前記課題を解決するためになされた第1の発明は、ETCカードが未装着の状態で入口料金所を通過した車両のリカバリを行うETCリカバリシステムであって、車両に搭載されて、前記ETCカードが着脱可能に装着される車載装置と、入口料金所に設置されて、前記車載装置との間で路車間通信を行う第1の路側装置と、有料道路内のリカバリ地点に設置されて、前記車載装置との間で路車間通信を行う第2の路側装置と、前記第1の路側装置および前記第2の路側装置との間で通信を行う管理装置と、を備え、前記第1の路側装置は、前記車載装置との間で路車間通信を行う路車間通信部と、前記管理装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、前記路車間通信部により前記車載装置から受信するアップリンク情報に基づいて、前記車載装置に前記ETCカードが未装着であると判定した場合に、前記車載装置が搭載される車両の車両識別情報、および入口料金所に関する入口情報を含むリカバリ情報を前記ネットワーク通信部により前記管理装置に送信する制御部と、を備え、前記第2の路側装置は、前記車載装置との間で路車間通信を行う路車間通信部と、前記管理装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、前記車載装置が搭載される車両の車両識別情報を前記ネットワーク通信部により前記管理装置に送信し、前記車両識別情報に対応する前記リカバリ情報を前記ネットワーク通信部により前記管理装置から受信すると、前記リカバリ情報を含むダウンリンク情報を前記路車間通信部により前記車載装置に送信する制御部と、を備え、前記管理装置は、前記第1の路側装置および前記第2の路側装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、記憶部と、前記ネットワーク通信部により前記第1の路側装置から受信する前記リカバリ情報を前記車両識別情報に対応づけて前記記憶部に記憶し、前記第2の路側装置から受信する車両識別情報に対応する前記リカバリ情報を前記記憶部から選択して、当該リカバリ情報を前記ネットワーク通信部により前記第2の路側装置に送信する制御部と、を備え、前記車載装置は、前記第1の路側装置および前記第2の路側装置との間で路車間通信を行う路車間通信部と、装着された前記ETCカードの読み書きを行うカード読み書き部と、前記路車間通信部により前記第1の路側装置に前記アップリンク情報を送信し、前記第2の路側装置から前記ダウンリンク情報を受信すると、前記カード読み書き部により前記ダウンリンク情報に含まれる前記リカバリ情報を前記ETCカードに書き込ませる制御部、とを備える構成とする。
これによると、ETCカードが未装着の状態で入口料金所を通過した場合に、出口料金所に到達するまでに、ETCカードにリカバリ情報が書き込まれて、ETCカードを正常な状態に復旧させることができるため、出口料金所を車両が停止することなく通過することができ、また、適正な課金を行うことができる。
また、第2の発明は、前記車両識別情報は、前記車載装置から送信される前記アップリンク情報に含まれる構成とする。
これによると、管理装置において車両識別情報に基づいて車両を適切に特定することができる。
また、第3の発明は、前記第1の路側装置に接続される第1の撮像装置を備え、前記第1の路側装置から前記管理装置に送信される前記車両識別情報は、前記第1の撮像装置によって撮像される車両番号である構成とする。
これによると、管理装置において車両識別情報に基づいて車両を適切に特定することができる。
また、第4の発明は、前記第2の路側装置に接続される第2の撮像装置を備え、前記第2の路側装置から前記管理装置に送信される前記車両識別情報は、前記第2の撮像装置によって撮像される車両番号である構成とする。
これによると、管理装置において車両識別情報に基づいて車両を適切に特定することができる。
また、第5の発明は、前記第2の路側装置は、有料道路内の休憩用駐車施設に設けられたリカバリ専用エリアに設置されている構成とする。
これによると、有料道路内のサービスエリアやパーキングエリアなどの休憩用駐車施設に車両を誘導することで、車両を一度停止させることができるため、運転者がETCカードを車載装置に装着することができる。
また、第6の発明は、前記第2の路側装置は、有料道路の本線上に設置されている構成とする。
これによると、助手席の搭乗者がETCカードを車載装置に装着することができる場合には、車両を停止させることなく、リカバリを行うことができる。
また、第7の発明は、前記第1の路側装置は、リカバリが必要である旨の利用者に対する通知に関する通知情報を前記車載装置に送信し、前記車載装置は、前記通知情報に基づいて、リカバリが必要である旨の通知を出力する構成とする。
これによると、リカバリが必要である旨の通知、例えば、ETCカードを装着してリカバリを行うことを促す通知を運転者に対して行うため、ETCカードが未装着の状態のままで出口料金所に向かうことを避けることができる。
この場合、リカバリが必要である旨の通知とともに、リカバリ地点、すなわち、リカバリ用の路側装置が設置されている地点を、利用者に通知するようにするとよい。また、リカバリが必要である旨の通知は、音声で出力すればよいが、カーナビゲーション装置やディスプレイ付車載装置などに画面表示するようにしてもよい。
また、第8の発明は、さらに、有料道路の本線上に設置された第3の路側装置を備え、前記第3の路側装置は、リカバリが必要である旨の利用者に対する通知に関する通知情報を前記車載装置に送信し、前記車載装置は、前記通知情報に基づいて、リカバリが必要である旨の通知を出力する構成とする。
これによると、車両が本線を走行中に、リカバリが必要である旨の通知を行うことができる。
また、第9の発明は、さらに、利用者が所持する携帯端末装置を備え、前記管理装置は、リカバリが必要である旨の利用者に対する通知に関する通知情報を前記携帯端末装置に送信し、前記携帯端末装置は、前記通知情報に基づいて、リカバリが必要である旨の通知を出力する構成とする。
これによると、車載装置を介しないため、リカバリが必要である旨の通知を出力する機能を車載装置に新たに付加する変更を行わずに、リカバリが必要である旨の通知を利用者に対して行うことができる。
また、第10の発明は、前記第1の路側装置は、入口料金所において、車両を撮像する撮像装置と車両を検知する車両検知装置の両方またはいずれか一方を用いて取得した計測情報と、前記入口情報とを含む前記リカバリ情報を、前記管理装置に送信する構成とする。
これによると、リカバリ地点に撮像装置および車両検知装置を設置する必要がなくなる。
また、第11の発明は、前記第2の路側装置は、リカバリ地点において、車両を撮像する撮像装置と車両を検知する車両検知装置の両方またはいずれか一方を用いて取得した計測情報を、前記管理装置から受信した前記リカバリ情報に付加し、そのリカバリ情報を含む前記ダウンリンク情報を前記車載装置に送信する構成とする。
これによると、リカバリ地点で取得した計測情報をその場でETCカードに書き込むため、計測情報を管理装置で管理する必要がなくなることから、管理装置の記憶容量を節約することができる。
また、第12の発明は、さらに、前記路側装置の通信エリアの直前に設置されて、車両速度を検出する車両速度検出装置を備え、前記路側装置は、前記車載装置との間で狭域通信による路車間通信を行う際に、前記車両速度検出装置で検出された前記車両速度に基づいて、送信信号および受信信号の周波数の調整を行う構成とする。
これによると、狭域通信による路車間通信において、ドップラーシフトに起因する無線性能の劣化を抑制することができる。
また、第13の発明は、さらに、前記路側装置の通信エリアの直前に設置されて、前記車載装置との間で送受信される無線信号のドップラー周波数を検出するドップラー周波数検出装置を備え、前記路側装置は、前記車載装置との間で狭域通信による路車間通信を行う際に、前記ドップラー周波数検出装置で検出された前記ドップラー周波数に基づいて、送信信号および受信信号の周波数の調整を行う構成とする。
これによると、狭域通信による路車間通信において、ドップラーシフトに起因する無線性能の劣化を抑制することができる。
また、第14の発明は、ETCカードが未装着の状態で入口料金所を通過した車両のリカバリを行うETC管理装置であって、入口料金所に設置されて、車載装置との間で路車間通信を行う第1の路側装置、および有料道路内のリカバリ地点に設置されて、前記車載装置との間で路車間通信を行う第2の路側装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、記憶部と、前記第1の路側装置から車両識別情報、および入口料金所に関する入口情報を含むリカバリ情報を受信すると、前記リカバリ情報を前記車両識別情報に対応づけて前記記憶部に記憶し、前記第2の路側装置から車両識別情報を受信すると、前記記憶部から、前記車両識別情報に対応する前記リカバリ情報を選択して、当該リカバリ情報を前記第2の路側装置に送信する制御部と、を備える構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、ETCカードが未装着の状態で車両が入口料金所を通過した場合に、出口料金所に到達するまでに、ETCカードを正常な状態に復旧するリカバリを行うことで、出口料金所を車両が停止することなく通過することができ、また、適正な課金を行うことができる。
また、第15の発明は、有料道路内のリカバリ地点に設置されて、車載装置との間で路車間通信を行うETC路側装置であって、前記車載装置との間で路車間通信を行う路車間通信部と、管理装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、前記車載装置から送信されるアップリンク情報を前記路車間通信部により受信すると、前記アップリンク情報に含まれる車両識別情報を前記ネットワーク通信部により前記管理装置に送信し、前記管理装置が前記車両識別情報に対応づけて記憶する入口料金所に関する入口情報を含むリカバリ情報を、前記管理装置から前記ネットワーク通信部により受信すると、前記リカバリ情報を含むダウンリンク情報を前記路車間通信部により前記車載装置に送信する制御部と、を備える構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、ETCカードが未装着の状態で車両が入口料金所を通過した場合に、出口料金所に到達するまでに、ETCカードを正常な状態に復旧するリカバリを行うことで、出口料金所を車両が停止することなく通過することができ、また、適正な課金を行うことができる。
また、第16の発明は、有料道路内のリカバリ地点に設置されて、車載装置との間で路車間通信を行うETC路側装置であって、前記車載装置との間で路車間通信を行う路車間通信部と、管理装置との間で通信を行うネットワーク通信部と、撮像装置との間で通信を行う通信部と、前記リカバリ地点において前記撮像装置が撮像した車両の車両番号に基づく車両識別情報を前記ネットワーク通信部により前記管理装置に送信し、前記管理装置が前記車両識別情報に対応づけて記憶する入口料金所に関する入口情報を含むリカバリ情報を、前記管理装置から前記ネットワーク通信部により受信すると、前記リカバリ情報を含むダウンリンク情報を前記路車間通信部により前記車載装置に送信する制御部と、を備える構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、ETCカードが未装着の状態で車両が入口料金所を通過した場合に、出口料金所に到達するまでに、ETCカードを正常な状態に復旧するリカバリを行うことで、出口料金所を車両が停止することなく通過することができ、また、適正な課金を行うことができる。
また、第17の発明は、ETCカードが未装着の状態で入口料金所を通過した車両のリカバリを行うETCリカバリ方法であって、入口料金所に設置されて、車載装置との間で路車間通信を行う第1の路側装置が、前記車載装置から受信するアップリンク情報に基づいて、前記車載装置に前記ETCカードが未装着であると判定した場合に、前記車載装置が搭載される車両の車両識別情報、および入口料金所に関する入口情報を含むリカバリ情報を管理装置に送信し、前記管理装置が、前記第1の路側装置から受信する前記リカバリ情報を前記車両識別情報に対応づけて記憶し、有料道路内のリカバリ地点に設置されて、前記車載装置との間で路車間通信を行う第2の路側装置が、前記車載装置が搭載される車両の車両識別情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置が、前記第2の路側装置から受信する前記車両識別情報に対応する前記リカバリ情報を前記第2の路側装置に送信し、前記第2の路側装置が、前記管理装置から受信する前記リカバリ情報を含むダウンリンク情報を前記車載装置に送信し、前記車載装置が、前記第2の路側装置から受信する前記ダウンリンク情報に含まれる前記リカバリ情報を前記ETCカードに書き込む構成とする。
これによると、第1の発明と同様に、ETCカードが未装着の状態で車両が入口料金所を通過した場合に、出口料金所に到達するまでに、ETCカードを正常な状態に復旧するリカバリを行うことで、出口料金所を車両が停止することなく通過することができ、また、適正な課金を行うことができる。
また、第18の発明は、前記車両識別情報は、前記車載装置から送信される前記アップリンク情報に含まれる構成とする。
これによると、管理装置において車両識別情報に基づいて車両を適切に特定することができる。
また、第19の発明は、前記第1の路側装置は第1の撮像装置に接続し、前記第1の路側装置から前記管理装置に送信される前記車両識別情報は、前記第1の撮像装置によって撮像される車両番号である構成とする。
これによると、管理装置において車両識別情報に基づいて車両を適切に特定することができる。
また、第20の発明は、前記第2の路側装置は第2の撮像装置に接続し、前記第2の路側装置から前記管理装置に送信される前記車両識別情報は、前記第2の撮像装置によって撮像される車両番号である構成とする。
これによると、管理装置において車両識別情報に基づいて車両を適切に特定することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るETCリカバリシステムの全体構成図である。
このETCリカバリシステムは、高速道路などの有料道路において、ETCカード1が未装着の状態で入口料金所を通過した車両のリカバリを行うものであり、車両に搭載された車載装置2と、入口料金所に設置された路側装置3と、リカバリ専用エリア(リカバリ地点)に設置された路側装置4と、出口料金所に設置された路側装置5と、管理装置6と、を備えている。
車載装置2は、ETCカード1(記憶媒体)が着脱可能に装着され、ETCカード1を読み書きする機能を備えている。
ETCカード1は、ICチップが埋め込まれたICカードであり、カードIDなどのカード情報や、過去に有料道路を利用したときの利用明細情報を記憶する。また、ETCカード1が車載装置2に装着された状態で入口料金所を通過した場合には、入口料金所に関する入口情報(入口料金所の識別情報(料金所番号)や入口料金所を通過した日時に関する通過日時情報など)を記憶する。
車載装置2と各路側装置3,4,5とは、路車間通信を行うことができる。この路車間通信では、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)を利用した安全運転支援無線システムで採用されている周波数帯(例えば700MHz帯や5.8GHz帯)を利用した無線通信が行われる。また、この路車間通信では、DSRC(狭域通信:Dedicated Short Range Communications)が採用されている。
各路側装置3,4,5は、ネットワークを介して管理装置6と通信を行うことができる。リカバリ専用エリアは、有料道路内に設けられたサービスエリアやパーキングエリアなどの休憩用駐車施設に設けられる。
なお、本実施形態では、管理装置6を1つ設けたが、管理装置6を複数設けるようにしてもよい。この場合、管轄する地域ごとに管理装置6を設けて、それらの管理装置6の間で情報を共有するようにし、また、それらの管理装置6を統括する中央管理装置を設けるようにしてもよい。
次に、ETCリカバリシステムの概要について説明する。図2は、ETCリカバリシステムの概要を説明する説明図である。
図2(A)に示すように、入口料金所には、路側装置3が設置されている。また、ETCレーンに跨がるようにガントリ11(門型柱)が設けられており、このガントリ11には、内側を通過する車両に搭載された車載装置2との間で無線信号を送受信する路側アンテナ12が設置されている。また、この入口料金所は、車両が停止または減速することなく通過することができる、いわゆるフリーフローとなっており、開閉バーは設置されていない。
図2(B)に示すように、リカバリ専用エリアには、入口料金所と同様に、路側装置4が設置されており、ガントリ13には路側アンテナ14が設置されている。また、このリカバリ専用エリアには、開閉バー15が設けられており、リカバリが正常に完了した場合に、開閉バー15を開いて車両を通過させる。
図2(C)に示すように、出口料金所には、入口料金所と同様に、路側装置5が設置されており、ガントリ16には路側アンテナ17が設置されている。また、この出口料金所には、開閉バー18が設けられており、料金収受が正常に完了した場合に、開閉バー18を開いて車両を通過させる。
ここで、車載装置2にETCカード1が装着された状態で車両が入口料金所を通過すると、路側装置3から車載装置2に入口情報が送信され、車載装置2で受信した入口情報がETCカード1に書き込まれる。そして、出口料金所では、ETCカード1に書き込まれた入口情報が車載装置2から路側装置5に送信され、路側装置5において、入口情報に基づいて料金収受処理が行われ、料金収受が正常に終了することで、開閉バーが開いて車両が通過することができる。
一方、ETCカード1が未装着の状態で車両が入口料金所を通過すると、入口情報がETCカード1に書き込まれない。このため、そのまま出口料金所を通過しようとすると、路側装置5で入口情報を受け取ることができないため、異常と判定され、開閉バー18が開かず、車両が停止させられる。
そこで、本実施形態では、ETCカード1が未装着の状態で車両が入口料金所を通過しようとした場合、路側装置3において、車載装置2から取得した車両識別情報と、入口情報とを管理装置6に送信し、入口情報を車両識別情報に対応づけて管理装置6で管理させる。
そして、リカバリが必要である旨の通知、具体的には、ETCカード1を装着してリカバリ専用エリアでリカバリを行うことを促す通知を運転者に対して行う。また、リカバリが必要である旨の通知とともに、リカバリ地点、すなわち、リカバリ用の路側装置4が設置されているリカバリ専用エリアが設けられているサービスエリアやパーキングエリアを利用者に通知する。
利用者は、リカバリが必要である旨の通知に応じて、リカバリ専用エリアが設けられているサービスエリアやパーキングエリアで、車両を停止させてETCカード1を車載装置2に装着した上で、車両をリカバリ専用エリアに進入させる。
または、利用者は、ETCカード1を未装着の状態でリカバリ専用エリアに進入し、その後に、リカバリ処理の中でETCカードを利用者に挿入させるようにしてもよい。
車両がリカバリ専用エリアに進入すると、路側装置4において、車載装置2から取得した車両識別情報を管理装置6に送信し、管理装置6では、車両識別情報に対応する入口情報を取得して路側装置4に送信し、路側装置4では、入口情報を車載装置2に送信し、車載装置2では、ETCカード1に入口情報を書き込む。
このようにしてリカバリが行われた後に車両が出口料金所に進入すると、ETCカード1に書き込まれた入口情報が車載装置2から路側装置5に送信され、路側装置5において、入口情報に基づいて料金収受処理が行われ、料金収受が正常に終了するため、開閉バーが開いて、車両は停止せずに通過することができる。
次に、車載装置2の概略構成について説明する。図3は、車載装置2の概略構成を示すブロック図である。
車載装置2は、路車間通信部21と、記憶部22と、制御部23と、カード読み書き部24と、出力部25と、を備えている。
路車間通信部21は、各路側装置3,4,5との間で路車間通信を行い、アップリンク情報を路側装置3,4,5に送信し、また、路側装置3,4,5から送信されるダウンリンク情報を受信する。なお、アップリンク情報およびダウンリンク情報の内容は、通信相手となる路側装置3,4,5に応じて異なる。
なお、アップリンク情報には、車両情報として、車両識別情報や車種区分情報などが含まれるが、この車両識別情報は、車載装置2の識別情報(車載器ID)とするとよい。また、WCN(Wireless Call Number)や、車両番号でもよい。
記憶部22は、車載装置2に個別に付与された車両識別情報、およびセットアップ時に登録される車両番号や車種区分情報などの車両情報を記憶する。また、記憶部22は、制御部23で実行されるプログラムを記憶する。
制御部23は、プロセッサで構成され、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することで、各種の処理を行う。本実施形態では、記憶部22から車両情報を取得して、その車両情報を含むアップリンク情報を生成する。また、入口料金所の路側装置3から送信される通知情報に基づいて、リカバリが必要である旨の通知を出力部25から出力させる通知動作を制御する。
また、制御部23は、ETCカード1が装着された状態で入口料金所を通過した場合には、入口料金所の路側装置3から送信される入口情報および計測情報をETCカード1に書き込む処理をカード読み書き部24に行わせ、ETCカード1が未装着の状態で入口料金所を通過した場合には、リカバリ用の路側装置4から送信される入口情報および計測情報(リカバリ情報)をETCカード1に書き込む処理をカード読み書き部24に行わせる。
カード読み書き部24は、ETCカード1の読み書きを行う。本実施形態では、カードIDなどのカード情報の読み取りや、入口情報(入口料金所の識別情報や通過日時情報など)および計測情報(ナンバープレート情報など)の書き込みおよび読み取りが行われる。
出力部25は、ETCカード1の装着の有無などに関する案内の音声を出力する。本実施形態では、ETCカード1が未装着の状態で入口料金所を通過した場合に、リカバリが必要である旨の通知、具体的には、ETCカード1を装着してリカバリ専用エリアでリカバリを行うことを促す通知の音声を出力する。
なお、出力部25を、カーナビゲーション装置(図示せず)に接続するためのインタフェイスとして構成して、リカバリが必要である旨の通知を、カーナビゲーション装置に画面表示するようにしてもよい。
次に、各路側装置3,4,5および管理装置6の概略構成について説明する。図4は、各路側装置3,4,5および管理装置6の概略構成を示すブロック図である。図5は、車載装置2、各路側装置3,4,5および管理装置6と間でやり取りされる情報を示す説明図である。
図4に示すように、入口料金所に設置された路側装置3は、路車間通信部31と、ネットワーク通信部32と、記憶部33と、制御部34と、を備えている。
路車間通信部31は、車載装置2との間で路車間通信を行い、車載装置2から送信されるアップリンク情報を受信し、また、ダウンリンク情報を車載装置2に送信する。ここで、アップリンク情報には、車両情報などが含まれる(図5参照)。また、ダウンリンク情報には、入口情報(入口料金所の識別情報や通過日時情報など)や、計測情報(ナンバープレート情報など)などが含まれる(図5参照)。
なお、車載装置2にETCカード1が装着されている場合には、アップリンク情報にはETCカード1のカード情報が含まれるが、ETCカード1が未装着の場合には、アップリンク情報にはカード情報が含まれない。
ネットワーク通信部32は、ネットワークを介して管理装置6との間で通信を行う。本実施形態では、制御部34で生成したリカバリ情報(入口情報および計測情報)を管理装置6に送信する(図5参照)。
記憶部33は、車載装置2から受信した情報や、制御部34で生成した情報や、管理装置6から受信した情報などを記憶する。また、記憶部33は、制御部34で実行されるプログラムを記憶する。
制御部34は、プロセッサで構成され、記憶部33に記憶されたプログラムを実行することで、各種の処理を行う。本実施形態では、路車間通信部31で受信したアップリンク情報に含まれる車両情報から車両識別情報を取得し、また、入口情報(入口料金所の識別情報や通過日時情報など)および計測情報(ナンバープレート情報など)を含むリカバリ情報を生成して、車両識別情報およびリカバリ情報を管理装置6に送信する。また、リカバリが必要である旨の通知に関する通知情報を含むダウンリンク情報を生成して車載装置2に送信する。
また、入口料金所にはカメラ7が設置されている。このカメラ7は、車両のナンバープレートを撮影するものであり、路側装置3に接続され、路側装置3の制御部34において、撮影画像の画像認識により、ナンバープレートに記載された車両番号を読み取る処理が行われて、車両番号をナンバープレート情報として取得する。
また、入口料金所には、光センサや踏板などから構成される車両検知器8が設けられている。この車両検知器8は、ETCレーンへの車両の進入、退出を検出する他、車両の車軸を検出するものであり、路側装置3に接続され、路側装置3の制御部34において、車両検知器8の検知結果に基づいて車両の軸数を取得する。
カメラ7により取得したナンバープレート情報(車両番号)や、車両検知器8により取得した軸数情報は、車載装置2に登録された車種区分情報と照合することで、実際の車種区分と異なる車種区分が登録された車載装置2でETCを利用する不正を見抜くことができる。また、軸数情報は、牽引車両の車種に応じた通行料金の補正に利用される。
なお、このナンバープレート情報(車両番号)および軸数情報などの計測情報は、リカバリ専用エリアで取得するようにしてもよい。本実施形態のように入口料金所で計測情報を取得した場合、計測情報をリカバリ情報として管理装置6で管理する必要があるが、リカバリ専用エリアで計測情報を取得するようにすると、その場でETCカード1に書き込むことができるため、計測情報を管理装置6で管理する必要がなくなることから、管理装置6の記憶容量を節約することができる。
リカバリ専用エリアに設置された路側装置4は、路車間通信部41と、ネットワーク通信部42と、記憶部43と、制御部44と、を備えている。
路車間通信部41は、車載装置2との間で路車間通信を行い、車載装置2から送信されるアップリンク情報を受信し、また、ダウンリンク情報を車載装置2に送信する。ここで、アップリンク情報には、車両識別情報が含まれる(図5参照)。また、ダウンリンク情報には、リカバリ情報(入口情報および計測情報)が含まれる(図5参照)。
ネットワーク通信部42は、ネットワークを介して管理装置6との間で通信を行う。本実施形態では、車両識別情報を含むリカバリ要求を管理装置6に送信する(図5参照)。また、管理装置6から送信されるリカバリ情報(入口情報および計測情報)を受信する(図5参照)。
記憶部43は、車載装置2から受信した情報や、制御部44で生成した情報や、管理装置6から受信した情報などを記憶する。また、記憶部43は、制御部44で実行されるプログラムを記憶する。
制御部44は、プロセッサで構成され、記憶部43に記憶されたプログラムを実行することで、各種の処理を行う。本実施形態では、ネットワーク通信部42で受信したリカバリ情報を含むダウンリンク情報を生成する。
ここで、リカバリ専用エリアでは、リカバリ用の路側装置4と車載装置2との間で行われる路車間通信を、車両を停止させた状態で行うようにするとよい。これにより、車両が走行している状態で路車間通信を行う入口料金所の路側装置3と比較して、リカバリ用の路側装置4の構成を簡素化することができる。
また、リカバリ用の路側装置4は、移動可能な構成としてもよく、これにより路側装置4の設置が容易になる。
出口料金所に設置された路側装置5は、路車間通信部51と、ネットワーク通信部52と、記憶部53と、制御部54と、を備えている。
路車間通信部51は、車載装置2との間で路車間通信を行い、車載装置2から送信されるアップリンク情報を受信し、また、ダウンリンク情報を車載装置2に送信する。ここで、アップリンク情報には、ETCカード1のカード情報や、車両識別情報や、入口情報(入口料金所の識別情報や通過日時情報など)や、計測情報(ナンバープレート情報など)が含まれる(図5参照)。また、ダウンリンク情報には、利用明細情報(入口料金所および出口料金所の識別情報、通過日時情報、通行料金情報など)などが含まれる(図5参照)。
ネットワーク通信部52は、ネットワークを介して管理装置6との間で通信を行う。本実施形態では、制御部63で行われる料金収受処理の結果である利用明細情報を管理装置6に送信する(図5参照)。
記憶部53は、車載装置2から受信した情報や、制御部54で生成した情報や、管理装置6から受信した情報などを記憶する。また、記憶部53は、制御部54で実行されるプログラムを記憶する。
制御部54は、プロセッサで構成され、記憶部53に記憶されたプログラムを実行することで、各種の処理を行う。本実施形態では、路車間通信部51で受信したアップリンク情報に含まれる入口情報および計測情報に基づいて料金収受処理を行う。また、料金収受処理の結果である利用明細情報を含むダウンリンク情報を生成する。
管理装置6は、ネットワーク通信部61と、記憶部62と、制御部63と、を備えている。
ネットワーク通信部61は、ネットワークを介して各路側装置3,4,5との間で通信を行う。本実施形態では、入口料金所に設置された路側装置3から送信されるリカバリ情報を受信する(図5参照)。また、リカバリ専用エリアに設置された路側装置4にリカバリ情報を送信する(図5参照)。また、出口料金所に設置された路側装置5から送信される利用情報を受信する(図5参照)。
記憶部62は、ネットワーク通信部61で受信した車両識別情報およびリカバリ情報を記憶する。また、記憶部62は、制御部63で実行されるプログラムを記憶する。
制御部63は、プロセッサで構成され、記憶部62に記憶されたプログラムを実行することで、各種の処理を行う。本実施形態では、リカバリ情報を管理する。すなわち、入口料金所の路側装置3から送信される車両識別情報およびリカバリ情報をネットワーク通信部61で受信すると、リカバリ情報を車両識別情報と対応づけて記憶部62に記憶する。
また、制御部63は、リカバリ専用エリアの路側装置4から送信されるリカバリ要求をネットワーク通信部61で受信すると、記憶部62に記憶されたリカバリ情報の中から、リカバリ要求に含まれる車両識別情報に対応するリカバリ情報を選択して、そのリカバリ情報をネットワーク通信部61から路側装置4に送信する。
次に、車両が入口料金所を通過する際の本システムの動作手順について説明する。図6は、車両が入口料金所を通過する際の本システムの動作手順を示すシーケンス図である。図6では、ETCカード1が未装着である場合について説明する。
まず、車載装置2では、制御部23において、記憶部22から車両情報を取得して、その車両情報を含むアップリンク情報を生成する。そして、路車間通信部21において、アップリンク情報を路側装置3に送信する。
路側装置3では、路車間通信部31において、車載装置2から送信されるアップリンク情報を受信すると、制御部34において、アップリンク情報に含まれる車両情報から車両識別情報を取得する。また、入口情報(入口料金所の識別情報や通過日時情報など)および計測情報(ナンバープレート情報など)を含むリカバリ情報を生成する。そして、ネットワーク通信部32において、車両識別情報およびリカバリ情報を管理装置6に送信する。
管理装置6では、ネットワーク通信部61において、路側装置3から送信される車両識別情報およびリカバリ情報を受信すると、制御部63において、リカバリ情報を車両識別情報に対応づけて記憶部62に記憶する。
また、路側装置3では、制御部34において、リカバリが必要である旨の通知に関する通知情報を含むダウンリンク情報を生成する。そして、路車間通信部31において、ダウンリンク情報を車載装置2に送信する。
車載装置2では、路車間通信部21において、路側装置3から送信されるダウンリンク情報を受信すると、そのダウンリンク情報に含まれる通知情報に基づいて、リカバリが必要である旨の通知、具体的には、ETCカード1を装着してリカバリ専用エリアでリカバリを行うことを促す通知の音声を出力する。
なお、通知の音声は、入口料金所を通過したタイミングで出力する他に、リカバリが行われるまでに、繰り返し出力するようにするとよい。
また、リカバリが必要である旨の通知とともに、リカバリ地点を案内する通知、具体的には、どこのサービスエリアやパーキングエリアにリカバリ専用エリアがあるかを案内する通知を行うようにするとよい。
なお、車載装置2にETCカード1が装着されている場合には、車載装置2では、ETCカード1からカード情報を取得して、そのカード情報と車両情報とを含むアップリンク情報を路側装置3に送信する。したがって、路側装置3では、アップリンク情報にカード情報が含まれているか否かに応じて、ETCカード1が未装着であるか否かを判定することができる。
また、車載装置2にETCカード1が装着されている場合には、路側装置3では、通常の処理を行う。すなわち、入口情報(入口料金所の識別情報や通過日時情報など)および計測情報(ナンバープレート情報など)を含むダウンリンク情報を生成して、そのダウンリンク情報を車載装置2に送信する。車載装置2では、路側装置3から取得した入口情報および計測情報をETCカード1に書き込む。
ところで、アップリンク情報の送受信が適切に行われなかった場合には、アップリンク情報から車両情報を取得できないため、リカバリを行うことができない。そこで、リカバリが必要である旨の通知を利用者に対して行うための情報として、リカバリの可否に関する情報を含むダウンリンク情報を生成して車載装置2に送信する。このとき、車両情報を取得できた場合には、リカバリ可能となり、車両情報を取得できなかった場合には、リカバリ不可となる。
そして、車載装置2において、ダウンリンク情報に含まれるリカバリの可否に関する情報に基づいて、リカバリ可能である場合には、リカバリが必要である旨の通知を行う。一方、リカバリ不可である場合には、リカバリが必要である旨の通知は行わないか、あるいは、リカバリが不可である旨の通知を行う。
次に、車両がリカバリ専用エリアに進入した際の本システムの動作手順について説明する。図7は、車両がリカバリ専用エリアに進入した際の本システムの動作手順を示すシーケンス図である。
まず、車載装置2では、制御部23において、記憶部22から車両情報を取得して、その車両情報を含むアップリンク情報を生成する。そして、路車間通信部21において、アップリンク情報を路側装置4に送信する。
路側装置4では、路車間通信部41において、車載装置2から送信されるアップリンク情報を受信すると、制御部44において、アップリンク情報に含まれる車両情報から車両識別情報を取得して、ネットワーク通信部42において、車両識別情報を含むリカバリ要求を管理装置6に送信する。
管理装置6では、ネットワーク通信部61において、路側装置4から送信されるリカバリ要求を受信すると、そのリカバリ要求に含まれる車両識別情報に基づいて、記憶部62に記憶された各車両のリカバリ情報の中から、該当する車両のリカバリ情報を取得する。そして、ネットワーク通信部61において、リカバリ情報を路側装置4に送信する。
路側装置4では、ネットワーク通信部42において、管理装置6から送信されるリカバリ情報を受信すると、制御部44において、そのリカバリ情報を含むダウンリンク情報を生成する。そして、路車間通信部41において、ダウンリンク情報を車載装置2に送信する。
車載装置2では、路車間通信部21において、路側装置4から送信されるダウンリンク情報を受信すると、制御部23において、ダウンリンク情報に含まれるリカバリ情報を取得して、リカバリ情報をETCカード1に書き込む処理を行う。
なお、リカバリ対象車両でない、すなわち、ETCカード1が装着された状態で入口料金所を通過した車両が、誤ってリカバリ専用エリアに進入する場合も考えられる。この場合、管理装置6において、管理しているリカバリ対象車両の車両識別情報に基づいて、リカバリ対象車両でないと判定して、対象外である旨の通知情報を路側装置4に送信し、さらに対象外である旨の通知情報を路側装置4から車載装置2に送信して、車載装置2で対象外である旨の通知を出力する。
ところで、本実施形態では、入口料金所を、開閉バーが設置されていないフリーフローとしたが、入口料金所が開閉バーを備えたものとして、ETCカード1が未装着の状態の場合には、開閉バーが開かずに入口通行券が発券されるようにしてもよい。この場合、リカバリ専用エリアの路側装置4に、入口通行券を読み取る読取り装置を接続して、入口通行券に記憶された情報を読み取り、その情報に基づいてリカバリを行うようにしてもよい。
このとき、入口通行券にリカバリ情報(入口情報および計測情報)を記憶させるようにすれば、リカバリ情報を管理装置6で管理する必要がないため、管理装置6が不要となる。一方、入口通行券に入口情報のみを記憶させるようにすると、計測情報を路側装置4に提供する必要があるため、管理装置6は必要である。
また、入口通行券の不正使用が考えられるため、管理装置6で、入口通行券の発券情報として、入口通行券の識別情報を、入口通行券を発券した車両の車両識別情報に対応づけて管理するようにするとよい。あるいは、管理装置6で、入口通行券の識別情報を、リカバリ処理をすでに行ったか否かの情報に対応づけて管理するようにするとよい。これにより、入口通行券の使い回し、すなわち、過去にリカバリで使用した入口通行券の再使用を禁止するなど、入口通行券の不正使用を防止することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。図8は、本実施形態の変形例に係るETCリカバリシステムの概要を示す説明図である。
本実施形態では、図2に示したように、リカバリ地点として、有料道路内に設けられた休憩用駐車施設(サービスエリアやパーキングエリアなど)にリカバリ専用エリアを設けて、ここに設置されたリカバリ用の路側装置4でリカバリを行うようにしたが、本変形例では、図8(B)に示すように、リカバリ地点が有料道路の本線上に設定されており、本線の近傍に路側装置71が設置され、本線上に路側アンテナ72が設置されている。これにより、車両が本線を走行中にリカバリを行うことができる。
この路側装置71は、いわゆるITSスポットであり、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)において、道路情報、すなわち、渋滞、および道路上の落下物や積雪などの道路状況に関する情報を、車両の運転者に提供するものであり、路側装置71から送信されるダウンリンク情報を車載装置2で受信して、車両に搭載されたカーナビゲーション装置に道路情報が表示される。
この路側装置71を用いてリカバリを行う場合、リカバリ専用エリアに設置された路側装置4と同様に、車両情報を含むアップリンク情報が車載装置2から路側装置71に送信され、また、リカバリ情報を含むダウンリンク情報が路側装置71から車載装置2に送信される。
このとき、管理装置6では、全てのリカバリ対象車両の車両識別情報およびリカバリ情報を路側装置71に送信し、路側装置71では、管理装置6から受信した全てのリカバリ対象車両の車両識別情報およびリカバリ情報を含むダウンリンク情報を車載装置2に送信して、車載装置2では、ダウンリンク情報に含まれる車両識別情報に基づいて、自車両のリカバリ情報を選択して、リカバリを行うようにすればよい。
なお、この場合、リカバリが行われたことを運転者が把握できないため、車載装置2やカーナビゲーション装置でリカバリが終了したことを運転者に通知するようにするとよい。
また、本変形例では、有料道路の本線上に設置された路側装置71(ITSスポット)でリカバリを行うようにしたが、図2に示したように、リカバリ自体は、リカバリ専用エリアに設置された路側装置4で行い、本線上に設置された路側装置71では、リカバリが必要である旨の通知情報を車載装置2に送信するようにしてもよい。
このとき、管理装置6では、全てのリカバリ対象車両の車両識別情報および通知情報を路側装置71に送信し、路側装置71では、管理装置6から受信した全てのリカバリ対象車両の車両識別情報および通知情報を含むダウンリンク情報を車載装置2に送信して、車載装置2では、ダウンリンク情報に含まれる車両識別情報に基づいて、自車両をリカバリ対象車両と判定すると、通知情報を出力するようにすればよい。
ところで、リカバリ用の路側装置を出口料金所の直前に設置するようにしてもよい。この場合、出口料金所で車両を停止させることは望ましくないため、路側装置(ITSスポット)を本線上に設置する場合と同様に、車両が走行している状態でリカバリ情報の送受信を行うようにするとよい。
また、ETC専用レーンのみを備えた入口料金所、いわゆる、スマートインターチェンジに設置された路側装置で、リカバリを行うようにしてもよい。この場合、入口料金所への進入路を設けて、一般道路から進入する車両と合流させることになる。このため、管理装置6で管理される車両識別情報に基づいて、一般道路から進入する車両とリカバリ対象車両とを識別するようにするとよい。
次に、本実施形態の別の変形例について説明する。図9は、本実施形態の別の変形例に係るETCリカバリシステムの全体構成図である。
本実施形態では、リカバリが必要である旨の通知を車載装置2で行うようにしたが、本変形例では、リカバリが必要である旨の通知を、利用者が所持するスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末装置9で行うようにしている。
携帯端末装置9は、セルラー通信などの無線通信網を介して、管理装置6との間で通信を行うことができる。管理装置6は、入口料金所の路側装置3から送信される情報に基づいて、ETCカード1が未装着の状態で入口料金所を通過した車両があると、その車両の利用者が所持する携帯端末装置9に、リカバリが必要である旨の通知情報を送信し、携帯端末装置9は、受信した通知情報に基づいて、リカバリが必要である旨の通知を出力する。
この場合、携帯端末装置9にETCサービス専用のアプリケーションをインストールし、このアプリケーションにより、管理装置6から送信される通知情報を受信して、リカバリが必要である旨の通知を出力するようにすればよい。
このとき、携帯端末装置9で動作するアプリケーションから管理装置6にアクセスして、通知の有無を問い合わせ、これに応答して管理装置6が通知情報を送信する、いわゆるプル型の通知とすればよく、この場合、携帯端末装置9のアドレスを管理装置6に予め登録しておく必要がない。一方、管理装置6から能動的に携帯端末装置9に通知情報を送信する、いわゆるプッシュ型の通知としてもよく、この場合、携帯端末装置9のアドレスを管理装置6に予め登録しておく必要がある。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態に係るリカバリ地点の状況を示す説明図である。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
本実施形態では、図8に示した変形例と同様に、リカバリ地点が有料道路の本線上に設定されており、本線の近傍に路側装置71(ITSスポット)が設置され、本線上に路側アンテナ72が設置されている。
このような路側装置71では、車両が高速で走行しているため、車載装置2との間で行われる路車間通信において、ドップラーシフトの影響が大きくなり、ドップラーシフトによる無線性能の劣化が顕著になる。
一方、路側装置71と車載装置2との間の路車間通信は狭域通信であり、路側アンテナ72の通信エリアが狭いため、路側装置71と車載装置2との間で信号を送受信可能な時間が短い。このため、通信を確立する動作に十分な時間を確保することができず、通信を確立する過程で、ドップラーシフトの影響を低減する処理が間に合わず、リカバリ情報を適切に送受信することができない場合がある。
そこで、本実施形態では、路側アンテナ72の通信エリアの手前側に、車両速度を検出する車両速度検出装置73を設置して、この車両速度検出装置73で検出された車両速度に基づいて、ドップラーシフトによる周波数のずれを解消する周波数シフト処理を行う。
ここで、車両速度検出装置73を、路側アンテナ72の通信エリアの直前に設置すれば、路側アンテナ72の通信エリアに車両が到達した際の車両速度と、検出された車両速度とが大きく異ならないため、周波数シフト処理を精度よく行うことができる。
また、ドップラーシフトは、路側アンテナ72に対する車両の相対的な速度に影響されるため、検出された車両速度、および道路上の車両の車載装置2と路側アンテナ72との間の位置関係を考慮して、ドップラーシフト量、すなわち、ドップラー効果による周波数のシフト量(ずれ量)を算出し、そのドップラーシフト量に基づいて周波数シフト処理を行う。
また、周波数シフト処理は、送信信号および受信信号の双方に対して行われる。すなわち、送信信号に対する周波数シフト処理では、送信信号の周波数を調整して、車載装置2で正規の周波数で受信できるようにする。また、受信信号に対する周波数シフト処理では、路側アンテナ72で受信した受信信号を正規の周波数に変換する。
なお、本実施形態では、車両速度検出装置73を設けたが、道路に設置されて道路上の移動体を検出する検出装置、例えばインフラレーダで車両速度やドップラーシフト量を検出するようにしてもよい。
次に、路側装置71の概略構成について説明する。図11は、路側装置71の概略構成を示すブロック図である。
路側装置71は、第1実施形態におけるリカバリ用の路側装置4(図4参照)と同様に、路車間通信部81と、ネットワーク通信部82と、記憶部83と、制御部84と、を備えている。
制御部84は、ドップラーシフト量算出部86を備えている。このドップラーシフト量算出部86は、車両速度検出装置73で検出した車両速度に基づいて、ドップラーシフト量を算出する。このとき、車両の車載装置2から送信される無線信号を路側アンテナ72で受信する際のビーム方向と車両の進行方向とに基づいて、受信時のドップラーシフト量を算出する。また、車両の車載装置2に向けて路側アンテナ72が送信するビーム方向と車両の進行方向とに基づいて、送信時のドップラーシフト量を算出する。
ここで、ビーム方向および車両の進行方向を考慮した車両速度とドップラーシフト量との相関関係を表す数式を記憶部83に予め記憶させておき、この数式を用いて、車両速度からドップラーシフト量を算出すればよい。また、車両速度とドップラーシフト量との相関関係を表す周波数シフトテーブルを記憶部83に予め記憶させておき、この周波数シフトテーブルを参照して、車両速度からドップラーシフト量を求めるようにしてもよい。
路車間通信部81は、変調部91と、復調部92と、周波数シフト部93と、D/A変換部94と、A/D変換部95と、RF部96と、路側アンテナ72と、を備えている。
ダウンリンク情報の送信時には、制御部84で生成した送信データの変調が変調部91で行われ、変調部91から出力されるベースバンド信号に対する周波数シフト処理が周波数シフト部93で行われ、周波数シフト部93から出力されるベースバンド信号がD/A変換部94でアナログ信号に変換され、D/A変換部94から出力されるアナログ信号がRF部96に入力され、路側アンテナ72から無線信号が送信される。
一方、アップリンク情報の受信時には、車載装置2から送信される無線信号が路側アンテナ72で受信され、RF部96から出力されるアナログ信号がA/D変換部95でベースバンド信号に変換され、A/D変換部95から出力されるベースバンド信号に対する周波数シフト処理が周波数シフト部93で行われ、周波数シフト部93から出力されるベースバンド信号の復調が復調部92で行われ、復調部92から出力される受信データが制御部84に入力される。
ここで、周波数シフト部93では、ドップラーシフト量算出部86で取得したドップラーシフト量に基づいて、送信時のベースバンド信号および受信時のベースバンド信号の各々に対して、ドップラーシフト量に応じた周波数シフト処理が行われる。
このとき、車両速度やドップラーシフト量に応じて、周波数シフト処理の実施の有無を切り替えるようにしてもよい。例えば、車両速度が所定のしきい値未満であると、周波数シフト処理を実施しないようにし、また、ドップラーシフト量が所定のしきい値未満であると、周波数シフト処理を実施しないようにしてもよい。
また、周波数シフト処理は、局部発信器を制御することで実施するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、車両速度検出装置73を設けて、この車両速度検出装置73で検出した車両速度に基づいて、ドップラーシフトによる周波数のずれを解消する周波数シフト処理を行うようにしたが、ドップラー周波数(ドップラーシフトにより変化した周波数と元の周波数との差分)を検出するドップラー周波数検出装置を設けて、その検出結果を用いて周波数シフト処理を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、有料道路の本線に設置されたリカバリ用の路側装置71(ITSスポット)において周波数シフト処理を行うようにしたが、この周波数シフト処理は、リカバリのための通信に限定されない。
例えば、周波数シフト処理を、フリーフローの入口料金所の路側装置に適用するとよい。フリーフローの入口料金所では、車両が減速することなく通過することから、路側アンテナの通信エリアを車両が比較的高速で通過するため、周波数シフト処理で大きな効果を得ることができる。
また、周波数シフト処理は、このようなETC、すなわち、有料道路の料金所における料金収受に関する通信に限定されない。例えば、一般道路でも、道路情報の提供などの用途で路側装置が設置されており、このような路側装置で周波数シフト処理を行うようにしてもよい。
次に、本実施形態の変形例について説明する。図12は、本実施形態およびその変形例に係る路側装置3,4での車両識別情報の取得状況を示す説明図である。
本実施形態では、図12(A)に示すように、入口料金所の路側装置3およびリカバリ専用エリアの路側装置4において、車両を特定するために、車載装置2から送信されるアップリンク情報に含まれる車両情報から車両識別情報を取得して、その車両識別情報を管理装置6に送信するようにしたが、図12(C),(D)に示すように、入口料金所の路側装置3において、カメラ7(第1の撮像装置、図4参照)による撮影画像の画像認識により取得した車両番号を車両識別情報として管理装置6に送信するようにしてもよい。また、図12(B),(D)に示すように、リカバリ専用エリアにカメラ101(第2の撮像装置)を設置して、そのカメラ101を路側装置4に接続し、路側装置4において、入口料金所の路側装置3と同様に、カメラ101による撮影画像の画像認識により取得した車両番号を車両識別情報として管理装置6に送信するようにしてもよい。
ここで、図12(B)に示す例では、入口料金所の路側装置3で、アップリンク情報から車両識別情報を取得し、リカバリ専用エリアの路側装置4で、カメラ101の撮影画像から車両識別情報を取得するようにしている。また、図12(C)に示す例では、入口料金所の路側装置3で、カメラ7の撮影画像から車両識別情報を取得し、リカバリ専用エリアの路側装置4で、アップリンク情報から車両識別情報を取得するようにしている。また、図12(D)に示す例では、入口料金所の路側装置3およびリカバリ専用エリアの路側装置4の双方で、カメラ7,101の各撮影画像から車両識別情報を取得するようにしている。
なお、本実施形態では、管理装置6において、入口料金所の路側装置3およびリカバリ専用エリアの路側装置4からそれぞれ取得した車両識別情報に基づいて車両を特定するため、路側装置3,4でそれぞれ取得する車両識別情報は同一の情報とする必要がある。したがって、図12(A)に示す例では、アップリンク情報の車両情報から取得する車両識別情報は、車載装置2の識別情報(車載器ID)でもよいが、図12(B),(C)に示す例では、アップリンク情報の車両情報から取得する車両識別情報は、カメラ7,101の各撮影画像から取得する車両識別情報と同じ車両番号となる。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。