JP3750069B2 - 内燃機関用始動装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関用引張ロープ式始動装置に関し、この始動装置はロープ付プーリの一部をなして形成された駆動側継手部分とエンジン側フライホイルに付属する被動側継手部分とから成る一つのフリーホイル継手を具備する。
【０００２】
【従来の技術】
前述した形式の公知の始動装置において、そのフリーホイル継手は円筒形状のラチェットホイルと２個の爪から成り、上記ラチェットホイルの一直径上に対立する両側において上記の爪が係合するように形成される。上記の各爪は駆動回転可能にエンジンのフライホイルに取付けられ、ラチェットホイルと垂直に咬み合せるため、弾力的な力により作動される。エンジンが始動したとき、上記の爪はその弾性力に逆うフライホイルの回転により発生した遠心力に基いて作動する。かくして上記爪はラチェットホイルとの係合から外される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
製造経費を低減するためにラチェットホイルとプーリはプラスチック材料の一体的成形物として形成されることが望ましい。しかしながら円筒形状のラチェットホイルを合体するフリーホイル機構を組立てるためには、上記爪に斜面をつけることが必要となる。爪に斜面を付けることにより前述した弾力作用に逆ってラチェットホイルの周囲に上記爪を取付けることが可能となる。ところが、その爪に斜面を付与することは爪とラチェットホイル間の係合面積を減少せしめる。結局、爪とラチェットホイル間の係合面積の減少は、望ましい信頼性と耐久性のある始動装置を得るために充分に強度のあるプラスチック材料を用いてプーリとラチェットホイルの組立物を製造する場合には種々の問題を生ずる。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は前述したいくつかの問題点が減少され又は解消される始動装置を提供することである。本発明によれば、この始動装置は截頭円錐体形状のラチェットホイルを含んで設けられ、このラチェットホイルの小径端面側がフライホイル側に向合せて形成される。更に本発明によれば、ラチェットホイルに係合する爪の一部分はラチェットホイルの円錐角に一致するような或る角度に曲折して形成される。
【０００５】
本発明により提供される截頭円錐体形状のラチェットホイルはそのラチェットと爪との結合体が容易に組立てられることであり、これはそれらの両部分を軸線方向に動かすことで達成される。上記爪にはラチェットホイルと爪間の係合面積を減少する斜面を形成せしめる必要がない。上記ラチェットホイルと爪の最大の係合作用は本発明の始動装置により達成されるから、その結果はラチェットホイルの歯面上に一層良好な荷重均等分布作用が得られる。結論として改良された強度のあるラチェットホイルが得られ、これは耐用寿命の延長と始動装置の改良された信頼性を得る結果につながる。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明は、以下の記載と図面を参照して詳細に説明される。
図１を参照するに、本発明に係る始動装置はプラスチック材料から作製されかつ軸１１に回転可能に取付けたプーリ１０を備えている。このプーリ１０は慣用の仕様で引張ロープ１２並びに復帰ばね又は巻戻しばね１３により回転される。ラチェットホイル１４はプーリ１０と一体的に形成され、そして複数個の歯１５を持って形成される。
【０００７】
図１はまた内燃機関（図示されない）のクランク軸１７に取付けられたフライホイル１６を示す。このフライホイル１６には２個の爪１８が取付けられ、この各爪１８の一端は、フライホイルの直径上に対立する両側の位置に設けられたピン（図示されていない）に回転可能に取付けられる。図２に最も良く示されているように、各爪１８は直角に曲げられその外方脚１８ａが形成されて、ラチェットホイル１４の歯１５に係合するように適応される。爪１８はラチェットホイル１４と係合するためばね（図示されない）により発生した弾力で作動される。
【０００８】
ラチェットホイル１４はフライホイル１６に対面する側が比較的小さい直径をもつ略截頭円錐体形状に形成される。図示の実施形態において、そのラチェットホイル１４の円錐角は約３０°である。爪１８の外部脚１８ａに対しラチェットホイル１４を適切に係合させるために、その外部脚１８ａはラチェットホイル１４の円錐角に一致する角度で曲げられる。従って、各外部脚１８ａはフライホイル１６の回転軸線に対して約１５°の角度をなして傾斜する。
【０００９】
上記の爪１８はラチェットホイル１４と垂直に係合するように弾発的に作動され、そしてそのフライホイル１６を引張ロープ１２により回転せしめる。エンジンが始動して上記フライホイル１６の回転速度が増加するとき、爪１８はばね（図示されない）の弾発力に抗して働く遠心力により、ラチェットホイル１４から離れた外方位置に向って外向きに枢動回転され、それによって外部脚１８ａとラチェット歯１５間の咬合状態が自動的に解除され、それで爪１８はラチェットホイル１４の回りを自由に回転する。
【００１０】
ラチェットホイル１４が截頭円錐体形状に形成されているため、ラチェット歯１５と爪１８との連結作用はそれらの部品を軸線方向に持ち来すことにより容易に組立てることができ、これは歯１５と爪１８との間の係合面積を減少させるところの斜面なしで爪１８が形成されるからである。このようにしたから、ラチェット歯１５にかかる負荷の分散が一そう均等化され、ラチェットホイル１４の強度が改善される結果となり、引いては始動装置の耐用寿命を延長しかつその信頼性を増進する。
【００１１】
本発明の好ましい実施例をここに述べたけれども、本発明はその請求項並びに精神を逸脱することなく種々の変形及び再配置が可能であることに留意すべきである。例えば、ラチェットホイル及び又は爪の角度は変更することができる。それ故本発明の範囲は前に列記した請求項により限定されるのみである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る始動装置の長手方向断面図である。
【図２】図１に示すプーリと爪の分解斜視図である。
【符号の説明】
１０…プーリ
１１…軸
１２…引張ロープ
１３…復帰ばね
１４…ラチェットホイル
１５…ラチェットホイルの歯
１６…フライホイル
１７…クランクシャフト
１８…爪
１８ａ…外部脚

Claims (3)

1. 引張ロープ（１２）をもつロープ付きプーリ（１０）と、前記プーリ上の駆動側継手部分とエンジンのフライホイル（１６）上の被動側継手部分とを有するフリーホイル継手を備える内燃機関用始動装置であって、前記駆動側継手部分はラチェットホイル（１４）を含むと共に、前記被動側継手部分はそのラチェットホイルに係合するように用いた可動爪（１８）を含むものにおいて、
   前記ラチェットホイル（１４）はその小径端面をフライホイル（１６）側に向き合せた截頭円錐形状に形成され、かつ前記爪（１８）の部分（１８ａ）は前記ラチェットホイルの円錐角に一致するように傾斜して形成されている内燃機関用始動装置。
2. 前記ラチェットホイルの円錐角は２０°乃至４０°である請求項１の始動装置。
3. 前記ラチェットホイルの円錐角は約３０°である請求項２の始動装置。

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