JP3751283B2 - 加熱調理機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素系物質の焼結体を発熱体として用いたカーボンランプヒータ(以下カーボンヒータと略する)を備える加熱調理機に関し、特に焼き肉調理機やグリラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気エネルギーを用いて食品を加熱し調理する従来の加熱調理機として、用途に応じて種々の形態のものが広く用いられている。例えば、家庭用としては、魚等を焼くロースター、パン等を焼くオーブントースターやオーブンレンジ、焼き肉や焼き鳥用のホットプレート等がある。業務用としては、焼き肉用、焼き鳥用、ハンバーグ用等の専用調理機が市販されている。これらの加熱調理機に用いられているヒータとしては、ニクロム線ヒータ、タングステン線抵抗体を用いたハロゲンランプ等のランプタイプヒータ、SUS等の金属管に抵抗体を封入したシーズヒータ等がある。これらのヒータを用いた加熱調理機は、輻射エネルギーが十分でなかったり、ヒータの昇温速度が遅いなどの問題点がある。また輻射エネルギーが最も大きい輻射光の波長(ピーク波長)と、食品中の水分や有機物が吸収しやすい光の波長とが異なっているため、食品を直接輻射熱で加熱するためには不適当であるものが多い。
従来例の加熱調理機100の断面図を図10に示す。図において加熱調理機100の、加熱する食品106Aをのせる網106の下側で、かつ内部の側面部に4本のヒータ102が配設されている。ヒータ102は例えばニクロム線を石英ガラス管に収納したものである。ヒータ102の前面には、上部に開口107を有するように耐熱ガラス板105が取付られている。前記ヒータ102の背後には上部開口108と下部開口109を有する反射板104が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図10の構成では、上部筐体101の温度が上昇し人が接触すると火傷をする恐れが有る。
本発明はこの問題が解決された安全性の高い加熱調理機を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のうちで請求項1に記載の発明は、少なくとも第1及び第2の側面を有し上部に開口部が形成されたコンロ内箱と、該コンロ内箱を収容するコンロ外箱と、前記コンロ内箱の前記開口部に着脱自在に取り付けられる調理網と、前記コンロ内箱の内部に配設された少なくとも一つのヒータユニットを備えた加熱調理機であって、前記ヒータユニットは、ヒータハウジングと、該ヒータハウジングの内部に配設されたヒータと、前記コンロ内箱の前記第1の側面との間に所定の間隔で設けられた外側面を有し、前記コンロ内箱は、前記第2の側面を構成し上部に開口を有する側面板と、開口を有する上面板とを有し、前記コンロ外箱は、前記コンロ内箱の上部を囲む外枠を有し、前記コンロ内箱の前記側面板と前記上面板と前記コンロ外箱の前記外枠と前記コンロ外箱により第1の空間が形成される一方、前記コンロ内箱の前記第1の側面と前記ヒータユニットの前記外側面との間に第2の空間が形成され、前記上面板の開口と前記第1の空間と前記側面板の開口と前記第2の空間を連通させることにより前記上面板の開口から吸い込まれた外気を前記第1の空間と前記側面板の開口を介して前記第2の空間に流入させるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、上面板の開口から第1の空間と側面板の開口を経て第2の空間に至る空気の流れが生じてコンロ内箱の上面板とコンロ外箱の外枠を冷却する。そのため火傷の恐れのない加熱調理機を提供できる。
【0005】
また、請求項2に記載の発明は、前記コンロ内箱の上端部に設けられ、前記第2の空間に連通する開口を有するグリル板をさらに備え、前記コンロ内箱の底面に吸引用の開口を形成し、前記調理網近傍の空気を前記グリル板の開口から前記第2の空間を介して前記吸引用の開口から流出させるようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、グリル板の開口部により食品から発生する煙を吸引するので、室内の空気を汚さず良好な室内環境で食品調理ができる。また、煙を含む空気が、グリル板、コンロ内箱の上面板、コンロ外箱を冷却するので、火傷のおそれのない加熱調理機が提供できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の加熱調理機の好適な実施例について、添付の図1から図9を参照しつつ説明する。
《第1実施例》
図1は、本発明の第1実施例の加熱調理機1の要部の斜視図であり、図2は図1のII−II断面図である。各図において、左右対称に設けられた同一形状の要素には同一符号を付している。
図1及び図2において、コンロ内箱5は、側面5A、5B及び上面5Cに開口部を有しており、内部には側面5Aの開口部5Gを経て着脱できるヒータユニット20が配設されている。ヒータユニット20の外側側面20Aと、コンロ内箱5の側面5Dとの間には所定の間隔Dが設けられている。ヒータユニット20の下には、図において右方の端部が密閉された送風管3が設けられ、送風装置(図示省略)により矢印9で示す空気が管内に送られている。コンロ内箱5の上部の開口5Cの両端部には、多数の開口部6を有する着脱可能なグリル板4が乗せられている。グリル板4の内側部に調理網10が脱着できるようになされている。コンロ内箱5は、底面に吸引装置(図示省略)につながる開口部8を有し、調理網10の上の食品10Aから出て、前記グリル板4の開口6から入ってくる煙を吸引する。図2において、コンロ内箱5内の左右に配置されたヒータユニット20内のヒータハウジング2は前面の開口2Aと底面の開口36を有する。ヒータハウジング2の内部にはヒータ21、ヒータ21の下方に所定の間隔をもって配置された反射板22及び空気流を制御する制御板23がそれぞれ設けられている。ヒータハウジング2の下面の開口部2Bに密着するように、上部に開口を有する送風管3が設けられている。
【0007】
図3、図4に示すように、前記ヒータハウジング2には、密接して被せる構造の耐熱板ユニットとしての耐熱ガラスユニット30が設けられている。耐熱ガラスユニット30の前面は開口部30Aを有する。開口部30Aの下部を遮蔽するように、光を透過する耐熱板としての平板状の耐熱ガラス板31が金具39、40によって着脱可能に取り付けられている。耐熱ガラス板31は、図の上方に持ち上げると耐熱ガラスユニット30から取り外すことができる。耐熱ガラスユニット30の上部にはフィン24が設けられている。フィン24は、図2に示すように、耐熱ガラスユニット30をコンロ内箱5に組み込んだとき、グリル板4の下面に接するように取りつけられている。グリル板4の内側には調理物の食品10Aを乗せる調理網10が着脱できるように配置されており、調理網10の下面には、遮蔽板13、遮熱板14がそれぞれ取付られている。遮蔽板13は、耐熱ガラス31との間に所定の間隔を保って取りつけられており、図において、遮蔽板13の下端13Aは耐熱ガラス板31の上端31Aと同じ位置かそれより下にくるように配設されている。着脱できる構造の金属箱25が下部に配置されている。
【0008】
各要素の金属材料は、耐熱性を有するものであれば素材に制限はないが、ステンレス鋼材が酸化しにくく掃除が簡単なので最適である。また、光を透過する耐熱板としての耐熱ガラス板31は、耐熱温度が500〜600℃以上で、透明或いは半透明であればよいが、可視光線から波長が5μmまでの赤外線の透過率の良い透明な石英ガラスが最も適している。しかし、石英ガラスは高価なので、結晶化ガラス、例えば、日本電気硝子(株)製のネオセラム(登録商標)や硼珪酸ガラスであるパイレックス(登録商標)なども使用できる。また雲母板も用いうる。図3は耐熱ガラスユニット30とヒータハウジング2の組立前の状態を示す斜視図、図4は組立後の斜視図である。
【0009】
本発明の実施例の加熱調理機の重要な部分は、図3に示すように、耐熱ガラスユニット30の開口部30Aに、上部に開口部33を形成するように取りつけられた耐熱ガラス板31である。また図2に示すように、耐熱ガラス板31との間に間隔を保って取りつけられた遮蔽板13の下端13Aの位置が耐熱ガラス板31の上端31Aの位置と同じか下になるようになされた構成にある。図10に示す従来の加熱調理機では、食品106Aからの飛散物がヒータ102、反射板104に達しこれらを汚染させていたが、本実施例の構成では、飛散物が全くヒータハウジング2内に浸入しないので、ヒータ21や反射板22が汚染されず加熱特性が劣化しない。ヒータ21、反射板22がほとんど汚れないので掃除も極端に少なくてすみメンテナンスの楽な加熱調理機が実現できる。
【0010】
さらに、ヒータハウジング2、耐熱ガラスユニット30及び耐熱ガラス板31が着脱できる構成なので、ヒータ21の故障時のヒータ交換とヒータハウジング2の取り替えが簡単である。耐熱ガラス板31が汚れたときは、簡単に取り外して掃除できる。また、耐熱ガラスユニット30もはずせる構造なので清掃が容易である。耐熱ガラスユニット30上部に取りつけたフィン24がグリル板4の下面に接しているので、調理室5H内の熱い空気がコンロ内箱5と耐熱ガラスユニット30との間の空間4Aに洩れることもない。フィン24は後で説明する送風経路と吸引経路を遮断する役目も有している。
また、調理網10の下面に取りつけた遮熱板14がヒータ21からの放射光や放射熱を遮るので調理者がまぶしくなくかつ熱く感じない加熱調理機が実現出来る。
【0011】
図3及び図4を用いてヒータハウジング2及び耐熱ガラスユニット30の構成を詳細に説明する。図3は耐熱ガラスユニット30とヒータハウジング2の分解斜視図であり、組み立てる前の状態を示し、図4は組み立てた後の状態をそれぞれ示す。図3において、コの字形の金属板で作られた耐熱ガラスユニット30は図において手前の面に大きな開口部30Aを有する。開口部30Aには、耐熱ガラス板31が着脱できるように金具39、40で取付られている。耐熱ガラス板31は、上部31Aが開口部30Aを完全に遮閉せず開口部33を有するような位置に取りつけられている。耐熱ガラスユニット30にはフィン24が設けられている。
ヒータハウジング2は、金属板よりなる直方体部38の前面に開口部35を有する。ヒータハウジング2内には、2本のヒータ21が取り付け金具37で取りつけられている。図3では、図を見やすくするために、ヒータ21を取りつける金具37の周辺部が露出しているが、実際は他の部材で遮蔽され、ヒータハウジング2内を外部から遮断している。前記ヒータハウジング2の底面にも大きな開口部36が形成されている。
図4は、ヒータハウジング2に、耐熱ガラスユニット30を上部から被せて組み合わせたヒータユニット20の斜視図を示している。このようにして組み立てたヒータユニット20が図1及び図2に示すように前記コンロ内箱5内に挿入されている。
【0012】
図1に示す調理網10は、例えばステンレス製の金属板11に多数の開口12を形成している。調理網10の下面には、前記の遮蔽板13と遮熱板14がそれぞれ固着されている。開口12はステンレス板にレーザー加工等で形成してもよい。またステンレスの線材を用いて編んだ構造でも問題なく使用できる。また、調理網10は金属に限定されるものではなく、セラミックス等の耐熱材料で形成してもよい。
【0013】
《第2実施例》
図5及び図6は、本発明の第2実施例の加熱調理機のヒータユニット20と送風管3の構成を示す斜視図である。第2実施例は、ヒータユニット20の下に配置されている送風管3又は3Aに関するものであり、他の構成は前記第1実施例と同様である。
図5の(a)において、ヒータユニット20は、下部に開口部36を有している。図5の(b)は送風管3の斜視図である。図1に示すように、送風管3はヒータユニット20の下に配置されている。送風管3は、例えばステンレス板で作られた筒であり、一方の端部3Bが閉じられている。送風管3の長手方向に沿って複数の開口51、52、53、54及び55が形成されている。矢印9は図示を省略した送風装置から送風管3の開口50へ送られる空気流を示している。開口51〜55の開口面積は、空気流の入り口側の開口51が最も大きく、端部3Bに向かって順次小さくなされ、開口55が最も小さい。
【0014】
送風管3は前記ヒータユニット20の下面の開口部36に開口51〜55が合致するように密着して取付られる。矢印9の空気流は各開口51〜55から吹き出しヒータユニット20の開口部36を通りヒータハウジング2内に導入される。開口51の開口面積が最も大きく、奥へ進むに従って開口52,53,54,55と順次小さくなっているので、開口51〜55から吹き出すそれぞれの空気の量はほぼ均等になる。もし、開口面積が全て同じに形成されていると、矢印9のように入ってきた空気の圧力は奥側の方が入り口側より大きくなる。そのため開口55から出る空気の量は開口51から出る空気の量より多くなり、ヒータハウジング2内の通過する空気の量が場所によって異なって不均一になる。その結果、ヒータハウジング2内のヒータ21の冷却の度合いが異なるとともに、ヒータユニット20の上部の開口部33から出てゆく空気の量が場所により異なる。空気の量が場所により異なると、ヒータハウジング2内で熱交換された熱風の温度が場所によって不均一になるとともに食品10Aに対する当たり方も場所によって不均一になり、食品10Aの焼きむらの原因となる。本実施例のように送風管3の入り口側の開口51の面積が最も大きく、開口55に向かって各開口52〜54の面積を順次小さくすることにより、開口51〜55から出る空気の量が等しくなり、調理物に当たる熱風も均一になるので、焼きむらのない食品加工ができる。
【0015】
図5の(b)に示す送風管3の開口51〜55の形は四角形であるが、丸形や楕円形等各種形状の開口でも同じ効果が得られる。また、開口の数も5個に限定されるものではなく、調理機の寸法、ヒータハウジング2の寸法、形状等で最適な個数を選択できる。
図6は他の例の送風管3Aの斜視図である。図6において、送風管3Aは、例えばステンレス板で作られ、端部3Bが閉じられている。送風管3Aの長手方向に沿って、開口51、52、53、54、55が形成されており、その開口面積は、図5の(b)の送風管3と同じく開口51から開口55に向かって順次小さくなされている。送風管3Aでは、開口51〜55の縁部から送風管3Aの内部に向かって風の向きを変えるための板58が突出するように取付られている。板58は、風の流れ方向に対して70°から110°の範囲の所定の角度で取りつけられている。矢印9の方向に開口50から送風管3Aに入った空気流は、板58に当たり進行方向が上向きに変えられ、送風管3Aの長手方向にほぼ垂直となる。その結果、送風管3Aをヒータハウジング2に取り付けたとき、ヒータハウジング2内に入る空気の量が各場所でより均一化され、ヒータユニット20の開口部33から均一な流量の熱風が得られる。これにより焼きむらの少ない食品加工ができる。板58がない図5の(b)の送風管3では、風は垂直に上がらず斜め奥に向かって矢印51Aのように流れ、調理むらの原因になる。図6の構成では板58を開口51〜55から送風管3Aの内部へ突出させた例を示したが、開口51〜55の縁部から送風管3Aの外部に突出させてもよい。
【0016】
《第3実施例》
本発明の第3実施例を図7、図8及び図9を参照して説明する。図7は第3実施例の加熱調理機の斜視図、図8は図7のVIII−VIII断面図、図9は図7のIX−IX断面図である。図1と同じ要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図7は、図1に示すコンロ内箱5が、コンロ外箱63の中に入れられた状態を示す。コンロ外箱63は、コンロ内箱5を、調理台等に組み込むために用いられる。コンロ外箱63の上部には、コンロ内箱5の上部の周囲を囲むように、外枠80が設けられている。外枠80には上面金属板71が設けられている。コンロ内箱5の金属製の上面板7の中央付近には開口61が形成され、コンロ内箱5の側面板81の上部には開口62が形成されている。開口61及び62に連通する空間64が、上面板7,外枠80及びコンロ外箱63で囲まれて形成されている。開口75からヒータユニット20を着脱する。
加熱調理機を作動させ、コンロ内箱5の下部開口8から図示を省略した外部吸引装置で空気を吸引すると、外気がグリル板4の開口部6から吸い込まれる。また上面板7の開口61からも外気が吸い込まれ矢印69に示すように開口62を通ってコンロ内箱5内に流入する。図8に示すように、この空気流によって、グリル板4、コンロ内箱5の上面板7、グリル外箱63の上部、外枠80及び上面金属板71が冷却される。もし開口61及び62が無い場合、コンロ内箱5の上面板7、コンロ外箱63の上部、外枠80及び上面金属板71が冷却されないので長時間使用していると、高温になり人が触れると火傷をするおそれがある。本実施例では人が触れやすい上面板7及び上面金属板71が冷却されるので長時間使用しても熱くならず火傷する危険はない。
【0017】
本実施例における加熱調理機内の空気の流れについて、図8及び図9を参照して詳細に説明する。
図8において、図6を用いて詳細に説明したように、図示を省略した送風装置から、送風管3A内に送り込まれ、開口51〜55から吹き出す矢印9Aで示す空気流はヒータハウジング2内に流入する。空気流は、送風制御板23で内側に誘導されて矢印9Bに示すように流れ、反射板22、ヒータ21をそれぞれ冷却する。ヒータ21を冷却することにより熱せられた空気(熱風)は矢印9Cに示すように流れ、耐熱ガラス板31の上部の開口33と遮蔽板13との間を通り、矢印9D、9Eに示すように調理金網10の網目を通り抜けて外に出る。調理金網10の上に乗せた被調理物の食品10Aは、ヒータ21から出射し耐熱ガラス板31を透過して到達する輻射熱によって加熱されるとともに、この熱風によっても加熱される。もしこの熱風がなければ調理物の加熱効果が減少するため調理時間が長くなるとともに、熱エネルギーの損失も多くなることが実験で確認されている。
【0018】
一方、図示を省略した吸引装置で吸引口8から矢印90のように空気を吸引すると、被調理物の食品10Aから出る煙を含む調理金網10の上面近傍の空気は矢印90A、90Bに示すように、グリル板4の開口6から、耐熱ガラスユニット30の外側とコンロ内箱5の間の空間に吸い込まれる。前記空間に吸い込まれた空気は矢印90Cに示すようにコンロ内箱5の下部空間を通り、矢印90に示すように吸引口8から流出する。
図7において上面板7の開口61から空間64に矢印69で示すように流入する空気は、図9に示すように、開口62を出て矢印69A、69Bに示すように耐熱ガラスユニット30の外側とコンロ内箱5の間の空間を通り、吸引口8から流出する。
本実施例の構成によれば、加熱調理機の被調理物から発生する煙のほとんどが空気とともに吸引されて開口8から排出されるので、加熱調理機周辺の空気を汚すことがない。煙を含む空気が、グリル板4、コンロ内箱5の上面板7、コンロ外箱63を冷却するのでこれらがあまり熱くならず、これらの部分に人が触れても火傷をするおそれはない。
【0019】
次に本実施例の加熱調理機に用いるヒータ21について説明する。本発明の加熱調理機には、カーボンヒータが最適である。特に平板状の炭素系物質の焼結体よりなる発熱体を、平面部が被調理物に向くように配置したものが最も熱効率が高かった。カーボンヒータは輻射エネルギーが大きいため、伝導や対流によるよりは輻射エネルギーで被調理物を加熱する。カーボンヒータは、発熱体の表面が炭素であるため発熱体からの放射光のピーク波長が食品構成成分である有機物や水分が吸収しやすい光の波長と合致する。発熱体の表面が炭素であるため、その放射率が黒体に近く放射効率の高いヒータであり、かつ、発熱体の発熱時の色温度が1000〜1500℃であるのでそのピーク波長が有機物や水分の吸収波長とほぼ近似しており、放射エネルギーの有機物や水分への吸収が良く効率的に調理できる。熱の吸収が良く効率的に加熱ができるので省エネルギー効果がある。カーボンヒータの発熱体表面が炭素物質で形成されているため、天然の炭火で加熱するのとほぼ同じ効果があり、例えば備長炭で加熱したのとほぼ等しく美味しい味の食品加工ができる。
前記各実施例におけるヒータハウジング30内のカーボンヒータ21の設置本数は、両側に2本ずつであるが、加熱調理機のサイズに応じて変えるのが望ましい。ヒータユニット20は、調理機のサイズによっては片側だけに設けても十分にその機能を発揮できることは言うまでもない。大型の加熱調理機においては、両側だけでなく、3つの側面或いは4つの側面全部にヒータユニット20を取りつける構成の加熱調理機も実用化できる。また、コンロ内箱5及びコンロ外箱63の形状については、直方体のものについて説明したが、これに制限されるものではなく、例えば、丸形や多角形型のコンロにも十分に適用できる。
【0020】
ヒータハウジング30の前面に取りつけた耐熱ガラス板31については、透明でフラットな耐熱ガラス板が望ましいが耐熱着色ガラスも同等な耐熱特性を保持しているので使用できる。例えば、日本電気硝子(株)製の結晶化ガラス「ネオセラム」(登録商標)に着色した耐熱ガラスは、石英透明ガラスに較べると3μm以上の赤外線の透過率が減少するが、加熱調理時間に大きな変化はなかった。透明ガラス板を用いると目にまばゆいという現象があったが、着色ガラスを用いると全くまばゆくない加熱調理機が実現できるので、着色耐熱ガラスも十分利用効果がある事が実証された。前記実施例ではフラットな平板状の耐熱ガラスを用いた例について説明したが、表面に連続した凹凸を形成した耐熱ガラス板を用いると、光を散乱させるので目にまばゆくないという効果が得られる。耐熱ガラスの表面をレンズ状にして調理網10のある調理面にヒータからの放射光を集光させると調理時間の短縮に効果的である。
前記実施例では調理網に対してヒータが下側の側面に配置された構成について説明してきたが、本発明は、調理網が下でヒータが上、又は調理網の上下にヒータがある構成にも問題なく適用できる。また、業務用のコンベアー方式の調理機にも同様に適用できる。
【0021】
本発明の加熱調理機は、上面の調理網上で加熱調理する、例えば、焼き肉、焼き鳥、蒲焼き、焼き牡蠣、焼きトウモロコシ、竹輪や蒲鉾の焼成、ハンバーガーの調理、サザエやアワビの焼成、魚等の焼成等に使用できる。また炭焼き調理機にほぼ等しい美味しい食品加工ができる調理機が提供できる。炭を用いた調理機は、炭を熾すまでに長時間を要し、調理中もたえず炭火の状態を管理しなければならないが、本発明のカーボンヒータを用いた加熱調理機は、スイッチを入れてから数分後には調理ができ、その後の火力調整が簡単である。炭焼きの経験が無い調理者でも炭火焼きとほぼ同じ美味しい食品加工ができる。
本発明は、食品加工に限定されるものではなく、食品以外の物質の焼成、乾燥、保温、焙煎、熟成、殺菌、暖房等にも簡単に適用できる。例えば、電子回路基板のハンダリフロー炉、塗料の乾燥機、コーヒー豆の焙煎等々各種熱を利用する家庭用、産業用装置に適用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上の各実施例で詳細に説明したように、本発明によれば、上部金属部に開口を設けそこから外部の冷気を吸引するので、上部金属部が冷却されて温度が下がり火傷の心配が全くない加熱調理機が実現できる。これにより、従来の加熱調理機では、排気が十分でなかったため、調理機上面の金属板が熱くなり火傷をする危険性がある欠点が解消された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の加熱調理機の斜視図
【図2】図1のII−IIの断面図
【図3】本発明の第1実施例の加熱調理機のヒータユニット部の分解斜視図
【図4】本発明の第1実施例の加熱調理機のヒータユニット部の組立後の斜視図
【図5】(a)は本発明の第2実施例のヒータユニット部の斜視図
(b)は送風管の斜視図
【図6】本発明の第2実施例の送風管の他の例の斜視図
【図7】本発明の第3実施例の加熱調理機の斜視図
【図8】図7のVIII−VIIIの断面図
【図9】図7のIX−IXの断面図
【図10】従来の加熱調理機の断面図
【符号の説明】
1 加熱調理機
2 ヒータハウジング
3 送風部
4 グリル板
5 コンロ内箱
10 調理網
13 遮蔽板
14 遮熱板
21、102 カーボンヒータ
22 反射板
31、105 耐熱ガラス板
24 フィン
63 コンロ外箱
Claims (2)
- 少なくとも第1及び第2の側面を有し上部に開口部が形成されたコンロ内箱と、該コンロ内箱を収容するコンロ外箱と、前記コンロ内箱の前記開口部に着脱自在に取り付けられる調理網と、前記コンロ内箱の内部に配設された少なくとも一つのヒータユニットを備えた加熱調理機であって、
前記ヒータユニットは、ヒータハウジングと、該ヒータハウジングの内部に配設されたヒータと、前記コンロ内箱の前記第1の側面との間に所定の間隔で設けられた外側面を有し、
前記コンロ内箱は、前記第2の側面を構成し上部に開口を有する側面板と、開口を有する上面板とを有し、
前記コンロ外箱は、前記コンロ内箱の上部を囲む外枠を有し、
前記コンロ内箱の前記側面板と前記上面板と前記コンロ外箱の前記外枠と前記コンロ外箱により第1の空間が形成される一方、前記コンロ内箱の前記第1の側面と前記ヒータユニットの前記外側面との間に第2の空間が形成され、
前記上面板の開口と前記第1の空間と前記側面板の開口と前記第2の空間を連通させることにより前記上面板の開口から吸い込まれた外気を前記第1の空間と前記側面板の開口を介して前記第2の空間に流入させるようにしたことを特徴とする加熱調理機。 - 前記コンロ内箱の上端部に設けられ、前記第2の空間に連通する開口を有するグリル板をさらに備え、前記コンロ内箱の底面に吸引用の開口を形成し、前記調理網近傍の空気を前記グリル板の開口から前記第2の空間を介して前記吸引用の開口から流出させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理機。
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