JP3767303B2 - 角速度検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、角速度検出装置の改良、特に、角速度検出装置における圧電振動子の腕部の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の角速度検出装置(2脚ジャイロ又は角速度センサ)の一例を示す模式図であり、図7を参照して角速度検出装置1について説明する。
【0003】
図7の角速度検出装置1はベース基板1aに圧電振動子2が取り付けられた構造を有しており、圧電振動子2は基部3、2つの腕部4、5、駆動電極6A、6B、グランド電極7A、7B、検出電極8等を有している。
【0004】
図8は図7における腕部のA−A断面を示す断面図であり、図8を参照して腕部4、5の電極構造について説明する。腕部4は振動を検出するためのものであって、グランド電極7A及び検出電極8が形成されている。検出電極8は腕部4の第3の面4cに形成されており、図7における基部3の外部電極に接続されている。グランド電極7Aは、腕部4Aにおける第1の面4a、第2の面4b及び第4の面4dにわたって形成されている。
【0005】
図8の腕部5は、駆動電源によって腕部4、5を振動させるものであって、駆動電極6A、6B及びグランド電極7Bが形成されている。駆動電極6Aは腕部5における第3の面5cの一部に形成されていて、駆動電極6Bは第4の面5dの一部に形成されている。グランド電極7Bは第1の面5aから第3の面5c及び第4の面5dの一部にかけて形成されている。また、グランド電極7Bは腕部4のグランド電極7Aと電気的に接続されている。
【0006】
次に、図7と図8を参照して従来の角速度検出装置の動作例について説明する。まず、図7の駆動電極6A、6Bに駆動電圧が供給されると、圧電効果により腕部5が矢印α方向に振動する。この振動は腕部5から基部3を介して腕部4に伝達される。そして、圧電振動子2が軸CLを中心に矢印θ方向に回転すると、腕部4、5にコリオリ力が矢印γ方向に生じる。そして、コリオリ力により検出電極8とグランド電極7Aの間に生じる起電力を検出電圧として出力することにより、圧電振動子2の角速度を検出する。すなわち、検出電圧の大きさによってコリオリ力の大きさが検出され、コリオリ力の大きさにより角速度が検出される。
【0007】
図7に示す角速度検出装置1においては、腕部5が振動して腕部4がコリオリ力による角速度を検出する構造を有している。このように一方の腕部のみで駆動した場合、検出側の腕部4にノイズが乗りにくいという利点を有している。しかし、腕部4は腕部5の振動を拾って振動するため、腕部4の振動の立ち上がり時間が腕部5の立ち上がり時間に比べて遅くなってしまう。また、腕部4と腕部5の電極パターンが異なるため、腕部4、5の共振周波数が圧電効果により若干異なってしまう。具体的には、電界を印加された腕部5は見かけ上柔らかくなり、腕部4の共振周波数よりも低くなってしまう。従って、腕部4によって検出された角速度に誤差が生じやすいという問題がある。
【0008】
そこで、圧電振動子の2つの腕部にそれぞれ駆動電極と検出電極が形成された角速度検出装置が提案されている。図9は角速度検出装置における圧電振動子の別の一例を示す断面図であり、図9を参照して圧電振動子200について説明する。
【0009】
図9の圧電振動子200の腕部201、202にはそれぞれ駆動電極210と検出電極220が形成されている。駆動電極210は、腕部201、202の第1の面201a、202a及び第2の面201b、202bにそれぞれ形成されている。一方、検出電極220は、腕部201、202の第3の面201c、202c及び第4の面201d、202dにそれぞれ2つずつ形成されている。
【0010】
図9の圧電振動子200において、駆動電極210に駆動電圧が印加されて腕部201、202が矢印α方向に振動する。そして、圧電振動子200が矢印θ方向に回転すると、コリオリ力によって腕部201、202が矢印γ方向に振動する。コリオリ力の振動により発生する起電力が検出電極220から検出されて角速度の検出が行われる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図9の圧電振動子200において、腕部201、202にそれぞれ駆動電極210と検出電極220を形成することによって、腕部201、202の双方で駆動及び検出を行うこととなる。これにより、駆動振動及び検出振動が安定して立ち上がり時間も早くすることができる。
【0012】
しかし、圧電振動子200において、駆動電極210と検出電極220は近接した構造を有している。従って、角速度検出装置の小型化の要請に伴い圧電振動子200を小さくした場合、駆動電極210と検出電極220の間で電界が漏れてしまうという問題がある。具体的には、圧電振動子200が小さくなると腕部201、202に形成された駆動電極210及び検出電極220の間隔も小さくなる。そして、駆動電極210から出力される電界が検出電極220に影響を及ぼしてしまい、検出電極220から検出される検出電圧にノイズが含まれてしまうという問題がある。
【0013】
そこで本発明は上記課題を解消し、圧電振動子の腕部に溝を設けることによって、検出した角速度の精度を向上させることができる角速度検出装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の角速度検出装置は、ほぼ同一形状に形成された複数の腕部を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を保持するためのベースとを有する角速度検出装置において、
前記圧電振動子は、前記複数の腕部が対向する対向面と、前記対向面と、前記各腕部において対向する外側面と、前記対向面とほぼ垂直な方向であって、前記複数の腕部が延出する方向にほぼ平行な主面と、を有し、前記外側面に駆動電極が形成され、前記主面に検出電極が形成され、前記主面には、前記駆動電極と前記検出電極の間に溝が形成されるとともに、前記溝にはグランド電極を有することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、溝を設けることによって駆動電極と検出電極の間に生じる電界の漏れを防止することができる。さらに、溝内にグランド電極を形成することによって、駆動電極から出力される電界は、グランド電極との間でのみ電界を形成するようになり、検出電極へ漏れる電界が低減される。これにより、検出電極により検出される検出電圧に含まれるノイズを低減することができる。
【0016】
本発明の角速度検出装置では、前記グランド電極は、前記主面の少なくとも一部にまで形成されていることが望ましい。
【0017】
この構成によれば、グランド電極は溝から第1の主面の少なくとも一部にかけて形成されている。従って、グランド電極により検出電極及び駆動電極に対するシールド効果が得られるようになり、角速度の検出を感度良く行うことができる。
【0018】
本発明の角速度検出装置では、前記検出電極は、複数形成されていて、前記対向面の少なくとも一部にまで形成されていることが望ましい。
【0019】
この構成によれば、検出電極を複数に分けることによって、検出電極を検出電極とした場合、検出した信号の不要成分をキャンセルすることができ、ノイズの低減を図ることができる。
【0020】
本発明の角速度検出装置では、前記駆動電極は、前記主面の少なくとも一部にまで形成されていることが望ましい。
【0021】
請求項4の構成によれば、第1の電極は、複数の電極パターンからなっており、それぞれ第1の面からこれに垂直な面にわたって形成されている。このように第1の電極を複数に分けることによって、第1の電極を検出電極とした場合、検出した信号の不要成分をキャンセルすることができ、ノイズの低減を図ることができる。
【0022】
本発明の角速度検出装置では、前記腕部における幅と厚さは、ほぼ等しくなるように形成されてなることが望ましい。
【0023】
この構成によれば、腕部の幅と厚さは、ほぼ等しくなるように形成されているので、腕部の幅方向の振動と厚さ方向の振動における共振周波数がほぼ一致することになる。これにより、駆動側と検出側の周波数が結合し、感度の良い角速度検出装置を提供することができる。
【0024】
本発明の角速度検出装置では、前記溝は、略矩形状に形成されてなることが望ましい。
【0025】
この構成によれば、溝は略矩形状に形成されているため、たとえば異方性エッチング等の製造方法により容易に製造することができる。
【0026】
本発明の角速度検出装置では、前記溝は、略V字状に形成されてなることが望ましい。
【0027】
この構成によれば、溝は略V字状に形成されているため、たとえばダイシングソーのような機械加工によって容易に製造することができる。
【0028】
本発明の角速度検出装置では、前記溝は、貫通孔を形成してなることが望ましい。
【0029】
この構成によれば、貫通孔を形成することによって、同電位での腕部の変化量が大きくなるため、駆動電極側の変形量も大きくなるとともに第2の電極の結合度合いも高まり、ノイズの弁別が良くなる。
【0030】
本発明の角速度検出装置では、前記溝は、前記腕部の根本付近に少なくとも形成されてなることが望ましい。
【0031】
この構成によれば、溝は腕部と基部の根本付近、すなわち腕部の接合部付近に形成されている。ここで、腕部の根本付近は駆動振動の歪み及び検出振動の歪みが最大となる。このため、溝が腕部と基部の根本付近に形成されることによって、検出電極と駆動電極の間に生じる電界の漏れを防止することができる。これにより、検出電極と駆動電極の結合係数を大きくして感度の向上とノイズの低減を図ることができる。
【0032】
本発明の角速度検出装置では、前記材料は水晶の回転Z板からなることが望ましい。
【0033】
この構成によれば、圧電振動子は水晶からなっているので、温度特性が向上するとともに、エッチング等の行程を容易に行うことができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図1は本発明の角速度検出装置の好ましい実施の形態を示す概略斜視図であり、図1を参照して角速度検出装置10について説明する。図1の角速度検出装置10は、筐体11、ベース12、リード13、圧電振動子20等を有している。圧電振動子20は筐体11内に配置されており、ベース12により保持されている。また圧電振動子20は、筐体11とベース12により真空封止されている。圧電振動子20にはリード13が電気的に接続されていて、リード13は後述する駆動電極24に駆動電圧を供給するとともに、検出電極25により検出された検出電圧を外部に出力するものである。
【0040】
図2は本発明の角速度検出装置における圧電振動子の好ましい実施の形態を示す平面図であり、図2を参照して圧電振動子20について説明する。なお、図2(A)は、圧電振動子20における主面の一方である第1の主面20cの平面図(図1における紙面表面)であり、図2(B)は圧電振動子20における主面のもう一方である第2の主面20dの平面図(図1における紙面裏面)である。
【0041】
図2の圧電振動子20は、基部21、2つの腕部22、23、駆動電極24、検出電極25、グランド電極26、溝27等から構成されている。この圧電振動子20は、たとえば水晶の回転Z板からなっていて、分極方向は矢印X方向になるように形成されている。圧電振動子20の材料として水晶を用いることによって、圧電振動子20の温度特性を向上させるとともに、エッチングや機械加工等の形状加工を容易に行うことができる。
【0042】
基部21には同一の形状を有する2つの腕部22、23が形成されており、図3の腕部22、23の幅Wと厚さDはほぼ同一になるように形成されている(W=D)。すなわち、腕部22、23の断面形状はほぼ正方形状になっている。これにより、矢印X方向に振動する際の共振周波数(駆動振動)とY方向に振動する際の共振周波数(検出振動)をほぼ同一にすることができる。このため、駆動側と検出側の周波数が結合して、感度の向上を図ることができる。
【0043】
基部21から腕部22、23の長手方向(矢印Z方向)に向かって、駆動電極24、検出電極25、グランド電極26、溝27が形成されている。また、腕部22、23に形成されている電極パターンは、YZ平面に対してほぼ対称になるように形成されている。基部21には貫通穴31、リード線を取り出すための電極パッド32、33、34、35が形成されている。電極パッド32、33は、駆動電極24とそれぞれ電気的に接続されているとともに、発振回路40と接続されている。一方、電極パッド34、35は検出電極25とそれぞれ電気的に接続されているとともに、検出回路41と接続されている。
【0044】
図3は図2の圧電振動子20におけるA−A断面を示す断面図であり、図2と図3を参照して駆動電極24について説明する。図2の駆動電極24は外側面22b、23bから第1の主面22c、23c及び第2の主面22d、23dの一部にかけて形成されている。ここで、第1の主面22c、23cは、面20cと同一平面であり、第2の主面22d、23dは、面20dと同一平面である。駆動電極24は、YZ平面に対してほぼ対称になるように腕部22、23に形成されている。駆動電極24はグランド電極26との間に電界を発生させることにより、圧電効果を利用して腕部22、23を矢印X方向に振動させるものである。
【0045】
次に、図2と図3を参照して検出電極25について説明する。検出電極25は、コリオリ力により腕部22、23が矢印Y方向に振動したとき、圧電効果によりに生じる起電力を検出電圧として出力するものである。図3の検出電極25はたとえば第1電極25a、第2電極25bからなっていて、第1電極25aは腕部22、23が対向する面、すなわちの対向面22a、23aから第1の主面22c、23cにかけてそれぞれ形成されている。一方、第2電極25bは腕部22、23が対向する面、すなわち対向面22a、23aから第2の主面22d、23dにかけてそれぞれ形成されている。
【0046】
このように、検出電極25を第1電極25a、第2電極25bの2つの電極パターンで構成することによって、検出電極25での検出信号に含まれる不要成分をキャンセルすることができ、ノイズの低減を図ることができる。
【0047】
次に、図2と図3を参照してグランド電極26及び溝27についてそれぞれ説明する。図3の溝27は、腕部22、23において対向面22a、23aに対してほぼ垂直な面である第1の主面22c、23c及び第2の主面22d、23dにぞれぞれ形成されている。この溝27は図2に示すように腕部22、23の根本付近から矢印Z方向に向かって形成されている。ここで、腕部22、23の根本付近は駆動振動の歪み及び検出振動の歪みが最大となる。このため、溝27が腕部22、23の根本付近に形成されることによって、駆動電極24と検出電極25の間に生じる電界の漏れを効率よく防止することができる。
【0048】
また、溝27の内側から第1の主面22c、23c及び第2の主面22d、23dの一部にかけてグランド電極26が形成されている。グランド電極26は、駆動電極24との間で電界を発生させるものであって、これにより腕部22、23が音叉振動するようになる。また、グランド電極26は、検出電極25との間においてもコリオリ力により電界を発生させて、検出電圧を出力させるものである。
【0049】
溝27はたとえばほぼ矩形状もしくはほぼV字状に形成されている。このとき、溝27をほぼ矩形状に形成する際には異方性エッチング等により容易に形成することができる。一方、溝27をほぼV字状に形成する際にはダイシングソー等による機械加工で容易に形成することができる。この溝27は駆動電極24から出力された電界が検出電極25へ漏れるのを防止するものである。これにより、駆動電極24により生じる振動の振幅を増大させ駆動振動を効率よく発生させることができるとともに、検出電極25との結合係数を大きくすることができる。従って、検出電極25から検出される検出電圧に含まれるノイズが低減させるものである。
【0050】
また、この溝27内にグランド電極26を形成することによって、駆動電極24から出力される電界は、グランド電極26との間でのみ電界を形成するようになり、検出電極25へ漏れる電界が低減される。これにより、検出電極25により検出される検出電圧に含まれるノイズが低減されることとなる。
【0051】
さらに、図3の腕部22、23のそれぞれにおいて、駆動電極24、検出電極25、グランド電極26及び溝27は、XZ平面及びYZ平面に対してほぼ対称になるように形成されている。すなわち、腕部22、23は、ほぼ上下左右対称になるように形成されている。これにより、矢印X方向の駆動振動と矢印Y方向の検出振動の不要成分を少なくすることができ、ノイズの低減を図ることができる。
【0052】
次に、図1乃至図3を参照して角速度検出装置10の動作例について詳しく説明する。まず、図3の駆動電極24の振動対の共振周波数に近い周波数を供給すると、圧電効果により腕部22、23が音叉振動を開始する。このとき、腕部22、23の振動周波数(共振周波数)は図2の腕部22、23の長さL及び幅Wによって決定する。
【0053】
そして、図1の圧電振動子20が軸CLを中心に矢印θ方向に回転すると、矢印Y方向にコリオリ力が働く。具体的には、たとえば圧電振動子20の音叉が開く運動をしている際には、矢印θ1方向の回転が加えられると、腕部22は矢印Y1方向にゆがみ、腕部23は矢印Y2方向にゆがむ。その後、音叉が閉じる運動をしている際には、腕部22、23はそれぞれ矢印Y2方向及び矢印Y1方向に戻ろうとする。これにより、腕部22、23は矢印Y方向に振動し始める。この振動により発生する検出信号が検出電極25から図2の電極パッド34、35を介して差動アンプにノイズ成分を除去され増幅される。その後、増幅された検出信号は検出回路41により角速度に換算される。
【0054】
このとき、腕部22、23にはそれぞれ溝27が形成されているため、駆動電極24から検出電極25への電界の漏れが低減され、検出電圧に含まれるノイズ成分を低減させることができる。また、図4は溝を形成しない場合と溝を形成した場合の回転速度ωと感度の関係を示すグラフ図であるが、図4において、回転速度ωが速くなるほど、溝27を設けた角度検出装置10の感度が従来例に比べて高くなっていることがわかる。
【0055】
さらに、図5は溝27の深さと感度及びノイズとの関係を示すグラフ図であるが、図5において、溝27の深さが深くなるほど感度が上がっているのがわかる。一方、溝27の深さがふかくなるほどノイズが低減されていることがわかる。従って、溝27の深さは深ければ深いほどよく、また第1の主面22c、23cの溝27と第2の主面22d、23dの溝27が貫通していてもよい。溝27が深くなるということは、同電位での腕部22、23の変化量が大きくなるということであり、それに伴って、検出側の変形量も大きくなり、かつ検出電極25の結合度合いも高まるため、ノイズとの弁別が良くなる。
【0056】
図6は本発明の角度検出装置における圧電振動子の別の実施の形態を示す断面図であり、図6を参照して圧電振動子70、120、220について説明する。なお、図3の圧電振動子20と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。また、図6において、腕部23のみ言及することとし、腕部22は腕部23とYZ平面で対称になるように電極パターンが形成されているものとする。
【0057】
図6の圧電振動子70において、検出電極75は、腕部23の第1の主面23c及び第2の主面23dにのみ形成されていて、対向面23aには形成されていない。このように、腕部23の平面部に当たる第1の主面23c及び第2の主面23dにのみ検出電極75が形成されるだけで、腕部23の内側に当たる第1の面23aに電極パターンを形成する必要がなくなる。このため、フォトリソグラフィー行程が簡便になり、効率よく角速度検出装置10を製造することができる。
【0060】
上記実施の形態において、腕部22、23の第3の面22c、23c及び第4の面22d、23dにそれぞれ溝27を形成することによって、検出電極25により検出される検出電圧のノイズが低減され、検出精度の向上を図ることができる。また、2つの腕部22、23の双方で駆動し検出するため、駆動の立ち上がり時間を短縮することができるとともに、2つの腕部22、23の共振周波数をほぼ同一にすることができる。
【0061】
さらに、腕部22、23の幅Wと厚さDをそれぞれほぼ同一の大きさにして、腕部22、23の断面形状をほぼ正方形とすることにより、腕部22、23の駆動電圧による共振周波数と、コリオリ力による共振周波数をほぼ同一にすることができる。これにより、出力される検出電圧を最大にして効率よく角速度を検出することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、溝を設けることによって駆動電極と検出電極の間に生じる電界の漏れを防止することができる。さらに、溝内にグランド電極を形成することによって、駆動電極から出力される電界は、グランド電極との間でのみ電界を形成するようになり、検出電極へ漏れる電界が低減される。これにより、検出電極により検出される検出電圧に含まれるノイズを低減することができる。その結果、検出した角速度の精度を向上させることができる角速度検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の角度検出装置の好ましい実施の形態を示す概略斜視図。
【図2】 本発明の角度検出装置における圧電振動子の好ましい実施の形態を示す平面図。
【図3】 図2の圧電振動子においけるA−A断面を示す断面図。
【図4】 本発明の角度検出装置を用いた場合の角速度と感度の関係の一例を示すグラフ図。
【図5】 本発明の角度検出装置を用いた場合の溝の深さとノイズ及び感度の関係の一例を示すグラフ図。
【図6】 本発明の角度検出装置の別の実施の形態を示す断面図。
【図7】 従来の角速度検出装置の一例を示す模式図。
【図8】 図7の角度検出装置における腕部の一例を示す断面図。
【図9】 従来の角速度検出装置の別の一例を示す断面図。
【符号の説明】
10・・・角速度検出装置
11・・・筐体
12・・・ベース
13・・・リード
20、70、120、220・・・圧電振動子
21・・・基部
22、23・・・腕部
22a、23a・・・対向面
22b、23b・・・外側面
22c、23c・・・第1の主面
22d、23d・・・第2の主面
24、124、224・・・駆動電極
25、125、225・・・検出電極
26・・・グランド電極
27・・・溝
D・・・腕部の厚さ
W・・・腕部の幅

Claims (10)

  1. ほぼ同一形状に形成された複数の腕部を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を保持するためのベースとを有する角速度検出装置において、
    前記圧電振動子は、
    前記複数の腕部が対向する対向面と、
    前記対向面と、前記各腕部において対向する外側面と、
    前記対向面とほぼ垂直な方向であって、前記複数の腕部が延出する方向にほぼ平行な主面と、を有し、
    前記外側面に駆動電極が形成され、
    前記主面に検出電極が形成され、
    前記主面には、前記駆動電極と前記検出電極の間に溝が形成されるとともに、前記溝にはグランド電極
    を有することを特徴とする角速度検出装置。
  2. 前記グランド電極は、前記主面の少なくとも一部にまで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の角速度検出装置。
  3. 前記検出電極は、複数形成されていて、前記対向面の少なくとも一部にまで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の角速度検出装置。
  4. 前記駆動電極は、前記主面の少なくとも一部にまで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の角速度検出装置。
  5. 前記腕部における幅と厚さは、ほぼ等しくなるように形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の角速度検出装置。
  6. 前記溝は、略矩形状に形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の角速度検出装置。
  7. 前記溝は、略V字状に形成されてなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の角速度検出装置。
  8. 前記溝は、貫通孔を形成してなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の角速度検出装置。
  9. 前記溝は、前記腕部の根本付近に少なくとも形成されてなる請求項1から請求項8のいずれかに記載の角速度検出装置。
  10. 前記材料は水晶の回転Z板からなる請求項1から請求項9のいずれかに記載の角速度検出装置。
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