JP3767818B2 - 着脱式デバイス及びプログラムの起動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い勝手の優れた着脱式デバイス及びプログラムの起動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体技術やインターネットの普及進歩に伴って各種コンピュータの普及が進み、周辺機器の接続方式も多様化している。この結果、コンピュータの機種を問わず適用可能な汎用周辺機器インタフェースが必要とされ、その具体的規格の一例としてUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが提案された。また、各種コンピュータの小型軽量化と持ち運び(モバイル)用途の拡大により、着脱自在な外部記憶装置も必要とされ、その一つとして、前記USBインタフェースでパソコンに容易に接続できるメモリデバイスであるUSBメモリの人気が高まっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
USBメモリは、32MB、64MBなど種々の記憶容量のものがあるが、具体的には、内部にフラッシュメモリ素子を備え、人の親指程度の大きさの周辺機器で、一端に設けられたUSBコネクタでパソコン等のUSBポート(接続口)に接続すると、リムーバブル(着脱可能な)ディスクドライブ等として認識され読み書きなどのアクセスが可能となるものである。
【0004】
特に、今日ではインターネットの普及もあり、自分が普段使っているものとは異なるコンピュータを出先で借りて使う機会も増え、例えばインターネット・カフェなど街の時間貸し、職場、取引先、家族、友人、知人など他人のパソコンで自分のメールを送受信する場合も多い。
【0005】
このような出先のパソコンは、通常、自分の送受信メールのデータやアカウント情報を持たず、またメーラー(電子メール用ソフトウェア)の種類やバージョンも自分の愛用のものと同じとは限らない。さらに、そのような他人のパソコンに自分のアカウント情報を設定してメールを送受信することも考えられるが、その場合は、そのようなアカウント情報や送受信メールのデータ消し忘れによりプライバシー上の問題が発生する。そこで、そのようなアカウント情報やメーラー、送受信メールのデータなどをUSBメモリに記録して持ち歩く工夫もされている。
【0006】
すなわち、USBメモリ内にはデータだけでなくメーラー等のソフトウェアやソフトウェアへのショートカットを置くこともでき、USBメモリを用いて、データの保存・閲覧の他に、そのようなソフトウェアの起動も行うことができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−41247
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、USBメモリに格納してある目的のデータやソフトウェアを利用するには、それらに辿り着くまでの操作が面倒であり、特にUSBメモリの使用頻度が多いほど煩雑さが増す問題点があった。
【0009】
例えば、USBメモリ内のデータを使うには、ユーザは、USBメモリをパソコンに挿入するだけでなく、OS(Operating System。基本ソフト)の画面で「マイコンピュータ」→「リムーバブルディスク」→「目的の操作」のように順番に選択肢をたどっていく操作か、又は、キーボードを用いてファイル名を指定して実行させるなど、相応の煩雑な手順が必要であった。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、使い勝手の優れた着脱式デバイス及びプログラムの起動方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、主な記憶装置としてROM又は読み書き可能な記憶装置を備えた着脱式デバイスであって、所定の種類の機器が接続されると、その機器に記憶された自動起動スクリプトを実行するコンピュータの汎用周辺機器インタフェースに着脱され、前記汎用周辺機器インタフェースに接続された際に前記コンピュータからの機器の種類の問い合わせ信号に対し、前記所定の種類の機器である旨の信号を返信するとともに、前記汎用周辺機器インタフェース経由で繰り返されるメディアの有無の問い合わせ信号に対し、少なくとも一度はメディアが無い旨の信号を返信し、その後、メディアが有る旨の信号を返信する手段と、着脱式デバイスの中のROM又は読み書き可能な記憶装置内に設けられた複数の記憶領域の各々を用いる仮想的なディスクドライブである複数の単位デバイスと、コンピュータ側とのデータ授受を、前記各単位デバイスに割り振るハブ手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この態様では、USBメモリなど他の種類のデバイスであっても、ホスト側からの問い合わせに対し、CD−ROMドライブなど自動起動スクリプト実行の対象機器である旨の信号を擬似的に返信させる。このため、装着検出用の常駐プログラムをコンピュータ側に予めインストールしておかなくても、デバイス装着時に、スクリプトに記述されたプログラム実行など所望の処理が自動実行される。これにより、デバイスの専用ソフトウェアなどを手動でインストールするまでもなく、デバイスの様々な機能や使い方を実現できる。また、ユーザが管理者権限を持たないためソフトウェアをインストールできないコンピュータ上でも、着脱式デバイスからの自動起動が容易に実現される。
【0014】
この態様では、コンピュータによるスクリプト実行の対象である所定の機器(例えばCD−ROM)と回答させた場合、実際の機器と異なってメディアの挿入は行われないが、メディアの有無の問い合わせに対しては挿入と同じパターンの信号を擬似的に返信することで、メディア挿入がスクリプト実行の条件となっている場合もスクリプトが円滑確実に実行される。
【0016】
この態様では、CD−ROMと擬似認識させる単位デバイスを含むデバイス内にデータを保存したい場合であっても、実際のCD−ROMの特殊なファイルシステムを考慮する必要は無く、リムーバブルディスクやHDDなどデータの変換が不要な種類の他の単位デバイスにデータを容易に保存することができる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1記載の着脱式デバイスにおいて、前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、前記自動起動プログラムは、パスワードによる認証を行うとともに、誤ったパスワードが所定回数入力されると所定のデータのフォーマット又はそのプログラムの終了の少なくとも一方を行い又はその着脱式デバイスに行わせるように構成されることを特徴とする。
【0018】
この態様では、着脱式デバイスの紛失、置き忘れ、盗難などの際も、パスワードを所定回数間違うとデータフォーマット等により、データが不正参照から保護される。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の着脱式デバイスにおいて、前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、前記自動起動プログラムは、その着脱式デバイスの使用中のみ、ファイルの所望の拡張子と所望のプログラムとの関連付けを一時的に行うことを特徴とする。
【0020】
この態様では、デバイスの使用中のみ、自動起動プログラムによりファイルの拡張子とプログラムとの関連付けが一時的に行われる。このため、使用中はファイルが、着脱式デバイス中の対応するアプリケーションプログラムにより確実容易に開ける一方、コンピュータが借り物の場合、自動起動プログラムが終了すると、これらの擬似関連付けが働かなくなるので、関連付けが使用後も残って持ち主に迷惑をかけることがない。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の着脱式デバイスにおいて、前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、前記自動起動プログラムは、リムーバブルディスクとして前記コンピュータに認識される記憶領域にあって削除操作が行われたファイルについて、そのリムーバブルディスク独自のごみ箱内の削除候補ファイルとして扱い、それら削除候補ファイルについて、どのようなファイルが含まれるかを表示する操作、所望のファイルを元に戻す操作、及び一部又は全部のファイルに関する完全削除の操作を受け付け及び実行するように構成されることを特徴とする。
【0022】
この態様では、リムーバブルディスク内のファイルの削除にも、独自のいわゆる「ゴミ箱」を適用することにより、使い勝手が向上する。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の着脱式デバイスにおいて、前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、前記自動起動プログラムの実行は、パスワードによる認証を条件とすることを特徴とするのでセキュリティが一層改善される。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の着脱式デバイスにおいて、前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、前記自動起動プログラムは、電子メールプログラムであって、当該着脱式デバイス内のアカウント情報に基いて動作すると共に、送受信した電子メールのデータを当該着脱式デバイス内に保存することを特徴とするので、電子メール送受信に関する全ての情報を一括して持ち歩き、いつでもどこでも容易に電子メール送受信を行うことが可能となる。
【0025】
請求項8の着脱式デバイスは、コンピュータの汎用周辺機器インタフェースに着脱され、主な記憶装置としてROM又は読み書き可能な記憶装置を備えた着脱式デバイスであって、前記コンピュータのBIOSからの前記汎用周辺機器インタフェース経由のアクセスに応じて、フレキシブルディスクドライブである旨を回答すると共に、オペレーティングシステムの立上げのための情報を提供することによって前記コンピュータをブートアップさせるように構成されたことを特徴とする。
【0026】
この態様では、セットされた本来のOSが異なるパソコンでも、着脱式デバイスを装着し、自分の所望の環境をOSレベルから立ち上げることで容易に利用可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の複数の実施の形態(以下それぞれ「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。なお、各実施形態は、専用LSI上のワイヤードロジックやプログラム等により実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能であるから、以下の説明では、本発明及び各実施形態の各機能を実現する仮想的回路ブロックを用いる。
【0030】
〔1.第1実施形態の概略構成〕
まず、図1は、第1実施形態の概略構成を示す機能ブロック図である。すなわち、第1実施形態は、コンピュータ1に着脱して用いる着脱式複合デバイス(以下「複合デバイス」と呼ぶ)2であり、コンピュータ1は、汎用周辺機器インタフェースとしてUSBを備える。すなわち、コンピュータ1は、USBポート10と、USBホストコントローラと、USBのための必要なデバイスドライバを備え、コンピュータ1を以下、USBに関して「ホスト側」や「コンピュータ側」のようにも呼ぶ。
【0031】
また、複合デバイス2は、コンピュータのUSBポート10に着脱するもので、この例では、主な記憶装置として読み書き可能なフラッシュメモリ4を備えるが、主な記憶装置として小型ハードディスクドライブやROMを用いてもよい。また、複合デバイス2は、USBデバイス側制御部3を備える。
【0032】
USBデバイス側制御部3では、ASICなどカスタムチップのワイヤードロジックにより、又は、CPUと組込みプログラム若しくはマイクロプログラムなどの組合せにより、図1に示す以下のように作用する各構成要素が実現され、また、コンピュータ1では、OS等のプログラムの作用により図1に示す以下のように作用する各構成要素が実現される。
【0033】
〔2.第1実施形態の作用及び効果〕
すなわち、第1実施形態は以下のような作用及び効果を有する。
〔2−1.ハブ分け〕
USBデバイス側制御部3のハブ分け部31は、単一の複合デバイス2において、コンピュータ1側とのデータ授受を、複数のデバイス(それぞれ「単位デバイス」と呼ぶ)に割り振る作用(以下「ハブ分け」と呼ぶ)を果たすことで、複数の機能を容易に実現するハブ手段である。ハブ分けの具体的態様としては、
(1)USB汎用ハブを小型化してデバイス内部に設ける。
(2)単一のデバイスのUSBコントローラに、複数のデバイスコンポーネントを管理させる。
(3)ASIC等のカスタムチップや、汎用CPUと組込みプログラムなど、LSIにより、ハブや各単位デバイスの各USBコントローラをエミュレートする。
や適宜これらを組み合わせるなどが考えられるが、ここではUSBコントローラのエミュレータであるものとする。
【0034】
このようなハブ分けにより、フラッシュメモリ4の記憶領域には、CD−ROM領域R3と、読み書き可能領域R4及びR5が設定される。そして、CD−ROM領域R3上に設定されるCD−ROMドライブ(ドライブレター「H」)や、読み書き可能領域R4上に設定されるリムーバブルディスクドライブ(ドライブレター「D」)が各単位デバイスとなっているが、それら領域自体を単位デバイスとしてもよい。
【0035】
また、読み書き可能領域R5上には、ハブ分け部31の作用により3つのリムーバブルディスクドライブ(ドライブレター「E」「F」「G」)が設定され、これら3つのリムーバブルディスクドライブ「E」「F」「G」も一つの単位デバイスを構成している。なお、リムーバブルディスクドライブ「E」「F」「G」を個別に単位デバイスとしてもよい。
【0036】
さらに、フラッシュメモリ4の記憶領域には、ホスト側からアクセス可能な上記のようなUSB上の単位デバイスとは別に、USBデバイス側制御部3のアクセス部34からのみ直接管理及び読み書き可能な管理領域R1及び制限領域R2が設定される。
【0037】
ここで、領域R1やR2については、OSからの通常の認識や書き込み・削除等のアクセスは禁じ、例えば管理領域R1には領域管理用の情報などを置く。また、制限領域R2については、後述する自動起動プログラムPのみにUSBデバイス側制御部3を通じた書き込み、削除等のアクセスを許し、メーラー等のアプリケーションソフトウェアなどを置く。これによりそれらソフトウェアについて、誤消去や違法コピーから保護する。
【0038】
なお、デバイス上で保護すべき情報は、制限領域R2に代えて、例えばホスト側からUSB上の単位デバイスとして閲覧可能であるが書込禁止の領域を設定し、そのような領域に置いてもよい。
【0039】
読み書き可能領域R4は、通常のリムーバブルディスクとして自由にアクセス可能で、メーラーの用いる電子メールのデータ、住所録、ワードプロセッサの文書やプレゼンテーション資料などを置く。
【0040】
なお、各領域にアクセスするために、パスワードを設定することができ、パスワードを認証するための照合用情報は領域R1やR2のようにOS側からアクセスできない領域に置く。
【0041】
以上のようにハブ分け部31により、相互に扱いの異なる複数の領域を単位デバイスとして設定すれば、擬似認識によりCD−ROMとして扱われる単位デバイスを含む着脱式デバイスにデータを保存したい場合、実際のCD−ROMの特殊なファイルシステムを考慮する必要は無く、リムーバブルディスクやHDDなどデータの変換が不要な種類の他の単位デバイスにデータを容易に保存することができる。
【0042】
〔2−2.擬似認識〕
ところで、OSによっては(例えばマイクロソフト(登録商標)社のウインドウズ(登録商標)シリーズ)、所定の種類のデバイス(例えばCD−ROM)にメディアが挿入されたことを契機として、そのメディア上の所定のスクリプトファイル(例えば「Autorun.inf」)を実行する。コンピュータ1は、そのようなOSを備えるコンピュータであるものとする。
【0043】
また、USBでは、ホスト側は、USBに装着されたかもしれないデバイスに対し、機器の種類の問い合わせ信号を繰返し周期的にUSB回線上に流しており、新たにUSBに装着された機器は、この問い合わせ信号に対して自分が該当する機器の種類を回答することにより、ホスト側に自らの接続を認識させる。したがって、コンピュータ1は、所定の種類の機器が接続されると、その機器に記憶された自動起動スクリプトをスクリプト実行部11が実行するものである。
【0044】
そこで、USBデバイス側制御部3の認識制御部32は、USBに接続された際に、ホスト側からの機器の種類の問い合わせ信号に対し、CD−ROMである旨の信号を擬似的に返信する。この擬似的返信は、複数の単位デバイスのうちCD−ROM領域R3のみについて行う。また、CD−ROM領域R3のCD−ROMドライブHには、前記自動起動スクリプトSにより起動される自動起動プログラムPを格納しておく。
【0045】
すなわち、着脱式デバイス2すなわちUSBメモリは本来はスクリプト実行の対象とはならない種類のデバイスであるが、ホスト側からの問い合わせに対し、認識制御部32が、CD−ROMドライブなど自動起動スクリプト実行の対象機器である旨の信号を擬似的に返信する。
【0046】
このため、装着検出用の常駐プログラムをコンピュータ側に予めインストールしておかなくても、デバイス装着時に、スクリプトに記述されたプログラム実行など所望の処理が自動実行される。これにより、デバイスの専用ソフトウェアなどを手動でインストールするまでもなく、デバイスの様々な機能や使い方を実現できる。また、ユーザが管理者権限を持たないためソフトウェアをインストールできないコンピュータ上でも、着脱式デバイスからの所望のプログラムの自動起動が容易に実現される。
【0047】
〔2−3.メディア挿入〕
また、上記のようなOSには、メディアの装着の有無を繰り返しデバイスに問い合わせて回答させ、ある時点で存在しなかったものが、その後、存在する状態に変化すると、メディアが挿入されたと認識するものもある。
【0048】
そして、上に説明したように、コンピュータによるスクリプト実行の対象である所定の機器(例えばCD−ROM)と認識制御部32に回答させた場合、実際の機器と異なってメディアの挿入は行われないが、メディアの有無の問い合わせに対しては、挿入模擬部33が、挿入と同じパターンの信号を擬似的に返信することで、メディア挿入がスクリプト実行の条件となっている場合もスクリプトが円滑確実に実行される。
【0049】
すなわち、挿入模擬部33は、USBホストコントローラからUSB経由で繰り返されるメディアの有無の問い合わせ信号に対し、少なくとも一度はメディアが無い旨の信号を返信し、その後、例えば2度目の問い合わせに対しては、メディアが有る旨の信号を返信する。
【0050】
すると、コンピュータ1上のOSはメディアが挿入されたと認識し、コンピュータ1のスクリプト実行部11が、その機器に記憶された自動起動スクリプトSを実行する。ここでスクリプト実行の対象となる「所定の種類」の機器は、仮に「CD−ROM」であるものとするが、対象を他の種類の機器に変更したり拡大することも自由である。また、プログラム実行部12は、例えば拡張子「.exe」等の実行ファイルを実行する手段であり、前記スクリプトに実行ファイルのディレクトリ、名称、パラメータ等が記述されていれば、それにしたがってその実行ファイルを実行する。
【0051】
なお、第1実施形態では、自動起動スクリプトS中に自動起動プログラムPの実行を指定しておく。なお、自動起動プログラムPのアプリ起動機能P1からさらにメーラー等のアプリケーションなど、他のプログラムを派生的に呼び出すことも当然可能であり、そのような派生的に呼び出されるプログラムも以下、自動起動プログラムPと呼ぶ。
【0052】
〔2−4.パスワード間違いによるデータ削除〕
また、第1実施形態では、デバイスを紛失した場合、データを他人に見られたり悪用されないように、パスワードを所定回数間違ったときに、データをフォーマットするか、又は、パスワードを認証するプログラムを終了させ、パスワード解析を困難にする。
【0053】
すなわち、自動起動プログラムPの認証機能P2は、パスワードを認証するとともに、誤ったパスワードが所定回数入力されると、USBデバイス側制御部3のフォーマット部37に指示を送ることにより、着脱式デバイス2上の所定の領域全体やその上のデータをフォーマットする。なお、パスワードを所定回数間違ったときの処理は、単に自動起動プログラムPの終了や消去としてもよい。
【0054】
このようにすれば、複合デバイス2の紛失、置き忘れ、盗難などの際も、パスワードを所定回数間違うとデータフォーマット等により、データが不正参照から保護される。
【0055】
さらに、そのようにプログラムを終了させるまでの間違いの許容回数もランダムにすれば、パスワード解析はより困難にできる。また、パスワード認証に、0.1〜0.5秒などある程度の時間をかけるようにすれば、ユーザが普通に使う場合は苦にならないが、単語辞書などを用いた総当り式の入力等によるパスワード解析も困難となる。
【0056】
なお、自動起動プログラムPには、管理領域R1にある情報を書き換える機能を持たせ、各領域のサイズや書込み禁止等の属性を変更したり、新たな領域を作成したりすることができるようにしてもよい。なお、領域を変更する場合、データの移動が必要となる場合があるが、例えば、2つの領域の境界を移動してそれぞれのサイズを変更する場合、自動起動プログラムPは、変更前の各領域にあったデータのバックアップを、一時的に複合デバイス2上又はコンピュータ1上のメモリやHDDの空き領域に取り、領域R1の領域情報を書き換え、変更後の各領域にバックアップしてあったデータを戻す。
【0057】
〔2−5.拡張子に関する関連付け〕
また、デバイスにソフトウェアを搭載した場合、拡張子によるデータとの関連付けを行っていないと、容易に使用することができないが、第1実施形態では、自動起動プログラムPは、着脱式デバイスの使用中のみ、ファイルの所望の拡張子と、その拡張子を持つファイルを開く操作が行われた場合に、そのファイルを開くために実行すべきアプリケーションプログラムとを、一時的かつ擬似的に関連付けるように構成する。
【0058】
例えば自動起動プログラムPの関連付け機能P3の働きにより、その実行中に「.doc」という拡張子を持つファイルがダブルクリックされると、その事象がOS又は自動起動プログラムPの作用により検出され、デバイス内に搭載された「〇〇ワード」など所定のソフトウェアがスタートし、そのファイルのデータが自動的に開かれる。
【0059】
このようにすれば、デバイスの使用中のみ、自動起動プログラムPによりファイルの拡張子とプログラムとの関連付けが一時的に行われる。このため、使用中はファイルが、複合デバイス2中の対応するアプリケーションプログラムにより確実容易に開ける一方、コンピュータが借り物の場合、自動起動プログラムPが終了すると、これらの擬似関連付けが働かなくなるので、関連付けが使用後も残って持ち主に迷惑をかけることがない。
【0060】
〔2−6.リムーバブルディスクのゴミ箱〕
OSによっては、ファイルを削除しても直ちには削除されず自動的に「ごみ箱」と呼ばれる専用領域に保存されるが、リムーバブルディスクでは完全に消去されてしまう。特にリムーバブルディスクは外出先などで利用することが多く、間違って削除してしまった場合大いに困ることがある。そこで、リムーバブルディスクにごみ箱の機能を追加で持たせる。
【0061】
すなわち、自動起動プログラムPのゴミ箱処理機能P4の作用により、リムーバブルディスクとして認識されているいずれかの単位デバイスで、ユーザが削除操作をしたファイルについて、一旦データ本体又はその管理情報を所定の領域に移すかフラグ等の属性設定を変えることにより、そのリムーバブルディスク独自のごみ箱内の削除候補ファイルとして扱う。
【0062】
さらに、それら削除候補ファイルについては、どのようなファイルが含まれるかを表示する操作、所望のファイルを元に戻す(「データを元の場所に戻す」)操作、及び一部又は全部のファイルに関する完全削除(例えば「ごみ箱を空にする」)の操作を受け付け及び実行する機能を自動起動プログラムPに持たせる。
【0063】
このようにすれば、リムーバブルディスク内のファイルの削除にも、独自のいわゆる「ゴミ箱」を適用することにより、使い勝手が向上する。
【0064】
〔3.第2実施形態〕
第2実施形態は、プログラムの起動方法に関するもので、第1実施形態の要件は前提とせず、コンピュータ上で予め検出プログラムを実行しておき、その検出プログラムは、そのコンピュータの汎用周辺機器インタフェースにデバイスが装着されると、そのデバイス内の所定のデータに応じたプログラムを起動するものである。
【0065】
ここで、所定のデータに応じたプログラムとは、そのデータがプログラムファイルの名称やディレクトリ位置を指定するものであってもよいし、USBメモリ等のデバイスに記録されたIDによりデバイスを個体識別し、その結果に応じたプログラムを起動するようにしてもよい。また、ここでいうプログラムは、Windows(登録商標)シリーズOSの「Autorun.inf」のようなスクリプトでもよい。
【0066】
第2実施形態では、ユーザや製造販売者等が指定した通りに、自動的にエクスプローラ等のプログラムでリムーバブルディスクの内容を展開表示したり、ソフトウェアを起動したりする所望の常駐アプリケーションプログラム(以下「常駐プログラム」と呼ぶ)を作り、最初の導入時のみ、ユーザが前記常駐プログラムのインストーラを実行する。
【0067】
このインストーラを配布するには、例えば、USBメモリにあらかじめ搭載し、ユーザがあるパソコンにおいて初めてそのUSBメモリを使用する場合に限り、そのUSBメモリ内の前記インストーラを実行してもらい、そのパソコンに前記常駐プログラムのインストール作業を行ってもらう。
【0068】
すると、次回以降、そのUSBメモリ又は特定のUSBメモリを挿入すると、次のような自動起動が有効となる。すなわち、USBメモリをパソコンのUSBポートに挿入すると、→OSがUSBメモリを認識し、→前記常駐プログラムがUSBメモリを認識し、→前記常駐プログラムがUSBメモリに格納された特定のアプリケーションプログラムの実行など、所望の処理を行う。したがって、ユーザが例えば「マイコンピュータ」→「リムーバブルディスク」→「目的の操作」のようにたどっていく従来の煩雑な操作は不要となる。
【0069】
このように、USBメモリ等のデバイス装着を検出する検出プログラムをコンピュータに予め常駐させておくことで、コンピュータ側において装着時のスクリプト実行等の機能を持たないか又は停止されている場合も、デバイス装着の際に専用プログラム実行によるパスワード認証や、アプリケーションソフトの起動など所望の処理を自動実行できるので、OSとその標準ドライバのみの場合と比べて、デバイスにより適合したパソコン側の制御動作が実現される。
【0070】
〔4.第3実施形態〕
USBメモリをフレキシブル(フロッピー(登録商標))ディスクドライブと擬似認識させることで、そのドライブからのブートが可能なパソコンにあらかじめデバイスを挿入し、パソコンの電源を入れると、USBメモリからブートさせることができる。
【0071】
すなわち、第3実施形態は、コンピュータの汎用周辺機器インタフェースに着脱され、主な記憶装置としてROM又は読み書き可能な記憶装置を備えた着脱式デバイスであって、前記コンピュータのBIOS(基本入出力システム。通常ROMに格納される)からの前記汎用周辺機器インタフェース経由のアクセスに応じて、フロッピーディスクドライブである旨を回答すると共に、オペレーティングシステムの立上げのための情報を提供することによって前記コンピュータをブートアップさせるように構成されたことを特徴とする着脱式デバイスである。
【0072】
この第3実施形態では、セットされた本来のOSが異なるパソコンでも、着脱式デバイスを装着し、自分の所望の環境をOSレベルから立ち上げることで容易に利用可能となる。特に、USBメモリにWindowsなどのOSを搭載することで、他人のパソコンであっても自分のパソコン環境をそのまま利用することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、使い勝手の優れた着脱式デバイス及びプログラムの起動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
1…コンピュータ
2…デバイス
3…USBデバイス側制御部
4…フラッシュメモリ
11…スクリプト実行部
12…プログラム実行部
31…ハブ分け部
32…認識制御部
33…挿入模擬部
37…フォーマット部
S…自動起動スクリプト
P…自動起動プログラム
R1〜R5…領域
Claims (6)
- 主な記憶装置としてROM又は読み書き可能な記憶装置を備えた着脱式デバイスであって、
所定の種類の機器が接続されると、その機器に記憶された自動起動スクリプトを実行するコンピュータの汎用周辺機器インタフェースに着脱され、
前記汎用周辺機器インタフェースに接続された際に前記コンピュータからの機器の種類の問い合わせ信号に対し、前記所定の種類の機器である旨の信号を返信するとともに、前記汎用周辺機器インタフェース経由で繰り返されるメディアの有無の問い合わせ信号に対し、少なくとも一度はメディアが無い旨の信号を返信し、その後、メディアが有る旨の信号を返信する手段と、
前記着脱式デバイスの中の前記ROM又は読み書き可能な記憶装置内に設けられた複数の記憶領域の各々を用いる仮想的なディスクドライブである複数の単位デバイスと、
コンピュータ側とのデータ授受を、前記各単位デバイスに割り振るハブ手段と、
を備えたことを特徴とする着脱式デバイス。 - 前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、
前記自動起動プログラムは、パスワードによる認証を行うとともに、誤ったパスワードが所定回数入力されると所定のデータのフォーマット又はそのプログラムの終了の少なくとも一方を行い又はその着脱式デバイスに行わせることを特徴とする請求項1記載の着脱式デバイス。 - 前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、
前記自動起動プログラムは、その着脱式デバイスの使用中のみ、ファイルの所望の拡張子と所望のプログラムとの関連付けを一時的に行うことを特徴とする請求項1又は2記載の着脱式デバイス。 - 前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、
前記自動起動プログラムは、リムーバブルディスクとして前記コンピュータに認識される記憶領域にあって削除操作が行われたファイルについて、そのリムーバブルディスク独自のごみ箱内の削除候補ファイルとして扱い、
それら削除候補ファイルについて、どのようなファイルが含まれるかを表示する操作、所望のファイルを元に戻す操作、及び一部又は全部のファイルに関する完全削除の操作を受け付け及び実行するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の着脱式デバイス。 - 前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、
前記自動起動プログラムの実行は、パスワードによる認証を条件とすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の着脱式デバイス。 - 前記自動起動スクリプトにより起動される自動起動プログラムを予め格納し、
前記自動起動プログラムは、電子メールプログラムであって、当該着脱式デバイス内のアカウント情報に基いて動作すると共に、送受信した電子メールのデータを当該着脱式デバイス内に保存することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の着脱式デバイス。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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