JP3678304B2 - トナーおよびトナー用カプセル化離型剤粒子の製造方法。 - Google Patents

トナーおよびトナー用カプセル化離型剤粒子の製造方法。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真等の静電潜像の現像による画像形成を利用した画像形成方法に用いるトナーに関し、特に乾式トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
静電潜像の形成に用いるトナーは、結着樹脂中に離型剤、着色剤、荷電制御剤等を分散させた後、微粉砕手段により所定の大きさに粉砕した後に、分級することによって製造されている。
トナーには、一成分のみで構成される一成分トナーと、キャリア粒子とともに使用する二成分トナーが知られている。
また、耐熱性等を改善するためにトナー表面に樹脂粒子層を被覆し、複合型トナーとすることも知られている。
画像形成工程においては、感光体上に形成された静電潜像をトナーによって現像した後に、定着ロールによって結着樹脂を加熱溶融させて定着が行われるが、加熱溶融した結着樹脂が定着ロールの表面に付着するトナーオフセットの現象が生じることがあり、このような現象を防止するために定着ロールの表面にシリコーン油を塗布する方法が行われていた。
【0003】
ところが、定着ロールの表面にシリコーン油を塗布するためには、画像形成装置内部に液体であるシリコーン油の貯槽を設ける必要があり、装置内外のシリコーン油による汚れや、画像形成時に大量に付着してシリコーン油によるべたつきが生じたり、あるいは定着ロールへのシリコーン油による膨潤による定着ロールの早期の劣化等の問題点があった。
そこで、定着ロールへのシリコーン油等の離型性の液体を塗布することが不要なトナーとして、離型性のワックス状物質を含有させたトナーが提案されており、定着時にトナー中から離型性のワックス状物質が滲みだすことによって定着時でのロールとの接着等を防止している。しかしながら、トナー中に含まれたワックス状物質が現像ロール等に付着し、フィルミング現象等を生じることがあった。
また、ワックス状物質を含有させたトナーを製造する際には、装置内の機内付着が助長され、歩留まりの大幅な低下等の問題があった。
【0004】
また、特公平8−12451号公報には、トナー粒子上にワックス状物質がシェルを形成するのに十分な温度下で分散し、各トナー粒子の表面にワックス状物質でカプセル化された連続シェルを形成するトナーの製造方法が記載されている。ところが、トナー粒子の熱気流下での処理においてトナー粒子表面がワックス状物質でカプセル化されるものである。その結果、トナー粒子表面のワックス状物質により、画像形成装置内部の現像ロールや感光体等の各部材に膜形成現象、いわゆるフィルミング現象が生じて、形成される画像の悪化等の問題があり、また粒子内部および粒子表面に担持されているワックスは、相対的にその量が多く、形成される画像の透明性にも問題があった。
また、特開平4−3171号公報には、トナー粒子表面への荷電制御剤、着色剤、樹脂粒子等の表面改質用微粒子の均一処理化方法として、トナー粒子に表面改質用微粒子を機械的衝撃力により均一固定化した後、熱気流中で処理することが開示されているが、画像形成装置内においてワックス等の離型剤が滲み出すことによって機器内部に被膜を形成するフィルミング現象を生じる可能性を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、静電潜像の現像による画像形成性装置において、感光体等の表面をフィルミング現象により汚染することがなく、また、定着時には耐オフセット性に優れると共に耐久性、透明性に優れ、特にカラートナーとして適した画像形成装置用のトナーの提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、カプセル化離型剤粒子を含有したトナーにおいて、着色剤と結着樹脂を含有した着色性粒子と、離型剤粒子の表面に合成樹脂を固定した後に、熱風球形化処理によってカプセル化と円形度0.9以上に円形化をしたカプセル化離型剤粒子を含有したトナーによって解決することができる。
また、トナー用カプセル化離型剤粒子の製造方法において、離型剤粒子の表面に合成樹脂を固定した後に、熱風球形化処理で、固定した合成樹脂によって離型剤粒子のカプセル化と円形度0.9以上に円形化を行うトナー用カプセル化離型剤粒子の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の静電潜像の現像による画像形成装置に用いるトナーは、結着樹脂中に着色剤、荷電制御剤等を分散させた着色性粒子と共に、定着時に離型剤としての作用をするワックス状物質の表面を加熱よって溶融する物質によって被覆したカプセル粒子とを混合したものであり、ワックス状物質は加熱時に有効に機能するので、カプセル化したワックス状物質の粒子を過剰に混合する必要もなく、定着時には充分な離型性を発揮するとともに、フィルミング等の危険を回避することが容易となるという特徴を有している。
【0008】
本発明のトナーにおいて着色性粒子は、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等を用いて製造することができる。
結着樹脂としては、トナーの定着性を可能とする公知のトナー用結着物質の使用が可能である。例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は混合して使用できる。特に本発明においては、スチレン−アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0009】
また、結着樹脂としては、ガラス転移温度が50〜75℃、フロー軟化温度が100〜150℃のものを使用できる。低温定着性トナーとする場合には、結着樹脂のガラス転移温度が50〜65℃、フロー軟化温度が100〜120℃の樹脂とするとよく、また、結着樹脂の熱溶融時の凝集性の観点からは50%流出点における溶融粘度が1×103 〜1×107 Pa・sのものとすると良い。
【0010】
着色剤としては、以下に示すような、有機化合物もしくは無機化合物からなる各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などがある。黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどがある。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン3B、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。赤色系顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどがある。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどがある。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどがある。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などがある。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどがある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料などの各種染料としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどがある。これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができる。
これらの着色剤は、結着樹脂100重量部に対して1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部使用することが望ましい。20重量部より多いとトナーの定着性が低下し、一方、1重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない。
【0011】
また、透光性カラートナーとして用いる場合は、着色剤としては、以下に示すような、各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黄色顔料としては、C.I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザイエロー10G)、C.I.11660(ハンザイエロー5G)、C.I.11670(ハンザイエロー3G)、C.I.11680(ハンザイエローG)、C.I.11730(ハンザイエローGR)、C.I.11735(ハンザイエローA)、C.I.11740(ハンザイエローNR)、C.I.12710(ハンザイエローR)、C.I.12720(ピグメントイエローL)、C.I.21090(ベンジジンイエロー)、C.I.21095(ベンジジンイエローG)、C.I.21100(ベンジジンイエローGR)、C.I.20040(パーマネントイエローNCG)、C.I.21220(バルカンファストイエロー5)、C.I.21135(バルカンファストイエローR)などがある。赤色顔料としては、C.I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオレンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3GL)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.11725(ハンザイエロー3R)、C.I.21165(バルカンファストオレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラレッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネントレッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファストレッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などがある。また、青色顔料としては、C.I.74100(無金属フタロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などがある。
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100重量部に対して、5〜15重量部、好ましくは6〜12重量部使用することが望ましい。15重量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、5重量部より少ないと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
【0012】
次に、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の荷電を与え得るものであれば、特に限定されず有機あるいは無機の各種のものが用いられ得る。
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業(株)製)、第4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシン ボントロンN−01(オリエント化学工業(株)製)、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3:C.I.No. 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I.No.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(バイエル社製)、ザボンシュバルツX(ヘキスト社製)、さらにアルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料などが挙げられる。なかでも第4級アンモニウム塩P−51が好ましい。
【0013】
また、負荷電制御剤としては、例えば、オイルブラック(C.I.No. 26150)、オイルブラックBY(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシンSO(オリエント化学工業(株)製)、セレスシュバルツ(R)G(バイエル社製)、クロモーゲンシュバルツETOO(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン社製)などが挙げられる。なかでも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましい。
これらの荷電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部である。
また、着色樹脂粒子には磁性粒子、分散剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
【0014】
着色性粒子の製造は、結着樹脂と、着色剤、荷電制御剤等の添加剤を所定量ヘンシェルミキサー等に投入し、均一混合する。その際、結着樹脂と着色剤からなるマスターバッチを調製しておき、該マスターバッチと希釈用の結着樹脂、荷電制御剤等の添加剤を均一混合してもよい。マスターバッチの配合割合は、結着樹脂:着色剤=90:10〜50:50(重量部)であり、好ましくは80:20〜60:40(重量部)であり、着色性粒子作製にあたっての配合例としては、結着樹脂100重量部に対して、マスターバッチ着色剤20〜60重量部、好ましくは30〜50重量部、荷電制御剤5重量部以下、好ましくは3重量部以下であり、その他分散剤等の添加剤を適量内添してもよい。
【0015】
次いで、均一に混合した後、二軸混練押出機を使用して溶融混練し、結着樹脂中への各添加剤を分散固定化する。溶融混練手段としては、連続式混練機や加熱・加圧ニーダーのようなバッチ式混練機等を使用しても良い。
混練物を粗粉砕して粒度調整をした後、微粉砕を行う。粉砕には、ジェットエアーによる衝突粉砕方法、機械式粉砕機等が挙げられる。
次いで、微粉を除去し、粒径分布の幅を狭くすることを目的として、風力又はローター回転による粒度調整を風力分級装置等を使用して行なう。
【0016】
本発明のトナーにおいて用いられるカプセル化した離型剤としては、離型剤含有トナーにおいて用いられている離型剤を用いることができる。
具体的には、離型剤としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖を有する長鎖カルボン酸、そのエステル脂肪酸金属塩、脂肪酸アシド、脂肪酸ビスアシド等を例示し得る。異なる低軟化点化合物を混合して用いても良い。具体的には、パラフィンワックス(日本石油製)、パラフィンワックス(日本精蝋製)、マイクロワックス(日本石油製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋製)、PE−130(ヘキスト製)、三井ハイワックス110P(三井化学製)、三井ハイワックス220P(三井化学製)、三井ハイワックス660P(三井化学製)、三井ハイワックス210P(三井化学製)、三井ハイワックス320P(三井化学製)、三井ハイワックス410P(三井化学製)、三井ハイワックス420P(三井化学製)、変性ワックスJC−1141(三井化学製)、変性ワックスJC−2130(三井化学製)、変性ワックスJC−4020(三井化学製)、変性ワックスJC−1142(三井化学製)、変性ワックスJC−5020(三井化学製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。脂肪酸金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等がある。
【0017】
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、あるいは酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE130、Hoechst Wax PE190(ヘキスト社製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井化学製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PED521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同 Ceridust 3715(ヘキスト社製)、三井ハイワックス420M(三井化学製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechist Wachs PP230(ヘキスト社製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、ビスコールTS−200(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスなどが例示される。
これらの離型剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。
【0018】
本発明の機械的なカプセル化方法は、乾式の環境下で機械的に精密混合した後、熱処理し作製する方法であり、離型剤粒子の表面にカプセル用樹脂粒子を所定量、機械的衝撃力または乾式メカノケミカル法により均一固定化する。機械的衝撃力は高速気流中、ローターとステーターの剪断力及び粒子同士及び機壁との衝突によって与えられるものであり、例えばハイブリダイザー(奈良機械製作所製)やコスモスシステム(川崎重工業製)等を使用することができる。また、乾式メカノケミカル法は、粒子同士および粒子が装置壁部材により摩擦、圧縮、剪断力を受けることにより発生する熱を利用することにより、カプセル用樹脂粒子を離型剤粒子表面に固定するもので、例えばメカノフュージョン(ホソカワミクロン製)、メカノミル(岡田精工製)を用いることができる。そして、微粒子の被覆率がカプセル化を行うのに充分な量とした後に、付着したカプセル用樹脂粒子を相互に融着させて樹脂被膜化させることができ、熱風球形化装置、例えばサーフュージングシステム(日本ニューマチック工業製)によって調製することができる。
【0019】
特に、本発明においては、カプセル化離型剤粒子の円形度を0.9以上とすることが好ましい。
円形度は、粒子の相当円(粒子の投影面積と同じ面積を有する円)の周囲長を粒子投影像の周囲長で除算して得られる数値であり、円形度が1に近いほど、真円である。
カプセル化離型剤粒子の円形度の調整は、機械的なカプセル化方法の場合、離型剤粒子の表面にカプセル化用樹脂粒子を均一固定化する際の条件、または熱処理の条件の変更によって行うことができる。
本発明においては、円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス製 FPlA−2000)にて撮像した粒子像から求めたものである。
この方法による粒子像の測定は、試料懸濁液が測定部を通過する際に、CCDカメラで撮影する方法によって測定するものであり、個々の粒子について画像解析することによって求めた。また、円形度の大きさについては、平均値を用いた。
【0020】
カプセル用樹脂粒子調製時には単量体および重合開始剤の他に、その他所望の各種添加剤、例えば荷電制御剤、その他所望の各種添加剤を添加してもよい。
カプセル用樹脂粒子の調製に用いる単量体としてはビニル系モノマーを挙げることができ、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレンおよびその誘導体が挙げられ、その中でもスチレンが最も好ましい。
【0021】
他のビニル系モノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ素化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルアクリルアミドなどのような(メタ)アクリル酸誘導体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、ビニルナフタリン類を挙げることができる。なお、カプセル用樹脂粒子に用いられる合成樹脂としてはこれらのビニル系モノマーは単独で用いた単独重合体であっても、あるいは複数組合せた共重合体であってもよい。
【0022】
またビニル系モノマーとしては、含窒素極性官能基を有するモノマーあるいはフッ素を有するモノマー成分を、単独であるいは上記したモノマーとの組み合わせで使用することもできる。このような極性基を有する単量体からカプセル用樹脂粒子を構成すると、このカプセル用樹脂粒子自体が帯電制御の働きをするために、荷電制御剤は着色樹脂粒子中に含ませるより少ない量で所望の帯電性を付与することが可能となる。
含窒素極性官能基は正荷電制御に有効であり、含窒素極性官能基を有するモノマーとしては、一般式
CH2=CR1−COX−Q−NR23
(式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およびR3 は水素または炭素数1〜20のアルキル基、Xは酸素原子または窒素原子、Qはアルキレン基またはアリレン基である。)で表わされるアミノ(メタ)アクリル系モノマーがある。
【0023】
アミノ(メタ)アクリル系モノマーの代表例としては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−スタアリルアミノベンジル(メタ)アクリレートなどが例示される。さらに、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド等が例示される。
【0024】
フッ素原子は負荷電制御に有効であり、フッ素含有モノマーとしては、例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロアミルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく例示される。このほかトリフルオロクロルエチレン、フルオロビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロピレンなどの使用が可能である。なお、カプセル用樹脂粒子に用いる合成樹脂としてはこれらのビニル系モノマーを単独で用いた単独重合体であっても、あるいは複数組み合わせた共重合体であってもよい。
また、前記の樹脂粒子は、重合法によるものであるが、前記の機械的方法による作製も可能であるため、周知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0025】
カプセル用樹脂粒子は、着色性粒子における結着樹脂と同一の単量体に基づいいて製造されたもの等の化学構造が類似する構造を有する樹脂を使用するのが好ましい。このような合成樹脂を使用することによって、現像によって形成された画像の着色性粒子との親和性が良好となり、定着の際に着色粒子の結着樹脂と離剤粒子のシェルとの付着強度が大きくなるので好ましい。更に、透過性も良好なものとなる。
【0026】
また、ガラス転移温度(Tg)が50〜100℃、好ましくは50〜75℃であり、また、フロー軟化点が70〜200℃、好ましくは100〜150℃の範囲のものが好ましい。
機械的手法を用いるカプセル用樹脂粒子の大きさは、平均粒径が0.05μm〜1μm、好ましくは0.1〜0.8μm、より好ましくは0.15〜0.4μmのものを使用する。カプセル用樹脂粒子の平均粒径が0.05μmより小さいと耐熱性付与の観点から、カプセル用樹脂粒子層の厚みが薄いため、十分にその目的を達成することはできない。平均粒径が1μmより大きいときは、カプセル用樹脂粒子を離型剤粒子の表面に均一に付着させることが困難となり、表面被覆率が低下し、トナークリーニング性、耐久性等が十分に改良されず、耐熱性付与を目的とする場合、着色樹脂粒子の影響を受け易くなる。さらにカプセル用樹脂粒子が大きいと、離型剤粒子表面に強固に付着固定させることが困難となるので、カプセル用樹脂粒子は、離型剤粒子平均粒径の1/5以下のものとするとよい。
【0028】
また、本発明のトナーには、その流動性を向上させる為に、流動性向上剤を外添する等の外添処理を行っても良い。外添は、着色性粒子のみ、もしくはカプセル化離型剤粒子のみのいずれに対して行っても良い。
【0029】
流動性向上剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末を用いることができる。例えばフツ素系樹脂粉末、すなわちフツ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、アクリル樹脂系微粉末など;又は脂肪酸金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など;又は金属酸化物、すなわち酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛など;又は微粉末シリカ、すなわち湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、それらシリカにシランカツプリング剤、チタンカツプリング剤、シリコンオイルなどにより表面処理をほどこした処理シリカなどがあり、これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0030】
好ましい流動性向上剤としては、ハロゲン化ケイ素の気相酸化法により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。また、塩化アルミニウム又はチタン塩化物など他の金属ハロゲン化合物をハロゲン化ケイ素と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得る事も可能であり、それらを用いても良い。その粒径は平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内である事が望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0031】
本発明に用いられるハロゲン化ケイ素の気相酸化法により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。日本アエロジル社製のAEROSIL 130、以下、同 200、 300、 380、 TT600、MOX170、 MOX80、 COK84等が挙げられ、また、キャボット社製の Ca−O−SiL M-5 、以下、同 MS−7、MS−75、HS−5、EH−5等が挙げられ、また、ワッカーヘミー社製のWacker HDK N 20 V15、以下、同 N20E、 T30、 T40、ダウコーニング社のD−C Fine Silica、フランジル社のFransol等が挙げられる。
【0032】
さらには、ハロゲン化ケイ素の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化方法としてはシリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ハロゲンケイ素の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0033】
その様な有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチレンジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカピタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基をが有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
処理シリカ微粉体の粒径としては0.003〜0.1μm、0.005〜0.05の範囲のものを使用することが好ましい。市販品としては、タラノツクス−500(タルコ社)、AEROSIL R−972(日本アエロジル社)などがある。
流動性向上剤の添加量としては、該樹脂粒子100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。0.01重量部未満では流動性向上に効果はなく、5重量部を超えるとカブリや文字のにじみ、機内飛散を助長する。
【0034】
以上のような方法によって得られた着色性粒子とカプセル化した離型剤粒子とをヘンシェルミキサー等によって所定の割合で混合して、トナーとする。
離型剤粒子と着色性粒子の混合比は、重量比で1:8ないし1:10とすることができる。
本発明においては、カプセル化離型剤粒子は、円形度が0.9以上であることを特徴としている。
したがって、カプセル化離型剤粒子を着色粒子と混合してトナーとした場合には、カプセル化離型剤粒子は円形度が高いので、不定形のものに比して流動性が高くなるため、感光体ロールから被転写体へ転写、あるいは転写ロールへの転写の際には、感光体ロールに残留するカプセル化離型剤粒子の量は少なくなる。カプセル化離型剤粒子が選択的に残存することはなく、現像ロールへのフィルム形成による汚染もなくすことが可能となる。
【0035】
流動性が良好であるので、カプセル化離型剤粒子は初期のトナー中の混合割合を保持した状態で、感光体もしくは転写ロールから被転写体へ転写されて画像を形成することができるので、常に品質が一定した画像を形成することが可能となる。
また、着色性粒子を構成する結着樹脂とカプセル化離型剤粒子の外殻を構成する樹脂は溶融および帯電特性が類似した樹脂で構成されていることが好ましく、同一のモノマー成分によって構成された重合体を用いることが好ましい。
なお、本発明においては、粒径は、コールター社のマルチサイザーによって測定した値であり、体積基準の値である。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明を説明する。
実施例1
(着色性粒子の調製)
結着樹脂 スチレンアクリル酸ブチル共重合体 100重量部
ガラス転移温度(Tg)56℃、フロー温度(Tf)111℃
顔料マスターバッチ 40重量部
上記の結着樹脂70重量部と顔料(カーミン6B)30重量部で調製
負帯電性荷電制御剤 2重量部
サルチル酸金属錯体(オリエント化学工業製 E−81)
をヘンシェルミキサーを使用し、5分間、2800rpmで均一混合した後、二軸混練押出機で溶融混練した。混練物を圧延冷却後、フェザーミルで粗粉砕し、2mmメッシュパスとした。
次いでジェット粉砕機(ホソカワミクロン製 200APG)を使用し微粉砕した後、風力分級装置(ホソカワミクロン製 100ATP)を使用してD50:6.73μmの着色樹脂粒子を得た。
【0037】
(カプセル化離型剤粒子の調製)
カプセル用樹脂 スチレンアクリル酸ブチル共重合体 100重量部
ガラス転移温度(Tg)58℃ フロー軟化温度 116℃
上記樹脂を水性媒体中で加熱溶融し、界面活性剤を添加し、高速撹拌により微滴にし、スプレー乾燥することにより、中心粒径0.28μmのカプセル用樹脂粒子を得た。
一方、
離型剤 ポリオレフィンワックス(融点98℃) 100重量部
負帯電性荷電制御剤 2重量部
サルチル酸金属錯体(オリエント化学工業製 E−81)
をヘンシェルミキサーを使用して混合した後、二軸混練押出機で溶融混練した。混練物を圧延冷却後、フェザーミルで粗粉砕し、2mmメッシュパスとした。
次いで、冷却環境下でジェット粉砕機及び風力分級装置にて粉砕及び分級を行い、粒径6.63μmとした。
離型剤粒子100重量部とカプセル用樹脂粒子15重量部とを、ハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)を使用し、ローター回転速度90m/sで5分間精密混合し、離型剤粒子の表面にカプセル用樹脂粒子を均一固定化した。
次いで、熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製 SFS−3型)を使用し、270℃の入口熱風温度、熱風との接触時間0.05秒間、熱風流速13.2m/s、単位面積当たりの原料投入量1.0kg/hrの条件で熱処理し、中心粒径Dc50 :6.82μm、平均円形度0.94のカプセル化離型剤粒子を得た。
得られた着色性粒子とカプセル化離型剤粒子を9:1(重量比)で混合し、シリカ微粒子(キャボット社製TG810G)を1重量部添加し、ヘンシェルミキサーを使用し、2分間、1400rpmで均一混合して外添処理し、本発明のトナー1を得た。得られたトナーについて、以下に示す評価方法によって評価を行い、その結果を表1に示す。
【0038】
(評価方法)
1.定着試験
一成分現像方式を採用した市販のレーザープリンタ(日本アイビーエム製 IBM4019)を用いて、電子複写機用紙(富士ゼロックス社製 4024)を基材として未定着の画像試料を採取し、背面加熱方式で定着ローラーがPFAチューブを採用した定着機(コニカ製 レーザープリンタ:KL2010用)にて、ニップ通過時間60msecにて定着試験を行った。なお、オフセット確認用の余白が通紙方向下流側に存在するようトナーの付着量が0.35〜0.50mg/cm2であるベタ画像を形成した。
【0039】
・非オフセット領域
定着ローラーの表面温度を変化させながら、未定着の画像試料を通過させ、定着後の画像試料を目視で観察し、オフセットの有無を評価した。なお、温度設定は200℃から開始し、10℃ずつ低下させた。
トナー1では、高温オフセットでは200℃まで発生せず、低温オフセットが110℃で発生したため、非オフセット領域は120〜200℃であった。
【0040】
・消しゴム強度
非オフセット領域において定着した画像を消しゴムで擦り、画像濃度の残存率を測定した。
まず消しゴムで擦る部分のベタ画像域の光学濃度を測定し、砂消しゴムでその画像域の光学濃度を測定し、
消しゴム強度=(擦った後の光学濃度/擦る前の光学濃度)×100(%)
で求めた。評価基準として、75%を良好とした。
表1には、定着ロールが150℃の温度のデータを記載した。
【0041】
・折れ剥がれ強度
非オフセット領域において定着した画像を4つ折りにし、木綿布で擦り、画像濃度の残存率を測定した。
まず、ベタ画像の画像域の画像中央の十字折り曲げの交点となる位置の光学濃度を測定した。
画像域の画像を内側に谷折に2回折り畳み、熱を加えない状態で定着機に通紙した。
通紙後に開いた画像域を木綿布を巻きつけた質量500gの分銅で、十字方向に対して斜め方向に3往復擦った。
次いで、画像域の十字交点の光学濃度を測定し、
折れ剥がれ強度=(擦った後の十字交点の光学濃度/擦る前の光学濃度)×100% で求めた。
評価基準として、60%を良好とした。
表1には、定着ロールが150℃の温度のデータを記載した。
【0042】
参考例1
(着色性粒子の調製)
実施例1における着色樹脂粒子を用いた。
(カプセル化離型剤の調製)
離型剤 ポリオレフィンワックス(融点98℃) 100重量部
負帯電性荷電制御剤 1重量部
サルチル酸金属錯体(オリエント化学工業製 E−81)
を水性媒体中で、加熱しながら離型剤を溶融状態で攪拌機を用いて微分散させ、界面活性剤と水溶性重合開始剤を溶解した後、難水溶性ビニルモノマーを加え、加熱、攪拌した。
重合が完了した後、濾過し水洗し、80℃において減圧乾燥し、解砕して中心粒径Dc50:6.61μm、平均粒径0.95のカプセル化離型剤粒子を得た。
得られた着色性粒子とカプセル化離型剤粒子を実施例1と同様にして混合するとともに、外添処理し、本発明のトナー2を得た。得られたトナー2について、実施例1と同様に評価を行い、その結果を表1に示す。
【0043】
比較例1
実施例1の着色粒子を用いるとともに、カプセル化離型剤粒子は、熱処理工程において、熱風との接触時間を0.01秒に変更した点を除き実施例1と同様にし、中心粒径6.87μm、平均円形度0.88のカプセル化離型剤粒子を得た。
【0044】
【表1】
実施例1 参考例1 比較例1
円形度 0.94 0.95 0.88
定着性
非オフセット域(℃) 120−200 120−200 130−180
消しゴム強度(%) 96.1 95.9 95.9
折れ剥れ強度(%) 82.9 83.7 86.2
ヘーズ値 28.0 27.8 25.8
【0045】
【発明の効果】
本発明の電子写真用乾式トナーは、現像ローラーや感光体等のプロセス部材がトナー組成物のフィルミングにより汚染することがなく、また、定着時には耐オフセット性に優れると共に透明性に優れ、特にカラートナーとして適したものであり、特にフィルミングにより汚染がなく、高品質画像を長時間にわたって出力することができる。

Claims (2)

  1. カプセル化離型剤粒子を含有したトナーにおいて、着色剤と結着樹脂を含有した着色性粒子と、離型剤粒子の表面に合成樹脂を固定した後に、熱風球形化処理によってカプセル化と円形度0.9以上に円形化をしたカプセル化離型剤粒子を含有したことを特徴とするトナー。
  2. トナー用カプセル化離型剤粒子の製造方法において、離型剤粒子の表面に合成樹脂を固定した後に、熱風球形化処理で、固定した合成樹脂によって離型剤粒子のカプセル化と円形度0.9以上に円形化を行うことを特徴とするトナー用カプセル化離型剤粒子の製造方法。
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