JP3774559B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基(以下、「反応性ケイ素基」という。)を有する重合体を含有する2液あるいは3液以上の硬化性組成物、および、硬化剤成分の貯蔵安定性改善方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を含有する重合体は、室温においても湿分等により反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという興味深い性質を有することが知られている。この特性を活かして、反応性ケイ素基を有する重合体は、建築用シーリング材や複層ガラス用シーリング材、工業用シーリング材などのベースポリマーとして広く用いられている。シーリング材は壁材等の建築材料の隙間(目地)等に充填施工して、硬化させ隙間をふさいで水密、気密を保つために用いられるものである。
【0003】
ところが、この反応性ケイ素基を含有する重合体を含有するシーリング材を空気中の水分で硬化させる場合、表面では硬化が進行するものの内部まで硬化するのに長期間を要するという問題があった。このような重合体のなかでポリイソブチレン系重合体などの飽和炭化水素系重合体は優れた耐候性、耐熱性、および、耐久性を有する反面、湿気遮断性が大きいという特徴を有するため、空気中の水分で硬化する場合、深部の硬化が不十分であるという問題があった。
【0004】
この硬化性組成物が常温で内部まで速やかに硬化するように、この硬化性組成物に水分源をあらかじめ添加することが考えられる。
ところで、硬化性組成物は大きく1液型硬化性組成物と2液型硬化性組成物に分けることができる。1液型硬化性組成物は各種添加物をすべて配合した1成分の液状物からなり、2液型硬化性組成物は、反応性珪素基を有する重合体を含有する主剤と、シラノール縮合触媒を含有する硬化剤からなる2成分型である。
【0005】
前記課題を解決するために、この2液型硬化性組成物の主剤側に水分源を添加する方法が考えられるが、主剤側に水分源を添加すると該重合体の貯蔵安定性が悪化するという問題がある。また、硬化性組成物の主剤中には接着性付与剤としてシランカップリング剤が添加されることが多いが、シランカップリング剤は水分と反応しやすいため、主剤側に水分源を添加すると貯蔵後に接着性が悪化するという問題がある。そのため、硬化剤側に水分源を添加することが望ましい。
【0006】
しかしながら、チタン化合物やスズ化合物などのシラノール縮合触媒は水分があると分解するものが多いため、硬化剤側に水分源を添加すると貯蔵後に硬化性が悪化するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応性ケイ素基を有する重合体を含有する主剤と、シラノール縮合触媒と水を含有する硬化剤からなる多液型硬化性組成物の深部硬化性を改善するとともに、該硬化剤の貯蔵安定性を改善することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明者等は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、この多液型の硬化性組成物の硬化剤側に特定の化合物を添加することによって、この組成物に硬化物物性・硬化性・深部硬化性・接着性の低下などの悪影響を及ぼさないで、該硬化剤の貯蔵安定性を改善することができることを見い出すことにより前記問題を解決し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)液:反応性ケイ素基を少なくとも1個有する重合体を含有する主剤、(B)液:(a)シラノール縮合触媒,(b)水または金属塩の水和物,および(c)非水溶性の可塑剤を含有する硬化剤、の少なくとも2液からなる2液型あるいは多液型の硬化性組成物に関するものであり、とくに、(A)液:反応性ケイ素基を少なくとも1個有するイソブチレン系重合体を含有する主剤、(B)液:(a)4価の錫化合物,(b)水または金属塩の水和物,および(c)飽和炭化水素系オリゴマーを含有する硬化剤、の少なくとも2液からなる2液型あるいは多液型の硬化性組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における反応性ケイ素基を有する重合体としては、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどの飽和炭化水素系重合体から誘導される反応性ケイ素基含有飽和炭化水素系重合体があげられる。また、主鎖骨格としてポリエーテル、ポリエステルおよびポリカーボネートから選ばれる重合体から誘導される反応性ケイ素基含有有機重合体や、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系単量体、テトラフルオロエチレン,クロロトリフルオロエチレン,パーフルオロメチルビニルエーテルなどのフッ素含有ビニル系単量体、スチレンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸およびその塩、ビニルアルキルエーテル類、ブタジエン,クロロプレンなどのジエン類、エチレン,プロピレン,イソブチレンなどのその他ビニル系単量体などの重合性モノマーと反応性シリル基含有重合性モノマーを共重合して得られる反応性シリル基含有ビニル系重合体があげられる。さらに、下記一般式(2):
HO−[Si(R3)2O]n−H (2)
(式中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の1価炭化水素基であり、nは正の整数である。)で表されるジオルガノポリシロキサンがあげられる。
【0011】
上記例示の重合体のうち、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、湿気遮断性が大きいという特徴を有するため、本発明の硬化剤の深部硬化性改善効果が特に顕著になるためより好ましい。
前記反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、芳香環以外の炭素ー炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどがあげられる。
【0012】
反応性ケイ素基としては、一般式(1)、
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)3SiO−(R’、それぞれ独立に、は水素原子または炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかであり、bは0、1、2のいずれかであり、aとbとが同時に0になることはない。また、mは0または1〜19の整数である)で表される基があげられる。
【0015】
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。
これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
【0016】
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
【0017】
とくに、一般式(3)
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、R2、X、aは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基が、原料の入手が容易であるので好ましい。
飽和炭化水素系重合体1分子中の反応性ケイ素基は1個以上であり、1.1〜5個あることが好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性が得られなくなることがある。
【0020】
反応性ケイ素基は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよいし、また、両方にあってもよい。とくに、反応性ケイ素基が分子末端にあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0021】
また、これら反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は単独あるいは2種以上併用することができる。
本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1ーブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。
【0022】
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合体を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%以下(重量%、以下同じ)、さらに好ましくは30%以下、とくに好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。
このような単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。このような共重合体成分としては、たとえば1ーブテン、2ーブテン、2ーメチルー1ーブテン、3ーメチルー1ーブテン、ペンテン、4ーメチルー1ーペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、αーメチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、βーピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0023】
また、イソブチレンと共重合性を有する単量体として、ビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると、ケイ素含有量が増加しシランカップリング剤として作用しうる基が多くなることがあり、得られる組成物の接着性が向上する。
水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体のばあいと同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0024】
また、本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲で、ブタジエン、イソプレンなどのポリエン化合物のような重合後二重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらには5%以下、とくには1%以下の範囲で含有させてもよい。
飽和炭化水素系重合体、好ましくはイソブチレン系重合体または水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0025】
つぎに反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法について説明する。
反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体のうち、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イニファー法と呼ばれる重合法(イニファーと呼ばれる開始剤と連鎖移動剤を兼用する特定の化合物を用いるカチオン重合法)で得られた末端官能型、好ましくは、全末端官能型イソブチレン系重合体を用いて製造することができる。例えば、この重合体の脱ハロゲン化水素反応や特開昭63−105005号公報に記載されているような重合体への不飽和基導入反応等により末端に不飽和基を有するポリイソブチレンを得た後、一般式
【0026】
【化4】
【0027】
(式中、R1、R2、X、aおよびbは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物(この化合物は一般式(1)で表される基に水素原子が結合した化合物である。)、好ましくは、一般式
【0028】
【化5】
【0029】
(式中、R2、Xおよびaは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物を白金触媒を用いてヒドロシリル化反応と呼ばれる付加反応をさせることにより反応性ケイ素基を重合体に導入する方法があげられる。ヒドロシラン化合物としては、たとえば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちではとくにハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましい。
【0030】
このような製造法は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特許公報第2512468号、特開昭64−22904号、特許公報第2539445号の各明細書などに記載されている。
また、分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イソブチレンを主体とするモノマー中に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類を添加し、共重合せしめる等の方法により製造される。
【0031】
さらに、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を製造するためには、例えば重合に際して、主成分であるイソブチレンモノマー以外に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類などを共重合せしめたのち末端に反応性ケイ素基を導入することなどにより、末端および分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を製造することができる。
【0032】
反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類としては、たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0033】
前記水添ポリブタジエン系重合体については、たとえば、まず、末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の水酸基を−ONaや−OKなどのオキシメタル基にした後、一般式(4):
CH2=CH−R3−Y (4)
(式中、Yは塩素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、R3は−R4−、−R4−OCO−または−R4−CO−(R4は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が好ましい)で示される2価の有機基で、−CH2−、−R”−C6H5−CH2−(R”は炭素数1〜10の炭化水素基)より選ばれる2価の基がとくに好ましい)で示される有機ハロゲン化合物を反応させることにより、末端オレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体(以下、末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体ともいう)を製造することができる。
【0034】
末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の末端水酸基をオキシメタル基にする方法としては、Na、Kのごときアルカリ金属;NaHのごとき金属水素化物;NaOCH3のごとき金属アルコキシド;NaOH、KOHなどのアルカリ水酸化物などと反応させる方法があげられる。
前記方法では、出発原料として使用した末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体とほぼ同じ分子量をもつ末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体が得られるが、より高分子量の重合体を得たい場合には、一般式(4)の有機ハロゲン化合物を反応させる前に、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)エーテルなどのごとき、1分子中にハロゲンを2個以上含む多価有機ハロゲン化合物と反応させれば分子量を増大させることができ、その後一般式(4)で示される有機ハロゲン化合物と反応させれば、より高分子量でかつ末端にオレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体を得ることができる。
【0035】
前記一般式(4)で示される有機ハロゲン化合物の具体例としては、たとえばアリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1ーブテニル(クロロメチル)エーテル、1ーヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼンなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。これらのうちではアリルクロライドが安価であり、しかも容易に反応するので好ましい。
【0036】
前記末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体への反応性ケイ素基の導入は、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体の場合と同様のヒドロシラン化合物を白金系触媒を用いて付加反応させることにより製造される。前記のように反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体が、芳香環でない不飽和結合を分子中に実質的に含有しない場合には、不飽和結合を有する有機系重合体やオキシアルキレン系重合体のような従来のゴム系重合体よりなるシーリング剤などとくらべて、著しく耐候性がよくなる。また、該重合体は炭化水素系重合体であるので湿気遮断性や耐水性がよく、ガラス、アルミなどの各種無機質基材に対して優れた接着性能を有するとともに、湿気遮断性の高い硬化物を与える。
【0037】
本発明の硬化性組成物の主剤中の反応性ケイ素基を有する重合体の含有率は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がとくに好ましい。
本発明の硬化性組成物の硬化剤においては、(a)成分としては、後述する非水溶性の可塑剤〔(c)成分〕に可溶なシラノール縮合触媒を用いることができる。
【0038】
かかるシラノール縮合触媒としては、2価および4価のスズ系硬化触媒、チタン系硬化触媒、アルミニウム系硬化触媒、アミン系硬化触媒などが挙げられる。例えば、本発明において用いることが出来るチタン系触媒としては、以下のものを挙げることができる。
【0039】
【化6】
【0040】
本発明で用いるシラノール縮合触媒としては、4価のスズ系硬化触媒が触媒活性が高いために好ましい。4価のスズ系硬化触媒の具体例としては、錫カルボン酸塩類、ジアルキル錫オキサイド類、および、一般式(5)、
QdSn(OZ)4-d、又は[Q2Sn(OZ)]2O (5)
(式中、Qは炭素数1〜20の1価の炭化水素基を、Zは炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は自己内部にSnに対して配位結合を形成し得る官能性基を有する有機基を表す。さらに、dは0、1、2、3のいずれかである。)で示される化合物などが示される。また、ジアルキル錫オキサイドやジアルキル錫ジアセテート等の4価錫化合物と、テトラエトキシシランやメチルトリエトキシシランやジフェニルジメトキシシランやフェニルトリメトキシシランなどの加水分解性ケイ素基を有する低分子ケイ素化合物との反応物もまた、シラノール縮合反応を顕著に加速する硬化触媒として有効である。これらの中でも、一般式(5)で示される化合物、すなわち、ジブチル錫ビスアセチルアセトナートなどのキレート化合物や錫アルコラート類はシラノール縮合触媒としての活性が高く、硬化性組成物の硬化速度が速くなるのでより好ましい。
【0041】
前記錫カルボン酸塩類の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等が挙げられる。
【0042】
前記ジアルキル錫オキサイド類の具体例としては、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドや、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの混合物等が挙げられる。
前記キレート化合物を具体的に例示すると、
【0043】
【化7】
【0044】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、ジブチル錫ビスアセチルアセトナートは、触媒活性が高く、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
前記錫アルコラート類を具体的に例示すると、
【0045】
【化8】
【0046】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中ではジアルキル錫ジアルコキサイドが好ましい。特に、ジブチル錫ジメトキサイドは、低コストであり、入手が容易であるためにより好ましい。
また、上記の4価のスズ系硬化触媒以外のシラノール縮合触媒を用いてもよい。具体的には、オクチル酸スズなどの2価のスズ系硬化触媒;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等のアルミニウム系硬化触媒;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系硬化触媒;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
【0047】
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
この(a)成分のシラノール縮合触媒の配合量は、反応性ケイ素基含有重合体100部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。シラノール硬化触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に形成し難くなる場合がある。一方、シラノール硬化触媒の配合量がこの範囲を上回ると可使時間が短くなり過ぎ、作業性の点から好ましくない。
【0048】
また、本発明の硬化性組成物の硬化剤中のシラノール硬化触媒の含有率は2重量%(以下、%という)以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がとくに好ましい。
本発明の硬化性組成物の硬化剤においては、(b)成分として、水または金属塩の水和物を用いることができる。この成分は、主剤中の重合体の縮合硬化時に必要な水分の供給源として作用し、架橋構造の形成を促進するものである。金属塩の水和物は通常市販されているものを広く用いうることができ、例えばアルカリ土類金属塩の水和物、その他の金属塩の水和物等が挙げられる。具体的には、Al2O3・H2O,Al2O3・3H2O,Al2(SO4)3・18H2O,Al2(C2O4)3・4H2O,AlNa(SO4)2・12H2O,AlK(SO4)2・12H2O,BaCl2・2H2O,Ba(OH)2・8H2O,CaSO4・2H2O,CaS2O3・6H2O,Ca(NO3)2・4H2O,CaHPO4・2H2O,Ca(C2O4)・H2O,Co(NO3)2・6H2O,Co(CH3COO)2・4H2O,CuCl2・2H2O,CuSO4・5H2O,FeCl2・4H2O,FeCl3・6H2O,FeSO4・7H2O,Fe(NH4)(SO4)2・12H2O,K2CO3・1.5H2O,KNaCO3・6H2O,LiBr・2H2O,Li2SO4・H2O,MgSO4・H2O,MgSO4・7H2O,MgHPO4・7H2O,Mg3(PO4)2・8H2O,MgCO3・3H2O,Mg4(CO3)3(OH)2・3H2O,MoO3・2H2O,NaBr・2H2O,Na2SO3・7H2O,Na2SO4・10H2O,Na2S2O3・5H2O,Na2S2O6・2H2O,Na2B4O7・10H2O,NaHPHO3・2.5H2O,Na3PO4・12H2O,Na2CO3・H2O,Na2CO3・7H2O,Na2CO3・10H2O,NaCH3COO・3H2O,NaHC2O4・H2O,NiSO4・6H2O,NiC2O4・2H2O,SnO2・nH2O,NiC2O4・2H2O,Sn(SO4)2・2H2O,ZnSO3・2H2O,ZnSO4・7H2O,Zn3(PO4)2・4H2O,Zn(CH3COO)2・2H2O
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
これらの中でも、アルカリ金属塩の水和物及びアルカリ土類金属塩の水和物が好ましく、具体的には
MgSO4・7H2O,Na2CO3・10H2O,Na2SO4・10H2O,Na2S2O3・5H2O,Na3PO4・12H2O,Na2B4O7・10H2O,
等が挙げられる。
【0050】
この(b)成分の水または金属塩の水和物の配合量は、反応性ケイ素基含有重合体100部に対して0.1〜20部程度が好ましく、0.5〜10部が更に好ましい。水または金属塩の水和物の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがある。一方、水または金属塩の水和物の配合量がこの範囲を上回ると硬化物物性や接着性を低下させることがある。上記金属塩の水和物は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合して使用しても良い。
【0051】
また、(b)成分の水または金属塩の水和物の配合量は、(a)成分のシラノール縮合触媒100部に対しては10〜500部程度が好ましく、20〜200部が更に好ましい。水または金属塩の水和物の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、一方、配合量がこの範囲を上回るとシラノール縮合触媒の貯蔵安定性を低下させることがある。
【0052】
本発明の硬化性組成物の硬化剤においては、(c)成分として、非水溶性の可塑剤を用いることができる。前記(a)成分であるシラノール縮合触媒は非水溶性の可塑剤に可溶であり、逆に、前記(b)成分である水または金属塩の水和物は非水溶性の可塑剤に実質的に溶解不可能である。従って、(c)成分である非水溶性の可塑剤は、加水分解しやすいシラノール縮合触媒を溶解させることにより、シラノール縮合触媒と水分源とが接触し難くなるように作用して、硬化剤の貯蔵安定性を向上させる機能を有する。
【0053】
該可塑剤としては、水や金属塩の水和物の溶解度が低いほうが好ましいため、極性が低い可塑剤が好ましい。かかる特性を有する可塑剤の具体例としては、以下に示す飽和炭化水素系オリゴマーがあげられる。例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、水添α−オレフィンオリゴマー、アタクチックポリプロピレンなどのポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニルなどのなどの芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエンなどの水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油などのパラフィン系オリゴマー;ナフテン油などのシクロパラフィン系オリゴマーなどがあげられる。
【0054】
また、以下に示す飽和炭化水素系オリゴマー以外の可塑剤も用いることができる。該可塑剤の例としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレートなどのフタル酸エステル類;ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジn−オクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバシケート、テトラヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシルなどの非芳香族2塩基酸エステル類;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシルなどの芳香族系エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステルなどの脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエートなどのポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなどのリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ可塑剤などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0055】
本発明の硬化性組成物の硬化剤中、非水溶性の可塑剤の含有率は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がとくに好ましい。
また、(c)成分の非水溶性の可塑剤の配合量は、(a)成分のシラノール縮合触媒100部に対して50〜5000部程度が好ましく、200〜2000部が更に好ましい。非水溶性の可塑剤の配合量がこの範囲を下回るとシラノール縮合触媒の貯蔵安定性を低下させることがある。一方、配合量がこの範囲を上回ると硬化物物性や接着性を低下させることがある。
【0056】
また、これらの可塑剤は、反応性ケイ素基を有する重合体の粘度を下げて取扱いを改善することを目的に、本発明の硬化性組成物の主剤中にも添加することができる。
さらに、前記可塑剤は、重合体に反応性ケイ素基を導入する際に、反応温度の調節、反応系の粘度の調節などの目的で溶剤のかわりに用いてもよい。
【0057】
本発明の硬化性組成物においては、シラノール縮合触媒の活性をより高めるために、一般式(6)
R5 aSi(OR6)4-a (6)
(式中、R5およびR6は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるケイ素化合物が必要に応じて用いられる。
【0058】
前記ケイ素化合物を具体的に例示すると、
【0059】
【化9】
【0060】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(6)中のR5が、炭素数6〜20のアリール基であるものは、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
【0061】
本発明に用いる前記ケイ素化合物の配合量は、反応性ケイ素基含有重合体100部に対し、0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。上記ケイ素化合物は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
本発明の硬化性組成物には、各種シランカップリング剤が必要に応じて用いられる。シランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、ブロックイソシアネートシラン、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
【0062】
本発明に用いるシランカップリング剤は、反応性ケイ素基含有重合体100部に対し、0.1〜20部の範囲で使用される。特に、1〜10部の範囲で使用するのが好ましい。上記シランカップリング剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
本発明の硬化性組成物にはシランカップリング剤以外の接着性付与剤も用いることができる。
【0063】
本発明の硬化性組成物には、各種老化防止剤が必要に応じて用いられる。 かかる老化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系ヒドロペルオキシド分解剤、リン系ヒドロペルオキシド分解剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、ニッケル系光安定剤などが挙げられる。
【0064】
前記フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4‘−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が例示できる。
【0065】
前記芳香族アミン系酸化防止剤の具体例としては、N,N‘−ジフェニル−1p0−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が例示できる。
前記硫黄系ヒドロペルオキシド分解剤の具体例としては、ジラウリル−3,3‘−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3‘−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3‘−チオジプロピオネート等が例示できる。
【0066】
前記リン系ヒドロペルオキシド分解剤の具体例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が例示できる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示できる。
【0067】
前記サリシレート系紫外線吸収剤の具体例としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5‘−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が例示できる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−ベンジロキシベンゾフェノン等が例示できる。
【0068】
前記ヒンダートアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン等が例示できる。
【0069】
前記ニッケル系光安定剤の具体例としては、ニッケルジブチルジチオカルバメート、[2,2‘−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、[2,2‘−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−n−ブチルアミンニッケル(II)等が例示できる。
これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。単独で使用した場合と比較して、併用することによってより有効に機能することがある。
【0070】
老化防止剤の配合量は、反応性ケイ素基を含有する重合体100部に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。配合量が0.1部未満の場合には、耐候性の改善効果が十分でないことがあり、20部をこえると硬化性組成物のコストや接着性が悪くなる。
本発明の硬化性組成物には、各種充填材が必要に応じて用いられる。前記充填材の具体例としては、たとえば、木粉、パルブ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸マグネシウム、石英、アルミニウム微粉末、フリント粉末、亜鉛末などがあげられる。これら充填材のうちでは沈降性シリカ、ヒュームシリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。これらの充填材は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。充填材を用いる場合の使用量は、反応性ケイ素基含有重合体100部に対して1〜500部が好ましく、50〜200部がさらに好ましい。
【0071】
本発明の硬化性組成物には、先に記載したシラノール縮合触媒、水分源、可塑剤、シランカップリング剤、老化防止剤および充填材の他に、必要に応じて各種添加剤が添加される。
このような添加物の例としては、たとえば、生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光硬化性樹脂、タレ防止剤、リン系過酸化物分解剤、溶剤、難燃性付与剤、滑剤、顔料、界面活性剤、発泡剤などがあげられる。
【0072】
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特許公報第2512468号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
本発明の組成物においては、2液組成物及び3液以上の組成物のいずれも可能である。2液組成物として使用する場合には、例えば、充填剤や可塑剤等が添加された本発明の(A)液である主剤と、充填剤や可塑剤等が添加された本発明の(B)液である硬化剤とにわけ、使用直前に両成分を混合して使用すると、長期間の保存後も初期の硬化物物性を安定して発現できる。
【0073】
本発明の組成物は主に弾性硬化性組成物として有用であり、電子電気、土木止水、建造物、船舶、自動車、道路等のシール用途や接着性組成物として使用することができる。
【0074】
【実施例】
つぎに実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例
2Lの耐圧ガラス製容器に、三方コックを取り付け、容器内を窒素置換した後、注射器を用いて容器内に、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)205mlおよびトルエン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)819ml、p−DCC(下記化合物)5.78g(25.0mmol)を加えた。
【0075】
【化10】
【0076】
次にイソブチレンモノマー332ml(3.91mol)が入っているニードルバルブ付耐圧ガラス製液化採取管を、三方コックに接続して、重合容器を−70℃のドライアイス/エタノールバス中につけて冷却した後、真空ポンプを用いて容器内を減圧にした。ニードルバルブを開け、イソブチレンモノマーを液化ガス採取管から重合容器内に導入した後、三方コック内の一方から窒素を導入することにより容器内を常圧に戻した。次に、2−メチルピリジン0.454g(4.88mmol)を加えた。次に、四塩化チタン6.69ml(61.0mmol)加えて重合を開始した。反応時間70分後に、アリルトリメチルシラン6.86g(60.0mmol)を加えてポリマー末端にアリル基の導入反応を行った。反応時間120分後に、反応溶液を水200mlで4回洗浄したあと、溶剤を留去することによりアリル末端イソブチレン系重合体を得た。
【0077】
次いで、こうして得られたアリル末端イソブチレンポリマ−200gと、炭化水素系可塑剤であるパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)60gを混合し、約75℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン1.5[eq/ビニル基]、白金(ビニルシロキサン)錯体5x10-5[eq/ビニル基]を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行い、約20時間で1640cm-1のオレフィン吸収が消失した。
【0078】
目的とする両末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマ−(下記化合物)と可塑剤であるPS−32との混合物(10/3の重量比)が得られた。
【0079】
【化11】
【0080】
こうして得られたポリマ−の収量より収率を算出するとともに、Mn及びMw/MnをGPC法により、また末端構造を300MHz1H−NMR分析により各構造に帰属するプロトン(開始剤由来のプロトン:6.5〜7.5ppm、ポリマ−末端由来のケイ素原子に結合したメチルプロトン:0.0〜0.1ppm及びメトキシプロトン:3.4〜3.5)の共鳴信号の強度を測定、比較することにより求めた。1H−NMRは、Varian Gemini300(300MHz for 1H)を用い、CDCl3中で測定した。
【0081】
なお、FT−IRは島津製作所製IR−408、GPCは送液システムとしてWaters LC Module1、カラムはShodex K−804を用いて行った。分子量はポリスチレンスタンダードに対する相対分子量で与えられる。ポリマーの分析値は、Mn=11445、Mw/Mn=1.23、Fn(シリル)=1.76であった。(数平均分子量はポリスチレン換算、末端シリル官能基数はイソブチレンポリマー1分子当たりの個数)。
実施例1〜3および比較例1〜2
製造例で得られた反応性ケイ素基を有する重合体(PIB)とパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)の混合物130部(このうち(A)液中の反応性ケイ素基を有する重合体を100部含有する)に対し、さらにパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)を60部数添加し、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名EDS−D10A)50部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名PO320B10)180部、タルク(富士タルク工業(株)製、商品名タルクLMR)100部、光安定剤 ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル(三新化学(株)製、商品名サンダントNBC)3部、垂れ防止剤(楠本化成(株)製、商品名ディスパロン#305)5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)製、商品名イルガノックス1010)1部、サリシレート系紫外線吸収剤(住友化学工業(株)製、商品名スミソーブ400)1部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名サノールLS−765)1部、光硬化性樹脂(東亜合成(株)、商品名アロニックスM−400)3部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤A−187)2部、γ−イシシアネートプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤A−1310)4部を加え、三本ペイントロールでよく混練して主剤とした。
【0082】
また、シラノール縮合触媒としてジブチルスズジメトキサイド(アルドリッチケミカル(株)製)と、水分源としてH2OまたはNa2SO4・10H2O(和光純薬工業(株))と、非水溶性の可塑剤としてパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)と、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)を表1に示す部数添加し、ディスポーザルカップ中で手混ぜ混練した後、日本精機製作所(株)製のエクセル・オート・ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpmで10分間撹拌する操作を3回行うことにより硬化剤を調整した。(ただし、比較例1は混合する必要がないので、ホモジナイザーによる攪拌は行っていない。)
硬化性は、以下に示すタックフリータイムの測定により評価した。上記の主剤と硬化剤を十分混練したものをガラス上に厚さ3mmとなるように薄く塗布し、23℃の恒温室中で養生した。手で軽く触れても手が汚れない程度にまで、表面が硬化するのに要する時間(タックフリータイム)を測定した。
【0083】
一方、深部硬化性は以下のようにして評価した。上記の主剤と硬化剤を十分混練したものをガラス上に厚さ10mm以上となるように厚く塗布し、23℃×7日の養生を行った。養生後、カッターナイフで切ることにより、内部の硬化の程度を評価した。内部も十分硬化しているものを○、内部は未硬化であるものを×とした。
【0084】
硬化性と深部硬化性の評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示す通り、本発明の(a)成分であるシラノール縮合触媒のみを含む比較例1の硬化剤は、タックフリータイムが短く良好な硬化性を示すが、深部硬化性が悪い。また、本発明の(a)成分であるシラノール縮合触媒と(b)成分であるH2Oを含む比較例2の硬化剤は24時間後もタックフリーにならないことから、シラノール縮合触媒が加水分解して触媒活性が著しく低下していると推測できる。一方、(c)成分である非水溶性の可塑剤のPS−32をさらに含有する実施例1〜3の硬化剤は、タックフリータイムが短く、深部硬化性も良好である。
【0087】
すなわち、本発明の(c)成分である非水溶性の可塑剤はシラノール縮合触媒の水分源に対する安定性を改善する効果が有る。また、実施例1と実施例2の比較から、水分源として水または金属塩の水和物のいずれの水分源を用いても同様な結果が得られており、(c)成分である非水溶性の可塑剤の効果は水分源に依存せず有効である。さらに、実施例1と実施例3との比較から、本発明の硬化剤に重質炭酸カルシウムなどの各種添加剤が添加された場合にも、(c)成分である非水溶性の可塑剤の効果は有効であることがわかる。
【0088】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は、深部硬化性を改善するとともに、硬化剤の貯蔵安定性を改善することができる。
Claims (7)
- (A)液:ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基を少なくとも1個有する重合体を含有する主剤、(B)液:(a)シラノール縮合触媒,(b)水または金属塩の水和物,および(c)前記シラノール縮合触媒が可溶で前記水または金属塩の水和物が溶解不可能である非水溶性の可塑剤を含有する硬化剤、の少なくとも2液からなる2液型あるいは多液型の硬化性組成物。
- (A)液の主剤成分中の重合体が、数平均分子量が500〜50000の範囲内にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端に、一般式(1)、
- (A)液の主剤成分中の重合体が、飽和炭化水素系重合体である請求項1記載の硬化性組成物。
- (A)液の主剤成分中の飽和炭化水素系重合体が、イソブチレン系重合体である請求項3記載の硬化性組成物。
- (B)液の硬化剤成分中の(a)シラノール縮合触媒が4価の錫化合物である請求項1記載の硬化性組成物。
- (B)液の硬化剤成分中の(c)シラノール縮合触媒が可溶で水または金属塩の水和物が溶解不可能である非水溶性の可塑剤が、飽和炭化水素系オリゴマーである請求項1記載の硬化性組成物。
- (B)液の硬化剤成分中、(a)シラノール縮合触媒100重量部に対して、(b)水または金属塩の水和物10〜500重量部,および(c)シラノール縮合触媒が可溶で水または金属塩の水和物が溶解不可能である非水溶性の可塑剤50〜5000重量部を含有する硬化剤であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
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