JP3844870B2 - プライマー組成物および接着方法 - Google Patents
プライマー組成物および接着方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3844870B2 JP3844870B2 JP01276198A JP1276198A JP3844870B2 JP 3844870 B2 JP3844870 B2 JP 3844870B2 JP 01276198 A JP01276198 A JP 01276198A JP 1276198 A JP1276198 A JP 1276198A JP 3844870 B2 JP3844870 B2 JP 3844870B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- primer composition
- polymer
- saturated hydrocarbon
- silicon
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機チタン酸エステル類を含有するプライマー組成物および接着方法に関し、更に詳しくは、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「反応性ケイ素基」という。)を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材(例えば特公平4−69659号公報に開示されたシーリング材)を各種の基材に接着するに際し有効なプライマー組成物および接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性シーリング材は、近年、建築物・自動車両等に幅広く使用されるようになってきている。シーリング材は、各種部材間の接合部や隙間に充填し、水密・気密を付与する目的で使用されている材料である。従って、目地部や窓枠周り等を構成する各種基材、すなわち、ガラス、セラミックス、金属、セメント、モルタル等の無機材料やプラスチック等の有機材料(以下、これらをまとめて「基材」という。)に対して良好な接着性を示す必要がある。しかし、シーリング材自身の接着性は未だ不十分で、プライマーの使用が多くの場合必須となっている。
【0003】
一般建築物の内外装の目地部に適用されるシーリング材として、シリコーン系、変性シリコーン系、ポリサルファイド系およびポリウレタン系等が良く知られている。これらのシーリング材は、目地の種類(基材の種類も含めて)別に適切なシーリング材を選んで使う「適材適所」の考え方に基づいて使い分けられており、それぞれのシーリング材に適合する専用プライマーが開発されている。
【0004】
上記の各種シーリング材に、異なる種類のシーリング材を打継ぐことは本来望ましいことではないが、適材適所の考え方によるシーリング材の選定あるいは工場施工においてやむを得ず異種シーリング材の打継ぎが生じる場合がある。また、シーリング目地を改修する際には、既存のシーリング材、すなわち、先打ちシーリング材(本発明では先打ちシーリング材も含めて「基材」という。)を除去した後に新規のシーリング材(後打ちシーリング材)を施工するが、先打ちシーリング材を完全に除去できないために、やむを得ず異種シーリング材の打継ぎが生じる。この時、先打ちシーリング材がシリコーン系シーリング材である場合には、シリコーン系シーリング材以外のシーリング材では打継ぐことができないという問題があった。
【0005】
一方、反応性ケイ素基を含有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有するシーリング材(特にイソブチレン系重合体を主鎖骨格とするイソブチレン系シーリング材)が最近開発された。このイソブチレン系シーリング材は、動的追従性、耐熱性、耐候性、耐水性、塗装性に優れ、目地周辺を汚染しない等の特徴を有し、万能シーリング材としての性能を有するが、これまで、イソブチレン系シーリング材専用プライマーは開発されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材と各種基材を良好に接着させるためのプライマー組成物を提供することを目的とし、特にシリコーン系シーリング材(先打ち)にイソブチレン系シーリング材(後打ち)を打継ぐ際に接着性の良好なプライマー組成物および接着方法を提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決する為の手段】
本発明者等は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、有機チタン酸エステル類を含有するプライマー組成物によって、その目的を達成しうることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(A)有機チタン酸エステル類を含有することを特徴とする、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材に適用されるプライマー組成物に関するものであり、とくに、(A)有機チタン酸エステル類100重量部に対して、(B)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体1〜100000重量部を含有することを特徴とする、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材に適用されるプライマー組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の(A)成分である有機チタン酸エステル類は本発明の特徴となる成分であり、ガラス・金属・モルタル等の各種基材と反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材との強い接着性を付与する成分である。特に、シリコーン系シーリング材(先打ちシーリング材)に対する打継ぎ面の接着性を著しく向上させる機能を有する。さらに、有機チタン酸エステル類は、(B)成分である反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体や(C)成分であるシランカップリング剤の反応性ケイ素基の縮合反応を促進させるシラノール縮合触媒としての機能も有する成分である。
【0009】
かかる有機チタン酸エステル類としては、有機チタン酸エステル、チタンのキレート化合物、チタンのケイ酸エステルによるキレート化合物、チタネート系カップリング剤、これらの部分加水分解縮合物が挙げられる。有機チタン酸エステル類の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラステアリルチタネート、テトラメチルチタネート、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロピルビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、テトラアセチルアセトネートチタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンおよびこれらの加水分解縮合物等を挙げることができる。また、チタネート系カップリング剤の具体例として、
【0010】
【化2】
【0011】
で示される化合物、およびこれらの加水分解縮合物も挙げることができる。
上記の有機チタン酸エステル類の内、一般式(1)、
Ti(OR)4 (1)
(式中、Rは、前期と同じである)で表される化合物は、接着性改善効果が特に高いためより好ましい。
【0012】
上記有機チタン酸エステル類は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
本発明のプライマー組成物中の有機チタン酸エステル類の含有率は0.1%〜30%が好ましく、1%〜10%がより好ましく、2%〜5%がとくに好ましい。
【0013】
本発明に用いられる(B)成分の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、ガラスや金属などの各種基材に対する密着性が良好で、ガラス越しの耐候接着性や耐水接着性に優れる被膜を形成する成分として機能する。すなわち、本明細書のプライマー組成物に、接着性と耐久性を向上させるものである。
この反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、芳香環以外の炭素ー炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどがあげられる。
【0014】
反応性ケイ素基としては、一般式(2)、
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)3SiO−(R’、それぞれ独立に、は水素原子または炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかであり、bは0、1、2のいずれかであり、aとbとが同時に0になることはない。また、mは0または1〜19の整数である)で表される基があげられる。
【0017】
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。
これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
【0018】
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
【0019】
とくに、一般式(3)
【0020】
【化4】
【0021】
(式中、R2、X、aは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基が、入手が容易であるので好ましい。
飽和炭化水素系重合体1分子中の反応性ケイ素基は1個以上であり、1.1〜5個あることが好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好な被膜が得られなくなることがある。
【0022】
反応性ケイ素基は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよいし、また、両方にあってもよい。とくに、反応性ケイ素基が分子末端にあるときは、最終的に形成される硬化被膜に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度の被膜が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0023】
また、これら反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は単独あるいは2種以上併用することができる。
本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1ーブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。
【0024】
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合体を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%以下(重量%、以下同じ)、さらに好ましくは30%以下、とくに好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。
このような単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。このような共重合体成分としては、たとえば1ーブテン、2ーブテン、2ーメチルー1ーブテン、3ーメチルー1ーブテン、ペンテン、4ーメチルー1ーペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、αーメチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、βーピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0025】
また、イソブチレンと共重合性を有する単量体として、ビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると、ケイ素含有量が増加しシランカップリング剤として作用しうる基が多くなり、得られるプライマー組成物の接着性が向上する。
水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体のばあいと同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0026】
また、本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲で、ブタジエン、イソプレンなどのポリエン化合物のような重合後2重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらには5%以下、とくには1%以下の範囲で含有させてもよい。
飽和炭化水素系重合体、好ましくはイソブチレン系重合体または水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0027】
つぎに反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法について説明する。
反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体のうち、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イニファー法と呼ばれる重合法(イニファーと呼ばれる開始剤と連鎖移動剤を兼用する特定の化合物を用いるカチオン重合法)で得られた末端官能型、好ましくは、全末端官能型イソブチレン系重合体を用いて製造することができる。例えば、この重合体の脱ハロゲン化水素反応や特開昭63−105005号公報に記載されているような重合体への不飽和基導入反応等により末端に不飽和基を有するポリイソブチレンを得た後、一般式
【0028】
【化5】
【0029】
(式中、R1、R2、X、aおよびbは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物(この化合物は一般式(2)で表される基に水素原子が結合した化合物である。)、好ましくは、一般式
【0030】
【化6】
【0031】
(式中、R2、Xおよびaは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物を白金触媒を用いてヒドロシリル化反応と呼ばれる付加反応をさせることにより反応性ケイ素基を重合体に導入する方法があげられる。ヒドロシラン化合物としては、たとえば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちではとくにハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましい。
【0032】
このような製造法は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特許公報第2512468号、特開昭64−22904号、特許公報第2539445号の各明細書などに記載されている。
また、分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イソブチレンを主体とするモノマー中に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類を添加し、共重合せしめることにより製造される。
【0033】
さらに、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を製造する際の重合に際して、主成分であるイソブチレンモノマー以外に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類などを共重合せしめたのち末端に反応性ケイ素基を導入することにより、末端および分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体が製造される。
【0034】
反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類としては、たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0035】
前記水添ポリブタジエン系重合体は、たとえば、まず、末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の水酸基を−ONaや−OKなどのオキシメタル基にした後、一般式(4):
CH2=CH−R3−Y (4)
(式中、Yは塩素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、R3は−R4−、−R4−OCO−または−R4−CO−(R4は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が好ましい)で示される2価の有機基で、−CH2−、−R”−C6H5−CH2−(R”は炭素数1〜10の炭化水素基)より選ばれる2価の基がとくに好ましい)で示される有機ハロゲン化合物を反応させることにより、末端オレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体(以下、末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体ともいう)が製造される。
【0036】
末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の末端水酸基をオキシメタル基にする方法としては、Na、Kのごときアルカリ金属;NaHのごとき金属水素化物;NaOCH3のごとき金属アルコキシド;NaOH、KOHなどのアルカリ水酸化物などと反応させる方法があげられる。
前記方法では、出発原料として使用した末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体とほぼ同じ分子量をもつ末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体が得られるが、より高分子量の重合体を得たい場合には、一般式(4)の有機ハロゲン化合物を反応させる前に、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)エーテルなどのごとき、1分子中にハロゲンを2個以上含む多価有機ハロゲン化合物と反応させれば分子量を増大させることができ、その後一般式(4)で示される有機ハロゲン化合物と反応させれば、より高分子量でかつ末端にオレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体をうることができる。
【0037】
前記一般式(4)で示される有機ハロゲン化合物の具体例としては、たとえばアリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1ーブテニル(クロロメチル)エーテル、1ーヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼンなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。これらのうちではアリルクロライドが安価であり、しかも容易に反応するので好ましい。
【0038】
前記末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体への反応性ケイ素基の導入は、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体の場合と同様にヒドロシラン化合物を白金系触媒を用いて付加反応をさせることにより製造される。
前記のように反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体が、芳香環でない不飽和結合を分子中に実質的に含有しない場合には、不飽和結合を有する有機系重合体やオキシアルキレン系重合体のような従来のゴム系重合体より形成される被膜とくらべて、著しく耐候性がよくなる。また、該重合体は炭化水素系重合体であるので湿気遮断性や耐水性がよく、ガラス、アルミなどの各種無機質基材に対して優れた接着性能を有するとともに、湿気遮断性の高い被膜を形成する。
【0039】
本発明に用いる反応性ケイ素基含有飽和炭化水素系重合体は、(A)成分である有機チタン酸エステル類100部(重量部、以下同じ)に対し、1〜100000部の範囲で使用される。特に、10〜1000部の範囲で使用するのが好ましい。
本発明のプライマー組成物中の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の含有率は1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がとくに好ましい。特に本発明のプライマー組成物をモルタルなどの多孔質の基材に対して用いる場合には、多孔質基材からの水分の浸出防止のため被膜の膜厚をより厚くする必要があり、該重合体の含有率は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上がとくに好ましい。
【0040】
上記の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体はそれ自身の粘度が高く作業性が悪い。そのため、該重合体の粘度を下げて取扱いを改善することを目的に、プライマーの接着性や汚染性が悪化しない程度に各種の可塑剤を添加しても良い。
本発明の(B)成分である飽和炭化水素系重合体と相溶性がよい可塑剤としては、例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、水添α−オレフィンオリゴマー、アタクチックポリプロピレンなどのポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニルなどのなどの芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエンなどの水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油などのパラフィン系オリゴマー;ナフテン油などのシクロパラフィン系オリゴマーなどがあげられる。
【0041】
また、フタル酸エステル系可塑剤や非芳香族2塩基酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤等も本発明のプライマー組成物の接着性、耐候性、耐熱性などを低下させない程度に、上記の可塑剤と併用して使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記可塑剤は、飽和炭化水素系重合体に反応性ケイ素基を導入する際に、反応温度の調節、反応系の粘度の調節などの目的で溶剤のかわりに用いてもよい。
【0042】
前記可塑剤の配合量は、反応性ケイ素基含有飽和炭化水素系重合体100部に対して1〜100部が好ましく、10〜50部が更に好ましい。可塑剤の配合量がこの範囲を下回ると可塑化効果が小さく、また、この範囲を上回ると十分な接着性が得られないことがある。
本発明の(C)成分であるシランカップリング剤は、(B)成分である反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体との反応等により強靭な被膜を形成するとともに、ガラス・金属・モルタル等の各種基材と反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材との接着強度を向上させるものである。シランカップリング剤は、加水分解性基が結合したケイ素原子を含む基(以下加水分解性ケイ素基という)及びそれ以外の官能基を有する化合物である。この加水分解性ケイ素基の例としては、一般式(2)で表される基の内Xが加水分解性基である物を挙げることができる。具体的には、加水分解性基として既に例示した基を挙げることができるが、メトキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好ましい。加水分解性基の個数は、2個以上、特に3個以上が好ましい。
【0043】
加水分解性ケイ素基以外の官能基としては、1級、2級、3級のアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等を例示できる。これらの内、1級、2級、3級のアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート等が好ましく、イソシアネート基、アミノ基が特に好ましい。
【0044】
シランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、ブロックイソシアネートシラン、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
【0045】
本発明に用いるシランカップリング剤は、(A)成分である有機チタン酸エステル類100部に対し、1〜10000部の範囲で使用される。特に、10〜1000部の範囲で使用するのが好ましい。上記シランカップリング剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
本発明のプライマー組成物にはシランカップリング剤以外の接着性付与剤も用いることができる。
【0046】
本発明のプライマー組成物においては、(D)成分として、本発明のプライマー組成物を硬化させ風乾性を与える機能を有する成分として、シラノール縮合触媒を用いることができる。
かかるシラノール縮合触媒としては、2価および4価のスズ系硬化触媒、アルミニウム系硬化触媒、アミン系硬化触媒などが挙げられる。これらの中でも4価のスズ系硬化触媒は触媒活性が高いために好ましい。4価のスズ系硬化触媒の具体例としては、錫カルボン酸塩類、ジアルキル錫オキサイド類、および、一般式(5)、
QdSn(OZ)4-d、又は[Q2Sn(OZ)]2O (5)
(式中、Qは炭素数1〜20の1価の炭化水素基を、Zは炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は自己内部にSnに対して配位結合を形成し得る官能性基を有する有機基を表す。さらに、dは0、1、2、3のいずれかである。)で示される化合物などが示される。また、ジアルキル錫オキサイドやジアルキル錫ジアセテート等の4価錫化合物と、テトラエトキシシランやメチルトリエトキシシランやジフェニルジメトキシシランやフェニルトリメトキシシランなどの加水分解性ケイ素基を有する低分子ケイ素化合物との反応物もまた、シラノール縮合反応を顕著に加速する硬化触媒として有効である。これらの中でも、一般式(5)で示される化合物、すなわち、ジブチル錫ビスアセチルアセトナートなどのキレート化合物や錫アルコラート類はシラノール縮合触媒としての活性が高く、プライマー組成物の被膜形成速度が速くなるのでより好ましい。
【0047】
前記錫カルボン酸塩類の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等が挙げられる。
【0048】
前記ジアルキル錫オキサイド類の具体例としては、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドや、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの混合物等が挙げられる。
前記キレート化合物を具体的に例示すると、
【0049】
【化7】
【0050】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、ジブチル錫ビスアセチルアセトナートは、触媒活性が高く、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
前記錫アルコラート類を具体的に例示すると、
【0051】
【化8】
【0052】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中ではジアルキル錫ジアルコキサイドが好ましい。特に、ジブチル錫ジメトキサイドは、低コストであり、入手が容易であるためにより好ましい。
また、上記の4価のスズ系硬化触媒以外のシラノール縮合触媒を用いてもよい。具体的には、オクチル酸スズなどの2価のスズ系硬化触媒;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等のアルミニウム系硬化触媒;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系硬化触媒、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
【0053】
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
この(D)成分のシラノール縮合触媒の配合量は、(A)成分である有機チタン酸エステル類100部に対し、1〜10000部程度が好ましく、10〜1000部が更に好ましい。シラノール硬化触媒の配合量がこの範囲を下回ると被膜形成速度が遅くなることがあり、また被膜が十分に形成し難くなる場合がある。一方、シラノール硬化触媒の配合量がこの範囲を上回るとオープンタイムが短くなり過ぎ、作業性の点から好ましくない。
【0054】
本発明においては、プライマー組成物をプライマー塗布作業に適した粘度に調節するために溶剤を用いることができる。溶剤は本発明の(A)成分〜(D)成分を溶解するものであればよく、その種類は特に限定されない。かかる溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、石油系溶媒等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤が例示される。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0055】
この溶剤の配合量は、(A)成分である有機チタン酸エステル類100部に対して50〜500000部程度が好ましく、500〜5000部が更に好ましい。溶剤の配合量がこの範囲を下回るとプライマー組成物の粘度が高くなりすぎるため作業性の点から好ましくない。溶剤の配合量がこの範囲を上回ると十分な接着性が得られないことがある。
【0056】
本発明のプライマー組成物には、各種老化防止剤が必要に応じて用いられる。かかる老化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系ヒドロペルオキシド分解剤、リン系ヒドロペルオキシド分解剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、ニッケル系光安定剤などが挙げられる。
【0057】
前記フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2‘−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4‘−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が例示できる。
【0058】
前記芳香族アミン系酸化防止剤の具体例としては、N,N‘−ジフェニル−1p0−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が例示できる。
前記硫黄系ヒドロペルオキシド分解剤の具体例としては、ジラウリル−3,3‘−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3‘−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3‘−チオジプロピオネート等が例示できる。
【0059】
前記リン系ヒドロペルオキシド分解剤の具体例としては、ジフェニルイソオクチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が例示できる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示できる。
【0060】
前記サリシレート系紫外線吸収剤の具体例としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5‘−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が例示できる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−ベンジロキシベンゾフェノン等が例示できる。
【0061】
前記ヒンダートアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−{2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン等が例示できる。
【0062】
前記ニッケル系光安定剤の具体例としては、ニッケルジブチルジチオカルバメート、[2,2‘−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、[2,2‘−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−n−ブチルアミンニッケル(II)等が例示できる。
これらの老化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。単独で使用した場合と比較して、併用することによってより有効に機能することがある。特に、フェノール系酸化防止剤とサリシレート系紫外線吸収剤とヒンダートアミン系光安定剤の組み合わせは、(B)成分である飽和炭化水素系重合体の耐候性を顕著に改善するためより好ましい。
【0063】
老化防止剤の配合量は、(A)成分100部に対して1〜1000部程度が好ましく、10〜100部が更に好ましい。配合量が1部未満の場合には、耐候性の改善効果が十分でないことがあり、100部をこえるとプライマー組成物のコストや接着性が悪くなる。
さらに、本発明のプライマー組成物には、耐候接着性をより向上させるために、耐候接着性改良剤(空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物または光重合性物質)が必要に応じて添加される。これらは単独で用いても効果があり、併用してもよい。
【0064】
前記の空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物とは、つまり、酸化重合反応性物質を示す。酸化重合反応性物質の具体例としては、不飽和高級脂肪酸とアルコールとのエステル化合物、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、C5〜C8ジエンなどのジエン系重合体や共重合体、さらには該重合体や共重合体の各種変性物(マレイン化変性体、ボイル油変性体など)などがある。
【0065】
前記の不飽和高級脂肪酸のエステル化合物の具体例を挙げると、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、リシノール酸、アラキドン酸などの高級不飽和脂肪酸と、メタノール、エタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価アルコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの3価アルコール、ペンタエリスリトールなどの4価アルコール、ソルビッドなどの6価アルコールや、ケイ素原子に結合した有機基を介して水酸基を有する有機ケイ素化合物などから選択されるアルコールとの縮合反応より得られるエステル化合物がある。
【0066】
これらのエステル化合物の中でも、不飽和高級脂肪酸とグリセリンとのエステルであるトリグリセリンエステルを主成分とする亜麻仁油、桐油、大豆油、アサ実油、イサノ油、ウルシ核油、エゴマ油、オイチシカ油、カヤ油、クルミ油、ケシ油、サクランボ種子油、ザクロ種子油、サフラワー油、タバコ種子油、トウハゼ核油、ゴム種子油、ヒマワリ種子油、ブドウ核油、ホウセンカ種子油、ミツバ種子油などの乾性油が、安価で、簡便に入手できるためにより好ましい。
【0067】
前記の乾性油の中でも、エレオステアリン酸、リカン酸、プニカ酸、カヌルピン酸などの共役系不飽和高級脂肪酸のトリグリセリンエステルを主成分として有する、桐油、オイチシカ油、ザクロ種子油、ホウセンカ種子油などは、耐候性改善効果が高いためにより好ましい。
この空気中の酸素と反応することにより重合をおこす不飽和基を分子中に有する化合物は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0068】
上記の光重合性物質とは、つまり、光を照射することによって分子内の二重結合が活性化することにより、重合反応を起こす不飽和基を有する化合物である。この光重合性物質中に含まれる光重合性不飽和基の代表例としては、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、ビニルアミノ基、アセチレン性不飽和基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、シンナモイル基等を挙げることができるが、これらの中でもアクリロイル基またはメタクリロイル基が光開始効率が高いために、好ましい。
【0069】
前記、アクリロイル基またはメタクリロイル基を感光基とする光重合性物質の例としては、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド誘導体、(メタ)アクリレート等を挙げることができるが、これらの中でも(メタ)アクリレートが、種類が多く入手しやすい等の理由から、より好ましい。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものである。
【0070】
前記、(メタ)アクリレートの具体例としては、官能基を2個有するプロピレン(又はブチレン、エチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、官能基を3個有するトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、官能基を4個以上有するペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、オリゴマーの具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、等の分子量10000以下のオリゴエステルを挙げることができる。1分子中のアクリル系又はメタクリル系不飽和基の数は、2個以上が好ましく、3個以上がさらに好ましい。前記不飽和アクリル系化合物の耐候接着性改善効果は官能基の数が多いほど大きい。
【0071】
光重合性物質は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
耐候接着性改良剤の配合量は、(A)成分100部に対して1〜1000部程度が好ましく、10〜100部が更に好ましい。配合量が1部未満の場合には、耐候接着性の改善効果が十分でないことがあり、1000部をこえるとプライマー組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
【0072】
本発明のプライマー組成物には、各種充填材が必要に応じて用いられる。前記充填材の具体例としては、たとえば、木粉、パルブ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸マグネシウム、石英、アルミニウム微粉末、フリント粉末、亜鉛末などがあげられる。これら充填材のうちでは沈降性シリカ、ヒュームシリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。これらの充填材は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。充填材を用いる場合の使用量は(A)成分100部に対して1〜10000部が好ましく、10〜1000部がさらに好ましい。
【0073】
本発明のプライマー組成物には、(A)成分〜(D)成分や先に記載した可塑剤、溶剤、老化防止剤、耐候接着性改良剤および充填材の他に、必要に応じて各種添加剤が添加される。
このような添加物の例としては、たとえば、生成する硬化被膜の引張特性を調整する物性調整剤、貯蔵安定性改良剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、タレ防止剤、滑剤、顔料、発泡剤などがあげられる。
【0074】
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特許公報第2512468号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
本発明のプライマー組成物は、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材に用いた場合に有効であり、特に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を主成分とするシーリング材(例えば特公平4−69659号公報に開示されたイソブチレン系シーリング材)に適用した場合に接着性が良好であるため好ましい。
【0075】
本発明のプライマー組成物は、鉄,ステンレススチール,アルミニウム,ニッケル,亜鉛,銅などの各種金属、アクリル樹脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリブチレンテレフタレート樹脂,アルカリ処理されたフッ素樹脂などの合成樹脂材料、ガラス,セラミック,セメント,モルタル等の無機材料、および、変性シリコーン系,シリコーン系,ポリウレタン系,アクリルウレタン系,ポリサルファイド系,変性ポリサルファイド系,ブチルゴム系,アクリル系,SBR系,含フッ素系,イソブチレン系などのシーリング材と、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材とを強固に接着させることができる。特に困難とされていた先打ちシリコーン系シーリング材などのシリコーンゴムに対する接着性を著しく改善できる。
【0076】
本発明のプライマー組成物は通常採用されているコーティング法、例えば、ハケ塗り法、スプレーコーティング法、ワイヤバー法、ブレード法、ロールコーティング法、ディッピング法などを用いて基材にコーティングできる。本発明のプライマー組成物は通常常温にて被膜形成しうるが、被膜形成速度を調整するために各温度条件下で被膜形成を行っても良い。
【0077】
【実施例】
つぎに実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
【製造例1】
2Lの耐圧ガラス製容器に、三方コックを取り付け、容器内を窒素置換した後、注射器を用いて容器内に、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)138mlおよびトルエン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)1012ml、p−DCC(下記化合物)8.14g(35.2mmol)を加えた。
【0079】
【化9】
【0080】
次にイソブチレンモノマー254ml(2.99mol)が入っているニードルバルブ付耐圧ガラス製液化採取管を、三方コックに接続して、重合容器を−70℃のドライアイス/エタノールバス中につけて冷却した後、真空ポンプを用いて容器内を減圧にした。ニードルバルブを開け、イソブチレンモノマーを液化ガス採取管から重合容器内に導入した後、三方コック内の一方から窒素を導入することにより容器内を常圧に戻した。次に、2−メチルピリジン0.387g(4.15mmol)を加えた。次に、四塩化チタン4.90ml(44.7mmol)加えて重合を開始した。反応時間70分後に、アリルトリメチルシラン9.65g(13.4mmol)を加えてポリマー末端にアリル基の導入反応を行った。反応時間120分後に、反応溶液を水200mlで4回洗浄したあと、溶剤を留去することによりアリル末端イソブチレン系重合体を得た。
【0081】
次いで、こうして得られたアリル末端イソブチレンポリマ−200gと、炭化水素系可塑剤であるパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)60gを混合し、約75℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン1.5[eq/ビニル基]、白金(ビニルシロキサン)錯体5x10−5[eq/ビニル基]を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行い、約20時間で1640cm−1のオレフィン吸収が消失した。
【0082】
目的とする両末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマ−(下記化合物)と可塑剤であるPS−32との混合物(10/3の重量比)が得られた。
【0083】
【化10】
【0084】
こうして得られたポリマ−の収量より収率を算出するとともに、Mn及びMw/MnをGPC法により、また末端構造を300MHz1H−NMR分析により各構造に帰属するプロトン(開始剤由来のプロトン:6.5〜7.5ppm、ポリマ−末端由来のケイ素原子に結合したメチルプロトン:0.0〜0.1ppm及びメトキシプロトン:3.4〜3.5)の共鳴信号の強度を測定、比較することにより求めた。1H−NMRは、Varian Gemini300(300MHz for 1H)を用い、CDCl3中で測定した。
【0085】
なお、FT−IRは島津製作所製IR−408、GPCは送液システムとしてWaters LC Module1、カラムはShodex K−804を用いて行った。分子量はポリスチレンスタンダードに対する相対分子量で与えられる。ポリマーの分析値は、Mn=5780、Mw/Mn=1.28、Fn(シリル)=1.93であった。(数平均分子量はポリスチレン換算、末端シリル官能基数はイソブチレンポリマー1分子当たりの個数)。
【0086】
【製造例2】
添加量をエチルシクロヘキサン262.5ml、トルエン787.5ml、イソブチレンモノマー438ml(5.15mol)、p−DCC4.85g(21.0mmol)、2−メチルピリジン0.72g(7.7mmol)、アリルトリメチルシラン7.20g(63.0mmol)に変えた以外は製造例1と同様にしてアリル末端イソブチレン系重合体を合成した。
【0087】
次いで、こうして得られたアリル末端イソブチレンポリマ−400gと、炭化水素系可塑剤であるパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)200gを混合し、約75℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン2.4[eq/ビニル基]、白金(ビニルシロキサン)錯体7.5x10−5[eq/ビニル基]を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行い、約20時間で1640cm−1のオレフィン吸収が消失した。
【0088】
目的とする両末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマ−(下記化合物)と可塑剤であるPS−32との混合物(2/1の重量比)が得られた。
ポリマーの分析値は、Mn=17600、Mw/Mn=1.23、Fn(シリル)=1.96であった。
【0089】
【実施例1〜3および比較例1〜3】
(A)成分の有機チタン酸エステル類であるテトラ−n−ブチルチタネート(和光純薬工業(株))と、製造例1で得られた(B)成分の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体(PIB)とパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)の混合物(重量比:PIB/PS−32=10/3)、(C)成分のシランカップリング剤であるN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名KBM−573)またはγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名A−1120)、(D)成分のシラノール縮合触媒であるジブチル錫ビスアセチルアセトナート(日東化成(株)製、商品名ネオスタンU−220)、および、溶剤としてn−ヘキサン(和光純薬工業(株))を表1に示す重量比で混合し、プライマー組成物を調製した。
【0090】
【表1】
【0091】
一方、以下の方法によりイソブチレン系シーリング材の主剤と硬化剤を作成し、このシーリング材を用いて接着性試験を行った。
製造例2で得られた(A)成分の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体(PIB)とパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)の混合物(重量比:PIB/PS−32=2/1)150部に対して、水添α−オレフィンオリゴマー(出光石油化学(株)製、商品名PAO5004)60部、膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名シーレッツ200)50部、膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名MC−5)50部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名ソフトン3200)40部、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート828)5部、光硬化性樹脂(東亜合成(株)製、商品名アロニックスM−309)3部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)製、商品名イルガノックス1010)1部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(日本チバガイギー(株)製、商品名チヌビン327)1部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名サノールLS−770)1部、H2O5部を各計量、混合し小型3本ペイントロールで3回混練した組成物を主剤とした。
【0092】
硬化剤として、オクチル酸錫(日東化成(株)製、商品名ネオスタンU−28)3部、ラウリルアミン(和光純薬工業(株))0.75部、パラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)6.25部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名ソフトン3200)10部、酸化チタン(石原産業(株)製、商品名タイペークR−820)10部、カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名カーボンブラック#30)0.2部を各計量、混合し小型ホモジナイザーで混練し組成物を硬化剤とした。
【0093】
引張接着性試験方法は以下の方法により評価した。JIS A−5758に準拠したフロートガラス(広苑社製:日本シーリング材工業会指定、寸法:5×5×0.5cm)をメチルエチルケトン(和光純薬工業(株))で洗浄し、表1のプライマーを1回塗布した。また、十分に硬化養生された寸法:4×3×1cmの大きさのシリコン系シーリング材(横浜ゴム(株)製、商品名シリコーン70)をカッターナイフで2つに切断し(寸法:4×3×0.5cm)、その切断面をトルエン(和光純薬工業(株))で洗浄した後に、表1のプライマーを1回塗布した。23℃で1時間以上放置し被膜形成したプライマー層上に、上記のイソブチレン系シーリング材の主剤と硬化剤を主剤/硬化剤=100/10の重量比で秤量して充分混練したものを5mmの厚さで塗布し、オーブン中で硬化させた。養生条件はいずれも、23℃×2日+50℃×4日である。養生後、接着面をカッターナイフで切り込みながら手剥離試験を行った。剥離された基材の表面を観察し、凝集破壊した部分の比率を凝集破壊率(%)とした。プライマーの配合組成、および、接着性試験の測定結果を表1にまとめて示す。
【0094】
比較例1〜3で示すプライマー組成物は、フロートガラスに対する接着性が悪く、凝集破壊率はいずれも0%である。また、先打ちシーリング材であるシリコーン系シーリング材に対する打継ぎ性は悪く全て界面破壊を示している。一方、(A)成分である有機チタン酸エステル類を含有する実施例1〜3のプライマー組成物は、フロートガラスに対する接着性が良好であり、シリコーン系シーリング材に対しても凝集破壊を示している。
【0095】
以上のように、(A)有機チタン酸エステル類を含有するプライマー組成物は、各種基材と反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材との接着性、特に、シリコーン系シーリング材(先打ちシーリング材)とイソブチレン系シーリング材(後打ちシーリング材)との打継ぎ界面での接着性を著しく改善する。
【0096】
【発明の効果】
本発明のプライマー組成物は、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材に適用した場合に、各種基材に対する接着性、および、シリコーン系シーリング材に対する打継ぎ性を著しく改善することができる。
Claims (8)
- (A)有機チタン酸エステル類、
(B)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、及び、
(C)シランカップリング剤
を含有することを特徴とするプライマー組成物であって、
ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材と、基材とを接着するプライマー組成物。 - (D)成分として、シラノール縮合触媒をさらに含有する請求項1記載のプライマー組成物。
- (A)成分の有機チタン酸エステル類が、一般式(1)、
Ti(OR) 4 (1)
(式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のプライマー組成物。 - (B)成分の飽和炭化水素系重合体が、数平均分子量が500〜50000の範囲内にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端に、一般式(2)、
- (B)成分の飽和炭化水素系重合体が、イソブチレンに起因する繰り返し単位の総量が50重量%以上有することを特徴とする重合体である請求項1〜4のいずれかに記載のプライマー組成物。
- (C)成分のシランカップリング剤が、イソシアネート基含有シランカップリング剤および/またはアミノ基含有シランカップリング剤である請求項1〜5のいずれかに記載のプライマー組成物。
- (A)有機チタン酸エステル類100重量部に対して、(B)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体1〜100000重量部を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプライマー組成物。
- (A)有機チタン酸エステル類、(B)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、及び、(C)シランカップリング剤を含有するプライマー組成物を基材上に塗布した後、
該塗布面に、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材を接着させることを特徴とする
該シーリング材の基材への接着方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01276198A JP3844870B2 (ja) | 1998-01-26 | 1998-01-26 | プライマー組成物および接着方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01276198A JP3844870B2 (ja) | 1998-01-26 | 1998-01-26 | プライマー組成物および接着方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11209701A JPH11209701A (ja) | 1999-08-03 |
JP3844870B2 true JP3844870B2 (ja) | 2006-11-15 |
Family
ID=11814393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01276198A Expired - Fee Related JP3844870B2 (ja) | 1998-01-26 | 1998-01-26 | プライマー組成物および接着方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3844870B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108298909A (zh) * | 2018-03-06 | 2018-07-20 | 广东电网有限责任公司电力科学研究院 | 一种隔声复合材料及其制备方法 |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4548627B2 (ja) * | 1999-11-26 | 2010-09-22 | コニシ株式会社 | 2成分形シリコーン系シーリング材への打継ぎ用プライマー組成物 |
JP4666737B2 (ja) * | 2000-03-08 | 2011-04-06 | 株式会社カネカ | プライマー組成物および接着方法 |
JP2002121581A (ja) * | 2000-10-13 | 2002-04-26 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 精製共役トリエン脂肪酸含有油脂及びその製造方法 |
JP4552334B2 (ja) * | 2001-02-01 | 2010-09-29 | 横浜ゴム株式会社 | 一液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物 |
EP1231222B1 (en) * | 2001-02-09 | 2005-04-13 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Room temperature curable compositions |
JP2004307723A (ja) | 2003-04-09 | 2004-11-04 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 室温速硬化性飽和炭化水素系重合体組成物及び複層ガラス |
EP2760957B1 (en) * | 2011-09-29 | 2016-02-24 | 3M Innovative Properties Company | Catalyzing amino-substituted organosilane ester primers |
CN104830225B (zh) * | 2015-01-27 | 2017-10-10 | 杭州师范大学 | 一种提高硅橡胶与聚丙烯材料之间粘接强度的底涂剂及其制备方法 |
JP7077707B2 (ja) * | 2018-03-28 | 2022-05-31 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 定着部材、定着装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 |
-
1998
- 1998-01-26 JP JP01276198A patent/JP3844870B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108298909A (zh) * | 2018-03-06 | 2018-07-20 | 广东电网有限责任公司电力科学研究院 | 一种隔声复合材料及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11209701A (ja) | 1999-08-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0934956B1 (en) | Curable composition | |
JP4666737B2 (ja) | プライマー組成物および接着方法 | |
EP1099728B1 (en) | Curable composition | |
JP5081673B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
JP4150220B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
US6451439B2 (en) | Primer composition and method of effecting adhesion for sealing compositions | |
US6335412B1 (en) | Curable composition | |
JP3844870B2 (ja) | プライマー組成物および接着方法 | |
JP4676596B2 (ja) | プライマー組成物および接着方法 | |
JPH11209702A (ja) | プライマー組成物および接着方法 | |
JPH11343429A (ja) | プライマ―組成物および接着方法 | |
JP3774559B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2001262066A (ja) | プライマー組成物および接着方法 | |
JP3608898B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2002105265A (ja) | 一液型硬化性組成物 | |
JP2001262040A (ja) | プライマー組成物および接着方法 | |
JP3640813B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
US20010053806A1 (en) | Curable composition | |
JP2001262049A (ja) | プライマー組成物および接着方法 | |
JPH11209538A (ja) | 硬化性組成物 | |
JPH09286895A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2002201369A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2002080665A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2013116976A (ja) | 一液型湿気硬化性組成物、この組成物からなるシール材及びこのシール材を用いた太陽電池モジュール | |
JP2001262054A (ja) | プライマー組成物および接着方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040622 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040820 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20040820 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060725 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060817 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110825 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120825 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |