JP3772711B2 - 路車間通信システム,車載器,路上機 - Google Patents

路車間通信システム,車載器,路上機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路車間通信に使用されている二つの方式(パッシブ,アクティブ)が混在する路車間通信システム、及び両方式や路車間通信を介した種々のアプリケーションに対応可能な車載器,路上機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に搭載された車載器、及び車両の走行路近傍に設置された路上機との間で双方向通信を行うことにより、有料道路における料金自動収受(ETC)等を実現するための通信方式として、DSRC(Dedicated Short Range Communication) が知られている。この通信方式には二つの方式、即ち、車載器から路上機への上り信号の送信を、路上機から車載器への下り信号に続けて送信されてくる搬送波を変調して返送することにより行うパッシブ方式(ヨーロッパ,中国,東南アジアで採用)と、上り信号の送信を、下り信号とは異なる周波数帯を用いて車載器が自律的に行うアクティブ方式(日本で採用)とが存在している。
【0003】
このため将来的には、道路が続いていても、政治的な管轄や法律が変わる境界(国境など)にて、ETCに使用されている通信方式がパッシブ方式からアクティブ方式(又はその逆)に変わってしまったり、上記境界を挟んだ地域では、両方式の路上機が混在して配置されることが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そして、前者の場合、いずれか一方の方式に対応した車載器しか搭載していない車両では、車両を停止することなく料金収受を行えるという利便性が、上記境界を越えることによって損なわれてしまうだけでなく、通信方式の異なる路上機とは通信ができないため、このような路上機によって違反車両として取り扱われてしまう可能性があるという問題があった。
【0005】
また、後者の場合、アクティブ方式とパッシブ方式とでは、使用する周波数帯の一部が互いに重なり合っているため、干渉が生じて通信品質が劣化し、通信不能となるおそれがあるという問題があった。
即ち、図21に斜線にて示すように、アクティブ方式には、5795MHz,5805MHz,5835MHz,5845MHzを中心周波数とする帯域幅が5MHzの四つの周波数帯Fad1,Fad2,Fau1,Fau2が、路上器から車載器への下り信号用(Fad1,Fad2)、及び車載器から路上機への上り信号用(Fau1,Fau2)に、それぞれ二つずつ割り当てられ、一方、パッシブ方式には、5797.5MHz,5802.5MHz,5807.5MHz,5812.5MHzを中心周波数とする帯域幅が5MHzの四つの周波数帯Fp1〜Fp4が、いずれも双方向の通信用に割り当てられている。従って、アクティブ方式のFad1はパッシブ方式のFp1と、アクティブ方式のFad2はパッシブ方式のFp2,Fp3と干渉を起こす可能性があるのである。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するために、路車間通信で用いられる二つの方式(アクティブ,パッシブ)のいずれにも対処可能な車載器,路上機、及び路車間通信システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための発明である請求項1記載の車載器では、第1車側通信手段が、受信した下り信号とは異なる周波数帯を用いて上り信号を自律的に送信するアクティブ方式により路上機との通信を行い、第2車側通信手段が、受信した質問信号に対し、該質問信号に続いて受信する無変調の搬送波を応答信号にて変調し返送することで応答するパッシブ方式により路上機との通信を行う。
【0013】
そして、路上機の通信エリアに進入すると、周波数識別手段にて、路上機から送信される信号の周波数帯を識別し、車側切替制御手段は、その識別された周波数帯が、第2車側通信手段の専用周波数帯に属する場合には、第2車側通信手段による路車間通信を行い、それ以外の周波数帯に属する場合には、第1車側通信手段による路車間通信を試みて、通信不能であれば第2車側通信手段へ切り替えることにより、通信可能な車側通信手段をサーチする。
従って、本発明の車載器によれば、路上機がアクティブ方式或いはパッシブ方式のいずれか一方に対応した専用の機種であったとしても、これと確実に通信することができる。
【0014】
しかも、路上機が路車間通信に使用する周波数帯が第2車側手段の専用周波数帯である場合には、サーチ動作を行うことなく、直ちに第2車側手段による路車間通信を開始させているので、通信開始までに要する平均時間を短縮することができる。
【0016】
次に請求項記載の車載器では、路上機の通信エリアに進入すると周波数識別手段にて、路上機から送信される信号の周波数帯を識別し、車側切替制御手段は、その識別された周波数帯が、第2車側通信手段の専用周波数帯に属する場合には、第2車側通信手段による路車間通信を行い、それ以外の周波数帯に属する場合には、第1及び第2車側通信手段を並列動作させ、正常な出力が得られた側を継続して動作させる。
従って、本発明の車載器によれば、路上機がアクティブ方式及びパッシブ方式のいずれか一方のみに対応した専用の機種であったとしても、これと確実に通信することができ、しかも必要最小限の時間で、路上機との通信を開始させることができる。
【0017】
ここまでは、いずれの通信方式にも対処できるように構成した車載器について説明したが、以下では、いずれの通信方式にも対処できるように構成した路上機について説明する。
まず、請求項記載の路上機では、アクティブ方式の車載器との通信を行う第1路側通信手段と、パッシブ方式の車載器との通信を行う第2路側通信手段とを備え、これら第1及び第2路側通信手段を、それぞれの通信エリアが車両の走行経路に沿って且つ互いに重なり合うことなく配置されるよう設定している。従って、走行経路に沿って走行する車両は、第1及び第2路側通信手段の各通信エリアをいずれも通過することになる。
【0018】
このように、本発明の路上機によれば、両通信方式の通信エリアが空間的に分離されているため、両通信方式で同じ周波数帯が用いられていたとしても、両通信方式の信号が干渉を起こすことがなく、いずれの通信方式の車載器に対しても良好な通信品質が確保される。その結果、車両に搭載された車載器が、いずれか一方の通信方式に専用のものであったとしても、これと確実に通信することができる。
【0020】
また次に請求項記載の路上機では、第1及び第2路側通信手段を、それぞれの通信エリアが一致するように設定し、路側切替制御手段が、予め設定されたタイミングに従って、第1或いは第2路側通信手段のいずれかを択一的に動作させている。
【0021】
このように、本発明の路上機によれば、両通信方式の信号が時間的に分離されているため、両通信方式の通信エリアが同じであっても、両通信方式の信号が干渉を起こすことがなく、いずれの通信方式の車載器であっても良好な通信品質が確保される。その結果、車両に搭載された車載器が、いずれか一方の通信方式に専用のものであったとしても、これと確実に通信することができる。
【0022】
なお、路側切替制御手段が、動作させる路側通信手段(即ち通信方式)を切り替えるタイミングとしては、それぞれが用いる通信フレームの単位で切り替えるようにしてもよいが、例えば、請求項記載のように、アクティブ方式の通信フレームとして、複数の車載器との同時通信が可能なようにデータ用スロットを複数設けたものが用いられている場合には、第1路側通信手段による使用が禁止されたデータ用スロットを少なくとも一つ設定し、そのデータ用スロットの期間に第2路側通信手段を動作させるようにしてもよい。
【0023】
更に、路側切替制御手段は、請求項記載のように、路上機との通信を必要とするアクティブ方式の車載器が、アクティブ方式用に確保されたデータ用スロットの数より少なく、データ用スロットに空きがある場合、該スロット期間でも第2路側通信手段を動作させるようにしてもよい。
【0024】
この場合、データ用スロットが効率よく使用され、1度に1つの車載器としか通信できないパッシブ方式での通信を、短時間で終了させることができ、処理能力を向上させることができる。
ところで、上述の方法では、いずれかがアクティブ,パッシブ両方式の通信手段を持ち、これを切り替えて使用しているため、それぞれの通信方式の手順に変更を加える必要がなく従来装置を利用して簡単に構成できるが、装置が大型化してしまうことが予想される。
【0025】
この問題を解決するため、請求項記載の路車間通信システムでは、図22に示すように、車間通信用の通信フレームとして、車載器が路上機に対する通信要求を書き込むための上り制御用スロット(ACTSに対応)、この上り制御用スロットに書き込まれた通信要求に基づき、通信を許可する車載器に対して割り当てられる複数のデータ用スロット(MDSに対応)、データ用スロット及び上り制御用スロットより先に送出され、データ用スロットの割当状態を路上機が車載器に対して通知するための下り制御用スロット(FCMに対応)からなるアクティブ方式用のものを使用し、この通信フレームを用いてパッシブ方式での通信も可能となるように、路上機及びパッシブ方式の車載器を以下のように構成する。
【0026】
即ち、路上機は、上り制御用スロットの期間、及びパッシブ方式の車載器に割り当てられたデータ用スロット内の下り信号に続く期間に無変調の搬送波を送信し、この搬送波を変調することでパッシブ方式の車載器から返送されてくる応答信号を、アクティブ方式の車載器からの上り信号と同等のものとして処理する。
【0027】
一方、パッシブ方式の車載器は、下り制御用スロットをポーリング信号とみなして、上り制御用スロットの期間に送信されてくる無変調の搬送波をポーリング信号に対する応答信号にて変調し返送すると共に、下り制御用スロットに当該車載器に対するデータ用スロットの割当が示されている場合、該割り当てられたデータ用スロットの期間に受信する下り信号を問合信号とし、該下り信号に引き続いて送信されてくる無変調の搬送波を、問合信号に対する応答信号にて変調し返送する。
【0028】
このように、本発明の路車間通信システムによれば、パッシブ方式の処理を一部変更して、アクティブ方式の処理と共通の通信フレームを用いて処理できるようにされており、両通信方式の車載器との通信を共通に処理することが可能なため、両通信方式の車載器に対処可能な路上機の構成を大幅に簡易化できる。
【0029】
また、アクティブ方式の上り/下り信号、パッシブ方式の問合/応答信号に用いるコマンド、及びこれらのコマンドを用いた通信手順も共通化すれば、これらの信号に対する処理も、アクティブ,パッシブの違いを意識することなく行うことができる。
【0030】
なお、請求項記載の路車間通信システムにおいて、路側器は、例えば請求項記載のように、下り制御用スロット,データ用スロット,上り制御用スロットからなる通信フレームを用いてアクティブ方式にて車載器との通信を行いう路側通信手段に加えて、上り制御用スロットの期間、及びパッシブ方式の車載器に割り当てられたデータ用スロット内の下り信号に続く期間に無変調の搬送波を送信する搬送波送信手段を設け、路側通信手段は、搬送波を変調することでパッシブ方式の車載器から返送されてくる応答信号を、アクティブ方式の車載器からの上り信号と同等のものとして処理するように構成すればよい。
【0031】
同じく請求項記載の路車間通信システムにおいて、アクティブ方式の車載器は、従来のものをそのまま用いることができるが、パッシブ方式の車載器は、例えば請求項記載のように、路上機の通信エリアに進入すると、第1応答手段が、下り制御用スロットをポーリング信号とみなして、上り制御用スロットの期間に送信されてくる無変調の搬送波を、ポーリング信号に対する応答信号にて変調し返送し、第2応答手段が、下り制御用スロットにて当該車載器に対するデータ用スロットの割当が示されている場合、割り当てられたデータ用スロットの期間に受信する下り信号を問合信号とし、その下り信号に引き続いて送信されてくる無変調の搬送波を、問合信号に対する応答信号にて変調し返送するように構成すればよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、アクティブ方式の路車間通信によりETCアプリケーションの提供を行う路上機、パッシブ方式の路車間通信によりETCアプリケーションの提供を行う路上機が混在する第1実施形態の路車間通信システムにおいて、いずれの路上機とも通信可能な車載器の構成を表すブロック図である。
【0040】
なお、アクティブ方式の路車間通信、及びパッシブ方式の路車間通信では、いずれも図22に示す周知の通信フレームが使用されるものとする。
即ち、アクティブ方式の路車間通信では、3台の車載器との同時通信が可能なように3個のメッセージデータスロット(MDS)を備え、そのMDSの前に、路上機が車載器に対してMDSの割当状態を通知するためのフレームコントロールメッセージチャネル(FCM)、MDSの後に、車載器が路上機に対して存在を知らせるためのアクティベーションスロット(ACTS)とからなる通信フレームが用いられている(図22(a)参照)。なお、FCM,MDS,ACTSがそれぞれ本発明における下り制御用スロット,データ用スロット,上り制御用スロットに相当する。
【0041】
また、パッシブ方式の路車間通信では、路上機が車載器に所望のデータを送信させるためのポーリング信号、問合信号を送信した後、引き続き予め設定された期間だけ無変調の搬送波を送信し、この搬送波をポーリング信号や問合信号に対応した応答信号にて変調して返送する方法が用いられている(図22(b)参照)。
【0042】
但し、従来技術の欄にて説明したように(図21参照)、アクティブ方式において、路上機から車載器への下り信号用のダウンリンクでは二つの周波数帯Fad1,Fad2、車載器から路上機への上り信号用のアップリンクでは二つの周波数帯Fau1,Fau2がそれぞれ使用され、一対の周波数帯Fad1とFau1(二つを総称する場合はFa1)、又はFad2とFau2(同じくFa2)のいずれかを用いて双方向の通信を行うようにされている。また、パッシブ方式では四つの周波数帯Fp1〜Fp4が使用され、いずれか一つの周波数帯を用いて双方向の通信を行うようにされている。
【0043】
以下では、他の周波数帯との重なりのない周波数帯Fp4を、パッシブ専用周波数帯とよび、周波数帯Fad1〜Fad2(即ちFp1〜Fp3が含まれる)を、共用周波数帯とよぶ。
図1に示すように、本実施形態の車載器10は、アンテナ11にて受信された受信信号から、指定された特定周波数帯の信号成分を抽出し、その受信レベル(電界強度)を測定する電界強度検出部12と、アンテナ11を介してアクティブ方式にて路上機との通信を行う第1車側通信手段としてのアクティブ通信部13と、アンテナ11を介してパッシブ方式にて路上機との通信を行う第2車側通信手段としてのパッシブ通信部14と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、上記各部12〜14を制御し、路上機との通信により得られたデータの処理等を実行するデータ処理部15とを備えている。なお、データ処理部15には、図示しないが、料金精算のためにICカードリーダライタ等を備えた課金処理装置が接続される。
【0044】
ここでデータ処理部15が実行するメイン処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
本処理が起動すると、まず電界強度検出部12に測定指令を出力し、周波数帯Fad1の下限周波数から周波数帯Fp4の上限周波数までをスキャンさせ(S110)、測定した電界強度が予め設定された下限値以上であるか否かを監視する(S120)。
【0045】
電界強度が下限値より小さければ、S110に戻って測定を繰り返し、電界強度が下限値以上であれば、当該車載器10を搭載した車両が路上機の通信エリアに進入したものとして、その時の周波数を検出周波数として記憶し(S130)、その検出周波数がパッシブ専用周波数帯Fp4に属しているか否かを判断する(S140)。
【0046】
検出周波数がパッシブ専用周波数帯Fp4に属していなければ、検出周波数が属する周波数帯を、アクティブ方式のダウンリンク用周波数帯Fad1,Fad2の中から特定し、その特定された周波数帯Fadi(i=1又は2)、及びこれと対になるアップリング用の周波数帯Fauiを用いて通信を行うようアクティブ通信部13を設定し、これを起動することにより(S150)、アクティブ方式による路車間通信を開始させる。
【0047】
その後、アクティブ通信部13による通信が終了したか否かを判断し(S160)、通信が終了すると、その終了が、信号は受信するが内容を解析できない解析不能によるものか否かを判断する(S170)。そして、通信終了が解析不能によるものでなければ、そのままS110に戻り、一方、解析不能によるものであれば、先のS130にて記憶された検出周波数が属する周波数帯を、パッシブ方式用の周波数帯Fp1〜Fp4の中から特定し、その特定された周波数帯を用いて通信を行うようパッシブ通信部14を設定し、これを起動することにより(S180)、パッシブ方式による路車間通信を開始させる。
【0048】
その後、パッシブ通信部14による通信が終了したか否かを判断し(S190)、通信が終了するとS110に戻る。
一方、S140にて、検出周波数がパッシブ専用周波数帯に属していると判断された場合には、S180に移行し、以下、先に説明した通りパッシブ通信部14を設定,起動し、パッシブ方式による路車間通信を開始させる。但し、この場合、通信には周波数帯Fp4が使用されることになる。
【0049】
なお、本処理において、S150〜S190が本発明における車側切替制御手段に相当し、S110,S120及び電界強度検出部12が、周波数識別手段に相当する。
つまり、本処理では、電界強度が下限値以上となる検出周波数が、パッシブ専用周波数帯に属する場合には、直ちにパッシブ方式による路車間通信を行い、それ以外の共用周波数帯に属する場合には、最初、アクティブ方式による路車間通信を試み、受信信号を解析できず通信に失敗した場合には、パッシブ方式に切り替えて路車間通信を行うようにされている。
【0050】
ここで、アクティブ通信部13の動作を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
図示の如く、アクティブ通信部13が起動すると、まず、アンテナ11を介して何等かの信号を受信したか否かを判断し(S210)、信号を受信していれば、その信号はFCMであるか否かを判断する(S220)。
【0051】
そして、受信した信号がFCMである場合には、その内容を解析し、自車両に対してMDSが割り当てられているか否かを判断し(S230)、割り当てられていなければ、ACTSの送信タイミングを待って(S240)、自車両(車載器10)の存在を路上機に知らせるための応答データの送信(S250)を行った後、S210に戻る。この応答データには、少なくとも当該車載器10或いは当該車載器10を搭載した車両を特定するための識別番号(以下「車両ID」という)が含まれている。
【0052】
一方、FCMの内容を解析した結果、自車両に対してMDSが割り当てられていれば(S230−YES)、その割り当てられたMDSのタイミングまで待機し(S260)、そのタイミングで下り信号を受信したか否か、また受信した下り信号の内容であるMDSコマンドが正常なものであるか否かを判断する(S270)。
【0053】
そして、下り信号を受信できないか、又は受信したとしてもMDSコマンドに異常がある場合には、そのままS210に戻り、一方、下り信号を受信し、且つMDSコマンドが正常であった場合には、そのMDSコマンドに対する応答データを送信する(S280)。この応答データの送信により、予め設定された手順に従った一連の通信が完了したか否かを判断し(S300)、通信が完了したのであれば、データ処理部15を構成するメモリの所定エリアに、通信が正常に終了したことを示す通信結果を記憶(S310)した後、アクティブ通信部13の動作を停止し、未だ通信が完了していないのであれば、そのままS210に戻る。
【0054】
先のS220にて、受信した信号がFCMではない場合には、アクティブ方式のフォーマットに従って解析可能な信号であるか否かを判断し(S320)、解析不能であれば、通信終了の終了理由として解析不能通知を出力(S330)した後、アクティブ通信部13の動作を停止する。この場合、先に説明したメイン処理のS180にて肯定判定されるため、引き続きパッシブ方式での路車間通信が試みられることになる。
【0055】
また、受信した信号がFCMではないが、アクティブ方式のフォーマットによって解析可能な信号である場合(S320−NO)、或いは信号を受信できない場合(S210−NO)には、アクティブ通信部13を起動後、或いは最後にFCMを受信後に、予め設定されたロック時間以上経過したか否かを判断し(S340)、ロック時間をまだ経過していなければ、そのままS210に戻り、一方、ロック時間以上経過していれば、アクティブ通信部13の動作を停止する。この場合、メイン処理のS180にて否定判定されるため、パッシブ方式での路車間通信が試みられることなく、直ちに周波数スキャン(S110)に戻ることになる。
【0056】
次に、パッシブ通信部14の動作を、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
図示の如く、パッシブ通信部14が起動されると、まず、アンテナ11を介して何等かの信号を受信したか否かを判断し(S410)、信号を受信していれば、それがポーリング信号や問合信号といった正常なものであるか否かを判断する(S420)。
【0057】
受信した信号が正常なものでなければ、そのままS410に戻り、一方、受信した信号が正常なものであれば、これに続けて送信されてくる搬送波を予め用意されている応答信号にて変調し、アンテナ11を介して返送する(S430)。この応答信号の送信により、予め設定された手順に従った一連の通信が完了したか否かを判断し(S440)、通信が完了したのであれば、通信結果をメモリの所定エリアに記憶(S450)した後、パッシブ通信部14の動作を停止し、未だ通信が完了していないのであれば、そのままS410に戻る。
【0058】
一方、信号を受信できない場合(S410−NO)には、パッシブ通信部14を起動後、或いは最後にポーリング信号又は問合信号を受信した後に、予め設定されたロック時間以上経過したか否かを判断し(S460)、ロック時間をまだ経過していなければ、そのままS410に戻り、一方、ロック時間以上経過していれば、パッシブ通信部14の動作を停止する。
【0059】
なお、S430及び先のS250,S280における応答信号/応答データは、データ処理部15にて別途実行される路車間通信を利用したアプリケーションプログラムによって適宜設定される。
以上説明したように、本実施形態の車載器10においては、アクティブ方式による路車間通信が可能なアクティブ通信部13、及びパッシブ方式による路車間通信が可能なパッシブ通信部14を備え、路上機の通信エリアに進入した時には、両通信部13,14を順次切り替えるサーチ動作を行い、通信可能となる方を用いて、路上機との路車間通信を行うようにされている。
【0060】
従って、本実施形態の車載器10によれば、路上機がアクティブ方式,パッシブ方式のいずれで路車間通信を行うものであっても、これと確実に通信を行うことができる。
しかも、本実施形態では、路上機が路車間通信に使用する周波数帯が、パッシブ専用周波数帯である場合には、サーチ動作を行うことなく、直ちにパッシブ方式による路車間通信を開始させているので、通信開始までに要する平均時間を短縮することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、周波数スキャンにより検出された検出周波数が、共用周波数帯に属している場合、まず、アクティブ通信部13を起動して、アクティブ方式による路車間通信を試み、通信できなかった場合に、パッシブ通信部14に切り替えて、パッシブ方式による路車間通信を試みるようにされているが、両通信部13,14を同時に動作させ、正常な出力が得られる方を選択して、通信を行うようにしてもよい。
【0062】
この場合、メイン処理は、図5に示すように、図2に示すフローチャートからS170を省略すると共に、アクティブ通信部13のみを起動するS150の代わりに、検出周波数に基づいて両通信部13,14の使用周波数帯の設定し、両通信部13,14を起動するS155を挿入すればよい。
【0063】
また、この場合、両通信部13,14の同時起動後、少なくとも一方は、ロック時間が経過すれば動作を停止するが、ロック時間が比較的長い場合には、いずれか一方の通信部が、有効な信号を最初に受信した時点(S220−YES,S420−YES)で、他方の通信部の動作を強制的に停止させるように構成してもよい。この場合、S155、及び通信できない側を停止させる処理が、本発明における選択制御手段に相当する。
【0064】
また、本実施形態では、アクティブ通信部13及びパッシブ通信部14にて、ロック時間が経過することにより動作を終了した場合に、特に何の処理も行っていないが、例えば、外部に設けられた警報装置(ランプやブザーなど)を作動させるようにしてもよい。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
【0065】
図6は、アクティブ方式にて路車間通信を行う車載器、パッシブ方式にて路車間通信を行う車載器が混在する第2実施形態の路車間通信システムにおいて、有料道路の料金所の各車線毎に設けられる路上機の構成を表すブロック図である。
なお、図6において、(a)は、いずれの通信方式の車載器とも通信可能な共用路上機であり、(b)は、アクティブ方式の車載器とのみ通信可能なアクティブ専用路上機、(c)は、パッシブ方式の車載器とのみ通信可能なパッシブ専用路上機である。また、通信フレームや、通信に使用する周波数帯は、第1実施形態の場合と同様である。
【0066】
まず共用路上機20aは、図6(a)に示すように、アンテナ21を介してアクティブ方式の車載器との路車間通信を行う第1路側通信手段としてのアクティブ通信部22と、アンテナ23を介してパッシブ方式の車載器との路車間通信を行う第2路側通信手段としてのパッシブ通信部24と、両通信部22,24の動作タイミングを制御する路側切替制御手段としてのタイミング制御部25と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、両通信部22,24が車載器との路車間通信にて送受するデータの処理等を実行するデータ処理部26とを備えている。
【0067】
次に、アクティブ専用路上機20bは、図6(b)に示すように、共用路上機20aからアンテナ23及びパッシブ通信部24を省略した構成を有しており、また、パッシブ専用路上機20cは、図6(c)に示すように、共用路上機20aからアンテナ21及びアクティブ通信部22を省略した構成を有している。
【0068】
そして、料金所では、これらの路上機20(20a〜20c)を適宜組み合わせることで構成され、図示しないが、各路上機20のタイミング制御部25は、互いに連動するように構成されている。
ここで、路上機20a,20bにおけるアクティブ通信部22の動作を、図7に示すフローチャートに沿って説明する。なお、アクティブ通信部22は、タイミング制御部25からの指令に従って起動する。
【0069】
図示の如く、アクティブ通信部22が起動すると、まず、データ処理部26により予めデータが設定されたFCMを送信し(S510)、続けて各MDS毎に、そのMDSが割り当てられた車載器との間でデータの送受を行うMDS処理を実行する(S520)。
【0070】
その後、ACTSのタイミングで車載器からの応答データ(車両ID)を受信したか否かを判断し(S530)、受信していなければ、そのまま本処理を終了する。一方、応答データを受信していれば、データ処理部26を構成するメモリの所定エリアに、その応答データの内容である車両IDと応答数とを記憶して(S540)、本処理を終了する。
【0071】
このS540にて記憶された車両データと応答数とに基づき、データ処理部26では、MDSの割当を行うMDS割当処理を実行し、次の通信フレームのFCMにて送信される(即ちS510にて使用される)データの設定を行うと共に、車載器との通信に割り当てられたMDSの状態を、「スロット使用中」に設定する等の処理を実行する。
【0072】
次に、先のS520におけるMDS処理の詳細を、図8に示すフローチャートに沿って説明する。本処理は、各MDSのタイミング毎に(即ち本実施形態では3回)繰り返し実行されるものとする。
図示の如く、MDS処理が起動されると、まず、データ処理部26によるMDS割当処理の結果、現在処理の対象となっているMDSの状態が「スロット使用中」である否かを判断し(S610)、「スロット使用中」でなければ、そのまま本処理を終了する。一方、当該MDSの状態が「スロット使用中」であれば、そのMDSのタイミングにて、予め用意されているMDSコマンドの送信(S620)と、車載器からの応答データの受信(S630)を行い、受信した応答データが、送信したMDSコマンドに対応した正常なものであるか否かを判断する(S640)。
【0073】
応答データが正常なものであれば、その応答データの受信によって、予め設定されたシーケンスに従った一連の通信が完了したか否かを判断し(S650)、通信が完了していなければ、次シーケンスの準備(S620にて送信すべきMDSコマンドの設定等)を行って(S660)、本処理を終了する。一方、通信が完了していれば、データ処理部26を構成するメモリの所定エリアに、通信が正常に終了したことを示す通信結果を記憶して(S670)、本処理を終了する。
【0074】
先のS640にて、応答データに異常があれば、リトライ回数のカウント値が上限値より大きいか否かを判断し(S680)、上限値以下であれば、当該処理が次回起動された時に、今回送信したものと同じMDSコマンドが先のS620にて送信されるようリトライ設定して(S690)、本処理を終了する。一方、リトライ回数のカウント値が上限値より大きければ、データ処理部26を構成するメモリの所定エリアに、通信が異常終了したことを示す通信結果を記憶して(S700)、本処理を終了する。
【0075】
このように、アクティブ通信部22では、ACTSのタイミングで応答した車載器に対してMDSを割り当て、MDS毎に異なった通信を行うことにより、最大3つの車載器との同時通信が可能なようにされている。
次に、パッシブ通信部24の動作を、図9に示すフローチャートに沿って説明する。なお、パッシブ通信部24は、アクティブ通信部22と同様に、タイミング制御部25からの指令に従って起動する。
【0076】
図示の如く、パッシブ通信部24が起動すると、まず、パッシブ方式の車載器と通信中であることを示す「パッシブ通信中」の設定が成されているか否かを判断し(S710)、「パッシブ通信中」でなければ、ポーリング信号を送信し(S720)、引き続き所定期間だけ搬送波を送信して、車載器からの応答(車両IDを表す応答信号にて搬送波を変調したもの)を受信する(S730)。
【0077】
このとき、受信した応答信号の内容がポーリング信号に対応した正常なものであるか否かを判断し(S740)、正常ではない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、受信した応答信号の内容が正常であれば、データ処理部26を構成するメモリの所定エリアに、応答信号に示された車載IDを記憶して、「パッシブ通信中」の設定を行い(S750)、次シーケンスの準備(後述するS770にて送信すべき問合信号の設定)を行って(S760)、本処理を終了する。
【0078】
先のS710にて、「パッシブ通信中」の設定がなされていれば、予め用意されている問合信号を送信し(S770)、引き続き所定期間だけ搬送波を送信して、車載器からの応答(応答信号にて搬送波を変調したもの)を受信する(S780)。
【0079】
このとき、受信した応答信号の内容が、S770にて送信した問合信号に対応した正常なものであるか否かを判断し(S790)、正常であれば、その応答信号の受信によって、予め設定されたシーケンスに従った一連の通信が完了したか否かを判断し(S800)、通信が完了していなければ、次のシーケンスの準備を行って(S760)、本処理を終了する。一方、通信が完了していれば、データ処理部26を構成するメモリの所定エリアに、通信が正常に終了したことを示す通信結果を記憶し、「パッシブ通信中」の設定を解除して(S810)、本処理を終了する。
【0080】
先のS790にて、受信した応答信号に異常があれば、リトライ回数のカウント値が上限値より大きいか否かを判断し(S820)、上限値以下であれば、当該処理が次回起動された時に、今回送信したものと同じ問合信号が先のS770にて送信されるようリトライ設定(S830)した後、本処理を終了する。一方、リトライ回数のカウント値が上限値より大きければ、データ処理部26を構成するメモリの所定エリアに、通信が異常終了したことを示す通信結果を記憶し、「パッシブ通信中」の設定を解除して(S840)、本処理を終了する。
【0081】
このように、パッシブ通信部24では、ポーリング信号に応答した車載器の中のいずれか一つと通信を行うようにされている。
次に、3つの車線L1〜L3を有する料金所を例にして、路上機20a〜20cの組合せと、その動作タイミング、即ちタイミング制御部25の制御内容について説明する。
【0082】
まず、図10(a)に示す料金所M1では、車線L1,L2に共用路上機20a、車線L3にパッシブ専用路上機20cを設置し、しかも、車線L1,L2では、アンテナ21によるアクティブ方式用の通信エリアと、アンテナ23によるパッシブ方式用の通信エリアとが、空間的に離され、互いに重なり合うことのないように設定されている。但し、図中には、各路上機の構成のうちアンテナのみが記載されている(以下、図11,図12でも同様)。
【0083】
また、車線L1の共用路上機20aでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp1,アクティブ通信用に周波数帯Fa2、車線L2の共用路上機20aでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp2,アクティブ通信用に周波数帯Fa1、車線L3のパッシブ専用路上機20cでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp3が割り当てられている。
【0084】
なお、アクティブ方式で用いるフレームの1周期(以下「アクティブ区間」という)と、パッシブ方式でポーリング信号又は問合信号の送出開始後、搬送波の送出を停止するまでの1周期(以下「パッシブ区間」という)とが、同じ長さに設定されている。
【0085】
そして、図10(b)に示すように、車線L1,L2の各共用路上機20aのタイミング制御部25は、いずれも、同一車線内において、ポーリング信号又は問合信号の送出タイミングと、FCMの送出タイミングとが異なるように、両通信部22,24の動作タイミングを制御する。
【0086】
また、車線L1〜L3の各路上機20のタイミング制御部25は連動して、車線L1,L3と車線L2とでポーリング信号又は問合信号の送出タイミングが互いに異なり、また、車線L1と車線L2とでFCMの送出タイミングが互いに異なるように、各通信部22,24の動作タイミングを制御する。
【0087】
以上のように構成された料金所M1において、共用路上機20aを使用する車線L1,L2では、アクティブ方式の通信エリアとパッシブ方式の通信エリアとを空間的に分離し、互いに干渉を起こすことがないようにされているので、アクティブ及びパッシブいずれの通信方式の車載器とも、良好な通信品質を確保でき、車載器の通信方式によらず路車間通信を介した料金自動収受を確実に行うことができる。
【0088】
なお、上記料金所M1において、共用路上機20aを使用する車線L1,L2では、同一車線のアクティブ方式とパッシブ方式とに割り当てる周波数帯を、互いに重なり合わないものを選択して組み合わせているが、互いに重なり合うものを選択して組み合わせてもよい。つまり、このように通信エリアが空間的に分離されている場合、共用路上機20aにおける両通信方式の周波数帯の組合せは任意である。
【0089】
次に、図11(a)に示す料金所M2では、車線L1に共用路上機20a、車線L2にパッシブ専用路上機20c、車線L3にアクティブ専用路上機20bを設置し、しかも、車線L1では、アンテナ21によるアクティブ方式用の通信エリアと、アンテナ23によるパッシブ方式用の通信エリアとが、互いに重なり合うように設定されている。
【0090】
また、車線L1の共用路上機20aでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp4,アクティブ通信用に周波数帯Fa1、車線L2のパッシブ専用路上機20cではパッシブ通信用に周波数帯Fp1、車線L3のアクティブ専用路上機20bではアクティブ通信用に周波数帯Fa2が割り当てられている。
なお、先に説明した料金所M1の場合と同様に、アクティブ区間とパッシブ区間とは、同じ長さに設定されている。そして、図11(b)に示すように、車線L1の共用路上機20aのタイミング制御部25では、両通信部22,24を並列動作させ、しかもポーリング信号又は問合信号の送出タイミングと、FCMの送出タイミングとが同時となるように、両通信部22,24の動作タイミングを制御する。
【0091】
また、車線L1〜L3の各路上機20のタイミング制御部25は連動し、車線L1,L3と車線L2とで、ポーリング信号又は問合信号の送出タイミング、及びFCMの送出タイミングが互いに異なるように、各通信部22,24の動作タイミングを制御する。
以上のように構成された料金所M2において、共用路上機20aを使用する車線L1では、アクティブ方式とパッシブ方式とで同一の通信エリアを周波数分割にて使用し、互いに干渉を起こすことがないようにされているので、アクティブ及びパッシブいずれの通信方式の車載器とも、良好な通信品質を確保でき、車載器の通信方式によらず路車間通信を介した料金自動収受を確実に行うことができる。
【0092】
また、料金所M2では、アクティブ方式とパッシブ方式とで同一の通信エリアを使用しているため、両通信方式の通信エリアが空間的に分離されている料金所M1と比較して、設備を小さくすることができる。
なお、上記料金所M2において、両通信方式が可能な車線L1の共用路上機20aでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp4,アクティブ通信用に周波数帯Fa1を用いているが、周波数帯が重なり合わなければよいため、アクティブ通信用に周波数帯Fa1を用いた場合には、パッシブ通信用に周波数帯Fp2,Fp3を用いてもよく、また、アクティブ通信用に周波数帯Fa2を用いた場合には、パッシブ通信用に周波数帯Fp1,Fp4を用いてもよい。
【0093】
次に、図12(a)に示す料金所M3では、車線L1,L2に共用路上機20a、車線L3にパッシブ専用路上機20cを設置し、しかも、車線L1,L2では、アンテナ21によるアクティブ方式用の通信エリアと、アンテナ23によるパッシブ方式用の通信エリアとが、互いに重なり合うように設定されている。
【0094】
また、車線L1の共用路上機20aでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp1,アクティブ通信用に周波数帯Fa2、車線L2の共用路上機20aでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp2,アクティブ通信用に周波数帯Fa1、車線L3のパッシブ専用路上機20cでは、パッシブ通信用に周波数帯Fp4が割り当てられている。
なお、先に説明した料金所M1の場合と同様に、アクティブ区間とパッシブ周期とは、同じ長さに設定されている。そして、図12(b)に示すように、車線L1,L2の各共用路上機20aのタイミング制御部25は、いずれも、アクティブ区間とパッシブ区間とが交互に現れるよう、即ち同一通信エリアを時分割して使用するように、両通信部22,24の動作タイミングを制御する。
【0095】
また、車線L1〜L3の各路上機20のタイミング制御部25は連動し、車線L1,L3と車線L2とで、ポーリング信号又は問合信号の送出タイミング、及びFCMの送出タイミングが互いに異なるように、各通信部22,24の動作タイミングを制御する。
【0096】
以上のように構成された料金所M3において、共用路上機20aを使用する車線L1,L2では、アクティブ方式とパッシブ方式とで同一の通信エリアを時分割にて使用し、互いに干渉を起こすことがないようにされているので、アクティブ及びパッシブいずれの通信方式の車載器とも、良好な通信品質を確保でき、車載器の通信方式によらず路車間通信を介した料金自動収受を確実に行うことができる。
【0097】
また、料金所M3では、アクティブ方式とパッシブ方式とで同一の通信エリアを使用しているため、両通信方式の通信エリアが空間的に分離されている料金所M1と比較して、設備を小さくすることができる。
なお、上記料金所M3において、共用路上機20aを使用する車線L1,L2では、同一車線のアクティブ方式とパッシブ方式とに割り当てる周波数帯を、互いに重なり合わないものを選択して組み合わせているが、互いに重なり合うものを選択して組み合わせてもよい。つまり、このように通信エリアを時分割で使用する場合、共用路上機20aにおける両通信方式の周波数帯の組合せは任意である。
【0098】
また、上記各例におけるタイミング制御部25は、アクティブ区間とパッシブ区間とが連続するように制御しているが、これら両区間の間にいずれの方式の送受信も行わないブランク区間が挿入されるように制御してもよい。
ところで、上記料金所M3における共用路上機20aでは、両通信部22,24の動作を、アクティブ区間及びパッシブ区間単位、即ち通信フレーム単位で切り替えているが、例えば、図13(a)に示すように、アクティブ通信部22では、その通信フレームの複数あるMDSのうちの一つ(ここではMDS0)を使用禁止とし、パッシブ通信部24では、パッシブ区間の長さを一つのMDSに収まる大きさに設定し、タイミング制御部25では、このMDS0の期間に、パッシブ通信部24を動作させるように構成してもよい。
【0099】
なお、パッシブ通信部24を動作させるために割り当てるMDSの数は、2個以上でもよく、例えば、図13(b)に示すように、複数設定されたMDS(ここでは8個)のうち、アクティブ通信部22では、偶数番目(0,2,4,6)に位置する半数のMDSを使用可能とし、奇数番目(1,3,5,7)に位置する残りの半数のMDSを使用禁止として、タイミング制御部25では、この使用禁止とされたMDSの期間のそれぞれにて、パッシブ通信部24を動作させるように構成してもよい。
【0100】
更に、パッシブ通信部24を動作させるために割り当てるMDSの数を、通信状態に応じて可変設定するように構成してもよい。この場合に、データ処理部26にて実行されるMDS割当処理を、図14に示すフローチャートに沿って説明する。但し、アクティブ通信部22及びパッシブ通信部24の動作は、図7〜図9のフローチャートにて説明したものと全く同様である。
【0101】
図示の如く、本処理が起動すると、アクティブ方式にて現在通信中の車載器の数CAが、アクティブ方式にて同時通信可能な最大数SAmax(ここでは2)より小さく(CA<SAmax)、新たなアクティブ方式の通信を開始させることが可能な空きMDSがあるか否かを判断し(S910)、空きMDSがあれば、先のS540にて記憶されたACTSの応答データ(アクティブ方式の通信要求)があるか否かを判断する(S920)。
【0102】
ACTSの応答データがあれば、その中から、SAmax−CA個を限度として新たにMDSを割り当てる通信要求を選択し(S930)、一方、ACTSの応答データがなければ、現在通信中のものがある(CA≧1)か否かを判断する(S940)。なおS930にて通信要求の選択が行われると、その分だけ、通信中の車載器の数CAは増加する。
【0103】
そして、現在通信中のものがあるか、先のS910で空きMDSがないと判定されるか、或いは先のS930にて通信要求が選択された場合、次に送信する通信フレームにて、MDSを割り当てるべきアクティブ方式の通信が少なくとも一つはあるので、これらの通信(車両IDにて識別される)に対して使用すべきMDSの割当を行う(S950)。
【0104】
このMDSの割当が終了するか、或いは先のS940にてアクティブ方式にて現在通信中のものがないと判定された場合、今度は、パッシブ通信部24の状態として「パッシブ通信中」が設定されているか否かを判断し(S960)、「パッシブ通信中」が設定されていれば、空きMDSがある(CA<SAmax)か否かを判断する(S970)。
【0105】
そして「パッシブ通信中」が設定されていなか、或いは空きMDSがない場合には、パッシブ通信用に予め確保されている一つのMDSを割り当てる基本割当を行って(S980)、本処理を終了する。
一方、「パッシブ通信中」が設定されており、且つ空きMDSがある場合には、空きMDSのいくつか(ここでは2個を上限とする)をパッシブ通信用に割り当てる拡張割当を行って(S990)本処理を終了する。
【0106】
ここで図15は、通信フレームを構成する3個のMDSのうち、パッシブ方式での通信用に一つのMDSを常時確保し、アクティブ方式での通信用に割当可能なMDSの最大数を2(=SAmax)とした場合の通信フレームの状態を表したものである。上記MDS割当処理を実行することにより、パッシブ方式での通信がないか、又はアクティブ方式での通信に割当可能なMDSの全てが、アクティブ方式での通信に割り当てられている場合には、(a)に示すように、パッシブ通信用にMDSが1個だけ割り当てられる。また、パッシブ方式での通信があり、且つアクティブ方式での通信用に割り当てられたMDSが1個以下の場合には、(b)に示すように、パッシブ通信用にMDSが2個割り当てられることになる。
【0107】
このようなMDS割当処理を行うことにより、アクティブ方式での通信に使用されない空きMDSがある場合、これがパッシブ方式での通信に有効利用されるため、共用路上機20aの処理能力を向上させることができる。
なお、ここでは、パッシブ方式での通信(パッシブ通信部24)に割当可能なMDSの最大数を2としたが、アクティブ方式による通信がない場合に、全てのMDSをパッシブ方式での通信に割り当てるようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0108】
図16は、アクティブ方式にて路車間通信を行う車載器、パッシブ方式にて路車間通信を行う車載器が混在する本実施形態の路車間通信システムにおいて、有料道路の料金所の各車線毎に設けられる路上機の構成を表すブロック図である。図示の如く、本実施形態において路上機30は、パッシブ方式用の送信アンテナ31a,受信アンテナ31b、及びアクティブ方式用の送受信アンテナ32を備えている。そして、送受信アンテナ32に対する送受信信号を分離する方向性結合器33と、これらアンテナ31a,31b,32を介して信号を送受することにより車載器との路車間通信を行う路側通信手段としての共用通信部35と、共用通信部35からの切替信号Gに従って、共用通信部35からの送信信号を、送信アンテナ31a或いは方向性結合器33を介して送受信アンテナ32のいずれかに供給すると共に、受信アンテナ31b或いは方向性結合器33を介した送受信アンテナ32からの受信信号のいずれかを、共用通信部35に供給するアンテナ切替部34と、周知のマイクロコンピュータを中心に構成され、共用通信部35により車載器との間で送受されるデータの処理等を実行するデータ処理部36とを備えている。
【0109】
そして、本実施形態の路車間通信システムでは、路上機30と車載器との間の路車間通信には、アクティブ,パッシブの通信方式に関わらず、アクティブ方式のものをベースにした共通の通信フレームが使用される。
この通信フレームは、図17に示すように、FCM,複数のMDS(ここでは4個),ACTSからなる従来の通信フレームに、以下の変更が加えられている。 即ち、ACTSが前半部分と後半部分とに分割され、前半部分にてアクティブ方式の車載器からの応答(通信要求)を受け、後半部分では搬送波を送信することにより、パッシブ方式の車載器からの応答(FCMをポーリング信号とみなして、そのポーリングに対する応答)を受けることが可能なようにされている。
【0110】
また、MDSを、アクティブ方式での通信、及びパッシブ方式での通信のいずれにも割り当てることを可能とし、パッシブ方式での通信用に割り当てられたMDSでは、下りコマンド(アクティブ方式のMDSコマンドと、パッシブ方式の問合信号を共通化したもの)の送信後、そのMDSの残りの期間の間、搬送波を送信することにより、パッシブ方式の車載器からの応答を受けることが可能なようにされている。
【0111】
そして、アクティブ方式の車載器とは、従来と同様の方法(但し、車載器からの通信要求にはACTSの前半部分のみを使用)で通信を行い、一方、パッシブ方式の車載器とは、FCMをポーリング信号と見なして、ポーリング信号に対する応答信号を、ACTSの後半部分で返送し、以後、割り当てられたMDSを用いて通信を行う。
【0112】
なお、共用通信部35は、パッシブ方式での通信用に割り当てられたMDSの期間、及びACTSの後半部分だけ、パッシブ用のアンテナ31a,31bを選択し、それ以外の期間では、アクティブ用のアンテナ32を選択するように、アンテナ切替部34を動作させる切替信号Xを生成するように構成されている。
【0113】
ここで、共用通信部35における通信フレームの送受に関する動作を、図18に示すフローチャートに沿って説明する。但し、その内容は、第2実施形態のアクティブ通信部22の動作(図7参照)と一部異なっているだけであるため、同様の処理については、同一符号を付して説明を省略し、処理の相違する部分を中心に説明する。
【0114】
図示の如く、共用通信部35では、FCMの送信(S510)、後述する各MDS毎の処理(S520)、ACTSタイミングでのアクティブ方式の車載器からの応答の処理(S530,S540)を行う。但し、第2実施形態におけるS510〜S540について説明のうち、データ処理部26はデータ処理部36に、またアクティブ通信部22は共用通信部35に読み替えるものとする。
【0115】
引き続き所定期間(ACTSの後半部分)だけ搬送波を送信し(S550)、パッシブ方式の車載器からの応答(ポーリングに対する応答データにて搬送波を変調したもの)があったか否かを判断する(S560)。そして、応答がなければそのまま本処理を終了し、一方、応答があった場合には、データ処理部36を構成するメモリの所定エリアに、その応答データ(車両ID)を記憶して(S670)本処理を終了する。
【0116】
次にS520におけるMDS処理の詳細を、図19に示すフローチャートに沿って説明する。本処理は、各MDSのタイミング毎に繰り返し実行されるものとする。
図示の如く、本処理が起動されると、先のS540及びS570にて記憶された応答データに基づいて、データ処理部36が実行するMDS割当処理の結果、現在処理の対象となっているMDSの状態が、アクティブ或いはパッシブいずれかの方式での通信に割り当てられた「スロット使用中」であるか否かを判断し(S610)、「スロット使用中」でなければ、そのまま本処理を終了する。一方、当該MDSの状態が「スロット使用中」であれば、そのMDSのタイミングにて、予め設定された下りコマンドを送信し(S620)、当該MDSがパッシブ方式の通信に割り当てられたものである場合(S622−YES)には、引き続き当該MDSの残りの期間だけ搬送波の送信を行って(S624)、車載器からの応答データを受信する(S630)。
【0117】
以下、受信した応答データについて、第2実施形態にて説明したMDS処理におけるS640〜S700と同様に処理を実行する。但し、S670,S700では、パッシブ通信が完了した場合に「パッシブ通信中」の設定を解除するものとする。また、第2実施形態での記載において、MDSコマンドは下りコマンドに、またデータ処理部26はデータ処理部36に読み替えるものとする。
【0118】
なお、上記処理においてS550,S624が本発明における搬送波送信手段に相当する。
次に、データ処理部36が実行するMDS割当処理を、図20に示すフローチャートに沿って説明する。
【0119】
なお、第2実施形態にて説明したMDS割当処理(図14参照)では、パッシブ方式の車載器に対するポーリングを可能とするために、常に少なくとも一つのMDSが割り当てられているが、本実施形態では、FCM,ACTSにて、ポーリングに相当する処理を実行するため、パッシブ方式の場合にも、通信が開始された時のみMDSが割り当てられる点で異なっている。
【0120】
本処理が起動されると、図示の如く、まずパッシブ方式により車載器との通信が行われていることを示す「パッシブ通信中」の設定がなされているか否かを判断し(S900)、「パッシブ通信中」でなければ、先のS570にて、ポーリングに対する応答データが記憶されているか否か、即ちパッシブ方式での通信要求があるか否かを判断し(S902)、パッシブ方式での通信要求があれば、その中から、通信を開始するものを一つだけ選択すると共に、「パッシブ通信中」の設定を行う(S904)。
【0121】
そして、S900にて「パッシブ通信中」であると判定されるか、或いはS904にて、新たに「パッシブ通信中」が設定されると、パッシブ方式での通信用に、最低限(ここでは1個)のMDSを確保し(S906)、一方、「パッシブ通信中」ではなく、且つパッシブ方式での通信要求もない場合には、MDSを確保することなく、次ステップに進む。
【0122】
以下、S910〜S950は、第2実施形態での説明と同様に、アクティブ方式での通信に用いるMDSの割当を行う。但し、本実施形態において、アクティブ方式での通信用に割当可能な最大MDS数がSAmaxは、S906にてパッシブ方式での通信用にMDSが確保されていなければ、SAmax =4であり、確保されていれば、その分だけ減少してSAmax =3となる。
【0123】
パッシブ方式用のMDSの割当が終了すると、「パッシブ通信中」が設定されているか否かを判断し(S960)、設定されていなければそのまま本処理を終了し、一方、設定されていれば、先のS906にて確保したMDS以外に、空きMDSがあるか、即ち、アクティブ方式用に割り当てられていないMDSが合計2個以上あるか否かを判断する(S970)。そして、空きMDSがなければ、パッシブ方式用に確保されている一つのMDSを割り当てる基本割当を行って(S980)、本処理を終了し、一方、空きMDSがある場合には、空きMDSもパッシブ方式用に割り当てる拡張割当を行って(S990)本処理を終了する。ところで、このようにアクティブ方式とパッシブ方式とで通信フレームを共通化したことにより、パッシブ方式の車載器は、処理を変更する必要があるが、その処理は、図3に示した、アクティブ通信部22とほぼ同様なものとなる。
【0124】
但し、S250,S280での応答データの送信は、搬送波を変調することで行い、S260〜S300の処理は、割り当てられたMDS毎に、繰り返し行うよう必要がある。このように改良されたS250,S280が、本発明における第1応答手段,第2応答手段にそれぞれ相当する。
【0125】
以上、説明したように、本実施形態の路車間通信システムによれば、路上機30が、アクティブ,パッシブの通信方式に関わらず、統一的に処理を行うことができるため、通信方式毎に個別の通信部を設ける必要がなく、路上機30の構成を簡易化できる。
【0126】
なお、路上機が受信する車載器からの電波の電界強度は、パッシブ方式ではアクティブ方式と比較して非常に小さなものとなっているため、共用通信部35では、パッシブ方式用の受信アンテナ31bから信号を受信する際には、その受信信号を増幅する増幅器の増幅率を増大させるように構成することが好ましい。勿論、逆に、アクティブ方式用の送受信アンテナ32から信号を受信する際に、増幅器の増幅率を低下させるように構成してもよい。
【0127】
また、本実施形態では、ACTSを前半部分と後半部分とに分けて、アクティブ,パッシブの両通信方式の応答を時間的にずらして受信するようにされているが、アクティブ方式のアップリンクの周波数帯と、パッシブ方式の搬送波を送信する周波数帯とが異なっていれば、ACTSの全期間に渡って搬送波を送出し、同時に応答を受信してもよい。但し、この場合、少なくともACTSの期間では、2種類の周波数帯の信号を同時に受信して、その両方の信号を処理するように構成する必要がある
【0160】
また更に、バスやタクシー或いは運送トラック等の運行管理システムに適用し、各車両の運行状況や配車状況の把握や、各車両への事故情報等の伝達などを、各車両に搭載された車載器と路上機との通信により行うように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の路車間通信システムにおける車載器の概略構成を表すブロック図である。
【図2】 データ処理部が実行するメイン処理の内容を表すフローチャートである。
【図3】 アクティブ通信部の動作内容を表すフローチャートである。
【図4】 パッシブ通信部の動作内容を表すフローチャートである。
【図5】 変形例のメイン処理の内容を表すフローチャートである。
【図6】 第2実施形態の路車間通信システムにおける路上機の概略構成を表すブロック図である。
【図7】 アクティブ通信部の動作内容を表すフローチャートである。
【図8】 MDS処理の詳細な内容を表すフローチャートである。
【図9】 パッシブ通信部の動作内容を表すフローチャートである。
【図10】 料金所の構成例、及びタイミング制御部での制御方法を表す説明図である。
【図11】 料金所の構成例、及びタイミング制御部での制御方法を表す説明図である。
【図12】 料金所の構成例、及びタイミング制御部での制御方法を表す説明図である。
【図13】 タイミング制御部での制御方法を表す説明図である。
【図14】 データ処理部が実行するMDS割当処理の内容を表すフローチャートである。
【図15】 MDS割当処理に基づく制御状態を表す説明図である。
【図16】 第3実施形態の路車間通信システムにおける路上機の概略構成を表すブロック図である。
【図17】 路車間通信システムにて用いられる通信フレームの構成、アンテナ切替部の動作を表す説明図である。
【図18】 共用通信部の動作内容を表すフローチャートである。
【図19】 MDS処理の詳細な内容を表すフローチャートである。
【図20】 データ処理部が実行するMDS割当処理の内容を表すフローチャートである。
【図21】 DSRCにて通信に使用される周波数帯の分布を表す説明図である。
【図22】 従来のパッシブ方式及びアクティブ方式における通信フレームの構成を表す説明図である。
【符号の説明】
0…車載器、11…アンテナ、12…電界強度検出部、13…アクティブ通信部、14…パッシブ通信部、15…データ処理部、20,30…路上機、20a…共用路上機、20b…アクティブ専用路上機、20c…パッシブ専用路上機、21,23,31a,31b,32…アンテナ、22…アクティブ通信部、24…パッシブ通信部、25…タイミング制御部、26,36…データ処理部、33…方向性結合器、34…アンテナ切替部、35…共用通信部、L1,L2,L3…車線、M1,M2,M3…料金所。

Claims (9)

  1. 車両の走行経路の近傍に設置された路上機との通信のために車両に搭載される路車間通信用の車載器であって、
    受信した下り信号とは異なる周波数帯を用いて上り信号を自律的に送信するアクティブ方式により路上機との通信を行う第1車側通信手段と、
    受信した質問信号に対し、該質問信号に続いて受信する無変調の搬送波を応答信号にて変調し返送することで応答するパッシブ方式により路上機との通信を行う第2車側通信手段と、
    前記路上機から受信した信号の周波数帯を識別する周波数識別手段と、
    前記路上機の通信エリアに進入すると、前記周波数識別手段にて識別された周波数帯が、前記第2車側通信手段の専用周波数帯に属する場合には、前記第2車側通信手段による路車間通信を行い、それ以外の周波数帯に属する場合には、前記第1車側通信手段による路車間通信を試みて、通信不能であれば前記第2車側通信手段へ切り替える車側切替手段と、
    を備えることを特徴とする車載器。
  2. 車両の走行経路の近傍に設置された路上機との通信を行うために車両に搭載される路車間通信用の車載器であって、
    受信した下り信号とは異なる周波数帯を用いて上り信号を自律的に送信するアクティブ方式により路上機との通信を行う第1車側通信手段と、
    受信した質問信号に対し、該質問信号に続いて受信する無変調の搬送波を応答信号にて変調し返送することで応答するパッシブ方式により路上機との通信を行う第2車側通信手段と、
    前記路上機から受信した信号の周波数帯を識別する周波数識別手段と、
    前記路上機の通信エリアに進入すると、前記周波数識別手段にて識別された周波数帯が、前記第2車側通信手段の専用周波数帯に属する場合には前記第2車側通信手段による路車間通信を行い、それ以外の周波数帯に属する場合には、前記第1及び第2車側通信手段を並列動作させ、正常な出力が得られた側を継続して動作させる選択制御手段と、
    を備えることを特徴とする車載器。
  3. 受信した下り信号とは異なる周波数帯を用いて上り信号を自律的に送信するアクティブ方式の車載器、及び受信した質問信号に対し、該質問信号に続いて受信する無変調の搬送波を応答信号にて変調し返送することで応答するパッシブ方式の車載器のいずれとも通信が可能な路車間通信用の路上機であって、
    前記アクティブ方式の車載器との通信を行う第1路側通信手段と、
    前記パッシブ方式の車載器との通信を行う第2路側通信手段と、
    を備え、前記第1及び第2路側通信手段を、それぞれの通信エリアが車両の走行経路に沿って且つ互いに重なり合うことなく配置されるよう設定したことを特徴とする路上機。
  4. 受信した下り信号とは異なる周波数帯を用いて上り信号を自律的に送信するアクティブ方式の車載器、及び受信した質問信号に対し、該質問信号に続いて受信する無変調の搬送波を応答信号にて変調し返送することで応答するパッシブ方式の車載器のいずれとも通信が可能な路車間通信用の路上機であって、
    前記アクティブ方式の車載器との通信を行う第1路側通信手段と、
    該第1路側通信手段と通信エリアが一致するよう設定され、前記パッシブ方式の車載器との通信を行う第2路側通信手段と、
    予め設定されたタイミングに従って、前記第1或いは第2路側通信手段のいずれかを択一的に動作させる路側切替制御手段と、
    を備えることを特徴とする路上機。
  5. 請求項記載の路上機において、
    前記第1路側通信手段は、複数の車載器との同時通信が可能なようにデータ用スロットを複数設けた通信フレームを使用し、
    前記路側切替制御手段は、前記第1路側通信手段による使用が禁止されたデータ用スロットを少なくとも一つ設定し、該データ用スロットの期間に前記第2路側通信手段を動作させることを特徴とする路上機。
  6. 前記路側切替制御手段は、前記データ用スロットに空きがある場合、該スロット期間でも前記第2路側通信手段を動作させることを特徴とする請求項記載の路上機。
  7. 路上機から受信した下り信号とは異なる周波数帯を用いて、路上機への上り信号を車載器が自律的に送信するアクティブ方式と、路上機から受信した質問信号に対して車載器は該質問信号に続いて送信されてくる無変調の搬送波を応答信号にて変調し返送することで応答するパッシブ方式とが混在する路車間通信システムであって、
    路車間通信用の通信フレームとして、車載器が路上機に対する通信要求を書き込むための上り制御用スロット、通信が許可された車載器に対して割り当てられる複数のデータ用スロット、該データ用スロット及び前記上り制御用スロットより先に送出され、路上機が車載器に対して前記データ用スロットの割当状態を通知するための下り制御用スロットからなるアクティブ方式用のものを使用し、
    路上機は、前記上り制御用スロットの期間、及びパッシブ方式の車載器に割り当てられたデータ用スロット内の下り信号に続く期間に無変調の搬送波を送信し、該搬送波を変調することでパッシブ方式の車載器から返送されてくる応答信号を、アクティブ方式の車載器からの上り信号と同等のものとして処理すると共に、
    パッシブ方式の車載器は、前記下り制御用スロットをポーリング信号とみなして、前記上り制御用スロットの期間に送信されてくる無変調の搬送波をポーリング信号に対する応答信号にて変調し返送すると共に、前記下り制御用スロットに当該車載器に対するデータ用スロットの割当が示されている場合、該割り当てられたデータ用スロットの期間に受信する下り信号を問合信号とし、該下り信号に引き続いて送信されてくる無変調の搬送波を、問合信号に対する応答信号にて変調し返送することを特徴とする路車間通信システム。
  8. 請求項記載の路車間通信システムにて使用される路上機であって、
    前記下り制御用スロット,データ用スロット,上り制御用スロットからなる通信フレームを用いてアクティブ方式にて車載器との通信を行う路側通信手段と、
    前記上り制御用スロットの期間、及びパッシブ方式の車載器に割り当てられたデータ用スロット内の下り信号に続く期間に無変調の搬送波を送信する搬送波送信手段と、
    を備え、前記路側通信手段は、前記搬送波を変調することでパッシブ方式の車載器から返送されてくる応答信号を、アクティブ方式の車載器からの上り信号と同等のものとして処理することを特徴とする路上機。
  9. 請求項記載の路車間通信システムにて使用されるパッシブ方式の車載器であって、
    路上機の通信エリアに進入すると、前記下り制御用スロットをポーリング信号とみなして、前記上り制御用スロットの期間に送信されてくる無変調の搬送波を、ポーリング信号に対する応答信号にて変調し返送する第1応答手段と、
    前記下り制御用スロットにて当該車載器に対するデータ用スロットの割当が示されている場合、該割り当てられたデータ用スロットの期間に受信する下り信号を問合信号とし、該下り信号に引き続いて送信されてくる無変調の搬送波を、問合信号に対する応答信号にて変調し返送する第2応答手段と、
    を備えることを特徴とする車載器。
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