JP3759813B2 - 梱包機のバンド溶着防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱可塑性のバンドを用いて被梱包物を巻き締め、該バンドの両端を加熱加圧によって溶着する梱包機において、被梱包物がない状態で始動スイッチに触れた場合や、被梱包物の位置決め不良等により、スライド板に帯状のバンドやテープが直接巻き付いた場合の処理を、簡単、確実に行えるようにした梱包機のバンド溶着防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性のバンドやテープを用い、被梱包物の外周を巻き締めてその両端を溶着する梱包機の基本的な構造は、図1(A)に示すように、テーブル1上に一部切り離し状のアーチ2を立設し、テーブル1の基板上でアーチ2の切り離し部分の位置に前後動自在となるスライド板3を設け、テーブル1内に、スライド板3の直下に位置し該スライド板3とでバンドAを固持するクランプ機構4と、スライド板3の下部に対して進退動自在となるヒータ5と、アーチ2に対するバンドAの送り出しと引き締めを行う送り出し引き締め機構6とが設けられている。
【0003】
リールから引き出したバンドAを送り出し引き締め機構6によってアーチ2の全長に送り込んだ状態で、被梱包物をテーブル上に載置して始動スイッチをオンすると、バンド先端のクランプ後に送り出し引き締め機構6の逆転でバンドAが引き戻され、アーチ2の内周に離脱したバンドAで被梱包物を巻き締め、バンドの先端と途中を重なり状にクランプし、続いてクランプ機構の加圧器でバンドの途中を切断して押し上げ、これにタイミングを合わせてヒータを上下バンドの対向面間に進入させ、上下バンドでヒータを挟み込んで該対向面を溶融させ、ヒータの抜け出た後に更に加圧することによりバンドの両端を溶着し、クランプの開放後にスライド板が退動して被梱包物とバンドの間から抜け、この後スライド板が前進位置に復帰して梱包作業が完了する。
【0004】
ところで、上記のような梱包機において、被梱包物がない状態で始動スイッチに触れたり、被梱包物の位置決め不良がある場合、バンドがスライド板に巻着した状態になり、以後の梱包が行えないトラブルが発生する。
【0005】
従来、上記したトラブルの解消、即ち、スライド板に巻着したバンドの除去は、スライド板に溝を加工しておき、この溝に沿って移動する押し金具でバンドを押してスライド板から抜き取る方法が採用されている。
【0006】
また、別のトラブル防止手段として、バンド巻き締め時のバンドの移動量の差を電気的に検出し、バンドの戻り量が多い場合にヒータの進入を防止し、溶着せずにスライド板からバンドを取り除く方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
昨今の多様化するユーザーニーズに伴い人為的ミス・機械の誤動作によるトラブルを早期に処理し、機械を初期状態に戻すことが要求されている。
【0008】
しかしながら、前者のトラブル解消方法は、バンドを溶着するために、ループ状になったバンドが装置の内部に入った場合、二次トラブルを起こす可能性が高いという問題がある。
【0009】
また、後者のトラブル解消は、検出機構やヒータ進入防止機構にソレノイドを使う必要があり、コスト的に高くつくという問題がある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、被梱包物がない状態で始動スイッチに触れた場合や、被梱包物の位置決め不良等により、スライド板にバンドが巻き付いた場合の処理を簡単な構造で実現でき、コスト的にも安価な梱包機のバンド溶着防止装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、スライド板の下部に、該スライド板とでバンドを固持するクランプ機構と、スライド板の下部に対して進退動自在となるヒータを設け、被梱包物を巻き締めたバンドの両端をスライド板の下部で加熱加圧によって溶着するようにした梱包機において、スライド板の上面に凹段部を設け、ヒータ側に、スライド板の下部に対する前進動時に凹段部内に進入し、スライド板にバンドが巻着しているとき先端がバンドに当接してヒータがスライド板の下部溶着位置に進入するのを阻止する溶着防止用バーを設けた構成を採用したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0013】
梱包機の基本的な構造は、図1(A)を用いて従来の技術の項で述べた通りであり、スライド板3は図1(B)と図2の如く、平面的に前後に長い矩形状で、先端部上面に先端下りの傾斜面7を有し、後部両側に設けた張出部8、8がテーブル1の基板に設けたガイドで支持され、カムとリンク機構等で前後方向に移動自在となり、前進位置にある該スライド板3の先端部両側の位置にアーチ2の両端部が臨む配置となる。
【0014】
上記スライド板3の上面で先端部の一方側縁に、スライド板3の進退方向に沿って長い凹段部9が設けられている。
【0015】
前記スライド板3の先端側で前方の位置に配置されたヒータ5は、スライド板3に対して進退動する取付用可動台10上にスライド板3側へ突出するように固定され、取付用可動台10はリンク11で支持され、カム機構により、バンドの溶着工程時に、スライド板3に向けて前進し、ヒータ5をバンドAの上下対向面間に進入させ、該バンドAの対向面を溶融すると退動位置に戻ってバンド間からヒータ5を引き抜いた状態とする運動をすることになる。
【0016】
前記取付用可動台10上でヒータ5の側方位置に、ヒータ5と平行してスライド板3側に突出し、ヒータ5がスライド板3の下部でバンドAの上下対向面間に進入したとき、スライド板3の凹段部9内に納まる溶着防止用バー12が固定されている。
【0017】
この発明のバンド溶着防止装置は、上記のような構成であり、図3(A)乃至(C)は、正常なバンド溶着時の状態を示し、スライド板3は前進位置で停止し、被梱包物Bを巻き締めたバンドAは、先端側がスライド板3の下面においてクランプ機構で固持され、溶着工程時にヒータ5は前進動してバンドAの上下対向面間に進入し、クランプ機構の加圧器によるバンドの押し上げでバンド間に挟まれ、バンドの対向面を溶融した後、退動位置に抜け出し、加圧器での押し上げでバンドAの両端は溶着することになる。
【0018】
上記正常なバンドの溶着時は、図3(C)で示すように、バンドAはスライド板3の下面から被梱包物Bの外周に移行することにより、スライド板3に設けた凹段部9は開放状態のままとなって障害物がなく、ヒータ5の前進動時に溶着防止用バー12は凹段部9内に納まることにより、ヒータ5の前進移動を何ら阻害することがなく、従って正常なバンド溶着が支障なく行える。
【0019】
図4(A)乃至(C)は、スライド板3にバンドAが直接巻き付いたときの溶着工程の状態を示し、図4(C)に示すように、スライド板3に直接バンドAが巻き付くことにより、該バンドAは凹段部9の途中を斜めに通過することになる。
【0020】
このため、ヒータ5が前進動したとき、凹段部9内に進入した溶着防止用バー12の先端はバンドAに当接することになり、これによってヒータ5の前進動を停止させ、バンドAの上下対向面の溶着を行わないようにする。
【0021】
従って、スライド板3に巻き付いたバンドAは両端が溶着されることがなく、ループ状になることがないので、装置の溶着工程の終了後に、短尺のバンドをスライド板3から簡単に外部へ取り出すことができ、二次トラブルの発生も防止できる。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、スライド板の上面側部に凹段部を設けると共に、ヒータ側に凹段部へ進入する溶着防止用バーを設けるだけで、人為的ミス、機械の誤動作によって、スライド板に巻き付いた帯状バンドを溶着しないようにすることができ、構造が簡単でコスト的に安価であり、梱包機の二次トラブルの発生を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は梱包機の概略構造を示す正面図、(B)はバンド溶着防止装置の斜視図
【図2】(A)はバンド溶着防止装置の正面図、(B)は同平面図
【図3】(A)は正常なバンド溶着時の状態を示す正面図、(B)は同平面図、(C)は同上のスライド板の部分を示す断面図
【図4】(A)はスライド板にバンドが巻着したトラブル発生時の溶着状態を示す正面図、(B)は同平面図、(C)はスライド板の部分を示す断面図
【符号の説明】
1 テーブル
2 アーチ
3 スライド板
4 クランプ機構
5 ヒータ
9 凹段部
12 溶着防止用バー

Claims (1)

  1. スライド板の下部に、該スライド板とでバンドを固持するクランプ機構と、スライド板の下部に対して進退動自在となるヒータを設け、被梱包物を巻き締めたバンドの両端をスライド板の下部で加熱加圧によって溶着するようにした梱包機において、スライド板の上面に凹段部を設け、ヒータ側に、スライド板の下部に対する前進動時に凹段部内に進入し、スライド板にバンドが巻着しているとき先端がバンドに当接してヒータがスライド板の下部溶着位置に進入するのを阻止する溶着防止用バーを設けたことを特徴とする梱包機のバンド溶着防止装置。
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