JP4098537B2 - リコイルスタータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リコイルロープを牽引することにより内燃エンジンのクランク軸を回転駆動してエンジンを始動させるリコイルスタータに係り、特に、リコイルロープにより回転されるロープリールの回転をクラッチ機構を介して従動側へ伝達させるようにしたリコイルスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】
リコイルロープを巻回したロープリールとエンジンのクランク軸側に連結された駆動ホイールとの間に、クラッチ機構を形成した従来のリコイルスタータは図6に示すように、リコイルロープ50が巻回されたロープリール51と、該ロープリール51によりクラッチ機構52を介して回転される駆動ホイール53を備え、該駆動ホイール53とエンジンのクランク軸に連結されている起動プーリ54とがゼンマイにより構成された蓄力手段55により連結されている。
【0003】
リコイルロープ50を牽引することにより回転されるロープリール51の回転をクラッチ機構52を介して駆動ホイール53に伝達させて駆動ホイール53を回転し、駆動ホイール53が回転することによって蓄力手段55に回転力を蓄力させ、蓄力手段55に蓄力された回転力により起動プーリ54を回転駆動させてエンジンを始動させるように構成されている。上記駆動ホイール53には、蓄力手段55に蓄力された回転力により駆動ホイール53が逆方向の回転力を受けるため、駆動ホイール53が逆方向へ回転しないようにするための一方向回転機構56が形成されている。
【0004】
クラッチ機構52は、ロープリール51の駆動ホイール53側に面した側面に凹部57を形成して、該凹部57内にクラッチ部材58を収容してこのクラッチ部材58を駆動ホイール53側にクラッチバネ59によりバネ付勢させるとともに、このクラッチ部材58に対向する駆動ホイール53の側面にクラッチ部材58と係合可能な凹凸部60を形成して構成されている。そして、リコイルロープ50が牽引されてロープリール51がエンジン始動方向に回転される際にはクラッチ部材58が凹凸部60と係合して駆動ホイール53をエンジン始動方向に回転させ畜力手段55に回転力を畜力させる。ロープリール51から引き出したリコイルロープ50をロープリール51に巻き戻すためにゼンマイ61に蓄力した回転力によりロープリール51が逆方向に回転する際には、クラッチ部材58が凹凸部60から離脱されて伝達が断たれてロープリール51の逆方向回転を許容する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のクラッチ機構52は、駆動側部材であるロープリール51と従動側部材である駆動ホイール53等の間に、クラッチ部材58とクラッチバネ59を収容するための凹部57を形成する必要があり、リコイルスターターの軸方向寸法が必然的に大きくなり、小型エンジンへの組み付け性が悪いという問題点を有している。本発明は、外形形状を小さくすることができ、特に小型のエンジンへの組み付け性に優れたクラッチ機構を備えたリコイルスタータを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のリコイルスタータは、リコイルロープの牽引により回転駆動されるロープリールを備えた駆動部の回転力を、エンジン側に配置された蓄力手段にクラッチ機構を介して伝達させて蓄力手段に回転力を蓄力させ、該蓄力手段に蓄力された回転力によりエンジンを始動させるようにしたリコイルスタータにおいて、前記駆動部と蓄力手段の間に形成されるクラッチ機構が、前記ロープリールと蓄力手段に連結された駆動ホイールの対向する側壁面間に、一方の側壁面に形成されるとともに係止面と傾斜面を有した係止突起と、他方の側壁面に取り付けられるとともに前記係止面と係合可能な環状の板バネの内周縁側の一部を切り起こして一体に形成された係止爪片を備える前記板バネとから構成されており、前記板バネの外周縁に形成された凹部を前記駆動ホイールの側壁面の外周縁寄りに形成された凸部と係合させて回転方向に一体となるように前記駆動ホイールの側面に取り付けられるとともに、前記係止突起と係止爪片とを該板バネの撓みを利用して係脱させることによって、ロープリールの回転を蓄力手段側をエンジン始動回転方向にのみ回転伝達させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2のリコイルスタータは、前記一方の側壁面に形成される係止突起と、板バネに形成される係止爪片とが、一方が2個で他方が3個で各々形成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。図1に示すように本発明のリコイルスタータ1は、ケース2の外側に露出されているリコイルハンドル3を介してリコイルロープ4を引っ張り操作することによりエンジンを始動させるものである。図2及び図3に示すように、ケース2内にはケース2の内方に向けてケース2と一体に突出形成された支軸6が形成されており、該支軸6に駆動ホイール8が回転自在に装着されており、この駆動ホイール8の側面方向に突出されたボス部に前記リコイルロープ4を巻回しているロープリール5が駆動ホイール8に対して回転自在に支持されている。
【0009】
ロープリール5とケース2との間にはリコイル用のゼンマイ7が配置され、該ゼンマイ7の一端がロープリール5に他端がケース2に係止されている。該ゼンマイ7は、ロープリール5からリコイルロープ4を牽引してロープリール5を回転させることによりゼンマイ7に回転力が蓄力され、リコイルロープ4から手を放すか又は引っ張り力を緩めることにより該ゼンマイ7に蓄力した回転力でロープリール5を逆方向に回転させてリコイルロープ4をロープリール5に巻き取る。
【0010】
前記支軸6により回転自在に支持されている駆動ホイール8と前記ロープリール5との間にはクラッチ機構9が介在され、このクラッチ機構9を介してロープリール5と駆動ホイール8が回転連結されている。クラッチ機構9は、リコイルロープ4を引っ張ったときのロープリール5側の回転を駆動ホイール8に伝達させ、リコイルロープ4をロープリール5に巻き戻す際の逆方向への回転時には伝達を遮断して従動側である駆動ホイール8に回転力が伝達されないようにしている。
【0011】
ケース2に形成された支軸6の内側に該支軸6より小径の支軸10が同心状に形成されており、該支軸10にはエンジンのクランク軸へ回転力を伝達するための起動プーリ11が回転自在に支持されている。前記支軸10の先端部にはワッシャ12及びネジ13が取り付けられてロープリール5、駆動ホイール8及び起動プーリ11の抜け止めが形成されている。
【0012】
前記駆動ホイール8の前記起動プーリー11に面した側面には一側方向に開放された凹部が形成されており、該凹部が蓄力手段を構成しているゼンマイ14を収容するゼンマイ収容部15を構成している。前記駆動ホイール8のゼンマイ収容部15の開放された側面方向から内部にゼンマイ14を収容したゼンマイケース16が装着され、ゼンマイ14の外周側端は前記ゼンマイケース16を介して前記駆動ホイール8側に保持され、ゼンマイ14の内周側端は前記起動プーリ11に保持されている。
【0013】
リコイルロープ4の牽引により回転されるロープリール5を介して駆動ホイール8が回転されると、このゼンマイ14を介して起動プーリ11に回転が伝達されるが、起動プーリ11側がエンジンの始動抵抗により回転が阻止されていると、駆動ホイール8がゼンマイ14を巻き上げて回転力がゼンマイ14に蓄力される。ゼンマイ14の蓄力が起動プーリ11に作用しているエンジンの始動抵抗を上回ると、ゼンマイ14に蓄力された回転力により起動プーリ11が一気に回転されて遠心クラッチ機構29を介してエンジンが始動される
【0014】
前記駆動ホイール8の外周面とケース2の間には、駆動ホイール8のエンジン始動方向のみの回転を許容する一方向回転機構17が形成されており、該一方向回転機構17は、駆動ホイール8の外周面に形成された係合歯18とこの係合歯18と係脱される揺動爪19により構成されている。ロープリール5の回転により駆動ホイール8がエンジンを始動する方向に回転されるときには、揺動爪19がバネ付勢力に抗してケース2側へ退避させられて係合歯18から離脱されて駆動ホイール8の回転を許容するが、ゼンマイ14に回転力が蓄力された状態で、該ゼンマイ14によって駆動ホイール8がエンジン始動方向と逆方向に回転されようとするときには、揺動爪19が係合歯18と係合して駆動ホイール8の逆方向の回転が阻止される。
【0015】
ロープリール5と駆動ホイール8の間に形成されているクラッチ機構9は、図4に示すように、ロープリール5の駆動ホイール8と対向している側面に駆動ホイール8の側面方向に突出形成された係止突起20と、ロープリール5と駆動ホイールの間に配置されるとともに回転方向の後方側に向けて係止爪片21が一体的に屈曲形成された環状の板バネ22とにより構成されている。板バネ22は、環状に形成された板バネ22の外周縁に形成されている凹部25が駆動ホイール8の側壁面の外周縁寄りに形成されている凸部26と係合されて回転方向に一体となるように駆動ホイール8の側面に取り付けられている。
【0016】
前記係止突起20はエンジンを始動させる回転方向の前方側に向いた係止面23と後方側に向いた傾斜面24を備えており、ロープリール5の側面に円周方向に沿って3個が分散して形成されている。係止爪片21は、環状の板バネ22の内周縁側の一部が切り起こされて前記係止突起20の方へ向けて屈曲され、先端に前記係止突起20の係止面23と係合するエンジン始動回転方向と逆方向に向いた係合端面27が形成され、この係合端面27の後方側が傾斜面28に形成されている。この係止爪片21は環状の板バネ20の円周方向に沿って2つが分散して配置されている。
【0017】
係止爪片21は板バネ22の一部に切り込みを形成して、切り込み部を係止突起20の方へ向けて屈曲変形させて形成しているので、通常時には弾力によってロープリール5の係止突起20と係合可能な位置に配置され、ロープリール5がエンジン始動回転方向に回転する際には、係止突起20の係止面が23係止爪片21の係合端面27に当接してロープリール5の回転を駆動ホイール8側に伝達させる。また、ロープリール5が逆方向に回転する際には係止突起20が傾斜面28と当接して係止爪片21を弾力に抗して変位させてロープリール5の逆方向への回転が駆動ホイール8に伝達されないように作用する。
【0018】
上記実施例によるクラッチ機構9の作動を説明する。初期状態では、図5(a)に示すように、駆動ホイール8の側面に取り付けられた板バネ22の係止爪片21が、ロープリール5に形成した係止突起20の回転軌跡の内側に配置された状態になっている。リコイルロープ4を牽引することによって、ロープリール5が矢印Aの方向に回転されると図5(b)に示すようにロープリールの係止突起20の係止面23が係止爪片21の係合端面27と当接されてこれにより、駆動ホイール8が矢印Bの方向に回転されて畜力手段であるゼンマイ14へ回転を畜力させる。
【0019】
このとき、ロープリール5の側面に形成する係止突起20と、板バネ22に形成する係止爪片21の数を奇数個と偶数個に各々違えて形成しているので、係止突起20のいずれか1つと、係止爪片21のいずれか1つが係合するまでのロープリール5の回転角度を少なくでき、係止突起20と係止爪片21の数を少なくしてもロープリール5の遊びの回転量を小さくすることができ、ロープリール5の回転を効率よく従動側である駆動ホイール8に伝達させることが可能である。
【0020】
リコイル用のゼンマイ7に蓄力された回転力によりロープリール5が逆方向に回転されてリコイルロープ4を巻き取る際には、図5(c)に示すようにロープリール5が矢印Cの方向に回転し、係止突起20に形成されている傾斜面24が板バネ22の係止爪片23の傾斜面28と当接し、これにより係止爪片21が弾力に抗して駆動ホイール8側に変位して駆動ホイール8にロープリール5の逆方向の回転が伝達されることなく、ロープリール5を逆方向に回転させてリコイルロープ4を巻き戻すことが可能となる。
【0021】
上記実施例では、板バネ22を駆動ホイール8側に支持させるとともに、係止突起20をロープリール5側に形成したものであるが、ロープリール5側に係止爪片21を形成した板バネ22を取り付けて、駆動ホイール8の側面に係止爪片21と係合可能な係止突起20を形成してもよい。
【0022】
【発明の効果】
上記のように本発明のクラッチ機構、前記ロープリールと蓄力手段に連結された駆動ホイールの対向する側壁面間に、一方の側壁面に形成されるとともに係止面と傾斜面を有した係止突起と、他方の側壁面に取り付けられるとともに前記係止面と係合可能な環状の板バネの内周縁側の一部を切り起こして一体に形成された係止爪片を備える前記板バネとから構成され、板バネは、その外周縁に形成された凹部を駆動ホイールの側壁面の外周縁寄りに形成された凸部と係合させて回転方向に一体となるように前記駆動ホイールの側面に取り付けられているので、ロープリールと駆動ホイールの間には薄い板バネが配置されるだけとなり、クラッチ爪部材やクラッチバネ等の従来のクラッチ機構を構成する部品を配置する必要が無くなり、リコイルスタータの外形形状特に回転軸方向に沿った寸法を小さく小型に形成することが可能である。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、前記一方の側壁面に形成される係止突起と、板バネに形成される係止爪片とが、一方が2個で他方が3個で各々形成されているので、係止突起と係止爪片の数を少なく形成してもロープリールの遊びの回転角度を小さくでき効率的に回転の伝達が行えるとともに、部品の形状を単純化できるので製造コストを低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラッチ機構を実施したリコイルスタータの正面図。
【図2】同じリコイルスタータの縦断側面図。
【図3】図2におけるA−A線上の断面図。
【図4】クラッチ機構を構成している部材の斜視図。
【図5】クラッチ機構の係止突起と係止爪片の作動状態を示す断面図であり、(a)は初期状態、(b)はロープリールがエンジン始動方向に回転して係止突起が係止爪片と係合した状態、(c)はロープリールが逆方向に回転されて係止突起が係止爪片と離脱された状態を示す。
【図6】従来のクラッチ機構を実施したリコイルスタータの断面図。
【符号の説明】
1 リコイルスタータ
2 ケース
5 ロープリール
8 駆動ホイール
9 クラッチ機構
14 蓄力手段(ゼンマイ)
20 係止突起
21 係止爪片
22 板バネ
23 係止面
24 傾斜面
25 凹部
26 凸部
27 係合端面
28 傾斜面

Claims (2)

  1. リコイルロープの牽引により回転駆動されるロープリールを備えた駆動部の回転力を、エンジン側に配置された蓄力手段にクラッチ機構を介して伝達させて蓄力手段に回転力を蓄力させ、該蓄力手段に蓄力された回転力によりエンジンを始動させるようにしたリコイルスタータにおいて、前記駆動部と蓄力手段の間に形成されるクラッチ機構が、前記ロープリールと蓄力手段に連結された駆動ホイールの対向する側壁面間に、一方の側壁面に形成されるとともに係止面と傾斜面を有した係止突起と、他方の側壁面に取り付けられるとともに前記係止面と係合可能な環状の板バネの内周縁側の一部を切り起こして一体に形成された係止爪片を備える前記板バネとから構成されており、前記板バネの外周縁に形成された凹部を前記駆動ホイールの側壁面の外周縁寄りに形成された凸部と係合させて回転方向に一体となるように前記駆動ホイールの側面に取り付けられるとともに、前記係止突起と係止爪片とを該板バネの撓みを利用して係脱させることによって、ロープリールの回転を蓄力手段側をエンジン始動回転方向にのみ回転伝達させるようにしたことを特徴とするリコイルスタータ。
  2. 前記一方の側壁面に形成される係止突起と、板バネに形成される係止爪片とが、一方が2個で他方が3個で各々形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリコイルスタータ。
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