JPH10286182A - 焼物用ガスコンロおよび焼物用ガス調理設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロースターや焼肉用テーブルに用いるガスコ
ンロに関し、蓄熱及び断熱作用を備え、火傷の危険がな
くかつ食品を美味く焼けるコンロを提供する。 【解決手段】 底部に開口３を備えた外筺１と、外筺１
との間に間隙８を隔てた内筺２と、内筺２に内装した
（好ましくは上下二分割された珪藻土その他の粘土質材
料からなる）断熱筒１１、１７と、この断熱筒の内側下
部に配置したガスバーナ１３と、断熱筒の中間位置に配
置した火格子１９と、外筺１と内筺２の上縁間に装架さ
れた通気孔２５を備えた縁カバー１５とを備えている。
上方に一定距離を隔てて排煙フード３３を配置する。火
格子１９の上に熔岩その他の蓄熱材２１を置き、その上
方で食品を調理する。コンロ内は高温に保持され、間隙
８を流れる空気と断熱筒１１、１７が外筺１及び縁カバ
ー１５の温度上昇を抑制し、通気孔２５から流出する空
気流はエアカーテンとなって煙の拡散を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ロースターや焼
肉用テーブルに用いるガスコンロおよび焼物用ガス調理
設備に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】肉、魚、野菜などを焼くコンロとして、
古くは七輪が広く用いられていた。七輪は珪藻土などの
粘土質の土を固めて作られており、中に煉炭や炭を入
れ、上に金網を置いて魚や肉を焼く。土を固めて作られ
たコンロは断熱性が良く、赤熱した炭から輻射される遠
赤外線の作用により表面から内部まで比較的均一に焼き
上げることができる。しかし取扱いが面倒である。

【０００３】近時は一般にガスコンロなどと呼ばれる焼
物用の調理器が広く用いられている。この種のガスコン
ロは鉄板、ステンレス板、鋳物などで作られた筺体を備
えており、筺体内にガスバーナが内蔵され、上面に焼網
や焼格子が取り付けられている。主として焼物用に用い
られるこの種のガスコンロでは、通常底部に水受皿を備
えており、金網の周囲に煙を吸引する吸引口を設けた無
煙ロースターなどと呼ばれている構造のものも広く用い
られている。

【０００４】この種の焼物用のガスコンロは、構造が簡
単で取扱いも便利であり、無煙ロースターは室内に煙が
充満しないという長所もあるので、焼物店等において広
く用いられているが、コンロに蓄熱作用がなく炎で直接
又は間接的に食品を加熱するために、表面が焦げやすく
又は焼けにくいなどの問題があり、特に無煙ロースター
では排煙に伴う空気流のためにコンロの内部及び焼き面
の温度が低くなる傾向にあり、そのために焼き上がりの
おいしさが低下するという欠点がある。

【０００５】またこの種のガスコンロの中には、コンロ
内のガスバーナの上に火格子を設け、その上に熔岩など
の蓄熱材を置き、ガスバーナで蓄熱材を熱してその輻射
熱により食品を焼くようにした構造のものがある。この
構造のものはコンロ内部の温度をある程度高くでき、蓄
熱材から輻射される遠赤外線の作用等によって炎で直接
食品を加熱するコンロよりも食品をおいしく焼くことが
できるが、筺体を通常のガスコンロと同様な構造にする
と、筺体が加熱されて高温になり、触ると火傷をする危
険がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、蓄
熱及び断熱作用を備え、従ってコンロ内部を高温にでき
るとともに、筺体の温度を火傷の危険がない程度に低く
することができ、これにより食品をよりおいしく焼くこ
とができるガスコンロを提供することを課題としてい
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の焼物用ガ
スコンロは、底部に開口３を備えた外筺１と、底部及び
周囲を外筺１との間に間隙８を隔てて外筺内に内装され
た内筺２と、この内筺に内装された断熱筒１１、１７
と、この断熱筒の内側下部に配置されたガスバーナ１３
と、断熱筒の中間位置に配置された火格子１９と、外筺
１の上縁と内筺２の上縁との間の間隙８を閉鎖する通気
孔２５を備えた縁カバー１５とを備えていることを特徴
とするものである。断熱筒１１、１７としては、石綿、
スラグウール、ガラスウール等の無機繊維材料で製造し
たものや珪藻土を焼成した七輪等の焼成物などが好適で
ある。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載の焼
物用ガスコンロにおいて、断熱筒１１、１７が上下に二
分割された珪藻土その他の粘土質材料からなる焼結体で
あることを特徴とするものである。

【０００９】請求項３記載の焼物用ガス調理設備は、請
求項１または２記載のガスコンロと、このガスコンロの
上方に一定距離を隔てて配置された排煙フード３３とを
備え、排煙フード３３は排気ブロワ３４を備えた排煙ダ
クト３５に連通されていることを特徴とするものであ
る。

【００１０】

【作用】上記手段を備えたガスコンロは、火格子１９の
上に熔岩その他の蓄熱材２１を置き、その上方に支持し
た金網２２、鉄板などの上で肉、魚、野菜などの食品を
調理する。火格子１９の上に載せた蓄熱材２１との作用
により、コンロ内の温度を高い温度に保持することがで
きる。外筺１と内筺２との間に形成される間隙８には、
自然対流により外筺底部の開口３から空気が吸入され、
縁カバー１５の通気孔２５を通って排出される空気流ｂ
が生じ、この空気流による空冷作用と断熱筒１１、１７
の断熱作用により、人の手が触れるおそれのある外筺１
及び縁カバー１５の温度上昇が抑制される。

【００１１】また断熱筒１１、１７を上下に分割した構
造とすることにより、断熱筒１１、１７の成形を容易に
できるとともに、内筺２から断熱筒１１、１７やガスバ
ーナ１３を容易に取り外すことができるようになり、内
筺２内の清掃を容易に行うことができるようになる。

【００１２】また上記構成のガスコンロの上方に、排煙
ブロワ３４によって積極的に煙や空気を吸引する排煙フ
ード３３を設ければ、外筺１と内筺２との間の間隙８を
通って縁カバー１５の通気孔２５から流出した空気流が
排煙フード３３に吸引されて排煙ダクト３５へと流れ、
これがコンロの上方にコンロを囲むようなエアカーテン
を形成するので、焼物から出た煙が周囲に拡散されるこ
となく、排気フードへと導かれるので、屋内に煙が充満
するのを抑制することができる。この場合、外筺の底部
の開口３に送気ブロワ２８を設けた吸引ダクト２９から
積極的に空気を送って、前記エアカーテンがより高い位
置まで形成されるようにすることも可能である。

【００１３】また断熱筒１１、１７として珪藻土などの
粘土質の土を焼成したものを用いたときは、七輪と同様
な保温性と遠赤外線放射作用が得られ、肉や魚をよりお
いしく焼き上げることができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１及び図２は本発明の第１実施
例を示したものである。この実施例の焼物用ガスコンロ
はテーブルに載せて使用するものであり、ステンレス製
の有底円筒形の外筺１と内筺２とを有している。外筺は
その底面中央に円形の開口３を有しており、底面の外周
部に四本の脚４を有している。外筺１の外周一箇所に設
けた矩形の外窓５には、箱形のカバー６が設けられてい
る。

【００１５】内筺２は外筺１の底面内側に設けられた横
コ字形の台枠７によって外筺の底面及び周囲から間隙８
を隔てて外筺内に水平移動不能かつ取り出し可能に内装
されている。内筺２の周面には外窓５と対向する位置に
内窓９が設けられている。

【００１６】内筺２の内側には下から順に珪藻土を焼成
してなる有底円筒形の下側断熱筒１１、円環部１２が下
側断熱筒１１に収納されるガスバーナ１３、ガスバーナ
の円環部１２に嵌合される灰受け１４、外筺と内筺の上
縁相互を連結する断面門形の縁カバー１５、下縁が下側
断熱筒１１の円周溝１６に嵌合する上側断熱筒１７、上
側断熱筒の内面に設けられたリング状の鍔１８に載置さ
れる火格子１９が設けられている。焼肉用のガスコンロ
として使用するときは、火格子の上面には熔岩２１を載
せ、上側断熱筒の上縁に金網２２を載せる。ガスバーナ
の首部２３は、下側断熱筒のスリット２４、内筺の内窓
９及び外筺の外窓５を貫通してカバー６の内側まで突出
しており、カバーに収納されたガスパイプ（図示されて
いない）に連結される。

【００１７】次に図２に基づき、本実施例のガスコンロ
を使用しているときの空気の流れを説明する。ガスバー
ナ１３を点火すると炎は火格子１９および熔岩２１を加
熱する。燃焼空気ａはカバー６の下面から入り、外窓
５、内窓９及びスリット２４を通ってガスバーナの円環
部１２に流れ込む。ガスバーナ１３の炎によって熔岩２
１が赤熱され四方八方に輻射熱を放出する。上方への輻
射熱は金網２２上の肉等の焼物を焼き、側方への輻射熱
は、その大部分が上側断熱筒１７により内側に閉じ込め
られ、内筺２への伝達を防止している。下方への輻射熱
は灰受け１４およびガスバーナ１３を加熱するが、流入
した燃焼空気ａにより若干冷却される。ガスバーナ１３
を支える下側断熱筒１１は、ガスバーナの熱が内筺２に
伝達するのを防止している。ガスコンロの使用時間と共
に上下の断熱筒１７、１１から内筺２に熱が伝達され
る。熱の伝達により内筺２の温度が上昇すると、内筺２
と外筺１との間隙８にある空気流ｂが上昇し、縁カバー
１５の通気孔２５からガスコンロの外に出る。これにと
もなって外筺の脚４及び開口３から新しい空気が間隙８
に流入して内筺２を冷却すると共に内筺２、外筺１及び
縁カバー１５を冷却し、外筺１と縁カバー１５が高温に
なるのを防止する。

【００１８】図３は上側断熱筒１７の別の形状を示した
ものであり、上半部の背丈を高くして七輪の外観に似せ
ている。この上側断熱筒に収納する火格子１９は上下方
向に多数の透孔２６を有する蓮根形に珪藻土を焼成した
ものであり、この火格子１９は、炭の上下位置を鍔１８
から高くして炭と金網との間隔を最も適した距離に設定
する。

【００１９】図４は本発明の第２実施例を示したもの
で、埋め込み式の焼物用ガスコンロ及び排煙フードを示
したものである。本実施例のガスコンロの外筺１はその
上縁がテーブル２７の面と同一平面になるように埋設さ
れており、外筺の開口３には送気ブロワ２８を有する吸
引ダクト２９が連結されている。一方ガスコンロの上方
には、かまど形の庇３１及び庇３１の中心孔を通って上
下方向に延びる排煙管３２とを備えた排煙フード３３が
配置されており、排煙管３２は天井に配置された連結管
を介して、排煙ブロワ３４を有する排煙ダクト３５に連
結されている。

【００２０】ガスコンロを点火し、排煙フード３３のス
イッチ３６を投入すると、電球３７が点灯し、送気ブロ
ワ２８が回転する。吸引ダクト２９から流入した空気流
ｂは、外筺１と内筺２の間隙８を通って縁カバーの通気
孔２５から上方に放射され、排煙フードの庇３１に衝突
する。庇３１に衝突した空気は、排煙ブロワ３４によっ
て排煙管の吸込口３８から吸引され、排煙ダクト３５を
介して屋外に排出される。このようにしてガスコンロの
縁カバー１５から庇３１に至るエアカーテンが形成され
るので、中心部分は熱く、外周部は冷たいガスコンロを
得ることができる。焼肉から発生する煙はエアーカーテ
ンによってシールドされており、店内に拡散することが
ない。

【００２１】図５及び図６は本発明の第３実施例を示し
たものであり、このガスコンロはいかや牡蛎等の魚介類
を焼くのに適したものである。以下第１実施例と同じ部
材には同じ符号を付してその説明を省略した。外筺１及
び内筺２並びに上下の断熱筒１７、１１は平面長方形を
しており、下側の断熱筒１１の中央に棒状のガスバーナ
１３が設けられている。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の分解斜視図

【図２】第１実施例の断面図

【図３】上側断熱筒の別の形を示す斜視図

【図４】第２実施例の断面図

【図５】第３実施例の断面図

【図６】第３実施例の平面図

【符号の説明】

１ 外筺 ２ 内筺 ３ 開口 ８ 間隙 11 下側断熱筒 13 ガスバーナ 15 縁カバー 17 上側断熱筒 19 火格子 25 通気孔 33 排煙フード 34 排煙ブロワ 35 排煙ダクト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底部に開口(3) を備えた外筺(1) と、底
   部及び周囲を外筺(1) との間に間隙(8) を隔てて外筺内
   に内装された内筺(2) と、この内筺に内装された断熱筒
   (11,17) と、この断熱筒の内側下部に配置されたガスバ
   ーナ(13)と、断熱筒の中間位置に配置された火格子(19)
   と、外筺(1) の上縁と内筺(2) の上縁との間の間隙(8)
   を閉鎖する通気孔(25)を備えた縁カバー(15)とを備えて
   いる、焼物用ガスコンロ。
2. 【請求項２】 断熱筒(11,17) が上下に二分割された珪
   藻土その他の粘土質材料からなる焼結体であることを特
   徴とする、請求項１記載の焼物用ガスコンロ。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載のガスコンロと、
   このガスコンロの上方に一定距離を隔てて配置された排
   煙フード(33)とを備え、排煙フード(33)は排気ブロワ(3
   4)を備えた排煙ダクト(35)に連通されていることを特徴
   とする、焼物用ガス調理設備。