JP3767591B2 - 赤外線検出器 - Google Patents
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Description
この赤外線検出器は、半導体基板上に封止雰囲気に通じる空洞を形成するように肉薄のダイアフラムを備え、このダイアフラム上に赤外線吸収膜を有し、赤外線吸収膜に入射する赤外線強度に応じて出力電圧が変化する温度検出素子を有する。そして、半導体基板上には上記空洞を介してダイアフラムに対向する赤外線放射体を設けている。これにより、赤外線放射体に電圧を印加して赤外線を放射させ、温度検出素子の出力によって、自己診断を行うことができる。
また、赤外線吸収膜の動作も関与して通常動作時と同じ熱伝導態様となるので、素子自体の劣化だけではなく、外来する赤外線が通過する封止雰囲気の異常についても、自己診断することが可能である。
その結果、赤外線放射体のない製品と比べると、歩留まりが低下するという問題があった。
さらに、赤外線検出素子は通電加熱式ゲッターの発熱に関与しないため、素子自体劣化することがない。
図1は第1の実施例にかかる赤外線検出器におけるセンサパッケージの構成を示す図で、(a)は上面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。なお、図1の(a)では、簡単化のため、レンズ3および金属キャップ5を取り外し、通電加熱式ゲッター9は仮想線でその位置を示している。
センサチップ2には、それぞれサーモパイルより構成される赤外線検出素子2aおよびゲッター温度検出素子10が形成されている。赤外線検出素子2aおよびゲッター温度検出素子10は、電気配線としてのワイヤーボンディング13でそれぞれ端子8と接続されており、該端子8によって外部へ温度の検出信号を出力するようになっている。
端子17および端子8は、ハーメチックシール7によって金属ステム6との間の電気的絶縁と気密封止を同時に満足するように取り付けられる。
金属キャップ5には、計測領域からの赤外線をセンサチップ2に透過・集光するレンズ3が取り付けられている。レンズ3は低融点ガラスによって金属キャップ5に気密接合され、金属キャップ5と金属ステム6に囲まれた空間は、真空状態もしくは不活性ガスで満たされている。
一方、通電加熱式ゲッター9は、それから放射される赤外線がゲッター温度検出素子10および赤外線検出素子2aに届くようになっている。
計測領域からの赤外線は、レンズ3によって赤外線検出素子2aに結像され、赤外線検出素子2aを構成するサーモパイルの出力電圧より、計測領域の赤外線分布を計測することができる。
ここで、センサチップ2上の素子形成や端子8、端子17のワイヤボンディングは済んでいるものとする。
最初に、図2に示すように、レンズ3を装着済みの金属キャップ5を冶具20に取り付け、センサチップ2がダイボンドされた金属ステム6を冶具19に取り付ける。このとき端子8および端子17は所定のソケットによって製造用制御回路40と接続される。
ゲッターの温度制御は、ゲッター温度検出素子10の出力を基に、通電加熱式ゲッター9への電流量を制御して行う。
このゲッター活性化の間は、通電加熱式ゲッター9からの赤外線放射は一定に保たれているので、通電加熱式ゲッター9の活性化中に赤外線検出素子2aの各サーモパイルの感度ばらつきや、欠陥素子のチェックを行っても良い。
センサパッケージ組立時において、多量にガスが排気される初期排気の後の圧力は、ゆっくりと低下していくことが知られている。さらに、溶接後のパッケージ内のガス放出量は1/t(t:時間)に比例して低下していくことを考慮すると、溶接後のパッケージ内のガス放出量は微々たるものである。
つまり、センサパッケージ組立時におけるゲッターの活性化度合いは、溶接直後のセンサパッケージ内のガス吸着に必要な分だけで良い。そして、その後にセンサパッケージ内に発生する極微量なガスの吸着には、後述の再活性化に委ねることができる。
その結果、生産時間を短縮することが可能となり、センサ作製のコストを低減することができる。
赤外線検出器は、図1に示したセンサパッケージ1に自己診断手段としての自己診断回路30を接続して構成される。
センサパッケージ1は、少なくとも、通電加熱式ゲッター9と接続される端子17と、赤外線検出素子2a、温度測定素子11、ゲッター温度検出素子10と個別に接続される複数の端子8とで、自己診断回路30に接続されている。
一方、ゲッター温度検出素子10には、通電加熱式ゲッターからの自己診断用赤外線のみ入射しているので、自己診断用赤外線の強度に応じた電圧V2を出力している。
そこで、赤外線検出素子2aを構成するサーモパイルからの出力V1+V2からゲッター温度検出素子10の出力V2を差引くことで、自己診断用赤外線が放射されている間でも、赤外線検出領域の絶対温度を正確に検出することが可能となる。
ここで、活性化しているゲッターは、ほとんどの種類の活性ガスをその表面に化学的に吸着する。窒素は窒化物、酸素は酸化物として、水分子はゲッターの表面で分解し不可逆に吸着されるため、一度吸着されたガスがゲッター材から放出されることはほとんどないと言われている。
そこで、ゲッターを加熱して表面に吸着しているガス成分の内部拡散を促してやると、ゲッターの排気速度を回復させることが可能となる。この加熱プロセスのことを再活性化と呼ぶ。
通電加熱式ゲッターの高温動作を測定システム終了時に限定することで、ゲッター高温時に赤外線検出器の空間内に放出される水素ガスによる一時的な感度低下がシステム作動時に起き難くなり、さらには次回システム起動時までの間により多くの活性ガスを吸着できる。
すなわち、時刻t1で測定システムが起動されると、通電加熱式ゲッター9へ通電が行われる。温度が50℃に達した時刻t2で自己診断を開始する。この加熱によって再活性化も同時に行われる。自己診断回路30は、ゲッター温度検出素子10の出力を基に、通電加熱式ゲッター9への電流量を制御して、通電加熱式ゲッター9の温度を一定に保つ。
測定プロセスが終了する時刻t4において、通電加熱式ゲッター9はより高い温度の150℃へ向けて加熱される。この高温加熱によって、より効果的な再活性化が行われるようになる。
150℃に達してから所定時間経過した時刻t5で、通電加熱式ゲッター9への通電が停止され、測定システムの作動も終了する。これに伴い、通電加熱式ゲッターの温度も低下する。
なお、図6に示していないが、測定システム作動中においても、50℃までの低温動作で適宜自己診断を実行することも可能である。
したがってまず、自己診断用の赤外線を放射する通電加熱式ゲッター1が赤外線検出素子2aの赤外線検出面に対向して配置されるから、半導体基板自体に形成するものに対して、半導体作製プロセスにおける歩留まりを高く維持することができる。そして、半導体基板上に形成されるのと比べると、より大きく形成することができるから、赤外線検出素子2aへの入射効率が向上し、低消費電力で済むという利点が得られる。
また、赤外線検出器のセンサパッケージの組立時に必要なゲッターの温度を計測する温度計測装置が不要となって、赤外線検出器のコストダウンに大きく貢献できる。
これは、自己診断用赤外線をより赤外線検出素子2aおよびゲッター温度検出素子10に集光できるようにしたものである。
センサパッケージ1’は、レンズ3部分の外側下方で、レンズ3を通して計測領域から入射される赤外線を遮光しない位置に、通電加熱式ゲッター9をカバーする反射ミラー4を備えている。反射ミラー4はレンズ3側の上部を小径、金属ステム6側の下部を大径としたリング状で、その下部の周縁部で金属ステム6に結合されている。
その他の構成は図示しない自己診断回路30との接続を含めて、第1の実施例と同じである。
これによって、自己診断時の通電を低電流にすることができ、より低消費電力化することが可能となる。
なお、反射ミラー4は金属ステム6に結合するかわりに、金属キャップ5に取り付けてもよい。
この場合、上記切替回路と接続する端子を自己診断回路30に接続し、自己診断回路30からの制御信号により切替回路を動作させる。
2 センサチップ
2a 赤外線検出素子
3 レンズ
4 ミラー
5 金属キャップ
6 金属ステム
8、17 端子
9 通電加熱式ゲッター(赤外線放射体)
10 ゲッター温度検出素子
11 温度測定素子
12、13 ワイヤーボンディング
30 自己診断回路(自己診断手段)
19、20 冶具
40 製造用制御回路
Claims (5)
- 赤外線の検出面に入射される赤外線の強度に応じて出力電圧が変化する赤外線検出素子と、
前記赤外線検出素子の検出面に対向し、かつ計測領域から入射される赤外線を遮光しない位置に配置され、通電によって赤外線を放射する通電加熱式ゲッターと、
真空又は不活性ガス雰囲気を有し、かつ内部に前記赤外線検出素子と前記通電加熱式ゲッターを備えたセンサパッケージと、
前記通電加熱式ゲッターを通電して前記赤外線検出素子の検出面に自己診断用の赤外線を入射し、該赤外線検出素子の出力電圧を検出することによって、自己診断を行う自己診断手段とを有することを特徴とする赤外線検出器。 - 前記計測領域から入射される赤外線を遮光しない位置に反射ミラーを設け、該反射ミラーは、前記通電加熱式ゲッターから前記検出面以外の方向に放射される赤外線を、該検出面に反射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線検出器。
- 前記自己診断手段は、前記通電加熱式ゲッターを通電することによって、自己診断用の赤外線を放射させるとともに、前記通電加熱式ゲッターを再活性化させることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線検出器。
- 前記自己診断手段は、前記赤外線検出素子が赤外線測定終了後に、測定開始時または測定途中よりも高い温度が発生するように前記通電加熱式ゲッターを通電し、高温で再活性化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の赤外線検出器。
- 前記通電加熱式ゲッターの温度を測定するゲッター温度測定素子を設け、該ゲッター温度測定素子の出力をもとに、通電時の前記通電加熱式ゲッターの温度を制御可能とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の赤外線検出器。
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