JPH10115556A - 赤外線検出器 - Google Patents

赤外線検出器

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JPH10115556A
JPH10115556A JP26967196A JP26967196A JPH10115556A JP H10115556 A JPH10115556 A JP H10115556A JP 26967196 A JP26967196 A JP 26967196A JP 26967196 A JP26967196 A JP 26967196A JP H10115556 A JPH10115556 A JP H10115556A
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JP
Japan
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infrared
substrate
light receiving
transmission window
infrared detector
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Application number
JP26967196A
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English (en)
Inventor
Takanori Sone
孝典 曽根
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱型の赤外線検知アレイの受光部の真空気密
が容易に得られ、またボロメータ方式の赤外線検知アレ
イの温度安定が容易に得られる。 【解決手段】 シリコン基板1の上に形成した受光部2
の前面に、赤外線透過窓4を空隙3を有して配置し、透
過窓4は受光部2を囲む範囲の接着面で、基板1に気密
に接着することにより固定し、かつ空隙3の内部を真空
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線検出器に関
し、さらに詳しくは、受光部に真空気密を要するボロメ
ータ方式、サーモパイル方式、または焦電方式の赤外線
検知アレイの赤外線検出器、および受光部の温度安定化
が必要なボロメータ方式の赤外線検知アレイの赤外線検
出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、赤外線による光学機器の利用が盛
んになっており、夜間の監視や温度計測などに活用され
ている。この応用の拡大に伴い、ボロメータ方式、サー
モパイル方式、あるいは焦電方式の熱型検出器による安
価な赤外線検出器の開発が要望されている。例えば特開
平2−196929号公報や特開平4−500437号
公報に記載されているように、検出器の各画素をブリッ
ジ構造で中空に浮かしたボロメータ方式の赤外線検知ア
レイ、SPIEプロシーディングVol.2269In
frared Technology XX,(199
4)の450〜459頁にあるサーモパイル方式の赤外
線検知アレイ、あるいは特開平7−243908号公報
に記載されている焦電方式の赤外線検知アレイは、シリ
コン基板の上に赤外線を検知する画素をアレイ状に形成
した赤外線検出素子であり、これらの素子によって赤外
線を画像として検知することが可能となる。これらの熱
型検出器は、量子型の赤外線画像の検出器と比較して素
子冷却が不要であるため、低コストの赤外線検出器とし
て提供できる利点を有している。
【0003】しかしながら熱型検出器は、受光部が吸収
する入射赤外線を受光部の温度変化に変え、これを信号
として検出するものであるから、受光部の熱絶縁性を上
げることが高感度の検出器を得るために必要である。従
来の技術では、高い熱絶縁性を得るために受光部の各画
素をブリッジ構造により中空に浮かし、さらに検出素子
を構成する基板全体を真空の容器内に配置する方法がと
られてきた。真空の容器は真空パッケージとも呼ばれ、
例えば図14に示したように、セラミック製のステム
(基台)15に赤外線検出素子20を接着し、赤外線透
過窓4を取り付けたキャップ16を検出素子20の前面
に置き、ステム15に気密に接着する。キャップ16の
内部はキャップ16に取り付けた排気管17をとおして
真空引きを行い、排気管17の端面を封止して、最終的
に真空容器を得る。検出素子20の信号は、ワイヤボン
ド18によって、素子の配線パッドとステム15を貫通
している信号ピン19に接続することにより、容器の外
に取り出される。
【0004】このような真空容器(パッケージ)によっ
て検出素子の熱絶縁性を保持する方法は、検出素子をい
かに小さくしようとも、真空容器により検出器全体の寸
法が決まるため、小型化を図ることが難しいのはいうま
でもない。また、真空容器による検出素子の実装工程
は、繁雑であるばかりでなくセラミック製のステムや大
型の透過窓など高価な部品を要し、必ずしも低コストの
検出器とはならないなどの問題点があった。
【0005】また、熱型検出器のうちでボロメータ方式
によるものは、外部からの赤外線の照射により発生した
画素の絶対温度の変化を抵抗変化に変えて読み出すもの
であるから、検出器そのものの温度が検出器周囲の温度
変化によらず安定している必要がある。従来の技術で
は、例えば図15にあるように、赤外線検出素子20と
熱電サーモモジュール22を接着し、図14の真空容器
と同様の方法によって、赤外線透過窓4を取り付けたキ
ャップ16とステム15により構成される容器内に固定
し、容器は真空に封止する。さらに検出素子20の近傍
に温度センサ23を設けることにより検出素子20の温
度を感知し、温度センサ23からの信号はステム15を
貫通する信号ピン19によって外部に取り出され、熱電
サーモモジュール22を制御する温度コントローラ24
に接続される。温度コントローラ24は温度センサ23
からの信号により、検出素子20の温度が所定の値を維
持するようにサーモモジュール22への電流を調整す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここでの熱電サーモモ
ジュールは、一般にペルチェ効果を利用したもので、通
電する電流の量や向きによって吸熱や発熱を生じ、上記
の温度コントローラの電流制御により検出素子の温度を
所定の値に維持することができる。しかしながら、温度
センサや熱電サーモモジュールを制御する温度コントロ
ーラなどの付加的な回路や装置を必要とし、低コスト化
の妨げとなる問題点があった。
【0007】本発明は、このような問題点を解消するた
めになされたもので、熱型の赤外線検知アレイに関し、
受光部の熱絶縁性を図るための真空気密が容易に得られ
る方法を提供するとともに、ボロメータ方式の赤外線検
知アレイに関し、容易に温度安定の方法を提供すること
により、小型で低コストの赤外線検出器を得ることを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の赤外線検出器
は、基板上に受光部を形成したボロメータ方式、サーモ
パイル方式、および焦電方式の赤外線検知アレイにおい
て、赤外線透過窓を、上記受光部の前面に空隙を有して
配置し、上記透過窓は、該受光部を完全に囲む接着面で
該基板に気密に接着することにより固定し、かつ上記空
隙を真空とすることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明の赤外線検出器において、受
光部の前面に空隙を有して配置される赤外線透過窓が、
厚さ0.1mmから1.5mmの範囲で、両面を研磨し
たシリコンであることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の赤外線検出器において、受
光部の前面に空隙を有して配置される赤外線透過窓が、
厚さ0.1mmから1.5mmの範囲で、両面を研磨
し、かつ両面に反射防止膜を施したことを特徴とするも
のである。
【0011】また、本発明の赤外線検出器において、受
光部の前面に空隙を有して配置される赤外線透過窓が、
受光部を形成した基板に、ハンダ、蒸着等によって気密
に接着されることを特徴とするものである。
【0012】また、本発明の赤外線検出器において、赤
外線透過窓と受光部を形成した基板との間の空隙が1×
10-2torr以下の真空であることを特徴とするもの
である。
【0013】また、本発明の赤外線検出器において、受
光部の前面に空隙を有して配置される赤外線透過窓は、
赤外線アレイの各画素と対となるマイクロレンズが形成
されており、検出器に入射する赤外線が該マイクロレン
ズによって各画素に集光されることを特徴とするもので
ある。
【0014】また、本発明の赤外線検出器は、ボロメー
タ方式の赤外線検知アレイを形成した基板に、正温度係
数サーミスタを接着し、上記基板と該サーミスタとを、
赤外線透過窓を有するキャップとステムにより構成され
る容器の中に固定し、かつその容器内は真空とすること
を特徴とするものである。
【0015】また、本発明の赤外線検出器は、ボロメー
タ方式の赤外線検知アレイを形成した基板を、赤外線透
過窓を有するキャップとステムにより構成される容器の
中に固定し、かつその容器内は真空とし、さらに該ステ
ムの底部に正温度係数サーミスタを接着することを特徴
とするものである。
【0016】また、本発明の赤外線検出器は、2つの面
を有する基板上の、第1の面に形成された受光部がボロ
メータ方式の赤外線検知アレイにおいて、赤外線透過窓
を、上記受光部の前面に空隙を有して配置し、上記透過
窓は、上記受光部を完全に囲む接着面で、上記受光部を
形成した上記基板に気密に密着することにより固定し、
かつ上記空隙を真空とし、また第2の面には正温度係数
サーミスタを接着することを特徴とするものである。
【0017】また、本発明の赤外線検出器において、正
温度係数サーミスタの抵抗急変温度が40〜90℃の範
囲にあることを特徴とするものである。
【0018】また、本発明は基板としてシリコン基板を
用いたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1は本発明の実施の形態1に関する赤
外線検出器の断面図である。この発明の実施の形態1の
赤外線検出器では、基板(例えばシリコン基板)1の上
に形成した熱型の赤外線受光部2の前面に、空隙3を有
して赤外線透過窓4をハンダ5によりシリコン基板1に
接着している。図2は図1を上部から見たものであり、
透過窓4は赤外線の受光部2を完全に囲む接着面6で接
着を行い、受光部2を気密にしている。透過窓4とシリ
コン基板1のハンダ5の接着面6は、ハンダの濡れ性を
良くするためにあらかじめメタライズ層7を、赤外線透
過窓4およびシリコン基板1に被覆しておいた。また、
シリコン基板1の接着面6は、信号を取り出すための配
線8をまたぐが、接着時の損傷を防ぐため、シリコン基
板側の接着面に当たる部分には、あらかじめ酸化シリコ
ン膜9を保護膜として被覆した。次に、透過窓4とシリ
コン基板1との間の空隙3は真空とする必要があるが、
それは次の手順による。まず、透過窓4とシリコン基板
1とを接着する前に、透過窓側にハンダを置き、水素雰
囲気中で熱処理を行う。これによりハンダの酸化膜除去
を行うと同時にハンダを受光面側のメタライズ層7に接
着する。つづいてハンダが固化するまで温度を下げ、透
過窓4のハンダとシリコン基板1のメタライズとの位置
を合わせ、そののち真空中で熱処理し透過窓4とシリコ
ン基板1とを気密に接着する。あらかじめ水素雰囲気で
ハンダの酸化膜を除去しているから、ハンダはハンダ用
フラックスを用いなくとも良好に接着する。また、真空
中で気密に接着を行ったので、空隙3には真空が保たれ
る。このようにして、受光部2を真空気密とする受光素
子を得た。なお、図2におけるパッド10や配線8につ
いては、本発明の特徴を示すために描いたもので、実際
の実施の形態1とはそのサイズや数が異なることを述べ
ておく。
【0020】また、実施の形態1の赤外線の受光部2
は、図3に示したような2本の支脚によるブリッジ構造
11を成している。図4はブリッジ構造の断面を示した
もので、ブリッジ11は熱絶縁ギャップ21を形成し、
その上部に熱型の赤外線検知回路を設けたものを、図5
に示したように基板にアレイ状に複数個並べている。こ
のブリッジ1つが画素1つに対応している。検知回路に
はボロメータ抵抗体13を含み、ブリッジ上部が赤外線
を吸収することによって変わる温度をボロメータの抵抗
変化に変え、ボロメータの両端の電極からブリッジ構造
の支持脚を伝って基板に配した配線8により信号を検出
するようになっている。この方式の赤外線検出器は検知
回路の熱絶縁性が重要であり、ギャップ21を含めてブ
リッジ11の周囲は真空状態となっている。なお、この
ボロメータ方式の受光部は本発明の一例であって、熱絶
縁性が重要であるサーモパイル方式、あるいは焦電方式
の受光部においても本発明は同様の効果が得られること
はいうまでもない。
【0021】人体や常温物体からの赤外線の放射は、波
長10μm近傍にピークを持つことから、赤外線の透過
窓4は、10μmの赤外線を透過することができるゲル
マニウム、シリコン、硫化亜鉛、セレン化亜鉛等のどの
材料も使うことができる。なかでもシリコンは、赤外線
透過材料の中で比較的安価に入手できるため低コストが
実現できることと、接着を行う基板と同一の材料である
ため、熱膨張のミスマッチもなく、透過窓の接着が信頼
性の高いものとなる。
【0022】ただしシリコンは、透過窓の厚さをあまり
薄くすると、透過窓と接着を行う基板との間の真空の空
隙によって、透過窓の変形が大きくなるため好ましくな
い。実施の形態1ではシリコン透過窓4のサイズを20
×20mmとし、厚さを変えていくと、厚さ0.1mm
の窓の中心部の最大変形量は約0.1mmであるが、こ
れより薄くすると変形量は急激に大きくなる。したがっ
て、シリコン透過窓4の厚さの下限は0.1mm以上に
することが望ましい。また、シリコンは波長9μm近傍
で赤外線の吸収を有するため、あまり厚くすることは好
ましくない。実施の形態1による両面を研磨したシリコ
ン透過窓4では、厚さ1.5mmで波長8〜12μmの
平均吸収率が9.7%となった。赤外線透過率の減少に
よる感度の劣化を防止するには、8〜12μmの波長帯
で平均の吸収率を10%以下にすることが望ましく、し
たがって、シリコン透過窓4の厚さの上限を1.5mm
とすることが好ましい。
【0023】一方、シリコンを赤外線透過窓4としてそ
のまま使用すると、シリコンは高屈折率特性を有する材
料であることから反射ロスが大きく、検出器の感度に対
して好ましくない。実施の形態1では、シリコンの両面
に、厚さ1.1μmの硫化亜鉛を真空蒸着法によってコ
ーティングを行い、反射防止膜12とした。これによ
り、図7に示したように厚さ1mmのシリコン製の透過
窓において、波長10μmでの透過率が85%となっ
た。
【0024】赤外線透過窓4のシリコン基板1への接着
には、ハンダ、ガラスフリット、または熱圧着などがあ
るが、ガラスフリットは一般に処理温度が高く、赤外線
検出素子の耐熱温度以下で気密の接着を行うことは難し
い。また熱圧着は、透過窓を接着する接着部が、配線7
をまたいだときにわずかに発生する基板表面の段差によ
り、真空気密を行うことが難かしい。一方ハンダによる
接着は、メモリーやロジックなどのシリコン素子の実装
工程において実績があり、接着温度が素子の耐熱温度以
下で接着できることはいうまでもない。実施の形態1に
ついて行ったハンダによる接着は、図1で示したように
接着箇所で厚みのあるバンク(土手)構造がとれるた
め、ハンダのみで透過窓4とシリコン基板1との間の空
隙3に対し十分な高さを取ることができるだけでなく、
基板上の配線による段差を吸収することができた。透過
窓4とシリコン基板1のハンダの接着面6には、ハンダ
の濡れよくするために、下地側からタングステン300
0Å、ニッケル3000Å、金1000Åの3層をスパ
ッタ装置によってこの順にメタライズした。ハンダは鉛
−スズ系のものを用い、当初水素雰囲気中350℃で熱
処理してハンダの酸化を除去(還元)し、その後1×1
-2torr以下の真空状態で350℃の温度で接着を
行った。なお、シリコン基板側では、配線上をハンダの
接着部6がまたぐときの損傷を防止するため、ハンダの
接着部6にはあらかじめ4000オングストロームの厚
みの酸化シリコンを保護膜として被覆した。
【0025】素子受光部周囲の真空度は高い熱絶縁性を
得る上で重要である。真空度は、透過窓4とシリコン基
板1とを接着する際に用いた恒温層の、層内の真空計の
指示値によって検知した。実施の形態1での赤外線検出
器においては、図8に示したように、真空度を十分に上
げたときの相対感度を1として真空度と感度との相関を
みると、1×10-2torrまでは感度の大きな減少は
ないが、それより真空度が悪くなると急激に劣化した。
すなわち、真空度としては少なくとも1×10-2tor
r以下が望ましい。
【0026】実施の形態2.図6は本発明における実施
の形態2を示したものである。実施の形態2は、透過窓
4の形状を除いて実施の形態1と同じであり、したがっ
て検出素子の受光部周囲の真空による熱絶縁性は同じ効
果が期待できる。透過窓4は該透過窓の周囲の基板1と
の接着部を凸にしたもので、この場合、透過窓4の加工
コストは上昇するが、透過窓4とシリコン基板1との間
隔が十分に取れるため、受光部に高さがあるものでも本
発明が使用できる。また、空隙3の高さを得るためにハ
ンダバンクの厚みを必要としないので、ハンダの密着面
積や厚みを小さくすることができるなどの利点を有す
る。
【0027】実施の形態3.図9は本発明における実施
の形態3を示したものである。実施の形態3は、透過窓
4に受光部の各画素と対となるマイクロレンズ25が形
成されている。図10は実施の形態3の断面を示したも
ので、実施の形態1と同じように透過窓4がシリコン基
板に接着されるので、検出素子の受光部周囲の真空によ
る熱絶縁性は同じ効果が期待できる。
【0028】実施の形態3のマイクロレンズ25は、各
画素に焦点を結ぶようにドライエッチングによって加工
がなされており、したがってこれらのマイクロレンズに
より各画素の集光性が上がるため検出素子の感度が向上
するという利点を有する。
【0029】実施の形態4.図11は本発明における実
施の形態4を示したものである。この発明の実施の形態
4の赤外線検出器では、赤外線検出素子となるボロメー
タ方式の赤外線検知アレイを形成したシリコン基板1
に、正温度係数サーミスタ26を接着し、シリコン基板
1とサーミスタ26の両方を、赤外線透過窓4を取り付
けたキャップ16とステム15により構成される容器の
中に固定する。ここでの赤外線検出素子は図3と同等の
ものである。容器の内部はキャップ16に取り付けた排
気管17をとおして真空引きを行い、排気管17の端面
を封止して、最終的に容器内の空間を真空とする。サー
ミスタ26の駆動電流を供給するためのリード線および
検出素子の信号の読み出し線は、ステム15を貫通する
信号ピン19に接続することにより、容器の外に取り出
される。サーミスタ26には安定化電源14によって所
定の電圧が印加される。
【0030】正温度係数サーミスタはPTC(Posi
tive TemperatureCoefficie
nt)サーミスタと呼ばれる一種の半導体であり、この
半導体の抵抗値は温度上昇とともに徐々に下がるが、あ
る温度に達すると急激に抵抗が増加する性質をもってい
る。このサーミスタに一定電圧を印加すると、自己発熱
により抵抗値が下がるため当初は温度が上昇するが、あ
る温度(抵抗急変温度)に達すると急激に抵抗が増加し
て電流は減少し、発熱電力とサーミスタ温度とが一定と
なる。この原理により正温度係数サーミスタは、温度コ
ントローラ等を使わなくても一定電圧の印加だけで定温
発熱体となる特性を有する。
【0031】実施の形態4では正温度係数サーミスタと
して、TDK株式会社製PTCサーミスタの抵抗急変温
度が60℃のものを用い、安定化電源からの12Vの印
加電圧を負荷して使用した。これにより素子温度が長時
間に渡って58±1℃に安定化された。
【0032】実施の形態5.図12は本発明における実
施の形態5を示したものである。この発明の実施の形態
5の赤外線検出器は、実施の形態4において正温度係数
サーミスタ26を真空容器内に配置して、赤外線検出素
子であるシリコン基板1を直接加熱して温度の安定を図
っていたものを、実施の形態5では真空容器の外に配置
し、間接的にシリコン基板1を加熱して温度の安定化を
図るようにしたものである。
【0033】実施の形態5の場合は実施の形態4と比較
して、シリコン基板1を間接的に加熱するので温度安定
化の効率は劣るが、真空容器を組み上げたのちに正温度
係数サーミスタ26をステム15の底に接着すればよい
ので、サーミスタ26の交換が可能なことや取り外しが
容易であるなどのメリットがある。
【0034】実施の形態6.図13は本発明における実
施の形態6を示したものである。この発明の実施の形態
6の赤外線検出器は、ボロメータ方式の赤外線検知アレ
イを形成したシリコン基板1に、実施の形態1と同様の
方法によって赤外線透過窓4を接着することによって検
出器の受光部を真空とし、さらにボロメータアレイを形
成したシリコン基板1に正温度係数サーミスタ26を接
着したものである。
【0035】実施の形態6では、実施の形態1による簡
便な手法で検出器の受光部の真空気密を得ることがで
き、また正温度係数サーミスタによりボロメータアレイ
の温度制御を容易に行うことができるので、最も小型で
低コストの赤外線検出器を得ることができる。
【0036】また、実施の形態4〜6の場合において、
正温度係数サーミスタの抵抗急変温度は40〜90℃の
範囲にあることが好ましい。温度の下限については、本
発明の温度制御が発熱によることから室温以上であるこ
とが必須となるためである。したがって本赤外線検出器
を寒冷地などに限定して使用する場合はこの限りでな
い。上限については、室温と大きく隔たった90℃以上
の高温は消費電力の増大を生じるため好ましくなく、さ
らに110℃以上の高温に置いた場合は素子の破損を生
じることがあるためである。
【0037】
【発明の効果】本発明による赤外線検出器によれば、基
板上に受光部を形成したボロメータ方式、サーモパイル
方式、および焦電方式の赤外線検知アレイにおいて、赤
外線透過窓を、受光部の前面に空隙を有して配置し、上
記透過窓は上記受光部を完全に囲む接着面で、上記受光
部を形成した基板に気密に接着することにより固定し、
かつ上記空隙の内部を真空としたので、真空容器を用い
ることなく受光部を真空によって断熱することができる
ので、小型で低コストの赤外線検出器を得られる効果が
ある。
【0038】また、前記赤外線透過窓が、厚さ0.1m
mから1.5mmの範囲で、両面を研磨したシリコンと
した場合、低コストで、信頼性の高い赤外線検出器が得
られる効果がある。
【0039】また、前記赤外線透過窓が、厚さ0.1m
mから1.5mmの範囲で両面を研磨し、かつその両面
に反射防止膜をコーティングした場合、透過窓の透過率
が向上するので、感度に優れた高性能の赤外線検出器が
得られる効果がある。
【0040】また、前記赤外線透過窓が、受光部を形成
した前記基板に、ハンダ、蒸着等によって気密に接着さ
れる場合、信頼性の高い赤外線検出器が得られる効果が
ある。
【0041】また、前記赤外線検出器において、前記透
過窓と受光部を形成した前記基板との間の空隙の真空度
が、10-2torr以下とする場合、感度に優れた赤外
線検出器が得られる効果がある。
【0042】また、前記赤外線検出器において、前記透
過窓は検出素子の各画素と対になるマイクロレンズが形
成された場合、各画素の集光性が高くなるので、感度に
優れた高性能の赤外線検出器が得られる効果がある。
【0043】また、本発明による赤外線検出器によれ
ば、ボロメータ方式の赤外線検知アレイを形成した基板
に、正温度係数サーミスタを接着し、上記基板とサーミ
スタとを、赤外線透過窓を有するキャップとステムによ
り構成される容器の中に固定し、かつ上記容器内は真空
としたので、温度センサや温度コントローラを用いず
に、正温度係数サーミスタに印加電圧を掛けるだけで、
赤外線素子の温度を一定とする効果がある。
【0044】また、本発明による赤外線検出器によれ
ば、ボロメータ方式の赤外線検知アレイを形成した基板
を、赤外線透過窓を有するキャップとステムにより構成
される容器の中に固定し、かつその容器内は真空とし、
さらに上記ステムの底部に正温度係数サーミスタを接着
したので、温度センサや温度コントローラを用いずに、
正温度係数サーミスタに印加電圧をかけるだけで、赤外
線素子の温度を一定とする効果がある。
【0045】また、本発明による赤外線検出器によれ
ば、2つの面を有する基板上の、第1の面に形成された
受光部がボロメータ方式の赤外線検知アレイにおいて、
赤外線透過窓を、受光部の前面に空隙を有して配置し、
上記透過窓は、上記受光部を完全に囲む接着面で、上記
受光部を形成した基板に気密に接着することにより固定
し、かつ上記空隙を真空とし、また上記基板の第2の面
には正温度係数サーミスタを接着したので、真空容器を
用いることなく簡便に検出素子の受光部の真空気密が図
れ、かつ正温度係数サーミスタにより簡便に検出素子の
温度を一定にできるという効果がある。
【0046】また、前記正温度係数サーミスタの抵抗急
変温度が40〜90℃の範囲にあるようにし、素子温度
が室温よりも高めの設定であるため、正温度係数サーミ
スタによる温度制御が可能であり、また90℃以下とし
たので正温度係数サーミスタの消費電力が比較的小さい
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の赤外線検出器の実施の形態1の構造
を示す断面図である。
【図2】 本発明の赤外線検出器の実施の形態1を上部
(赤外線透過窓)から見た説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に用いた受光部の画素
の斜視図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に用いた受光部の画素
の断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態1に用いた受光部の基板
上での配列状態を示す断面図である。
【図6】 本発明の赤外線検出器の実施の形態2におけ
る他の形状の赤外線透過窓を用いた赤外線検出器の断面
図である。
【図7】 本発明の実施の形態1に用いた反射防止膜を
施した赤外線透過窓の透過率を示す図である。
【図8】 真空度と感度との相関を示す図である。
【図9】 本発明の赤外線検出器の実施の形態3におけ
る赤外線透過窓にマイクロレンズを加工した赤外線検出
器の斜視図である。
【図10】 本発明の実施の形態3における赤外線透過
窓にマイクロレンズを加工した赤外線検出器の断面図で
ある。
【図11】 本発明の赤外線検出器の実施の形態4にお
ける温度安定化を行った赤外線検出器の断面図である。
【図12】 本発明の赤外線検出器の実施の形態5にお
ける温度安定化を行った赤外線検出器の断面図である。
【図13】 本発明の赤外線検出器の実施の形態6にお
ける温度安定化を行った赤外線検出器の斜視図である。
【図14】 従来例の真空容器を示す断面図である。
【図15】 従来例の温度安定化を行った赤外線検出器
の断面説明図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板、2 受光部、3 空隙、4 赤外線
透過窓、5 ハンダ、6 接着面、7 メタライズ層、
8 配線、9 酸化シリコン保護膜、10 パッド、1
1 ブリッジ、12 反射防止膜、13 ボロメータ、
14 安定化電源、15 ステム、16 キャップ、1
7 排気管、18 ワイヤボンド、19信号ピン、20
赤外線検出素子、21 ギャップ、22 熱電サーモ
モジュール、23 温度センサ、24 温度コントロー
ラ、25 マイクロレンズ、26 正温度係数サーミス
タ。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に受光部を形成したボロメータ方
    式、サーモパイル方式、または焦電方式の赤外線検知ア
    レイにおいて、赤外線透過窓を、上記受光部の前面に空
    隙を有して配置し、上記透過窓は、上記受光部を完全に
    囲む接着面で、上記受光部を形成した上記基板に気密に
    接着することにより固定し、かつ上記空隙を真空とする
    ことを特徴とする赤外線検出器。
  2. 【請求項2】 受光部の前面に空隙を有して配置される
    赤外線透過窓が、厚さ0.1mmから1.5mmの範囲
    で、両面を研磨したシリコンであることを特徴とする請
    求項1記載の赤外線検出器。
  3. 【請求項3】 受光部の前面に空隙を有して配置される
    赤外線透過窓が、厚さ0.1mmから1.5mmの範囲
    で、両面を研磨し、かつその両面に反射防止膜を施した
    ことを特徴とする請求項1記載の赤外線検出器。
  4. 【請求項4】 受光部の前面に空隙を有して配置される
    赤外線透過窓が、上記受光部を形成した基板に、ハンダ
    蒸着等によって気密に接着されることを特徴とする請求
    項1記載の赤外線検出器。
  5. 【請求項5】 赤外線透過窓と受光部との間の空隙の真
    空度が、1×10-2torr以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の赤外線検出器。
  6. 【請求項6】 受光部の前面に空隙を有して配置される
    赤外線透過窓は、赤外線検知アレイの各画素と対となる
    マイクロレンズが形成されており、検出器に入射する赤
    外線が上記マイクロレンズによって上記画素に集光され
    ることを特徴とする請求項1記載の赤外線検出器。
  7. 【請求項7】 ボロメータ方式の赤外線検知アレイを形
    成した基板と、この基板に設けられた、正温度係数サー
    ミスタと赤外線透過窓を有するキャップとステムにより
    構成され上記基板とサーミスタとを、その内部に固定す
    る容器とを具備し、さらに上記容器内は真空であること
    を特徴とする赤外線検出器。
  8. 【請求項8】 ボロメータ方式の赤外線検知アレイを形
    成した基板と、赤外線透過窓を有するキャップとステム
    により構成され、上記基板をその内部に固定する容器
    と、上記ステムの底部に設けられた正温度係数サーミス
    タとを具備し、さらに上記容器内は真空であることを特
    徴とする赤外線検出器。
  9. 【請求項9】 2つの面を有する基板上の、第1の面に
    形成された受光部がボロメータ方式の赤外線検知アレイ
    において、赤外線透過窓を、上記受光部の前面に空隙を
    有して配置し、上記透過窓は、上記受光部を完全に囲む
    接着面で、上記受光部を形成した上記基板に気密に密着
    することにより固定し、かつ上記空隙を真空とし、また
    上記基板の第2の面には正温度係数サーミスタを接着す
    ることを特徴とする赤外線検出器。
  10. 【請求項10】 正温度係数サーミスタの抵抗急変温度
    が40〜90℃の範囲にあることを特徴とする請求項7
    〜9いずれか記載の赤外線検出器。
  11. 【請求項11】 基板がシリコン基板であることを特徴
    とする請求項1〜9いずれか記載の赤外線検出器。
JP26967196A 1996-03-05 1996-10-11 赤外線検出器 Pending JPH10115556A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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