JP2002138929A - リコイルスタータ - Google Patents

リコイルスタータ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン始動操作時のピーク荷重を低減さ
せ、手や腕に対する衝撃をやわらげることが可能なリコ
イルスタータの提供。 【解決手段】 クランクシャフトの軸線上に対向して設
けたスタータケース、スタータシャフト、スタータシャ
フトの一端とエンジン側との間で構成されたワンウエイ
クラッチ機構、スタータシャフトに対して回動自在に装
着されたリール、該リールの溝に巻回されたロープ、前
記スタータケースとリールとに両端を懸装されロープを
巻取る方向に付勢されたゼンマイと、リールとスタータ
シャフトとに両端を懸装されロープを引出したときのリ
ールの回転力を弾性作用を伴ってスタータシャフトに伝
達するゼンマイとで構成され、前記弾性作用を伴ってス
タータシャフトに伝達するゼンマイに、エンジン始動時
のピーク荷重を吸収させるようにしたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの始動装
置として用いられるリコイルスタータに係り、特にエン
ジン始動時のピーク荷重を軽減させ手に与える影響をや
わらげるリコイルスタータに関するものであり、同時に
防塵にも効果を有するリコイルスタータに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のリコイルスタータは引
出し、巻取り自由なロープを備えると共にゼンマイによ
って巻き戻されるリールおよび抑止板等を介して出没自
在のラチェットからなる一連の機構をケース内に収容
し、エンジンに直結した起動プーリにラチェットを掛合
させて駆動させる構成であるが、この種のリコイルスタ
ータは一般に、エンジンの始動トルクをロープを介して
直に感じるため手に衝撃を受ける欠点を有していた。ま
た、シャフと周りからリコイルスタータ内に侵入する塵
埃を防止する手段は構造上極めて少なかった。しかし、
本出願人はリコイルスタータのクラッチ機構およびゼン
マイと、ロープおよびリールとの間をシャフトで連結
し、このシャフトを支持する軸受をスタータケースに一
体で構成し、このシャフト付近にシール手段を設けてエ
ンジン側への塵埃の侵入を防止するようにしたリコイル
スタータ(実開昭62−190862号公報参照)や、
クランクシャフトの軸線上に対向して軸受部を持つスタ
ータケースをクランクケース等に装着し、前記軸受部の
クランクシャフト側にクラッチ機構を、他方のスタータ
ケース外側にリールを設け、かつ軸受部回りの摺動部に
シール手段を設けて、前記クラッチ機構およびエンジン
側を密閉するようにしたリコイルスタータ(実開昭63
−61575号公報、実開昭63−92078号公報等
参照)等を先に提案し、エンジン側への塵埃の侵入につ
いては対策がなされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来のリコイルスタータは、いずれもエンジンの始動
トルクをロープを介して直に感じるため、エンジン始動
操作時のピーク荷重(圧縮上死点を越える際の荷重)が
大きく、その荷重による衝撃が直接手や腕に伝わり好ま
しくないという難点があった。また、リコイルスタータ
内への塵埃の侵入防止対策はほとんどなされていなかっ
た。
【0004】本発明は、このような従来の問題点を解決
すべくなされたもので、リコイルスタータのエンジン始
動操作時のピーク荷重を低減させ、手や腕に対する衝撃
をやわらげることが可能で、かつ砂やゴミ等の塵埃にも
強いリコイルスタータを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るリコイルス
タータは、クランクシャフトの軸線上に対向して軸受部
を有するスタータケースと、前記軸受部に挿通された回
動するスタータシャフトと、前記軸受部からクランクシ
ャフト側に延出したスタータシャフトの一端とエンジン
側との間で構成されたワンウエイクラッチ機構と、前記
スタータケースと一体的に構成され、スタータシャフト
の他端を支持する軸受部を有するスタータケースと、前
記2つの軸受部との間でスタータシャフトに対して回動
自在に装着されたリールと、該リールの溝に巻回された
ロープと、前記スタータケースAとリールとに両端を懸
装されロープを巻取る方向に付勢されたゼンマイと、リ
ールとスタータシャフトとに両端を懸装されロープを引
出したときのリールの回転力を弾性作用を伴ってスター
タシャフトに伝達するゼンマイとで構成されたことを特
徴とし、またクランクシャフトの軸線上に対向して設け
た前記軸受部にダストシールを設けたことを特徴とする
ものである。
【0006】すなわち、本発明は従来のリコイルスター
タの力の伝達ラインである、ロープ→リール→クラッチ
機構→エンジンに対して、シャフトを回転可能とし、ロ
ープ→リール→ゼンマイ→シャフト→エンジンとし、弾
性作用を有するゼンマイをシャフトとリールの間に介在
させてエンジン始動操作時のピーク荷重をこのゼンマイ
に吸収させるようにしたものである。さらにクランクシ
ャフトの軸線上に対向して設けた前記軸受部にダストシ
ールを設けて、ゼンマイ、ロープ、リール、シャフト回
りへの塵埃の侵入を防止したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るリコイルスタ
ータの一実施例を示す縦断側面図、図2は図1のイーイ
矢視図、図3は図1のローロ線上の縦断面図、図4はリ
コイルスタータにおけるロープの引力(エンジンの始動
トルク)とリールの回転数の関係を示す図で、(a)は
本発明のリコイルスタータ、(b)は従来のリコイルス
タータ、図5は本発明のリコイルスタータと従来のリコ
イルスタータのロープ引き荷重と時間の関係を示す図
で、1−1、1−2はスタータケース、2はスタータシ
ャフト、3−1、3−2は軸受部、4はリール、5はカ
ムプレート、6は締付けナット、7はラチェット、8は
ロープ、9−1、9−2はゼンマイ、10はスリット、
11は止め輪、12はダストシール、13はリターンス
プリングである。
【0008】図1、図2、図3において、スタータケー
ス1−1、1−2は一体的に凹凸嵌合されてその中央部
に挿通されたスタータシャフト2に軸受部3−1、3−
2を介して支承され、このスタータシャフト2のクラン
クシャフト(図面省略)側にはカムプレート5が締付け
ナット6により固着され、スタータシャフト2と共に回
転する。さらに前記軸受部3−1と軸受部3−2との間
には、外周にロープ8を巻回するリール4がスタータシ
ャフト2に回動自在に装着され、このリール4のクラン
クシャフト(図面省略)側には前記スタータケース1−
1とリール4とに両端を懸装されロープ8を巻取る方向
に付勢されたゼンマイ9−1が収納され、リール4のク
ランクシャフトと反対側にはリール4とスタータシャフ
ト2とに両端を懸装されロープ8を引出したときのリー
ル4の回転力を弾性作用を伴ってスタータシャフト2に
伝達するゼンマイ9−2が収納されている。このゼンマ
イ9−1はその内端をスタータケース1−1に係止し、
外端をリール4側に係止して装着し、他方のゼンマイ9
−2はその内端をスタータシャフト2に設けたスリット
10に係止し、外端をリール4側に係止して装着してい
る。また、クランクシャフト(図面省略)に取付けられ
たフライホイール(図面省略)の側面には、エンジンを
始動させるとき、前記カムプレート5のカム部5aに噛
み合うラチェット7がリターンスプリング13によって
内側に付勢されている。さらに、軸受部3−1には、ケ
ース1−1側から、泥や塵埃等がリコイルスタータ内に
侵入しないようにダストシール12が組込まれている。
【0009】つぎに上記のように構成された本発明の動
作について説明すると、始動前は図2に示すごとく、カ
ムプレート5のカム部5aにラチェット7が噛み合った
静止状態より、ロープ8を引くとリール4が回転し、ゼ
ンマイ9−1、9−2も同時に回転を始めるが、エンジ
ン回転負荷があるためシャフト2はゼンマイ9−2があ
る程度畜力されるまで回転できない状態にあるが、やが
てゼンマイ9−2の畜力がエンジンの回転負荷を上まわ
るとシャフト2を回転させてカムプレート5と噛み合っ
ているラチェット7を介してフライホイールおよびクラ
ンクシャフトが回転し、エンジンが始動される。この
時、ゼンマイ9−2の畜力が開放される回転力に、連続
的に引き出しているロープ8の回転力がプラスされるた
め、エンジンを回転させる回転スピードを上げることが
できる。このように本発明ではリール4の回転力を弾性
作用を伴ってスタータシャフト2に伝達するゼンマイ9
−2にエンジン始動時のピーク荷重が吸収されるので、
手や腕に伝わる衝撃がやわらげられる。エンジン始動
後、ロープ8を放すとラチェット7が遠心力で外方に回
動し、カムプレート5が開放されることによりゼンマイ
9−1によってリール4は逆回転し、ロープ8もリール
4に巻戻される。なお、エンジンを停止するとラチェッ
ト7はカムプレート5上を摺動して元の位置に復帰す
る。
【0010】ここで、リコイルスタータのエンジン始動
時のピーク荷重の低減作用を図4、図5に基づいて説明
する。まず、従来のリコイルスタータの場合は、エンジ
ンの始動トルクを仮に50kg−cmとすると、ロープ
8を引く手に感じる力は図4(b)に示す通りとなり、
ノッキングのようなごつごつ感を受け衝撃が大きいのに
対し、本発明のリコイルスタータの場合は、仮にゼンマ
イ9−2の畜力トルクを20kg−cmとし、リール4
の回転数が2回転でゼンマイ9−2が最後まで巻き縮ま
ると仮定した場合には図4(a)のようになり、ロープ
8を引く力は従来のリコイルスタータより小さい約30
kg−cmとなるばかりでなく、最大と最小のロープ引
力差が小となり、ごつごつ感が少なくなる。なお、本発
明のリコイルスタータにおけるゼンマイ9−2の畜力ト
ルクは、始動トルクの1/2にするのがより効果的であ
るが、ゼンマイ9−2やその他の部品の耐久性や経済性
を考慮して設定するのが好ましい。
【0011】次に従来のリコイルスタータと本発明のリ
コイルスタータのロープ引き荷重の違いを図5に基づい
て説明する。従来のリコイルスタータでは、最初の上死
点を越える第1圧縮でロープ引き荷重Wが最大となり、
以降慣性作用により上死点荷重が下がっていき、この途
中で着火する。これに対し、本発明のリコイルスタータ
では、ゼンマイ9−2の作用により上死点付近では荷重
の一部が吸収され、下死点付近で放出される。これを順
次圧縮ごとに繰返し、全体としてロープを引く手に感じ
る最大荷重を下げ、また荷重変動によるごつごつ感を軽
減させる。
【0012】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明によれば、
リールとスタータシャフトとを分割構造とし、その間に
弾性作用を有するゼンマイを介在させてエンジン始動時
のピーク荷重をこのゼンマイに吸収させるように構成し
たことにより、リコイルスタータのエンジン始動操作時
のピーク荷重を低減でき、手や腕に対する衝撃をやわら
げることができるという効果を奏する。さらに、軸受部
にダストシールを組込んだことにより、砂やゴミ等の塵
埃にも強いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリコイルスタータの一実施例を示
す縦断側面図である。
【図2】図1のイーイ矢視図である。
【図3】図1のローロ線上の縦断面図である。
【図4】リコイルスタータにおけるロープの引力(エン
ジンの始動トルク)とリールの回転数の関係を示す図
で、(a)は本発明のリコイルスタータ、(b)は従来
のリコイルスタータである。
【図5】本発明のリコイルスタータと従来のリコイルス
タータのロープ引き荷重と時間の関係を示す図である。
【符号の説明】
1−1、1−2 スタータケース 2 スタータシャフト 3−1、3−2 軸受部 4 リール 5 カムプレート 6 締付けナット 7 ラチェット 8 ロープ 9−1、9−2 ゼンマイ 10 スリット 11 止め輪 12 ダストシール 13 リターンスプリング

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクシャフトの軸線上に対向して軸
    受部を有するスタータケースと、前記軸受部に挿通され
    た回動するスタータシャフトと、前記軸受部からクラン
    クシャフト側に延出したスタータシャフトの一端とエン
    ジン側との間で構成されたワンウエイクラッチ機構と、
    前記スタータケースと一体的に構成され、スタータシャ
    フトの他端を支持する軸受部を有するスタータケース
    と、前記軸受部と軸受部との間でスタータシャフトに対
    して回動自在に装着されたリールと、該リールの溝に巻
    回されたロープと、前記スタータケースとリールとに両
    端を懸装されロープを巻取る方向に付勢されたゼンマイ
    と、リールとスタータシャフトとに両端を懸装されロー
    プを引出したときのリールの回転力を弾性作用を伴って
    スタータシャフトに伝達するゼンマイとで構成されたこ
    とを特徴とするリコイルスタータ。
  2. 【請求項2】 前記クランクシャフトの軸線上に対向し
    て設けた軸受部にダストシールを設けたことを特徴とす
    る請求項1記載のリコイルスタータ。
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