JP3766203B2 - 粉末成形プレスにおける給粉装置のフィーダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は主として粉末冶金,セラミックスなどの分野で用いられる粉末成形プレスにおける給粉装置、特にそのフィーダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉末成形プレスは一般に、ダイプレート30に取り付けられたダイ40およびこのダイに嵌合する下パンチ50が形成するダイキャビティ内に、給粉装置から原料粉を充填し、ダイ内の粉末を上・下のパンチ間に圧縮成形するものであり、給粉装置は通常、図5に例示するように高架されて原料粉を貯えるホッパー60と底のない箱状のフィーダー10とをフレキシブルホース61で連結した構成になっている。このフィーダーは、先ずその待機位置からダイに向かって(図では左方に)前進し、ダイ40の上に至って原料粉を流し込み、次いでダイ内に堆積した粉末の上面をフィーダーの下縁で平らに擦り切りつつ待機位置まで後退して充填の1サイクルを終了する訳である。図の11は、油圧シリンダーなどの駆動装置(図示せず)に連結してフィーダーを進退させる駆動ロッドである。
【0003】
フィーダーからダイ内に粉末を充填する際、一般に用いられるのは落とし込み法で、図6の(イ)が示すように、予め所定の充填深さまで下パンチ50を下降させて(またはダイ40を上昇させて)ダイキャビティを形成しておき、その上にフィーダーを移動させて粉末の自由落下によって充填する。この場合、粉末の落下を容易にするために、ダイの上でフィーダーを前後に数回振動させることが多い。
【0004】
他の方法はダイキャビティが狭いか、または深く、流し込みでは充填が十分でない場合に用いられる吸い込み充填法で、図6の(ロ)が示すように予めフィーダーをダイの上に移動させておき、次に所定の充填深さまで下パンチ50を下降(またはダイ40を上昇)させて、ダイキャビティを形成しつつフィーダーから粉末を吸い込んで充填する。何れの場合でも粉末の充填量(即ち製品の重量)はダイキャビティの容積によって間接的に定まるので、粉末の見掛け密度や流動度が重要な因子となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
原料粉は、ホッパーからダイまで空気と共に流れ、ダイキャビティ内の空気を追い出しつつ流れ込んで充填する訳であるが、充填された粉末内部に空気の閉じ込めがあると、均一な充填ができなくなる。この対策にはフレキシブルホースの中間に分岐管を設けて空気抜きを図る手段(実公昭58−8743)とかフィーダーの天井に排気管を設ける手段などがあり、一応の効果を上げている。
【0006】
しかし成形効率を高めるためにプレスの作動を,従ってフィーダーの前進速度を速めた場合は、ダイがフィーダーによって瞬時に覆われるのでキャビティ内の空気と粉末の円滑迅速な置換が妨げられ、充填が却って遅くなったり、不均一になったりする。これを防ぐにはキャビティ内の排気を図る必要があるが、前記の手段は、この様な場合には殆ど効果がない。なお粉末が金型内でブリッジングを起こすような場合、初めは所定の充填深さより若干深くして余分に充填した後、下パンチを所定の位置まで復帰させて余分の粉末をフィーダーに戻す充填方法がある。しかし、プレスの機構や操作が複雑になるので、一般的な方法ではない。この発明の目的は、フィーダーの改良によってこの様な場合にも円滑均一な充填を可能にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明ではフィーダーの下面(ダイの上端面)まで届いてフィーダーの外の大気に連通する排気手段を設けることにより、ダイがフィーダーで覆われた状態でもキャビティ内の排気を可能にして前述の問題を解決したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施例1) この発明の実施態様を図1に示す。前記の排気手段20は開口面が下向きでダイプレート30に接する横樋21と、この横樋から立ち上がってフィーダー10の天井を貫通する縦筒22とから構成される。縦筒22の接続は横樋21の中央部に1本でもよいが、両側その他、場所と本数は適宜に選択することができる。横樋21の向き(長手方向)は、通常は図示の如くフィーダーの進退方向と直交(従ってフィーダーの前縁12とは平行になる)させるが、成形品個々の形状に最適な向きを考慮して、斜交ないし平行に設定することもある。なお、(ロ)図は(イ)のフィーダー内部をダイ40側から見たもので、31はダイプレートに取り付けられたガイドレールである。
【0009】
横樋21の断面形状は、図1および図2の(イ)に示した半円形(下側を開口前は円形)が普通であるが、これに限らず、(ロ)の角形,(ハ)の菱形その他適宜のものを用いることができる。菱形のものは充填に際して粉末が流れやすいことのほか、横樋をフィーダーの進退方向と交差する向きに設定した場合には、フィーダーが後退する際にダイ内の粉末を落ち着かせる作用がある。横樋21の長さはフィーダー10の相対する内縁(前後縁または両側縁)に接する長さでもよく、この場合は通常、両縁に固定される。またフィーダーの両内縁に届かない長さで両端を閉じたものでもよく、この場合の横樋の支持は、縦筒をフィーダーの天井(上面)に固定して行なわれる。
【0010】
この排気手段の機能を述べると、横樋21の開口面は常時ダイプレート30に接しているので、給粉装置を作動してフィーダー10およびその中の粉末がダイキャビティを覆った瞬間にも、ダイ内の空気は横樋21から縦筒22を経て、外部の大気に通じている。従って流れ込む粉末と置換して速かに排出されるので、給粉装置の作動を如何に高速化しても、空気の閉じ込めとかそれに伴う不具合は生じない。
【0011】
(実施例2) 図3に、横樋21の向きを可変にした実施例を示す。(ロ)は(イ)のフィーダー内部を上方から見たものである。図1の実施例との違いは、横樋21の長さをフィーダー10の相対する内縁の間隔より短く設定したこと,フィーダーの天井にボス13を設けて横樋の中央から立ち上がる縦筒22を回転自在に滑合させ、横樋を所要の向きにした状態で止ネジ14により固定するよう構成した点にある。
【0012】
この様に、縦筒の接続を横樋の中央部に1本として、この縦筒をフィーダーの天井に回転および固定可能に取り付けることにより横樋の向きを任意に変更し、1箇のフィーダーを形状の異なる製品の成形に汎用することが可能になる。なお上述の取り付け方は趣旨に適う手段の一例であって、例えばボスの内周と縦筒の外周にスプラインを設けて嵌め合わせるなど、種々の手段が用いられる。また、フィーダー内に負圧を生じると粉末の流れが阻害されることがあるが、その様な場合には、フィーダー内の天井に近い所で縦筒22に横孔23を開けておくと、負圧の発生を防ぐことができる。これは図3の場合に限らず、図1の場合も同様である。
【0013】
(実施例3) フィーダー内でブリッジングを起こしたり固まっている粉末をほぐすためフィーダーに前述した振動を与えても、その振動が中心部の粉末には伝わらない場合があり、その様な場合は図4に例示するように、伝達距離を短縮するためにフィーダー内に仕切板15を設けることが多い。この発明をこの様な仕切板付きのフィーダーに適用する場合は、図示のように横樋21と縦筒22を仕切板に添わせて取り付けるのが仕切板,横樋それぞれの機能を両立させる上で好ましい。
【0014】
また、フィーダー内が粉末で充満されないようにホッパーからの供給量が制御され、図4に例示するようにフィーダー内の上部に空間が常時保たれている場合は、その空間とダイキャビティを連通させれば空気の置換は可能なので、図示のように縦筒22の長さを縮めることもできる。なおフィーダーにはフレキシブルホースの取り付け部を除き天井の無いタイプのものもあるが、この場合も同様であって、縦筒22の長さは、その上端がフィーダー内の粉末の上面より常に高く保たれれば足りる。
【0015】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によればダイキャビティ内の空気は粉末充填の間も始終、横樋21および縦筒22で構成される排気手段を経て外部の大気(またはフィーダー内の上部空間)と連通しているので、プレスの作動従って給粉装置の作動を高速化した場合にも空気の閉じ込めなどの不具合は生じない。従って欠陥のない成形体を安定して効率よく生産することができるなど、この発明の実施により得られる利益は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るフィーダーの一実施例を説明する図面である。
【図2】フィーダーに設ける横樋21の断面形状の各態様を例示する図面である。
【図3】この発明に係るフィーダーの、他の実施例を説明する図面である。
【図4】この発明に係るフィーダーの、他の実施例を説明する図面である。
【図5】粉末成形プレスにおける給粉装置の一般的構成を説明する図面である。
【図6】粉末充填における落とし込み法と吸い込み法を説明する図面である。
【符号の説明】
10…フィーダー,11…駆動ロッド,12…前縁,30…ダイプレート,
40…ダイ,50…下パンチ,60…ホッパー,61…フレキシブルホース,
20…排気手段,21…横樋,22…縦筒,23…横孔,
13…ボス,14…止ネジ,15…仕切板。
Claims (4)
- 粉末成形プレスのダイプレート上を進退する底のない箱状のフィーダーにおいて、フィーダー内に該フィーダーの下面(ダイの上端面)から大気に連通してダイ内の空気を排出する排気手段を設けたことを特徴とする給粉装置のフィーダー。
- 排気手段が、開口面が下向きでダイプレート30に接する横樋21と、この横樋から立ち上がりフィーダー外の大気中に連通する縦筒22とから構成される請求項1に記載のフィーダー。
- 排気手段が、開口面が下向きでダイプレート30に接する横樋21と、この横樋から立ち上がりフィーダー内の上部空間の大気中に連通する縦筒22とから構成される請求項1に記載のフィーダー。
- 横樋21の長さがフィーダーの相対する内縁間隔より短く、この横樋の中央部から立ち上がる縦筒22がフィーダーの天井に回転および固定可能に取り付けられた、請求項2に記載のフィーダー。
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