JP3693099B2 - 電子写真用乾式トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真用乾式トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用乾式トナーとしては、通常、結着樹脂中に離型剤、着色剤、荷電制御剤等を分散させた後、微粉砕手段によりトナーサイズに粉砕、分級してトナー粒子とされ、また、現像方式により一成分トナー粒子、またはトナー粒子およびキャリア粒子からなる二成分トナーとされる。また、耐熱性等を改善するためにトナー表面に樹脂粒子層を被覆し、複合型トナーとすることも知られている。
【0003】
結着樹脂中に離型剤、着色剤、荷電制御剤等を分散させた小粒径のトナー粒子にあっては、例えば特開平9−292739号公報には数平均粒子径を0.3μm以下となるように荷電制御剤粒子を結着樹脂中に分散させることにより帯電分布の形状がシャープで紙上のカブリや感光体上のカブリの少ない良好な画像が得られることが記載され、また、特開平7−219275号公報には、着色剤粒子と荷電制御剤の数平均分散粒径との関係を特定すると共に荷電制御剤として水に対する溶解度の低いものとすることにより帯電分布の形状がシャープでトナー飛散やカブリのない複写画像が得られ、耐環境性、長期安定性に優れ、トナーからの荷電制御剤粒子の遊離を防止できることが記載され、さらに、特開平9−179351号公報には、着色樹脂粒子中に荷電制御剤の90個数%以上が個々の粒子における最大粒径で0.01〜0.1μmの範囲にあることにより帯電が均一で、帯電特性の安定な高精細画像に適したトナーとできることが記載されている。しかしながら、いずれも、荷電制御剤はトナー粒子内に内添されるものであり、粒子表面で有効に利用されていないという問題があり、また、トナー粒子の耐熱性が不十分で保存性、耐久性に問題がある。
【0004】
一方、複合型トナーとしては、例えば特公平1−17576号公報には着色樹脂粒子の表面に樹脂粒子を部分的に埋没する程度に被覆処理した後に熱処理する方法が記載され、また、樹脂粒子には荷電制御剤を必要に応じて添加してもよいことが記載され、また、特公平8−12453号公報には、懸濁重合芯粒子表面に乳化重合法により得られる微小樹脂粒子を水中で水溶性重合開始剤を使用して付着させたトナーであって、荷電制御剤を微小樹脂粒子に添加することが望ましいことが記載され、また、特開平4−3171号公報には、芯粒子表面にソープフリー乳化重合法により形成された微小粒子を機械的混合により付着させ、また、その際、荷電制御剤等の表面改質材粒子を共に付着させてもよいことが記載され、更に熱処理により樹脂被覆層を形成した電子写真用乾式トナーが開示されている。
【0005】
しかしながら、この種のカプセルトナーにあっては、耐熱性は一定改善されるものの、コア粒子である着色樹脂粒子中に荷電制御剤を含有させても樹脂被覆層によりコートされるためにうまく帯電制御できないという問題がある。また、いずれの公報にも、カプセル用樹脂粒子に荷電制御剤を添加してもよいことが記載されているが、荷電制御剤粒子が樹脂被覆層中に埋設したり、また、カプセル用樹脂粒子と混練・溶融される樹脂被覆層を形成すると、作用部位である荷電制御剤(CCA)露出部が無くなるためトナーの帯電不良が生じて画像上のカブリや現像部からの飛散が生じ、画像劣化の原因となるという問題がある。
【0006】
本発明は、帯電性に優れ、帯電不良に基づく画像上のカブリや現像部からのトナーの飛散による画像劣化を防止でき、保存性、耐久性に優れる電子写真用乾式トナーの製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真用乾式トナーの製造方法は、着色樹脂粒子表面に、少なくともカプセル用樹脂粒子と荷電制御剤粒子とを機械的混合により付着させた後、熱風球形化処理により樹脂被覆層を形成するに際して、前記荷電制御剤粒子の軟化点(℃)または分解温度をT1 、前記カプセル用樹脂粒子のフロー軟化点(℃)をT2 、前記着色樹脂粒子のフロー軟化点(℃)をT3 とした際に下記式
T1 >T2 >T3
の関係を有し、かつ、荷電制御剤粒子とカプセル用樹脂粒子とを相溶性のないものとすると共に、樹脂被覆層の膜厚が0.05μm〜1μmで、かつ、0.05μmより大きく、1.5μm以下とし、荷電制御剤粒子の粒径を樹脂被覆層の膜厚より大きくして荷電制御剤粒子の一部を樹脂被覆層表面に露出させたものとすることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真用乾式トナーにおける着色樹脂粒子は、結着樹脂、離型剤、着色剤、また、必要に応じて添加される荷電制御剤等からなる。結着樹脂としては、トナーの定着性を可能とする公知のトナー用結着物質の使用が可能である。例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変成フェノール樹脂、天然樹脂変成マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が例示される。
【0011】
結着樹脂としては、ガラス転移温度が50〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃のものを使用できる。低温定着性トナーとする場合には、結着樹脂のガラス転移温度が50〜65℃、フロー軟化温度が100〜120℃の樹脂とするとよい。また、オイルレス定着用トナーとする場合には、結着樹脂の熱溶融時の凝集性の観点からは50%流出点における溶融粘度が1×103 〜1×107 Pa・sのものとするとよい。
【0012】
着色剤としては、以下に示すような、有機ないし無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。すなわち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、バンザーイエローG、バンザーイエロー10G、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキなどがある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKMなどがある。赤色系顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。
【0013】
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部使用することが望ましい。20重量部より多いとトナーの定着性が低下し、一方、1重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない。
【0014】
また、透光性カラートナーとして用いる場合は、着色剤としては、以下に示すような、各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黄色顔料としては、C.I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザエロー10G)、C.I.11660(ハンザエロー5G)、C.I.11670(ハンザエロー3G)、C.I.11680(ハンザエローG)、C.I.11730(ハンザエローGR)、C.I.11735(ハンザエローA)、C.I.11740(ハンザエローNR)、C.I.12710(ハンザエローR)、C.I.12720(ピグメントイエローL)、C.I.21090(ベンジジンエロー)、C.I.21095(ベンジジンエローG)、C.I.21100(ベンジジンエローGR)、C.I.20040(パーマネントエローNCG)、C.I.21220(バルカンファストエロー5)、C.I.21135(バルカンファストエローR)などがある。赤色顔料としては、C.I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオレンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3GL)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.11725(ハンザエロー3R)、C.I.21165(バルカンファストオレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラレッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネントレッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファストレッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などがある。また、青色顔料としては、C.I.74100(無金属フタロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などがある。
【0015】
また、マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。顔料単独使用でもかまわないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
【0016】
そのマゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ティスパーレスレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレットなどの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベッシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
【0017】
また、シアン用着色顔料としては、C.I.ビクメントブルー2、3、15、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又は下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
【0018】
【化1】
また、イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83;C.I.バットイエロー1、3、20なとが挙げられる。
【0019】
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部使用することが望ましい。20重量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、0.1重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない場合がある。
【0020】
着色樹脂粒子中に分散される離型剤としては、具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖〔CH3(CH2)11またはCH3(CH2)12以上の脂肪族炭素鎖〕を有する長鎖カルボン酸、そのエステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸ビスアミド等を例示し得る。異なる低軟化点の化合物を混合して用いても良い。具体的には、パラフィンワックス(日本石油製)、パラフィンワックス(日本精蝋製)、マイクロワックス(日本石油製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋製)、PE−130(ヘキスト製)、三井化学製の三井ハイワックス110P、三井ハイワックス220P、三井ハイワックス660P、三井ハイワックス210P、三井ハイワックス320P、三井ハイワックス410P、三井ハイワックス420P、変性ワックスJC−1141、変性ワックスJC−2130、変性ワックスJC−4020、変性ワックスJC−1142、変性ワックスJC−5020、その他、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。脂肪酸金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等がある。
【0021】
特に、ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、あるいは酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE130、Hoechst Wax PE190(ヘキスト社製)、三井化学社製の三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M、三洋化成工業社製のサンワックス131-P 、サンワックス151-P 、サンワックス161-P などの非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PED521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同 Ceridust 3715 (ヘキスト社製)、三井ハイワックス420M(三井化学社製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechist Wachs PP230(ヘキスト社製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、ピスコールTS−200(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスなどが例示される。
【0022】
これらの離型剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する離型剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部であり、好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは3〜7重量部である。
【0023】
離型剤としては、セイコー電子(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値である軟化点が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものである。軟化点が40℃未満の場合は、トナーの耐ブロッキング性及び保形性が不充分であり、軟化点が130℃を越える場合は定着温度又は定着圧を下げる効果が少ない。また、離型剤の軟化点と結着樹脂のフロー軟化温度との差は30℃以内のものとするとよい。
【0024】
また、着色樹脂粒子には、必要に応じて荷電制御剤を添加してもよく、その場合には、後述する樹脂被覆層における荷電制御剤とはその摩擦帯電特性を逆とするものとするとよく、これにより着色樹脂粒子と荷電制御剤粒子との結合を強くすることができ、樹脂被覆層から荷電制御剤粒子の脱離を低下させることができる。
【0025】
正の摩擦帯電極性を付与する荷電制御剤としては、有機あるいは無機の各種のものが用いられ、また、アジン化合物、第4級アンモニウム塩、オニウム化合物等が例示される。例えばニグロシンベースEX(オリエント化学工業(株)製)、第4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシン ボントロンN−01(オリエント化学工業(株)製)、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3:Colr Index 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I.NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ社製)、ザボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト社製)、さらにアルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料などが挙げられる。中でも第4級アンモニウム塩P−51が好ましい。
【0026】
また、着色樹脂粒子に負の摩擦帯電極性を付与する荷電制御剤としては、含金属アゾ化合物、サリチル酸誘導体、金属錯体、フェノール系縮合物等が例示され、例えば、オイルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックBY(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシンSO(オリエント化学工業(株)製)、セレスシュバルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ社製)、クロモーゲンシュバルツETOO(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン社製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましい。
【0027】
また、特開平8−95306号公報や特開平8−325305号公報に記載される単量体サッカライド単位を環状に連結したポリサッカライド粒子またはその構造中にゲスト化合物を包接した包接化合物粒子も好ましく使用できる。ポリサッカライド粒子や包接化合物粒子は200℃以上の分解温度を有し、耐熱性や吸湿性に優れ、カプセル用樹脂粒子として例えば水分を含有する乳化重合樹脂粒子を使用する場合には水分を介して強力に吸着するので、樹脂被覆層との結合を強めることができ、荷電制御剤粒子の離脱の少ないものとできる。また、水分を介して帯電電荷を素早く移動させることができるので、帯電に際しての立ち上がりに優れ、また、含水率による帯電性への影響も少なく、耐環境性に優れる荷電制御剤である。なお、ポリサッカライド粒子をホスト化合物とする包接化合物粒子はゲスト化合物の種類により正帯電性となるものもあるが、殆どは負帯電性の荷電制御剤である。このような荷電制御剤粒子としては、例えばクラリアントジャパン(株)製の「Oxo-Gluco compound」( Copy Charge NCA cp2243 、分解温度200℃以上、平均粒径5μm)等が例示される。
【0028】
これらの荷電制御剤は、単独であるいは複数種を組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する荷電制御剤を添加する場合には、その添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部である。
【0029】
その他、着色樹脂粒子には磁性粒子、分散剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
【0030】
着色樹脂粒子は、製造方法の項において後述するように、結着樹脂中に離型剤、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等の内添剤を混練・溶融により分散させた後、微粉砕手段により粉砕・分級して得られるもので、平均粒径が3μm〜10μm、好ましくは5μm〜9μmとされる。
【0031】
次に、着色樹脂粒子に被覆する樹脂被膜について説明する。樹脂被膜は後述する製造方法により、カプセル用樹脂粒子及び荷電制御剤粒子等を使用して形成される。
【0032】
カプセル用樹脂粒子としては、例えば乳化重合法により製造される樹脂粒子、他に脂肪酸アマイド粒子、ポリイミド樹脂粒子、含窒素複素環を有する樹脂粒子等が例示される。一般に、乳化重合法は、水性媒体中に乳化剤と水溶性重合開始剤を添加して溶解した後、該水性媒体中に難溶性のモノマーを添加し、加熱しながら攪拌すると、水相で発生した開始剤ラジカルが水相に僅かに溶けているモノマーを結合してゆきやがて不溶化し粒子核を形成させる方法である。ソープフリー乳化重合法は、上記の乳化重合系から乳化剤を除いた処方で、乳化重合法と同様に水相で発生した開始剤ラジカルが水相に僅かに溶けているモノマーを結合してゆき、やがて不溶化し粒子核を形成するものである。ソープフリー乳化重合法で製造される粒子は、粒径が0.1μm〜1μmの範囲で制御でき、また粒径分布がシャープな粒子が達成されるので、カプセル用樹脂粒子の粒径および樹脂物性の観点から好ましい。
【0033】
カプセル用樹脂粒子の調製に用いる単量体としてはビニル系モノマーを挙げることができ、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレンおよびその誘導体が挙げられ、その中でもスチレンが最も好ましい。他のビニル系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルアクリルアミドなどのような(メタ)アクリル酸誘導体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、ビニルナフタリン類を挙げることができる。なお、カプセル用樹脂粒子に用いられる合成樹脂としてはこれらのビニル系モノマーを単独で用いた単独重合体であっても、あるいは複数組合せた共重合体であってもよい。
【0034】
またビニル系モノマーとしては、含窒素極性官能基を有するモノマーあるいはフッ素を有するモノマー成分を、単独であるいは上記したモノマーとの組み合わせで使用することもできる。このような極性基を有する単量体からカプセル用樹脂粒子を構成すると、このカプセル用樹脂粒子自体が帯電制御の働きをするためにより好ましい。
【0035】
含窒素極性官能基は正荷電制御に有効であり、含窒素極性官能基を有するモノマーとしては、一般式
CH2 =C(R1 )−COX−Q−N(R2 )(R3 )
(式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およびR3 は水素または炭素数1〜20のアルキル基、Xは酸素原子または窒素原子、Qはアルキレン基またはアリレン基である。)で表わされるアミノ(メタ)アクリル系モノマーがある。
【0036】
アミノ(メタ)アクリル系モノマーの代表例としては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−スタアリルアミノベンジル(メタ)アクリレートなどが例示される。さらに、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド等が例示される。
【0037】
フッ素原子は負荷電制御に有効であり、フッ素含有モノマーとしては特に制限はないが、例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロアミルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく例示される。このほかトリフルオロクロルエチレン、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、四フッ化エチレン、トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロピレンなどの使用が可能である。なお、カプセル用樹脂粒子に用いる合成樹脂としてはこれらのビニル系モノマーを単独で用いた単独重合体であっても、あるいは複数組み合わせた共重合体であってもよい。
【0038】
カプセル用樹脂粒子は、着色樹脂粒子における結着樹脂の化学構造と類似する構造を有する樹脂を使用するのが好ましいが、その場合には、一般に、着色樹脂粒子中には正の荷電制御剤を添加するとよい。
【0039】
また、カプセル用樹脂粒子は、ガラス転移温度(Tg)が50〜130℃であり、また、フロー軟化点が70〜200℃、好ましくは100〜170℃の範囲のものが好ましく、カプセル用樹脂粒子のフロー軟化点は、着色樹脂粒子の結着樹脂におけるフロー軟化点に比して、5℃以上高くするとよく、好ましくは20℃〜40℃の範囲で高いものとするとよい。
【0040】
これらの乳化重合により調製されるカプセル用樹脂粒子としては、例えば綜研化学(株)製「MP−1000、Tg128℃、フロー軟化温度178℃、粒径0.35〜0.5μm)」、同「MP−2200、Tg128℃、フロー軟化温度180℃、粒径0.3〜0.4μm)」、同「MP−4951、Tg85℃、フロー軟化温度146℃、粒径0.15〜0.25μm)」、日本ペイント(株)製「マイクロジェル、Tg64℃、フロー軟化温度130℃、粒径0.2μm)」が例示される。
【0041】
脂肪酸アマイド粒子としては、中京油脂(株)製「ハイミクロンG−270、フロー軟化温度100℃、粒径0.5μm)」、同「ハイミクロンG−110、フロー軟化温度140℃、粒径0.4μm)」が例示される。
【0042】
カプセル用樹脂粒子の大きさは、着色樹脂粒子平均粒径の1/100〜1/5、好ましくは1/50〜1/10とするとよく、平均粒径が0.03μm〜2μm、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.15〜0.4μmのものを使用する。カプセル用樹脂粒子の平均粒径が0.03μmより小さいと耐熱性付与の観点から、カプセル用樹脂粒子層の厚みが薄いため、十分にその目的を達成することはできない。平均粒径が2μmより大きいときは、カプセル用樹脂粒子を着色樹脂粒子の表面に均一に付着させることが困難となり、表面被覆率が低下し、トナークリーニング性、耐久性等が十分に改良されず、耐熱性付与を目的とする場合、着色樹脂粒子の影響を受け易くなる。さらにカプセル用樹脂粒子が大きいと、その粒子を着色樹脂粒子表面に強固に付着固定させることが困難となる。
【0043】
次に、カプセル用樹脂粒子と共に樹脂被覆層を形成する荷電制御剤粒子としては、上述の着色樹脂粒子の項で説明した荷電制御剤が例示されるが、被膜形成時の熱処理に際して、耐熱性の観点から、荷電制御剤粒子の軟化点または分解温度が、カプセル用樹脂粒子のフロー軟化点に比して10℃以上高い軟化点または分解温度を有するものとすることが必要である。また、荷電制御剤粒子とカプセル用樹脂粒子とは相溶性のないものとするとよい。これにより、電子写真用乾式トナー表面に荷電制御剤粒子の一部を露出させることができ、電子写真用乾式トナー表面に帯電作用部位を形成することができる。
【0044】
また、荷電制御剤粒子の粒径は、エアージェットミル、カッティングミル、ハンマーミル、ビーズミル、インパクトミル等により平均粒径が0.01μm〜1.5μm、好ましくは0.05μm〜1μmの粒子とされるとよく、また、樹脂被覆層の膜厚は、0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.6μm、より好ましくは0.15〜0.35μmとされるとよい。
【0045】
樹脂被覆層表面に荷電制御剤粒子が露出する状態とできれば、荷電制御剤粒子の粒径は、樹脂被覆層の膜厚より小さくてもよいが、荷電制御剤粒子の粒径を形成される樹脂被覆層の膜厚より大きいものを使用し、樹脂被覆層表面から荷電制御剤粒子の一部を突出させた状態で樹脂被覆層中に荷電制御剤粒子が埋設した状態とするとよい。
【0046】
樹脂被覆層を形成するに際して、カプセル用樹脂粒子と荷電制御剤粒子との使用割合は、カプセル用樹脂粒子100重量部に対して荷電制御剤粒子を0.1重量部〜10重量部、好ましくは0.5重量部〜5重量部であり、また、カプセル用樹脂粒子と荷電制御剤粒子との混合粒子は、着色樹脂粒子100重量部に対して5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部の割合で使用される。
【0047】
なお、樹脂被覆層を形成するに際して、カプセル用樹脂粒子や荷電制御剤粒子の他に、所望の各種添加剤、例えば着色剤粒子等を添加することもできる。
【0048】
このようにして得られた電子写真用乾式トナーの平均粒径は、3〜10μm、好ましくは5〜9μmであり、小粒径化による高精細化を可能とし、また、熱処理により、円形度を0.93〜0.99、好ましくは0.94〜0.98とすることにより流動性、クリーニング性に優れるものとできる。
【0049】
本発明の電子写真用乾式トナーには、その流動性を向上させる為に、流動性向上剤を外添してもよい。流動性向上剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末を用いることができる。例えばフツ素系樹脂粉末、すなわちフツ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、アクリル樹脂系微粉末など;又は脂肪酸金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など;又は金属酸化物、すなわち酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛など;又は微粉末シリカ、すなわち湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、それらシリカにシランカツプリング剤、チタンカツプリング剤、シリコンオイルなどにより表面処理をほどこした処理シリカなどがあり、これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0050】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒユームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0051】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
又、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いる事によってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得る事も可能であり、それらも包含する。その粒径は平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内である事が望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0052】
本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。日本アエロジル社製の「AEROSIL 130」、以下、同 200、 300、 380、 TT600、MOX170、 MOX80、 COK84等が挙げられ、また、CABOT Co.社製の「Ca−O−SiL M-5 」、以下、同 MS−7、MS−75、HS−5、EH−5等が挙げられ、また、WACKER−CHEMIE GMBH社製の「Wacker HDK N 20 V15 」、以下、同 N20E、 T30、 T40、ダウコーニングCo.社の「D−C Fine Silica」、Fransil社の「Fransol」等が挙げられる。
【0053】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化方法としてはシリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の上記気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0054】
その様な有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチレンジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカピタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基をが有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0055】
その処理シリカ微粉体の粒径としては0.003〜0.1μm、0.005〜0.05μmの範囲のものを使用することが好ましい。市販品としてはタルコ社製のタラノツクス−500、日本アエロジル社製のAEROSIL R−812 、R−972 、RX−200 、RX−300 、RX−50、RY−50、RY−200 、RA−200H、T−805 、キャボット社製のTS−720 、TS−610 、TS−530 、TS−500 、TG−810G、TG−820F、TG−308F、Wacker社製のHDK H2150VP 、HDK H1018 、HDK H2000 、HDK H3050VP 、HDK H3004 、HDK H1303VP などがある。
【0056】
流動性向上剤の添加量としては、該樹脂粒子100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。0.01重量部未満では流動性向上に効果はなく、5重量部を超えるとカブリや文字のにじみ、機内飛散を助長する。
【0057】
本発明の電子写真用乾式トナーの製造方法は次の各工程よりなる。
(1)原料の均一混合工程
結着樹脂と着色剤、必要に応じて離型剤や荷電制御剤等の添加剤を所定量ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し、均一混合する。その際、結着樹脂と着色剤からなるマスターバッチを調製しておき、該マスターバッチと希釈用の結着樹脂、また、必要に応じて離型剤や荷電制御剤等の添加剤を均一混合してもよい。マスターバッチの配合割合は、結着樹脂:着色樹脂=90:10〜50:50(重量部)であり、好ましくは80:20〜60:40(重量部)てあり、トナー粒子作製にあたっての配合例としては、結着樹脂100重量部に対して、マスターバッチ着色剤20〜60重量部、好ましくは30〜50重量部、離型剤0.5〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、荷電制御剤5重量部以下、好ましくは3重量部以下であり、その他分散剤等の添加剤を適量内添してもよい。
【0058】
(2)結着樹脂中への各添加剤の分散固定化工程
均一に混合した後、二軸混練押出機(池貝化成(株)製PCM−30)を使用して溶融混練し、結着樹脂中に各添加剤を分散固定化する。溶融混練手段としては、他に「TEM−37」(東芝機械(株))、「KRCニーダー」((株)栗本鉄工所)等の連続式混練機や加熱・加圧ニーダーのようなバッチ式混練機等が挙げられる。
【0059】
(3)粉砕工程
混練物を粗粉砕して粒度調整をした後、ジェット粉砕機「200AFG」(ホソカワミクロン(株))又は「IDS−2」(日本ニューマチック工業(株))を使用し、ジェットエアーによる衝突粉砕により、微粉砕し、平均粒子径1〜8μmのものとする。粉砕手段としては他に機械式粉砕機ターボミル(川崎重工(株))、スーパーローター(日清エンジニアリング(株))等が挙げられる。
【0060】
(4)分級工程
微粉を除去し、粒径分布のシャープ化を目的として、風力又はローター回転による粒度調整を風力分級装置「100ATP」(ホソカワミクロン(株))又は「DSX−2」(日本ニューマチック工業(株))又は「エルボージェット」(日鉄鉱業(株))等を使用して行なう。この分級工程により得られる着色樹脂粒子は、円形度が0.70〜0.92のものである。
【0061】
(5) 着色樹脂粒子表面へのカプセル用樹脂粒子と荷電制御剤粒子の付着工程
着色樹脂粒子表面に、カプセル用樹脂粒子と荷電制御剤粒子との混合粒子を所定量、機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化する。機械的衝撃力は高速気流中、ローターとステーターの剪断力及び粒子同士及び機壁との衝突によって与えられるものであり、例えばハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)、コスモスシステム(川崎重工業社製)等を使用することができる。また、乾式メカノケミカル法は、粒子同士および粒子が装置壁部材により摩擦、圧縮、剪断力を受けることにより発生する熱を利用することにより、混合粒子を着色樹脂粒子表面に固定するもので、例えばメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)を用いることができる。
【0062】
(6) 熱処理により樹脂被覆層を形成する工程
混合粒子を付着させた着色樹脂粒子において、混合粒子を固着・融着させて樹脂被覆層とするには、熱風球形化装置「サーフュージングシステムSFS−3型」(日本ニューマチック工業(株))を使用し、操作条件として、250〜350℃の入り口熱風温度、熱風流速5〜20m/s、原料投入量0.5〜1.4kg/hr、熱風との接触時間0.01〜1.0秒の条件下で熱処理する。
【0063】
この熱風球形化処理条件を適宜選択することにより、着色樹脂粒子表面に混合粒子におけるカプセル用樹脂粒子が相互に融着して樹脂被膜を形成するとともに、荷電制御剤粒子をその樹脂被膜に強固に結合させることができる。また、熱風球形化処理により円形度が0.93〜0.99、好ましくは0.94〜0.98とするとよい。なお、円形度は、円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周長)/(粒子投影図の輪郭長さ)で表されるもので、FPIA-2000(Sysmex社製)を用い、1500個/分の測定速度で測定することにより求めるものである。
【0064】
(6) 外添処理工程
得られた樹脂被膜を有する着色樹脂粒子と流動化剤を、所定量ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し均一混合し、電子写真用乾式トナーとする。
【0065】
着色樹脂粒子表面に樹脂被覆層を有する電子写真用乾式トナーは、カプセル用樹脂粒子のフロー軟化点(℃)を着色樹脂粒子のフロー軟化点(℃)より高くすることにより、感光体や現像器等のプロセス部材へのフィルミングのないものとでき、保存性に優れた耐久性のあるトナーとでき、また、定着時にあっては、熱定着ローラーにより樹脂被覆層が破壊されると同時に溶融した結着剤等を溶出させることができる。また、着色樹脂粒子中に離型剤を含有させておくことにより熱定着ローラーへの離型効果を一層発揮でき、また、着色樹脂粒子中の離型剤の含有量を多くしなくても耐オフセット性に優れるものとでき、離型剤の含有量を低くできるので透明性に優れる電子写真用乾式トナーとできる。
【0066】
そして、このような電子写真用乾式トナーにあって、本発明の電子写真用乾式トナーは、荷電制御剤粒子の軟化点または分解温度を、カプセル用樹脂粒子のフロー軟化点に比して高いものとすることにより、電子写真用乾式トナー表面に荷電制御剤粒子を露出させ帯電作用部位として機能させることができるものであり、帯電性に優れるものとできる。そのため、帯電不良に基づく画像上のカブリや現像部からのトナーの飛散を防止でき、画像劣化を防止できるものである。また、樹脂被覆層表面に露出させた荷電制御剤粒子により、相互の融着性を低下させることができ、保存性に優れる電子写真用乾式トナーとできる。
【0067】
なお、本明細書で、単に「粒径」という場合「平均粒径」を意味し、コールターカウンターTA-II 型(コールター社製)を用い、100μmのアパチャーチューブで粒径別相対重量分布を測定することにより求める。
【0068】
結着樹脂や樹脂被覆層におけるフロー軟化点は、高架式フローテスター(島津製作所(株)製「CFT−500」)により測定した50%流出点における温度を意味する。
【0069】
荷電制御剤粒子の軟化点または分解温度は、セイコー電子(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値をもって軟化点または分解温度とする。
【0070】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0071】
【実施例】
(実施例1)
上記組成をヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))を使用し、5分間、2800rpmで均一混合した後、二軸混練押出機(池貝化成社製PCM−30)で溶融混練し、樹脂中に添加剤の分散固定した。混練物を放置冷却後、フェザーミルで粗粉砕し、2mmメッシュパスとした。
【0072】
次いでジェット粉砕機{200AFG(ホソカワミクロン社製)}を使用し微粉砕した後、風力分級装置{100ATP(ホソカワミクロン社製)}を使用して中心粒子径6μmの着色樹脂粒子を得た。
【0073】
分級処理した着色樹脂粒子100重量部と、乳化重合法により製造されたスチレン−アクリル酸共重合体{(スチレン:アクリル酸=4:1(モル比)}カプセル用微粒子(Tg:74℃、フロー軟化点:145℃、中心粒子径0.25μm、重量平均分子量8万、数平均分子量2万)15重量部と、負帯電性荷電制御剤粒子{Oxo-Gluco compound( Copy Charge NCA cp2243 、分解温度200℃、平均粒径0.5μm、クラリアントジャパン(株)製}0.5重量部とをヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))を使用し前混合した後、ハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)を使用し、ローター回転速度90m/s、5分間精密混合して、着色樹脂粒子にカプセル用微粒子と荷電制御剤粒子を付着させた。
【0074】
次いで、カプセル用微粒子と荷電制御剤粒子を付着させた着色樹脂粒子を熱風球形化装置{サーフュージングシステムSFS−3型、日本ニューマチック工業社製)を使用し、320℃の入り口熱風温度、熱風との接触時間0.02秒、熱風流速15m/s、単位面積当たりの原料投入量1kg/hrの条件下で熱処理し、平均粒径6.2μm、円形度0.98の樹脂被覆層を有するマゼンタトナー粒子を得た。
【0075】
処理粒子について、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析装置)「TRIFT−2000」、アルバック・ファイ(株)製)を使用し、その深さ方向での組成分析を行なったところ、樹脂被覆層の膜厚は0.15μmであった。また、処理粒子表面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、荷電制御剤粒子は樹脂被覆層中に埋設されると共にその荷電制御剤粒子の一部が樹脂被覆層表面に露出した状態で点在していることが確認できた。
【0076】
次いで、処理粒子100重量部に対して、表面をヘキサメチルジシラザンで処理したシリカ微粒子(粒径10nm、キャボット社製「キャボジールTG−810G」)を1重量部添加し、ヘンシェル20B(三井鉱山(株))を使用し、2分間、2800rpmで均一混合して外添処理し、非磁性一成分系カラー現像剤である本発明の電子写真用乾式トナーを得た。
【0077】
得られた電子写真用乾式トナーについて、1万枚プリント後の画像濃度、地肌カブリ濃度、帯電量、凝集率、保存性(55℃、24hr.)、耐久テスト(現像ローラ表面へのフィルミング現象)を評価した。評価方法等を下記に示すと共に評価結果を表1に示す。
(画像濃度、地肌カブリ濃度)
一成分現像方式を採用した市販のレーザープリンタ(IBM4019)の現像ユニットにトナーをセットし、1万枚プリントした後の画像濃度、地肌カブリ濃度を反射濃度計により測定した。
(帯電量試験)
キャリアーとしてスチレン−メタクリレート共重合体(モル比60:40)で被覆されそして50〜200μmの粒度(嵩密度2.62g/cm3 )を有する磁鉄鉱粒子またはフェライト粒子(FBM100Å、Powder Techn.社製)を使用して電子写真用乾式トナーを活性化した後、湿度65%RHで1時間放置後のq/m値(μC/g)を測定した。
(凝集率)
トナーの凝集率は、フロー式粒子像分析装置(FPIA-2100(Sysmex社製)を用い、サンプル画像中の凝集粒子数を測定することにより求めた。
(保存性)
ガラス容器にトナー20gを入れ、55℃に設定したオーブン中に24時間保存した後、容器をオーブンから取り出し、トナーのケーキング状態を目視観察する。下記の表1において、○は凝集が確認できないもの、△はほぐれる程度の凝集性があるものである。
(耐久テスト)
一成分現像方式を採用した市販のレーザープリンタ(IBM4019)の現像ユニットにトナーをセットし、感光体上に現像されないように調整した状態で現像器のみ連続駆動し、現像ローラー表面に筋状の融着(フィルミング)が認められた時点を耐久時間とした。下記の表1において、○は3時間以上フィルミングが認められないもの、△は1時間〜3時間でフィルミングが認められたもの、×1時間以下でフィルミングが認められたものを示す。
【0078】
(比較例1)
着色樹脂粒子として、下記の組成
とした以外は、実施例1と同様にして、同様の着色樹脂粒子を得た。
【0079】
分級処理した着色樹脂粒子100重量部と、乳化重合法により製造されたスチレン−アクリル共重合体カプセル用微粒子(Tg:74℃、軟化点:145℃、中心粒子径0.25μm、重量平均分子量8万、数平均分子量2万)15重量部とをヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))を使用し前混合した後、ハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)を使用し、ローター回転速度90m/s、5分間精密混合して着色樹脂粒子にカプセル用微粒子を付着させた。
【0080】
次いで、カプセル用微粒子を付着させた着色樹脂粒子を実施例1同様に熱処理し、平均粒径6.2μm、円形度0.98の樹脂被覆層を有するマゼンタトナー粒子を得た。
【0081】
処理粒子について、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析装置)「TRIFT−2000」、アルバック・ファイ(株)製)を使用し、その深さ方向での組成分析を行なったところ、樹脂被覆層は0.15μmであった。
【0082】
次いで、マゼンタトナー粒子を実施例1同様に外添処理し、非磁性一成分系カラー現像剤である電子写真用乾式トナーを得た。
【0083】
得られた電子写真用乾式トナーについて、実施例1と同様に1万枚プリント後の画像濃度、地肌カブリ濃度、帯電量、凝集率、保存性(55℃、24hr.)、耐久テスト(現像ローラ表面へのフィルミング現象)ついて評価すると共に、評価結果を表1に示す。
【0084】
(比較例2)
実施例1における電子写真用乾式トナーの製造に際して、熱風球形化装置の操作条件として、実施例1における熱処理に比して長時間とする熱風流速8m/s、熱風との接触時間0.05秒とした以外は同様にして電子写真用乾式トナーを作製した。
【0085】
得られた電子写真用乾式トナーについて、実施例1と同様に1万枚プリント後の画像濃度、地肌カブリ濃度、帯電量、凝集率、保存性(55℃、24hr.)、耐久テスト(現像ローラ表面へのフィルミング現象)ついて評価すると共に、評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
表から明らかなように、本発明の電子写真用乾式トナーは、比較例に比して、帯電性が高くて地肌カブリ濃度が低く、画像性に優れるものであり、また、帯電量が高くトナー表面における荷電制御剤が有効に働いていることがわかる。また、耐久性、保存性、定着ロール等へのフィルミング防止性に優れるものであることがわかる。
【0087】
【発明の効果】
本発明の電子写真用乾式トナーは、電子写真用乾式トナー表面に荷電制御剤粒子を露出させ帯電作用部位として機能させることができるものであり、帯電性に優れるものとでき、帯電不良に基づく画像上のカブリや現像部からのトナーの飛散を防止でき、画像劣化を防止できるものであり、また、保存性、耐久性に優れる電子写真用乾式トナーとできる。
Claims (1)
- 着色樹脂粒子表面に、少なくともカプセル用樹脂粒子と荷電制御剤粒子とを機械的混合により付着させた後、熱風球形化処理により樹脂被覆層を形成するに際して、前記荷電制御剤粒子の軟化点(℃)または分解温度をT1 、前記カプセル用樹脂粒子のフロー軟化点(℃)をT2 、前記着色樹脂粒子のフロー軟化点(℃)をT3 とした際に下記式
T1 >T2 >T3
の関係を有し、かつ、荷電制御剤粒子とカプセル用樹脂粒子とを相溶性のないものとすると共に、樹脂被覆層の膜厚が0.05μm〜1μmで、かつ、荷電制御剤粒子の粒径が0.05μmより大きく、1.5μm以下とし、荷電制御剤粒子の粒径を樹脂被覆層の膜厚より大きくして荷電制御剤粒子の一部を樹脂被覆層表面に露出させたものとすることを特徴とする電子写真用乾式トナーの製造方法。
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