JP3745267B2 - 押出し成形用ポリアセタール樹脂組成物およびそれを用いた成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアセタール樹脂組成物を用いたポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール樹脂は、機械物性のバランスに優れたエンジニアリングプラスチックであり、一般的に、いわゆる丸棒や板等の切削加工用素材に多く用いられている。しかし、ポリアセタール樹脂は結晶性が高いので、固化時の収縮が大きいため、いったん溶融させてから成形する場合は、成形品内部にボイド(以下、巣、ミクロボイド、白化の総称とする)が生じやすく、物性上及び外観上好ましくないという欠点がある。例えば、丸棒の中でも口径が大きいものは、冷却したダイ内で固化させる、いわゆる固化押出し法によって成形されるのが一般的であるが、かかる場合には中心部にボイドが生じやすい。このボイドは成形条件によって、ある程度解決し得るものであるが、近年材料改良によるボイド解消に対するニーズが高まってきた。
【0003】
例えば、特許第2606542号公報および特開平7−207117号公報には、ポリアセタール樹脂にポリオレフィン又はオレフィンとビニル化合物のコポリマーを配合することによりボイドを低減できることが開示されている。しかしながら、この方法ではポリアセタール樹脂本来の特長である機械的物性を低下させてしまい、特に強度の低下を招いてしまう欠点がある。また、ポリアセタール樹脂にソフトセグメントが−125〜0℃の範囲にあるエラストマーを添加して低ボイド化を行う方法が特開平7−292216号公報に開示されているが、本発明者らが追試した結果、ボイド低減効果は発現されなかった。これに加えて、エラストマーを添加することにより、基体樹脂が本来有する性能の低下、つまり熱安定性および耐候性等が著しく損なわれる欠点がある。さらに、特開平9−67503号公報には、ポリアセタール樹脂にポリ1,3−ジオキソランを添加する方法が開示されているが、ポリ1,3−ジオキソランは極めて熱安定性が悪く、ポリアセタールの成形温度で長時間溶融状態に曝されることにより熱分解を起こすために、成形中にガスが発生してしまう欠点や樹脂組成物として熱安定性の低下を招いてしまうという重大な欠点を有する。
【0004】
一方、性質の異なる2種類のポリアセタール樹脂を配合する技術が、特公昭45−35188号公報、特公昭55−39812号公報、特開平9−40842公報及び特開2001−234025公報等に開示されている。これらは、高粘度のポリアセタールと低粘度のポリアセタールを混合することにより、ポリアセタールの基本物性を維持しながら流動性や、靱性を向上することを目的とするものであり、押出し成形時のボイドの発生に関する記載はなく、結晶化温度(Tc)についても何ら記載されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、ポリアセタール本来の性能を低下させることなく、押出し成形性、特にボイド低減効果に優れるポリアセタール樹脂組成物を用いたポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法等を提供することを課題とする。また、本発明は、切削加工性素材として好適であるとともに、生産性が良好な押出し成形品を製造できる方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ボイド低減効果に優れるポリアセタール樹脂組成物について鋭意検討した結果、結晶化温度の異なる2種類のポリアセタール樹脂を配合することにより、ポリアセタール樹脂が本来有する特性を損なうことなく、ボイドを低減し、成形性を著しく改善し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は、オキシメチレン単位の繰り返しよりなる重合体主鎖中に、オキシアルキレン単位が挿入された構造を有し、かつ結晶化温度(Tc)が3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーを、(A)高い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマー100重量部に対し、(B)低い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマー0.01〜25重量部となる様に混合してなるポリアセタール樹脂組成物を用い、冷却ダイを用いることを特徴とするポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法等に存する。
【0007】
Tcが異なる2種類のアセタールコポリマーを混合した本発明で用いる樹脂組成物が、押出し成形時にボイドを低減できる詳細なメカニズムは定かではないが、押出し成形時にボイドが発生するメルトフロント部において、固化と共に収縮する過程でTcの異なるアセタールコポリマーが互いに干渉、補完し合って、空隙(ボイド)を消滅させることによるものと推定される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用されるアセタールコポリマーは、主としてオキシメチレン単位(−CH2O−)の繰り返し単位よりなる重合体主鎖に、オキシアルキレン単位が挿入された構造を有する。好ましいオキシアルキレン単位は、下記一般式(1)で示される。
【0009】
【化1】
Figure 0003745267
【0010】
(式中、R0、R0’は同一又は異なって水素原子、アルキル基又はフェニル基を示す。mは2〜6の整数を示す。)。
【0011】
一般式(1)のオキシアルキレン単位としては、好ましくはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位等である。オキシアルキレン単位の挿入量は、コポリマー重量の0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%である。本発明で用いるアセタールコポリマーは、例えば、ホルムアルデヒドまたはその3量体(トリオキサン)、並びに、その4量体(テトラオキサン)とエチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキセパン、グリコ−ルのホルマール、ジグリコールのホルマール等の炭素数2〜8の環状エーテルから製造されるオキシアルキレン単位構造を含有するオキシメチレンコポリマーが挙げられる。また、本発明で謂うコポリマーとは、2元共重合体のみならず、多元共重合体も含み、例えば、上記アセタールコポリマーに、更にオキシメチレン単位、オキシアルキレン単位以外のブロック構造を有するオキシメチレンブロックコポリマー、または、オキシメチレングラフトポリマー等を広く用いることができる。
【0012】
本発明で用いる樹脂組成物は、互いに異なる結晶化温度(以下「Tc」と略記する。)を有する2種類のアセタールコポリマーを使用する。Tcの異なるアセタールコポリマーを得る方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることが出来る。例えば、アセタールコポリマーに対するオキシアルキレン単位の種類や挿入量、構造等を変更することによってTcの異なるアセタールコポリマーを得ることが可能である。アセタールコポリマーのTcの測定法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することが出来る。適正な測定方法を、後期実施例に記載する。なお、測定条件により、Tcの値は若干異なるので、二種類のアセタールコポリマーは同じ測定条件を採用する。本発明で用いられる2種類のアセタールコポリマーは、押出し時のボイド低減効果の観点より、Tcの差が3℃以上であることが必要である。好ましくは、Tcの差は5℃以上である。なお、本発明で用いる樹脂組成物に使用されるアセタールコポリマーのTcとしては、130〜155℃のものが好ましい。130℃よりも低いTcを有するアセタールコポリマーを使用すると、ポリアセタール本来の特性である機械物性を大きく損なう可能性がある。
【0013】
本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物は、(A)高い方のTcを有するアセタールコポリマー100重量部に対し、低い方のTcを有するアセタールコポリマー(B)0.01〜25重量部、好ましくは0.1〜15重量部を均一に混合してなるものである。(B)低い方のTcを有するアセタールコポリマーの添加量が0.01重量部未満であると、押出し成形時のボイド低減効果が必ずしも十分ではなく、一方、(B)低い方のTcを有するアセタールコポリマーの添加量が25重量部を超えると、ポリアセタール樹脂が本来有する優れた機械特性が損なわれる傾向を生じる。
【0014】
本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物は、メルトインデックスが、1〜15(g/10分)であるのが好ましく、1.5〜10(g/10分)であるのがより好ましい。ポリアセタール樹脂の粘度が小さすぎると、成形する際の押出し機の負荷が大きくなる傾向がある。一方、メルトインデックスが大きすぎると、成形時の背圧により押出し機内におけるバックフローが発生しやすくなり、成形性が低下する傾向がある。ポリアセタール樹脂組成物のメルトインデックスが前記範囲内であると、かかる問題が生じず、より安定的に押出し成形ができるので好ましい。
【0015】
本発明に使用されるTcが3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーのメルトインデックスは、共に1.0(g/10分)以上であるのが好ましく、1.5(g/10分)以上であるのがより好ましい。少なくとも一方のアセタールコポリマーのメルトインデックスが1.0(g/10分)未満であると、ポリアセタール樹脂組成物の熱安定性が低下すると共に可塑化時の剪断発熱により熱分解が起こりやすくなる傾向がみられる。よって、安定的に押出し成形するためには、Tcが3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーは、共にメルトインデックスが1.0(g/10分)以上であるのが好ましい。
【0016】
また、本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物は、Tcが3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーの総和100重量部に対して、(C)立体障害性フェノール0.01〜5重量部及び/又は(D)アミン置換トリアジン化合物0.01〜7重量部及び/又は(E)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、またはアルコキシドから選ばれる金属含有化合物0.004〜5重量部を含有することが好ましい。本発明で用いる樹脂組成物に使用される(C)立体障害性フェノールとは、基本的には、下記一般式(2)で示される構造を少なくとも一以上有する化合物をいう。
【0017】
【化2】
Figure 0003745267
【0018】
(式中、R1およびR2は、各々独立して、置換もしくは非置換のアルキル基を表す。更に、ヒドロキシ基に対してメタ位およびパラ位が置換されていても良い。)
上記一般式(2)におけるR1およびR2及びヒドロキシ基のメタ位およびパラ位の置換基としては、前記一般式(2)で表される構造を含む置換基であってもよい。
【0019】
(C)立体障害性フェノールの具体例としては、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミン、ステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファ−ビシクロ〔2,2,2〕−オクト−4−イル−メチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリル−チオトリアジルアミン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2’−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等をあげることができるが、これらのなかで、特に好ましいものは、下記一般式(3)で示される構造を少なくとも一個以上有する化合物である。
【0020】
【化3】
Figure 0003745267
【0021】
すなわち、これらの好ましい具体例としては、前記の中で、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2’−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が、これに該当する。
【0022】
さらに、これらの中でより好ましいものは、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2’−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕である。
【0023】
本発明に使用される、(D)アミン置換トリアジン化合物とは、基本的には、下記一般式(4)で示される構造を有する置換トリアジン類、または該置換トリアジン類とホルムアルデヒドとの初期重縮合物である。
【0024】
【化4】
Figure 0003745267
【0025】
(式中、R3、R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アミノ基、または、置換アミノ基を示し、その少なくとも一つは、アミノ基、もしくは、置換アミノ基を表す。)。
【0026】
アミン置換トリアジン化合物、または、該アミン置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの初期重縮合物の具体例としては、例えばグアナミン、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、アメリン(N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン)、または、それらとホルムアルデヒドとの初期重縮合物等があげられる。中でも、メラミン、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、水溶性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
【0027】
本発明に使用される(E)金属含有化合物は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩またはアルコキシドから選ばれる。前記無機酸塩としては、炭酸塩、燐酸塩、ケイ酸塩、ほう酸塩などが挙げられる。前記アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシドなどが挙げられる。(E)金属含有化合物としては、アルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩またはアルコキシドが好ましく、特に、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムがより好ましい。
【0028】
これら(C)〜(E)成分の少なくとも1種を含有させることにより、本発明で用いる樹脂組成物は熱安定性が向上する。本発明で用いる樹脂組成物中の(C)立体障害性フェノールの量は、アセタールコポリマー(A)及び(B)の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0,05〜3重量部である。本発明で用いる樹脂組成物中の(D)アミン置換トリアジン化合物の量は、アセタールコポリマー(A)及び(B)の合計100重量部に対し0,01〜7重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。本発明で用いる樹脂組成物中の(E)金属含有化合物の量は、アセタールコポリマー(A)及び(B)の合計100重量部に対し0,004〜5重量部、好ましくは0.005〜5重量部である。
【0029】
本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物は、以上の成分の他に、本発明で用いる樹脂組成物の本来の目的を損なわない範囲内で公知の添加剤および/または充填剤を添加することが可能である。前記添加剤としては、例えば潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。また、前記充填剤としてはガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウイスカー等が挙げられる。さらに、顔料、染料を加えて所望の色目に仕上げることも可能である。
【0030】
本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物は、Tcが3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマー、および所望によりその他の成分を混合および混練することによって調製することができる。混合および混練の方法については、特に制限はなく、公知の混合および混練装置を用いることができる。混練は、Tcが3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーが溶融する温度以上、具体的には、アセタールコポリマーの融解温度以上(一般的には180℃以上)で行うのが好ましい。
【0031】
具体的には、Tcが3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマー、および必要に応じて、(C)立体障害性フェノール(D)アミン置換トリアジン化合物、(E)金属含有化合物の少なくとも一種を同時に添加した後、タンブラー型ブレンダー等によって混合し、得られた混合物を1軸または2軸押出し機にて溶融混練してペレタイズすることにより所望のポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。また、予め一方のアセタールコポリマーと(C)、(D)および(E)成分の少なくとも一種を、上記方法で溶融混練したポリアセタール樹脂組成物に対して、後から他方のアセタールコポリマーもしくは他方のアセタールコポリマーと(C)、(D)および(E)成分の少なくとも一種を溶融混練配合したポリアセタール樹脂組成物を添加し、同方法で溶融混練することにより所望のポリアセタール樹脂組成物を得ることもできる。
【0032】
本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物を押出し成形することによって、棒状および板状等の種々の形状の成形品を作成することができる。ここで、本明細書においては、「成形品」とは、最終成形品のみを意味するのではなく、さらに切削加工等の加工を施されて部品の作成等に用いられる素材等も含む。本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物は、成形性、特に押出し成形性に優れているので、本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物を用いて押出し成形を行うと、成形品内部に発生する物性上および外観上好ましくないボイド(巣、ミクロボイド、白化)を著しく低減することができる。従って、本発明で用いるポリアセタール樹脂組成物から成形した丸棒や板は、その後切削加工を経て作成された歯車や容器等の成形品の物性的信頼性が極めて高い。また、ボイド低減により成形時の吐出速度を上げることができ、生産性の向上が可能である。さらに、ボイド低減により低圧力での成形が可能となり、それに伴い押出し成形品の残留応力の低減も出来る等成形性も向上する。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に示す具体例に制限されるものではない。
なお、実施例及び比較例で使用した材料、及びアセタールコポリマーの結晶化温度(Tc)、メルトインデックス(MI)の測定法を以下に示す。
【0034】
材料
POM−1:コモノマーとして1,3−ジオキソランを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は、樹脂に対して4.2重量%、メルトインデックス(2.5g/10分)]。
POM−2:コモノマーとして1,3−ジオキソランを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は、樹脂に対して11.5重量%、メルトインデックス(9.0g/10分)]。
POM−3:コモノマーとして1,3−ジオキソランを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は、樹脂に対して9.1重量%、メルトインデックス(3.0g/10分)]。
POM−4:コモノマーとしてエチレンオキサイドを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は、樹脂に対して5.4重量%、メルトインデックス(9.0g/10分)]。
POM−5:コモノマーとして1,3−ジオキソランを用いたアセタールコポリマー[コモノマー量は、樹脂に対して1.5重量%、メルトインデックス(2.0g/10分)]。
【0035】
立体障害フェノール1:トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・ガイギー社製、立体障害性フェノール、商品名イルガノックス245)。
立体障害フェノール2:ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・ガイギー社製、立体障害性フェノール、商品名イルガノックス1010)。
【0036】
結晶化温度の測定:
熱流束型DSC(セイコー電子製DSC−200)を用いて窒素ガス気流下で、以下の要領で測定した。
(1)サンプルを約10mg入れたパンを試料台にのせ、温度を50℃に設定し、
(2)50℃から220℃まで、10℃/分の一定速度にて昇温し、
(3)220℃で2分間保持した後、
(4)5℃/分の一定速度にて降温した時の、結晶による発熱ピークのピークトップをTcとした。
【0037】
メルトインデックス(MI)の測定:
ASTM−D1238に準じて、温度190℃、荷重2.16kgにて測定。
【0038】
実施例1〜5
(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、下記表−1に示した(B)〜(E)およびその他の添加剤を含む種々の材料を、同表に示した量に秤量し、タンブラー型ブレンダーによって混合した。次に、得られた混合物を30mmφ2軸押出し機(池貝製PCM−30)にて溶融混練してペレット化し、所望のポリアセタール樹脂組成物を得た。
得られたペレットを原料として、ノーベント式単軸押出し機のヘッドに冷却ダイを設置した固化押出し成形機により、70mmφ丸棒成形品を得た。なお丸棒押し出し成形は、下記の条件にて行った。
【0039】
シリンダー温度:180〜195℃
ダイス温度:195℃
ダイ冷却温度:30℃
樹脂圧力:8〜9kg/cm2
得られた丸棒成形品を輪切りにし、その断面に赤色の金属欠陥探査用ミクロチェック浸透液を塗布、n−ヘキサンにて洗浄し、液が浸透した部分をデジタルマイクロスコープにて拡大して面積を算出し、ボイド断面積として評価した。また、目視にて丸棒中心部分の白化の有無を確認した。評価結果を下記表−2に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003745267
【0041】
【表2】
Figure 0003745267
【0042】
比較例1〜4
下記表−3に示した(A)〜(E)を同表に示した量に秤量し、実施例1〜5と同じ操作で、樹脂組成物を得、同様にして丸棒成形品を作成し、同様に評価した。評価結果を下記表−4に示す。
【0043】
【表3】
Figure 0003745267
【0044】
【表4】
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【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶化温度の異なる2種類のアセタールコポリマーを混合することにより、押出し成形性が著しく向上し、顕著なボイド低減効果を有するポリアセタール樹脂押出し成形品を製造することができる。これにより、生産性の大幅な向上が可能となると共に、本発明の製造方法により押出し成形された成形品は、ポリアセタール樹脂素材として切削加工することにより、高品位な電気、電子部品、自動車部品および各種工業部品を与え、非常に有用である。

Claims (6)

  1. オキシメチレン単位の繰り返しよりなる重合体主鎖中に、オキシアルキレン単位が挿入された構造を有し、かつ結晶化温度が3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーを、(A)高い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマー100重量部に対し、(B)低い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマーを0.01〜25重量部混合してなるポリアセタール樹脂組成物を用い、冷却ダイを用いることを特徴とするポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法。
  2. ポリアセタール樹脂組成物は、(A)高い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマー100重量部に対し、(B)低い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマーを0.1〜15重量部混合してなる請求項1記載のポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法。
  3. ポリアセタール樹脂組成物のメルトインデックスが1.0〜15.0(g/10分)であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法。
  4. 結晶化温度が3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーのメルトインデックスが、共に1.0(g/10分)以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法。
  5. 結晶化温度が3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーの総和100重量部に対して、下記(C)、(D)および(E)の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアセタール樹脂押出し成形品の製造方法。
    (C)立体障害性フェノール0.01〜5重量部、
    (D)アミン置換トリアジン化合物0.01〜7重量部、
    (E)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、またはアルコキシドから選ばれる少なくとも1種の金属含有化合物0.004〜5重量部。
  6. オキシメチレン単位の繰り返しよりなる重合体主鎖中に、オキシアルキレン単位が挿入された構造を有し、かつ結晶化温度が3℃以上異なる2種類のアセタールコポリマーを、(A)高い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマー100重量部に対し、(B)低い方の結晶化温度を有するアセタールコポリマーを0.01〜25重量部混合してなるポリアセタール樹脂組成物を用いることを特徴とする、押出し成形品のボイド低減方法。
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