JP3760058B2 - 光ファイバ接続部の固定部材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、接続箱内で光ファイバ接続部を保持するために用いられる固定部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバケーブルの接続は、接続する光ファイバケーブルの端末から光ファイバ心線を十分な余長を持った単心あるいはテープの状態にそれぞれ露出させ、それらの相対応する光ファイバ心線同士を融着して接続させ、この融着接続部を補強材によって保護した後、余長の光ファイバ心線および補強材によって保護した光ファイバ接続部を接続箱に収納するように構成している。このような接続箱に光ファイバ心線の余長および光ファイバ接続部を収納する場合、光ファイバ心線の最小曲げ半径より小さい径で曲げると光伝送損失が増加してしまうので、光ファイバの余長を十分に取りなるべく大きな曲率半径で接続箱に収納しており、光ファイバ接続部が動くと光ファイバ接続部の根本付近で光ファイバに小曲りが生じたり、あるいは、光ファイバ心線に戻り力、引張力が加わってしまい伝送損失が増加してしまう恐れがあるため、光ファイバ心線に無理がかからない程度で固定する必要がある。
【0003】
従来は、光ファイバ接続部の固定部材に光ファイバ接続部を保護する補強材の径に合わせて合成樹脂やゴム等を成型した固定部材を使用していた。図5(a)に示す固定部材70は、単心の光ファイバ心線の
光ファイバ接続部(直径約2mm)を6本納められるように6本の係止溝71を設けてある。この係止溝71は、単心の光ファイバ心線の光ファイバ接続部を収納するためのU字状溝部分71aとその上部に設けた突起71bとで構成され、把持力が適切になるよう、かつ、光ファイバ接続部を装着し易くなるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在では光ファイバの多心化に伴い、光ファイバを複数本並べてテープ化したテープ心線を使用する光ファイバケーブルの需要が高まってきている。この場合、テープ心線同士は一括して融着して接続され、光ファイバ接続部を保護する補強材は径の寸法(直径約5mm)が大きくなるため、図5(a)に示した単心光ファイバ接続部用の固定部材70では固定することができない。このため、図5(b)に示すような新しいサイズの固定部材80を作る必要がある。しかし、単心光ファイバ接続部の固定部材70とテープ心線光ファイバ接続部の固定部材80の2つを使い分けしなければなず、コスト面で不経済となるばかりでなく、固定部材の設置面積が増加するため、接続箱はそれだけ光ファイバの余長収納スペースが狭くなってしまうという欠点がある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、上述した従来技術の欠点を解消し、単心光ファイバ接続部とテープ心線光ファイバ接続部の二種類の補強材の径に対応することができるようにした光ファイバ接続部の固定部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するため、本発明の光ファイバ接続部の固定部材は、光ファイバ接続部を保持する固定部材において、光ファイバ接続部の心線方向に、異なる径を保持する各ホルダ部を、該各ホルダ部の係止片の高さを基台に対して、大径ホルダ部の係止片を小径ホルダ部の係止片よりも高く形成して段違いに設けるとともに、前記大径ホルダ部の係止片に保持された光ファイバ接続部を前記小径ホルダ部の係止片の突起の上部により支持したことを特徴とするものである。また、大径ホルダ部を固定部材の光ファイバ接続部の心線方向の中央部に形成するとともに、小径ホルダ部を固定部材の光ファイバ接続部の心線方向の両端に形成したものとしてもよい。さらに、前記固定部材を上下方向に積層してもよいものである。
【0007】
上記構成の固定部材では、単心光ファイバ接続部でもテープ心線ファイバ接続部でも、同一の固定部材で確実に把持・固定することができる。しかも同一の係止溝に単心光ファイバ接続部とテープ心線ファイバ接続部とを上下に重ねて保持可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。図1は接続箱内で光ファイバ同士を接続した状態を示すものであり、複数の光ファイバ心線2を持つ光ファイバケーブル1を接続箱3内で接続している状態を示している。この接続箱3内には光ファイバ接続部5と、光ファイバ心線余長6を収納する融着トレイ4と、融着トレイ4から光ファイバ心線を数本束にした光ファイバコード17の余長収納部18が設けられている。
【0009】
トレイ4はループ状の光ファイバ心線2の余長6を収納するものであり、光ファイバ接続部5を把持して固定する固定部材7と、光ファイバ心線2の余長6が飛び出さないよう側壁19及びストッパ20を設けてある。そして、融着トレイ4は振動などで動かないように接続箱3に一体に固定するようにしている。
【0010】
次に図2及び図3により光ファイバ接続部分の固定部材7の構成を説明する。図2(a)は固定部材を示す平面図、図2(b)はその正面図、図2(c)はその側面図であり、図3はその斜視図で単心光ファイバ接続部5aとテープ心線光ファイバ接続部5bとが保持されている様子を示している。固定部材7は合成樹脂やゴム等で成型したものであり、図に示すように基台8に立設した薄板部9とその上部に突起10を持つ係止片11を形成し、2つの係止片11が一定の係止距離をおいて突起10が互いに向かい合うように配設し、光ファイバ接続部5を保持するためのホルダ部12を形成している。また、各ホルダ部12の係止距離は係止する光ファイバ接続部5の径に対応させてあり、図に示す固定部材7では、単心光ファイバ接続部5aを保持する小径ホルダ部12aと、テープ心線光ファイバ接続部5bを保持するための大径ホルダ部12bとが設けられている。また、大径ホルダ部12bの係止片11bは小径ホルダ12aの係止片11aより高く形成してあり、小径ホルダ部12aと大径ホルダ部12bとを固定部材7の光ファイバ接続部5の光ファイバの心線方向に交互に配置して、一連の係止溝13を形成している。さらに基台8上に係止溝13を併設することにより光ファイバ接続部5の固定部材7を構成している。
【0011】
なお図2及び図3に示す実施の形態では、係止溝13の中央部に大径ホルダ部12bを、係止溝13の両端に小径ホルダ部12aを配設したものであるが、その位置関係は逆でもよく、またその配設個数も限定するものではない。さらに、係止溝13は小径ホルダ部12aと大径ホルダ部12bとの間で単心光ファイバ接続部5aを保持する断面U字状の支え部15を設けることにより、単心光ファイバ接続部5aを下側から安定的に保持している。また、各係止溝間には間隙部14が設けられており、小径ホルダ部12aと大径ホルダ部12bとの係止距離の違いを調節している。
【0012】
以上のように構成された固定部材7に単心光ファイバ接続部5aを保持するには、係止溝13の上方から単心光ファイバ接続部5aを対向する係止片11a、11aに沿って小径ホルダ部12aの内部に嵌入する。この時、単心光ファイバ接続部5aは係止距離が大きい大径ホルダ部12bを通過し、小径ホルダ部12aの係止片11aを弾性変形させ小径ホルダ部12aの内部に保持される。すなわち、小径ホルダ部12aの薄板部9aにより単心光ファイバ接続部5aを保持すると共に、突起10aにより単心光ファイバ接続部5aがホルダ部12aより浮き上がるのを防ぐ。
【0013】
また、固定部材7にテープ心線光ファイバ接続部5bを保持する場合は、テープ心線光ファイバ接続部5bを大径ホルダ部12bの内部に嵌入する。この時、大径ホルダ部12bの係止片11bは弾性変形し、また小径ホルダ部12aの突起10bはテープ心線光ファイバ接続部5bを下から支えるため、テープ心線光ファイバ接続部5bは大径ホルダ部12bの上部に保持される。また、嵌入後は突起10bによりテープ心線光ファイバ接続部5bがホルダ部12bより浮き上がるのを防ぐ。
【0014】
以上説明した通り、本発明は1種類の固定部材で2種類の径の光ファイバ接続部5を保持できるものであるため、単心光ファイバ接続部5aとテープ心線光ファイバ接続部5bとが同一のトレイ4で接続された場合も、図3に示すように1つの固定部材7で保持が可能である。また、大径ホルダ部12bで保持されるテープ心線光ファイバ接続部5bは、小径ホルダ部12aの係止片11aの突起10aの上部により固定部材7の両端で支持されるため、大径ホルダ部12bの上部に安定的に保持できる。また、同一の係止溝13に単心光ファイバ接続部5aとテープ心線光ファイバ接続部5bを上下2段に保持可能であるため、固定部材の設置面積を減少させることができると共に、多様な使い方に1つの固定部材で対応できる。さらに保持した後は、単心光ファイバ接続部は固定部材の下段に、テープ心線光ファイバ接続部は固定部材の上段に保持されるため、各接続部の識別が容易となる。
【0015】
また、図4(a)に示す第2の実施の形態では、基台7の側方に柱部16を延設し柱部の上端で別の固定部材7の柱部の下端を枢支し、前記固定部材7を上下に積層したものである。すなわち柱部16の上端には枢支突起16aを設け、下端には前記枢支突起16aに嵌合する孔16bが設けられており、柱部16の間隔は上端部の方が下端部より狭くなるように形成し、柱部上端の枢支突起16aは前記大径ホルダ部12bの係止片11bより上方に位置させてある。この様な構造により固定部材7を上下2段以上に積層可能としている。なお、柱部16は固定部材7が支持されていればよく、特にその構造を限定するものではない。
【0016】
上記のように構成した固定部材7に光ファイバ接続部5を固定するには、図4(b)に示すように上部の固定部材7を略90°回動させた状態で、第1の実施の形態で述べたような手順により下部の固定部材7から順に光ファイバ接続部5を保持させる。そして、下部の固定部材7に光ファイバ接続部5の保持を完了させた後、上部の固定部材7の回動を水平状態に戻し、同様に光ファイバ接続部5を保持させる。この様に固定部材7を積層することにより、設置面積を増やすことなく、さらに多くの光ファイバ接続部5を保持を可能とするものである。また、前記した第2の実施態様では固定部材7を回動可能に支持したものとしたが、上下の固定部材を係合部材等により着脱可能に積層できるようにしたものでもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明は1種類の固定部材で2種類の径の異なる光ファイバ接続部を保持できるため、部品点数を少なくできると同時に固定部材の設置面積も低減することができるうえ、径の太さの異なる光ファイバ接続部を重ねて保持できる。また固定部材を積層することにより、設置面積を増やすことなくさらに多くの光ファイバ接続部を保持を可能とするものである。よって本発明は従来の問題点を解決した光ファイバ接続部の固定部材として、その工業的価値は極めて大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ファイバ接続部の固定部材の接続状態を示す側面図である。
【図2】(a)は本発明の実施の形態を示す平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】(a)は本発明の他の実施の形態を示す斜視図、(b)はその正面図である。
【図5】(a)、(b)は従来の固定部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 光ファイバケーブル
2 光ファイバ心線
3 接続箱
4 トレイ
5 光ファイバ接続部
5a 単心光ファイバ接続部
5b テープ心線光ファイバ接続部
6 光ファイバ余長
7 固定部材
8 基台
9 薄板部
10 突起
11 係止片
12 ホルダ部
12a 小径ホルダ部
12b 大径ホルダ部
13 係止溝
14 間隙部
15 支え部
16 柱部
Claims (3)
- 光ファイバ接続部を保持する固定部材において、光ファイバ接続部の心線方向に、異なる径を保持する各ホルダ部を、該各ホルダ部の係止片の高さを基台に対して、大径ホルダ部の係止片を小径ホルダ部の係止片よりも高く形成して段違いに設けるとともに、前記大径ホルダ部の係止片に保持された光ファイバ接続部を前記小径ホルダ部の係止片の突起の上部により支持したことを特徴とする光ファイバ接続部の固定部材。
- 大径ホルダ部を固定部材の光ファイバ接続部の心線方向の中央部に形成するとともに、小径ホルダ部を固定部材の光ファイバ接続部の心線方向の両端に形成したことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ接続部の固定部材。
- 上記固定部材を上下方向に積層したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバ接続部の固定部材。
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