JP3892772B2 - リコイルスタータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はロープリールに巻回されたリコイルロープを引っ張ることによりロープリールを回転させて、該ロープリールの回転をダンパ手段を介してカムに伝達させ、カムとの間に形成されたワンウエイクラッチを介してエンジン側に連結された駆動プーリ又はフライホイールマグネットを回転させることによりエンジンをスタートさせるようにしたリコイルスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】
リコイルロープを牽引することにより回転されるロープリールの回転をカムに伝達し、このカムと係脱される遠心ラチェット等の一方向回転機構を介してエンジン側の駆動プーリを回転させるようにしたリコイルスタータが既に知られており、前ロープリールとカムの間にダンパ手段を介在させて両者を弾力的に連結し、ロープリールの回転をダンパ手段を介してカムに伝達させるようにしてエンジン始動時の負荷の変動等による手に伝わるショックを吸収させるようにした横造のリコイルスタータが実開平2−149872号等により知られている。上記スターターは、一端側が解放されたスタータケースの底部から解放方向に突出させた支軸をスタータケースから一体に形成し、この支軸にロープリール、カム、ダンパスプリング等の構成部品を回転自在に保持させて構成し、このスタータケースの開放部をエンジンの出力軸に取り付けたフライホイールマグネットや駆動プーリーと対向するようにエンジン側のケースに組み付けるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のリコイルスタータでは、エンジンの出力軸に取り付けたフライホイールマグネットを収容するようにスタータケースを取り付けてスタータケースをエンジンに組み付けるようにしているため、このリコイルスタータを組み付けた側の出力軸にはエンジンによって駆動させる動力機器を連結することができなくなってしまう。特に出力軸が片持ち型の小型のエンジンにおいてはエンジンの出力軸がエンジンの片側にしか配置されていないので、この出力軸に例えば刈り払い機等の駆動シャフトが連結されると、上記リコイルスタータが取り付けできなくなってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決して、片持ち型のエンジンであっても、1つの出力軸にリコイルスタータを組み付けた状態で、同じ出力軸にエンジンによって駆動される動力機器を連結することが可能なリコイルスタータを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明のリコイルスタータは、一端がスタータケースの外側に配置されたリコイルロープが巻回されるとともに該リコイルロープを巻き取る方向に回動付勢されたロープリールと、該ロープリールの回転をエンジン側の出力軸へワンウエイクラッチを介して伝達させるカムと、前記ロープリールと前記カムとをダンパ手段によって連結し、前記ロープを引き出したときのリールの回転力を前記ダンパ手段の弾性作用を伴ってカムに伝達するように構成したリコイルスタータにおいて、前記ロープリールとカムとを回転自在に支持するリール支軸を、エンジンの出力軸が配置された側面を覆うように形成したスタータケースの内方からエンジンの出力軸の軸線上に内方に向けて一体に形成し、該リール支軸の中心にエンジンの出力軸からスタータケースの外側まで貫通した開口を形成し、エンジンの出力軸を前記開口を介してスタータケースの外側へ連結できるようにするとともに、前記リール支軸に回転自在に支持されたロープリールとカムのエンジン側の側面を前記スタータケースに固定されたドーナツ状のプレートに当接させたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、前記ロープリールと前記カムとを連結しているダンパ手段が、一端が前記ロープリールに他端が前記カムに係合された捩りコイルバネ状に形成されたダンパスプリングであることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、前記ロープリールと前記カムとを連結しているダンパ手段が、一端が前記ロープリールに他端が前記カムに係合されたダンパゼンマイであることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、前記カムの回転をエンジンの出力軸に伝達させるワンウエイクラッチが、エンジンの出力軸に取り付けられる回転部材に形成され、該回転部材の遠心力により前記カムと係合離脱する遠心ラチェットにより構成されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1〜図5は本発明の第一の実施例によるリコイルスタータであり、リコイルスタータは図1に示すように、エンジンEの出力軸Cが配置されている一側に取り付けられるように形成されたスタータケース1の内部に組み付けられている。一端がスタータケース1外へ引き出されているリコイルロープ2を巻回しているロープリール3は、スタータケース1の内側からエンジンの出力軸の方向へ向けて突出形成されているリール支軸4に回転自在に支持されており、リコイルロープ2の一端側がロープリール3に固定され他端がスタータケース1の外側に引き出され配置されている。該リコイルロープ2の端部に結合されたハンドルを引っ張ることによりリコイルロープ2がロープリール3から引き出されてロープリール3がリール支軸4を中心として回転駆動される。
【0010】
前記ロープリール3の側面には、リコイルロープ2の牽引により回転されたロープリール3を逆方向に回転させて、引き出されたリコイルロープ2をロープリール3に巻き戻すためのリコイルゼンマイ5が配置されている。リコイルゼンマイ5の内周側の一端側は前記スタータケース1に、そして外周側の他端部が前記ロープリール3に固定されており、リコイルロープ2を引っ張ってロープリール3が回転される際に前記リコイルゼンマイ5に回転力が蓄力されて、リコイルロープ2を離すことによりリコイルゼンマイ5に蓄力された回転力でロープリール3を逆方向に回転させてリコイルロープ2をロープリール3に巻き戻すように作動する。
【0011】
前記スタータケース1に形成された前記リール支軸4の先端部側には前記ロープリール3の回転をエンジンE側の出力軸C側に伝達させるカム6が回転自在に支持されている。図2に示すように、カム6にはエンジンEの出力軸Cと一体に連結される駆動プーリ7に形成された遠心ラチェット8と係脱されるカム爪9が円周方向に形成されており、このカム爪9が駆動プーリ7の遠心ラチェット8と係合することによりカム6側の回転を駆動プーリ7を介してエンジンEの出力軸Cに伝達させる。エンジンEが始動した後は、駆動プーリ7がエンジンEにより回転されることにより、遠心力により遠心ラチェット8がカム爪9と離脱する方向に回動してエンジンE側とカム6側との回転伝達が遮断されるようにされている。
【0012】
図3に詳記するように、前記ロープリール3とカム6の互いに対向した側面には互いに対向するように環状凹部10、11がそれぞれ形成されており、該環状凹部10、11内にダンパ手段を構成しているダンパスプリング12が収容されている。ダンパスプリング12は捩りコイルバネの形状に形成されており、図5に示すように該ダンパスプリング12の一端側が前記ロープリール3に形成されている係止溝13内に収容され、更にダンパスプリング12の他端側がカム6に形成されている係止穴14内に挿通されており、これによってロープリール3とカム6とがダンパスプリング12を介して回転方向に弾力的に連結され、これによりロープリール3の回転に伴ってカム6は正転方向と逆転方向にダンパスプリング12を介して回転される。
【0013】
図3及び図4に示すように、前記スタータケース1にネジにより取り付けられているドーナツ状プレート15(図4参照)が設けられており、前記リール支軸4に支持されているロープリール3とカム6の外周側の側面が前記プレート15と係合してロープリール3とカム6がリール支軸4の軸方向へ移動するのを規制し、カム6とロープリール3がリール支軸4から抜け出てしまうことを防止している。リコイルロープ2を牽引してロープリール3を回転させ、該ロープリール3の回転をダンパスプリング12、カム6及び遠心ラチェット8を介して駆動プーリ7を回転させ、駆動プーリ7に連結されているエンジンEの出力軸Cが回転される際に、エンジンの始動抵抗により回転負荷が増大してカム6の負荷が大きくなるが、ダンパスプリング12が捩られてこの負荷を吸収するためリコイルロープ2側には衝撃が直接伝わらずエンジンEをスムーズに始動させることができる。
【0014】
前記スタータケース1に形成されているリール支軸4の中心部にはエンジンEの出力軸Cの延長線上にスタータケース1の外側まで貫通された開口16が形成されており、エンジンEの出力軸Cに連結される作動機器側の駆動シャフトがリール支軸4の開口16内を貫通してスタータケース1の外側へ連結できるようにされている。上記スタータケース1の開口16の端部側には、刈払機のカッター部等の作動機構を支持しているパイプPが挿入される内径の大きい開口17が形成されており、図中鎖線で示すように該開口17内にパイプPが嵌合されてリコイルスタータを収容しているスタータケース1を介して作動機器がエンジン部と連結される。
【0015】
エンジンEの出力軸Cにフライホイールマグネット又は駆動プーリ7を取り付け固定するナット部材18と一体に中心部に断面が四角形の貫通孔19を形成した連結軸20が形成されており、駆動プーリ7をエンジンEの出力軸Cに取り付けるためナット部材18が出力軸Cに螺合された状態で、連結軸20が前記スタータケース1に形成されたリール支軸4の中心部の開口16内に配置される。刈払機の回転カッター等を駆動する駆動シャフトDが前記パイプPの中心部に配置されており、この駆動シャフトDの端部を前記連結軸20の四角形の貫通孔19内に挿入することにより、エンジンEの出力軸Cの回転が連結軸20を介して刈払機の回転カッター部に伝達される。
【0016】
次に図6乃至図7に示す本発明の第二の実施例を説明する。本実施例によるリコイルスタータは図6に示すように、前述の実施例と同様にエンジンEの出力軸Cが配置されている一側に取り付けられるスタータケース1の内部に突出形成されているリール支軸4に、リコイルロープ2を巻回しているロープリール3とエンジン側の駆動プーリ7に回転を伝達させるカム6が回転自在に支持されて構成されている。ロープリール3の側面にはロープリール3を逆方向に回転させてロープリールから引き出されたリコイルロープ2を巻き戻すためのリコイルゼンマイ5が配置されている。カム6にはカム爪9が円周方向に形成されておりエンジンEの出力軸Cに一体に連結される駆動プーリ7に形成された遠心ラチェット8を介してカム6の回転をエンジンE側に伝達させるようにされている。
【0017】
本実施例においては、図7に示すように前記ロープリール3の内周面3aとカム6のボス部6a外周面との間に環状凹部21が形成されており、該環状凹部21内にダンパ手段としてのダンパゼンマイ22が収容されている。ダンパゼンマイ22の外周側の端部が前記ロープリール3に係止され、ダンパゼンマイ22の内周側の端部が前記カム6のボス部6aに係止されることによってロープリール3とカム6とがダンパゼンマイ22を介して回転方向に弾力的に連結され、ロープリール3の回転に伴ってカム6がダンパゼンマイ22を介して正転方向と逆転方向に回転されるようにされている。
【0018】
リコイルロープ2を牽引してロープリール3を回転させ、該ロープリール3の回転をダンパゼンマイ22、カム6及び遠心ラチェット8を介して駆動プーリ7を回転させ、駆動プーリ7に連結されているエンジンEの出力軸Cが回転されるが、この際、エンジンEの始動抵抗により回転負荷が増大してカム6の負荷が大きくなるが、ダンパスゼンマイ22が捩られてこの負荷を吸収するためリコイルロープ2側には衝撃が直接伝わらずエンジンEをスムーズに始動させることができる。ダンパゼンマイ22に畜力された回転力が放出されてエンジンEの始動をよりスムーズにさせることができる。
【0019】
前記スタータケース1に形成されているリール支軸4の中心部にはエンジンEの出力軸Cの延長線上にスタータケース1の外側まで貫通された開口16が形成されており、エンジンEの出力軸Cに連結される駆動シャフトDがリール支軸4の開口16内を貫通してスタータケース1の外側へ連結できるようにされている。上記スタータケース1の開口16の端部側に形成されている内径の大きい開口17には、刈払機のカッター部等の作動機構を支持しているパイプPが嵌合されてリコイルスタータを収容しているスタータケース1を介して作動機器がエンジンEと連結される。
【0020】
エンジンEの出力軸Cにフライホイールマグネット又は駆動プーリ7を取り付け固定するナット部材18と一体に中心部に断面が四角形の貫通孔19を形成した連結軸20が形成されており、リコイルスタータを収容しているスタータケース1をエンジン側に組み付けることにより、上記連結軸20が前記スタータケース1に形成されたリール支軸4の中心部の開口16内に配置される。パイプPの中心部に配置されている刈払機の回転カッターを駆動する駆動シャフトDの端部を前記連結軸20の四角形の貫通孔19内に挿入することにより、エンジンEの出力軸Cの回転が刈払機の回転カッター等の作動機器に伝達される。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ロープリールとカムとを回転自在に支持するリール支軸を、エンジンの出力軸が配置された側面を覆うように形成したスタータケースの内方からエンジンの出力軸の軸線上に内方に向けて一体に形成し、該リール支軸の中心にエンジンの出力軸からスタータケースの外側まで貫通した開口を形成し、エンジンの出力軸を前記開口を介してスタータケースの外側へ連結できるようにするとともに、前記リール支軸に回転自在に支持されたロープリールとカムのエンジン側の側面を前記スタータケースに固定されたドーナツ状のプレートに当接させたので、ロープリールとカムを軸方向への移動が抑止され、リール支軸の開口を介してエンジンの出力軸の回転出力をスタータケースの外側へ連結させて取り出すことが可能であり、出力軸が一側側にしか形成されていない片持ち型のエンジンであっても、エンジンと該エンジンによって駆動される作動機器との間にリコイルスタータを配置させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施例によるリコイルスタータの縦断側面図
【図2】 図1のA−A線上の断面図
【図3】 図1と同じリコイルスタータの要部を拡大して示す縦断側面図
【図4】 図3と同じリコイルスタータの要部の側面図
【図5】 図3におけるB−B線上の断面図
【図6】 本発明の第二の実施例によるリコイルスタータの縦断側面図
【図7】 図6におけるC−C線上の断面図
【符号の説明】
1 スタータケース
3 ロープリール
4 リール支軸
6 カム
7 駆動プーリ
8 遠心ラチェット
12 ダンパスプリング
15 プレート
16 開口
17 開口
18 ナット部材
19 貫通孔
20 連結軸
22 ダンパゼンマイ
Claims (4)
- 一端がスタータケースの外側に配置されたリコイルロープが巻回されるとともに該リコイルロープを巻き取る方向に回動付勢されたロープリールと、該ロープリールの回転をエンジン側の出力軸へワンウエイクラッチを介して伝達させるカムと、前記ロープリールと前記カムとをダンパ手段によって連結し、前記ロープを引き出したときのリールの回転力を前記ダンパ手段の弾性作用を伴ってカムに伝達するように構成したリコイルスタータにおいて、前記ロープリールとカムとを回転自在に支持するリール支軸を、エンジンの出力軸が配置された側面を覆うように形成したスタータケースの内方からエンジンの出力軸の軸線上に内方に向けて一体に形成し、該リール支軸の中心にエンジンの出力軸からスタータケースの外側まで貫通した開口を形成し、エンジンの出力軸を前記開口を介してスタータケースの外側へ連結できるようにするとともに、前記リール支軸に回転自在に支持されたロープリールとカムのエンジン側の側面を前記スタータケースに固定されたドーナツ状のプレートに当接させたことを特徴とするリコイルスタータ。
- 前記ロープリールと前記カムとを連結しているダンパ手段が、一端が前記ロープリールに他端が前記カムに係合された捩りコイルバネ状に形成されたダンパスプリングであることを特徴とする請求項1に記載のリコイルスタータ。
- 前記ロープリールと前記カムとを連結しているダンパ手段が、一端が前記ロープリールに他端が前記カムに係合されたダンパゼンマイであることを特徴とする請求項1に記載のリコイルスタータ。
- 前記カムの回転をエンジンの出力軸に伝達させるワンウエイクラッチが、エンジンの出力軸に取り付けられる回転部材に形成され、該回転部材の遠心力により前記カムと係合離脱する遠心ラチェットにより構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のリコイルスタータ。
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