JP4277625B2 - 電子写真用トナーおよび該トナーを用いる画像形成装置 - Google Patents

電子写真用トナーおよび該トナーを用いる画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電潜像を現像し、熱定着により画像を形成するために用いられるトナー、このトナーの製造方法、およびこのトナーを用いる画像形成装置に関する。
一般に、静電画像形成用のトナーは、顔料あるいは染料などの着色成分および必要に応じて電荷制御剤などを含む結着樹脂からなる微粒子をトナー母粒子とし、このトナー母粒子の外部(表面)に、流動性の付与あるいは帯電性の制御などを目的として、外添剤を添加する方法で製造されている。外添剤としては、正帯電性シリカ微粒子、負帯電性シリカ微粒子、シリカ以外の無機微粒子(酸化チタンなど)、金属石鹸(脂肪酸金属塩)などが使用されている。
中でも、金属石鹸は、その結着性が注目され、例えば、特許文献1〜7に開示されているように、トナーにおける外添剤として、しばしば用いられている。特許文献1は、疎水性シリカ微粒子あるいは疎水性チタニアを第1成分、第1成分よりも粒径の大きい疎水性シリカ微粒子あるいは疎水性チタニアを第2成分、無機微粒子を第3成分、および脂肪酸金属塩を第4成分として、これらの第1〜第4成分をトナー母粒子に同時に外添するか、第1成分を最後に外添する方法を開示している。この特許文献1では、感光体表面の固着予防とブラックスポット発生防止の観点から脂肪酸金属塩が添加され、その後、疎水性シリカあるいは疎水性チタニアが添加されている。しかし、外添剤である疎水性シリカあるいは疎水性チタニアがトナー表面から離脱しやすく、長期間にわたる帯電の安定性が保たれないうえトナーの流動性の低下などを引き起こし、それによって、転写効率の低下、画像濃度の低下などが起こるという問題がある。
また、特許文献2は、表面にアミノ基を有するシリカおよび脂肪酸金属塩を同時に添加し、1回の外添処理でトナーを得ている。この方法で得られたトナーは、疎水性のシリカの遊離率は若干改良されるものの、トナーの帯電量を安定に維持し得ないという問題点が残っている。特許文献3〜7にもトナーの調製に際して、脂肪酸金属塩が外添されること記載されている。これらの特許文献3〜7も、特許文献2と同様、脂肪酸金属塩は他の外添剤と同時に添加され、1回の外添処理でトナーを得ている。これらの特許文献3〜7に記載されたトナーも、トナーの帯電量を安定に維持し得ないという問題点が残っている。
特開2001−100452号公報 特許第2502353号公報 特公平8−33681号公報 特許第2759510号公報 特開平9−114129号公報 特開平11−323396号公報 特開2001−296688号公報 特開2002−202622号公報
本発明は、帯電の均一性に優れ、繰り返し使用においても、帯電安定性が長期間維持され、流動性および転写効率が高く、画像濃度が低下しないトナーを提供することを目的とする。
本発明は、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程;および、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を該負帯電性シリカ微粒子添加時のシェアよりも高いシェアで添加する工程;をこの順で含む方法によって得られるトナーを提供する。
好ましい実施態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を同時に添加する工程である。
また、別の好ましい態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、最初に平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子を添加すること;ついで、平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子を添加することからなる。
好ましい実施態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼の回転数を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる。
別の好ましい実施態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼と該混合機壁との間隔を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる。
本発明は、また、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程;および、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を該負帯電性シリカ微粒子添加時のシェアよりも高いシェアで添加する工程;を含むトナーの製造方法を提供する。
好ましい実施態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を同時に添加する工程である。
別の好ましい実施態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、最初に平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子を添加すること;ついで、平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子を添加することからなる。
好ましい実施態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼の回転数を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる。
また、別の実施態様においては、前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼と該混合機壁との間隔を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる。
本発明は、また、前記いずれかのトナーを備えた画像形成装置を提供する。
好ましい実施態様において、本発明の画像形成装置は、静電潜像が形成される潜像担持体;該潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを該潜像担持体に搬送するトナー担持体;および該トナー担持体から該潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器;を少なくとも備えている。
本発明のトナーは、トナー母粒子に平均粒子径が異なる複数の負帯電性シリカ微粒子が添加され、ついで長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子が、これらの負帯電性シリカ微粒子の添加時のシェアよりも高いシェアで添加されて得られるトナーである。平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を用いることにより、小粒子径の負帯電性シリカ微粒子のみを用いる場合に比べて、帯電量の絶対値を大きくすることができるとともに、大粒子径の負帯電性シリカ微粒子が抵抗となり、小粒子径のシリカがトナー母粒子内に埋没されることが防止でき、長期の帯電の安定に優れるようになる。さらに、トナーの流動性を向上させ、熱に対するブロッキング効果を発揮して、トナーの保存性を高めることが可能となる。そして、最後に長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子が高いシェアで添加されることによって、長鎖脂肪酸またはその塩が負帯電性シリカ微粒子の結着剤として作用し、負帯電性シリカ微粒子のトナー表面からの離脱を抑制すると考えられる。また、長鎖脂肪酸またはその塩を最後に添加することによりトナーの滑剤としての効果がより一層発揮され、トナーの凝集を防止するとともに、トナー同士の摩擦によって外添剤がトナー母粒子中へ埋没することを防止し、帯電の均一性が維持されると考えられる。さらに、繰り返し使用においても、帯電安定性が維持される。また、現像器において、トナーと感光体との接触により、感光体表面へ長鎖脂肪酸またはその塩が移行し、感光体表面を潤滑にし、感光体がトナー表面の外添剤により研磨されることを防止することができる。
本明細書において、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子並びに、必要に応じて用いられる正帯電性シリカ微粒子、酸化チタン微粒子などのトナー母粒子に外部から添加する材料を外部添加剤あるいは外添剤といい、トナー母粒子の外部(表面)にこれらの外部添加剤(外添剤)を添加することを外添という。
まず、本発明に用いられる材料である、(i)トナー母粒子並びにトナー母粒子を構成する材料(結着樹脂および着色剤、並びに離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などのいわゆる内添剤)、(ii)負帯電性シリカ微粒子、(iii)長鎖脂肪酸またはその塩、その他、必要に応じて添加される(iv)正帯電性シリカ微粒子、(v)酸化チタン微粒子、(vi)無機微粒子について説明し、ついで、本発明のトナーについて説明する。
(I)本発明に用いられる材料
(i)トナー母粒子
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含み、必要に応じて、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を含有する。トナー母粒子は、正または負に帯電されており、好適には負に帯電されている。トナー母粒子を適切な範囲の負の帯電量を有するように帯電させるためには、いくつかの方法がある。例えば、正帯電性の結着樹脂に負帯電制御剤を配合する、負帯電性樹脂の帯電性が不充分である場合にはさらに負帯電制御剤を配合する、あるいは結着樹脂自体を負帯電性樹脂とするなどの方法がある。以下にトナー母粒子を構成する材料、およびトナー母粒子の製造方法について、順次説明する。
(i-1) トナー母粒子を構成する材料
(結着樹脂)
結着樹脂としては、トナーとして一般的に用いられる樹脂が用いられる。このような結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、アクリレート系樹脂あるいはメタアクリレート系樹脂(以下、(メタ)アクリレート系樹脂という)、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの樹脂の構成成分を含む共重合体などが用いられる。
中でも、ポリスチレン系樹脂およびスチレン−(メタ)アクリレート系樹脂共重合体が好ましく用いられる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、水素添加スチレン樹脂、スチレン−イソブチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン架橋ポリマー、スチレン−ブタジエン−塩素化パラフィン共重合体、スチレン−アリルアルコール共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
スチレン−(メタ)アクリレート系樹脂共重合体としては、例えば、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)、スチレン−ジエチルアミノ−エチルメタアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート共重合体、スチレン−n−ブチルメタアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート−ブチルアリレート−N−(エトキシメチル)アクリルアミド共重合体、スチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン−ジメチルアミノエチルメタアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸エステル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、スチレン−n−ブチルアリレート−エチルグリコールメタアクリレート共重合体、スチレン−n−ブチルメタアクリレート−アクリル酸共重合体、スチレン−n−ブチルメタアクリレート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブチルアクリレート−イソブチルマレイン酸ハーフエステル−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体などが挙げられる。
本発明に用いられる結着樹脂の質量平均分子量は特に制限はないが、通常2,000〜30,000であることが好ましく、4,000〜25,000がより好ましく、6,000〜20,000であることがさらに好ましい。分子量が2,000よりも小さいと混練時の粘度が低くなり、着色剤の分散が十分に行うことができなくなるおそれがある。そのため、得られたトナーの彩度あるいは透明性が低下することがある。分子量が30,000より大きいと粘度が高くなり過ぎて、着色剤の分散を十分に行うことができず、トナーの彩度あるいは透明性が低下することがある。なお、結着樹脂は、上記範囲内にある分子量を有する樹脂が複数混合されていてもよい。
結着樹脂の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
画像形成におけるトナーの定着を熱定着法により行う場合、結着樹脂のフロー軟化点(Tm)は低いことが好ましい。Tmは、例えば、85〜140℃であることが好ましく、90〜120℃がより好ましく、100〜110℃であることがさらに好ましい。結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜90℃であることが好ましく、50〜80℃であることがさらに好ましい。なお、フロー軟化点(Tm)は、結着樹脂1.0gをペレット状に加圧成形してサンプルとし、(株)島津製作所製「フローテスターCFT−500D」を用いて、下記条件にて測定する。昇温速度 5℃/分;シリンダー圧力2.0MPa;ダイ穴径1.0mm;ダイ穴長1.0mm;Tm算出法1/2法。さらに、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、結着樹脂10mgをアルミニウム製セルにパッキングし、セイコーインスツルメント(株)製「DSC120」を用いて下記の条件で測定する。測定温度0〜200℃;昇温速度10℃/分:2度目の昇温時のDSC曲線より読み取る。
圧力定着法によりトナーの定着が行われる場合、結着樹脂としてはワックス状の樹脂が好ましく用いられる。ワックス状の樹脂としては、上記結着樹脂のうち、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ワックスなどが例示される。
上記結着樹脂は、乳化重合、分散重合、懸濁重合などの重合法、混錬・粉砕・分級工程を含む粉砕法などの方法によって、製造される。最終的に得られるトナー粒子の均一性あるいは流動性などを考慮すると、結着樹脂は重合法で得られる樹脂が好ましい。
また、上記結着樹脂は単独で用いてもよく、2種類以上をブレンドして用いてもよい。上記結着樹脂は例示であり、これらに限定されないことはいうまでもない。
(着色剤)
着色剤としては、以下に示すような、有機顔料、無機顔料、および染料が使用できる。有機および無機顔料のうち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などが用いられる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、ハンザエロー、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキなどが用いられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKMなどが用いられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが用いられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが用いられる。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどが用いられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどが用いられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などが用いられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどが用いられる。
また、染料としては、塩基性染料、酸性染料、分散染料、直接染料などが用いられる。このような染料としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどが例示される。
本発明が、透光性カラートナーである場合、着色剤としては、以下に示す種々の顔料、染料が用いられる。
黄色顔料としては、C.I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザエロー10G)、C.I.11660(ハンザエロー5G)、C.I.11670(ハンザエロー3G)、C.I.11680(ハンザエローG)、C.I.11730(ハンザエローGR)、C.I.11735(ハンザエローA)、C.I.11740(ハンザエローNR)、C.I.12710(ハンザエローR)、C.I.12720(ピグメントイエローL)、C.I.21090(ベンジジンエロー)、C.I.21095(ベンジジンエローG)、C.I.21100(ベンジジンエローGR)、C.I.20040(パーマネントエローNCG)、C.I.21220(バルカンファストエロー5)、C.I.21135(バルカンファストエローR)などが用いられる。
赤色顔料としては、C.I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオレンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3GL)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.11725(ハンザエロー3R)、C.I.21165(バルカンファストオレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラレッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネントレッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファストレッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などが用いられる。
青色顔料としては、C.I.74100(無金属フタロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などが用いられる。
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部使用することが望ましい。20質量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、1質量部より少ないと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
(離型剤)
離型剤としては、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖脂肪酸またはそのエステル、長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)、脂肪酸アミド、脂肪酸ビスアミド等が使用される。上記離型剤のうち、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックスおよび金属石鹸が好ましく用いられる。
パラフィン系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(日本石油(株)製あるいは日本精蝋(株)製)、マイクロワックス(日本石油(株)製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋(株)製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋(株)製)、PE−130(ヘキスト製)、三井ハイワックス110P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス220P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス660P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス410P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス420P(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−1141(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−1142(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−5020(三井石油化学(株)製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE130、Hoechst Wax PE190(ヘキスト製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井石油化学工業(株)製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業(株)製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PED521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同 Ceridust 3715 (ヘキスト製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業(株)製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業(株)製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechist Wachs PP230(ヘキスト製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業(株)製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、およびビスコールTS−200(三洋化成工業(株)製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスが例示される。
長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等が好ましく用いられる。
これらの離型剤は、単独であるいは組合せて使用することができる。離型剤としては、低軟化点(融点)の化合物が好ましく、軟化点が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものが、好ましく使用される。なお、軟化点は、セイコーインスツルメント(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値で表される。
(分散剤)
分散剤としては、金属石鹸、ポリエチレングリコール等が用いられる。
(帯電制御剤)
帯電制御剤は、トナー母粒子の帯電性を制御するために、必要に応じて、用いられる。結着樹脂自体の負帯電性の度合いが低い場合、あるいは結着樹脂自体が正に帯電している場合には、負帯電制御剤を用いて、トナー母粒子全体が所望のレベルの負帯電性を有するようにする。
負帯電制御剤としては、サリチル酸誘導体の金属塩あるいは金属錯体、ベンジル酸誘導体の金属塩、フェニルボレイト4級アンモニウム塩などが挙げられる。サリチル酸誘導体あるいはベンジル酸誘導体の金属塩としては、これらの亜鉛塩、ニッケル塩、銅塩、クロム塩などが好ましく用いられる。
市販の負帯電制御剤としては、例えば、オイルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックBY(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシンSO(オリエント化学工業(株)製)、セレスシュバルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ製)、クロモーゲンシュバルツETOO(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましく用いられる。これらの負帯電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。
負帯電制御剤は、好ましくは、トナー母粒子の帯電量が−5〜−60μC/gとなるように結着樹脂に配合される。従って、用いる結着樹脂により、結着樹脂に対する添加量が決定されるが、一般的には、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲で配合される。
正帯電性制御剤は、トナー母粒子の負帯電量の調整のため、必要に応じて、負帯電性樹脂に内添される。正帯電制御剤としては、市販の正帯電制御剤が用いられる。例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業(株)製)、第4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシン ボントロンN−01(オリエント化学工業(株)製)、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3:Color Index 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I. NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ製)、ザボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト製)が挙げられる。中でも第4級アンモニウム塩P−51が好ましく用いられる。上記の他に、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料なども正帯電制御剤として用いられる。これらの正帯電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。
(磁性剤)
磁性剤としては、例えば、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn等の金属粉、Fe、Fe、Cr、フェライト等の金属酸化物、マンガンと酸を含む合金等の熱処理によって強磁性を示す合金等が挙げられる。これらは、予めカップリング剤等で処理したものを用いてもよい。
(i-2) トナー母粒子の製造
トナー母粒子は上記結着樹脂に、上記着色剤、並びに必要に応じて、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を添加して、製造される。例えば、混練・粉砕・分級工程を含む粉砕法により、トナー母粒子を作成する方法を説明する。まず、結着樹脂、着色剤、および離型剤等の添加剤を所定量、例えば、ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))などの混合機に投入し、均一に混合する。結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、および離型剤等の添加剤の混合割合は、トナーの色、帯電性などを考慮して、適宜決定される。
上記混合物は、ついで、二軸混練押出機(池貝化成(株)製PCM−30)に投入されて、均一に溶融混練される。溶融混練手段としては、他に「TEM−37」(東芝機械(株))、「KRCニーダー」((株)栗本鉄工所)等の連続式混練機や加熱・加圧ニーダーのようなバッチ式混練機等が挙げられる。得られた溶融混練物を、粉砕手段を用いて、微粉砕し、所望の平均粒子径のトナー母粒子が得られる。粉砕は、例えば、ジェット粉砕機200AFG(ホソカワミクロン(株))あるいはIDS−2(日本ニューマチック工業(株))を使用するジェットエアーによる衝突粉砕の他に、機械式粉砕機ターボミル(川崎重工(株))、スーパーローター(日清エンジニアリング(株))等により行われる。
次に、例えば、風力又はローター回転を用いて、得られたトナー母粒子の粒度が調整される。例えば、風力分級装置100ATP(ホソカワミクロン(株))又はDSX−2(日本ニューマチック工業(株))又はエルボージェット(日鉄鉱業(株))等を使用すると、シャープな粒径分布となる。
トナー母粒子は、また、トナー母粒子を構成する樹脂並びに着色剤などの内添剤を有機溶媒に溶解し、水性溶媒にて、分級剤・乳化剤と共に分散・造粒し、分離・乾燥する方法で作製してもよい。
トナー母粒子の帯電量は、−5〜−60μC/gであることが好ましい。帯電量がこの範囲より小さいと、現像器からのトナー漏れが激しくなり、また−60μC/gより大きいと、十分な画像濃度を得るためには過剰な現像バイアスを付与することが必要となるなどの問題が生じる。
トナー母粒子の帯電量は、例えば、以下のように測定される。気温25℃、45%RHの環境下、20mlのポリエチレン容器中で、トナー母粒子0.03gとフェライトキャリア0.97gとを混合し、100rpmで15分攪拌してトナー母粒子を帯電させる。その後、この混合物を0.3g採取して、0.3kg/cmの圧力の窒素ガスをトナー母粒子とキャリアとの混合物に吹き付けることにより、トナー母粒子とフェライトキャリアとを分離する。ついで、トナー1個毎の帯電量(Q/m)を測定して、トナー母粒子の帯電量を測定する。帯電量の測定には、例えば、ホソカワミクロン(株)製のE−SPARTアナライザーが用いられる。
(ii)負帯電性シリカ微粒子
本発明に用いられる負帯電性シリカ微粒子には、特に制限がない。負帯電性シリカ微粒子として、一般に、平均粒子径が4〜120nmの負帯電性シリカ微粒子が用いられる。負帯電性シリカ微粒子の平均粒子径が小さい程、得られるトナーの流動性が高くなる。4nmより小さいとトナー母粒子に埋没してしまう虞がある。120nmを超えると、流動性が極端に悪くなる虞がある。なお、本明細書において、負帯電性シリカ、正帯電性シリカ、トナー母粒子、トナー粒子などの微粒子について平均粒子径というときは、特に断らない限り、体積平均粒子径を意味する。
本発明においては、平均粒子径が異なる2以上の負帯電性シリカ微粒子を併用する。一般には、平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子(小粒子径のシリカ)が単独で用いられている。しかし、小粒子径のシリカと平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子(大粒子径のシリカ)とを併用することにより、小粒子径のシリカのみを用いる場合に比べて、帯電量の絶対値を大きくすることができるとともに、大粒子径のシリカが抵抗となり、小粒子径のシリカがトナー母粒子内に埋没されることを防止できるため、長期の帯電の安定に優れるようになる。さらに、トナーの流動性を向上させ、熱に対するブロッキング効果を発揮して、トナーの保存性を高めることが可能となる。
本発明においては、平均粒子径が5〜20nm、好ましくは6〜15nmの負帯電性シリカ微粒子(小粒径のシリカ)と平均粒子径が20〜50nm、好ましくは20〜40nmの負帯電性シリカ微粒子(大粒径のシリカ)とを用いることが好ましい。また、大粒子径のシリカと小粒子径のシリカとの平均粒子径の差は、10nm以上あることが好ましく、20nm以上あることがさらに好ましい。
大粒子径のシリカと小粒子径のシリカとの添加比が質量比で1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1、さらに好ましくは1:1.5〜1.5:1であることが、トナーに流動性を付与し、かつ帯電の長期安定性を得る上で好ましい。
大粒子径シリカと小粒子径シリカとを用いる場合に、後述の製造時において、これらを同時に混合して添加してもよく、いずれかを先に添加し、次いで、他方を添加してもよい。
負帯電性シリカ微粒子の添加量は、トナー母粒子の粒子径分布あるいは流動性などにより、または外添剤の粒子径分布、所望の帯電量などにより、変動し得る。例えば、上記小粒子径のシリカであれば、トナー母粒子100質量部に対して0.5〜2.0質量部、好ましくは0.7〜1.5質量部添加される。大粒子径シリカの場合、0.2〜2.0質量部、好ましくは、0.3〜1.5質量部添加される。大粒子径シリカと小粒子径シリカとを併用する場合、上記混合比率を考慮しつつ、トナー母粒子100質量部に対して合計量で0.5〜3.0質量部、好ましくは0.7〜2.5質量部添加される。
負帯電性シリカ微粒子は疎水化処理されていることが好ましい。負帯電性シリカ微粒子の表面を疎水性にすることにより、トナーの流動性および帯電性がさらに向上する。シリカ微粒子の疎水化は、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシランなどのシラン化合物;あるいはジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、フッ素変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイルを用いて、例えば、湿式法、乾式法など当業者が通常使用する方法により行われる。
疎水性負帯電性シリカ微粒子としては、市販の日本アエロジル(株)製のRX200、同RX50、キャボット(株)製のTG811F、同TG810G、同TG308Fなどが用いられる。
(iii)長鎖脂肪酸またはその塩
本発明に用いられる長鎖脂肪酸またはその塩に特に制限はない。長鎖脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜30、より好ましくは炭素数12〜28、さらに好ましくは炭素数12〜18の長鎖脂肪酸が用いられる。長鎖脂肪酸としては、長鎖飽和脂肪酸あるいは長鎖不飽和脂肪酸が挙げられる。好ましくは長鎖飽和脂肪酸が用いられる。長鎖脂肪酸は分岐を有していてもよいが、直鎖飽和脂肪酸、例えばステアリン酸が好ましく用いられる。
前記長鎖脂肪酸は、塩の形態で用いることが好ましく、金属塩(いわゆる金属石鹸)の形態であることがさらに好ましい。長鎖脂肪酸の金属塩としては特に制限はないが、例えば、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩等が挙げられる。金属石鹸としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられ、これらの粒子が好ましく用いられる。長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子は、単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
長鎖脂肪酸またはその塩、特に長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)は、体積平均粒子径もしくは長軸の径が0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。平均粒子径または長軸の径がこの範囲を外れると、結着剤、滑剤、流動補助剤としての効果、あるいはトナー凝集防止効果が十分に発揮できない傾向にある。
上記長鎖脂肪酸またはその塩、特に金属石鹸は、耐熱性および潤滑性の観点から、融点が100〜150℃程度のものが好ましい。融点が100℃より低いとトナーの耐熱性が低下し、高温環境で保管した場合にトナーが凝集するおそれがある。150℃より高いと潤滑作用が低減するおそれがある。
金属石鹸としては、直接法で製造された金属石鹸と複分解法で製造された金属石鹸とが知られているが、不純分の少ない直接法で得られたものを粉砕して、上記平均粒子径になるように、粒度を調整して用いることが好ましい。
長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.1〜1質量部、好ましくは0.1〜0.5質量部添加される。添加量が0.1質量%より少ないと、上記結着剤としての効果、凝集防止効果、流動補助剤、滑剤などの効果を十分に発揮することができないおそれがある。また、添加量が1質量%より多いと流動性に劣り、帯電立ち上がり性が著しく悪化し、カブリなどのノイズが発生するおそれがある。
(iv)正帯電性シリカ微粒子
本発明において、正帯電性シリカ微粒子は、トナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。この正帯電性シリカ微粒子は、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
本発明で用いられる正帯電性シリカ微粒子には、特に制限がない。正帯電性シリカ微粒子の体積平均粒子径は、流動性などを考慮して、10〜50nmであることが好ましく、15〜40nmであることがさらに好ましい。
正帯電性シリカ微粒子は、疎水化処理されていることが好ましい。正帯電性シリカ微粒子の表面を疎水性にすることにより、トナーの外部環境の変化に対する帯電性の変化を小さくし(すなわち、安定な帯電性を維持し)、かつトナーの流動性を良好にするために、好ましい。正帯電性シリカ微粒子の疎水化は、上記負帯電性シリカ微粒子の疎水化と同じ方法により行われる。
疎水性正帯電性シリカ微粒子としては、市販の日本アエロジル(株)製のNA50H、キャボット(株)製のTG820Fなどが用いられる。
正帯電性シリカ微粒子は、必要に応じて、トナー母粒子100質量部に対して0.1〜1質量部、好ましくは0.2〜0.8質量部添加される。
(v)酸化チタン(チタニア)微粒子
本発明において、酸化チタン微粒子は、トナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。この酸化チタン微粒子は正帯電性シリカ微粒子と同様、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
本発明で用いられる酸化チタン微粒子には、特に制限はない。比較的電気抵抗率の小さい酸化チタンの微粒子が好ましく用いられる。酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ルチル−アナターゼ型などの結晶形を取り得る。いずれの結晶系の酸化チタンを用いてもよいが、ルチル−アナターゼ型の酸化チタンが、電荷の調整をしやすい点、印字枚数が増えても、酸化チタン粒子がトナー母粒子内に埋没し難いなどの点で好ましく用いられる。
酸化チタン微粒子の大きさに特に制限はないが、粒径あるいは長軸の大きさが10〜30nmの大きさであることが好ましい。ルチル−アナターゼ型の酸化チタンの場合、長軸が10〜30nm程度の酸化チタン微粒子であることが好ましい。
酸化チタン微粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.2〜2.0質量部、好ましくは0.3〜1.5質量部添加される。なお、酸化チタン微粒子と正帯電性シリカ微粒子とは、質量比で1:3〜3:1の範囲で添加されることが、トナーの電気抵抗の極端な低下を引き起こすことなく電荷の調整が行える点で、好ましい。
酸化チタンの微粒子の表面が疎水性であることが、トナーの外部環境の変化に対する帯電性の変化を小さくし(すなわち、安定な帯電性を維持し)、かつトナーの流動性を良好にするために、好ましい。酸化チタン微粒子の疎水化は、上記負帯電性シリカ微粒子の疎水化と同じ方法で行われる。
疎水性酸化チタン微粒子としては、チタン工業(株)製のSTT−30Sなどが用いられる。
(vi)無機微粒子
酸化チタン微粒子以外の無機微粒子も、帯電性の制御、流動性の向上を目的として必要に応じて外添され得る。この酸化チタン微粒子以外の無機微粒子も、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
例えば、無機微粒子としては、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化インジウム等の金属酸化物の微粒子;窒化珪素等窒化物の微粒子;炭化珪素等の炭化物の微粒子;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩の微粒子;並びにこれらの複合物等の無機微粒子が挙げられる。電気抵抗率が10Ωcm以下の、比較的電気抵抗率の小さい金属酸化物の微粒子が好ましく用いられる。
添加する無機微粒子の大きさに特に制限はないが、粒径が10〜30nmの大きさであることが好ましい。これらの無機微粒子は、帯電特性の安定化を目的として、その表面を疎水化処理することが好ましい。疎水化処理は、上記負帯電性シリカ微粒子、正帯電性シリカ微粒子の疎水化方法のいずれかと同じ方法が採用される。
(II)本発明のトナーおよびその製造方法
本発明のトナーは、トナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子がこの順で添加され、そして、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアを、負帯電性シリカ微粒子の添加時のシェアよりも高くすることによって得られる。この方法を採用することにより、まず、負帯電性シリカ微粒子がトナー母粒子としっかり結合し、ついで、長鎖脂肪酸またはその塩の結着効果により、負帯電性シリカ微粒子がさらにしっかりとトナー母粒子に結合し、帯電の均一性が保たれ、トナー母粒子からの遊離も防止される。
これを、さらに詳しく説明する。本発明の方法によれば、トナー母粒子と負帯電性シリカ微粒子との間の静電的引力が、他の外添剤、例えば、正帯電性シリカ微粒子などに妨害されることがない。また、負帯電性シリカ微粒子の仕事関数とトナー母粒子の仕事関数との差異が大きいため、負帯電性シリカ微粒子を強くトナー母粒子に付着させることができる。これによって、負帯電性シリカ微粒子の脱離が防止され、帯電性の変化が小さくなり、帯電性が長期的に安定化するという効果が得られる。
平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子の添加方法としては、これらを同時に添加する方法、あるいは小粒径シリカを先に添加し、後から大粒径シリカを添加する方法が好ましく用いられる。大粒子径シリカを先に添加すると、トナーの帯電性、流動性が低下するので、どちらかというと好ましくない。
次に、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を外添する。外添は、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を外添するときのシェア(せん断力)よりも高いシェアをかけて行う。負帯電性シリカ微粒子を外添する際、最初から高いシェアでトナー母粒子と負帯電性シリカ微粒子とを混合すると、負帯電性シリカ微粒子がトナー母粒子内に埋没し、得られるトナーの帯電均一性および流動性が損なわれるおそれがある。他方、金属石鹸に代表される長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子は、トナー母粒子あるいは負帯電性シリカ微粒子が添加されたトナー母粒子上に付着しにくい性質を有すると考えられる。そこで、長鎖脂肪酸またはその塩でなる微粒子を外添するに際して、混合シェアを高くすることにより、長鎖脂肪酸またはその塩が物理的力により付着される。あるいは、長鎖脂肪酸またはその塩からなる粒子が、摩擦熱により融解、溶解あるいは軟化し、トナー母粒子表面に効率よく、均一に付着し得る。そして、長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果により、負帯電性シリカ微粒子はトナー母粒子中に埋没することがなくトナー表面に均一に付着し、負帯電性シリカ微粒子のトナー表面からの離脱が抑制される。さらに、トナーの滑剤としての効果がより一層発揮され、帯電の均一性が維持される。また、トナーの繰り返し使用においても、帯電安定性が維持される。また、現像器において、トナーと感光体との接触により、感光体表面へ長鎖脂肪酸またはその塩が移行し、感光体表面を潤滑にし、感光体がトナー表面の外添剤により研磨されることを防止することができる。
長鎖脂肪酸またはその塩でなる微粒子を外添するに際して、混合シェアを高くする方法は、トナー母粒子に外添剤を外添する装置に依存して、決定すればよい。一般に、トナーの製造に用いられる装置は、ヘンシェルミキサー、パーペンマイヤー等の高速流動混合機、メカノケミカル法を用いる混合機等の、当業者が通常用いる機械あるいは装置が用いられる。回転翼を有するヘンシェルミキサー、パーペンマイヤー等の高速流動混合機を用いる場合、回転翼の回転数を大きくすることにより、あるいは、回転翼と混合機壁との間隔(ギャップ)を小さくするなどの方法により、長鎖脂肪酸またはその塩からなる粒子の混合時のシェアを高めることができる。長鎖脂肪酸またはその塩からなる粒子の外添に際しては、他の微粒子外添剤の外添時よりも1.02倍以上、好ましくは、1.2倍以上、より好ましくは、1.5倍以上の高いシェアをかけることが好ましい。あまり高いシェアをかけすぎると他の微粒子に影響を与えるので、3倍以下が好ましい。
以上のように、本発明のトナーは、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加した後、この添加時のシェアよりも大きいシェアで、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加する、多段階の外添方法で得られる。まず、負帯電性シリカ微粒子の仕事関数およびトナー母粒子の仕事関数などによって、負帯電性シリカ微粒子がトナー母粒子に強く付着する。そして、最後の段階で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子が高いシェアで添加されるため、長鎖脂肪酸またはその塩が物理的力により付着する、あるいは摩擦熱により、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子が融解、溶解あるいは軟化して、トナー母粒子表面に効率よく、均一に付着することができる。そして、長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果により、負帯電性シリカ微粒子はトナー母粒子中に埋没することがなく、トナー表面からの離脱が抑制され、トナーの滑剤としての効果がより一層発揮され、帯電の均一性が維持される。さらに、帯電均一性、帯電の長期安定性などの効果が強化され、繰り返し使用においても、帯電安定性が維持される。その上、トナーの凝集防止効果、流動補助剤、滑剤などが発揮され、トナーと感光体との接触により、感光体表面へ長鎖脂肪酸またはその塩が移行し、感光体表面を潤滑にし、感光体がトナー表面の外添剤により研磨されることを防止する効果がさらに発揮されると考えられる。
これに対して、従来のトナー、例えば、上記特許文献1に記載のトナーは、正帯電性シリカ微粒子と負帯電性シリカ微粒子とを同時に外添して得られたものであるが、正帯電性シリカ微粒子と負帯電性シリカ微粒子とを同時に添加することにより、トナー母粒子と負帯電性シリカ微粒子との間の静電的引力が小さくなり、負帯電性シリカ微粒子の離脱が起こりやすくなっていると考えられる。さらに、長鎖脂肪酸またはその塩を用いないことも、負帯電性および/または正帯電性シリカ微粒子あるいは酸化チタン微粒子の遊離を抑制することができない原因であると思われる。
本発明のトナーは、どのようなタイプの画像形成装置にも用いられる。1成分系のトナーを用いる画像形成装置でもよく、2成分系のトナーを用いる画像形成装置でもよい。また、接触現像方式の画像形成装置であってもよく、非接触式方式の画像形成装置であってもよい。本発明のトナーを用いることができる一成分系の接触式画像形成装置は、例えば、特許文献8に詳細に説明されている。本発明の画像形成装置は、感光体で代表される静電潜像が形成される潜像担持体;この潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを潜像担持体に搬送する、現像ロールで代表されるトナー担持体;およびこのトナー担持体から潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器;を少なくとも備えている。本発明のトナーはトナー収容部に収容されており、トナー収容部から現像ロール(トナー担持体)に搬送され、現像ロール(トナー担持体)を介して感光体(潜像担持体)に供給され、転写されて画像を形成する。トナー規制部材は、現像ロール(トナー担持体)から感光体(潜像担持体)に過剰な供給がされないように、トナー供給量を調整する。
以下、本発明を、実施例をもとに説明する。
(トナー母粒子の調製)
スチレン−アクリル系の結着樹脂100質量部に、赤色顔料C.I.12055を3.5質量部、およびサリチル酸クロム錯体1質量部を、それぞれヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し、均一に混合した。この混合物を二軸混練押出機(池貝化成(株)製PCM−30)を用いて溶融混練し、冷却後、ジェット粉砕機200AFG(ホソカワミクロン(株))を用いて、ジェットエアーにより、粉砕した。次に、風力分級装置100ATP(ホソカワミクロン(株))を使用して、体積平均粒径8.5μmのトナー母粒子を調製した。
(外添剤)
本実施例でトナー母粒子に外添する外添剤を、表1に示す。
Figure 0004277625
(外添処理)
本発明の実施例においては、外添処理は、トナー母粒子100質量部に対して、外添剤を所定量添加し、ヘンシェルミキサーFM20B(三井鉱山(株)製)を用いて、Z0S0型の攪拌羽根を用い、攪拌・混合処理を行った。
(実施例1)
上記調製したトナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに小粒径シリカである疎水性負帯電性シリカRX200(日本エアロジェル社製)を1質量部添加して、3000rpm、2分の処理を行った。次に、この処理物に大粒径シリカである疎水性負帯電性シリカRX50(日本エアロジェル社製)を1質量部添加して、3000rpm、2分の処理を行った。最後に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、4000rpm、2分の処理を行い、トナーAを得た。なお、このときの混合機の回転翼と混合機壁との間隔(以下、単にギャップという)は、いずれの処理の場合も5mmであった。トナーAの製造条件を表2に示す。
(実施例2)
実施例1と同様に、トナー母粒子に対して2種類の負帯電性シリカ微粒子を順次添加した。最後に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、ギャップを2mmとして、3000rpm、2分の処理を行って、トナーBを得た。トナーBの製造条件を表2に示す。
(実施例3)
トナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200および疎水性負帯電性シリカRX50を、それぞれ1質量部添加して、3000rpm、2分の処理を行った。次に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、4000rpm、2分の処理を行い、トナーCを得た。なお、ギャップは、いずれの処理の場合も5mmであった。トナーCの製造条件を表2に示す。
(実施例4)
実施例3と同様に、負帯電性シリカ微粒子の添加処理を行った。次に、この処理物にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、ギャップを2mmとして、3000rpm、2分の処理を行って、トナーDを得た。トナーDの製造条件を表2に示す。
(比較例1)
ステアリン酸マグネシウムの外添処理条件を、負帯電性シリカ微粒子の外添処理条件と同じ3000rpm、2分とした以外は、実施例1と同様にして、トナーEを得た。トナーEの製造条件を表2に示す。
(比較例2)
トナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200を1質量部、疎水性負帯電性シリカRX50を1質量部、およびステアリン酸マグネシウム0.2質量部を同時に投入し、ギャップを2mmとしてシェアを高くして、3000rpm、2分処理して、トナーFを得た。トナーFの製造条件を表2に示す。
(比較例3)
疎水性負帯電性シリカRX200、および疎水性負帯電性シリカRX50の外添処理時のギャップを2mmとし、ステアリン酸マグネシウムの外添処理時のギャップを5mmとして、ステアリン酸マグネシウムの外添処理時のシェアを負帯電性シリカ微粒子の外添処理時のシェアをよりも低くしたこと以外は、実施例2と同様にして、トナーGを得た。トナーGの製造条件を表2に示す。
(比較例4)
トナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200を1質量部添加して処理し、ついで、疎水性負帯電性シリカRX50を1質量部添加して処理した。次に、ステアリン酸マグネシウム添加することなく、ヘンシェルミキサーのギャップを2mmとしてシェアを高くして、3000rpm、2分処理して、トナーHを得た。トナーHの製造条件を表2に示す。
Figure 0004277625
(得られたトナーの評価)
得られたトナーについて、帯電量および帯電の均一性について評価し、さらに、イレギュラートナーの発生率を求めた。
トナーの帯電量は、ホソカワミクロン(株)製のE−SPARTアナライザーを用いて以下の様にして測定した。実施例および比較例で調製したトナーとキャリア(日立金属(株)製KBN100フェライトキャリア)とを0.1質量%トナー濃度となるように混合し、100rpmで15分間攪拌してトナーを帯電させた。その後、窒素ガスをトナーとキャリアとの混合物に吹き付けることにより、トナーとキャリアとを分離した。ついで、トナー1個毎の帯電量(Q/m)を測定して、コールターカウンターで求められた平均粒子径±0.1μmの粒径を有する少なくとも100個以上のトナー粒子n個について、測定トナーの個数をX軸に、また以下の式で示される帯電量の総和を、総和帯電量としてY軸にプロットした。
Figure 0004277625
ここで、粒径および帯電量が同じトナー粒子であれば、トナーの個数と総和帯電量とをプロットすると、相関係数=1で原点を通る直線となるはずである。トナーの個数と総和帯電量の実測値をプロットし、直線からのずれを相関係数で評価した。
また、同時にイレギュラートナーである正帯電トナー(逆帯電トナー)の個数を測定し、イレギュラートナーの発生率を求めた。
結果を図1および表3に示す。図1はトナーAについてのトナーの個数と総和帯電量との相関関係を示す図である。表3には、トナーB〜Hについて、図1に示すようなプロット(トナーA以外は図示せず)から求めたトナーの個数と総和帯電量との相関係数(以下、単に相関係数という場合がある)、並びにイレギュラートナーの発生率を示す。
Figure 0004277625
表3に示すように、小粒径シリカ−大粒径シリカの順で負帯電性シリカ微粒子を外添し、次に、攪拌翼の回転数を大きくして添加時のシェアを高めて長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を外添して得られたトナー(実施例1)、あるいは混合機壁と回転翼との間隔(ギャップ)を小さくして添加時のシェアを高めて長鎖脂肪酸またはその塩を外添して得られたトナー(実施例2)は、トナーの個数と総和帯電量との相関係数が0.99以上であり、イレギュラートナーの発生率も低くなることがわかる。すなわち、トナー1個毎の帯電量が安定し、トナー全体の帯電も均一となることがわかる。
また、小粒径シリカと大粒径シリカとを同時に外添処理し、次に長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を負帯電性シリカ微粒子添加時よりも高いシェアで外添して得られたトナー(実施例3および4)も、トナーの個数と総和帯電量との相関係数が0.99以上であり、イレギュラートナーの発生率も低くなる。すなわち、トナー1個毎の帯電量が安定し、トナー全体の帯電も均一となることがわかる。
他方、長鎖脂肪酸またはその塩の添加時のシェアを負帯電性シリカ微粒子の添加時のシェアを同一にした場合(比較例1)、あるいは負帯電性シリカ微粒子の添加時のシェアを長鎖脂肪酸またはその塩の添加時のシェアより高くした場合(比較例3)は、実施例に比べて相関係数が低く、イレギュラートナーの発生率も高くなる。
さらに、負帯電性シリカ微粒子と長鎖脂肪酸またはその塩からなる粒子とを同時に添加した場合(比較例2:トナーF)は、最後に長鎖脂肪酸またはその塩からなる粒子をシェアを高くして添加する実施例に比べ、若干、相関関数とイレギュラートナーの出現率が高くなるが、他の比較例よりは、相関係数も高く、イレギュラートナーの出現率も小さい。さらに、これらの比較例と実施例とを比較すると、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の外添時のシェアを高めることによって、より一層、帯電均一性が向上することがわかる。また、長鎖脂肪酸またはその塩を添加しない比較例4は、正帯電トナーの出現率が極めて高いという問題がある。これは、長鎖脂肪酸またはその塩を添加しないため、負帯電性シリカ微粒子がトナー母粒子に強く固定されないためであると考えられる。
平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を最初に外添し、次に、シェアを高めて長鎖脂肪酸またはその塩を外添して得られた本発明のトナーは、トナー1個毎の帯電量が安定し、トナー全体の帯電も均一となり、また、繰り返し使用においても、帯電安定性が維持されるうえ、イレギュラートナーの発生率も低いことから、安定した画像を提供し得る。従って、本発明のトナーは、電子写真用のトナーとして、広く用いられる。
本発明のトナーを帯電させたときのトナー個数と総和帯電量との関係を示す図である。

Claims (12)

  1. 結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程;および、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を該負帯電性シリカ微粒子添加時のシェアよりも高いシェアで添加する工程;をこの順で含む方法によって得られる、トナー。
  2. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を同時に添加する工程である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、最初に平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子を添加すること;ついで、平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子を添加することからなる、請求項1に記載のトナー。
  4. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼の回転数を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項1から3のいずれかの項に記載のトナー。
  5. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼と該混合機壁との間隔を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項1から3のいずれかの項に記載のトナー。
  6. 結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程;および、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を該負帯電性シリカ微粒子添加時のシェアよりも高いシェアで添加する工程;をこの順で含む、トナーの製造方法。
  7. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を同時に添加する工程である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を添加する工程が、最初に平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子を添加すること;ついで、平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子を添加することからなる、請求項6に記載の方法。
  9. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼の回転数を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項6から8のいずれかの項に記載の方法。
  10. 前記平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子、および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加が回転翼を有する混合機を用いて行われ、該回転翼と該混合機壁との間隔を制御することにより長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時のシェアが高められる、請求項6から8のいずれかの項に記載の方法。
  11. 請求項1から5のいずれかの項に記載のトナーを備えた画像形成装置。
  12. 静電潜像が形成される潜像担持体;該潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを該潜像担持体に搬送するトナー担持体;および該トナー担持体から該潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器;を少なくとも備える、請求項11に記載の画像形成装置。
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