以下、本発明の開示例に係る光接続箱について、図面を参照しつつ説明する。本開示例に係る光接続箱は、主として接続箱本体10と蓋体20とを備えている。まず、図1〜図4を参照しつつ、接続箱本体10の構成について説明する。
図1は本発明の開示例に係る光接続箱を構成する接続箱本体10を示す平面図である。図2は図1の接続箱本体10を矢印A方向から見た矢視図である。図3は図1の接続箱本体10を矢印B方向から見た矢視図である。図4は図1の鎖線で囲ったC部の部分拡大斜視図である。
これら図面において、接続箱本体10は、その全体を合成樹脂材料により一体成形した、矩形状の底壁10Eと、該底壁10Eの外縁から立設した四つの側壁10A,10B,10C,10Dとを有する長方形状の箱体である。
互いに対向する短い側壁(特許請求の範囲に記載された側壁に相当)10A,10Cには、それぞれ、多心ケーブル導入口11と、段差状ケーブル導入口群12と、取付部としてのアダプタ装着口13と、コード挿入口14とが設けられている。
多心ケーブル導入口11は、例えば、32心のインドアケーブル又はドロップケーブル等の多心光ファイバケーブル(光ファイバに相当)30A(図8参照)を挿入固定するためのものである。多心ケーブル導入口11は、底壁10Eと直交する方向、すなわち、接続箱本体10の奥行き方向Yに延びるスリット状の溝となっている。なお、本開示例では、底壁10Eと平行な方向を、接続箱本体10の長さ方向Xとする。さらに、接続箱本体10における光ファイバ導出面である側壁10A,10Cの長さを幅Wという。
該多心ケーブル導入口11内には、挿入した多心光ファイバケーブル30Aのシース(被覆)に食い込む固定金具が差し込んである。また、該多心ケーブル導入口11の多心光ファイバケーブル30Aを支持する底壁10E寄りの端部11aには、該多心ケーブル導入口11から接続箱本体10内へ導入した多心光ファイバケーブル30Aを更に支持する平面視略T字型の薄板状の支持片11bが連成してある。
段差状ケーブル導入口群12は、接続箱本体10の奥行き方向Yに延びるスリット状のケーブル導入口12a,12b,12c,12dを備えている。これらのケーブル導入口12a,12b,12c,12dは、例えば、少心のインドアケーブル又はドロップケーブル等の少心光ファイバケーブル(光ファイバに相当)30B,30B…(図8参照)を挿入固定するためのものである。
これらケーブル導入口12a,12b,12c,12dから接続箱本体10内に導入した各少心光ファイバケーブル30B,30B…は、上述した多心光ファイバケーブル30Aから分岐させた図示しない各光ファイバ心線に、接続部31(図8参照)を介して接続される。
本開示例における接続部31は、多心光ファイバケーブル30Aと各少心光ファイバケーブル30Bとの各光ファイバ心線を溶かして互いに融着接続し、各融着接続部を融着スリーブで被覆した構成としてある。但し、接続部31は、このような融着接続に限らず、光ファイバ心線を機械的に付き合わせて接続する「メカニカル接続」等の各種の接続形態による接続部としてもよい。
ここで、本開示例では、図3に示すように、各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dにおける、少心光ファイバケーブル30Bを支持する底壁10E寄りの端部12a1,12b1,12c1,12d1の位置を互いに異ならせて段差状にした構成としてある。ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの底壁10E寄りの端部12a1,12b1,12c1,12d1の底壁10Eからの距離を互いに異ならせている。また、図示例では、ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の底壁10Eからの距離を、該ケーブル導入口12a,12b,12c,12d同士が並設する方向(図3中の矢印X)に沿って、互いに段階的に異ならせている。
詳述すると、互いに隣接するケーブル導入口12a,12bの前記端部12a1,12b1の底壁10Eからの距離の差と、互いに隣接するケーブル導入口12b,12cの前記端部12b1,12c1の底壁10Eからの距離の差と、互いに隣接するケーブル導入口12c,12dの前記端部12c1,12d1の底壁10Eからの距離の差と、を等しくしている。さらに、前述した三つの距離の差を、一つの接続部(融着接続部を被覆した融着スリーブ)31の径方向の寸法分以上としている。
複数のケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1のうちの最も底壁10Eから離れた端部12a1と、最も底壁10E寄りの端部12d1との奥行き方向Yの距離は、Lとなっている。また、本開示例では、上述した多心ケーブル導入口11の端部11aを、前述した奥行き方向Yにおいて、前記端部12a1と端部12d1との間に位置させている。さらに、本開示例では、上述した多心ケーブル導入口11の端部11aを、前述した奥行き方向Yにおいて、前記端部12a1と端部12d1との中心位置を含み、かつ前述した距離Lの1/3の範囲内に位置させている。例えば、図示例では、多心ケーブル導入口11の端部11aの底壁10Eからの距離は、距離Lの1/3以上でかつ2/3以下となっている。即ち、多心ケーブル導入口11の端部11aを、前述した奥行き方向Yにおいて、多心ケーブル導入口11の端部11aの底壁10Eからの距離は、前記距離Lの1/3以上でかつ2/3以下となる位置に配置されている。
このように、段差状に並設された各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの前述した距離Lの中心位置に、多心ケーブル導入口11を設置すれば、これら導入口11、12a1〜12d1の奥行き方向Yの端部11aとの距離をほぼ平均的に小さくすることができる。これにより、これら導入口11、12a〜12dの高さで接続箱本体10内を取り回される多心光ファイバケーブル30Aと各少心光ファイバケーブル30Bとを接続したときに生じる曲がりを平均的に小さくすることができる。
一方で、実際の設計において、種々の周辺部材の取付位置を考慮すると、各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの前述した距離Lの中心位置に、多心ケーブル導入口11を設置することができない場合もある。このような場合でも、総合的に多心光ファイバケーブル30A及び各少心光ファイバケーブル30Bの曲がりが大きくならないようにするため、最大位置差Lの中心位置を含むL/3の範囲内に多心ケーブル導入口11を設置することとした。
ここで、図1、図3及び図4に示すように、アダプタ装着口13は、コネクタ付きのファンアウトコード等を接続するための接続部材としてのアダプタ42(図8参照)を嵌合保持する(取り付ける)略矩形の切欠部である。本開示例では、接続箱本体10の側壁10A,10Cに、図4中に二点鎖線示す切除可能な略矩形の仕切板13aを形成し、該仕切板13aを切除したときに、アダプタ装着口13が形成されるようにしてある。このように、アダプタ装着口13は、一つの側壁としての側壁10A,10Cを切り欠いて形成されている。
該アダプタ装着口13は、接続箱本体10の奥行き方向Yに延びる切欠状となっており、該奥行き方向Yに沿ってアダプタ42の挿抜が可能な構成としてある。また、アダプタ装着口13には、底壁10Eと平行でかつ表面上にアダプタ42を載置するための載置面13bが設けられている。該載置面13bは、接続箱本体10内の奥行き方向Yの中央に位置している。さらに、アダプタ装着口13の載置面13bには、後述するファイバガイド17に向かって水平に突出する押え片18が面一に連成してある。該押え片18については、後に詳述する。また、アダプタ42の一端には、他の光ファイバとしての光ファイバケーブル30Dの端末に取り付けられたコネクタ41が嵌合し、他端には、後述するファンアウトコード30Cの端末に取り付けられたコネクタ41が嵌合する。
コード導入口14は、接続箱本体10の奥行き方向Yに延びるスリット状の溝である。該コード導入口14は、その溝幅が、ファンアウトコード30C(図8参照)等のコード外形の0.8〜0.9倍としてあり、該ファンアウトコード30C等のシースを挟み込む構造となっている。このような該コード挿入口14を介して、ファンアウトコード30C等を接続箱本体10内に導入し、上述したアダプタ42を用いずに多心光ファイバケーブル30Aと直接接続させることができる。
一方、接続箱本体10の中央部で長い側壁10Dの近傍には、一対の保持部としてのスリーブホルダ15,15を間隔をおいて設けている。各スリーブホルダ15は、該側壁10Dに対向して起立形成した各一対の弾性片15a,15aと、保持板15b,15bとを備えている。各スリーブホルダ15は、側壁10Dと共同してそれぞれ二箇所、合計四箇所で、複数の接続部(融着接続部を被覆した融着スリーブであり、図示例では、一つのみ示す)31,31…を、接続箱本体10の奥行き方向Yに重ねた状態で(並べて)弾性保持する。
ここで、本開示例では、上述のように、互いに隣り合うケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の奥行き方向Yの距離を前述した距離Lの1/3にして、更に一つの接続部31の径方向の寸法分以上にしてある。これにより、スリーブホルダ15に、各接続部31を接続箱本体10の奥行き方向Yに重ねた状態で弾性保持したとき、各接続部31をそれぞれに対応する各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dとほぼ同じ高さに配置することができる。
また、互いに隣接するケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の奥行き方向Yの距離が、一つ接続部31の径方向の寸法より小さい場合には、順次導入される少心光ファイバケーブル30B,30B…が同じ位置で互いに重複することになり、その導入位置で折れ曲がりなどが発生してしまう。したがって、互いに隣接するケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の奥行き方向Yの距離を、一つの接続部31の径方向の寸法分以上とすることにより、各少心光ファイバケーブル30Bの負担を軽減することができる。
なお、接続箱本体10の他の長い側壁10Bの中央部には、ダムホルダ16が設けられている。ダムホルダ16は、側壁10Bに沿って互いに間隔をあけて配置された一対のホルダ部を備えている。一対のホルダ部、即ちダムホルダ16は、上述したファンアウトコード30C(図8参照)等の図示しないダム部を保持する。
また、接続箱本体10の底壁10Eの中央部には、一対の略円筒状(略円弧状の壁部を有している)のファイバガイド17,17が立設してある。各ファイバガイド17は、外周面に多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30Cが沿わされることで、上述した複数の接続部31,31…を各スリーブホルダ15に収納するに際して、多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等の取り回しの曲げ半径を規定している。即ち、ファイバガイド17,17は、外周面(円弧状壁部に相当)に沿って、接続箱本体10内に導入された光ファイバケーブル30A,30Bを取り回す。また、これらのファイバガイド17は、前述したケーブル導入口11,12a,12b,12c,12dが設けられた側壁10A,10Cそれぞれに対応して(近傍に)設けられている。
さらに、接続箱本体10内の各部には、薄肉小片状の複数対の押え片18,18が一体成形により配設してある。各押え片18,18は、底壁10Eから突設している。各押え片18,18は、互いに間隔をあけて対向して配置されいる。各押え片18,18は、互いの間に接続箱本体10内に取り回した多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等を通して、これらを互いの間に挟んで保持する。これらの多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B及びファンアウトコード30Cは、特許請求の範囲に記載の光ファイバに相当する。
各押え片18,18は、接続箱本体10の奥行き方向Yにおける所定の高さ(本開示例では、高い位置と低い位置の二種)に位置しており、接続箱本体10内に取り回した多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等の跳ね上がりを抑制している。
ここで、図4に示すように、アダプタ装着口13の載置面13bには、それぞれ、ひとつの押え片18が連なっており、一方、該アダプタ装着口13に隣接するファイバガイド17には、前記一つの押え片18と対向する他の押え片18が形成してある(これら一つの押さえ片18と他の押え片18は一対の押え片に相当)。
ファイバガイド17には、アダプタ装着口13の載置面13bと同じ高さの切欠終端部17aが形成してあり、他の押え片18は、該切欠終端部17aに連成してある。したがって、これら一と他の押え片18,18は共に、接続箱本体10の奥行き方向Yの中間の高さに位置している。
そして、これらの一対の押え片18,18の互いに対向する端部の間には、スリット状の隙間18aが形成してある。該隙間18aは、図8に示すファンアウトコード30Cの余長部30C1を一対の押え片18,18間に挿通させるためのものである。
本開示例では、一対の押え片18,18の互いに対向する端部を、互いに平行で、かつ接続箱本体10内に取り回したファンアウトコード30Cの余長部30C1と交差する方向に沿って平坦な傾斜形状としてある。これにより、一対の押え片18,18に挟むと、該押さえ片18,18の近傍で余長部30C1が曲がって、該余長部30C1が容易に隙間18aから跳ね上がらなくなる。
また、本開示例では、前述した一対の押さえ片18,18の底壁10Eからの距離と、アダプタ装着口13の載置面13bの底壁10Eからの距離とは等しく形成されている。即ち、アダプタ装着口13を、前述した一対の押さえ片18,18以上に底壁10Eから離れた位置に設け、載置面13bを、前述した一対の押さえ片18,18以上に底壁1
0Eから離れた位置に配置している。
一方、接続箱本体10の側壁10A,10Cの外側には、各一対の取付板19A,19A及び19B,19Bが設けてある。これら取付板19A,19Bは、接続箱本体10を設置面に対して横置き又は縦置きに選択的に固定するためのものである。接続箱本体10を横置きするための各取付板19Aは、底壁10Eと平行な方向Xに突設してあり、接続箱本体10を縦置きするための各取付板19Bは、底壁10Eと垂直な方向に突設してある。これら取付板19A,19Bには、それぞれ図示しないねじ等を挿通するための長孔が切り欠いてある。また、接続箱本体10の底壁10Eには、該接続箱本体10を設置面にねじ止めするための長孔状の貫通孔10b,10b…が穿設してある。
その他、接続箱本体10には、次に述べる蓋体20(図5参照)の着脱を容易にするための切欠部10a,10a、該蓋体20をねじ止めするための円柱状のねじ止め部10c,10cが形成してある。
次いで、上述した蓋体20について、図5、図6及び図7を参照しつつ説明する。図5は上記光接続箱を構成する蓋体を示す平面図である。図6は図5の蓋体を矢印D方向から見た矢視図である。図7は図5の蓋体を矢印E方向から見た矢視図である。
蓋体20は、図5に示すように、平面視が略長方形状の板状部材であり、互いに対向する各長辺の中央には、接続箱本体10の各切欠部10aに嵌合する一対の嵌合片20a,20aが突設してある。接続箱本体10の側壁10A〜10Dにより形成された開口部に蓋体20を取り付けたとき、各嵌合片20aのみが、前述した側壁10A,10Cに連なる他の側壁としての側壁10B,10Dの板厚と面一になり、該蓋体20着脱の際の把持部の役割を果たしている。
蓋体20の表面には、接続箱本体10のねじ止め部10c,10cのいずれかに対応する貫通孔20bが穿設してある。また、蓋体20の裏面における各短辺には、接続箱本体10の多心ケーブル導入口11の上部に嵌合する多心ケーブル押え突起(突起部)21,21がそれぞれ突設してある。
さらに、蓋体20の裏面における各短辺には、各多心ケーブル押え突起21に隣接して、段差状ケーブル押え突起群22がそれぞれ突設してある。各段差状ケーブル押え突起群22は、接続箱本体10の各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの上部に嵌合するケーブル押え突起(突起部に相当)22a,22b,22c,22dからなっている。ケーブル押え突起22a,22b,22c,22dは、ケーブル導入口12a,12b,12c,12dに嵌合して、該ケーブル導入口12a,12b,12c,12dと光ファイバケーブル30Bとの間に隙間を埋める。
次に、上記構成からなる本開示例の光接続箱における光ファイバケーブル等の取り回しについて、図8を参照しつつ説明する。図8は上記接続箱本体に各種光ファイバケーブル及び光ファイバコードを取り回し接続した状態を示す平面図である。
多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等を接続又は分岐接続する場合、まず、多心光ファイバケーブル30Aの先端部から必要な分のシースを取り除き、残った先端側のシースを固定金具に食い込ませつつ、該多心光ファイバケーブル30Aを、接続箱本体10の多心ケーブル導入口11に挿入固定する。該多心光ファイバケーブル30Aの挿入後、接続箱本体10の底部10Eに最も近いケーブル導入口12dに、同様にして少心光ファイバケーブル30Bを挿入固定する。
次いで、これら多心光ファイバケーブル30A及び少心光ファイバケーブル30Bの取り回しに必要な光ファイバ長を確保しつつ、互いのファイバ心線を融着接続し、該融着接続部を融着スリーブで被覆して接続部31を形成する。そして、多心光ファイバケーブル30Aのファイバ心線をファイバガイド17に沿って取り回し(外周に巻き)つつ、該接続部31をスリーブホルダ15に弾性保持させる。このとき、接続箱本体10内に取り回した多心光ファイバケーブル30Aのファイバ心線が浮き上がらないように、該ファイバ心線を、各押え片18の下を通過させて取り回す。
上記と同様の作業を、各ケーブル導入口12cと12bと12aとに順に、底壁10Eに近い順番で繰り返し行い、多心光ファイバケーブル30Aと少心光ファイバケーブル30Bとのファイバ心線を全て接続する。そして、上記順番で、各接続部31,31…を接続箱本体10の奥行き方向Yに重ねた状態でスリーブホルダ15に弾性保持させる。
一方、コネクタ41を装着したファンアウトコード30Cの余長部30C1を接続箱本体10内に収納する場合は、まず、該ファンアウトコード30Cのコネクタ41をアダプタ42に嵌合する。なお、アダプタ42は、図12に示す従来のアダプタ200と同様、複数対のコネクタ41を接続可能な構成となっている。
次いで、該余長部30C1を、一と他の押え片18,18の相互間に挿通させながら、2つのファイバガイド17,17に沿って楕円を描くように巻き曲げて取り回す。これを繰り返すことにより、多重に巻き曲げられた余長部30C1の2箇所が、それぞれ一と他の押え片18,18及び18,18によって保持される。その後、アダプタ42をアダプタ装着口13に嵌合保持させる。さらに、該アダプタ42に光ファイバケーブル30Dの端末に取り付けられたコネクタ41を嵌合する。
なお、多心光ファイバケーブル30Aに接続したファンアウトコード30Cを、アダプタ42を介さずに直接、接続箱本体10の外部へ導出する場合は、コード導入口14に該ファンアウトコード30Cを挿入固定する。
以上のように、本開示例の光接続箱によれば、ファンアウトコード30Cの余長部30C1の跳ね上がりを一対の押え片18,18により防止しつつ、接続箱本体10の奥行き方向Y(底壁10Eに直交する方向)において、該余長部30C1とアダプタ42とを重複させて配置することができる。即ち、底壁10Eと直交する方向に沿って、ファンアウトコード30Cの余長部30C1とアダプタ42とを重複させて配置しても、該余長部30C1をアダプタ42と接続箱本体10との間に挟むことなく押え片18,18間で保持できる。このため、接続箱本体10のアダプタ装着口13を設けた側壁10A,10C(光ファイバケーブル30A,30Bが導出する面に相当)の幅Wを減少させて、箱全体の小型化を図ることができる。
また、アダプタ装着口13を側壁10A,10Cを切り欠いて、蓋体20側が開口したコ字状に形成したことにより、接続箱本体10内にファンアウトコード30Cの余長部30C1を取り回した後で、該アダプタ装着口13にアダプタ42を簡単に装着することができる。また、アダプタ42の載置面13bを一対の押え片18,18と同じ高さに形成し該押え片18,18に隙間18aを形成したことにより、該アダプタ装着口13にアダプタ42を装着したときに、余長部30C1のアダプタ42と接続箱本体10との間の挟み込みを回避することができ、該余長部30C1即ち光ファイバの断線を確実に防止することができる。
さらに、アダプタ装着口13を側壁10A,10Cを切り欠いて前述したコ字状に形成
したことにより、コネクタ41を接続したままの状態でアダプタ42をアダプタ装着口13に挿抜することができる。このため、余長部30C1の跳ね上がりを一対の押え片18,18により防止する構成でありながら、余長部30C1の取り扱いを極めて容易に行える。
これに加え、一対の押え片18,18の互いに対向する端部を、互いに平行で、かつ接続箱本体10内に取り回したファンアウトコード30Cの余長部30C1と交差する方向に沿って平坦な傾斜形状としてあるので、該余長部30C1が押え片18,18の近傍で曲がって、該押え片18,18間の隙間18aから抜け出しにくくなり、余長部30C1の跳ね上がりをより確実に防止することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る光接続箱について、図9及び図10を参照しつつ説明する。
図9は本発明の一実施形態に係る光接続箱を構成する接続箱本体10’を示す平面図である。図10は上記接続箱本体10’を設置面Gに設置した状態を示す斜視図である。
なお、以下に説明する本発明の一実施形態において、上述した開示例と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図9において、本実施形態の光接続箱は、接続箱本体10’の側壁10B,10Dの長手方向に沿って、ファイバガイド17,17と少なくとも一部が並ぶ位置にアダプタ装着口13’を形成している。そして、該アダプタ装着口13’を、側壁10B,10Dに対して傾かせることにより、該アダプタ装着口13’に装着されたアダプタ42に接続したファンアウトコード30C(図8参照)と、ファイバガイド17,17との干渉を回避している。即ち、アダプタ装着口13’の中心線(図9中に一点鎖線で示す)は、側壁10B,10Dの長手方向に対して交差している。なお、アダプタ装着口13’の中心線が、アダプタ装着口13’の向きを示し、アダプタ42などの光軸と平行である。
ここで、アダプタ装着口13’の傾き角α°(前述した中心線と側壁10B,10Dの長手方向とのなす角)は、接続箱本体10’内においてアダプタ42に接続したコネクタ41のブーツ41bがファイバガイド17に干渉しない角度としてある。
また、アダプタ装着口13’の傾き角α°は、接続箱本体10’を一対の取付板19B,19Bによって設置面Gに固定した(側壁10Bを設置面Gに重ねた)ときに、アダプタ装着口13’の外側端部13’cが、設置面Gから離反するような角度ともしてある。なお、設置面Gは、建造物や構造物などの壁面である。即ち、光接続箱は、建造物や構造物などの壁面に重ねられて、これらの建造物や構造物などに取り付けられる。また、アダプタ装着口13’は、接続箱本体10’の外側に向かうにしたがって、前述した設置面Gから徐々に離れる方向に、前述した側壁10B,10Dの長手方向に対して傾いている。
このような構成からなる本実施形態の光接続箱によれば、接続箱本体10’の側壁10B,10Dの長手方向に沿って、アダプタ装着口13即ちアダプタ42とファイバガイド17とを並べて配置することができ、また、アダプタ装着口13’を側壁10A,10Cの長手方向の中央に設けることができる。即ち、アダプタ装着口13’を側壁10A,10Cの長手方向の中央に設けても、アダプタ42や該アダプタ42に嵌合したコネクタ41がファイバガイド17と干渉することを防止できる。したがって、アダプタ装着口13’を側壁10A,10Cの長手方向の中央に設けることができ、これら側壁10A,10Cの幅Wを減少させて、箱全体の小型化を図ることができる。
また、アダプタ装着口13’に傾き角αをもたせた構成としてあるので、該アダプタ装着口13’に装着されたアダプタ42に接続したコネクタ41のブーツ41bないしファンアウトコード30C(図8参照)と、ファイバガイド17との干渉を回避することもでき、接続箱本体10内にファンアウトコード30Cの余長部30C1を無理なく取り回して跳ね上がりや断線等を防止することができる。
さらに、図10に示すように、アダプタ装着口13’に傾き角αをもたせて前述した方向に傾かせているので、接続箱本体10を設置面Gに固定した場合に、接続箱本体10’の外側からアダプタ42に接続したコネクタ41のラッチ部41a(設置面G側のラッチ部41a)と、設置面Gとの間に、作業者が指を入れるためのスペースSが確保される。この結果、接続箱本体10を設置面Gに固定した状態であっても、該アダプタ42にコネクタ41を容易に挿抜することができ、作業性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明の光接続箱は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、本発明をファンアウトコード30Cの余長部30C1に適用した場合を具体例として説明したが、本発明の適用される光ファイバは、ファンアウトコード30Cに限らず、多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B、及びその他各種光ファイバに適用することができる。その他、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
また、本発明では、アダプタ装着部13の載置面13bを、押え片18,18より底壁10Eから離しても良い。即ち、アダプタ装着部13の載置面13bの底壁10Eからの距離を、押え片18,18の底壁10Eからの距離より長くしても良い。要するに、本発明では、アダプタ装着部13及び載置面13bを、押え片18,18以上に底壁10Eから離れた位置に設ければ良い。さらに、本発明では、アダプタ装着口13,13’の近傍に配置された押さえ片18,18以外の押さえ片18,18は、アダプタ装着口13,13’より底壁10Eから離れていても良い。