JPH0320069Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は粉末プレスにおける粉末供給装置に関
する。

（従来技術） 従来の粉末プレスにおける粉末供給装置におい
ては、粉末プレスの下型上面に沿つて往復移動す
る下面解放型の粉末供給用シユーによつて下型ダ
イの成形キヤビテイに粉末を供給するようになつ
ている。

この粉末供給装においては、シユーを前進させ
て成形キヤビテイの上方へ移動させ、成形キヤビ
テイの後部から前部に向つて順々に粉末を充填し
ていき、シユーの前部が成形キヤビテイの前端を
越え粉末の充填が完了した時点でシユーを停止さ
せ、次にシユーを充填済みの成形キヤビテイ上を
後退させて原位置へ復帰させるようになつてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 上記粉末供給装置においては、粉末の充填の際
に成形キヤビテイ前部に比べて後部の方がシユー
内の粉末からの圧力を受ける時間が長くなり、ま
たシユーの後退時シユーの内部の粉末と成形キヤ
ビテイの内部の粉末との間に作用する剪断力によ
つて成形キヤビテイ内の粉体が後方へ引張られる
ので、成形キヤビテイ後部の方が成形キヤビテイ
前部に比べて充填密度が高くなり圧粉成形後の製
品の寸法・密度が不均一になるという問題があ
る。

そこで、例えば実開昭58−121331号公報にはシ
ユーの内部に粉末押出し部材を設けた粉末供給装
置が記載されているが、押出し部材により粉末が
圧力を受けて固まりやすくなるので押出し部材に
よる圧力を受けない粉末に比べて高密度になり、
均一な充填密度が得られないという問題がある。

そこで、特公昭44−25971号公報に記載の給粉
装置においては、粉末供給用シユーの下端開口部
に放射状の多数のスリツトを有する固定シヤツタ
ーを設け、この固定シヤツターの上側に放射状の
多数のスリツトを有する回動式の可動シヤツター
を設け、シユーが成形キヤビテイの上方に位置す
るまでは可動シヤツターを固定シヤツターに対し
て閉位置に保持し、シユーが成形キヤビテイの上
方に位置したときにカム機構を介して可動シヤツ
ターを小角度回動させて成形キヤビテイに粉末を
均一に充填するようになつている。

しかし、この給粉装置においても、成形キヤビ
テイへ給粉後にシユーが後退するときにシユーの
固定シヤツターから粉末に剪断力が作用するの
で、成形キヤビテイ後部の方が前部に比べて充填
密度が高くなるという欠点は解消されていない。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係る粉末プレスにおける粉末供給装置
は、粉末プレスの下型上面に沿つて前後方向に往
復移動する下面解放型の粉末供給用シユーを前進
させた位置に切換えてシユーから下型の成形キヤ
ビテイに粉末を供給しまたシユーを後退させた位
置に切換えて外部からシユー内へ粉末を供給する
ようにした粉末供給装置において、上記下型上面
とシユーの下面との間にシユーの下面開口を開閉
するシヤツター部材を設け、上記シヤツター部材
に、前後に並べてシユーの下面開口を開く開口部
とシユーの下面開口を閉じるシヤツター部とを形
成し、上記シヤツター部材をそのシヤツター部が
成形キヤビテイの上端部を塞ぐ前進位置とその前
端が成形キヤビテイより後方へ退いた後退位置と
に亙つて切換え駆動する第１駆動手段を設け、上
記シユーをシヤツター部材上においてシヤツター
部上の非供給位置と開口部上の供給位置とに亙つ
て切換駆動する第２駆動手段を設け、上記シユー
を非供給位置に保持した状態でシヤツター部材を
前進位置に切換え、次にシユーを供給位置に切換
えながら或いは供給位置へ切換えてからシヤツタ
ー部材を後退位置へ切換えるように構成したもの
である。

（作用） 本考案に係る粉末プレスにおける粉末供給装置
においては、シユーをシヤツター部材上の非供給
位置に保持した状態でシヤツター部材を前進位置
に切換えると、シユーは成形キヤビテイの上方に
位置することになるが、この前進過程ではシユー
の下面開口がシヤツター部で閉じられているので
成形キヤビテイの内部に粉末が充填されることは
ない。

次に、シヤツター部材に対してシユーを供給位
置へ切換えながら、シヤツター部材をシユー後退
方向に開くと、シユー内の粉末が成形キヤビテイ
内に一様に充填され、次にシユーとともにシヤツ
ター部材を後退位置に復帰させ且つシヤツター部
材に対してシユーを非供給装置に切換えることに
なる。

この場合、成形キヤビテイの前部の方が後部よ
りもシユー内の粉末から圧力を受ける時間が長く
なるので前部の方が後部よりも充填密度が多少大
きくなるが、シユーとシヤツター部材の後退時に
上記充填密度のバラツキを解消する方向に剪断力
が作用するので、成形キヤビテイ全域に亙つて充
填密度が均一化する。

或いはまた、シユーを非供給位置に保持した状
態でシヤツター部材を前進位置へ切換えた状態に
おいて、シユーをシヤツター部材に対して供給位
置に切換えると、シユーの下面開口は下型で閉じ
た状態になり、次にシユーとともにシヤツター部
材を後退させると成形キヤビテイの前部から後部
に向つて順々に粉末が充填され、その後シユーと
ともにシヤツター部材を後退位置に復帰させ且つ
シヤツター部材に対してシユーを非供給位置に切
換えることになる。

この場合にも前記の場合と同様に成形キヤビテ
イの前部の方が後部よりも受圧時間が長くなる
が、剪断力の作用で成形キヤビテイ全域に亙つて
充填密度が均一化する。

（考案の効果） 本考案に係る粉末プレスにおける粉末供給装置
によれば、以上説明したように、シヤツター部材
と第１及び第２駆動手段とを設けてなる簡単な構
成によつて、成形キヤビテイの全域に亙つて充填
密度を略均一化することが出来る。

これにより、粉末成形品の寸法精度を高め、材
質・強度を均一化することが出来る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

本実施例に係る粉末プレスにおける粉末供給装
置は、金属粉体やセラミツク粉体或いは金属とセ
ラミツクの混合粉体を原料としてプレス成形して
機械部品を製造する際に上記粉末を成形キヤビテ
イへ供給するためのものである。

上記粉末プレスは、第１図に示すように成形キ
ヤビテイ３の側壁部を形成するダイ１と、成形キ
ヤビテイ３の下壁部を形成し成形品を押し出すた
めにダイ１の上面よりも上方に突出可能なロアパ
ンチ２と、ロアパンチ２の上方にロアパンチ２に
対向状に配設され成形キヤビテイ３内の粉末を加
圧成形するために油圧シリンダで成形キヤビテイ
３内へ駆動され成形キヤビテイ３の上壁部を形成
するアツパーパンチ４と、各種のダイを着脱可能
に装着するためのダイホルダー５であつてダイ１
の上面と同一面をなしダイ１を囲繞して支持する
ダイホルダー５とを備えている。

更に、ダイ１及びダイホルダー５の上面と同一
面をなし後述の粉末供給装置をガイドするための
平板状のガイド部材８がダイホルダー５の後端部
に設けられている。

上記粉末供給装置は、第１図に示すように、成
形キヤビテイ３内に粉末を充填するための下面解
放型のシユー６と、シユー６の下面開口を開閉す
るシヤツター部材７と、シユー６を前後方向に移
動させる第２エアシリンダ１０と、シヤツター部
材７を前後方向に移動させる第１エアシリンダ１
１と、ガイド部材８の開口部１７の下方でガイド
部材８の下面に固着されシヤツター部材７の前部
に設けられた開口部１２に溜まる粉末を回収する
粉末回収ホツパー１３と、粉末をシユー６の内部
へ供給するための粉末供給源（図示略）とを備え
ている。

上記シヤツター部材７は、前後に長い板状体に
形成され、ダイ１とダイホルダー５とガイド部材
８の上面と、シユー６の下面との間に配設され、
その前端部にはシユー６の前進端を規制するスト
ツパー１４が全幅に亙つて突設され、シヤツター
部材７の前部にはシユー６がストツパー１４によ
つて係止された位置にある場合にシユー６の下面
開口部９に対応する部分に開口部１２が形成さ
れ、シヤツター部材７の後部の開口部１２の後側
の部分には前部と同じ厚さの板状のシヤツター部
が形成され、シヤツター部材７の後端部は肉厚に
形成され、その上面には第２シリンダ１０が取付
部材を介して水平軸心回りに回動自在に装着され
ている。

シヤツター部材７の後端には図示外のフレーム
に固着された第１エアシリンダ１１のピストンロ
ツド１５の先端がピン結合されており、第１エア
シリンダ１１によつてシヤツター部材７は、その
開口部１２の後端部が成形キヤビテイ３の前端部
を越えてシヤツター部で成形キヤビテイ３の上端
を塞ぐ前進位置と、その前端が成形キヤビテイ３
より後方へ退き上記開口部１２の前端部がガイド
部材８の開口部１７の前端部に略一致する後退位
置とに亙つて前後に往復移動できるようになつて
いる。

尚、シヤツター部材７の開口部１２の下面外周
部には開口部１２に溜まつた粉末が外部に漏れな
いようにシールするゴム製のシール部材２０が全
周に亙つて装着され、更にシヤツター部材７の後
部下面には前後方向の摺動を滑らかにするための
潤滑部材１６が装着されている。

上記シユー６は、下面に開口部９を有する箱状
体で、シヤツター部材７の上面に載置されてお
り、その上部に設けられた蓋の後部には粉末供給
源から延びた合成樹脂製のジヤバラホース１８が
接続され、粉末供給源からシユー６内へ粉末が供
給されるようになつており、シユー６の後壁部に
は第２エアシリンダ１０のピストンロツド１６の
先端がピン結合されており、上記第２エアシリン
ダ１０によつてシユー６はシヤツター部材７の上
面上をシユー６の下面開口部９がシヤツター部材
７の開口部１２で解放される供給位置と上記開口
部９がシヤツター部材７の中央のシヤツター部で
閉鎖される非供給位置とに亙つて前後に往復移動
できるようになつている。

尚、シユー６の下端外周部には、シユー６の内
部の粉末が外部に漏れないようにシールするゴム
製のシール部材１９が全周に亙つて装着されてい
る。

上記のように構成された粉末プレスにおける粉
末供給装置によつて成形キヤビテイ３に粉末を供
給するときの作動について次に説明する。

第２図に示すように、シヤツター部材７を後退
位置に保持しシユー６を非供給位置に保持した状
態で粉末供給源からシユー６の内部へ粉末が供給
される。次に、第３図に示すように、シユー６を
非供給位置に保持し、第１エアシリンダ１１を駆
動させてシヤツター部材７を前進位置に移動させ
る。

次に、第４図に示すように、シヤツター部材７
を前進位置に保持し、第２エアシリンダ１０を駆
動させることによりシユー６を前進させて供給位
置に移動させる。次に、第５図に示すように、シ
ユー６を供給位置に保持し、第１エアシリンダ１
１を駆動させてシヤツター部材７をシユー６とと
もに後退させていくと成形キヤビテイ３の前部か
ら後部に向つて順々に粉末が充填される。

次に、第６図に示すように、シヤツター部材７
を更に後退させていくと成形キヤビテイ３の内部
への粉末の充填が完了する。次に、第７図に示す
ように、シヤツター部材７の開口部１２の後端部
がガイド部材８の開口部１７の前端部を越えて後
退するまでに第２エアシリンダ１０を駆動させて
シユー６を非供給位置に後退させる。

シユー６を非供給位置に保持し、シヤツター部
材７を後退位置に後退させて第２図に示す原位置
に復帰させると、シヤツター部材７の開口部１２
の内部に溜まつた粉末はガイド部材８の開口部１
７から粉末回収ホツパー１３へ回収される。

次に成形キヤビテイ３の内部の粉末の充填密度
が均一化する作用について説明する。

上記の説明のように充填する場合には、シユー
６が後退するときにシユー６の内部の粉末を成形
キヤビテイ３の内部へ充填していくことになるの
で、成形キヤビテイ３の前部の方が後部よりもシ
ユー６内の粉末から圧力を受ける時間が長くなつ
て前部の方が後部よりも充填密度が多少大きくな
るが、シユー６とシヤツター部材７の後退時にシ
ユー６及び開口部１２内の粉末と成形キヤビテイ
３内の粉末との間に作用する剪断力が上記充填密
度のバラツキを解消する方向に作用するので、成
形キヤビテイ３全域に亙つて充填密度が均一化す
る。

尚、第３図の状態でシヤツター部材７を後退さ
せ乍らこれと同一速度でシユー６を前進させて粉
末を充填することも可能であり、この場合にはシ
ユー６は成形キヤビテイ３の上方に留まり非供給
位置から次第に供給位置に移動していき、成形キ
ヤビテイ３の前部から後部に向つて順々に粉末が
充填されていくことになる。シユー６が供給位置
に移動したときに粉末の充填は終了し、シユー６
は供給位置を保持した状態でシヤツター部材７と
ともに後退していくことになる。

この場合にも上記と同様に成形キヤビテイ３の
前部の方が後部よりも受圧時間が長くなるが、剪
断力の作用で成形キヤビテイ３全域に亙つて充填
密度が均一化する。

以上説明したように、シユー６の下面開口を開
閉するシヤツター部材７を設け、第１エアシリン
ダ１１と第２エアシリンダ１０とからなる駆動手
段でシユー６とシヤツター部材７とを適宜のタイ
ミングで移動させることにより、粉末充填密度を
均一化し、粉末成形品の寸法精度を高め、品質を
向上させることが出来る。

尚、上記実施例においては駆動手段として第１
及び第２エアシリンダ１０，１１を用いたが、チ
エーンやワイヤ等を介してモータで駆動するよう
にしもよいし、ラツク・ピニオン機構等を介して
モータで駆動するようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
粉末プレスの要部と粉末供給装置の縦断面図、第
２図〜第７図は粉末供給装置を用いて成形キヤビ
テイへ粉末を充填するときの各段階を示す説明図
である。 １……ダイ、２……ロアパンチ、３……成形キ
ヤビテイ、４……アツパーパンチ、５……ダイホ
ルダー、６……シユー、７……シヤツター部材、
８……ガイド部材、９……開口部、１０……第２
エアシリンダ、１１……第１エアシリンダ、１２
……開口部、１８……ジヤバラホース。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 粉末プレスの下型上面に沿つて前後方向に往復
   移動する下面解放型の粉末供給用シユーを前進さ
   せた位置に切換えてシユーから下型の成形キヤビ
   テイに粉末を供給しまたシユーを後退させた位置
   に切換えて外部からシユー内へ粉末を供給するよ
   うにした粉末供給装置において、 上記下型上面とシユーの下面との間にシユーの
   下面開口を開閉するシヤツター部材を設け、上記
   シヤツター部材に、前後に並べてシユーの下面開
   口を開く開口部とシユーの下面開口を閉じるシヤ
   ツター部とを形成し、上記シヤツター部材をその
   シヤツター部が成形キヤビテイの上端部を塞ぐ前
   進位置とその前端が成形キヤビテイより後方へ退
   いた後退位置とに亙つて切換え駆動する第１駆動
   手段を設け、上記シユーをシヤツター部材上にお
   いてシヤツター部上の非供給位置と開口部上の供
   給位置とに亙つて切換駆動する第２駆動手段を設
   け、 上記シユーを非供給位置に保持した状態でシヤ
   ツター部材を前進位置に切換え、次にシユーを供
   給位置に切換えながら或いは供給位置へ切換えて
   からシヤツター部材を後退位置へ切換えるように
   構成したことを特徴とする粉末プレスにおける粉
   末供給装置。