JP3778267B2 - 電子写真用乾式トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用乾式トナー、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用乾式トナーとしては、通常、結着樹脂中に離型剤、着色剤、荷電制御剤等を分散させた後、微粉砕手段によりトナーサイズに粉砕、分級してトナー粒子とされ、現像方式により一成分トナー粒子、またはトナー粒子およびキャリア粒子からなる二成分トナーとされる。また、耐熱性等を改善するためにトナー表面に樹脂粒子層を被覆し、複合型トナーとすることも知られている。
【0003】
最近、電子写真にあっては、一層の高速化、低温定着化が求められ、トナー粒子を構成する結着樹脂の低温溶融特性化が必須である。この要請に対応するものとして結着樹脂中に離型剤粒子を分散させた内部分散型、オイルレス定着用トナー粒子がある。しかしながら、結着樹脂溶融時の内部凝集力の低下にともない、定着用ローラへの付着等のオフセット防止を図る必要があり、離型剤の含有量を多くせざるを得ないのが現状であるが、必要以上の離型剤を配合することにより、カラートナーの透明性が低下するという問題が生じる。
【0004】
従来、例えば特公平8−12451号公報には、トナー組成物の製造方法として、その実施例1には結着樹脂であるスチレンブタジエン樹脂70重量%、ワックス20重量%、顔料10重量%からなるトナー組成物が開示され、トナー粒子形状として、熱処理によりワックス状物質でカプセル化された連続シエル層を有するトナー粒子とし、摩擦生成物の少ないトナー粒子とすることが開示されているが、トナー粒子中には結着樹脂100重量部に対して、ワックスを28重量%も含有させるものであり、カプセル状のワックス状物質により、感光体、現像器等のプロセス部材がフィルミングにより汚染されることが想定されるものであり、また、ワックス量が多いために透明性に問題がある。
【0005】
また、特公平6−77161号公報には、粉砕・分級処理した芯粒子に対して熱処理、ジェットミル、衝撃式粉砕機等による「かどとり」処理を施した後、壁材粒子を機械的衝撃力により均一固定化し、表面の均質なトナー粒子とすることを開示し、その実施例には衝撃式粉砕機による方法を記載するが、実施例における芯粒子であるワックス状物質等を分散したトナー粒子に対して壁材粒子はいわばたたき込まれた状態で固定化されているにすぎず、壁材粒子は脱離しやすく、複写機内での飛散、汚染、画像上のカブリ等の種々の弊害をもたらすという問題がある。
【0006】
さらに特公平8−12453号公報には、懸濁重合芯粒子表面に微小粒子を水中で水溶性重合開始剤を使用して付着させたトナーであって、微小粒子のガラス転移温度や軟化点を特定のものとし、また、離型剤を芯粒子、特に微小粒子に添加することにより耐熱性、耐オフセット性、透光性に優れ、フルカラーに適したトナーを提供できることを開示するが、微小粒子に離型剤を添加して複合化するだけでは離型剤粒子の一部はトナー粒子表面に存在することとなり、感光体へのフィルミングや現像器内の部材の汚染が発生し、画像異常や部材の早期交換といった問題が依然として残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、感光体や現像器等のプロセス部材へのフィルミングにより汚染することがなく、また、定着時には耐オフセット性に優れると共に耐久性、透明性に優れ、特にカラートナーとして適した電子写真用乾式トナー、およびその製造方法の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真用乾式トナーは、結着樹脂中に離型剤粒子が分散した着色樹脂粒子表面にカプセル用樹脂粒子を固着・融着させてなる樹脂被覆層を有する電子写真用乾式トナーにおいて、該着色樹脂粒子が離型剤層を介して樹脂被覆層により被覆され、該樹脂被覆層の膜厚が0.05〜1μmであり、かつ、離型剤層の膜厚が0.001〜0.01μmであることを特徴とする。
【0009】
上記のカプセル用樹脂粒子がソープフリー乳化重合粒子であることを特徴とする。
【0011】
上記の結着樹脂のフロー軟化温度が100〜150℃であって、離型剤の軟化点と結着樹脂のフロー軟化温度との差が±30℃以内であり、かつ、樹脂被覆層のフロー軟化温度が結着樹脂のフロー軟化温度より5℃以上高いことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第1の電子写真用乾式トナーの製造方法は、本発明の電子写真用乾式トナーの製造方法であって、結着樹脂中に、該結着樹脂に非相溶の離型剤を結着樹脂100重量部に対して0.5重量部〜10重量部添加すると共に着色剤を添加して分散させた後、微粉砕手段により粉砕して着色樹脂粒子とし、次いで、該着色樹脂粒子表面上にカプセル用樹脂粒子を機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化した後、熱気流中で処理し、該着色樹脂粒子表面にカプセル用樹脂粒子を融着させて樹脂被覆層を形成する共に該該着色樹脂粒子が離型剤層を介して該樹脂被覆層により被覆された構造とすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第2の電子写真用乾式トナーの製造方法は、結着樹脂中に、該結着樹脂に非相溶の離型剤を結着樹脂100重量部に対して0.5重量部〜10重量部添加すると共に着色剤を添加して分散させた後、微粉砕手段により粉砕して着色樹脂粒子とし、次いで、該着色樹脂粒子を前記離型剤の融点以上の熱気流中で処理して表面に離型剤層を形成した後、該着色樹脂粒子表面上にカプセル用樹脂粒子を機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化処理することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真用乾式トナーにおける着色樹脂粒子は、結着樹脂、離型剤、着色剤、荷電制御剤等からなる。結着樹脂としては、トナーの定着性を可能とする公知のトナー用結着物質の使用が可能であり、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は混合して使用できる。特に本発明においては、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0015】
結着樹脂としては、ガラス転移温度が50〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃のものを使用できる。低温定着性トナーとする場合には、結着樹脂のガラス転移温度が50〜65℃、フロー軟化温度が100〜120℃の樹脂とするとよく、また、オイルレス定着用トナーとする場合には、結着樹脂の熱溶融時の凝集性の観点からは50%流出点における溶融粘度が1×103 〜1×107 Pa・sのものとするとよい。
【0016】
着色剤としては、以下に示すような、有機ないし無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。すなわち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、バンザーイエローG、バンザーイエロー10G、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキなどがある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKMなどがある。赤色系顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。
【0017】
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部使用することが望ましい。20重量部より多いとトナーの定着性が低下し、一方、1重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない。
【0018】
また、透光性カラートナーとして用いる場合は、着色剤としては、以下に示すような、各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黄色顔料としては、C.I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザエロー10G)、C.I.11660(ハンザエロー5G)、C.I.11670(ハンザエロー3G)、C.I.11680(ハンザエローG)、C.I.11730(ハンザエローGR)、C.I.11735(ハンザエローA)、C.I.11740(ハンザエローNR)、C.I.12710(ハンザエローR)、C.I.12720(ピグメントイエローL)、C.I.21090(ベンジジンエロー)、C.I.21095(ベンジジンエローG)、C.I.21100(ベンジジンエローGR)、C.I.20040(パーマネントエローNCG)、C.I.21220(バルカンファストエロー5)、C.I.21135(バルカンファストエローR)などがある。赤色顔料としては、C.I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオレンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3GL)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.11725(ハンザエロー3R)、C.I.21165(バルカンファストオレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラレッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネントレッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファストレッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などがある。また、青色顔料としては、C.I.74100(無金属フタロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などがある。
【0019】
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に対して、5〜15重量部、好ましくは6〜12重量部使用することが望ましい。15重量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、5重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
【0020】
着色樹脂粒子中に分散される離型剤としては、具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖〔CH3(CH2)11またはCH3(CH2)12以上の脂肪族炭素鎖〕を有する長鎖カルボン酸、そのエステル脂肪酸金属塩、脂肪酸アシド、脂肪酸ビスアシド等を例示し得る。異なる低軟化点化合物を混合して用いても良い。具体的には、パラフィンワックス(日本石油製)、パラフィンワックス(日本精蝋製)、マイクロワックス(日本石油製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋製)、PE−130(ヘキスト製)、三井ハイワックス110P(三井石油化学製)、三井ハイワックス220P(三井石油化学製)、三井ハイワックス660P(三井石油化学製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学製)、三井ハイワックス410P(三井石油化学製)、三井ハイワックス420P(三井石油化学製)、変性ワックスJC−1141(三井石油化学製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学製)、変性ワックスJC−1142(三井石油化学製)、変性ワックスJC−5020(三井石油化学製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。脂肪酸金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等がある。
【0021】
特に、ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、あるいは酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE130、Hoechst Wax PE190(ヘキスト社製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井石油化学工業社製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PED521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同 Ceridust 3715 (ヘキスト社製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業社製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechist Wachs PP230(ヘキスト社製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、ピスコールTS−200(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスなどが例示される。
【0022】
これらの離型剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する離型剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部であり、好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは3〜7重量部である。結着樹脂に対する離型剤の添加量が多いと、透明性に問題があり、また、感光体や現像器等のプロセス部材がフィルミングによる汚染が生じ、好ましくない。なお、着色樹脂粒子中における離型剤の含有量は、着色樹脂粒子100重量部に対して0.5〜8重量部、好ましくは2〜6重量部、さらに好ましくは3重量部〜5重量部である。
【0023】
離型剤は結着樹脂に対して非相溶性とするのが良く、相互の溶解パラメーター(SP値)の差が大であるもの、例えば0.5以上あるものとするとよい。例えば結着樹脂であるポリエステルのSP値が10.3である場合、離型剤としてはポリエチレンワックス(SP値7.9)、ポリプロピレンワックス(SP値7.8〜8.0)等を組み合わせるとよい。
【0024】
離型剤は、セイコー電子(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値である軟化点(融点)が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものである。軟化点が40℃未満の場合は、トナーの耐ブロッキング性及び保形性が不充分であり、軟化点が130℃を越える場合は定着温度又は定着圧を下げる効果が少ない。また、離型剤の軟化点(融点)と結着樹脂のフロー軟化温度との差は30℃以内のものとするとよい。
【0025】
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の荷電を与え得るものであれば、特に限定されず有機あるいは無機の各種のものが用いられ得る。
【0026】
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業(株)製)、第4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシン ボントロンN−01(オリエント化学工業(株)製)、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3:Colr Index 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I.NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ社製)、ザボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト社製)、さらにアルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料などが挙げられる。中でも第4級アンモニウム塩P−51が好ましい。
【0027】
また、負荷電制御剤としては、例えば、オイルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックBY(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシンSO(オリエント化学工業(株)製)、セレスシュバルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ社製)、クロモーゲンシュバルツETOO(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン社製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましい。
【0028】
これらの荷電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部である。
【0029】
その他、着色樹脂粒子には磁性粒子、分散剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
【0030】
着色樹脂粒子は、結着樹脂中に該結着樹脂に非相溶の離型剤、着色剤、荷電制御剤等の内添剤を混練・溶融により分散させた後、微粉砕手段により粉砕・分級して得られるもので、平均粒径は、3μm〜10μm、好ましくは5μm〜8μmとされる。また、得られる着色樹脂粒子の円形度は0.70〜0.90程度である。
【0031】
次に、着色樹脂粒子に被覆する樹脂被膜について説明する。樹脂被膜はカプセル用樹脂粒子を使用して形成され、ソープフリー乳化重合法により製造される球状粒子が好ましく例示される。ソープフリー乳化重合法は乳化重合系から乳化剤を除いた処方で、水相で発生した開始剤ラジカルが水相に僅かに溶けているモノマーを結合してゆきやがて不溶化し粒子核を形成する。この重合法で製造される粒子は、粒径分布としてシャープな粒子が達成され、また、粒径としては0.1μm〜1μmの範囲で制御される。カプセル用樹脂粒子として、粒径が均一なものを使用することにより、個々のカプセル用樹脂粒子における付着力のバラツキの少ない、均一な被覆層とすることができるが、粒径分布のバラツキの大きいものを使用すると微粒子側から優先的に着色樹脂粒子に付着し、均一な被覆層を形成できないという問題がある。また、ソープフリー乳化重合粒子は、その形成過程において乳化剤(界面活性剤)を使用しないで形成されるので、トナー粒子表面層として湿気の影響を防止でき、帯電安定性に優れたトナー粒子とできる。また、カプセル用樹脂粒子同士の凝集も防止でき、遊離微粉量の発生を防止できる。
【0032】
カプセル用樹脂粒子の調製時には単量体および重合開始剤の他に、その他所望の各種添加剤、例えば着色剤、荷電制御剤、その他所望の各種添加剤を添加してもよい。なお、カプセル用樹脂粒子中に荷電制御剤を添加する場合には、着色樹脂粒子中には不要とすることもできる。
【0033】
カプセル用樹脂粒子の調製に用いる単量体としてはビニル系モノマーを挙げることができ、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレンおよびその誘導体が挙げられ、その中でもスチレンが最も好ましい。他のビニル系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル名どのハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルアクリルアミドなどのような(メタ)アクリル酸誘導体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、ビニルナフタリン類を挙げることができる。なお、カプセル用樹脂粒子に用いられる合成樹脂としてはこれらのビニル系モノマーは単独で用いた単独重合体であっても、あるいは複数組合せた共重合体であってもよい。
【0034】
またビニル系モノマーとしては、含窒素極性官能基を有するモノマーあるいはフッ素を有するモノマー成分を、単独であるいは上記したモノマーとの組み合わせで使用することもできる。このような極性基を有する単量体からカプセル用樹脂粒子を構成すると、このカプセル用樹脂粒子自体が帯電制御の働きをするために、荷電制御剤は着色樹脂粒子中に含ませるより少ない量で所望の帯電性を付与することが可能となる。
【0035】
含窒素極性官能基は正荷電制御に有効であり、含窒素極性官能基を有するモノマーとしては、一般式
CH2 =C(R1 )−COX−Q−N(R2 )(R3 )
(式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およびR3 は水素または炭素数1〜20のアルキル基、Xは酸素原子または窒素原子、Qはアルキレン基またはアリレン基である。)で表わされるアミノ(メタ)アクリル系モノマーがある。
【0036】
アミノ(メタ)アクリル系モノマーの代表例としては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−スタアリルアミノベンジル(メタ)アクリレートなどが例示される。さらに、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド等が例示される。
【0037】
フッ素原子は負荷電制御に有効であり、フッ素含有モノマーとしては特に制限はないが、例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロアミルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく例示される。このほかトリフルオロクロルエチレン、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、四フッ化エチレン、トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロピレンなどの使用が可能である。なお、カプセル用樹脂粒子に用いる合成樹脂としてはこれらのビニル系モノマーを単独で用いた単独重合体であっても、あるいは複数組み合わせた共重合体であってもよい。
【0038】
カプセル用樹脂粒子は、球状のソープフリー乳化重合粒子であり、平均粒径が0.05μm〜1μm、好ましくは0.1〜0.8μm、より好ましくは0.15〜0.4μmのものを使用する。カプセル用樹脂粒子の平均粒径が0.05μmより小さいと耐熱性付与の観点から、カプセル用樹脂粒子層の厚みが薄いため、十分にその目的を達成することはできない。平均粒径が1μmより大きいときは、カプセル用樹脂粒子を着色樹脂粒子の表面に均一に付着させることが困難となり、表面被覆率が低下し、トナークリーニング性、耐久性等が十分に改良されず、耐熱性付与を目的とする場合、着色樹脂粒子の影響を受け易くなる。さらにカプセル用樹脂粒子が大きいと、その粒子を着色樹脂粒子表面に強固に付着固定させることが困難となる。カプセル用樹脂粒子は、着色樹脂粒子平均粒径の1/5以下のものとするとよい。
【0039】
カプセル用樹脂粒子は、着色樹脂粒子における結着樹脂の化学構造と類似する構造を有する樹脂を使用するのが好ましく、また、ガラス転移温度(Tg)が50〜100℃、好ましくは60〜90℃であり、また、フロー軟化点が70〜200℃、好ましくは100〜170℃の範囲のものが好ましい。
【0040】
また、カプセル用樹脂粒子のフロー軟化点は、着色樹脂粒子の結着樹脂におけるフロー軟化点に比して、5℃以上高くするとよく、好ましくは20℃〜40℃の範囲で高いものとするとよい。
【0041】
また、カプセル用樹脂粒子は、着色樹脂粒子100重量部に対して5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部の割合で使用されて被膜形成され、樹脂被覆層の膜厚は、0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.6μm、より好ましくは0.15〜0.35μmとされる。これにより、感光体や現像器等のプロセス部材へのフィルミングのないものとでき、また、透明性に優れ、また保存性に優れた耐久性のあるトナーとできる。
【0042】
本発明の電子写真用乾式トナーは、着色樹脂粒子が離型剤層を介して樹脂被覆層により被覆された構造を有するものであり、離型剤層の膜厚が0.001〜0.01μm、好ましくは0.002〜0.008μmである。
【0043】
これにより、定着時にあっては、熱定着ローラーにより樹脂被覆層が破壊されると同時に溶融した離型剤を瞬時に溶出させ、熱定着ローラーへの離型効果を一層発揮するものである。また、本発明の電子写真用乾式トナーは、離型剤の含有量が少なく、透明性を確保でき、また、離型剤の含有量を多くしなくても耐オフセット性に優れるものとできる。
【0044】
このようにして得られた電子写真用乾式トナーの平均粒径は、3〜10μm、好ましくは5〜8μmであり、これにより高精細化を可能とし、また、円形度を、0.93〜0.99、好ましくは0.94〜0.98であり、これにより、流動性、クリーニング性に優れるものとできる。
【0045】
本発明の電子写真用乾式トナーには、その流動性を向上させる為に、流動性向上剤を外添してもよい。流動性向上剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末を用いることができる。例えばフツ素系樹脂粉末、すなわちフツ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、アクリル樹脂系微粉末など;又は脂肪酸金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など;又は金属酸化物、すなわち酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛など;又は微粉末シリカ、すなわち湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、それらシリカにシランカツプリング剤、チタンカツプリング剤、シリコンオイルなどにより表面処理をほどこした処理シリカなどがあり、これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0046】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒユームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0047】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いる事によってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得る事も可能であり、それらも包含する。その粒径は平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内である事が望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0048】
本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。日本アエロジル社製の「AEROSIL 130」、以下、同 200、 300、 380、 TT600、MOX170、 MOX80、 COK84等が挙げられ、また、CABOT Co.社製の「Ca−O−SiL M-5 」、以下、同 MS−7、MS−75、HS−5、EH−5等が挙げられ、また、WACKER−CHEMIE GMBH社製の「Wacker HDK N 20 V15 」、以下、同 N20E、 T30、 T40、ダウコーニングCo.社の「D−C Fine Silica」、Fransil社の「Fransol」等が挙げられる。
【0049】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化方法としてはシリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の上記気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0050】
その様な有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチレンジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカピタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基をが有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0051】
その処理シリカ微粉体の粒径としては0.003〜0.1μm、0.005〜0.05の範囲のものを使用することが好ましい。市販品としては、タラノツクス−500(タルコ社)、AEROSIL R−972(日本アエロジル社)などがある。
【0052】
流動性向上剤の添加量としては、該樹脂粒子100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。0.01重量部未満では流動性向上に効果はなく、5重量部を超えるとカブリや文字のにじみ、機内飛散を助長する。
【0053】
本発明の電子写真用乾式トナーは第1の製造方法により得られ、次の各工程よりなる。
(1)原料の均一混合工程
結着樹脂と離型剤、着色剤、荷電制御剤等の添加剤を所定量ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し、均一混合する。その際、結着樹脂と着色剤からなるマスターバッチを調製しておき、該マスターバッチと希釈用の結着樹脂、離型剤、荷電制御剤等の添加剤を均一混合してもよい。マスターバッチの配合割合は、結着樹脂:着色樹脂=90:10〜50:50(重量部)であり、好ましくは80:20〜60:40(重量部)てあり、トナー粒子作製にあたっての配合例としては、結着樹脂100重量部に対して、マスターバッチ着色剤20〜60重量部、好ましくは30〜50重量部、離型剤0.5〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、荷電制御剤5重量部以下、好ましくは3重量部以下であり、その他分散剤等の添加剤を適量内添してもよい。
【0054】
(2)結着樹脂中への各添加剤の分散固定化工程
均一に混合した後、二軸混練押出機(池貝化成(株)製PCM−30)を使用して溶融混練し、結着樹脂中に各添加剤を分散固定化する。溶融混練手段としては、他に「TEM−37」(東芝機械(株))、「KRCニーダー」((株)栗本鉄工所)等の連続式混練機や加熱・加圧ニーダーのようなバッチ式混練機等が挙げられる。
【0055】
(3)粉砕工程
混練物を粗粉砕して粒度調整をした後、ジェット粉砕機「200AFG」(ホソカワミクロン(株))又は「IDS−2」(日本ニューマチック工業(株))を使用し、ジェットエアーによる衝突粉砕により微粉砕し、平均粒子径1〜8μmのものとする。粉砕手段としては他に、機械式粉砕機ターボミル(川崎重工(株))、スーパーローター(日清エンジニアリング(株))等が挙げられる。
【0056】
(4)分級工程
微粉を除去し、粒径分布のシャープ化を目的として、風力又はローター回転による粒度調整を風力分級装置「100ATP」(ホソカワミクロン(株))又は「DSX−2」(日本ニューマチック工業(株))又は「エルボージェット」(日鉄鉱業(株))等を使用して行なう。この分級工程により得られる着色樹脂粒子は、円形度が0.70〜0.90のものである。
【0057】
(5)着色樹脂粒子表面への樹脂粒子の付着工程
着色樹脂粒子表面にカプセル用樹脂粒子を所定量、機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化する。機械的衝撃力は高速気流中、ローターとステーターの剪断力及び粒子同士及び機壁との衝突によって与えられるものであり、例えばハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)、コスモスシステム(川崎重工業社製)等を使用することができる。また、乾式メカノケミカル法は、粒子同士および粒子が装置壁部材により摩擦、圧縮、剪断力を受けることにより発生する熱を利用することにより、カプセル用樹脂粒子を着色樹脂粒子表面に固定するもので、例えばメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)を用いることができる。
【0058】
(6)カプセル用樹脂粒子の固着・融着による樹脂被覆層の形成と離型剤層の形成工程
カプセル用樹脂粒子を付着させた着色樹脂粒子において、カプセル用樹脂粒子を相互に固着・融着させて樹脂被覆層とすると共に、着色樹脂粒子と樹脂被覆層の間に離型剤層を形成するには、第1の電子写真用乾式トナーで記載するように、熱風球形化装置「サーフュージングシステムSFS−3型」(日本ニューマチック工業(株))の操作条件として、250〜350℃の入り口熱風温度、熱風流量0.6〜1.5m3 /min(熱風断面積1.26×10-3m2 、熱処理ゾーンの長さ約0.4m)、原料投入量0.5〜1.4kg/hr、熱風との接触時間0.01〜1.0秒の条件下で熱処理する。
【0059】
分級着色樹脂粒子にカプセル用樹脂粒子を付着させた後、熱風球形化処理により円形度が0.93〜0.99のトナー粒子となるように熱風球形化させる。この熱風球形化処理条件を適宜選択することにより、着色樹脂粒子表面にカプセル用樹脂粒子が相互に融着して樹脂被膜を形成すると共に着色樹脂粒子と樹脂被覆層の間に膜厚0.001〜0.01μm、好ましくは0.004〜0.008μmの離型剤層を形成させるとよい。
【0060】
(7) 外添処理工程
得られた樹脂被膜を有する着色樹脂粒子と流動化剤を、所定量ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し均一混合し、電子写真用乾式トナーとする。
【0061】
本発明の電子写真用乾式トナーにあっては、着色樹脂粒子において、離型剤と結着樹脂を非相溶のものとし、また、離型剤の軟化温度と結着樹脂のフロー軟化温度との差を小さいものとし、さらに、樹脂被覆層のフロー軟化温度を結着樹脂のフロー軟化温度より高いものとして、熱気流中での熱処理条件を上記条件において適宜制御することにより、着色樹脂粒子における結着樹脂や離型剤は、表面に付着しているカプセル用樹脂粒子に比して早く溶融し、着色樹脂粒子の熱変形による球形化に伴い離型剤が着色樹脂粒子表面に析出して離型剤層を形成すると共にカプセル用樹脂粒子が溶融し、樹脂被覆層を形成するものと考えられる。
【0062】
本発明の電子写真用乾式トナーは、着色樹脂粒子と樹脂被覆層との間に離型剤層を有する3層構造からなるものであり、特に省エネ定着又は低圧定着の方式において有効であり、感光体や現像器等のプロセス部材を離型剤や軟化温度の低い結着樹脂等によるフィルミングにより汚染することがなく、耐久性に優れる。
【0063】
また、熱ローラーによる定着時には樹脂被覆層が破壊されると同時に離型剤が瞬時に溶けだし、その溶出量も結着樹脂中に微分散した離型剤に比して多くすることができるので、離型剤の含有量を多くすることなく定着ローラーに対する離型効果をより一層発揮させることができる。
【0064】
また、着色樹脂粒子中にも離型剤粒子が微分散しているので、薄手の紙への複写に使用する場合のように、比較的高いエネルギーにおける定着でも内部の離型剤が十分表面に滲みだしてさらに離型性が発揮され、多様な記録材に幅広く使用できる。また、離型剤層の膜厚を0.001〜0.01μmとすることにより、透明性にもほとんど影響を与えないのでカラートナーとして適したトナー粒子とできる。
【0065】
次に、本発明の第2の電子写真用乾式トナーの製造方法について説明する。この方法によると、遊離微粉量が少なく、透明性に優れ、カラートナーとして適した電子写真用乾式トナーを得ることができる。
【0066】
本発明の第2の電子写真用乾式トナーの製造方法は、上述した第1の方法における(1)原料の均一混合工程、(2)結着樹脂中への各添加剤の分散固定化工程、(3)粉砕工程、(4)分級工程、(7)外添処理工程は同一であり、第1の方法と相違する工程は下記の通りである。
【0067】
(5)熱処理による離型剤層の形成工程
本工程は、分級工程により得られた着色樹脂粒子表面にまず離型剤層を形成する工程である。着色樹脂粒子表面に離型剤層を形成するには、熱風球形化装置「サーフュージングシステムSFS−3型」(日本ニューマチック工業(株))の操作条件として、250〜350℃の入り口熱風温度、熱風流量0.6〜1.5m3 /min(熱風断面積1.26×10-3m2 、熱処理ゾーンの長さ約0.4m)、原料投入量0.5〜1.4kg/hr、熱風との接触時間0.01〜1.0秒の条件下で熱処理する。離型剤としてその融点が熱気流の温度以下のものとし、上記の熱処理条件で熱処理することにより、着色樹脂粒子表面に厚さ0.001μm〜0.01μm、好ましくは0.002μm〜0.005μmの離型剤層を形成する。離型剤層が均一に形成されないと、後述するカプセル化工程でのカプセル用樹脂粒子の固定が十分に行なわれず、遊離微粉量が大きくなるので好ましくない。
【0068】
(6)カプセル化工程
次いで、離型剤層の形成された着色樹脂粒子表面に、カプセル用樹脂粒子としてソープフリー乳化重合粒子を所定量、機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化する。機械的衝撃力は高速気流中、ローターとステーターの剪断力及び粒子同士及び機壁との衝突によって与えられるものであり、例えばハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)、コスモスシステム(川崎重工業社製)等を使用することができる。また、乾式メカノケミカル法は、粒子同士および粒子が装置壁部材により摩擦、圧縮、剪断力を受けることにより発生する熱を利用することにより、カプセル用樹脂粒子を着色樹脂粒子表面に固定するもので、例えばメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)を用いることができる。
【0069】
第2の電子写真用乾式トナーの製造方法にあっては、着色樹脂粒子を熱処理し表面に離型剤層を形成した後に、カプセル用樹脂粒子によりカプセル化するものであり、得られたトナー粒子構造においては、第1の電子写真用乾式トナーの製造方法により得られるトナー粒子における離型剤層ほど明確には層として存在しないが、着色樹脂粒子と樹脂被覆層の間に離型剤を多く含有した構造とできるものである。
【0070】
第2の電子写真用乾式トナーの製造方法により得られる電子写真用乾式トナーは、第1の方法により得られる電子写真用乾式トナーと同様の機能を有するものであり、感光体や現像器等におけるフィルミングの防止を可能とすると共に、熱ローラーによる定着時に際しては、樹脂被覆膜の破壊と同時に離型剤が溶出させることができるものである。また、離型剤の含有量を多くすることなく定着ローラーに対する離型効果をより一層発揮させることができ、省エネ定着又は低圧定着の方式において有効である。また、着色樹脂粒子中における離型剤の含有量を少なくすることができるので、透明性に優れ、カラー化に適した電子写真用乾式トナーとできる。
【0071】
また、第2の電子写真用乾式トナーの製造方法により得られる電子写真用乾式トナーは、第1の方法により得られる電子写真用乾式トナーに比して、カプセル用樹脂粒子の付着性をより優れるものとできるので遊離微粉量を少なくでき、また、離型剤層を明確に有しないので、より透明性により優れる電子写真用乾式トナーを製造できるものである。
【0072】
なお、本明細書で、単に「粒径」という場合「平均粒径」を意味し、コールカウンターTA-II 型(コールカウンター社製)を用い、100μmのアパチャーチューブで粒径別相対重量分布を測定することにより求める。
【0073】
結着樹脂や樹脂被覆層におけるフロー軟化点は、高架式フローテスター(島津製作所(株)製「CFT−5000」)により測定した50%流出点における温度を意味する。
【0074】
離型剤における軟化点(融点)は、セイコー電子(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値をもって軟化点(融点)とする。
【0075】
円形度は、
円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長)/(粒子投影図の輪郭長さ)
で表されるもので、FPIA-2000(Sysmex社製)を用い、1500個/分の測定速度で測定することにより求めるものである。
【0076】
また、下記の実施例等において、得られた電子写真用乾式トナーについての定着性{非オフセット領域(℃)}、透明性(HAZE値)at150℃、現像ローラ表面へのフィルミング現象、遊離微粉量の各項目についての評価方法は、下記の通りである。
【0077】
(定着試験)
一成分現像方式を採用した市販のレーザープリンタ(IBM4019)を用いて未定着の画像サンプルを採取し、コニカ(株)製「レーザープリンタ(商品名:KL2010)」の定着機(背面加熱方式で定着ローラーがPFAチューブを採用、ニップ通過時間60msec)にて定着試験を行った。。
【0078】
(定着性の評価)
・非オフセット領域
定着ローラーの表面温度を変えて、未定着画像サンプルを通過させ、定着後の画像サンプルを目視で観察し、オフセットの有無を評価する。
【0079】
(透明性の評価)
OHPシート上の定着像についてHAZEメーター{(日本電色工業(株)ヘーズメーターMODEL1001DP}にてHAZE値を測定する。
(フィルミング現象)
一成分現像方式を採用した市販のレーザープリンタ(IBM4019)の現像ユニットにトナーをセットし、感光体上に現像されないように調整した状態で現像器のみ連続駆動し、現像ローラー表面に筋状の融着(フィルミング)が認められた時点を耐久時間とした。
(遊離微粉量を測定)
遊離微粉量は、米国TSI社製、乾式粒度分布測定装置「エアロサイザー DSP」を使用し、粒径1.8μm以下の粒子の割合(個数%)を測定した。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0080】
【実施例】
上記組成をヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))を使用し、5分間、2800rpmで均一混合した後、二軸混練押出機(池貝化成社製PCH−30)で溶融混練し、樹脂中に添加剤の分散固定した。混練物を放置冷却後、フェザーミルで粗粉砕し、2mmメッシュパスとした。
【0081】
次いでジェット粉砕機{200APG(ホソカワミクロン社製)}を使用し微粉砕した後、風力分級装置{100ATP(ホソカワミクロン社製)}を使用して平均粒径6μmの着色樹脂粒子を得た。
【0082】
分級処理した着色樹脂粒子100重量部と、ソープフリー乳化重合法により製造されたスチレン−アクリル共重合体カプセル用微粒子(Tg:65℃、フロー軟化点:145℃、粒径:0.25μm、重量平均分子量3万、数平均分子量1万)15重量部とを、ハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)を使用し、ローター回転速度90m/s、5分間精密混合し、着色樹脂粒子にカプセル用微粒子を付着させた。
【0083】
次いで、カプセル用微粒子を付着させた着色樹脂粒子を熱風球形化装置{サーフュージングシステムSFS−3型、日本ニューマチック工業(株)製)を使用し、320℃の入り口熱風温度、熱風との接触時間0.03秒、単位面積当たりの熱風流量1.0m3 /min、同原料投入量1.0kg/hrの条件下で熱処理し、平均粒径6.3μm、円形度0.97の熱処理粒子を得た。
【0084】
熱処理後の熱処理粒子について、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析装置)「TRIFT−2000」、アルバック・ファイ(株)製)を使用し、その深さ方向での組成分析を行なったところ、樹脂被覆層は0.18μmであり、また、離型剤層は0.006μmであった。なお、樹脂被覆層下の中間層が離型剤層であることは、オレフィン系由来の−CHの増加傾向により確認した。
【0085】
熱処理粒子100重量部に対して、表面を疎水化処理したシリカ微粒子(粒径14mμ、商品名「R−972」日本エアロジル社製)を0.5重量部添加し、ヘンシェル20B(三井鉱山(株))を使用し、2分間、2800rpmで均一混合して外添処理し、本発明の電子写真用乾式トナーを得た。
【0086】
得られた電子写真用乾式トナーは、高温オフセットの発生温度が210℃、低温オフセットの発生温度が110℃で、非オフセット幅は100℃であった。また、HAZE値は32、また、現像ローラーへのフィルミングは8時間後も発生しなかった。
【0087】
(実施例2)
実施例1における着色樹脂粒子組成における結着樹脂を、芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルと該重縮合ポリエステルの多価金属化合物による一部架橋物の50:50(重量比)混合物{Tg:61℃、フロー軟化点(Tf):126℃、酸価5、水酸基価30、三洋化成工業(株)製)に代えた以外は同様にして熱処理粒子を得た。
【0088】
熱処理粒子について、実施例1同様にその深さ方向での組成分析を行なったところ、樹脂被覆層は0.17μmであり、また、離型剤層は0.004μmであった。
【0089】
また、実施例1と同様にして電子写真用乾式トナーとし、その特性を評価したところ、高温オフセットの発生温度が200℃、低温オフセットの発生温度が110℃で、非オフセット幅は90℃であった。また、HAZE値は31、また、現像ローラーへのフィルミングは10時間後も発生しなかった。
【0090】
(比較例1)
実施例1の熱処理粒子の調製に際して、熱風球形化装置(サーフュージングシステム、日本ニューマチック工業(株)製)での熱処理条件において、熱風との接触時間を1.0秒と長くした以外は同様にして処理し、平均粒径6.2μm、円形度0.98の熱処理粒子を得た。熱処理粒子について、実施例1同様にその深さ方向での組成分析を行なったところ、樹脂被覆層は0.15μmであり、離型剤の表面への滲み出しが生じた。
【0091】
また、実施例1と同様にして電子写真用乾式トナーとし、その特性を評価したところ、高温オフセットの発生温度が210℃、低温オフセットの発生温度が120℃で、非オフセット幅は90℃であった。また、HAZE値は33、また、現像ローラーへのフィルミングは0.5時間後であった。
【0092】
上記組成をヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))を使用し、5分間、2800rpmで均一混合した後、二軸混練押出機(池貝化成社製PCH−30)で溶融混練し、樹脂中に添加剤の分散固定した。混練物を放置冷却後、フェザーミルで粗粉砕し、2mmメッシュパスとした。
【0093】
次いでジェット粉砕機{200APG(ホソカワミクロン社製)}を使用し微粉砕した後、風力分級装置{100ATP(ホソカワミクロン社製)}を使用して平均粒径6μmの着色樹脂粒子を得た。
【0094】
分級処理して得られた着色樹脂粒子を熱風球形化装置{サーフュージングシステムSFS−3型、日本ニューマチック工業(株)製)を使用し、320℃の入り口熱風温度、熱風との接触時間0.03秒、熱風流量0.7m3 /min、原料投入量1.0kg/hrの条件下で熱処理した。熱処理粒子について、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析装置)「TRIFT−2000」、アルバック・ファイ(株)製)を使用し、その深さ方向での組成分析を行なったところ、離型剤層の膜厚は0.004μmであった。なお、離型剤層であることはオレフィン系由来の−CHの増加傾向により確認した。
【0095】
ついで、表面に離型剤層を形成した着色樹脂粒子100重量部と、ソープフリー乳化重合法により製造されたスチレン−アクリル共重合体カプセル用微粒子(Tg:65℃、フロー軟化点:145℃、粒径:0.25μm、重量平均分子量3万、数平均分子量1万)15重量部とを、ハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)を使用し、ローター回転速度90m/s、5分間精密混合し、着色樹脂粒子にカプセル用微粒子を付着させ、カプセル化された着色樹脂粒子を得た。平均粒径6.3μm、円形度0.97であり、樹脂被覆層の膜厚は、0.18μmであった。
【0096】
次に、カプセル化粒子100重量部に対して、表面を疎水化処理したシリカ微粒子(粒径14mμ、商品名「R−972」日本エアロジル社製)を0.5重量部添加し、ヘンシェル20B(三井鉱山(株))を使用し、2分間、2800rpmで均一混合して外添処理し、本発明の電子写真用乾式トナーを得た。
【0097】
得られた電子写真用乾式トナーは、高温オフセットの発生温度が210℃、低温オフセットの発生温度が105℃で、非オフセット幅は105℃であった。また、HAZE値は31、また、現像ローラーへのフィルミングは12時間後も発生しなかった。また、遊離微粉量を測定したところ、1.1%(個数%)であった。
【0098】
(実施例4)
実施例3における着色樹脂粒子組成における結着樹脂を、芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルと該重縮合ポリエステルの多価金属化合物による一部架橋物の50:50(重量比)混合物{Tg:61℃、フロー軟化点(Tf):126℃、酸価5、水酸基価30、三洋化成工業(株)製)に代えた以外は同様にして着色樹脂粒子を得た後、同様に熱処理し、表面に離型剤層膜厚0.002μmの熱処理粒子を得た。
【0099】
熱処理粒子について、実施例3同様にカプセル化工程を実施し、樹脂被覆層の膜厚0.17μmのカプセル化粒子を得、同様にして電子写真用乾式トナーとし、その特性を評価したところ、高温オフセットの発生温度が200℃、低温オフセットの発生温度が105℃で、非オフセット幅は95℃であった。また、HAZE値は30、また、現像ローラーへのフィルミングは15時間後も発生しなかった。また、遊離微粉量を測定したところ、1.3%(個数%)であった。
【0100】
(比較例2)
実施例3の熱処理粒子の調製に際して、熱風球形化装置(サーフュージングシステム、日本ニューマチック工業(株)製)での熱処理条件において、熱風との接触時間を0.01秒と短くした以外は同様にして処理し、平均粒径6.1μm、円形度0.94の熱処理粒子を得た。熱処理粒子について、実施例3同様にその深さ方向での組成分析を行なったところ、熱処理粒子の表面の一部に離型剤が滲み出したのみであり、離型剤層としては存在していなかった。
【0101】
また、実施例3と同様にして電子写真用乾式トナーとし、その特性を評価したところ、高温オフセットの発生温度が190℃、低温オフセットの発生温度が110℃で、非オフセット幅は80℃であった。また、HAZE値は32、また、現像ローラーへのフィルミングは0.5時間後であった。また、遊離微粉量を測定したところ、26.5%(個数%)であった。
【0102】
【発明の効果】
本発明の電子写真用乾式トナーは、感光体や現像器等のプロセス部材へのフィルミングにより汚染することがなく、また、定着時には耐オフセット性に優れると共に耐久性に優れ、透明性に優れるものであり、また、本発明の第2の製造方法により得られる電子写真用乾式トナーは、より遊離微粉量が少なく、透明性に優れるものであり、共にカラートナーとして適したものである。
Claims (5)
- 結着樹脂中に離型剤粒子が分散した着色樹脂粒子表面にカプセル用樹脂粒子を固着・融着させてなる樹脂被覆層を有する電子写真用乾式トナーにおいて、該着色樹脂粒子が離型剤層を介して樹脂被覆層により被覆され、該樹脂被覆層の膜厚が0.05〜1μmであり、かつ、離型剤層の膜厚が0.001〜0.01μmであることを特徴とする電子写真用乾式トナー。
- カプセル用樹脂粒子がソープフリー乳化重合粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用乾式トナー。
- 結着樹脂のフロー軟化温度が100〜150℃であって、離型剤の軟化点と結着樹脂のフロー軟化温度との差が±30℃以内であり、かつ、樹脂被覆層のフロー軟化温度が結着樹脂のフロー軟化温度より5℃以上高いことを特徴とする請求項1に記載の電子写真用乾式トナー。
- 結着樹脂中に、該結着樹脂に非相溶の離型剤を結着樹脂100重量部に対して0.5重量部〜10重量部添加すると共に着色剤を添加して分散させた後、微粉砕手段により粉砕して着色樹脂粒子とし、次いで、該着色樹脂粒子表面上にカプセル用樹脂粒子を機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化した後、熱気流中で処理し、該着色樹脂粒子表面にカプセル用樹脂粒子を融着させて樹脂被覆層を形成する共に該該着色樹脂粒子が離型剤層を介して該樹脂被覆層により被覆された構造とすることを特徴とする電子写真用乾式トナーの製造方法。
- 結着樹脂中に、該結着樹脂に非相溶の離型剤を結着樹脂100重量部に対して0.5重量部〜10重量部添加すると共に着色剤を添加して分散させた後、微粉砕手段により粉砕して着色樹脂粒子とし、次いで、該着色樹脂粒子を前記離型剤の融点以上の熱気流中で処理して表面に離型剤層を形成した後、該着色樹脂粒子表面上にカプセル用樹脂粒子を機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化処理することを特徴とする電子写真用乾式トナーの製造方法。
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