JP3752560B2 - 既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造及びその築造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、地下室を有する既存建物を取り壊して、既存地下室上に新たに建物を構築するときの基礎構造及びその築造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既存構築物を解体して、その場所に新たに構造物を構築する際は、地下構造物を全部撤去しなければならず、多大な費用が発生している。特に、地下室のある建物では地下部の撤去が困難であり、建て替えを断念する場合も少なくない。それでも地下部の基礎スラブが十分な鉛直耐力を有している場合は、既存建物の地下部分の外壁を山留め壁として残して解体し、既存の基礎スラブに新しい建物を支持させるようにすればよい。
【0003】
しかし、新しく建てる建物に地下室が無い場合は、既存建物の地下外壁と基礎スラブを残して解体した後、良質土で埋め戻して新規建物の支持地盤とするのが一般的であるが、この場合でも新規建物の荷重が大きくて、埋め戻し土で支持させることができないときは、杭や地盤改良を施す必要がある。
【0004】
図6はこのような杭や地盤改良が施された従来の基礎構造を示しており、1は既存建物の地下外壁、2は既存建物の地下部の基礎スラブを示す。これは既存建物の地下外壁1と基礎スラブ2を残して解体したものである。この地下外壁1で囲まれた内部は、良質土で埋め戻されているが、新規建物の荷重が大きく、埋め戻し土で支持させることができないのでコラム7や、既製コンクリート杭71、場所打ち杭72等の基礎杭が施されている状況を示している。なお、図6は模式的に示したものであり、コラムや既製コンクリート杭や場所打ち杭が同一構造物に使用されることは一般にはない。8は新規建物の基礎スラブである。
【0005】
このような建物を支持させる基礎工法としては、(1)既製コンクリート杭による杭基礎、(2)場所打ち杭による杭基礎、(3)深層混合処理工法によるコラム(柱状体)地盤改良基礎の3方法が考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)の既製コンクリート杭による場合は、周辺環境から打ち込み杭の使用は不可能であり、埋め込み杭の施工方法によらざるを得ない。既存の基礎スラブと既製コンクリート杭とでは、掘削装置先端部の構造上基礎スラブと杭先端根固め部との取り合い(接続)がうまくいかないという課題がある。
(2)の場所打ち杭による場合は、アースドリル工法が最も安価であるが、やはり掘削装置先端部の構造上の問題があり、その上に基礎スラブ近傍の掘削、土砂排出が困難であり、大量のスライムが残るという課題がある。
【0007】
そこで、(3)の深層混合処理工法によるコラム地盤改良基礎で行なおうとするものであるが、この(3)の深層混合処理工法によるコラム地盤改良基礎の場合も、オーガ等の掘削装置の構造上、コラム先端部を基礎スラブに密着させることができない課題がある。
【0008】
深層混合処理工法によるコラムの造成には、図9に示すようなオーガ10が使用される。このオーガ10は、中空の掘削ロッド11の先端に、掘削撹拌翼12、共回り防止翼13、撹拌翼14が設けられると共に、掘削ロッド11の先端近傍にはセメントミルクの吐出口16が設けられており、掘削ロッド11の中空部がセメントミルクの通路となり、この掘削ロッド11の中空部を通りセメントミルクは吐出口16より吐出される。そして、掘削ロッド11の中空部にセメントミルクを供給し、吐出口16よりセメントミルクを吐出させつつオーガ10を回転させながら掘進すると、掘削撹拌翼12で掘削された地盤土と吐出されたセメントミルクが、撹拌翼14及び共回り防止翼13の働きで撹拌・混合され、所定深度に達したら、オーガ10を逆回転させて徐々に引き揚げると、ソイルセメントコラムが造成される。このオーガ10の引き揚げ時には、セメントミルクを供給させても、停止させてもよい。
【0009】
しかしながら、オーガ10の掘削ロッド11の先端には、掘削撹拌翼12より先行する先行ビット15が設けられており、図10に示すように掘削撹拌翼12の掘削爪121の根元と先行ビット15の先端との間には、間隔hが生ずる。従って、このオーガ10を使用してソイルセメントコラムを造成しようとすると、基礎スラブ2にオーガ10の先行ビット15の先端が当たってしまうために、造成されるソイルセメントコラムは、間隔hの範囲において基礎スラブに密着することはできない。即ち、造成されたソイルセメントコラムは、基礎スラブとの間に、間隔hをおいて造成されてしまうのである。譬え先行ビット15がなくとも、掘削撹拌翼12には掘削爪121があるため、ソイルセメントコラムの全底面を基礎スラブ2に密着させることは不可能である。
【0010】
また、図11に示すように既存建物が既製コンクリート杭や場所打ち杭等の支持杭70で支持されている場合は、地盤が沈下して基礎スラブ2の下方に空洞22が形成されていることがある。
このようなときに、既製コンクリート杭や、場所打ち杭を新規建物の基礎に使用すれば、それらの杭配置が既存の杭70基礎上に限定されるため、実質上新規建物の設計が不能である。もし、新規建物の既製コンクリート杭あるいは場所打ち杭を任意の位置に配置すれば、既存建物の基礎スラブ2に集中応力が発生して基礎スラブ2が破壊し、新規建物が傾斜したり、転倒する危険性がある課題がある。
【0011】
この発明は、このような点に鑑み前記課題を解決し、新規建物の荷重をコラムから、解体して残した既存建物の基礎スラブに確実に伝達することができ、かつ深層混合処理工法において容易に築造することができる、既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造及びその築造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明の既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造は、地下室を有する既存建物が、少なくとも地下部の地下外壁と基礎スラブを残して解体され、その基礎スラブ上に流動化処理土が打設され、その流動化処理土の上に、新規建物の基礎スラブ底面位置近傍まで土砂が埋め戻されることにより、地下外壁で囲まれた内部に新規地盤が造成され、ソイルセメントコラムがその新規地盤に浅くとも流動化処理土に到達するように造成されている。
【0013】
ここで、流動化処理土とは、土又は土砂などの被処理土をセメント及び水とを地上で混練して流動化し易くしたソイルセメント状のものであり、これを既存建物の地下室であった基礎スラブ上に流し込むことができるものである。そして、この流動化処理土が硬化した後に土砂が埋め戻されることにより、地下外壁で囲まれた内部に新規地盤が形成され、その新規地盤に浅くとも流動化処理土に到達するソイルセメントコラムが造成される。
これにより流動化処理土の強度をソイルセメントコラムとほぼ同程度のものとすることができるため、流動化処理土の存在により新規建物の荷重を造成したソイルセメントコラムから解体して残した既存建物の基礎スラブに伝達することができるのである。従って、流動化処理土をソイルセメントとし、コラムをソイルセメントとすると、両者の強度は10〜50kgf/cm2程度で、ほぼ同一レベルであるため、新規建物の荷重をコラムから既存建物の基礎スラブに確実に伝達することができる。因みに、既製コンクリート杭や場所打ち杭では、コンクリート強度が200〜1000kgf/cm2レベルであるため、強度が10〜50kgf/cm2程度である流動化処理土が弱点となってしまい、新規建物の荷重を既存建物の基礎スラブに伝達させることはできない。図7は基礎スラブ2上に流動化処理土4を打設し、その上に良質土(土砂)5を埋め戻した新規地盤3に、根固め部7aを存在させ既製コンクリート杭71を埋設した従来例であり、図8は新規地盤3に場所打ち杭72を造成した従来例である。このように新規地盤3が基礎スラブ2上に流動化処理土4を打設し、その上に良質土(土砂)を埋め戻したものであっても、既製コンクリート杭71や場所打ち杭72では、流動化処理土4との強度にレベル差がありすぎて、流動化処理土4が弱点となってしまい、新規建物の荷重を既存建物の基礎スラブに伝達させることができないのである。
【0014】
また、新規建物は、基礎スラブ上に流動化処理土が打設され、その上に土砂が埋め戻されて造成されているため、深層混合処理工法においてもオーガが流動化処理土中にまで掘進でき、その結果コラム先端も流動化処理土内に埋設することが可能となり、両者が一体化する。流動化処理土の打設高さは、少なくとも図10に示すh以上であればよい。しかし、それではコンクリート塊や壁の残部等があれば目的を達しないので、通常は0.5〜1m程度とする。流動化処理土の高さを大きくするとコストが増大するので、1m程度であれば目的を達成できる。
【0015】
また、地下外壁中に新規建物の基礎スラブを構築する場合は、通常地下外壁と基礎スラブの間隔は狭く、埋め戻し土の転圧、締固めがうまく行かないことが考えられる。そうなれば地震時に新規建物の水平変位が大きくなり、危険である。従って、このような場合には、新規建物の基礎スラブ底面位置以浅には、流動化処理土が充填される。これにより新規建物の基礎スラブと既存建物の地下外壁から周辺地盤に確実に伝達されるため、地震に対しても強固な構造となる。
また、ソイルセメントコラムの下端部が基礎スラブ上に打設された流動化処理土中に位置すると、新規建物の荷重をコラムから既存建物の基礎スラブに、より一層確実に伝達することができる。
さらに、地下外壁に、排水孔が設けられていると、埋め戻した土砂5内に浸入した水を排水することができ、環境問題が発生する恐れのある滞水層の形成を阻止でき、かつ地震時等における液状化防止を図ることができる。
【0016】
また、この発明の基礎構造の築造方法は、地下室を有する既存建物を、少なくとも地下部の地下外壁と基礎スラブを残して解体し、その基礎スラブ上に流動化処理土を打設し、その流動化処理土の上に新規建物の基礎スラブ底面位置近傍まで土砂で埋め戻して地下外壁で囲まれた内部に新規地盤を造成し、その新規地盤に深層混合処理工法で浅くとも流動化処理土に到達するソイルセメントコラムを造成することを特徴とする。
【0017】
この築造方法によれば、前記したようなこの発明の基礎構造を、深層混合処理工法で容易に築造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面と共に詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態を模式的に示す断面説明図である。
【0019】
同図において、1は地下外壁、2は既存建物の基礎スラブである。この地下外壁1及び基礎スラブ2は、地下室を有する既存建物を地下外壁1と基礎スラブとを残して解体されたものである。この基礎スラブ2上には、流動化処理土(例えば、ソイルセメント)4が略1mの高さ打設され、その流動化処理土4の上に良質の土砂5が埋め戻され、地下外壁1で囲まれた内部に新規地盤3が造成され、この新規地盤3に流動化処理土4に貫入しているソイルセメントコラム7が造成されている。
【0020】
図9及び図10に示すように、この深層混合処理工法において使用するオーガ10は、中空の掘削ロッド11の先端に先行ビット15、その上方に掘削撹拌翼12、共回り防止翼13及び撹拌翼14が設けられると共に、掘削ロッド11の先端近傍にセメントミルクの吐出口16が設けられており、中空の掘削ロッド11の中空部がセメントミルクの通路となり、この掘削ロッド11の中空部を通りセメントミルクは吐出口16より吐出されるものであり、コラムは、掘削ロッド11の中空部にセメントミルクを供給し、吐出口16より吐出させつつオーガ10を回転させながら掘進すると、掘削撹拌翼12で掘削された新規地盤土と吐出されたセメントミルクが、共回り防止翼13及び撹拌翼14の働きで撹拌・混合され、所定深度に達したらオーガを逆回転させつつ徐々に引き揚げることによって造成されるものである。
【0021】
ソイルセメントコラム7は上記のようなオーガ10を使用して新規地盤3に造成されるが、このソイルセメントコラム7は、図1に示すように流動化処理土4に達し、先端は流動化処理土4に埋設して造成されることが、両者が一体化し新規建物9の荷重をソイルセメントコラム7から基礎スラブ2に確実に伝達することができるので好ましい。そのためには、オーガ10の少なくとも先端部分は、流動化処理土4中に回転させながら掘進させることができなければならない。
【0022】
また、流動化処理土4は、この存在により新規建物9の荷重をソイルセメントコラム7から既存建物の基礎スラブ2に伝達することができ、かつ強度がソイルセメントコラム7とほぼ同一程度のものがよい。
【0023】
また、新規建物9の基礎スラブ8の底面位置以浅81は、流動化処理土で充填する。これにより地震時の新規建物の貫性力(水平力)を地下外壁2を介して周辺地盤に確実に伝達する。
なお、地下外壁1の地下水位近傍には排水孔6を設けてもよい。これにより地下外壁1で囲まれた範囲に水が浸入しても排水が可能となり、土砂5が地表まで滞水層となり環境問題を発生させることを防ぐとともに、地震時等における液状化が防止できるので好ましい。
【0024】
また、図11に示すように既存建物が既製コンクリート杭や場所打ち杭等の支持杭70で支持されている場合は、地盤が沈下して基礎スラブ2の下方に空洞22が形成されていることがある。
このようなときに、既製コンクリート杭や、場所打ち杭を新規建物の基礎に使用すれば、それらの杭配置が既存の杭70基礎上に限定されるため、実質上新規建物の設計が不能である。もし、新規建物の既製コンクリート杭あるいは場所打ち杭を任意の位置に配置すれば、既存建物の基礎スラブ2に集中応力が発生して基礎スラブ2が破壊し、新規建物が傾斜したり、転倒する危険性がある。
ところが、前記この発明のような新規建物の基礎に流動化処理土4とソイルセメントコラム7を使用すれば、新規建物の荷重を既存建物の基礎スラブ2全体に均等に伝えることができるため、基礎スラブ2に作用する接地圧を小さくでき、たとえ既存建物の基礎スラブ2下に、図11に示すような空洞22が形成されていても新規建物9が傾斜したり転倒することがない。従って、新規建物9は、既存建物の杭70配置に関係なく、任意にソイルセメントコラム7を配置できるため、新規建物の設計の自由度が高いというメリットもある。
【0025】
流動化処理土4とソイルセメントコラム7を組み合わせた基礎構造にしても、既存建物の基礎スラブ2に作用する接地圧が大きくなり、基礎スラブ2の破壊が懸念されるときは、基礎スラブ2に流動化処理土4の打設前に、図12に示すように基礎スラブ2下の空洞22セメントミルクやモルタル等(以下、硬化性材料という)23を注入して、空洞22を埋めておけばよい。そうすれば、後述の支持杭のない既存建物の例と同様な工程で新規建物の基礎を構築することができる。
【0026】
図12は基礎スラブ2の下に形成された空洞22に硬化性材料23を注入する説明図である。この硬化性材料23の注入は、基礎スラブ2底面に流動化処理土を打設する前に、あらかじめ基礎スラブ2下の空洞22に注入して埋めておく。一般的には、基礎スラブ2にコアボローリング等で注入孔24を開け、そこから硬化性材料23をポンプ25で注入する。この時、空洞22中の空気や水を抜くために、注入孔24の他に1本乃至複数の空気抜き孔26を形成しておく。
使用する硬化性材料(セメントミルクやモルタル等)23の強度は、新規建物9の荷重に耐えるだけの強度にしておく必要がある。また、注入する硬化性材料は膨張性のものを使用すると、空洞を確実に充填することができる。
【0027】
次に、上記基礎構造の築造方法を図2乃至図5を使用して説明する。図2は地下室21を有する既存の建物20を示し、地下室21は地下外壁1及び基礎スラブ2等で構成されている。この地下室21を有する既存の建物20は、図3に示す状態を経て図4に示すように地下室の地下外壁1と基礎スラブ2を残して解体する。
【0028】
次にこの解体されて残された地下外壁1及び基礎スラブ2における基礎スラブ2上に、まず図5(a)に示すように流動化処理土4を1mの高さ打設する。
次に図5(b)に示すように前記流動化処理土4の上に、新規建物の基礎スラブ底面位置まで良質の土砂5を埋め戻す。ここで埋め戻す土砂5を、新規建物の基礎スラブ底面位置近傍までとしたのは、土砂5の上に新規建物の基礎スラブを打設するからであり、その基礎スラブの厚さ分Lだけ残すためである。また、割ぐり、捨てコンクリート等の地業を考慮したためでもある。この土砂5と流動化処理土4とで新規地盤3を構成する。
【0029】
最後に図5(c)に示すように前記のように造成された新規地盤3に、深層混合処理工法で流動化処理土4に到達、先端が埋設されたソイルセメントコラム7を造成する。
このソイルセメントコラム7の造成は、前記した図9に示すオーガ10を使用して行なうことは前記した通りである。要するに、オーガ10の中空の掘削ロッド11の中空部にセメントミルクを供給し、吐出口16より吐出させつつオーガ10を回転させながら掘進すると、掘削撹拌翼12で掘削された新規地盤3の土(土砂5または流動化処理土4)と吐出されたセメントミルクが、共回り防止翼13及び撹拌翼14の働きで撹拌・混合され、流動化処理土4内の所定深度に達したら、オーガ10を逆回転させながら引き揚げることにより先端が流動化処理土4に埋設されたソイルセメントコラム7が造成される。図5(c)ではソイルセメントコラム7の先端部が流動化処理土3中に深く到達しているが、ソイルセメントコラム7の先端部が少なくとも掘削撹拌翼12までの高さ程度(厳密には掘削爪121までの高さ程度)流動化処理土3中に貫入していればよい。ソイルセメントコラムの掘削撹拌装置には図9に示すもの以外の構造もあるが、いずれにしても最先端部の構造は似たようなものであり、先行ビット15状のものが必ず存在する。しかし、先行ビット15等の高さ部分(図10でhと示した部分)もすでに流動化処理土であるソイルセメントが存在するので、この部分もソイルセメントとなる。
【0030】
しかして、新規建物9の基礎スラブ8の厚さ分Lだけ残した新規地盤3上には、図1に示すように新規建物9の基礎スラブ8が打設されると共に、新規建物9が建設される。そして、新規建物9の基礎スラブ8の底面位置以浅における基礎スラブ8と地下外壁1との間81には、流動化処理土が打設される。図1における場合のように新規建物9の1階部分と地下外壁1の高さが異なるときは、埋め戻し土が詰められる。
なお、この発明は、前記実施の形態に制限されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が許容される。例えば、コラム(柱状体)7は、一本づつ間隔をおいて造成しても、複数本柱列状もしくは格子状に連結して設けてもよい。図1及び図5(c)では複数本を柱列状に連結した場合を示している。また、対向する地下外壁間に補強材を架設してもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、この発明によれば次のような効果を奏する。
(1)この発明の既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造は、地下室を有する既存建物が、少なくとも地下部の地下外壁と基礎スラブを残して解体され、その基礎スラブ上に流動化処理土が打設され、その流動化処理土の上に、新規建物の基礎スラブ底面位置近傍まで土砂が埋め戻され、地下外壁で囲まれた内部に新規地盤が造成され、この新規地盤に浅くとも流動化処理土に到達するソイルセメントコラムが造成されている。従って、流動化処理土とソイルセメントコラムの強度は、10〜50kgf/cm2程度で、ほぼ同一レベルであるため、新規建物の荷重をコラムから既存建物の基礎スラブに確実に伝達することができる。
【0032】
(2)また、流動化処理土4を基礎スラブ2の全面に打設するため、任意の位置にソイルセメントコラム7を打設することが可能となり、新規建物の設計の自由度が増大する。
【0033】
(3)また、新規建物は、既存建物の基礎スラブ上に流動化処理土が少なくとも1mの高さ打設され、その上に土砂が埋め戻されて造成されているため、深層混合処理工法におけるオーガが、流動化処理土中にまで掘進でき、コラム先端を流動化処理土内に埋設して造成することが可能となる。
【0034】
(4)また、新規建物の基礎スラブ底面位置以浅には、流動化処理土が充填される。これにより地震時の新規建物の貫性力(水平力)を地下外壁を介して周辺地盤に確実に伝達することができるので、耐震性に優れた構造となる。
【0035】
(5)地下外壁の地下水位近傍に、排水孔が設けられていると、浸入した水を排水することができ、埋め戻した土砂が地表まで滞水層となり環境問題を発生させることを防ぐとともに、地震時における液状化防止を図ることができる。
【0036】
(6)基礎スラブに作用する接地圧を小さくすることができるため、既存建物が支持杭で支持されて基礎スラブ下に空洞が形成されているような場合でも、新規建物を安全に支持することができる。
【0037】
(7)既存建物の基礎スラブ下の空洞をセメントミルクやモルタル等の硬化性材料で充填してやれば、既存建物の基礎スラブがより大きな接地圧に耐えることができるようになる。
【0038】
(8)従って、新規建物の柱位置を既存建物の柱位置に合わせる必要がなく、この点からの設計の自由度も確保できる
【0039】
(9)また、この発明の既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造の築造方法は、地下室を有する既存建物を、少なくとも地下部の地下外壁と基礎スラブを残して解体し、その基礎スラブ上に流動化処理土を打設し、その流動化処理土の上に新規建物の基礎スラブ底面位置近傍まで土砂で埋め戻して地下外壁で囲まれた内部に新規地盤を造成し、その新規地盤に深層混合処理工法で浅くとも流動化処理土に到達するソイルセメントコラムを造成するものであり、また、前記基礎構造上に新規建物を建設し、新規建物の基礎スラブ底面位置以浅に、流動化処理土を打設するものである。従って、この発明の築造方法によれば、深層混合処理工法において容易に施工できるため、この発明の基礎構造を容易に築造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を模式的に示す断面説明図である。
【図2】この発明の既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造の築造方法の工程を示す一部断面説明図である。
【図3】この発明の築造方法の次の工程を示す斜視図である。
【図4】この発明の築造方法の更に次の工程を示す斜視図である。
【図5】この発明の築造方法のまた更に次の工程を示す断面説明図で、工程順(a)(b)(c)に示している。
【図6】従来例を示す断面説明図である。
【図7】既製コンクリート杭の場合の従来例を示す拡大断面説明図である。
【図8】場所打ち杭の場合の従来例を示す拡大断面説明図である。
【図9】深層混合処理工法で使用するオーガの一例を示す正面図である。
【図10】深層混合処理工法で使用するオーガの使用状態を示す正面図である。
【図11】既存建物が支持杭で支持されて基礎スラブ下に空洞が形成されている状態を示す説明図である。
【図12】既存建物が支持杭で支持されて基礎スラブ下に形成されて空洞に硬化性材料を注入する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 地下外壁
2 既存建物の基礎スラブ
3 新規地盤
4 流動化処理土
5 埋め戻した土砂
6 排水孔
7 ソイルセメントコラム
7a 根固め部
8 新規建物の基礎スラブ
9 新規建物
10 オーガ
11 中空の掘削ロッド
12 掘削撹拌翼
13 共回り防止翼
14 撹拌翼
15 先行ビット
16 吐出口
20 既存建物
21 既存建物の地下室
71 既製コンクリート杭
72 場所打ち杭
81 新規建物の基礎スラブ底面位置以浅の流動化処理土を打設する部分
121 掘削爪
Claims (5)
- 地下室を有する既存建物が、少なくとも地下部の地下外壁と基礎スラブを残して解体され、その基礎スラブ上に流動化処理土が打設され、その流動化処理土の上に、新規建物の基礎スラブ底面位置近傍まで土砂が埋め戻されることにより、地下外壁で囲まれた内部に新規地盤が造成され、ソイルセメントコラムがその新規地盤に浅くとも流動化処理土に到達するように造成されていることを特徴とする既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造。
- 新規地盤の新規建物の基礎スラブ底面位置以浅には、流動化処理土が充填されていることを特徴とする請求項1記載の既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造。
- 前記地下外壁の地下水位近傍に、排水孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造。
- 地下室を有する既存建物を、少なくとも地下部の地下外壁と基礎スラブを残して解体し、その基礎スラブ上に流動化処理土を打設し、その流動化処理土の上に新規建物の基礎スラブ底面位置近傍まで土砂で埋め戻して地下外壁で囲まれた内部に新規地盤を造成し、その新規地盤に深層混合処理工法で浅くとも流動化処理土に到達するソイルセメントコラムを造成することを特徴とする既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造の築造方法。
- 新規建物を建設した後、新規地盤の新規建物の基礎スラブ底面位置以浅に、流動化処理土を打設することを特徴とする請求項4記載の既存地下室上に新規建物を建設する基礎構造の築造方法。
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