JP2001336465A - リコイルスタータ装置 - Google Patents

リコイルスタータ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロープの引き力変動を可及的に抑えることが
でき、もって、ロープ引き操作を円滑に行うことができ
るとともに、力の弱い者でもエンジンを容易に始動させ
ることができるようにされたリコイルスタータ装置を提
供する。 【解決手段】 リコイルロープ(25)を引っ張ること
により回転せしめられる回転駆動部(20)と、該回転
駆動部(20)から独立して回転できるようにされた連
動回転部(30)と、を有し、前記回転駆動部(20)
の回転を緩衝部材(15)を介して前記連動回転部(3
0)に伝達する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃エンジンに備
えられるリコイルスタータ装置に係り、特に、リコイル
ロープの引き力変動を可及的に抑えることができるよう
にされたリコイルスタータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のリコイルスタータ装置
は、リコイルロープ(リコイルハンドル)を引っ張って
ロープリールを回転させ、このロープリールの回転を遠
心式ラチェット機構等を介して内燃エンジンのクランク
軸に伝達して、前記内燃エンジンを始動させるようにな
っている。このようなリコイルスタータ装置を備えた内
燃エンジンでは、それを始動させるのに必要とされるリ
コイルロープの引き力(ロープ引き力)を低減するた
め、デコンプ装置を付設することが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した如
くの従来のリコイルスタータ装置では、内燃エンジンを
始動させるためには、リコイルロープを強く、素早く引
っ張る必要がある。また、リコイルロープを引っ張る
と、クランク軸が回転するが、ピストンの圧縮行程や摺
動抵抗等により、クランク軸の回転に対応してエンジン
側からリコイルロープに作用する負荷が大きく変動する
ので、ロープ引き操作が滑らかとはならず、力の弱い者
では、内燃エンジンを始動させることが難しいという問
題があった。
【0004】また、前記デコンプ装置を付設した場合に
は、ロープ引き力は低減されるものの、装置構成が複雑
になるとともに、未燃混合気が大気中に放出されるおそ
があり、コストや環境上の問題を生じる。本発明は、上
記した如くの問題に鑑みてなされたもので、その目的と
するところは、ロープの引き力変動を可及的に抑えるこ
とができ、もって、ロープ引き操作を円滑に行うことが
できるとともに、力の弱い者でもエンジンを容易に始動
させることができるようにされたリコイルスタータ装置
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成すべ
く、本発明に係るリコイルスタータ装置は、基本的に
は、リコイルロープを引っ張ることにより回転せしめら
れる回転駆動部と、該回転駆動部から独立して回転でき
るようにされた連動回転部と、を有し、前記回転駆動部
の回転が、ねじりコイルばね、ゼンマイ等からなる緩衝
部材を介して前記連動回転部に伝達されるように構成さ
れる。本発明のリコイルスタータ装置の好ましい態様で
は、前記回転駆動部と前記連動回転部とは、共通の回転
軸線上に配在される。前記回転駆動部は、好ましくは、
前記リコイルロープが巻装されたロープリールを有し、
このロープリールの内部空間に前記緩衝部材が配在され
る。
【0006】また、前記連動回転部は、好ましくは、前
記回転駆動部の回転が前記緩衝部材を介して伝達される
伝動プーリと、該伝動プーリの回転を内燃エンジンのク
ランク軸に伝達する遠心式ラチェット機構と、から構成
される。前記の如くの構成とされた本発明に係るリコイ
ルスタータ装置の好ましい態様においては、リコイルロ
ープ(リコイルハンドル)を引っ張ると、回転駆動部の
ロープリールが回転せしめられ、この回転がねじりコイ
ルばね等で構成される緩衝部材を介して連動回転部の伝
動プーリに伝達され、さらに、この伝動プーリの回転が
遠心式ラチェット機構を介して内燃エンジンのクランク
軸に伝達され、このクランク軸が回転することにより、
前記内燃エンジンが始動せしめられる。
【0007】この際、前記緩衝部材は、前記ロープリー
ルの回転方向に弾性的に圧縮されるので、前記ロープリ
ールの回転を前記伝動プーリに伝達する伝動部材として
機能するとともに、パワーリザーバー、及びクッション
あるいはショックアブソーバとしても機能し、これによ
って、ロープの引き力変動が可及的に抑えられる。した
がって、本発明のリコイルスタータ装置では、ロープ引
き操作を従来のものに比して円滑に行うことができると
ともに、力の弱い者でもエンジンを容易に始動させるこ
とが可能となる。また、従来のリコイルスタータ装置
に、ねじりコイルばね等の緩衝部材を、ロープリールの
内部空間に付設しただけで構成できるので、重量増、コ
ストアップが最小限に抑えられるとともに、デコンプ装
置を不要とすることも可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照して本発明
の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係るリ
コイルスタータ装置の一実施形態をを示す断面図であ
る。図示のリコイルスタータ装置10は、小型空冷2サ
イクルガソリンエンジン等の内燃エンジン1のクランク
軸2の一端部2aに近接して配置されるものであり、前
記内燃エンジン1の一側部に取付可能な、全体として円
筒状をなす、二つ割り構造のケース11を有し、該ケー
ス11における反エンジン側の外側ケース部11a内
に、リコイルロープ25(リコイルハンドル22)を引
っ張ることにより回転せしめられる回転駆動部20が配
在され、エンジン側ケース部11bに、前記回転駆動部
20から独立して回転できるようにされた連動回転部3
0が配在されている。
【0009】詳細には、前記外側ケース部11a中央
に、固定支軸12が突設され、この固定支軸12の基端
側に、前記リコイルロープ25が巻装されたロープリー
ル21が回動自在に外嵌され、前記固定支軸12の突出
端側に、前記ロープリール21から独立して回動できる
ように、伝動プーリ31が外嵌されるとともに、抜け止
め用ビス14が螺合せしめられている。ここでは、前記
クランク軸2の回転軸線O上に、前記固定支軸12の中
心軸線と、前記ロープリール21及び前記伝動プーリ3
1の回転軸線と、が配在されるとともに、前記ロープリ
ール21の内部空間Sに、前記回転軸線Oと共通の中心
軸線を持つように、緩衝部材としてのねじりコイルばね
15が配在されている。
【0010】該ねじりコイルばね15は、図2に示され
る如くに、前記外側ケース部11a側の一端側フック部
15aが、前記ロープリール21に突設された第一係止
部23に接当係止され、前記エンジン側ケース部11b
側の他端側フック部15bが、前記伝動プーリ31に突
設された第二係止部33に接当係止されるようになって
いる。また、前記ねじりコイルばね15は、前記伝動プ
ーリ31側に配在されたコイルばね36により、ばね受
け円板37を介して前記回転軸線Oに沿って前記ロープ
リール21側に付勢され、軽く圧縮されている。また、
前記外側ケース部11aと前記ロープリール21との間
には、従来のリコイルスタータ装置と同様に、外端が前
記ロープリール21に係止され、内端が前記外側ケース
部11aの中心部に係止されたリコイル用ゼンマイ27
が配設され、前記リコイルロープ25が引っ張られて前
記ロープリール21が回転せしめられた後、前記リコイ
ル用ゼンマイ27の復元力により、前記ロープリール2
1を元位置に復帰させて前記リコイルロープ25を自動
的に巻き取るようにされている。
【0011】一方、前記連動回転部30は、前記伝動プ
ーリ31と、遠心式ラチェット機構40と、からなって
いる。該遠心式ラチェット機構40は、図3を参照すれ
ばよくわかるように、前記伝動プーリ31における前記
エンジン1側の面に突設された一対の伝達係合突部4
1、41と、前記クランク軸2の前記一端部2aに固着
されたクラッチ爪ケース42とを有し、該クラッチ爪ケ
ース42には、例えば二つの始動爪45が揺動可能に支
持されている。該始動爪45は、通常は、図示していな
い付勢ばねにより内方(前記回転軸線O側)に向けて付
勢されて、前記伝達係合突部41、41に係合している
が、前記内燃エンジン1が始動せしめられると、前記ク
ランク軸2側から駆動された前記クラッチケース42の
回転による遠心力により半径方向外方に揺動して、前記
係合が解除されるようになっている。
【0012】このような構成とされた本実施形態のリコ
イルスタータ装置10においては、前記リコイルロープ
25(前記リコイルハンドル22)を引っ張ると、前記
回転駆動部20の前記ロープリール21が、例えば、図
2においてP方向に回転せしめられ、この回転が前記ね
じりコイルばね15を介して前記連動回転部30の前記
伝動プーリ31に伝達され、さらに、この伝動プーリ3
1の回転が前記遠心式ラチェット機構40(前記伝達係
合突部41及び前記始動爪45)を介して前記内燃エン
ジン1の前記クランク軸2に伝達され、このクランク軸
2が回転することにより、前記内燃エンジン1が始動せ
しめられる。この際、前記ねじりコイルばね15は、前
記ロープリール21の回転方向(図2のP方向)に弾性
的に圧縮されるので、前記ロープリール21の回転を前
記伝動プーリ31に伝達する伝動部材として機能すると
ともに、パワーリザーバー、及びクッションあるいはシ
ョックアブソーバとしても機能し、これによって、前記
リコイルロープ25の引き力変動が可及的に抑えられ
る。
【0013】したがって、本実施形態のリコイルスター
タ装置10では、ロープ引き操作を従来のものに比して
円滑に行うことができるとともに、力の弱い者でもエン
ジンを容易に始動させることが可能となる。また、従来
のリコイルスタータ装置に、ねじりコイルばね、あるい
はゼンマイ等の緩衝部材を、ロープリールの内部空間に
付設しただけで構成できるので、重量増、コストアップ
が最小限に抑えられるとともに、デコンプ装置を不要と
することも可能となる。以上、本発明の一実施形態につ
いて詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定される
ものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精
神を逸脱することなく、設計において種々の変更ができ
るものである。
【0014】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明のリコイルスタータ装置は、ロープの引き力変動を可
及的に抑えることができ、そのため、ロープ引き操作を
円滑に行うことができるとともに、力の弱い者でもエン
ジンを容易に始動させることができる等の効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリコイルスタータ装置の一実施形
態を示す断面図。
【図2】図1のII-II 矢視断面図。
【図3】図1のIII-III 矢視断面図。
【符号の説明】 1 内燃エンジン 2 クランク軸 10 リコイルスタータ装置 15 ねじりコイルばね(緩衝部材) 20 回転駆動部 21 ロープリール 25 リコイルロープ 30 連動回転部 31 伝動プーリ 40 遠心式ラチェット機構 O 回転軸線 S ロープリールの内部空間
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リコイルロープ(25)を引っ張ること
    により回転せしめられる回転駆動部(20)と、該回転
    駆動部(20)から独立して回転できるようにされた連
    動回転部(30)と、を有し、前記回転駆動部(20)
    の回転が緩衝部材(15)を介して前記連動回転部(3
    0)に伝達されるようになされたリコイルスタータ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記回転駆動部(20)と前記連動回転
    部(30)とは、共通の回転軸線(O)上に配在されて
    いることを特徴とする請求項1に記載のリコイルスター
    タ装置。
  3. 【請求項3】 前記緩衝部材は、ねじりコイルばね(1
    5)又はゼンマイであることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のリコイルスタータ装置。
  4. 【請求項4】 前記回転駆動部(20)は、前記リコイ
    ルロープ(25)が巻装されたロープリール(21)を
    有し、このロープリール(21)の内部空間(S)に前
    記緩衝部材(15)が配在されていることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリコイルスター
    タ装置。
  5. 【請求項5】 前記連動回転部(30)は、前記回転駆
    動部(20)の回転が前記緩衝部材(15)を介して伝
    達される伝動プーリ(31)と、該伝動プーリ(31)
    の回転を内燃エンジン(1)のクランク軸(2)に伝達
    する遠心式ラチェット機構(40)と、からなっている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載
    のリコイルスタータ装置。
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