JP2005128235A - 電子写真用トナーおよび該トナーを用いる画像形成装置 - Google Patents

電子写真用トナーおよび該トナーを用いる画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 クリーニングブレードを有する画像形成装置において、バンディングおよび感光体並びに中間転写ベルトのクリーニング不良が発生せず、感光体上および中間転写ベルト上にフィルミングを発生させないトナーを提供すること。
【解決手段】 平均円形度が0.94以上であり、かつ、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を0.2〜1.2個数%の量で含有するトナーを提供する。このトナーは、結着樹脂および着色剤を含む、平均円形度が0.94以上のトナー母粒子に、少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む添加剤を外添する工程を含む方法で得られる。最も好ましくは、少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤が最後の段階で外添されて得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電潜像を現像し、熱定着により画像を形成するために用いられるトナーに関する。特に、感光体および中間転写体に残留するトナー除去手段としてクリーニングブレードを使用する画像形成装置に適したトナー、このトナーの製造方法、およびこのトナーを用いる画像形成装置に関する。
電子写真プロセスにおいては、潜像担持体(感光体)に静電潜像を形成させ、この静電潜像をトナーにより現像して、紙などの媒体に定着させる方式が採用されている。また、カラー電子写真プロセスにおいては、感光体の他に、中間転写ドラム、中間転写ベルトなどの中間転写体を用い、この中間転写体上に静電画像を転写する方式が採用されている。このような電子写真プロセスを連続的にかつ反復して使用可能とするためには、転写後の感光体および中間転写体上に残留するトナー、外添剤、キャリアなどを除去する必要がある。このため、一般に画像形成装置はクリーニングデバイスを備え、感光体および中間転写体上の残留物の除去、回収を行い、感光体および中間転写体の残留電位を消去する。この残留物を除去・回収するために、ブラシクリーニング、ブレードクリーニング、ウエブクリーニングなどの力学的除去方法が一般的に用いられている。これらの方法の中でも、どのような電子写真システムにも対応できる;クリーニングデバイスへの取付が簡単である;トナーの除去能力が高い;長期使用が可能である;小型化に対応できる;安全である;価格が安いなどの観点から、ブレードクリーニングが一般的に用いられている。
ブレードクリーニングは、クリーニングブレードを用いて行われる。このクリーニングブレードは一般に弾性ゴムで形成されており、この弾性ゴムブレードを感光体あるいは中間転写体の表面に押し当て、残留物を機械的な力で除去する。この残留物の除去のメカニズムを図1に基づいて、感光体の場合を例に説明する。中間転写体の場合も同じである。図1では、弾性ゴムブレード1が感光体2と当接しており、矢印の方向に感光体が移動する:(1)ブレード1の先端は感光体2と強く当接しており、感光体2上の残留物(トナー粒子3およびトナー外添剤4)を堰き止めながら、感光体2との摩擦力により、感光体2の移動方向に追随して弾性変形する;(2)弾性変形したブレード1の反発力が働き、ブレード1は感光体2の移動方向とは反対方向に復元し、復元時の反発力により堰き止めた残留物(トナー粒子3およびトナー外添剤4)を排除する;(3)この運動は、短い距離で不規則にすばやく繰り返される(スティックスリップ運動)。このスティックスリップ運動は、中間転写体である中間転写ベルトあるいは中間転写ドラムでも同様に発生する。
この感光体2の表面速度は、当接部における弾性ゴムブレード1と感光体2表面との摩擦力の影響を受ける。摩擦力が大きい場合、表面速度が不均一となり、感光体2自体の不規則な振動も加わって、一般にバンディングといわれる画像乱れが生じる。この画像の乱れが生じる、想定されるメカニズムを図1に基づいて説明する。感光体2が矢印の方向に移動すると、感光体2上に残留したトナー粒子3および遊離のトナー外添剤4は、弾性ゴムブレード1に堰き止められて、スタティック領域5を形成する。弾性ゴムブレード1と感光体2との摩擦抵抗が大きいと、スティックスリップ運動の幅が大きくなり、感光体2に不規則な振動を与えるなどの現象が生じる。その結果、クリーナーブレード1と感光体2との間に隙間が生じ、トナー粒子3およびトナー外添剤4がその隙間を通り抜ける。この通り抜けたトナー粒子3およびトナー外添剤4が画像乱れを引き起こすと考えられる。
そのため、弾性ゴムブレード1と感光体2または中間転写体との間の摩擦抵抗を低減する方法が検討されている。例えば特許文献1においては、トナーにクリーニング助剤として金属石鹸などの滑剤を混合して使用する試みがなされている。しかし、クリーニング助剤の適正な添加量が決定できず、添加量が少ない場合は摩擦抵抗の低減効果が得られず、バンディングが生じる。一方、過剰に添加すると、滑剤、特に金属石鹸が感光体あるいは中間転写ベルトの表面でフィルミングを起こすという問題がある。
また、例えば特許文献2は、トナーにクリーニング助剤として金属石鹸などの滑剤を混合して使用すると同時に、潜像担持体(感光体)にもクリーニング助剤を供給する方法を開示している。特許文献3〜6では、クリーニングデバイス側にクリーニング助剤付与部を設けて、クリーニング助剤を供給し、摩擦力を低減する試みがなされている。しかし、これらの試みにも拘わらず、クリーニング助剤の添加量が少ない場合は摩擦抵抗の低減効果が得られず、また、過剰に添加すると、金属石鹸が感光体あるいは中間転写体の表面でフィルミングを起こすという問題があり、高画質の画像を得ることができない。
特開平11−323396号公報 特開昭57−111576号公報 特開平11−167224号公報 特開平3−269478号公報 特開昭60−225870号公報 特開平8−272228号公報 特開2002−202622号公報
そこで、クリーニングブレードを用いる画像形成装置において、有効にバンディングを抑制し、高画質の画像を安定的に供給する方法が求められている。
本発明は、平均円形度が0.94以上であり、かつ、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を0.2〜1.2個数%の量で含有するトナーを提供する。
好ましい実施態様においては、結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤が添加されてなるトナーである。
さらに好ましい実施態様においては、前記外添剤が負帯電性シリカ微粒子、酸化チタンおよび正帯電性シリカ微粒子からなる群から選択される少なくとも一つである。
別の好ましい実施態様においては、前記外添剤が多段処理で添加され、少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤が最後の段階で外添されて得られる。
本発明は、また、平均円形度が0.94以上であり、かつ、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を0.2〜1.2個数%の量で含有するトナーの製造方法であって、結着樹脂および着色剤を含む、平均円形度が0.94以上のトナー母粒子に、少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む添加剤を外添する工程を含む、トナーの製造方法を提供する。
好ましい実施態様においては、前記外添剤が負帯電性シリカ微粒子、酸化チタンおよび正帯電性シリカ微粒子からなる群から選択される少なくとも一つである。
好ましい実施態様においては、前記外添剤が多段処理で添加される工程を含み、かつ少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤が最後の段階で外添される工程を含む。
本発明は、さらに、前記いずれかに記載のトナーを備えた画像形成装置を提供する。
好ましい実施態様においては、画像形成装置は、静電潜像が形成される潜像担持体;該潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを該潜像担持体に搬送するトナー担持体;該トナー担持体により該潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器;潜像担持体と当接する中間転写体;および、潜像担持体または中間転写体と当接するクリーニングブレードを備えた少なくとも一つのクリーニングデバイス;を備えている。
本発明のトナーは、平均円形度が高く、適切な量の遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含んでいる。トナーの平均円形度が高いことから、トナーが感光体に物理的に付着しにくく、またスタティック領域における感光体とトナー粒子との摩擦抵抗が低減される。さらに、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子がスタティック領域に蓄積し、クリーニングブレードと感光体または中間転写体との当接部で滑剤として機能する。そのため、クリーニングブレードと感光体または中間転写体との間の摩擦抵抗を有効に低減できる。その結果、スティックスリップ運動が円滑に行われ、感光体および中間転写体の不要な振動を低減ないし抑制できるので、バンディングによる画像の乱れを解消し得る。さらに、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子が過剰量供給されないため、感光体または中間転写体のフィルミング現象も抑制できる。
また、本発明のトナーは、負帯電性シリカ微粒子、正帯電性シリカ微粒子、酸化チタン微粒子などの外添剤と長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を同時に、あるいはこれらの外添剤を多段処理で添加し、最後に長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤を外添するので、長鎖脂肪酸またはその塩がこれらの外添剤の結着剤として作用し、トナーと外添剤とを強固に結着させる。このため、繰返し使用において外添剤の遊離が抑制され、トナーの帯電性が均一に、かつ安定に維持されるとともに、感光体上の残留物が減少する。さらに、本発明のトナー粒子の表面には、長鎖脂肪酸またはその塩が付着しているので、感光体表面への滑剤の供給源にもなり得、感光体および中間転写体とクリーニングブレードとの間の摩擦抵抗の低下にも貢献し得る。
本明細書において、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子、負帯電性シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、正帯電性シリカ微粒子などのトナー母粒子に外部から添加する材料を外部添加剤あるいは外添剤といい、トナー母粒子の外部(表面)にこれらの外部添加剤(外添剤)を添加することを外添という。従って、「外添剤の添加」あるいは「外添」は、シェアをかけて外添剤とトナー母粒子とを強く結合させる点で、単なる混合とは異なる。
まず、本発明に用いられる材料である、(i)トナー母粒子並びにトナー母粒子を構成する材料(結着樹脂および着色剤、並びに離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などのいわゆる内添剤)、(ii)長鎖脂肪酸またはその塩、(iii)負帯電性シリカ微粒子、(iv)酸化チタン微粒子、(v)正帯電性シリカ微粒子、および必要に応じて添加される(vi)無機微粒子について説明し、ついで、本発明のトナーについて説明する。
(I)本発明に用いられる材料
(i)トナー母粒子並びにトナー母粒子を構成する材料
トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含み、必要に応じて、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を含有する。トナー母粒子は、正または負に帯電されており、好適には負に帯電されている。トナー母粒子を適切な範囲の負の帯電量を有するように帯電させるためには、いくつかの方法がある。例えば、正帯電性の結着樹脂に負帯電制御剤を配合する、負帯電性樹脂の帯電性が不充分である場合にはさらに負帯電制御剤を配合する、あるいは結着樹脂自体を負帯電性樹脂とするなどの方法がある。
本発明のトナーは、トナー粒子の平均円形度が0.94以上であることが必要であるため、トナー母粒子も平均円形度が0.94以上であることが必要である。このトナー母粒子に外添剤である長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子、負帯電性シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、正帯電性シリカ微粒子、および無機微粒子などが外添されても、得られるトナー粒子の円形度にほとんど影響しない。感光体または中間転写体とクリーニングブレードとの間の摩擦力の低下を考慮すると、トナー母粒子の平均円形度は0.96以上が好ましく、0.97以上がより好ましい。
トナー母粒子およびトナーの平均円形度を求める方法を、図2に基づいて説明すると、まず、例えば、個々の粒子の写真を撮影し、粒子の画像を作成して粒子投影面積を求める。次に、以下に示す式(1)を用いて、粒子投影面積から円相当径を求める;この円相当径から相当円の周囲長を求め、他方、粒子投影像の周囲長(図2の直線の合計)を求める;そして、以下に示す式(2)に従って個々の粒子の円形度を求め、その平均値を計算する。
Figure 2005128235
以下、トナー母粒子を構成する材料について、まず説明する。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、トナーとして一般的に用いられる樹脂が用いられる。このような結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、アクリレート系樹脂あるいはメタアクリレート系樹脂(以下、(メタ)アクリレート系樹脂という)、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、およびこれらの樹脂の構成成分を含む共重合体などが用いられる。
中でも、ポリスチレン系樹脂およびスチレン−(メタ)アクリレート系樹脂共重合体が好ましく用いられる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、水素添加スチレン樹脂、スチレン−イソブチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS樹脂)、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン架橋ポリマー、スチレン−ブタジエン−塩素化パラフィン共重合体、スチレン−アリルアルコール共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
スチレン−(メタ)アクリレート系樹脂共重合体としては、例えば、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)、スチレン−ジエチルアミノ−エチルメタアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート共重合体、スチレン−n−ブチルメタアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−メチルメタアクリレート−ブチルアリレート−N−(エトキシメチル)アクリルアミド共重合体、スチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン−ジメチルアミノエチルメタアクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸エステル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、スチレン−n−ブチルアリレート−エチルグリコールメタアクリレート共重合体、スチレン−n−ブチルメタアクリレート−アクリル酸共重合体、スチレン−n−ブチルメタアクリレート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブチルアクリレート−イソブチルマレイン酸ハーフエステル−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体などが挙げられる。
本発明に用いられる結着樹脂の質量平均分子量は特に制限はないが、通常2,000〜30,000であることが好ましく、4,000〜25,000がより好ましく、6,000〜20,000であることがさらに好ましい。分子量が2,000よりも小さいと混練時の粘度が低くなり、着色剤の分散が十分に行うことができなくなるおそれがある。そのため、得られたトナーの彩度あるいは透明性が低下することがある。分子量が30,000より大きいと粘度が高くなり過ぎて、着色剤の分散を十分に行うことができず、トナーの彩度あるいは透明性が低下することがある。なお、結着樹脂は、上記範囲内にある分子量を有する樹脂が複数混合されていてもよい。
結着樹脂の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
画像形成におけるトナーの定着を熱定着法により行う場合、結着樹脂のフロー軟化点(Tm)は低いことが好ましい。Tmは、例えば、85〜140℃であることが好ましく、90〜120℃がより好ましく、100〜110℃であることがさらに好ましい。結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜90℃であることが好ましく、50〜80℃であることがさらに好ましい。なお、フロー軟化点(Tm)は、結着樹脂1.0gをペレット状に加圧成形してサンプルとし、(株)島津製作所製「フローテスターCFT−500D」を用いて、下記条件にて測定する。昇温速度 5℃/分;シリンダー圧力2.0MPa;ダイ穴径1.0mm;ダイ穴長1.0mm;Tm算出法1/2法。さらに、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、結着樹脂10mgをアルミニウム製セルにパッキングし、セイコーインスツルメント(株)製「DSC120」を用いて下記の条件で測定する。測定温度0〜200℃;昇温速度10℃/分:2度目の昇温時のDSC曲線より読み取る。
圧力定着法によりトナーの定着が行われる場合、結着樹脂としてはワックス状の樹脂が好ましく用いられる。ワックス状の樹脂としては、上記結着樹脂のうち、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ワックスなどが例示される。
また、上記結着樹脂は単独で用いてもよく、2種類以上をブレンドして用いてもよい。上記結着樹脂は例示であり、これらに限定されないことはいうまでもない。
上記結着樹脂は、乳化重合、分散重合、懸濁重合などの重合法、混錬・粉砕・分級工程を含む粉砕法などの方法によって、製造される。
(着色剤)
着色剤としては、以下に示すような、有機顔料、無機顔料、および染料が使用できる。有機および無機顔料のうち、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などが用いられる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスエロー、ナフトールエローS、ハンザエロー、ベンジジンエローG、ベンジジンエローGR、キノリンエローレーキ、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキなどが用いられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKMなどが用いられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピロゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが用いられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが用いられる。青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどが用いられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどが用いられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などが用いられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどが用いられる。
また、染料としては、塩基性染料、酸性染料、分散染料、直接染料などが用いられる。このような染料としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルーなどが例示される。
本発明が、透光性カラートナーである場合、着色剤としては、以下に示す種々の顔料、染料が用いられる。
黄色顔料としては、C.I.10316(ナフトールイエローS)、C.I.11710(ハンザエロー10G)、C.I.11660(ハンザエロー5G)、C.I.11670(ハンザエロー3G)、C.I.11680(ハンザエローG)、C.I.11730(ハンザエローGR)、C.I.11735(ハンザエローA)、C.I.11740(ハンザエローNR)、C.I.12710(ハンザエローR)、C.I.12720(ピグメントイエローL)、C.I.21090(ベンジジンエロー)、C.I.21095(ベンジジンエローG)、C.I.21100(ベンジジンエローGR)、C.I.20040(パーマネントエローNCG)、C.I.21220(バルカンファストエロー5)、C.I.21135(バルカンファストエローR)などが用いられる。
赤色顔料としては、C.I.12055(スターリンI)、C.I.12075(パーマネントオレンジ)、C.I.12175(リソールファストオレンジ3GL)、C.I.12305(パーマネントオレンジGTR)、C.I.11725(ハンザエロー3R)、C.I.21165(バルカンファストオレンジGG)、C.I.21110(ベンジジンオレンジG)、C.I.12120(パーマネントレッド4R)、C.I.1270(パラレッド)、C.I.12085(ファイヤーレッド)、C.I.12315(ブリリアントファストスカーレット)、C.I.12310(パーマネントレッドF2R)、C.I.12335(パーマネントレッドF4R)、C.I.12440(パーマネントレッドFRL)、C.I.12460(パーマネントレッドFRLL)、C.I.12420(パーマネントレッドF4RH)、C.I.12450(ライトファストレッドトーナーB)、C.I.12490(パーマネントカーミンFB)、C.I.15850(ブリリアントカーミン6B)などが用いられる。
青色顔料としては、C.I.74100(無金属フタロシアニンブルー)、C.I.74160(フタロシアニンブルー)、C.I.74180(ファーストスカイブルー)などが用いられる。
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、結着樹脂100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部使用することが望ましい。20質量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、1質量部より少ないと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
(離型剤)
離型剤としては、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖脂肪酸またはそのエステル、長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)、脂肪酸アミド、脂肪酸ビスアミド等が使用される。上記離型剤のうち、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックスおよび金属石鹸が好ましく用いられる。
パラフィン系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(日本石油(株)製あるいは日本精蝋(株)製)、マイクロワックス(日本石油(株)製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋(株)製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋(株)製)、PE−130(ヘキスト製)、三井ハイワックス110P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス220P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス660P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス410P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス420P(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−1141(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−1142(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−5020(三井石油化学(株)製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE130、Hoechst Wax PE190(ヘキスト製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井石油化学工業(株)製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業(株)製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PED521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同 Ceridust 3715 (ヘキスト製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業(株)製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業(株)製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechist Wachs PP230(ヘキスト製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業(株)製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、およびビスコールTS−200(三洋化成工業(株)製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスが例示される。
長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等が好ましく用いられる。
これらの離型剤は、単独であるいは組合せて使用することができる。離型剤としては、低軟化点(融点)の化合物が好ましく、軟化点が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものが、好ましく使用される。なお、軟化点は、セイコーインスツルメント(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値で表される。
(分散剤)
分散剤としては、金属石鹸、ポリエチレングリコール等が用いられる。
(帯電制御剤)
帯電制御剤は、トナー母粒子の帯電性を制御するために、必要に応じて、用いられる。結着樹脂自体の負帯電性の度合いが低い場合、あるいは結着樹脂自体が正に帯電している場合には、負帯電制御剤を用いて、トナー母粒子全体が所望のレベルの負帯電性を有するようにする。
負帯電制御剤としては、サリチル酸誘導体の金属塩あるいは金属錯体、ベンジル酸誘導体の金属塩、フェニルボレイト4級アンモニウム塩などが挙げられる。サリチル酸誘導体あるいはベンジル酸誘導体の金属塩としては、これらの亜鉛塩、ニッケル塩、銅塩、クロム塩などが好ましく用いられる。
市販の負帯電制御剤としては、例えば、オイルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックBY(オリエント化学工業(株)製)、ボントロンS−22(オリエント化学工業(株)製)、サリチル酸金属錯体E−81(オリエント化学工業(株)製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土谷化学工業(株)製)、ボントロンS−34(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシンSO(オリエント化学工業(株)製)、セレスシュバルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ製)、クロモーゲンシュバルツETOO(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましく用いられる。これらの負帯電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。
負帯電制御剤は、好ましくは、トナー母粒子の帯電量が−5〜−60μC/gとなるように結着樹脂に配合される。従って、用いる結着樹脂により、結着樹脂に対する添加量が決定されるが、一般的には、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲で配合される。
正帯電性制御剤は、トナー母粒子の負帯電量の調整のため、必要に応じて、負帯電性樹脂に内添される。正帯電制御剤としては、市販の正帯電制御剤が用いられる。例えば、ニグロシンベースEX(オリエント化学工業(株)製)、第4級アンモニウム塩P−51(オリエント化学工業(株)製)、ニグロシン ボントロンN−01(オリエント化学工業(株)製)、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3:Color Index 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I. NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ製)、ザボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト製)が挙げられる。中でも第4級アンモニウム塩P−51が好ましく用いられる。上記の他に、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料なども正帯電制御剤として用いられる。これらの正帯電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。
(磁性剤)
磁性剤としては、例えば、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn等の金属粉、Fe、Fe、Cr、フェライト等の金属酸化物、マンガンと酸を含む合金等の熱処理によって強磁性を示す合金等が挙げられる。これらは、予めカップリング剤等で処理したものを用いてもよい。
(ii)長鎖脂肪酸またはその塩
本発明に用いられる長鎖脂肪酸またはその塩に特に制限はない。長鎖脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜30、より好ましくは炭素数12〜28、さらに好ましくは炭素数12〜18の長鎖脂肪酸が用いられる。長鎖脂肪酸としては、長鎖飽和脂肪酸あるいは長鎖不飽和脂肪酸が挙げられる。好ましくは長鎖飽和脂肪酸が用いられる。長鎖脂肪酸は分岐を有していてもよいが、直鎖飽和脂肪酸、例えばステアリン酸が好ましく用いられる。
前記長鎖脂肪酸は、塩の形態で用いることが好ましく、金属塩(いわゆる金属石鹸)の形態であることがさらに好ましい。長鎖脂肪酸の金属塩(金属石鹸)としては特に制限はないが、例えば、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩等が挙げられる。金属石鹸としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられ、これらの粒子が好ましく用いられる。長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子は、単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
長鎖脂肪酸またはその塩、特に金属石鹸は、体積平均粒子径もしくは長軸の径が0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。平均粒子径または長軸の径がこの範囲を外れると、結着剤、滑剤、流動補助剤としての効果、あるいはトナー凝集防止効果が十分に発揮できない傾向にある。
上記長鎖脂肪酸またはその塩、特に金属石鹸は、耐熱性および潤滑性の観点から、融点が100〜150℃程度のものが好ましい。融点が100℃より低いとトナーの耐熱性が低下し、高温環境で保管した場合にトナーが凝集するおそれがある。150℃より高いと潤滑作用が低減するおそれがある。
金属石鹸としては、直接法で製造された金属石鹸と複分解法で製造された金属石鹸とが知られているが、不純分の少ない直接法で得られたものを粉砕して、上記平均粒子径になるように、粒度を調整して用いることが好ましい。
長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.1〜0.5質量部添加される。添加量が0.1質量%より少ないと、上記結着剤としての効果、凝集防止効果、流動補助剤、滑剤などの効果を十分に発揮することができないおそれがある。また、添加量が1.0質量%より多いと流動性に劣り、帯電立ち上がり性が著しく悪化し、カブリなどのノイズが発生するおそれがある。
(iii)負帯電性シリカ微粒子
本発明に用いられる負帯電性シリカ微粒子には、特に制限がない。負帯電性シリカ微粒子として、一般に、平均粒子径が4〜120nm、好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは平均粒子径が6〜40nmの負帯電性シリカ微粒子が用いられる。負帯電性シリカ微粒子の平均粒子径が小さい程、得られるトナーの流動性が高くなる。4nmより小さいとトナー母粒子に埋没してしまう虞がある。120nmを超えると、流動性が極端に悪くなる虞がある。なお、本明細書において、負帯電性シリカ、トナー母粒子、トナー粒子などの微粒子について平均粒子径というときは、特に断らない限り、体積平均粒子径を意味する。
本発明においては、粒子径が均一な負帯電性シリカ微粒子を単独で用いてもよいし、平均粒子径が異なる2以上の負帯電性シリカ微粒子を併用してもよい。一般には、平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子(小粒子径のシリカ)が単独で用いられている。しかし、小粒子径のシリカと平均粒子径の大きい負帯電性シリカ微粒子(大粒子径のシリカ)とを併用することにより、小粒子径のシリカのみを用いる場合に比べて、帯電量の絶対値を大きくすることができるとともに、大粒子径のシリカが抵抗となり、小粒子径のシリカがトナー母粒子内に埋没されることを防止できるため、長期の帯電の安定に優れるようになる。さらに、トナーの流動性を向上させ、熱に対するブロッキング効果を発揮して、トナーの保存性を高めることが可能となる。
負帯電性シリカ微粒子を単独で用いる場合、一般には、平均粒子径の小さい負帯電性シリカ微粒子が好ましく用いられる。負帯電性シリカ微粒子の平均粒子径が5〜20nmであることが好ましく、6〜15nmであることがより好ましい。
平均粒子径が異なる2以上の負帯電性シリカ微粒子を併用する場合には、平均粒子径が5〜20nm、好ましくは6〜15nmの小粒径のシリカと平均粒子径が20〜50nm、好ましくは20〜40nmの大粒径のシリカとを用いることが好ましい。また、大粒子径のシリカと小粒子径のシリカとの平均粒子径の差は、10nm以上あることが好ましく、20nm以上あることがさらに好ましい。
大粒子径のシリカと小粒子径のシリカとの添加比は質量比で1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1、さらに好ましくは1:1.5〜1.5:1であることが好ましい。この範囲内にあると、トナーに流動性が付与され、かつ帯電の長期安定性を得ることができる。
大粒子径シリカと小粒子径シリカとを用いる場合に、後述の製造時において、これらを同時に混合して添加してもよく、いずれかを先に添加し、次いで、他方を添加してもよい。
負帯電性シリカ微粒子の添加量は、トナー母粒子の粒子径分布あるいは流動性などにより、または外添剤の粒子径分布、所望の帯電量などにより、変動し得る。例えば、上記小粒子径のシリカであれば、トナー母粒子100質量部に対して0.5〜2.0質量部、好ましくは0.7〜1.5質量部添加される。大粒子径シリカの場合、0.2〜2.0質量部、好ましくは、0.3〜1.5質量部添加される。大粒子径シリカと小粒子径シリカとを併用する場合、上記混合比率を考慮しつつ、トナー母粒子100質量部に対して合計量で0.5〜3.0質量部、好ましくは0.7〜2.5質量部添加される。
負帯電性シリカ微粒子は疎水化処理されていることが好ましい。負帯電性シリカ微粒子の表面を疎水性にすることにより、トナーの流動性および帯電性がさらに向上する。シリカ微粒子の疎水化は、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシランなどのシラン化合物;あるいはジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、フッ素変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイルを用いて、例えば、湿式法、乾式法など当業者が通常使用する方法により行われる。
疎水性負帯電性シリカ微粒子としては、市販の日本アエロジル(株)製のRX200、同RX50、キャボット(株)製のTG811F、同TG810G、同TG308Fなどが用いられる。
(iv)酸化チタン微粒子
本発明において、酸化チタン(チタニア)微粒子は、トナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。この酸化チタン微粒子は正帯電性シリカ微粒子と同様、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
本発明で用いられる酸化チタン微粒子には、特に制限はない。比較的電気抵抗率の小さい酸化チタンの微粒子が好ましく用いられる。酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型、ルチル−アナターゼ型などの結晶形を取り得る。いずれの結晶系の酸化チタンを用いてもよいが、ルチル−アナターゼ型の酸化チタンが、電荷の調整をしやすい点、印字枚数が増えても、酸化チタン粒子がトナー母粒子内に埋没し難いなどの点で好ましく用いられる。
酸化チタン微粒子の大きさに特に制限はないが、粒径あるいは長軸の大きさが10〜30nmの大きさであることが好ましい。ルチル−アナターゼ型の酸化チタンの場合、長軸が10〜30nm程度の酸化チタン微粒子であることが好ましい。
酸化チタン微粒子は、トナー母粒子100質量部に対して0.2〜2.0質量部、好ましくは0.3〜1.5質量部添加される。なお、酸化チタン微粒子と正帯電性シリカ微粒子とは、質量比で1:3〜3:1の範囲で添加されることが、トナーの電気抵抗の極端な低下を引き起こすことなく電荷の調整が行える点で、好ましい。
酸化チタンの微粒子の表面が疎水性であることが、トナーの外部環境の変化に対する帯電性の変化を小さくし(すなわち、安定な帯電性を維持し)、かつトナーの流動性を良好にするために、好ましい。酸化チタン微粒子の疎水化は、上記負帯電性シリカ微粒子の疎水化と同じ方法で行われる。
疎水性酸化チタン微粒子としては、チタン工業(株)製のSTT−30Sなどが用いられる。
(v)正帯電性シリカ微粒子
本発明において、正帯電性シリカ微粒子は、トナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。この正帯電性シリカ微粒子は、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
本発明で用いられる正帯電性シリカ微粒子には、特に制限がない。正帯電性シリカ微粒子の体積平均粒子径は、流動性などを考慮して、10〜50nmであることが好ましく、15〜40nmであることがさらに好ましい。
正帯電性シリカ微粒子は、疎水化処理されていることが好ましい。正帯電性シリカ微粒子の表面を疎水性にすることにより、トナーの外部環境の変化に対する帯電性の変化を小さくし(すなわち、安定な帯電性を維持し)、かつトナーの流動性を良好にするために、好ましい。正帯電性シリカ微粒子の疎水化は、上記負帯電性シリカ微粒子の疎水化と同じ方法により行われる。
疎水性正帯電性シリカ微粒子としては、市販の日本アエロジル(株)製のNA50H、キャボット(株)製のTG820Fなどが用いられる。
正帯電性シリカ微粒子は、必要に応じて、トナー母粒子100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.2〜0.8質量部添加される。
(vi)無機微粒子
酸化チタン微粒子以外の無機微粒子も、帯電性の制御、流動性の向上を目的として外添され得る。この酸化チタン微粒子以外の無機微粒子も、負帯電性シリカ微粒子の添加後で、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加前に添加することが、負帯電性シリカ微粒子を強固にトナー母粒子に結合させ、かつ長鎖脂肪酸またはその塩の結着剤としての効果、並びに滑剤としての効果を発揮させる上で、好ましい。
例えば、無機微粒子としては、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化マグネシウム、酸化インジウム等の金属酸化物の微粒子;窒化珪素等窒化物の微粒子;炭化珪素等の炭化物の微粒子;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩の微粒子;並びにこれらの複合物等の無機微粒子が挙げられる。電気抵抗率が10Ωcm以下の、比較的電気抵抗率の小さい金属酸化物の微粒子が好ましく用いられる。
添加する無機微粒子の大きさに特に制限はないが、粒径が10〜30nmの大きさであることが好ましい。これらの無機微粒子は、帯電特性の安定化を目的として、その表面を疎水化処理することが好ましい。疎水化処理は、上記負帯電性シリカ微粒子、正帯電性シリカ微粒子の疎水化方法のいずれかと同じ方法が採用される。
(II)本発明のトナーおよびその製造方法
本発明のトナーは、平均円形度が0.94以上であり、かつ、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を0.2〜1.2個数%の量で含有する。本発明のトナーは、例えば、まず、平均円形度が0.94以上のトナー母粒子を調製し、次に、このトナー母粒子に、少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤を添加することにより製造される。この「少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤」とは、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子のみを含む場合、および、多段処理の場合は、既に使用した外添剤以外の外添剤と長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子とを同時に含む場合の両方を含む。
(II-1)トナー母粒子の製造
トナー母粒子は、結着樹脂に、着色剤並びに必要に応じて、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を添加して、製造される。本発明のトナーは、トナー粒子の平均円形度が0.94以上であることが必要であるため、トナー母粒子も平均円形度が0.94以上であることが必要である。トナー母粒子の製造法には、粉砕・分級法、重合法などがあるが、円形度が高いトナー母粒子を得るためには、重合法を用いることが好ましい。重合法には、乳化重合、分散重合、懸濁重合などが挙げられる。分散重合は、懸濁重合と乳化重合の中間的な方法である。
本発明に用いるトナー母粒子を重合法で製造する方法は、例えば、以下の通りである。まず、重合性単量体に着色剤、並びに必要に応じて、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を添加して、重合性混合液を調製する。重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、および離型剤等の添加剤の混合割合は、トナーの色、帯電性などを考慮して、適宜決定される。得られた重合性混合液を、難溶性の溶媒(主として水)に懸濁させ、あるいは乳化剤(例えば、界面活性剤等)を加えて乳化させ、懸濁あるいは乳化した重合性混合物の小さな液滴内で、重合性単量体の重合反応を行う。反応終了後、重合体を回収する。
このようにして得られるトナー母粒子の断面構造は、離型剤、着色剤などの内添剤が外殻樹脂層(すなわち、結着樹脂)で内包されたコア−シェル構造を有する場合がある。
あるいは、まず、重合性単量体を分散剤とともに分散あるいは乳化して微小な重合体粒子(シード)を合成する。このシード(種)に、重合性単量体、および着色剤(顔料など)、離型剤、分散剤、帯電制御剤、磁性剤などの内添剤を添加してさらに重合を行うシード重合法によってトナー母粒子を製造することができる。このようにして得られるトナー母粒子の断面構造は、2層ないし外殻樹脂層(結着樹脂)−内添剤層−シード(結着樹脂)層の3層構造となり得る。
重合法によるトナー母粒子の調製には、上記結着樹脂を構成する単量体が用いられる。好ましくは、スチレン系単量体、アクリレート系単量体あるいはメタアクリレート系単量体(以下、(メタ)アクリレート系単量体という)、その他の単量体が用いられる。スチレン系単量体としては、スチレン、(o、m、またはp)−メチルスチレン、(mまたはp)−エチルスチレン;などが挙げられる。(メタ)アクリレート系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。また、その他の単量体としては、ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドなどが挙げられるなどが挙げられるが、これらに限定されない。
これらの単量体は、得られる重合体が上記結着樹脂の項で説明した質量平均分子量、フロー軟化点(Tm)、あるいはガラス転移温度(Tg)などの好ましい範囲に入るように単独、または組合せて用いられ得る。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、過酸化物、アゾ化合物またはジアゾ化合物などのラジカル開始剤が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドなどが挙げられる。アゾ化合物またはジアゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
トナー母粒子を懸濁重合法で製造する場合、分散安定剤を用いることが好ましい。分散安定剤としては、無機分散安定剤または有機分散安定剤が用いられる。無機分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等が挙げられる。
微細な分散安定剤を分散するために、界面活性剤を併用してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが挙げられる。
トナー母粒子の粒度分布あるいは粒径の制御は、例えば、以下の方法で行われる:上記分散安定剤あるいは乳化剤の種類と添加量;;水溶液中の固形分濃度等;攪拌または分散装置(例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機など)の攪拌速度または超音波の出力並びに攪拌時間;攪拌容器の形状;など。
重合反応は、重合開始剤を用い、適切な温度(例えば、40℃以上、好ましくは50〜90℃)で、懸濁あるいは乳化状態を維持しつつ、行われる。重合反応終了後、沈澱・濾過などの方法で重合体を回収した後、洗浄、乾燥することにより、トナー母粒子が得られる。得られたトナー母粒子の平均円形度を測定し、0.94以上のものを本発明に用いる。
なお、重合反応に用いる重合開始剤、分散安定剤、乳化剤(界面活性剤など)、その他の添加剤(架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤など)は、合成樹脂の重合分野における当業者が適宜選択し、決定すればよい。また、重合温度、重合時間、重合反応後の回収方法などは、合成樹脂の重合分野における当業者が通常用いる方法が採用される。
また、混練・粉砕・分級工程を含む粉砕法により、トナー母粒子を作成する場合には、まず、結着樹脂、着色剤、および離型剤等の添加剤を所定量、混合機に投入し、均一に混合する。この混合物を、均一に溶融混練し、例えば、ジェットエアーによる衝突粉砕、機械粉砕等により粉砕する。次に、例えば、風力又はローター回転を用いて、得られたトナー母粒子の粒度が調整される。粒度が調整された後、トナー母粒子を例えば、機械的に平滑化し、球形化する。
なお、トナー母粒子の帯電量は、−5〜−60μC/gであることが好ましい。帯電量がこの範囲より小さいと、現像器からのトナー漏れが激しくなり、また−60μC/gより大きいと、十分な画像濃度を得るためには過剰な現像バイアスを付与することが必要となるなどの問題が生じる。
トナー母粒子の帯電量は、例えば、以下のように測定される。気温25℃、45%RHの環境下、20mlのポリエチレン容器中で、トナー母粒子0.03gとフェライトキャリア0.97gとを混合し、100rpmで15分攪拌してトナー母粒子を帯電させる。その後、この混合物を0.3g採取して、0.3kg/cmの圧力の窒素ガスをトナー母粒子とキャリアとの混合物に吹き付けることにより、トナー母粒子とフェライトキャリアとを分離する。ついで、トナー1個毎の帯電量(Q/m)を測定して、トナー母粒子の帯電量を測定する。帯電量の測定には、例えば、ホソカワミクロン(株)製のE−SPARTアナライザーが用いられる。
(II-2)トナーの調製
上記のように、本発明のトナーは、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子と外添剤とを同時に添加する、あるいは、外添剤を多段処理により添加し、最後の段階で少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤を添加することによって得られる。トナー母粒子への上記外添剤(例えば、負帯電性シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、正帯電性シリカ微粒子、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子など)の添加は、ヘンシェルミキサー、パーペンマイヤー等の高速流動混合機、メカノケミカル法を用いる混合機等の、当業者が通常用いる機械器具あるいは方法を用いて行われる。多段処理のそれぞれの工程における温度、攪拌速度、時間等は、独立に設定し得る。
なお、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加において、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を適正な範囲(すなわち、0.2〜1.2個数%)で存在させるためには、添加時のシェアが問題となる。添加時のシェアが低いと、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の量が多くなりすぎ、シェアが高すぎると遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の量が少なくなりすぎる。このため、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加時の適正なシェアを、予め測定しておくことが必要である。例えば、ヘンシェルミキサーを用いる場合、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子の添加量、回転翼の回転速度、混合器壁と回転翼の間隔(ギャップ)などを予め検討し、上記適切な範囲となるように設定することが必要である。
長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子と外添剤とを同時に添加する場合、所定量の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子と、負帯電性シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、および正帯電性シリカ微粒子からなる群から選択される少なくとも一つの外添剤の所定量を加えて、例えば、上記ヘンシェルミキサーなどを用いて、添加すればよい。
以下、本発明のトナーを得るための多段処理について、種々の組み合わせを例示しつつ説明する。なお、多段処理に際して、トナー母粒子が正〜弱い負帯電性である場合、最初に負帯電性シリカ微粒子を添加する(II-2-1)、最初に負帯電性シリカ微粒子と酸化チタン微粒子を添加する(II-2-2)、あるいは最初に酸化チタン微粒子を添加する(II-2-3)ことなどが行われる。トナー母粒子が強い負帯電性である場合には、最初に正帯電性シリカ微粒子を添加する(II-2-4)、最初に正帯電性シリカ微粒子および他の外添剤を添加する(II-2-5)が行われる。以下、これらの場合について説明する。
(II-2-1)最初に負帯電性シリカ微粒子を添加して得られるトナー
負帯電性シリカ微粒子を単独で添加すると、トナー母粒子と負帯電性シリカ微粒子との間の静電的引力が正帯電性シリカ微粒子などに妨害されることがなく、さらに、負帯電性シリカ微粒子の仕事関数とトナー母粒子の仕事関数との差異が大きいため、負帯電性シリカ微粒子を強くトナー母粒子に付着させることができる。これによって、負帯電性シリカ微粒子の脱離が防止され、帯電性の変化が小さくなり、帯電性が長期的に安定化するという効果が得られる。
負帯電性シリカ微粒子として、小粒子径のシリカと大粒子径のシリカを併用することが好ましい。平均粒子径が異なる負帯電性シリカ微粒子を用いることにより、小粒子径の負帯電性シリカ微粒子のみを用いる場合に比べて、帯電量の絶対値を大きくすることができるとともに、大粒子径の負帯電性シリカ微粒子が抵抗となり、小粒子径のシリカがトナー母粒子内に埋没されることが防止でき、長期の帯電の安定に優れるようになる。さらに、トナーの流動性を向上させ、熱に対するブロッキング効果を発揮して、トナーの保存性を高めることが可能となる。
小粒子径のシリカと大粒子径のシリカを併用する場合、これらのシリカを同時に添加してもよく、最初に小粒子径のシリカを添加し、ついで、大粒子径のシリカを添加してもよい。
負帯電性シリカ微粒子を最初に添加した後、最後に長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加することにより、本発明のトナーが得られる。この場合、最初に、小粒子径のシリカと大粒子径のシリカを同時にトナー母粒子に添加し、最後に長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加する2段処理、あるいは、最初に、小粒子径のシリカを外添し、次に大粒子径のシリカ外添し、最後に長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加する3段処理が挙げられる。
最初に負帯電性シリカ微粒子をトナー母粒子に添加した後、酸化チタン微粒子と正帯電性シリカ微粒子とを添加してもよい。酸化チタン微粒子と正帯電性シリカ微粒子とを同時に加えてもよいが、酸化チタン微粒子を先に添加し、ついで、正帯電性シリカ微粒子を添加する方がより好ましい。正帯電性シリカ微粒子は、正帯電しており、かつ電気抵抗値も高い。そこで、酸化チタン微粒子を添加しておき、次に正帯電性シリカ微粒子を添加することにより、正帯電性シリカ微粒子が電荷調整剤として機能し、トナーの電気抵抗率の低下が抑制され、電荷が均一化される。さらに、トナー中に正帯電性シリカ粒子が適切な割合で遊離して存在することとなり、トナーの流動性が良好となるとともに、遊離している正帯電性シリカ微粒子がキャリアの働きをして、帯電性がより均一となる。
最初に負帯電性シリカ微粒子を添加して、最後に長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加する多段処理としては、例えば、以下の(a)〜(h)が例示される:(a)負帯電性シリカ微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(b)負帯電性シリカ微粒子−酸化チタン微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(c)負帯電性シリカ微粒子−正帯電性シリカ微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(d)負帯電性シリカ微粒子−酸化チタン微粒子−正帯電性シリカ微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(e) 負帯電性シリカ微粒子−(正帯電性シリカ微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子);(f) 負帯電性シリカ微粒子−酸化チタン微粒子−(正帯電性シリカ微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子);(g) 負帯電性シリカ微粒子−(酸化チタン微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子);(h) 負帯電性シリカ微粒子−(酸化チタン微粒子+正帯電性シリカ微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子);など。
なお、工程の順序において、負帯電性シリカ微粒子の添加には、特に断らない限り、小粒子径のシリカを単独で添加する場合、小粒子径のシリカと大粒子径のシリカとを同時に添加する場合、および小粒子径のシリカ−大粒子径のシリカの順で2段階の処理を行う場合を含む。例えば、(a) 負帯電性シリカ微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子には、(a1) 小粒子径のシリカ−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(a2)小粒子径のシリカ−大粒子径のシリカ−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;および(a3)(小粒子径のシリカ+大粒子径のシリカ)−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;が含まれる。また、(h) 負帯電性シリカ微粒子−(酸化チタン微粒子+正帯電性シリカ微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子)には、(h1) (小粒子径のシリカ+大粒子径のシリカ)−(酸化チタン微粒子+正帯電性シリカ微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子);などが含まれる。
このように、最初に負帯電性シリカ微粒子を添加して本発明のトナーを得る多段処理としては、用いる外添剤の組み合わせによって、2段処理、3段処理、4段処理、そして上記(a2)の方法を採用する場合には、5段処理が挙げられる。中でも、最後に正帯電性シリカ微粒子および長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加して多段処理することが、正帯電性シリカ微粒子と酸化チタン微粒子による表面電荷の調整を、電気抵抗を極端に低下させることなく行うことが最も効率よくできる点で好ましい。
(II-2-2)最初に負帯電性シリカ微粒子および酸化チタン微粒子を添加して得られるトナー
負帯電性シリカ微粒子と酸化チタン微粒子とを同時に、最初にトナー母粒子に添加する場合、負帯電性シリカ微粒子の仕事関数、酸化チタン微粒子の仕事関数、およびトナー母粒子の仕事関数との関係から、負帯電性シリカ微粒子が比較的強くトナー母粒子に付着するため、シリカ微粒子の遊離が抑制される。これに加えて、上記最後に長鎖脂肪酸またはその塩を添加する多段処理を行うことによる効果が発揮される。
このような多段処理としては、(i)(負帯電性シリカ微粒子+酸化チタン微粒子)−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(j)(負帯電性シリカ微粒子+酸化チタン微粒子)−正帯電性シリカ微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩;(k)(負帯電性シリカ微粒子+酸化チタン微粒子)−(正帯電性シリカ微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩);などが例示される。なお、負帯電性シリカ微粒子と酸化チタン微粒子とを同時に添加する場合、(i)(負帯電性シリカ微粒子+酸化チタン微粒子)−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子には、(i1)(小粒子径のシリカ+酸化チタン微粒子)−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(i2)(小粒子径のシリカ+大粒子径のシリカ+酸化チタン微粒子)−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(i3)小粒子径のシリカ+(大粒子径のシリカ+酸化チタン微粒子)−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;などの処理が含まれる。
(II-2-3) 最初に酸化チタン微粒子を添加して得られるトナー
最初に酸化チタン微粒子を添加する場合、次に、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加してもよい。酸化チタン微粒子の次に負帯電性シリカ微粒子を添加し、最後に長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を添加してもよい。必要に応じて、正帯電性シリカ微粒子を、長鎖脂肪酸またはその塩より前に、あるいは長鎖脂肪酸またはその塩と同時に添加することにより、帯電量の急激な低下を防止しながら、帯電量を調整できる。この効果に加えて、上記長鎖脂肪酸またはその塩による効果が発揮される。
このような多段処理としては、(l)酸化チタン微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(m)酸化チタン微粒子−負帯電性シリカ微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(n)酸化チタン微粒子−負帯電性シリカ微粒子−正帯電性シリカ微粒子−長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子;(o) 酸化チタン微粒子−負帯電性シリカ微粒子−(正帯電性シリカ微粒子+長鎖飽和脂肪酸またはその塩でなる粒子);などが例示される。特に、(n)および(o)の処理工程は、トナー母粒子が強く負に帯電している場合にも有効な工程である。
(II-2-4)最初に正帯電性シリカ微粒子を添加して得られるトナー
トナー母粒子が強い負帯電性である場合には、最初に正帯電シリカ微粒子を添加する;最初に正帯電性シリカ微粒子と他の外添剤とを添加する;などの処理が挙げられる。なかでも、最初に正帯電シリカ微粒子を単独で加えるのが最も好ましい。この工程によれば、負帯電性トナー母粒子と正帯電性シリカ微粒子との間の静電的引力が妨げられることがなく、かつ、正帯電性シリカ微粒子の仕事関数とトナー母粒子の仕事関数との差異が大きいため、正帯電性シリカ微粒子が強くトナー母粒子に付着される。従って、正帯電性シリカ微粒子の脱離が防止され、帯電性の変化が小さくなり、帯電性が長期的に安定化するという効果が得られる。
正帯電性シリカ微粒子の添加後に、酸化チタン微粒子を単独で、あるいは長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子と共に添加する。予め、電気抵抗値の高い正帯電性のシリカ微粒子を外添しておくことにより、低電気抵抗性の酸化チタン微粒子が外添されたときの表面電荷が大きく低下することがなく(すなわち、正帯電性シリカ微粒子が電荷調整剤として機能し)、トナーの電気抵抗率の低下が抑制され、電荷が均一化される。これらの効果に加えて、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を最後に添加する効果が発揮される。
このような多段処理としては、(p)正帯電性シリカ微粒子−長鎖脂肪酸またはその塩;(q) 正帯電性シリカ微粒子−(酸化チタン微粒子+長鎖脂肪酸またはその塩);などが例示される。
この多段処理には、外添剤として負帯電性シリカ微粒子は含まれていない。負帯電性シリカ微粒子が外添剤として含まれないトナーは、良好な帯電特性、流動性を有している。また、このトナーを定着する際の温度を低くできる(定着器の温度を低く設定できる)とともに、定着後の画像の定着強度も良好となるという利点を有している。なお、多段処理の例である(p)において、酸化チタン微粒子が添加されていないが、帯電量が適切な範囲であれば、特に加えなくてもよいことによる。
(II-2-5)最初に正帯電性シリカ微粒子と他の外添剤とを添加して得られるトナー
他の外添剤が負帯電性シリカ微粒子である場合、トナー母粒子が負に帯電していることを考慮して、最初に正帯電性シリカ微粒子と同時に負帯電性シリカ微粒子を添加することが、帯電制御の点から好ましい。正帯電性シリカ微粒子と負帯電性シリカを最初に添加する多段処理の例としては、(r)(正帯電性シリカ微粒子+負帯電性シリカ微粒子)−酸化チタン微粒子−長鎖脂肪酸またはその塩);(s) (正帯電性シリカ微粒子+負帯電性シリカ微粒子+酸化チタン微粒子)−長鎖脂肪酸またはその塩;(t) (正帯電性シリカ微粒子+負帯電性シリカ微粒子)−長鎖脂肪酸またはその塩;などが例示される。
上記(a)〜(t)の多段処理の順序は、いずれも例示であって、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、電荷調整、流動性改善等を目的として上記(vi)の無機微粒子を添加してもよい。無機微粒子の添加は、長鎖脂肪酸またはその塩の添加前か同時であれば、どの段階で加えてもよい。
以上のように、本発明のトナーは、0.94以上という平均円形度を有し、そして、多段処理において、各外添剤の仕事関数およびトナー母粒子の仕事関数などによって、外添剤がトナー母粒子に強く付着される。そして、最後の段階で添加された長鎖脂肪酸またはその塩の結着作用により、外添剤の遊離制御効果などの効果がさらに強化されるとともに、適正な量の長鎖脂肪酸またはその塩が遊離する。そのため、クリーニングブレードと感光体または中間転写体との間の摩擦抵抗を有効に低減できる。その結果、スティックスリップ運動が円滑に行われ、感光体および中間転写体の不要な振動を低減ないし抑制できるので、バンディングによる画像の乱れを解消し得る。さらに、長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子が過剰に供給されないため、感光体または中間転写体のフィルミング現象も抑制できる。
さらに、長鎖脂肪酸またはその塩の結着作用により、トナーの帯電均一性、帯電の長期安定性などの効果が強化され、繰り返し使用においても、帯電安定性が維持される。その上、トナーの凝集防止効果、流動補助剤、滑剤などが発揮され、トナーと感光体との接触により、感光体表面へ長鎖脂肪酸またはその塩が移行し、感光体表面を潤滑にし、感光体がトナー表面の外添剤により研磨されることを防止するとともに、クリーニングブレードと感光体の当接部の摩擦抵抗を低下させる効果がさらに発揮されると考えられる。
本発明のトナーは、どのようなタイプの画像形成装置にも用いられる。1成分系のトナーを用いる画像形成装置でもよく、2成分系のトナーを用いる画像形成装置でもよい。また、接触現像方式の画像形成装置であってもよく、非接触式方式の画像形成装置であってもよい。本発明のトナーを用いることができる一成分系の接触式画像形成装置は、例えば、特許文献7に説明されている。本発明の画像形成装置は、感光体で代表される静電潜像が形成される潜像担持体;この潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを潜像担持体に搬送する、現像ロールで代表されるトナー担持体;このトナー担持体により潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器;および、潜像担持体または中間転写体と当接するクリーニングブレードを備えた少なくとも一つのクリーニングデバイス;を少なくとも備えている。本発明のトナーはトナー収容部に収容されており、トナー収容部から現像ロール(トナー担持体)に搬送され、現像ロール(トナー担持体)を介して感光体(潜像担持体)に供給され、転写されて画像を形成する。トナー規制部材は、現像ロール(トナー担持体)から感光体(潜像担持体)に過剰な供給がされないように、トナー供給量を調整する。そして、この転写後に潜像担持体または中間転写体上に残留する残留物を、この潜像担持体または中間転写体と当接するクリーニングブレードを用いて除去する。
以下、本発明を、実施例をもとに説明する。まず、本発明のトナーの製造に用いるトナー母粒子およびトナーの平均円形度の測定方法および得られたトナーの評価方法について説明する。評価項目および評価方法は、以下の通りである。
(A)トナー母粒子およびトナーの平均円形度
トナー母粒子およびトナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス(株)製)を用いて測定した。この装置には、フラットシースフローセルと、このセルを挟んで対向する位置にCCDカメラとストロボとが配置されている。水などの分散させた粒子を吸引してフラットシースフローセルを通過させ、通過する粒子をストロボをフラッシュさせて撮影した。得られた画像をコンピューターで処理して、個々の粒子の面積(粒子投影面積)および粒子投影像の周囲長を計測して、そしてコンピュター処理により粒子の円相当径を計算し、個々の粒子の円形度を求めた。本実施例においては、3600枚の画像を処理して、平均円形度を求めた。
(B)長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)粒子の遊離率
長鎖脂肪酸金属塩として、金属石鹸(ステアリン酸マグネシウム)を用いた。金属石鹸粒子の遊離率は、PT1000パーティクルアナライザー(横河電気(株)製)を用いて測定した。この金属石鹸粒子の遊離率を測定する方法の原理は、特許文献7に記載されている。簡単に述べると、この原理は、トナー粒子をプラズマ中に導入して、トナー粒子を励起・発光させ、その強さと時間を測定することにより、遊離率を求めるものである。例えば、金属石鹸粒子の遊離率は、金属石鹸粒子が外添されたトナー粒子をプラズマ中に導入し、トナー粒子中の金属石鹸粒子の発光強度を測定する。その発光強度から、金属石鹸が外添されたトナー粒子を真球粒子と仮定して真球粒子の粒径(等価粒径)を求める。遊離した金属石鹸粒子も、トナー粒子の場合と同様に、その発光強度から金属石鹸粒子の等価粒径が求められる。ただし、遊離した金属石鹸粒子の発光強度は小さいので、等価粒径は小さくなる。従って、等価粒径を比較することにより、トナー粒子と遊離している金属石鹸粒子とが区別される。従って、金属石鹸粒子の全検出個数を求め、等価粒径の小さい個体を遊離金属石鹸粒子数とすると、以下の式(X)により求められる。
Figure 2005128235
また、トナー粒子に付着した金属石鹸粒子は、トナー粒子と同期して同時に発光するが、トナー粒子に付着していない金属石鹸粒子は、トナー粒子とは同時に発光せず、時間がずれて発光する(非同期)ことを利用して、金属石鹸粒子がトナー粒子に付着しているか、遊離しているかを区別する。この測定値をもとに、遊離率は以下の式(Y)により求められる。
Figure 2005128235
本実施例においては、式(Y)で示される方法を採用した。
(C)耐久試験
トナーを、コピー機(セイコーエプソン(株)製LP−9300機)に投入し、5%消費印字パターンで10000(10K)枚のまで印字を行い、クリーニング不良の発生とバンディングの発生状況および感光体並びに中間転写体である中間転写ベルト上のフィルミングの発生状況を確認した。バンディングの有無は、5%消費の100枚印字ごとに30%のベタ画像印刷を行い、感光体径周期の画像ムラが発生したか否かを検討することによって、測定した。フィルミングの有無は、感光体並びに中間転写ベルトを50倍の光学顕微鏡で観察することによって、行った。
(トナー母粒子の調製−1)
スチレンモノマー80質量部、アクリル酸ブチルモノマー20質量部、アクリル酸モノマー5質量部からなるモノマー混合物を準備した。この混合物を、水105質量部、ノニオン系乳化剤(ニューコール506:日本乳化剤(株)製)1質量部、アニオン系乳化剤(リボタックTE:ライオン(株)製)1.5質量部、および過硫酸カリウム0.55質量部からなる水溶液に加え、分散・乳化して、乳化重合を行い、乳白色の粒径0.25μmの樹脂エマルジョンを得た。得られた樹脂エマルジョンを200質量部、ポリエチレンワックスエマルジョン(三洋化成工業(株)製)を20重量部およびフタロシアニンブルー7質量部を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)を0.2質量部含有する水中に分散した。次に、ジエチルアミンを添加してpHを5.5に調整した後、攪拌しながら電解質である硫酸アルミニウムを0.3質量部加えた。ついで、TKホモミキサーで高速攪拌し、分散を行った。さらに、スチレンモノマー40質量部、アクリル酸ブチル10質量部、およびサリチル酸亜鉛5質量部を水40質量部とともに追加し、窒素気流下で攪拌しながら、90℃に加熱し、過酸化水素水を加えて5時間重合させ、粒子を成長させた。重合停止後、会合粒子の結合強度を向上させるためにpHを5以上に調整しながら、95℃に昇温し、95℃で5時間保持した。得られた粒子を水洗し、45℃で真空乾燥を10時間行った。この方法で、体積平均粒径が7.0μmのトナー母粒子を調製した。得られたトナー母粒子の平均円形度は、0.97であった。
(トナー母粒子の調製−2)
スチレン−アクリル系の結着樹脂100質量部に、赤色顔料C.I.12055を3.5質量部、およびサリチル酸クロム錯体1.0質量部を、それぞれヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し、均一に混合した。この混合物を二軸混練押出機(池貝化成(株)製PCM−30)を用いて溶融混練し、冷却後、ジェット粉砕機200AFG(ホソカワミクロン(株))を用いて、ジェットエアーにより、粉砕した。次に、風力分級装置100ATP(ホソカワミクロン(株))を使用して、体積平均粒径7.0μmのトナー母粒子を得た。このトナー母粒子の平均円形度は0.92であった。
(外添剤)
本実施例でトナー母粒子に外添する外添剤を、表1に示す。
Figure 2005128235
(外添処理)
本発明の実施例においては、外添処理は、トナー母粒子100質量部に対して、外添剤を所定量添加し、ヘンシェルミキサーFM20B(三井鉱山(株)製)を用いて、Z0S0型の攪拌羽根を用い、攪拌・混合処理を行った。
(実施例1)
上記トナー母粒子の調製−1で調製した平均円形度0.97のトナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200(外添剤a1)を1質量部、疎水性負帯電性シリカRX50(外添剤a2)を1質量部、疎水性酸化チタンSTT30Sを1質量部(外添剤b)、疎水性正帯電性シリカNA50H(外添剤c)を0.5質量部およびステアリン酸マグネシウム(外添剤d)を0.2質量部投入し、3000rpm、2分の処理を行い、トナーAを得た。トナーAの製造条件を表2に示す。
(実施例2)
上記トナー母粒子の調製−1で調製した平均円形度0.97のトナー母粒子100質量部をヘンシェルミキサーFM20Bに投入し、これに疎水性負帯電性シリカRX200(外添剤a1)を1質量部、および疎水性負帯電性シリカRX50(外添剤a2)を1質量部投入し、3000rpm、2分の処理を行った(第1段目の処理)。この処理物に疎水性酸化チタンSTT30S(外添剤b)を1質量部混合投入し、3000rpm、2分の処理を行った(第2段目の処理)。この処理物に、疎水性正帯電性シリカNA50H(外添剤c)を0.5質量部投入し、3000rpm、2分の処理を行った(第3段目の処理)。そして、最後にステアリン酸マグネシウムを0.2質量部投入し、3000rpm、2分の処理(第4段目の処理)を行い、トナーBを得た。トナーBの製造条件を表2に示す。
(比較例1)
第4段目の処理を5000rpm、2分とした以外は実施例2と同様にして、比較例1のトナーaを得た。トナーaの製造条件を表2に示す。
(比較例2)
第4段目の処理において添加するステアリン酸マグネシウムを1.0質量部(実施例2の5倍)した以外は実施例2と同様にして、比較例2のトナーbを得た。トナーbの製造条件を表2に示す。
(比較例3)
平均円形度が0.92のトナー母粒子を用いた以外は実施例2と同様にして、比較例1のトナーcを得た。トナーcの製造条件を表2に示す。
Figure 2005128235
上記実施例および比較例のトナーについて評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2005128235
表3の結果は、平均円形度が0.94以上で、ステアリン酸マグネシウムの遊離率が所定の範囲(0.2〜1.2個数%)にあるトナーは、10,000枚(10K枚)印刷してもクリーニング不良、バンディング、感光体上のフィルミングおよび中間転写ベルト上のフィルミングはいずれも発生せず、極めて良好な結果を示した。
これに対して、ステアリン酸マグネシウムの遊離率が所定の範囲より低い0.12個数%である比較例1のトナーaは、10K枚印刷した場合でも、感光体上のフィルミングおよび中間転写ベルト上のフィルミングは発生しなかったが、4000枚でクリーニング不良が発生し、バンディングは100枚で発生した。また、ステアリン酸マグネシウムの遊離率が所定の範囲より高い1.46個数%である比較例2のトナーbは、比較例1とは対照的に、10K枚印刷した場合でも、クリーニング不良、バンディングは発生しなかったが、感光体上のフィルミングが1000枚で、中間転写ベルト上のフィルミングが2000枚で、それぞれ、発生した。さらに、平均円形度が0.94より低い比較例3のトナーcは、10K枚印刷した場合でも、クリーニング不良、バンディングは発生しなかったが、感光体上のフィルミングが8000枚で、中間転写ベルト上のフィルミングが7000枚で、それぞれ、発生した。
これらの結果は、所定範囲の平均円形度と遊離の長鎖脂肪酸またはその金属塩でなる粒子を所定の範囲で含んでなる本発明のトナーは、クリ−ニングブレードを有する画像形成装置において、バンディングが発生せず、また、感光体および中間転写ベルトのクリーニング不良が発生しないことを示している。その上、感光体上および中間転写ベルト上にフィルミングを発生させないという、優れた効果を発揮することを示している。
なお、実施例2で得られたトナー粒子中の遊離シリカ量および遊離酸化チタン量を、上記金属石鹸粒子の測定と同じ方法で、式(Y)を用いて測定したところ、それぞれ、0.65%および0.52%であった。これに対して、実施例2の製法において最後に金属石鹸粒子を添加しない方法で得られたトナーは、遊離シリカ量および遊離酸化チタン量はそれぞれ、0.78個数%および0.79個数%であった。このことから、多段処理の最後に金属石鹸粒子を添加することにより、シリカおよび酸化チタン微粒子が強くトナーに結合することがわかる。そして、3000枚印字後におけるシリカおよび酸化チタン微粒子の遊離量も最後に金属石鹸粒子を添加しない場合は、大きく増加し、帯電の均一性が損なわれた。
平均円形度が0.94以上であり、かつ、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を0.2〜1.2個数%の量で含有する本発明のトナーは、クリーニングブレードを有する画像形成装置において、バンディングが発生せず、感光体および中間転写ベルトのクリーニング不良も発生しない、および感光体上および中間転写ベルト上にフィルミングが発生しないという優れた効果を有する。その上、外添剤が安定にトナー上に強固に結合されるため、帯電の安定性および均一性も得られる。従って、本発明のトナーは、電子写真用のトナーとして、広く用いられる。
弾性ゴムブレードを用いて感光体上の残留物を除去する場合の模式図である。 トナーの平均円形度を求める方法を説明する模式図である。
符号の説明
1 弾性ゴムブレード
2 感光体
3 トナー粒子
4 外添剤
5 スタティック領域

Claims (9)

  1. 平均円形度が0.94以上であり、かつ、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を0.2〜1.2個数%の量で含有する、トナー。
  2. 結着樹脂および着色剤を含むトナー母粒子に少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤が添加されてなるトナーである、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記外添剤が負帯電性シリカ微粒子、酸化チタンおよび正帯電性シリカ微粒子からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項2に記載のトナー。
  4. 前記外添剤が多段処理で添加され、少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤が最後の段階で外添されて得られる、請求項2または3に記載のトナー。
  5. 平均円形度が0.94以上であり、かつ、遊離の長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を0.2〜1.2個数%の量で含有するトナーの製造方法であって、
    結着樹脂および着色剤を含む、平均円形度が0.94以上のトナー母粒子に、少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む添加剤を外添する工程を含む、方法。
  6. 前記外添剤が負帯電性シリカ微粒子、酸化チタンおよび正帯電性シリカ微粒子からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記外添剤が多段処理で添加される工程を含み、かつ少なくとも長鎖脂肪酸またはその塩でなる粒子を含む外添剤が最後の段階で外添される工程を含む、請求項5または6に記載の方法。
  8. 請求項1から4のいずれかの項に記載のトナーを備えた画像形成装置。
  9. 静電潜像が形成される潜像担持体;該潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを該潜像担持体に搬送するトナー担持体;該トナー担持体により該潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器;潜像担持体と当接する中間転写体;および、潜像担持体または中間転写体と当接するクリーニングブレードを備えた少なくとも一つのクリーニングデバイス;を備える、請求項8に記載の画像形成装置。
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