を介してかじ取り伝達系2に連結されている。かじ取りハンドル1の操作の際運転者が、車輪における横力についての感じ従って車両の走行挙動についての感じを得るようにするため、手動力操作器27は、運転者のかじ取り力とは逆に作用しかつ円板28及びかじ取り伝達系2を介してかじ取りハンドル1へ伝達される逆力を模擬する。この手段は、従来のかじ取り装置におけるように、抵抗に抗してかじ取りする印象を運転者に伝える。
【0035】
更に手動力操作器27を介して、走行の感じ又は道路の感じを更に改善することができる。例えば車道の凹凸により車輪4へ作用する横力が、かじ取り操作器18の室38及び39従って接続部16及び17に圧力変動を生じると、これが圧力センサ22及び23により検出され、信号導線24及び25を介して調整兼制御装置8へ伝送される。そこで手動力操作器27用の適当な信号が計算されるので、例えば地面の凹凸により発生されて車輪4へ作用する横力もかじ取りハンドル1の所で模擬され、かじ取りシステムのステア・バイ・ワイヤ作動においてかじ取りハンドル1が開離している継手5により車輪4自体の運動から切離されていても、かじ取りハンドル1の所で運転者により感知可能である。
【0036】
かじ取りシステムのステア・バイ・ワイヤ作動を開始するため、他の場合車両の車高調節装置用の液圧の発生に用いられる第2の液圧媒体ポンプ29により発生される液圧を継手5が受ける。その際液圧媒体ポンプの吐出側は、適当に切換えられるアキムレータ充填弁31及び適当に切換えられる継手切換え弁32の所にある圧力導管30を介して、継手5に液圧接続されている。適当な液圧切換え圧力が継手5にかかると、この継手5が開離し、それによりかじ取りタイロツド3をかじ取りハンドル1から切離す。
【0037】
非常の場合、例えばかじ取りシステムの電気装置が故障すると、継手切換え便32が図1に示す位置をとり、この位置で継手5が液圧媒体タンク15に接続されるので、継手5の切換え圧力がなくなる。それにより継手5が係合し、かじ取り伝達系2を介してかじ取りタイロツド3をかじ取りハンドル1に結合するので、かじ取りハンドル1で加えられるかじ取り力を直接かじ取りタイトロツド3へ伝達することができる。
【0038】
アキユムレータ充填弁31も故障に対して安全に構成されている。継手システムのアキユムレータ40の充填のため、アキユムレータ充填弁31が図示した中間位置から右方へ動かされる。車高調整装置の図示しないアキユムレータへの充填のため、アキユムレータ充填弁31が左方へ動かされる。非常の場合アキユムレータ充填弁31が無電流に切換えられるので、この弁は自動的に図示した中間位置をとり、この位置で継手5の切換え圧力がなくなる。
【0039】
本発明によるかじとりシステムは、更に車両と障害物との衝突を防止する手段33を持っている。この手段33は例えば図示しない間隔センサを含み、この間隔センサにより、車両の外側寸法に対する障害物の相対位置が検出可能である。図示した実施例では、衝突防止手段33は、適当な信号導線34を介して、車両に対する検出された障害物の相対座標を調整兼制御装置8へ伝送する。
【0040】
適当な信号入力端35を介して、調整兼制御装置8は更に、例えば車両速度のような車両の現在の走行状態についての必要なデータを利用可能である。現在の実際かじ取り角に基いて、調整兼制御装置8は、障害物の求められた相対位置から、かじ取り角が車輪4に設定される時車両と障害物との衝突をひき起こす可能性のあるかじ取り角の範囲を計算することができる。
【0041】
本発明により提案される衝突防止の作用を、例について以下に説明する。
【0042】
本発明によるかじ取りシステムを備えた第1の車両が、走行方向において2車線道路の右車線上を走行している。あまり著しくない高さの速度で第2の車両が、左車線上を、右車線上を走行する第1の車両の死角内で見えなくなるまで、第1の車両へ接近する。さて第1の車両の運転者がこの車両の前を走行する第3の車両を追い越したい場合、死角内にある第2の車両を見落し、車線変更を開始しようと試みる。
【0043】
しかし衝突防止手段33の間隔センサが、既に第2の車両の接近中に、この第2の車両を潜在的な障害物と判定し、それぞれに応じた衝突かじ取り角を求める。これらの衝突かじ取り角は、第1の車両と第2の車両との相対位置の変化毎に常に現実化される。
【0044】
この場合衝突を防止するために、調整兼制御装置8は、遅くとも第2の車両へ向かってかじ取りする試みの際、手動力操作器27を介して逆かじ取り力を発生して、運転者がかじ取りハンドル1において衝突かじ取り角を設定するのを艱難にする。
【0045】
別の原理に従う別の実施例では、調整兼制御装置8により衝突が予想される方向へかじ取りハンドル1が全く回されないような大きさを、手動力操作器27により発生される逆力が持つようにすることができる。従って両方の実施例では、衝突の危険がある目標かじ取り角の設定が防止されるか又は困難にされる。
【0046】
全く異なる実施例では、衝突の危険のある方向へかじ取りハンドル1を回すのを許すけれども、調整兼制御装置8がこの回転をかじ取り操作器18の操作信号に変換しないようにすることも可能である。前記の実施例とは異なりこの実施例では、衝突の危険のある目標かじ取り角が設定可能であるけれども、この目標かじ取り角は調整兼制御装置8により危険な実際かじ取り角には変換されない。
【0047】
本発明によるかじ取りシステムは、付加的な手段により更に改善することができる。例えば調整兼制御装置8は、それに利用される信号値を、車両を操車するか否かの確認のために利用することができる。この場合例えば車両と検出される障害物との間の別の特に一層小さい間隔を、例えば高い車両速度の場合より危険とみなすことができる。更に特定の間隔限界値に達すると、適当な信号導線36を介して車両制動機を動作させて、車両をまず衝突前に停止させることもできる。
【0048】
調整兼制御装置8は、車両の横滑りを検出し、個々の車輪への制動介入及び機関出力への介入、懸架システムへの介入及び車両の変速機への介入を行って、例えば滑らかな氷上で横滑りする車両を正常な状態に戻すこともできる。
【0049】
このように複雑な状況において、かじ取りシステムの調整兼制御装置8が車両の車内計算機と共同動作するかまたは少なくとも一部車内計算機に統合されていることは明らかである。
【0050】
更に有利な実施例では、手動力操作器27を介して誤った方向へのかじ取りハンドル1の操作を阻止するほかに、振動をかじ取りハンドル1へ伝達し、それにより運転者に触覚的な警告信号を与えることができる。更に信号灯又は警笛を動作させて、運転者または他の道路使用者に警告することができる。
【0051】
ステア・バイ・ワイヤシステムにおいてかじ取りハンドル1とかじ取り可能な車輪4とを機械的に切離すため、このシステムが自動的に操車を行うように、このシステムを構成することができる。たとえばそれにより、比較的小さい駐車間隙への割込み駐車を行うことができる。かじ取りシステムが回避操車を自動的に行うことができその際それに応じて遠くまで達する距離又は間隔測定装置が必要になる。操車を自動的に行う代わりに、かじ取りシステムは例えば音響信号又は音響通報により緊急に操車を推奨することができる。
【0052】
ステア・バイ・ワイヤシステムのいわゆる非常事態レベルにおいて、即ち継手が係合している場合かじ取りハンドル1が機械的かじ取り伝達系2を介してかじ取り可能な車輪4に連結されている時、かじ取り操作器18はサーボモータとして役立つので、この非常レベルにおいて多かれ少なかれ従来の動力かじ取り装置が利用可能である。同じように手動力操作器27もサーボモータとして、運転者によりかじ取りハンドル1へ加えられる力を援助するのに使用することができる。
【0053】
その場合衝突防止のため、代わりに又は一緒に動作する前記のサーボモータ(かじ取り操作器18又は手動力操作器27)は障害物との衝突が予想される方向への運転者のかじ取り運動をあまり援助しないか又は阻止することができる。こうして衝突かじ取り角の設定が困難にされるか又は阻止される。更に非常事態レベルにおいても、調整兼制御装置8を介して、サーボモータ18又は27を始動して、運転者のかじ取り力とは逆に作用する逆かじ取り力がかじ取り伝達系2へ伝達されるようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるステア・バイ・ワイヤ作動に適したかじ取りシステムの概略的な原理図である。
【符号の説明】
1 かじ取りハンドル
4 かじ取り可能な車輪
6 かじ取り角目標値発生器
8 調整兼制御装置
6 かじ取り角実際値発生器
18 かじ取り操作器
33 衝突防止手段

Claims (14)

  1. 運転者により操作可能なかじ取りハンドル(1)、かじ取り可能な車輪(4)のかじ取り操作用かじ取り操作器(18)、かじ取りハンドル(1)により操作可能なかじ取り角目標値発生器(6)、かじ取り可能な車輪(4)により操作可能なかじ取り角実際値発生器(9)、かじ取り角の目標値と実際値との比較に応じてかじ取り操作器(18)を操作する調整兼制御装置(8)、及び自動車と障害物との衝突が起こり得るかじ取り角(衝突かじ取り角)を求める衝突防止手段(33)を持ち、常時、ステア・バイ・ワイヤ作動を可能にするステア・バイ・ワイヤ式の自動車用かじ取りシステムにおいて、調整兼制御装置(8)が衝突防止手段(33)により求められた衝突かじ取り角の1つと一致する目標かじ取り角の設定を困難にするか又は阻止する、又は前記目標かじ取り角を設定可能にするけれども実際かじ取り角には変換しない、自動車用かじ取りシステム。
  2. 衝突かじ取り角の1つと一致する実際かじ取り角が設定不可能であるように、調整兼制御装置(8)がかじ取り操作器(18)を操作することを特徴とする、請求項1に記載のかじ取りシステム。
  3. 逆かじ取り手段(27)が設けられ、この逆かじ取り手段(27)によりかじ取りハンドル(1)が、運転者によりかじ取りハンドル(1)へ加えられるかじ取り力とは逆に作用する逆かじ取り力の作用を受けることができることを特徴とする、請求項1又は2に記載のかじ取りシステム。
  4. 逆かじ取り手段(27)がかじ取りハンドル(1)に連結される制動機を持っていることを特徴とする、請求項3に記載のかじ取りシステム。
  5. 逆かじ取り手段(27)がかじ取りハンドル(1)に連結される電動機を持っていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のかじ取りシステム。
  6. かじ取り可能な車輪(4)へ作用する横力を模擬するため調整兼制御装置(8)により操作される手動力操作器(27)が設けられ、この手動力操作器(27)がかじ取りハンドル(1)に連結されて、前記模擬する車輪へ作用する横力をかじ取りハンドル(1)へ伝達し、手動力操作器(27)が逆かじ取り手段として逆かじ取り力の発生に用いられることを特徴とする、請求項3〜5の1つに記載のかじ取りシステム。
  7. 調整兼制御装置(8)により操作される音響手段が設けられ、衝突かじ取り角と一致するかじ取り角を設定する試みの際、これらの音響手段が運転者のために音響信号を発生することを特徴とする、請求項1〜6の1つに記載のかじ取りシステム。
  8. 調整兼制御装置(8)により操作される光学手段が設けられ、衝突かじ取り角と一致するかじ取り角を設定する試みの際、これらの光学手段が運転者のために光信号を発生することを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載のかじ取りシステム。
  9. 調整兼制御装置(8)により操作される触覚手段(27)が設けられ、衝突かじ取り角と一致するかじ取り角を設定する試みの際、これらの触覚手段が運転者のために触覚信号を発生することを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載のかじ取りシステム。
  10. かじ取りハンドル(1)の所に発生される振動の形で触覚信号が形成されることを特徴とする、請求項9に記載のかじ取りシステム。
  11. 逆かじ取り手段(27)が触覚かじ取り手段として用いられ、触覚信号をかじ取りハンドル(1)の所で発生することを特徴とする、請求項3〜10の1つに記載のかじ取りシステム。
  12. 衝突かじ取り角の1つと一致する実際かじ取り角が存在すると、かじ取り操作器(18)の操作により調整兼制御装置(8)が、衝突かじ取り角の1つと一致しないかじ取り角を設定するためのかじ取り介入を行い、このかじ取り介入が目標かじ取り角と無関係に行われることを特徴とする、請求項1〜11の1つに記載のかじ取りシステム。
  13. 目標かじ取り角と無関係なかじ取り介入が、車両の現在の走行状態に応じて行われ、現在の走行状態を検出する手段が設けられていることを特徴とする、請求項12に記載のかじ取りシステム。
  14. 調整兼制御装置が、車両の現在の走行状態に応じて制動機介入又は機関介入又は変速機介入又は懸架装置介入を行うことを特徴とする、請求項1〜13の1つに記載のかじ取りシステム。
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