JP2001235331A - 角速度検出装置 - Google Patents

角速度検出装置

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JP2001235331A JP2000044688A JP2000044688A JP2001235331A JP 2001235331 A JP2001235331 A JP 2001235331A JP 2000044688 A JP2000044688 A JP 2000044688A JP 2000044688 A JP2000044688 A JP 2000044688A JP 2001235331 A JP2001235331 A JP 2001235331A
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司 舩坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電振動子の腕部に溝を設けることによっ
て、検出した角速度の精度を向上させることができる角
速度検出装置を提供すること。 【解決手段】 ほぼ同一形状に形成された複数の腕部2
2、23を有する圧電振動子20と、圧電振動子20を
保持するためのベース12と、ベース12に取り付けら
れており、圧電振動子20と電気的に接続されているリ
ード13とを有する角速度検出装置10において、圧電
振動子20は、腕部22、23が対向する第1の面22
a、23aに形成されてなる第1の電極25と、第1の
面22a、23aと対向する第2の面22b、23bに
形成されてなる第2の電極24と、第1の面に対してほ
ぼ垂直な面に形成されてなる溝27とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、角速度検出装置の
改良、特に、角速度検出装置における圧電振動子の腕部
の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の角速度検出装置(2脚ジャ
イロ又は角速度センサ)の一例を示す模式図であり、図
7を参照して角速度検出装置1について説明する。
【0003】図7の角速度検出装置1はベース基板1a
に圧電振動子2が取り付けられた構造を有しており、圧
電振動子2は基部3、2つの腕部4、5、駆動電極6
A、6B、グランド電極7A、7B、検出電極8等を有
している。
【0004】図8は図7における腕部のA−A断面を示
す断面図であり、図8を参照して腕部4、5の電極構造
について説明する。腕部4は振動を検出するためのもの
であって、グランド電極7A及び検出電極8が形成され
ている。検出電極8は腕部4の第3の面4cに形成され
ており、図7における基部3の外部電極に接続されてい
る。グランド電極7Aは、腕部4Aにおける第1の面4
a、第2の面4b及び第4の面4dにわたって形成され
ている。
【0005】図8の腕部5は、駆動電源によって腕部
4、5を振動させるものであって、駆動電極6A、6B
及びグランド電極7Bが形成されている。駆動電極6A
は腕部5における第3の面5cの一部に形成されてい
て、駆動電極6Bは第4の面5dの一部に形成されてい
る。グランド電極7Bは第1の面5aから第3の面5c
及び第4の面5dの一部にかけて形成されている。ま
た、グランド電極7Bは腕部4のグランド電極7Aと電
気的に接続されている。
【0006】次に、図7と図8を参照して従来の角速度
検出装置の動作例について説明する。まず、図7の駆動
電極6A、6Bに駆動電圧が供給されると、圧電効果に
より腕部5が矢印α方向に振動する。この振動は腕部5
から基部3を介して腕部4に伝達される。そして、圧電
振動子2が軸CLを中心に矢印θ方向に回転すると、腕
部4、5にコリオリ力が矢印γ方向に生じる。そして、
コリオリ力により検出電極8とグランド電極7Aの間に
生じる起電力を検出電圧として出力することにより、圧
電振動子2の角速度を検出する。すなわち、検出電圧の
大きさによってコリオリ力の大きさが検出され、コリオ
リ力の大きさにより角速度が検出される。
【0007】図7に示す角速度検出装置1においては、
腕部5が振動して腕部4がコリオリ力による角速度を検
出する構造を有している。このように一方の腕部4Bの
みで駆動した場合、検出側の腕部4にノイズが乗りにく
いという利点を有している。しかし、腕部4は腕部5の
振動を拾って振動するため、腕部4の振動の立ち上がり
時間が腕部5の立ち上がり時間に比べて遅くなってしま
う。また、腕部4と腕部5の電極パターンが異なるた
め、腕部4、5の共振周波数が圧電効果により若干異な
ってしまう。具体的には、電界を印加された腕部5は見
かけ上柔らかくなり、腕部4の共振周波数よりも低くな
ってしまう。従って、腕部4によって検出された角速度
に誤差が生じやすいという問題がある。
【0008】そこで、圧電振動子の2つの腕部にそれぞ
れ駆動電極と検出電極が形成された角速度検出装置が提
案されている。図9は角速度検出装置における圧電振動
子の別の一例を示す断面図であり、図9を参照して圧電
振動子200について説明する。
【0009】図9の圧電振動子200の腕部201、2
02にはそれぞれ駆動電極210と検出電極220が形
成されている。駆動電極210は、腕部201、202
の第1の面201a、202a及び第2の面201b、
202bにそれぞれ形成されている。一方、検出電極2
20は、腕部201、202の第3の面201c、20
2c及び第4の面201d、202dにそれぞれ2つず
つ形成されている。
【0010】図9の圧電振動子200において、駆動電
極210に駆動電圧が印加されて腕部201、202が
矢印α方向に振動する。そして、圧電振動子200が矢
印θ方向に回転すると、コリオリ力によって腕部20
1、202が矢印γ方向に振動する。コリオリ力の振動
により発生する起電力が検出電極220から検出されて
角速度の検出が行われる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図9の圧電振動子20
0において、腕部201、202にそれぞれ駆動電極2
10と検出電極220を形成することによって、腕部2
01、202の双方で駆動及び検出を行うこととなる。
これにより、駆動振動及び検出振動が安定して立ち上が
り時間も早くすることができる。
【0012】しかし、圧電振動子200において、駆動
電極210と検出電極220は近接した構造を有してい
る。従って、角速度検出装置の小型化の要請に伴い圧電
振動子200を小さくした場合、駆動電極210と検出
電極220の間で電界が漏れてしまうという問題があ
る。具体的には、圧電振動子200が小さくなると腕部
201、202に形成された駆動電極210及び検出電
極220の間隔も小さくなる。そして、駆動電極210
から出力される電界が検出電極220に影響を及ぼして
しまい、検出電極220から検出される検出電圧にノイ
ズが含まれてしまうという問題がある。
【0013】そこで本発明は上記課題を解消し、圧電振
動子の腕部に溝を設けることによって、検出した角速度
の精度を向上させることができる角速度検出装置を提供
することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ほぼ
同一形状に形成された複数の腕部を有する圧電振動子
と、前記圧電振動子を保持するためのベースと、前記ベ
ースに取り付けられており、前記圧電振動子と電気的に
接続されているリードとを有する角速度検出装置におい
て、前記圧電振動子は、前記複数の腕部が対向する第1
の面に形成されてなる第1の電極と、前記腕部における
前記第1の面と対向する第2の面に形成されてなる第2
の電極と、前記第1の面に対してほぼ垂直な面に形成さ
れてなる溝とを有する角速度検出装置を特徴とする。
【0015】請求項1の構成によれば、複数の腕部の対
向面である第1の面に第1の電極が形成されていて、腕
部における第1の面に対向した第2の面に第2の電極が
形成されている。そして、この第1の面にほぼ垂直した
面に溝が形成されている。第1の電極が検出電極であっ
て第2の電極が駆動電極である場合、溝を設けることに
よって駆動電極と検出電極の間に生じる電界の漏れを防
止することができる。これにより、駆動電極により生じ
る振動の振幅を増大させることができるとともに、検出
電極との結合係数を大きくすることができる。従って、
感度がよくノイズの少ない角速度検出装置を作製する事
ができる。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の構成におい
て、前記溝には第3の電極が形成されてなる角速度検出
装置を特徴とする。
【0017】請求項2の構成によれば、溝に第3の電極
が形成されており、第2の電極と第3の電極が腕部を振
動させ、第1の電極と第3の電極が角速度を検出するこ
ととなる。このように、溝に第3の電極を形成すること
によって、第1の電極から第2の電極への電界の漏れが
防止されて、角速度検出装置の感度を向上させることが
できる。
【0018】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
のいずれかの構成において、前記第3の電極は、前記第
1の面に対してほぼ垂直な第3の面の少なくとも一部に
まで形成されてなる角速度検出装置を特徴とする。
【0019】請求項3の構成によれば、第3の電極は溝
から第3の面の少なくとも一部にかて形成されている。
従って、第3の電極により第1の電極及び第2の電極に
対するシールド効果が得られるようになり、角速度の検
出を感度良く行うことができる。
【0020】請求項4の発明は、請求項1から請求項3
のいずれかの構成において、前記第1の電極は複数形成
されていて、前記複数の第1電極のうち少なくとも一部
は、前記第1の面とほぼ直交する面にわたって形成され
てなる角速度検出装置を特徴とする。
【0021】請求項4の構成によれば、第1の電極は、
複数の電極パターンからなっており、それぞれ第1の面
からこれに垂直な面にわたって形成されている。このよ
うに第1の電極を複数に分けることによって、第1の電
極を検出電極とした場合、検出した信号の不要成分をキ
ャンセルすることができ、ノイズの低減を図ることがで
きる。
【0022】請求項5の発明は、請求項1から請求項4
のいずれかの構成において、前記第2の電極は、前記第
2の面とほぼ直交する面にわたって形成されてなる角速
度検出装置を特徴とする。
【0023】請求項6の発明は、請求項1から請求項5
のいずれかの構成において、前記腕部における幅と厚さ
は、ほぼ等しくなるように形成されてなる角速度検出装
置を特徴とする。
【0024】請求項6の構成によれば、腕部の幅と厚さ
は、ほぼ等しくなるように形成されているので、腕部の
幅方向の振動と厚さ方向の振動における共振周波数がほ
ぼ一致することになる。これにより、駆動側と検出側の
周波数が結合し、感度の良い角速度検出装置を提供する
ことができる。
【0025】請求項7の発明は、請求項1から請求項6
のいずれかの構成において、前記溝は、略矩形状に形成
されてなる角速度検出装置を特徴とする。
【0026】請求項7の構成によれば、溝は略矩形状に
形成されているため、たとえば異方性エッチング等の製
造方法により容易に製造することができる。
【0027】請求項8の発明は、請求項1から請求項6
のいずれかの構成において、前記溝は、略V字状に形成
されてなる角速度検出装置を特徴とする。
【0028】請求項8の構成によれば、溝は略V字状に
形成されているため、たとえばダイシングソーのような
機械加工によって容易に製造することができる。
【0029】請求項9の発明は、請求項1から請求項6
のいずれかの構成において、前記溝は、貫通孔を形成し
てなる角速度検出装置を特徴とする。
【0030】請求項9の構成によれば、貫通孔を形成す
ることによって、同電位での腕部の変化量が大きくなる
ため、第2の電極側の変形量も大きくなるとともに第2
の電極の結合度合いも高まり、ノイズの弁別が良くな
る。
【0031】請求項10の発明は、請求項1から請求項
8のいずれかの構成において、前記溝は、前記腕部の根
本付近に少なくとも形成されてなる角速度検出装置を特
徴とする。
【0032】請求項10の構成によれば、溝は腕部と基
部の根本付近、すなわち腕部の接合部付近に形成されて
いる。ここで、腕部の根本付近は駆動振動の歪み及び検
出振動の歪みが最大となる。このため、溝が腕部と基部
の根本付近に形成されることによって、第1の電極と第
2の電極の間に生じる電界の漏れを防止することができ
る。これにより、第1の電極と第2の電極の結合係数を
大きくして感度の向上とノイズの低減を図ることができ
る。
【0033】請求項11の発明は、請求項1から請求項
10のいずれかの構成において、前記材料は水晶の回転
Z板からなる角速度検出装置を特徴とする。
【0034】請求項11の構成によれば、圧電振動子は
水晶からなっているので、温度特性が向上するととも
に、エッチング等の行程を容易に行うことができる。
【0035】請求項12の発明は、ほぼ同一形状に形成
された複数の腕部を有する圧電振動子と、前記圧電振動
子を保持するためのベースと、前記ベースに取り付けら
れており、前記圧電振動子と電気的に接続されているリ
ードとを有する角速度検出装置において、前記圧電振動
子は、前記腕部が対向する第1の面に形成されてなる第
1の電極と、前記第1の面に対してほぼ垂直な面に形成
されてなる第2の電極と、前記第1の面に対してほぼ垂
直な面であって、前記第1の電極と前記第2の電極の間
に形成されてなる溝とを有する角速度検出装置を特徴と
する。
【0036】請求項12の構成によれば、複数の腕部の
対向面である第1の面には第1の電極が形成されてい
て、第1の面にほぼ垂直な面には第2の電極が形成され
ている。そして、第1の面にほぼ垂直な面であって、第
1の電極と第2の電極の間には溝が形成されている。第
1の電極が検出電極であって第2の電極が駆動電極であ
る場合、溝を設けることによって駆動電極と検出電極の
間に生じる電界の漏れを防止することができる。これに
より、駆動電極により生じる振動の振幅を増大させるこ
とができるとともに、検出電極との結合係数を大きくす
ることができる。従って、感度がよくノイズの少ない角
速度検出装置を作製する事ができる。
【0037】請求項13の発明は、請求項1から請求項
11のいずれかの構成において、前記第2の電極は、角
速度を検出するための検出電極である角速度検出装置を
特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】図1は本発明の角速度検出装置の好ましい
実施の形態を示す概略斜視図であり、図1を参照して角
速度検出装置10について説明する。図1の角速度検出
装置10は、筐体11、ベース12、リード13、圧電
振動子20等を有している。圧電振動子20は筐体11
内に配置されており、ベース12により保持されてい
る。また圧電振動子20は、筐体11とベース12によ
り真空封止されている。圧電振動子20にはリード13
が電気的に接続されていて、リード13は後述する駆動
電極24に駆動電圧を供給するとともに、検出電極25
により検出された検出電圧を外部に出力するものであ
る。
【0040】図2は本発明の角速度検出装置における圧
電振動子の好ましい実施の形態を示す平面図であり、図
2を参照して圧電振動子20について説明する。なお、
図2(A)は、圧電振動子20における第3の面20c
の平面図であり、図2(B)は圧電振動子20における
第4の面20dの平面図である。
【0041】図2の圧電振動子20は、基部21、2つ
の腕部22、23、第2の電極である駆動電極24、第
1の電極である検出電極25、第3の電極であるグラン
ド電極26、溝27等から構成されている。この圧電振
動子20は、たとえば水晶の回転Z板からなっていて、
分極方向は矢印X方向になるように形成されている。圧
電振動子20の材料として水晶を用いることによって、
圧電振動子20の温度特性を向上させるとともに、エッ
チングや機械加工等の形状加工を容易に行うことができ
る。
【0042】基部21には同一の形状を有する2つの腕
部22、23が形成されており、図3の腕部22、23
の幅Wと厚さDはほぼ同一になるように形成されている
(W=D)。すなわち、腕部22、23の断面形状はほ
ぼ正方形状になっている。これにより、矢印X方向に振
動する際の共振周波数(駆動振動)とY方向に振動する
際の共振周波数(検出振動)をほぼ同一にすることがで
きる。このため、駆動側と検出側の周波数が結合して、
感度の向上を図ることができる。
【0043】基部21から腕部22、23の長手方向
(矢印Z方向)に向かって、駆動電極24、検出電極2
5、グランド電極26、溝27が形成されている。ま
た、腕部22、23に形成されている電極パターンは、
YZ平面に対してほぼ対称になるように形成されてい
る。基部21には貫通穴31、リード線を取り出すため
の電極パッド32、33、34、35が形成されてい
る。電極パッド32、33は、駆動電極24とそれぞれ
電気的に接続されているとともに、発振回路40と接続
されている。一方、電極パッド34、35は検出電極2
5とそれぞれ電気的に接続されているとともに、検出回
路41と接続されている。
【0044】図3は図2の圧電振動子20におけるA−
A断面を示す断面図であり、図2と図3を参照して駆動
電極24について説明する。図2の駆動電極24は第2
の面22b、23bから第3の面22c、23c及び第
4の面22d、23dの一部にかけて形成されている。
駆動電極24は、YZ平面に対してほぼ対称になるよう
に腕部22、23に形成されている。駆動電極24はグ
ランド電極26との間に電界を発生させることにより、
圧電効果を利用して腕部22、23を矢印X方向に振動
させるものである。
【0045】次に、図2と図3を参照して検出電極25
について説明する。検出電極25は、コリオリ力により
腕部22、23が矢印Y方向に振動したとき、圧電効果
によりに生じる起電力を検出電圧として出力するもので
ある。図3の検出電極25はたとえば第4電極25a、
第5電極25bからなっていて、第4電極25aは腕部
22、23が対向する面、すなわちの第1の面22a、
23aから第3の面22c、23cにかけてそれぞれ形
成されている。一方、第5電極25bは腕部22、23
が対向する面、すなわち第1の面22a、23aから第
4の面22d、23dにかけてそれぞれ形成されてい
る。
【0046】このように、検出電極25を第4電極25
a、第5電極25bの2つの電極パターンで構成するこ
とによって、検出電極25での検出信号に含まれる不要
成分をキャンセルすることができ、ノイズの低減を図る
ことができる。
【0047】次に、図2と図3を参照してグランド電極
26及び溝27についてそれぞれ説明する。図3の溝2
7は、腕部22、23において第1の面22a、23a
に対してほぼ垂直な面である第3の面22c、23c及
び第4の面22d、23dにぞれぞれ形成されている。
この溝27は図2に示すように腕部22、23の根本付
近から矢印Z方向に向かって形成されている。ここで、
腕部22、23の根本付近は駆動振動の歪み及び検出振
動の歪みが最大となる。このため、溝27が腕部22、
23の根本付近に形成されることによって、駆動電極2
4と検出電極25の間に生じる電界の漏れを効率よく防
止することができる。
【0048】また、溝27の内側から第3の面22c、
23c及び第4の面22d、23dの一部にかけてグラ
ンド電極26が形成されている。グランド電極26は、
駆動電極24との間で電界を発生させるものであって、
これにより腕部22、23が音叉振動するようになる。
また、グランド電極26は、検出電極25との間におい
てもコリオリ力により電界を発生させて、検出電圧を出
力させるものである。
【0049】溝27はたとえばほぼ矩形状もしくはほぼ
V字状に形成されている。このとき、溝27をほぼ矩形
状に形成する際には異方性エッチング等により容易に形
成することができる。一方、溝27をほぼV字状に形成
する際にはダイシングソー等による機械加工で容易に形
成することができる。この溝27は駆動電極24から出
力された電界が検出電極25へ漏れるのを防止するもの
である。これにより、駆動電極24により生じる振動の
振幅を増大させ駆動振動を効率よく発生させることがで
きるとともに、検出電極25との結合係数を大きくする
ことができる。従って、検出電極25から検出される検
出電圧に含まれるノイズが低減させるものである。
【0050】また、この溝27内にグランド電極26を
形成することによって、駆動電極24から出力される電
界は、グランド電極26との間でのみ電界を形成するよ
うになり、検出電極25へ漏れる電界が低減される。こ
れにより、検出電極25により検出される検出電圧に含
まれるノイズが低減されることとなる。
【0051】さらに、図3の腕部22、23のそれぞれ
において、駆動電極24、検出電極25、グランド電極
26及び溝27は、XZ平面及びYZ平面に対してほぼ
対称になるように形成されている。すなわち、腕部2
2、23は、ほぼ上下左右対称になるように形成されて
いる。これにより、矢印X方向の駆動振動と矢印Y方向
の検出振動の不要成分を少なくすることができ、ノイズ
の低減を図ることができる。
【0052】次に、図1乃至図3を参照して角速度検出
装置10の動作例について詳しく説明する。まず、図3
の駆動電極24の振動対の共振周波数に近い周波数を供
給すると、圧電効果により腕部22、23が音叉振動を
開始する。このとき、腕部22、23の振動周波数(共
振周波数)は図2の腕部22、23の長さL及び幅Wに
よって決定する。
【0053】そして、図1の圧電振動子20が軸CLを
中心に矢印θ方向に回転すると、矢印Y方向にコリオリ
力が働く。具体的には、たとえば圧電振動子20の音叉
が開く運動をしている際には、矢印θ1方向の回転が加
えられると、腕部22は矢印Y1方向にゆがみ、腕部2
3は矢印Y2方向にゆがむ。その後、音叉が閉じる運動
をしている際には、腕部22、23はそれぞれ矢印Y2
方向及び矢印Y1方向に戻ろうとする。これにより、腕
部22、23は矢印Y方向に振動し始める。この振動に
より発生する検出信号が検出電極25から図2の電極パ
ッド34、35を介して差動アンプにノイズ成分を除去
され増幅される。その後、増幅された検出信号は検出回
路41により角速度に換算される。
【0054】このとき、腕部22、23にはそれぞれ溝
27が形成されているため、駆動電極24から検出電極
25への電界の漏れが低減され、検出電圧に含まれるノ
イズ成分を低減させることができる。また、図4は溝を
形成しない場合と溝を形成した場合の回転速度ωと感度
の関係を示すグラフ図であるが、図4において、回転速
度ωが速くなるほど、溝27を設けた角度検出装置10
の感度が従来例に比べて高くなっていることがわかる。
【0055】さらに、図5は溝27の深さと感度及びノ
イズとの関係を示すグラフ図であるが、図5において、
溝27の深さが深くなるほど感度が上がっているのがわ
かる。一方、溝27の深さがふかくなるほどノイズが低
減されていることがわかる。従って、溝27の深さは深
ければ深いほどよく、また第3の面22c、23cの溝
27と第4の面22d、23dの溝27が貫通していて
もよい。溝27が深くなるということは、同電位での腕
部22、23の変化量が大きくなるということであり、
それに伴って、検出側の変形量も大きくなり、かつ検出
電極25の結合度合いも高まるため、ノイズとの弁別が
良くなる。
【0056】図6は本発明の角度検出装置における圧電
振動子の別の実施の形態を示す断面図であり、図6を参
照して圧電振動子70、120、220について説明す
る。なお、図3の圧電振動子20と同一の構成を有する
部位には同一の符号を付してその説明を省略する。ま
た、図6において、腕部23のみ言及することとし、腕
部22は腕部23とYZ平面で対称になるように電極パ
ターンが形成されているものとする。
【0057】図6(A)の圧電振動子70において、検
出電極75は、腕部23の第3の面23c及び第4の面
23dにのみ形成されていて、第1の面23aには形成
されていない。このように、腕部23の平面部に当たる
第3の面23c及び第4の面23dにのみ検出電極75
が形成されるだけで、腕部23の内側に当たる第1の面
23aに電極パターンを形成する必要がなくなる。この
ため、フォトリソグラフィー行程が簡便になり、効率よ
く角速度検出装置10を製造することができる。
【0058】図6(B)の圧電振動子120において、
駆動電極124は第2の面23bの全面にのみ形成され
ていて、第3の面23c及び第4の面23dには形成さ
れていない。同様に、検出電極125は第1の面23a
の全面にのみ形成されていて、第3の面23c及び第4
の面23dには形成されていない。これは、検出電位を
差出力しないものであって、検出電極25を分割せず製
造工程の制約を少なくするというものである。このた
め、フォトリソグラフィー行程が簡便になり、効率よく
角速度検出装置10を製造することができる。このよう
な圧電振動子120であっても溝27を設けることによ
り、検出電圧のノイズを低減することができる。
【0059】図6(C)の圧電振動子220において、
駆動電極224は第2の面23bの一部にのみ形成され
ていて、第3の面23c及び第4の面23dには形成さ
れていない。同様に、検出電極225は第1の面23a
の一部にのみ形成されていて、第3の面23c及び第4
の面23dには形成されていない。ここで、検出電極2
25が複数の電極からなっていないため、フォトリソグ
ラフィー行程が簡便になり、効率よく角速度検出装置1
0を製造することができる。このような圧電振動子12
0であっても溝27を設けることにより、検出電圧のノ
イズを低減することができる。
【0060】上記実施の形態において、腕部22、23
の第3の面22c、23c及び第4の面22d、23d
にそれぞれ溝27を形成することによって、検出電極2
5により検出される検出電圧のノイズが低減され、検出
精度の向上を図ることができる。また、2つの腕部2
2、23の双方で駆動し検出するため、駆動の立ち上が
り時間を短縮することができるとともに、2つの腕部2
2、23の共振周波数をほぼ同一にすることができる。
【0061】さらに、腕部22、23の幅Wと厚さDを
それぞれほぼ同一の大きさにして、腕部22、23の断
面形状をほぼ正方形とすることにより、腕部22、23
の駆動電圧による共振周波数と、コリオリ力による共振
周波数をほぼ同一にすることができる。これにより、出
力される検出電圧を最大にして効率よく角速度を検出す
ることができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
圧電振動子の腕部に溝を設けることによって、第1の電
極と第2の電極の間で生じる電界の漏れを低減して、検
出した角速度の精度を向上させることができる角速度検
出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の角度検出装置の好ましい実施の形態を
示す概略斜視図。
【図2】本発明の角度検出装置における圧電振動子の好
ましい実施の形態を示す平面図。
【図3】図2の圧電振動子においけるA−A断面を示す
断面図。
【図4】本発明の角度検出装置を用いた場合の角速度と
感度の関係の一例を示すグラフ図。
【図5】本発明の角度検出装置を用いた場合の溝の深さ
とノイズ及び感度の関係の一例を示すグラフ図。
【図6】本発明の角度検出装置の別の実施の形態を示す
断面図。
【図7】従来の角速度検出装置の一例を示す模式図。
【図8】図7の角度検出装置における腕部の一例を示す
断面図。
【図9】従来の角速度検出装置の別の一例を示す断面
図。
【符号の説明】
10・・・角速度検出装置 11・・・筐体 12・・・ベース 13・・・リード 20、70、120、220・・・圧電振動子 21・・・基部 22、23・・・腕部 22a、23a・・・第1の面 22b、23b・・・第2の面 22c、23c・・・第3の面 22d、23d・・・第4の面 24、124、224・・・駆動電極 25、125、225・・・検出電極 26・・・グランド電極 27・・・溝 D・・・腕部の厚さ W・・・腕部の幅

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ほぼ同一形状に形成された複数の腕部を
    有する圧電振動子と、前記圧電振動子を保持するための
    ベースと、前記ベースに取り付けられており、前記圧電
    振動子と電気的に接続されているリードとを有する角速
    度検出装置において、 前記圧電振動子は、 前記複数の腕部が対向する第1の面に形成されてなる第
    1の電極と、 前記腕部における前記第1の面と対向する第2の面に形
    成されてなる第2の電極と、 前記第1の面に対してほぼ垂直な面に形成されてなる溝
    とを有することを特徴とする角速度検出装置。
  2. 【請求項2】 前記溝には第3の電極が形成されてなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の角速度検出装置。
  3. 【請求項3】 前記第3の電極は、前記第1の面に対し
    てほぼ垂直な第3の面の少なくとも一部にまで形成され
    てなることを特徴とする請求項2に記載の角速度検出装
    置。
  4. 【請求項4】 前記第1の電極は複数形成されていて、
    前記複数の第1の電極のうち少なくとも一部は、前記第
    1の面とほぼ直交する面にわたって形成されてなること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の
    角速度検出装置。
  5. 【請求項5】 前記第2の電極は、前記第2の面とほぼ
    直交する面にわたって形成されてなることを特徴とする
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の角速度検出装
    置。
  6. 【請求項6】 前記腕部における幅と厚さは、ほぼ等し
    くなるように形成されてなることを特徴とする請求項1
    から請求項5のいずれかに記載の角速度検出装置。
  7. 【請求項7】 前記溝は、略矩形状に形成されてなるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載
    の角速度検出装置。
  8. 【請求項8】 前記溝は、略V字状に形成されてなるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載
    の角速度検出装置。
  9. 【請求項9】 前記溝は、貫通孔を形成してなることを
    特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の角
    速度検出装置。
  10. 【請求項10】 前記溝は、前記腕部の根本付近に少な
    くとも形成されてなる請求項1から請求項9のいずれか
    に記載の角速度検出装置。
  11. 【請求項11】 前記材料は水晶の回転Z板からなる請
    求項1から請求項10のいずれかに記載の角速度検出装
    置。
  12. 【請求項12】 ほぼ同一形状に形成された複数の腕部
    を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を保持するため
    のベースと、前記ベースに取り付けられており、前記圧
    電振動子と電気的に接続されているリードとを有する角
    速度検出装置において、 前記圧電振動子は、 前記腕部が対向する第1の面に形成されてなる第1の電
    極と、 前記第1の面に対してほぼ垂直な面に形成されてなる第
    2の電極と、 前記第1の面に対してほぼ垂直な面であって、前記第1
    の電極と前記第2の電極の間に形成されてなる溝とを有
    することを特徴とする角速度検出装置。
  13. 【請求項13】 前記第2の電極は、角速度を検出する
    ための検出電極であることを特徴とする請求項1から請
    求項12のいずれかに記載の角速度検出装置。
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