JP3752583B2 - マントルヒータ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マントルヒータ及びその製造方法に係り、詳しくは精密器具や装置などの直管や曲管の配管、継手、弁など(以下、配管という)の他、その精密器具や装置自体の保温または加熱を目的として用いるマントルヒータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種、配管の保温または加熱を目的とするマントルヒータとして、例えば、シリコン製のものが知られている。このシリコン製のマントルヒータにおいて、発熱体はシリコンラバーで被覆されている。つまり、このマントルヒータは、円筒状に形成され、その長手方向にスリットが設けられ、これを配管に装着させるには、スリットを広げて配管を押し込むようにして被覆させている(特許第2936155号公報参照)。
【0003】
また、ガラス繊維クロスからなるカバー体で配管を装着させる構成のマントルヒータが知られており、このカバー体を配管に被覆させた上、端部に設けたベルトを介して配管を被覆させている(特開平10−64667号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
対象となる配管は直管に限らず、曲管や異形の場合もある。直管の場合は、上記円筒構成或いはカバー体構成とも実際の使用にはそれ程の問題はない。しかし、曲管や異形の場合には、円筒構成のものは使用できない問題がある。また、カバー体構成のものは、直管或いは異形でも対応できるが、カバー体と対象となる配管とは、密に密着させないと、均一に熱を伝えることができず、熱効果のロスが問題となる。
【0005】
上記従来例のマントルヒータには、次のような問題点がある。
▲1▼ 特に、シリコンラバーで構成されているものは、200℃程度までの耐熱性しかない。
▲2▼ 帯電性があり、埃や塵が付着しやすい。
▲3▼ 配管に密着している部分は、シロキサンガスが発生して配管の金属部分を腐食させる。
▲4▼ 可撓性に欠け、配管に取付けるのに手間や時間などを要し、簡便さに欠けている。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高い耐熱性があり、低発塵性に優れ、かつ可撓性に優れて配管への密着性が高く、均一な熱効果を発揮し得るマントルヒータと、加工性に優れたマントルヒータの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の発明は、対象物の外観形状に対応する形状に加工した柔軟性を有する合成樹脂シートからなる内層材と外層材との間に、発熱体を取り付けた無機繊維製シートと断熱性を有する不燃難燃繊維製シートを介在させて積層状に構成されてなることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、合成樹脂シートは、ふっ素樹脂からなることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、内層材及び外層材の周縁部は、縫合または熱溶着により接合されてなることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、対象物の外観形状に対応する形状に内層材及び外層材の合成樹脂シートを加工し、次いで、発熱体を取り付けた無機繊維製シートと断熱性を有する不燃難燃繊維製シートを内層材及び外層材の間に介在させ、最後に、内層材及び外層材の周縁部を接合させて積層状に構成されてなることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、内層材及び外層材の周縁部は、熱溶着により接合されることを特徴とする。
【0012】
【作用】
第1の発明によれば、耐熱性があり、低発塵性にも優れ、かつ可撓性により配管への密着性が高くなり、均一な熱効果が発揮できる。
【0013】
第2の発明によれば、合成樹脂シートはふっ素樹脂であるため、耐熱性に優れ、埃や塵などが付着しにくい低発塵性がある。
【0014】
第3の発明によれば、内層材及び外層材の周縁部は縫合または熱溶着であるため、その加工が容易であるし、接合が完璧となり、熱効果のロスがない。
【0015】
第4の発明によれば、その加工工程が簡素化され、しかも密着性を高めた加工性の良いマントルヒータが作製できる。
【0016】
第5の発明によれば、その周縁部の接合が容易となり、熱効果のロスがなく密着性を高めたマントルヒータが作製できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明に係るマントルヒータの構成部材の1例を示す拡大断面図、(b)は、同2例を示す拡大断面図、図2は、本発明を直管に使用した例を示す一部切欠斜視図、図3は、図2と異なる例を示す一部切欠斜視図、図4は、本発明を曲管に使用した例を示す一部切欠斜視図、図5は、同内層材を示す斜視図、図6は、同外層材を示す斜視図、図7は、同不燃難燃繊維製シートを示す斜視図、図8は、同発熱体の例を示す斜視図である。
【0018】
図1〜図3に示すように、本発明に係るマントルヒータ10の構成部材11は、内層材100と外層材200との間に、発熱体300を取り付けた無機繊維製シート303と不燃難燃繊維製シート400が介在され、これら構成部材11は、一体的或いは単に重ね合わせて積層状に構成されている。
【0019】
詳しくは、内層材100及び外層材200は、ふっ素樹脂としてPTFE(ポリテトラフォルオロエチレン),PFT(テトラフォルオロエチレン−パ−フォルオアルコキシェチレン共重合体),FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などが好ましく、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン),ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体),ECTFE(クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体),PVDF(ポリビニリデンフロライド)なども使用できる。
【0020】
さらに、この内層材100及び外層材200として、上記以外にポリアミド,ポリカーボネイト,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,変性ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンサルファイド,ポリサルホン,ポリエーテルサルホン,ポリアリレート,ポリエーテルエーテルケルトン,ポリフタエミド,ポリイミド,ポリエーテルイミド,ポリメチルペンテンなどの熱可撓性樹脂も使用できる。
【0021】
発熱体300は、図1(a)に示す断熱クロス301に絶縁被覆された発熱線302を無機繊維製シート303のガラスクロスに縫い糸304で縫い付けられたり、図1(b)の示すようにシート状発熱体305など所定の形状や容量を有するものが使用できる。また、発熱線302には、リード線306を介して電源接続用コネクタ307が取り付けられている。なお、この発熱体300は、次の不燃難燃繊維製シート400に取り付けてもよい。
【0022】
不燃難燃繊維製シート400は、無機繊維製シート,有機繊維製シートとを使用でき、無機質繊維製シートは、ガラスファイバー,セラミックファイバー,シリカファイバーなどの無機繊維材にニードル加工を施してコロイダルシリカ,アルミナゾル,ケイ酸ソーダなどの無機質バインダーでシート状に形成させたものが好ましい。また、アラミド,ポリアミド,ポリイミドなどの有機繊維製シートも使用できる。
【0023】
また、内層材100の両周縁部101,102は、これらを当接させた上、縫合や熱溶着などにより接合させて、上記の発熱体300の無機質繊維製シート303、不燃難燃製繊維シート400及び外層材200を内層材と一体化させてある。
【0024】
このような構成のマントルヒータ10を直管20に被覆させるには、直管20の径に対応させて円筒状のマントルヒータ10をスリット12を拡げて被覆させた後、この接合部103,104を当接させて、例えば、マジックテープ105,106を介して固定させているが、この固定手段としてホックやバックルなどの器具、ベルト類など公知の固定手段を採用できる。
【0025】
図3に示す例は、マントルヒータ15が略半円筒状に2つの構成体16,16に形成されている。このため、2つの構成体16,16を使用して直管20を被覆するために接合部103,104がそれぞれ2つある他は、上記例と同じ構成である。
【0026】
次に、図4〜図8に示す曲管21を被覆するマントルヒータ17の例を説明する。このマントルヒータ17は、2つの構成体18,18からなっている。つまり、使用する曲管21の外観形状に対応させてプレス加工により所定の曲がりを有し、かつ略半円筒状をなす図7、図8に示す2つの内層材110,110及び外層材210,210にそれぞれ成形されている。
【0027】
さらに、無機繊維製シート310及び不燃難燃繊維製シート410は、上記内層体110,外層体210と同様に所定の曲がりを有し、かつ略半円筒状をなす2つの構成体311,411に成形されている。従って、その接合部103,104を重ね合わせてマジックテープ105,106を介して固定させている。この固定手段として、上記するようにホックやバックルなどの器具、ベルト類など公知の固定手段を採用できる。また、曲管21の場合、図示省略するが、図2に示すようにスリット12を有する構成の所定の曲がり形状のマントルヒータ17が構成でき、このスリットを広げて曲管21に被覆させること勿論のことである。
【0028】
このような構成からなるマントルヒータ17は、上記マントルヒータ10,15と同様に内層材110、外層材210及び無機質繊維製シート410は、一体的或いは単に重ね合わされて積層状に構成されている。
【0029】
このマントルヒータ17を曲管21に被覆させるには、一方の構成体18を曲管21に被覆させると共に、他方の構成体18を被覆させていない曲管21に被覆させて、両者の接合部103,104をそれぞれ当接させて、マジックテープ105,106を介して固定させている。
【0030】
【実施例】
ここで、本発明の実施例を説明する。マントルヒータ10,15は、内層材100及び外層材200として、ふっ素樹脂のPTFEを厚み0.1〜5mm程とし、好ましくは、0.5〜1mmのシート状に成形させ、無機繊維製シート400として、ガラス繊維を厚み4〜10mmのシート状に形成させたものを用い。また、発熱体300は、断熱クロス301に絶縁被覆された発熱線302を無機繊維製シート303のガラスクロスに縫い糸304で縫い付けられているものを用いた。
【0031】
このマントルヒータ10,15によると、ふっ素樹脂の内層材100及び外層材200で構成され、また、ガラス繊維の無機繊維製シート400を有するために、250℃程の温度に耐え得る高い耐熱性があり、低摩擦係数に優れ、かつ可撓性があるために配管への密着性が高く、均一な熱効果を発揮できる。
【0032】
さらに、マントルヒータ17の場合は、内層材110及び外層材210を屈曲形状に成形させ、無機繊維製シート310,410も同様にに屈曲形状を形成されている。従って、上記と同じ作用があり、特に、無機繊維製シート310,410において、屈曲形状が形成されているので、曲管17の屈曲部への密着性が格段と向上し、均一な熱効果を発揮できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、上記であれば、次のような効果がある。
▲1▼ 本発明のマントルヒータは、その外層材が合成樹脂シートのフッ素樹脂で構成されているため、高い耐熱性があり、低発塵性に優れ、不要なダストを発生しない。従って、このマントルヒータは、クリーンルーム内においても使用することができる。
▲2▼ 本発明のマントルヒータは、その内層材及び外層材が柔軟性を有する合成樹脂シートのフッ素樹脂で構成されているため、可撓性に優れて配管への密着性が高くなり、均一な熱効果が発揮できる。
▲3▼ 本発明のマントルヒータは、その接合部を縫合または熱溶着させているため、熱のロスがなく、熱効果が発揮できる。
▲4▼ 本発明のマントルヒータは、その内層材及び外層材の周縁部を縫合または熱溶着できるため、的確な接合ができ、均一な熱効果が発揮できる。
▲5▼ 本発明のマントルヒータは、対象物たる配管の外観形状に対応する形状に内層材及び外層材を加工し、また、この形状に合わせて発熱体を取り付けた無機繊維製シートを加工することにより作製できるため、その加工が容易であり、工期も短縮でき、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明に係るマントルヒータの構成部材の1例を示す拡大断面図であり、(b)は同2例を示す拡大断面図。
【図2】 本発明を直管に使用した例を示す一部切欠斜視図。
【図3】 異なる例を示す一部切欠斜視図。
【図4】 本発明を曲管に使用した例を示す一部切欠斜視図。
【図5】 同内層材を示す斜視図。
【図6】 同外層材を示す斜視図。
【図7】 同不燃難燃繊維製シートを示す斜視図。
【図8】 同発熱体を示す斜視図。
【符号の説明】
10,15,17 マントルヒータ
20 直管
21 曲管
100,110 内層材
200,210 外層材
300 発熱体
400,410 不燃難燃繊維製シート
Claims (5)
- 対象物の外観形状に対応する形状に加工した柔軟性を有する合成樹脂シートからなる内層材と外層材との間に、発熱体を取り付けた無機繊維製シートと断熱性を有する不燃難燃繊維製シートを介在させて積層状に構成されてなることを特徴とするマントルヒータ。
- 合成樹脂シートは、ふっ素樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のマントルヒータ。
- 内層材及び外層材の周縁部は、縫合または熱溶着により接合されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のマントルヒータ。
- 対象物の外観形状に対応する形状に内層材及び外層材の合成樹脂シートを加工し、次いで、発熱体を取り付けた無機繊維製シートと断熱性を有する不燃難燃繊維製シートを内層材及び外層材の間に介在させ、最後に、内層材及び外層材の周縁部を接合させて積層状に構成されてなることを特徴とするマントルヒータの製造方法。
- 内層材及び外層材の周縁部は、熱溶着により接合されることを特徴とする請求項4記載のマントルヒータの製造方法。
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