JP3750286B2 - 加熱記録装置および加熱記録用制御プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

加熱記録装置および加熱記録用制御プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドから加熱により記録媒体に記録する加熱記録装置に関するものであり、特に、スティッキング現象が生じた場合であっても、記録媒体に記録するタイミングを制御することによって、記録品質を向上させることが可能な加熱記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録媒体である感熱紙に対して、発熱体を備えた記録ヘッドにより熱を加えて変色させることにより記録を行う加熱記録装置が知られているが、図5(a)に示すように、変色させた後に加熱紙がそのままの位置に止まると、溶けた感熱紙の変色層が冷却されることによって、感熱紙が記録ヘッドの発熱体に融着するスティッキング現象を生じることがある。この現象が起こると、図5(b)に示すように、次のラインを記録する際に、本来あるべき位置まで感熱紙が搬送されておらず、正しい位置に記録することができないので、同じ場所に重ねて記録することになり、白スジ(ドット抜け)が発生するという問題があった。
【0003】
そこで、記録ヘッドの熱量を低下させることによりスティッキング現象を防止することが考えられるが、この方法では、感熱紙に充分な熱が加えられないため、適切な濃度の記録ができない。このため、従来から、感熱紙への記録の際に、記録ヘッドの熱量を低下させることなく感熱紙と記録ヘッドとのスティッキングを防止して、確実に記録できるように種々の装置が提案されている。例えば、特公平6-83344号公報に記載されている
「サーマル記録装置」では、スティッキング現象を生じやすい記録周期の長い記録モードでは、所定量の画像記録終了後、直ちに記録ヘッドと記録媒体との相対移動を行うことにより、スティッキングを防止するように構成されている。
【0004】
また、特開平7-227990号公報に記載されている「感熱記録装置」では、スティッキング現象を生じやすい低速記録紙送り時には、メモリに所定ライン分の画像データを蓄積してから画像記録を行い、実際の記録紙の送りは比較的高速で行うようにすることでスティッキングを防止するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような従来の装置では、記録媒体に記録するタイミング自体を制御することはできないので、仮に、何らかの不都合によりスティッキング現象が生じてしまった場合には、やはり、記録のタイミングがずれてドット抜け(白スジ等)が生じ、記録品質が低下してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、仮にスティッキング現象が生じた場合でも、記録媒体に記録するタイミングを制御することによって、白スジ等の発生を防止し、記録品質を向上させることが可能な加熱記録装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の感熱記録装置は、複数ライン分の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、感熱記録媒体に前記画像データ記憶手段が記憶した1ライン分の前記画像データを記録する複数の発熱素子が配列された発熱素子列を有する記録ヘッドと、前記画像データ記憶手段が記憶している前記画像データの量に応じて決定される停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記画像データの量に対応付けて遅延時間を記憶する遅延時間記憶手段と、前記画像データ記憶手段が記憶した前記画像データの量を検出するデータ量検出手段と、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記遅延時間を前記遅延時間記憶手段から取得する遅延時間取得手段と、前記感熱記録媒体を前記所定量だけ移動させるような回転量だけ前記搬送ローラが回転し終えてから前記遅延時間取得手段が取得した前記遅延時間が経過した後で、前記1ライン分の前記画像データを前記記録ヘッドの前記発熱素子列に記録させる制御手段とを備えているというものである。
これにより、搬送処理前の停止時間(画像データ記憶手段が記憶しているデータ量に応じて決定される)に対応した付着力で感熱記録媒体が記録ヘッド等に付着している、即ちスティッキング現象が生じていたことにより、記録媒体の搬送に多少遅れが生じたとしても、搬送処理が終了してから遅延時間取得手段により取得される遅延時間の経過後に次の1ライン分の記録を行うことによって、搬送処理を完了し、適切な位置に記録媒体が搬送されてから加熱記録処理を行うことができるため、白スジ等の発生を防ぐことができ、得られる記録結果の品質を向上させるとができるという効果を奏する。また、遅延時間記憶手段には、画像データ記憶手段が記憶したデータ量に応じた遅延時間が予め記憶されているので、遅延時間取得手段は、複雑な演算処理をすることなく、データ量検出手段から検出されるデータ量を用いて、必要な遅延時間を記憶手段から求めることができるため、処理速度をより向上させることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記画像データの量に対応付けて前記停止時間を記憶する停止時間記憶手段と、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記停止時間を前記停止時間記憶手段から取得する停止時間取得手段とをさらに備えており、前記搬送ローラが、前記停止時間取得手段が取得した前記停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送するというものである。
【0009】
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の構成に加えて、前記記録ヘッドの温度、あるいは前記記録ヘッド周辺の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、前記遅延時間記憶手段はさらに温度に対応づけて前記遅延時間を記憶しており、前記遅延時間取得手段は、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量、及び前記温度検出手段により検出された前記記録ヘッドの温度、あるいは前記記録ヘッド周辺の温度に対応する前記遅延時間を取得することを特徴とする。
これにより、スティッキング現象を生じる要因となる、停止時間及び記録ヘッドの温度、あるいは記録ヘッド周辺の温度に基づいて得られる適切な遅延時間を用いて記録のタイミング制御を行うことができるため、より確実に白スジ等の発生を防ぐことができる。
【0011】
請求項4記載の記録媒体は、複数ライン分の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、感熱記録媒体に前記画像データ記憶手段が記憶した1ライン分の前記画像データを記録する複数の発熱素子が配列された発熱素子列を有する記録ヘッドと、前記画像データ記憶手段が記憶している前記画像データの量に応じて決定される停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送する搬送ローラとを備えている加熱記録装置を制御するプログラムが記録された記録媒体であって、画像データの量に対応付けて遅延時間を記憶する遅延時間記憶手段、前記画像データ記憶手段が記憶した前記画像データの量を検出するデータ量検出手段、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記遅延時間を前記遅延時間記憶手段から取得する遅延時間取得手段、及び、前記感熱記録媒体を前記所定量だけ移動させるような回転量だけ前記搬送ローラが回転し終えてから前記遅延時間取得手段が取得した前記遅延時間が経過した後で、前記1ライン分の前記画像データを前記記録ヘッドの前記発熱素子列に記録させる制御手段として加熱記録装置を機能させる加熱記録装置用プログラムを記録するというものである。
これにより、搬送処理前の停止時間(画像データ記憶手段が記憶しているデータ量に応じて決定される)に対応した付着力で感熱記録媒体が記録ヘッド等に付着している、即ちスティッキング現象が生じていたことにより、記録媒体の搬送に多少遅れが生じたとしても、搬送処理が終了してから遅延時間取得手段により取得される遅延時間の経過後に次の1ライン分の記録を行うことによって、搬送処理を完了し、適切な位置に記録媒体が搬送されてから加熱記録処理を行うことができるため、白スジ等の発生を防ぐことができ、得られる記録結果の品質を向上させるとができるという効果を奏する。また、遅延時間記憶手段には、画像データ記憶手段が記憶したデータ量に応じた遅延時間が予め記憶されているので、遅延時間取得手段は、複雑な演算処理をすることなく、データ量検出手段から検出されるデータ量を用いて、必要な遅延時間を記憶手段から求めることができるため、処理速度をより向上させることができる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を図1から図7を用いて説明する。本実施形態に係る加熱記録装置1は、制御手段を構成する制御盤13を有しており、ファクシミリ装置2やプリンター装置等の記録媒体に加熱記録を行う装置に用いられる。尚、本実施形態では、上記の加熱記録装置1をファクシミリ装置2に適用した場合について説明する。
【0013】
まず、ファクシミリ装置2の全体構成について説明する。ファクシミリ装置2は、図1に示すように、下カバー3及び上カバー4を備えた装置本体5と、図示されない受話器とを有している。装置本体5は、開口部6から原稿7を排出する排出ローラ8と、原稿の画像を読み取るCCD41とを備えており、原稿7を上カバー4の上方から機内に取り込んだ後、CCD41において原稿7の画像を読み取り、開口部6から原稿7を排出するようになっている。また、装置本体5は、ロール状に巻き取られた感熱紙10と、その感熱紙10に対して記録する加熱記録装置1と、装置全体を制御する制御盤13とを備えており、受信した原稿の画像あるいは、前記CCD41において読み取った画像を記録できるようになっている。
【0014】
上記の下カバー3には、基台14が設けられており、その基台14上には、上記の制御盤13が設けられている。制御盤13の上方には、巻き取られた感熱紙10を収容する収容カバー15が設けられている。この収容カバー15は、ロール状に形成される感熱紙10を収容し支持するようになっている。また、収容カバー15の上部には、感熱紙10の芯を取り出して、新たなロール状の感熱紙10と交換できるように、上記の上カバー4が開閉可能に形成されている。即ち、上カバー4は、下カバー3の側面の上方を支点として開閉するハッチ状に形成されており、装置本体5は、上カバー4を開けることによって、収容カバー15内にロール状の感熱紙10を収容できるようになっている。
【0015】
上記の収容カバー15の開放端側には、引き出されてくる感熱紙10のカールを取りながら前記加熱記録装置1側に案内するガイド16が設けられている。また、装置本体5は、加熱記録装置1において記録された感熱紙10が開放口17に向かって搬送されるように形成されている。
【0016】
加熱記録装置1は、発熱体18を備えた記録ヘッド12と、その記録ヘッド12と対向する位置に回転可能に設けられた搬送ローラ19とを備え、これらは、後で詳述する制御盤13内のヘッドコントローラ36により駆動される。また、発熱体18は、感熱紙10の幅方向(主走査方向)に沿って1列に配列された複数の発熱素子から成り、ヘッドコントローラ36からの信号に応じて発熱素子を選択的に発熱させることにより、発熱体18上を通過する感熱紙10に熱を加え、主走査方向に1ライン分の記録を行うように構成されている。
【0017】
記録ヘッド12の下部には、図1に示すように、記録ヘッド12を搬送ローラ19側に向かって押し上げる弾性体22が設けられている。そして、搬送ローラ19と記録ヘッド12の発熱体18との隙間に感熱紙10が送られ、記録ヘッド12は弾性体22により押し上げられているため、記録ヘッド12と搬送ローラ19とで感熱紙10が支持される。記録ヘッド12により記録された感熱紙10は、記録ヘッド12の下流側に配設されたカッタ(図示せず)により切断され、開放口17から装置外へ排出される。
【0018】
搬送ローラ19は、記録ヘッド12が感熱紙10に1ライン分の記録を行うと、感熱紙10を所定量単位で搬送する。この所定量は、記録ヘッド12が次の1ライン分のデータを記録するために必要な副走査方向の移動量である。即ち、搬送ローラ19は、1ライン分のデータの記録を行う度に回転して感熱紙10を所定量搬送し、次の1ライン分のデータを記録するという処理を繰り返し行うように構成されている。
【0019】
ここで、記録ヘッド12には、本発明の温度検出手段を構成するサーミスタ(図示せず)が内蔵されており、このサーミスタの抵抗値の変化をA/D変換器31に取り込み、デジタル化することによりヘッド温度を求めることが可能になっている。このヘッド温度は、後述する加熱記録時間決定処理において使用されるものであるが、これは、記録ヘッド12の温度がスティッキング現象を発生させる主な要因の一つだからである。即ち、発熱体18の温度が高くなると、感熱紙10の変色層が溶けやすくなり、感熱紙10と発熱体18との付着力が強くなるからである。
【0020】
次に、ファクシミリ装置2全体を制御している制御盤13について説明する。制御盤13は、図2に示すように、送信する原稿7の画像を読み取るCCD41や記録ヘッド12やNCU42に接続されるA/D変換器31と、信号バス32を介して接続されるCPU33、メモリ34、RTC39、クロックジェネレータ40、バスコントローラ35等の種々のコントローラとを有している。
【0021】
A/D変換器31は、CCD41により読み取った原稿の画像をデジタル値に変換して送信値として出力するようになっており、また、記録ヘッド12のサーミスタにより検出した発熱体18の温度をデジタル値に変換してヘッド温度として出力するようになっている。
【0022】
CPU33は、メモリ34に記憶されている種々のプログラムに従って各種の処理動作を行うようになっている。ヘッドコントローラ36は、記録ヘッド12の発熱体18に印字すべきイメージデータ(以下、「印字データ」という。)に応じた信号を出力して、感熱紙10に画像を記録するようになっている。また、ヘッドコントローラ36は、CPU33からの搬送開始信号に基づき、図示されない駆動モータを介して搬送ローラ19の回転を開始する。
【0023】
メモリ34は、種々のデータやプログラム等を記憶するようになっており、ROM45とRAM46とを有している。RAM46には、図示されないモデムを介して受信した受信値を格納する複数ライン分(本実施形態では13ラインとする)のバッファ(本発明の記録データ記憶手段を構成する)46dが設けられている。このバッファ46dには、受信値を図示されない複合器によって複合化処理してイメージデータに変換したものが順次格納され、所定量(例えば、1ライン分)のイメージデータが格納されると、ヘッドコントローラ36は、記録ヘッド12の発熱体18にイメージデータに応じた信号を出力して、感熱紙10に画像を記録するようになっている。
【0024】
また、RAM46には、バッファカウント記憶領域46aと加熱記録時間記憶領域46bとヘッド温度記憶領域46cとが形成されている。バッファカウント記憶領域46aには、記録を開始する時点でバッファ46dに何ライン分のイメージデータが格納されているかを示す「現在のバッファカウントの値」と、「前回のバッファカウントの値」との2つの値が格納されるようになっており、これらの値は、検出が行われるたびに更新される。加熱記録時間記憶領域46bには、後述する加熱記録時間決定ルーチンによって決定される加熱記録時間が格納されるようになっている。ヘッド温度記憶領域46cは、記録ヘッド12のサーミスタの抵抗値から求められるヘッド温度が格納されるようになっている。
【0025】
ROM45には、各種データが格納されたデータテーブル45aや、CPU33によって実行される加熱記録時間を決定するための加熱記録時間決定ルーチン45b等が格納されている。
【0026】
【表1】
Figure 0003750286
【0027】
上記のデータテーブル45aは、本発明の記憶手段を構成しており、表1に示すように、バッファカウントの値、記録ヘッド12の温度状況、遅延時間、停止時間及び搬送間隔が対応付けられた状態で格納されている。尚、説明の便宜上、加熱記録時間についても併記する。
【0028】
バッファカウントの値は、記録を開始する時点でRAM46内のバッファ46dに何ライン格納されているかを示している。即ち、本実施形態では、バッファ46dに13ライン用意されており、その内の何ラインまでイメージデータが格納されているかに対応している。
【0029】
停止時間は、例えば、図5(c)に示すように、搬送ローラ19が停止して(T2)からヘッドコントローラ36が次の搬送開始信号を受信する(T4)までの時間64を示すものであるが、例えば、バッファカウントが1であるときの停止時間は、「56」msである。
【0030】
遅延時間は、例えば、搬送ローラ19の停止(T2)から実際に記録ヘッド12による加熱記録処理を行う(T3)までの時間であるが、この遅延時間は、搬送ローラ19の停止後、感熱紙10の搬送が遅れる時間を示している。即ち、感熱紙10が、スティッキング現象により発熱体18に付着した場合、搬送ローラ19の回転と同時に搬送が開始されないで、少し遅れて搬送されることになる。従って、遅延時間は、搬送ローラ19の停止から感熱紙10が搬送されるまでの時間を想定している。この遅延時間は、上記の停止時間とヘッド温度とにより決まる時間であり、予め算出された結果である。
【0031】
具体的には、バッファカウントの値が「1」のときには、ヘッド温度「t1i」°Cに応じて、遅延時間は、「a1i」msになる。尚、遅延時間は、(a11≦a1i≦a1n)である。このように遅延時間とバッファカウントの値(1≦k≦13)との関係は、バッファカウントの値が(1≦k≦7)のときは、(a1i≦遅延時間≦a7i)であり、また、バッファカウントの値が(8≦k≦13)のときは、遅延時間は全て一律に「a8i」msとなる。また、iの範囲は(1≦i≦n)であり、予めヘッド温度として想定される温度がn段階に分けて温度状況の領域に格納されている。そして、遅延時間もnパターン用意されている。
【0032】
加熱記録時間は、例えば、図5(c)に示すように、ヘッドコントローラ36がCPU33から搬送開始信号を受信して(T1)から記録ヘッド12による加熱記録処理を行う(T3)までの時間61であるが、記録ヘッド12が搬送開始信号を受信して(T1)から搬送ローラ19が停止する(T2)までの時間「4」msに上記の遅延時間を加えた時間である。具体的には、バッファカウントの値が「1」のときには、「4+a1i」msである。尚、バッファカウントの値が(8≦k≦13)のときは、加熱記録時間は、遅延時間の場合と同様に全て一律に「4+a8i」msである。また、ヘッドコントローラ36が搬送開始信号を受信して(T1)から搬送ローラ19が停止する(T2)までの時間を「4」msとしているが、これに限るものではない。
【0033】
搬送間隔は、例えば、図5(c)に示すように、ヘッドコントローラ36がCPU33からの搬送開始信号を受信して(T1)から次の搬送開始信号を受信する(T4)までの期間であり、停止時間に搬送が実行される時間「4」msを加えた時間である。
【0034】
ヘッド温度は、記録ヘッド12のサーミスタによって検出されたものである。例えば、ヘッド温度「t1i」°Cは、バッファカウントの値が「1」のときの記録ヘッド12の温度状況を示している。ここで、ヘッド温度「t1i」°Cの範囲は、(t11°C≦t1i°C≦t1n°C)である。
【0035】
上記の加熱記録時間決定ルーチン45bは、加熱記録時間(記録ヘッド12による加熱記録のタイミイング)の決定処理を行うようになっている。具体的には、バッファカウント記憶領域46a内の現在のバッファカウントと前回のバッファカウントとによりデータテーブル45a上の参照するバッファカウントを決定し、その決定したバッファカウントの値と、ヘッド温度記憶領域46c内のヘッド温度とにより、加熱記録時間を決定するようになっている。
【0036】
以上の加熱記録時間と遅延時間と停止時間との関係を説明する。遅延時間は、感熱紙10がスティッキング現象により発熱体18に付着した場合に、搬送ローラ19の回転に遅れて搬送される時間を示している。本発明は、この遅延時間を求めることによって、その遅延時間の経過後に加熱記録処理を行うことを目的とするものである。従って、遅延時間を求めるには、先の停止時間の算出が必要である。これは、遅延時間は主として搬送ローラ19が停止している時間(停止時間)に応じて決まる時間であるからである。
【0037】
尚、本実施形態では、停止時間とヘッド温度と遅延時間との関係を予め算出してデータテーブル45aに記憶しておき、その結果から加熱記録時間を算出するようになっている。即ち、停止時間は、バッファカウントの値に基づいて決定されるものであり、その停止時間とヘッド温度に応じて決定される遅延時間に、搬送に要する時間「4」msを加算することにより次の加熱記録時間を決定し、加熱記録処理のタイミングを量るように構成されている。従って、停止時間に応じた遅延時間が予めデータテーブル45aに記憶されているので、CPU33は、停止時間と遅延時間とを算出する演算処理等を行うことなく、容易に加熱記録時間を求めることができ、この加熱記録時間を求める処理の処理速度を向上させることができる。
【0038】
バスコントローラ35は、CPU33の処理と平行してその他の処理を行うようになっている。また、スキャナーコントローラ37は、CCD41に接続されており、CCD41を制御するようになっている。具体的には、CCD41に原稿の画像を読み取るように読み取り開始信号の送信や、上記の読み取りに関する制御を行うようになっている。コミュニケーションコントローラ38は、NCU42に接続されており、NCU42を制御するようになっている。
【0039】
RTC39とクロックジェネレータ40とは、CPU33から加熱記録時間のカウント開始命令を受けて、ヘッドコントローラ36が搬送開始信号を受信すると同時に加熱記録時間のカウントを開始するようになっている。
【0040】
以上のように構成される加熱記録装置1は、搬送ローラ19の停止時間と、ヘッド温度とを基に、ROM45に格納される加熱記録時間決定ルーチン45bによって、加熱記録時間を求め、記録ヘッド12の発熱体18にヘッド電圧をかける(加熱記録処理の)タイミングを量って、感熱紙10に記録するようになっている。
【0041】
上記の構成に基づいて、本実施形態の動作を説明する。図3に示すように、本実施形態であるファクシミリ装置2がモデムを介して原稿の画像データを受信すると(S1)、受信した画像データに複合化処理等を施してイメージデータに変換し、順次RAM46内のバッファ46dに格納する(S2)。バッファ46dにイメージデータが格納されると、図5(c)に示すように、CPU33がヘッドコントローラ36に対して、搬送ローラ19の搬送開始を指示する搬送開始信号を出力する(T1)。そして、その搬送開始信号に基づいて、図示されない駆動モータによって搬送ローラ19の回転が開始され(S3)、感熱紙10を所定の記録位置に達するまで所定量単位で搬送する。感熱紙10が所定の位置に搬送されると、搬送ローラ19を停止させる(S4)(T2)。そして、CPU33は、バッファ46dに何ラインまでイメージデータが格納されているか、即ちバッファカウントの検出を行い、その検出値がバッファカウント記録領域46内の現在のバッファカウント値に格納される(S5)(T2〜T3)。尚、この時、それまで現在のバッファカウント値として格納されていた値は、前回のバッファカウント値に格納される。また、これと同時に、現在のバッファカウントの値に対応する停止時間をデータテーブル45aから求められる。
【0042】
続いて、バッファカウント記憶領域46aの現在のバッファカウント値に「2」以上のバッファカウントの値が格納されているか否かを判定し(S6)、「2」以上の値が格納されていない場合には(S6,NO)、所定時間経過後にヘッドコントローラ36を介して記録ヘッド12にヘッド電圧をかけるように加熱処理信号が出力され、感熱紙10にバッファ46dに記憶されているイメージデータに基づく加熱記録処理が行われる(S7)(T3)。
【0043】
感熱紙10に加熱記録処理が行われると、記録ヘッド12のサーミスタの抵抗値からヘッド温度が獲得され、RAM46内のヘッド温度記憶領域46cに格納される(S9)。そして、後述する加熱記録時間決定ルーチン(図4)が実行される(S10)(T3〜T6)。この加熱記録時間決定ルーチンでは、次のラインの記録(T6)を行うための加熱記録時間が求められ、RAM46内の加熱記録時間記憶領域46bに格納される(S20)。
【0044】
尚、前回のバッファカウントの値が格納されていない場合は、前回のバッファカウントの値が0であるとして扱われる。
【0045】
加熱記録時間が格納されると、CPU33により、バッファ46d内に印字データが存在するか否かが判定される(S21)。印字データが存在する場合には(S21,YES)、S23へ移行する。S23では、S5で求めた停止時間が経過したか否かが判断され、その停止時間が経過すると(S23,YES)、S3に戻り、次の記録のための搬送を行う。印字データが存在しない場合には(S21,NO)、感熱紙10の排出処理に移行し(S22)、本処理を終了する。
【0046】
一方、S6において、図5(c)中のT5時のように搬送処理が繰り返され、バッファカウント記憶領域46aに2以上のバッファカウントの値が格納されている場合には(S6,YES)、図5(c)に示すように、現在の加熱記録時間62、即ち、前回求めた加熱記録時間記憶領域46bに格納されている時間が経過すると(T6)、ヘッドコントローラ36を介して、記録ヘッド12にヘッド電圧をかけるように加熱処理信号が出力され、感熱紙10に加熱記録処理が行われる(S8)(T6)。
【0047】
加熱記録処理が行われると、記録ヘッド12のサーミスタの抵抗値からヘッド温度が獲得され、RAM46内のヘッド温度記憶領域46cに格納される(S9)。そして、ヘッド温度がヘッド温度記憶領域46cに格納されると、CPU33によって、加熱記録時間決定ルーチン45bが実行される(S10)(T6〜T9)。
【0048】
次に、図4に基づいて、加熱記録時間決定ルーチン45bについて説明する。まず、前回加熱記録時間決定ルーチンの実行によって決定され、CPU33によりRAM46内のバッファカウント記憶領域46aに格納されている前回(T2)のバッファカウントの値が読み出され、その前回(T2)のバッファカウントの値と図3中のS5で求められた現在(T5)のバッファカウントの値とが同じ値か否かが判定される(S11)。前回(T2)のバッファカウントの値と現在(T5)のバッファカウントの値とが同じ値である場合には(S11,YES)、現在(T5)のバッファカウントの値が図示されないレジスタに格納される(S16)。
【0049】
現在(T5)のバッファカウントの値が図示されないレジスタに格納されると、その値が8以上であるか判定(S17)される。レジスタのバッファカウントの値が8以上である場合には(S17,YES)、バッファカウントの値が「8」であるとして取り扱われ、レジスタ内を「8」に変更する(S18)。そして、ヘッド温度記憶領域46cからT6時のヘッド温度が読み出され、レジスタに格納されているバッファカウントの値「8」とT6のヘッド温度とから、これらに対応する次回(T9)の記録のための加熱記録時間63がデータテーブル45a内のデータに基づいて算出される(S19)。一方、レジスタのバッファカウントの値が「8」より小さい場合には(S17,NO)、ヘッド温度記憶領域46cからT6時のヘッド温度が読み出され、レジスタに格納されているバッファカウントの値とヘッド温度とに対応する次回(T9)の記録のための加熱記録時間63がデータテーブル45a内のデータに基づいて算出される(S19)。
【0050】
S11において、バッファカウント記憶領域46a内の前回(T2)のバッファカウントの値と現在(T5)のバッファカウントの値とが異なる値である場合には(S11,NO)、前回(T2)のバッファカウントの値が現在(T5)のバッファカウントの値よりも小さいか否かが判定される(S12)。前回(T2)のバッファカウントの値が現在(T5)のバッファカウントの値よりも大きい場合には(S12,NO)、前回(T2)のバッファカウントの値に−1した値(S15)が決定したバッファカウントの値として図示されないレジスタに格納される(S16)。図示されないレジスタに格納されると、決定したバッファカウントの値が8以上であるか判定される(S17)。決定したバッファカウントの値が8以上である場合には(S17,YES)、決定したバッファカウントの値が「8」であるとして取り扱われ、レジスタ内を「8」に変更する(S18)。そして、上記と同様の手順で次回の加熱記録時間63がデータテーブル45aに基づいて算出される(S19)。一方、決定したバッファカウントの値が「8」より小さい場合には(S17,NO)、上記と同様の手順で次回(T9)の記録のための加熱記録時間63が算出される(S19)。
【0051】
S12において、前回(T2)のバッファカウントの値が現在(T5)のバッファカウントの値よりも小さい場合には(S12,YES)、前回(T2)のバッファカウントの値が8以上であるか判定される(S13)。前回(T2)のバッファカウントの値が8以上である場合には(S13,YES)、前回(T2)のバッファカウントの値が図示されないレジスタに格納される(S16)。そして、上記と同様の手順で次回(T9)の記録のための加熱記録時間63が算出される(S19)。
【0052】
一方、S13において、前回(T2)のバッファカウントの値が「8」より小さい場合には(S13,NO)、前回(T2)のバッファカウントの値に+1した値(S14)が決定したバッファカウントの値として図示されないレジスタに格納される(S16)。図示されないレジスタに格納されると、上記と同様の手順で次回(T9)の記録のための加熱記録時間63がデータテーブル45aから算出される(S19)。
【0053】
尚、例えば、前回(T2)のバッファカウントの値が「3」で現在(T5)のバッファカウントの値が「5」である場合には、レジスタにバッファカウントの値4が格納される。これにより、レジスタ内の値「4」とT6時におけるヘッド温度に応じて、次回の加熱記録時間63は、「4+a4i」msのうちのいずれかの時間に決定される。
【0054】
尚、上記の加熱記録時間決定ルーチン45bの処理中のS16においてレジスタに格納されたバッファカウントの値が「8」以上の値を示す場合に、S18を経てバッファカウントの値を「8」とするのは、図6に示すように、停止時間が一定時間「1」msよりも短くなった場合でも、一律に一定の加熱記録時間「4+a8i」ms経過後に加熱記録処理させるためである。この場合、図7に示すように、搬送間隔も一律に「4+a8i」msになる。
【0055】
以上のように、T6〜T7の間において、加熱記録時間決定ルーチン45bにより、次回(T9)の加熱記録時間63が決定されると、決定された次回の加熱記録時間63がRAM46の加熱記録時間記憶領域46bに格納される(S20)。尚、格納された次回の加熱記録時間63は、後述するようにT7時からRTC39とクロックジェネレータ40とによりカウントが開始される。
【0056】
S21において、記録が継続される場合には(S21,YES)、搬送ローラ19の停止時間65の経過後(S23,YES)(T7)、CPU33は、ヘッドコントローラ36に対して搬送開始信号を出力する。これにより、搬送ローラ19の回転が開始される。
【0057】
また、CPU33は、T7時に加熱記録時間記憶領域46bから上記の現在の加熱記録時間63を読み出す。そして、CPU33は、T7時からRTC39とクロックジェネレータ40とにより現在の加熱記録時間63のカウントを開始するように信号を送信する。そして、ヘッドコントローラ36が搬送開始信号を受信してから僅かに遅れて、搬送ローラ19の回転が開始される(S3)。そして、T7時から加熱記録時間63が経過後、即ち、T9時にヘッドコントローラ36が記録ヘッド12に加熱記録処理開始信号を送信する。これにより、記録ヘッド12は、感熱紙10に加熱記録処理を行う(T9)。上記の処理におけるS5が本発明のデータ量検出手段及び停止時間取得手段として機能し、S8が本発明の制御手段として機能している。
【0058】
本発明にかかる加熱記録装置1は、以上の処理により、発熱体18に感熱紙10が付着した場合(スティッキング現象が起こった場合)であっても、所定の加熱記録時間経過後に加熱記録処理を行うように加熱記録のタイミングを制御することができるため、感熱紙10が発熱体18から離れて確実に所定の位置に移動した後に、加熱記録処理を行うことができる。従って、図5(b)に示すように、一度記録した位置に再度加熱記録処理を行うことがないため、図5(d)に示すように、搬送方向(副走査方向)の記録を所定量単位51で等間隔に行うことができる。尚、符号52は、1ラインの記録結果を示している。
【0059】
次に、本実施形態に加えて、図6に示すように、搬送処理開始からバッファ46dにイメージデータが次々に格納され、バッファカウントの値が順次増加し、搬送間隔もバッファカウントの値の増加に伴って短くなる場合(即ち、バッファ46dのデータ量が少なくなる場合)の記録の状態を説明する。
【0060】
図6の符号1から符号11は記録ポイントを示しており、符号1から符号3は、主に写真等の受信値のデータ量が多い場合で、符号4から符号8は、主に図形等の受信値のデータ量が比較的多い場合で、符号9以降は、主に文字(ワードプロセッサにより記録された文字)等の受信値のデータ量が比較的少ない場合を示している。尚、文字等は、受信値のデータ量が写真等のデータ量よりも少ないのでバッファ43の1ラインにイメージデータが格納される時間が比較的短時間である。従って、図7に示すように、記録ポイント8以降では搬送間隔が一定になる。
【0061】
図7において、記録ポイント8は、加熱記録時間82の経過後に加熱記録処理が行われたことを示している。ここで、図6に示すように、T16時でのバッファカウントの値が「6」で、図7に示すように、T17時でのバッファカウントの値が「7」であるため、上記の加熱記録時間決定ルーチン45bで加熱記録時間82を求めると「4+a7i」msとなる。尚、遅延時間84は、「a7i」であり、また、停止時間81は、T18時のバッファカウントの値が「8」であるため、表1より「1」msである。尚、符号83は、上記と同様にヘッドコントローラ36がCPU33からの搬送開始信号を受信してから搬送ローラ19が停止するまでの時間を示している。
【0062】
記録ポイント9は、加熱記録時間92の経過後に加熱記録処理を行ったことを示している。ここで、T17時でのバッファカウントの値が「7」で、T18時でのバッファカウントの値が「8」であるため、上記の加熱記録時間決定ルーチン45bで加熱記録時間92を求めると「4+a8i」msとなる。尚、遅延時間91は、「a8i」msであり、また、停止時間94は、T19時のバッファカウントの値k(8<k≦13)であるため、1msより短くなる。記録ポイント9以降では、バッファカウントの値「k」が8<kを示すため、バッファカウントの値の増加に伴い停止時間は減少し、遅延時間よりも短くなるが、遅延時間は一律に「a8i」msである。
【0063】
T20時のバッファカウントの値「k」(8<k≦13)がT19時のバッファカウントの値「k」よりも大きいとすると、停止時間104は、停止時間94よりも短くなる。しかし、遅延時間101は、上記の通り記録ポイント9以降から一律に「a8i」msである。これにより、本発明に係る加熱記録装置1は、受信値のデータ量に応じて搬送間隔が変化するようになっており、特に、上記の記録ポイント9以降のように、受信値のデータ量が比較的少ない場合には、搬送間隔が短くなり、加熱記録処理を短時間に行うことができる。
【0064】
尚、本実施形態では、13ラインのバッファ46dを用いて説明したが、これに限られず、それ以外のライン数のバッファであってもよい。また、本実施形態において、バッファカウントの値が「1」のときの停止時間は「56」msとして説明したが、停止時間は、バッファ46dのサイズや受信値のデータ量、処理速度等によって異なるものであるので、例えば、高い解像度で写真等の原稿を受信した場合には、バッファカウントの値が「1」を示した場合であっても、停止時間は「56」msに限られない。また、本実施形態では、停止時間と、ヘッド温度とから遅延時間を得るように構成されているが、停止時間と遅延時間とを1対1に対応付けヘッド温度を参照せずに遅延時間を得るように構成されていても良い。
【0065】
尚、本実施形態においては、データテーブル45aや加熱記録時間決定ルーチン45bが予めメモリ34に格納されているが、これに限定されることなく、加熱記録時間決定ルーチンをコンピュータに実行させる加熱記録用制御プログラムが磁気テープや磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体に記録されていても良い。
【0066】
即ち、これらの記録媒体を用いることによって、加熱記録時間決定ルーチン45bを実行させるようになっていても良い。そして、この場合には、加熱記録装置1がパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に接続可能にされていれば、記録媒体から加熱記録用制御プログラムを読み取ることによって、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に加熱記録時間決定ルーチン45bを実行させることができるため、発熱体18に感熱紙10が付着した場合(スティッキング現象が起こった場合)であっても、感熱紙10が発熱体18から離れて確実に所定の位置に移動した後に、加熱記録処理を行うことができる。従って、一度記録した位置に再度加熱記録処理を行うことがないため、白スジ等の発生を防止して記録品質を向上させることができる。
【0067】
尚、本発明に係る加熱記録装置1は、ファクシミリ装置2に限るものでなく、プリンター等の加熱記録を行う装置であればよい。また、本発明に係る加熱記録装置1は、本実施形態のように感熱紙10を用いて発熱体18を有する記録ヘッド12により記録を行う装置に限るものではなく、インクリボンを使用する熱転写方式を採用する装置であってもよい。
【0068】
【発明の効果】
請求項1記載の感熱記録装置は、複数ライン分の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、感熱記録媒体に前記画像データ記憶手段が記憶した1ライン分の前記画像データを記録する複数の発熱素子が配列された発熱素子列を有する記録ヘッドと、前記画像データ記憶手段が記憶している前記画像データの量に応じて決定される停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記画像データの量に対応付けて遅延時間を記憶する遅延時間記憶手段と、前記画像データ記憶手段が記憶した前記画像データの量を検出するデータ量検出手段と、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記遅延時間を前記遅延時間記憶手段から取得する遅延時間取得手段と、前記感熱記録媒体を前記所定量だけ移動させるような回転量だけ前記搬送ローラが回転し終えてから前記遅延時間取得手段が取得した前記遅延時間が経過した後で、前記1ライン分の前記画像データを前記記録ヘッドの前記発熱素子列に記録させる制御手段とを備えているというものである。
これにより、搬送処理前の停止時間(画像データ記憶手段が記憶しているデータ量に応じて決定される)に対応した付着力で感熱記録媒体が記録ヘッド等に付着している、即ちスティッキング現象が生じていたことにより、記録媒体の搬送に多少遅れが生じたとしても、搬送処理が終了してから遅延時間取得手段により取得される遅延時間の経過後に次の1ライン分の記録を行うことによって、搬送処理を完了し、適切な位置に記録媒体が搬送されてから加熱記録処理を行うことができるため、白スジ等の発生を防ぐことができ、得られる記録結果の品質を向上させるとができるという効果を奏する。また、遅延時間記憶手段には、画像データ記憶手段が記憶したデータ量に応じた遅延時間が予め記憶されているので、遅延時間取得手段は、複雑な演算処理をすることなく、データ量検出手段から検出されるデータ量を用いて、必要な遅延時間を記憶手段から求めることができるため、処理速度をより向上させることができるという効果を奏する。
【0069】
請求項2記載の発明は、前記画像データの量に対応付けて前記停止時間を記憶する停止時間記憶手段と、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記停止時間を前記停止時間記憶手段から取得する停止時間取得手段とをさらに備えており、前記搬送ローラが、前記停止時間取得手段が取得した前記停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送するというものである。
【0070】
【0071】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の構成に加えて、前記記録ヘッドの温度、あるいは前記記録ヘッド周辺の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、前記遅延時間記憶手段はさらに温度に対応づけて前記遅延時間を記憶しており、前記遅延時間取得手段は、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量、及び前記温度検出手段により検出された前記記録ヘッドの温度、あるいは前記記録ヘッド周辺の温度に対応する前記遅延時間を取得することを特徴とする。
これにより、スティッキング現象を生じる要因となる、停止時間及び記録ヘッドの温度、あるいは記録ヘッド周辺の温度に基づいて得られる適切な遅延時間を用いて記録のタイミング制御を行うことができるため、より確実に白スジ等の発生を防ぐことができるという効果を奏する。
【0072】
請求項4記載の記録媒体は、複数ライン分の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、感熱記録媒体に前記画像データ記憶手段が記憶した1ライン分の前記画像データを記録する複数の発熱素子が配列された発熱素子列を有する記録ヘッドと、前記画像データ記憶手段が記憶している前記画像データの量に応じて決定される停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送する搬送ローラとを備えている加熱記録装置を制御するプログラムが記録された記録媒体であって、画像データの量に対応付けて遅延時間を記憶する遅延時間記憶手段、前記画像データ記憶手段が記憶した前記画像データの量を検出するデータ量検出手段、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記遅延時間を前記遅延時間記憶手段から取得する遅延時間取得手段、及び、前記感熱記録媒体を前記所定量だけ移動させるような回転量だけ前記搬送ローラが回転し終えてから前記遅延時間取得手段が取得した前記遅延時間が経過した後で、前記1ライン分の前記画像データを前記記録ヘッドの前記発熱素子列に記録させる制御手段として加熱記録装置を機能させる加熱記録装置用プログラムを記録するというものである。
これにより、搬送処理前の停止時間(画像データ記憶手段が記憶しているデータ量に応じて決定される)に対応した付着力で感熱記録媒体が記録ヘッド等に付着している、即ちスティッキング現象が生じていたことにより、記録媒体の搬送に多少遅れが生じたとしても、搬送処理が終了してから遅延時間取得手段により取得される遅延時間の経過後に次の1ライン分の記録を行うことによって、搬送処理を完了し、適切な位置に記録媒体が搬送されてから加熱記録処理を行うことができるため、白スジ等の発生を防ぐことができ、得られる記録結果の品質を向上させるとができるという効果を奏する。また、遅延時間記憶手段には、画像データ記憶手段が記憶したデータ量に応じた遅延時間が予め記憶されているので、遅延時間取得手段は、複雑な演算処理をすることなく、データ量検出手段から検出されるデータ量を用いて、必要な遅延時間を記憶手段から求めることができるため、処理速度をより向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加熱記録装置を説明する図である。
【図2】 加熱記録制御盤を説明する図である。
【図3】 加熱記録装置の加熱記録処理を説明するフローチャートである。
【図4】 加熱記録時間の決定処理を説明するフローチャートである。
【図5】 加熱記録処理を説明する図である。
【図6】 加熱記録処理を説明する図である。
【図7】 図6の拡大図である。
【符号の説明】
1 加熱記録装置
10 感熱紙
19 搬送ローラ
12 記録ヘッド
13 制御盤
33 CPU
36 ヘッドコントローラ
45 ROM
46 RAM

Claims (4)

  1. 複数ライン分の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
    感熱記録媒体に前記画像データ記憶手段が記憶した1ライン分の前記画像データを記録する複数の発熱素子が配列された発熱素子列を有する記録ヘッドと、
    前記画像データ記憶手段が記憶している前記画像データの量に応じて決定される停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送する搬送ローラと、
    前記画像データの量に対応付けて遅延時間を記憶する遅延時間記憶手段と、
    前記画像データ記憶手段が記憶した前記画像データの量を検出するデータ量検出手段と、
    前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記遅延時間を前記遅延時間記憶手段から取得する遅延時間取得手段と
    記感熱記録媒体を前記所定量だけ移動させるような回転量だけ前記搬送ローラが回転し終えてから前記遅延時間取得手段が取得した前記遅延時間が経過した後で、前記1ライン分の前記画像データを前記記録ヘッドの前記発熱素子列に記録させる制御手段とを備えていることを特徴とする加熱記録装置。
  2. 前記画像データの量に対応付けて前記停止時間を記憶する停止時間記憶手段と、
    前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記停止時間を前記停止時間記憶手段から取得する停止時間取得手段とをさらに備えており、
    前記搬送ローラが、前記停止時間取得手段が取得した前記停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送することを特徴とする請求項1に記載の加熱記録装置。
  3. 前記記録ヘッドの温度、あるいは前記記録ヘッド周辺の温度を検出する温度検出手段をさらに備え、
    前記遅延時間記憶手段はさらに温度に対応づけて前記遅延時間を記憶しており、
    前記遅延時間取得手段は、前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量、及び前記温度検出手段により検出された前記記録ヘッドの温度、あるいは前記記録ヘッド周辺の温度に対応する前記遅延時間を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱記録装置。
  4. 複数ライン分の画像データを記憶する画像データ記憶手段と、感熱記録媒体に前記画像データ記憶手段が記憶した1ライン分の前記画像データを記録する複数の発熱素子が配列された発熱素子列を有する記録ヘッドと、前記画像データ記憶手段が記憶している前記画像データの量に応じて決定される停止時間を挟みつつ所定量単位ずつ前記感熱記録媒体を搬送する搬送ローラとを備えている加熱記録装置を制御するプログラムが記録された記録媒体であって、
    画像データの量に対応付けて遅延時間を記憶する遅延時間記憶手段、
    前記画像データ記憶手段が記憶した前記画像データの量を検出するデータ量検出手段、
    前記データ量検出手段により検出された前記画像データの量に対応する前記遅延時間を前記遅延時間記憶手段から取得する遅延時間取得手段、及び
    記感熱記録媒体を前記所定量だけ移動させるような回転量だけ前記搬送ローラが回転し終えてから前記遅延時間取得手段が取得した前記遅延時間が経過した後で、前記1ライン分の前記画像データを前記記録ヘッドの前記発熱素子列に記録させる制御手段として加熱記録装置を機能させる加熱記録装置用プログラムが記録された記録媒体。
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