JP4277625B2 - 電子写真用トナーおよび該トナーを用いる画像形成装置 - Google Patents
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Description
(i)トナー母粒子
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含み、必要に応じて、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を含有する。トナー母粒子は、正または負に帯電されており、好適には負に帯電されている。トナー母粒子を適切な範囲の負の帯電量を有するように帯電させるためには、いくつかの方法がある。例えば、正帯電性の結着樹脂に負帯電制御剤を配合する、負帯電性樹脂の帯電性が不充分である場合にはさらに負帯電制御剤を配合する、あるいは結着樹脂自体を負帯電性樹脂とするなどの方法がある。以下にトナー母粒子を構成する材料、およびトナー母粒子の製造方法について、順次説明する。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、トナーとして一般的に用いられる樹脂が用いられる。このような結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、アクリレート系樹脂あるいはメタアクリレート系樹脂(以下、(メタ)アクリレート系樹脂という)、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの樹脂の構成成分を含む共重合体などが用いられる。
着色剤としては、以下に示すような、有機顔料、無機顔料、および染料が使用できる。有機および無機顔料のうち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などが用いられる。
離型剤としては、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖脂肪酸またはそのエステル、長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)、脂肪酸アミド、脂肪酸ビスアミド等が使用される。上記離型剤のうち、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックスおよび金属石鹸が好ましく用いられる。
分散剤としては、金属石鹸、ポリエチレングリコール等が用いられる。
帯電制御剤は、トナー母粒子の帯電性を制御するために、必要に応じて、用いられる。結着樹脂自体の負帯電性の度合いが低い場合、あるいは結着樹脂自体が正に帯電している場合には、負帯電制御剤を用いて、トナー母粒子全体が所望のレベルの負帯電性を有するようにする。
磁性剤としては、例えば、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn等の金属粉、Fe3O4、Fe2O3、Cr2O3、フェライト等の金属酸化物、マンガンと酸を含む合金等の熱処理によって強磁性を示す合金等が挙げられる。これらは、予めカップリング剤等で処理したものを用いてもよい。
トナー母粒子は上記結着樹脂に、上記着色剤、並びに必要に応じて、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を添加して、製造される。例えば、混練・粉砕・分級工程を含む粉砕法により、トナー母粒子を作成する方法を説明する。まず、結着樹脂、着色剤、および離型剤等の添加剤を所定量、例えば、ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))などの混合機に投入し、均一に混合する。結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、および離型剤等の添加剤の混合割合は、トナーの色、帯電性などを考慮して、適宜決定される。
本発明に用いられる負帯電性シリカ微粒子には、特に制限がない。負帯電性シリカ微粒子として、一般に、平均粒子径が4〜120nmの負帯電性シリカ微粒子が用いられる。負帯電性シリカ微粒子の平均粒子径が小さい程、得られるトナーの流動性が高くなる。4nmより小さいとトナー母粒子に埋没してしまう虞がある。120nmを超えると、流動性が極端に悪くなる虞がある。なお、本明細書において、負帯電性シリカ、正帯電性シリカ、トナー母粒子、トナー粒子などの微粒子について平均粒子径というときは、特に断らない限り、体積平均粒子径を意味する。
本発明に用いられる長鎖脂肪酸またはその塩に特に制限はない。長鎖脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜30、より好ましくは炭素数12〜28、さらに好ましくは炭素数12〜18の長鎖脂肪酸が用いられる。長鎖脂肪酸としては、長鎖飽和脂肪酸あるいは長鎖不飽和脂肪酸が挙げられる。好ましくは長鎖飽和脂肪酸が用いられる。長鎖脂肪酸は分岐を有していてもよいが、直鎖飽和脂肪酸、例えばステアリン酸が好ましく用いられる。
本発明において、正帯電性シリカ微粒子は、トナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。この正帯電性シリカ微粒子は、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
本発明において、酸化チタン微粒子は、トナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。この酸化チタン微粒子は正帯電性シリカ微粒子と同様、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
酸化チタン微粒子以外の無機微粒子も、帯電性の制御、流動性の向上を目的として必要に応じて外添され得る。この酸化チタン微粒子以外の無機微粒子も、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
本発明のトナーは、トナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子がこの順で添加され、そして、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアを、負帯電性シリカ微粒子の添加時のシェアよりも高くすることによって得られる。この方法を採用することにより、まず、負帯電性シリカ微粒子がトナー母粒子としっかり結合し、ついで、長鎖脂肪酸またはその塩の結着効果により、負帯電性シリカ微粒子がさらにしっかりとトナー母粒子に結合し、帯電の均一性が保たれ、トナー母粒子からの遊離も防止される。
スチレン−アクリル系の結着樹脂100質量部に、赤色顔料C.I.12055を3.5質量部、およびサリチル酸クロム錯体1質量部を、それぞれヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し、均一に混合した。この混合物を二軸混練押出機(池貝化成(株)製PCM−30)を用いて溶融混練し、冷却後、ジェット粉砕機200AFG(ホソカワミクロン(株))を用いて、ジェットエアーにより、粉砕した。次に、風力分級装置100ATP(ホソカワミクロン(株))を使用して、体積平均粒径8.5μmのトナー母粒子を調製した。
本実施例でトナー母粒子に外添する外添剤を、表1に示す。
本発明の実施例においては、外添処理は、トナー母粒子100質量部に対して、外添剤を所定量添加し、ヘンシェルミキサーFM20B(三井鉱山(株)製)を用いて、Z0S0型の攪拌羽根を用い、攪拌・混合処理を行った。
上記調製したトナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに小粒径シリカである疎水性負帯電性シリカRX200(日本エアロジェル社製)を1質量部添加して、3000rpm、2分の処理を行った。次に、この処理物に大粒径シリカである疎水性負帯電性シリカRX50(日本エアロジェル社製)を1質量部添加して、3000rpm、2分の処理を行った。最後に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、4000rpm、2分の処理を行い、トナーAを得た。なお、このときの混合機の回転翼と混合機壁との間隔(以下、単にギャップという)は、いずれの処理の場合も5mmであった。トナーAの製造条件を表2に示す。
実施例1と同様に、トナー母粒子に対して2種類の負帯電性シリカ微粒子を順次添加した。最後に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、ギャップを2mmとして、3000rpm、2分の処理を行って、トナーBを得た。トナーBの製造条件を表2に示す。
トナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200および疎水性負帯電性シリカRX50を、それぞれ1質量部添加して、3000rpm、2分の処理を行った。次に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、4000rpm、2分の処理を行い、トナーCを得た。なお、ギャップは、いずれの処理の場合も5mmであった。トナーCの製造条件を表2に示す。
実施例3と同様に、負帯電性シリカ微粒子の添加処理を行った。次に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、ギャップを2mmとして、3000rpm、2分の処理を行って、トナーDを得た。トナーDの製造条件を表2に示す。
ステアリン酸マグネシウムの外添処理条件を、負帯電性シリカ微粒子の外添処理条件と同じ3000rpm、2分とした以外は、実施例1と同様にして、トナーEを得た。トナーEの製造条件を表2に示す。
トナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200を1質量部、疎水性負帯電性シリカRX50を1質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.2質量部を同時に投入し、ギャップを2mmとしてシェアを高くして、3000rpm、2分処理して、トナーFを得た。トナーFの製造条件を表2に示す。
疎水性負帯電性シリカRX200、および疎水性負帯電性シリカRX50の外添処理時のギャップを2mmとし、ステアリン酸マグネシウムの外添処理時のギャップを5mmとして、ステアリン酸マグネシウムの外添処理時のシェアを負帯電性シリカ微粒子の外添処理時のシェアをよりも低くしたこと以外は、実施例2と同様にして、トナーGを得た。トナーGの製造条件を表2に示す。
トナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200を1質量部添加して処理し、ついで、疎水性負帯電性シリカRX50を1質量部添加して処理した。次に、ステアリン酸マグネシウム添加することなく、ヘンシェルミキサーのギャップを2mmとしてシェアを高くして、3000rpm、2分処理して、トナーHを得た。トナーHの製造条件を表2に示す。
得られたトナーについて、帯電量および帯電の均一性について評価し、さらに、イレギュラートナーの発生率を求めた。
Claims (12)
- 結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程;および、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を該負帯電性シリカ微粒子添加時のシェアよりも高いシェアで添加する工程;をこの順で含む方法によって得られる、トナー。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を同時に添加する工程である、請求項1に記載のトナー。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、最初に平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子を添加すること;ついで、平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子を添加することからなる、請求項1に記載のトナー。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼の回転数を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項1から3のいずれかの項に記載のトナー。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼と該混合機壁との間隔を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項1から3のいずれかの項に記載のトナー。
- 結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程;および、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を該負帯電性シリカ微粒子添加時のシェアよりも高いシェアで添加する工程;をこの順で含む、トナーの製造方法。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を同時に添加する工程である、請求項6に記載の方法。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、最初に平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子を添加すること;ついで、平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子を添加することからなる、請求項6に記載の方法。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼の回転数を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項6から8のいずれかの項に記載の方法。
- 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼と該混合機壁との間隔を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項6から8のいずれかの項に記載の方法。
- 請求項1から5のいずれかの項に記載のトナーを備えた画像形成装置。
- 静電潜像が形成される潜像担持体;該潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを該潜像担持体に搬送するトナー担持体;および該トナー担持体から該潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器;を少なくとも備える、請求項11に記載の画像形成装置。
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