JP3741228B2 - 内燃機関のオイルポンプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト式無段変速機を備える内燃機関のクランクケースに配設されるオイルポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルト式無段変速機を備える内燃機関は、ベルト式無段変速機と同様にクランク軸を駆動軸とするオイルポンプは、一般にベルト式無段変速機とは反対側のクランクケースに配設される。
【0003】
かかる構成の特開平4−81525号公報に記載された例を図7に示し説明する。
図7は、該4サイクル内燃機関01のACジェネレータ等を省略した右側面図であり、4サイクル内燃機関01は、クランクケース02から大きく前傾してシリンダブロック03が前方に突出しており、その端部にシリンダヘッド04が接続されている。
【0004】
右クランクケース02の側面には、クランクケース02内に左右水平方向に配設されるクランク軸05を含む大きな円開口05が形成されていて、同クランク軸05が貫通される貫通孔が形成された大型円板状のベース板06が該円開口05を閉塞し、その外側にACジェネレータが設けられるようになっている。
【0005】
このベース板06に覆われて内部にオイルポンプ08が構成されるようになっており、クランク軸05の下方にクランク軸05と平行にポンプ軸09が回転自在に支持され、クランク軸05に嵌着された駆動ギヤ010 とポンプ軸09に嵌着された被動ギヤ011 が噛合してオイルポンプ08が駆動される。
【0006】
かかるオイルポンプ08の駆動により各種必要な箇所にオイルを供給するが、そのうち動弁系へのオイル供給は、オイルクリーナ012 を介してシリンダブロック03の下方を前方に延出したオイル配管013 によりなされ、同オイル配管013 はその端部がシリンダヘッド04に接続されて動弁室014 に連通している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし右クランクケース02の側面に形成されるクランク軸05を含む大きな円開口05を大型のベース板06が閉塞してオイルポンプ08を構成するので、ベース板06が大型であるのとベース板06にクランク軸05が貫通されるのとで、ベース板06の取付け・取り外し作業が容易ではなく、メンテナンス性が良くない。
その上大型ベース板06で大きな円開口05を閉塞するので、円開口05の周縁の取付面の加工工数も多い。
【0008】
またクランクケースより延出するリブであってACジェネレータのアウターロータの外方を覆うリブも大型のベース板06によって妨げられて周囲に十分形成することができず、ACジェネレータのアウターロータに設けられる冷却ファンによる内燃機関への冷却風の損失が比較的多く内燃機関の冷却効率が良くない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、ベース板の取付作業が容易で、かつベース板の取付面の加工工数も少なく、さらに内燃機関の冷却効率を向上できる内燃機関のオイルポンプ装置を供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するために、本発明は、ベルト式無段変速機とは反対側のクランクケースにオイルポンプを備える内燃機関において、前記クランクケースの前記オイルポンプとその近傍の側方部分にクランク軸を含まない程度の面積の開口を形成し、同開口の内周面をオイルポンプのベース板の外周面で接するように前記開口に前記ベース板を嵌入し蓋をしてオイルポンプを構成し、前記クランク軸の端部に設けられるACジェネレータのアウターロータ上に設けられるリラクターを検出するパルサーが、前記ベース板に突設される内燃機関のオイルポンプ装置とした。
【0011】
ベルト式無段変速機とは反対側のクランクケースにおけるオイルポンプとその近傍の側方部分にクランク軸を含まない程度の面積の開口を形成するので、従来の開口よりは開口面積は小さく、同開口を蓋するベース板も小型であり、かつクランク軸の貫通を必要としないので、ベース板の取付作業は極めて容易である。
【0012】
またクランクケースの開口が小さく、その周縁の取付面の加工工数が少ない。
さらにクランクケースより延出しACジェネレータのアウターロータの外方を覆うリブも小型のベース板によって妨げられる部分が小さく周囲にある程度形成することができ、ACジェネレータのアウターロータに設けられる冷却ファンによる内燃機関への冷却風の損失を無くし内燃機関の冷却効率を向上させることが可能である。
【0013】
前記クランク軸と中心を同じくして前記アウターロータより大きい外径の円筒状リブが突出形成され、前記パルサーは、前記開口により円筒状リブの欠落した位置に突設される請求項1記載の内燃機関のオイルポンプ装置とすることで、前記リブのベース板により妨げられて形成できない箇所をパルサーの配設で代用することができ、パルサーを利用して冷却風の損失をさらに小さくし内燃機関の冷却効率を一層向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図6に図示し説明する。
図1は、本発明に係るユニットスイング式内燃機関を備えたスクータ型自動二輪車1の側面図である。
車体前部2と車体後部3とが、低いフロア部4を介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ6とメインパイプ7とからなる。
【0015】
すなわち車体前部2のステアリングヘッド5からダウンチューブ6が下方へ延出し、同ダウンチューブ6は下端で水平に屈曲してフロア部4の下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ7が連結され、メインパイプ7は該連結部から斜め後方に立ち上がって所定高さで水平に屈曲して後方に延びている。
【0016】
同メインパイプ7により燃料タンクや収納ボックスが支持され、その上方にシート8が配置されている。
一方車体前部2においては、ステアリングヘッド5に軸支されて上方にハンドル11が設けられ、下方にフロントフォーク12が延びてその下端に前輪13が軸支されている。
【0017】
メインパイプ7の立ち上がり部下端にはブラケット15が突設され、同ブラケット15にリンク部材16を介してスイングユニット17が揺動自在に連結支持されている。
【0018】
スイングユニット17には、その前部に単気筒の4サイクル内燃機関30が、シリンダブロック32を略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢で搭載され、そのユニットスイングケース31のクランクケースに相当する部分の下端から前方に突出したハンガーブラケット18の端部が前記リンク部材16にピボット軸19を介して連結されている。
【0019】
該内燃機関30から後方にかけてベルト式無段変速機35が構成され、その後部に設けられた減速機構38に後輪21が軸支されている。
この減速機構38の上端と前記メインパイプ7の上部屈曲部間にリヤクッション22が介装されている。
【0020】
スイングユニット17の上部には、内燃機関30のシリンダヘッド33の上部から延出した吸気管23に接続された気化器24および同気化器24に連結されるエアクリーナ25が配設されている。
他方ユニットスイングケース31の下部に突設されたハンガーブラケット18には、メインスタンド26が枢着されており、ベルト式無段変速機35の伝動ケースカバー36から突出したキック軸27にキックアーム28の基端が固着され、同キックアーム28の先端にキックペダル29が設けられている。
【0021】
車体前部2は、フロントカバー9aとリヤカバー9bにより前後からフロントロアカバー9cにより左右側方から覆われ、ハンドル11の中央部はハンドルカバー9dによって覆われる。
フロア部4はサイドカバー9eにより覆われ、また車体後部3は左右側方からボデイカバー10aおよびテールサイドカバー10bによって覆われる。
【0022】
図2は、スイングユニット17を図1の概ねII−II線に沿って截断し展開した断面図である。
ユニットスイングケース31は、左右割りの左ユニットケース31Lと右ユニットケース31Rとを合体して構成されるもので、右ユニットケース31Rは、クランクケース部の半体をなし、左ユニットケース31Lは、前後に長尺で前部のクランクケース部31a,中央の伝動ケース部31b,後部の減速機ケース部31cからなる。
【0023】
この左ユニットケース31Lの左側開放面は、伝動ケースカバー36により覆われ、内部にベルト式無段変速機35が収納され、後方の減速機ケース部31cの右側開放面は減速機ケース37により覆われ、内部に減速機構38が収納される。
【0024】
クランクケース部31aと右ユニットケース31Rの所謂クランクケース内には、クランク軸40が左右の主軸受41,41に回転自在に支持されて、左右水平方向に延びた延出部のうち右延出部にはACジェネレータ60が設けられ、左延出部にはカムチェーン駆動スプロケット55とベルト式無段変速機35の駆動プーリ76が設けられる。
【0025】
内燃機関30は、シリンダブロック32のシリンダライナ44内を往復動するピストン42とクランク軸40のクランクピン40aとをコネクティングロッド43が連結している。
本4サイクル内燃機関30は、OHC型式のバルブシステムを採用しており、シリンダヘッドカバー34内には動弁機構50が設けられ、同動弁機構50に駆動伝達を行うカムチェーン51がカムシャフト53とクランク軸40との間に架設されており、そのためのカムチェーン室52が、クランクケース部31a,シリンダブロック32,シリンダヘッド33に連通して設けられている。
【0026】
すなわち左右水平方向に指向したカムシャフト53の左端に嵌着された被動スプロケット54と、クランク軸40に嵌着された前記駆動スプロケット55との間にカムチェーン51がカムチェーン室52内を通って架渡されている。
シリンダヘッド33においてカムチェーン室52と反対側(右側)から燃焼室に向かって点火プラグ45が嵌入されている。
【0027】
図3に示すようにシリンダヘッドカバー34内の動弁機構50は、シリンダが水平に近い状態にまで大きく前傾しているので、カムシャフト53の上下に吸気バルブ56と排気バルブ57が配設されており、上下のロッカーシャフト58,58にはそれぞれロッカーアーム59,59が揺動自在に枢着され、カムシャフト53のカムの回転によりロッカーアーム59,59は揺動して所定のタイミングで吸気バルブ56と排気バルブ57の開閉動作を行わせる。
【0028】
右ユニットケース31Rの右側面に設けられるACジェネレータ60は、右ユニットケース31Rの中央円筒部31dより突出するクランク軸30の端部にACGボス61を介して碗状のアウターロータ62が固着され、その内周面に周方向に亘って配設される磁石63の内側にステータコイル65の巻回されたステータ64が中央円筒部31dに固定されている。
【0029】
アウターロータ62の右側面には強制空冷ファン66が取り付けられ、その側方をファンカバー67が覆い、同ファンカバー67に連接されてシリンダブロック32およびシリンダヘッド33の周囲を覆うようにしてファンシェラウド68が設けられている。
【0030】
一方ユニットスイングケース31のクランクケース部31aには、前記カムチェーン室52が丁度主軸受41によりクランク室と仕切って形成されており、同カムチェーン室52の左側壁は、さらに左方のベルト式無段変速機室70とカムチェーン室52とを仕切る仕切り壁71であり、同仕切り壁71にクランク軸40が貫通する大径の偏平円筒状をなす円形貫通孔71aが形成され、同貫通孔71aに円環状シール部材72が圧入され、同円環状シール部材72の中空部をクランク軸40が貫通している。
【0031】
このシール部材72と主軸受41との間のクランク軸40に前記駆動スプロケット55が嵌着されており、同駆動スプロケット55に前記カムチェーン51が巻き掛けられており、シール部材72によりベルト式無段変速機室70がカムチェーン室52から水密に仕切られ、オイルがベルト式無段変速機室70に漏れるのを防止している。
シール部材72を貫通して延出したクランク軸40には駆動プーリ76がともに回転可能に設けられている。
【0032】
駆動プーリ76は、固定側プーリ半体77と可動側プーリ半体78とからなり、固定側プーリ半体77は、クランク軸40の左端部にボス79を介して固着され、その右側に可動側プーリ半体78がクランク軸40にスプライン嵌合され、同可動側プーリ半体78はクランク軸40とともに回転し、かつ軸方向に摺動して固定側プーリ半体77に接近・離反することができ、両プーリ半体77,78間にVベルト75が挟まれて巻き掛けられる。
【0033】
可動側プーリ半体78の右側で前記円環状シール部材72に近接した固定位置にカムプレート80が設けられており、その外周端に設けたスライドピース80aが可動側プーリ半体78の外周端に軸方向に形成したカムプレート摺動ボス部78aに摺動自在に係合している。
可動側プーリ半体78のカムプレート80側側面は、カムプレート80側に向けてテーパしており、同テーパ面内側にカムプレート80に挟まれてドライウェイトローラ81が収容されている。
【0034】
したがってクランク軸40の回転速度が増加すると、可動側プーリ半体78とカムプレート80間にあってともに回転するドライウェイトローラ81が、遠心力により遠心方向に移動し、可動側プーリ半体78は同ドライウェイトローラ81に押圧されて左方に移動して固定側プーリ半体77に接近し、両プーリ半体77,78間に挟まれたVベルト75を遠心方向に移動させ巻き掛け径を大きくするように構成されている。
【0035】
かかる駆動プーリ76に対応する後方の被動プーリ86は、減速機構38の減速機入力軸92に対し相対回転自在に支持されるインナスリーブ89に固定側プーリ半体87が嵌着され、同固定側プーリ半体87の左側でインナスリーブ89に軸方向の摺動自在に支持されたアウタスリーブ90に可動側プーリ半体88が嵌着されて、かかる両プーリ半体87,88から構成されている。
両プーリ半体87,88に前記Vベルト75が挟持される。
【0036】
減速機入力軸92とインナスリーブ89の左側部に遠心クラッチ91が設けられており、Vベルト75を介してインナスリーブ89に伝達された動力は、その回転速度が増すと遠心クラッチ91が接合して減速機入力軸92に伝達される。
減速機構38は、減速機入力軸92に伝達された動力を中間軸93を介して出力軸94に歯車の噛合により減速して伝えるものであり、出力軸94が後輪21の車軸で後輪21を回転させる。
【0037】
後輪21のハブ部にはドラムブレーキ95が設けられており、ドラムブレーキ軸96にはブレーキケーブルが接続されるドラムブレーキアーム97が嵌着されて、ブレーキケーブルが引かれるとドラムブレーキアーム97が揺動してドラムブレーキ軸96を回動しドラムブレーキ95が働くようになっている。
【0038】
ベルト式無段変速機室70を左側から覆う伝動ケースカバー36は、前方の駆動プーリ76から後方の遠心クラッチ91までを覆っており、中央より若干前寄りに前記キック軸27が回動自在に貫通支持されており、同キック軸27の内側端部には駆動ヘリカルギヤ100 が嵌着され、リターンスプリング101 により付勢されている。
【0039】
そして伝動ケースカバー36の前部内面には、クランク軸40と同軸に摺動軸102 が回転かつ軸方向の摺動可能に支持されており、同摺動軸102 には被動ヘリカルギヤ103 が形成されて前記駆動ヘリカルギヤ100 と噛合しているとともに、右端にはラチェットホイール104 が固着され、全体がフリクションスプリング105 により左方に付勢されている。
一方クランク軸40側のボス79には、ラチェットホイール105 に対向してラチェット79aが形成されており、両者は摺動軸102 の摺動で接離可能である。
【0040】
したがってキックペダル29が踏み込まれ、キックアーム28を介してキック軸27がリターンスプリング101 に抗して回転すると、キック軸27と一体に駆動ヘリカルギヤ100 が回転して、これと噛合する被動ヘリカルギヤ103 が摺動軸102 と一体に回転しながらフリクションスプリング105 に抗して右方に摺動して、ラチェットホイール105 がボス79のラチェット79aと噛み合ってクランク軸40を強制的に回転させ内燃機関30を始動することができる。
【0041】
一方本内燃機関は、左ユニットケース31Lのクランクケース部31aの上方にスタータモータ110 が配設されており、図4に示すようにスタータモータ110 は、アウタステータの磁石111 に周りを囲まれたインナロータのコイル112 の巻回されたピニオン113 が左方に突出しており、ピニオン113 の端部にギヤ113aが形成されている。
【0042】
そしてクランクケース部31aと伝動ケースカバー36とに挟持されて飛び込みギヤ機構115 が、軸を左右水平方向に指向させて、スタータモータ110 と駆動プーリ76との間に設けられており、同飛び込みギヤ機構115 の右側の入力ギヤ116 にスタータモータ110 のピニオンギヤ113aが噛合し、一方の左側の飛び込みギヤ117 は、左方に飛び出すと固定側プーリ半体77の外周縁に形成されたスタータリングギヤ77aに噛み合う。
【0043】
したがってスタータモータ110 が駆動すると、ピニオン113 の回転が飛び込みギヤ機構115 の入力ギヤ116 に伝達され、飛び込みギヤ117 が左方に飛び出し固定側プーリ半体77のスタータリングギヤ77aに噛み込み、固定側プーリ半体77をクランク軸40とともに回転させて内燃機関30の始動を行うことができる。
なおスタータモータ110 が停止すれば飛び込みギヤ117 は引っ込みスタータリングギヤ77aとの噛合が解かれる。
【0044】
飛び込みギヤ117 の噛み込みを受けるスタータリングギヤ77aの形成された固定側プーリ半体77は、そのVベルト75を挟持する側面と反対側側面(左側面)にゴム製の冷却ファン118 がゴム焼き付けにより添着されており、冷却ファン118 の回転によりベルト式無段変速機35が冷却される。
【0045】
図1および図2を参照して伝動ケースカバー36には、その前部に筒状の吸入ダクト36aが突出形成され、前後方向の略中央位置に側壁に沿って筒状の排出ダクト36bが斜め縦方向に形成されており、前記吸入ダクト36aには蛇腹ホース14の後端が接続され、同蛇腹ホース14は前方に延出してダウンチューブ6の屈曲部箇所から突出形成された排出筒6bに前端が接続されている。
【0046】
ダウンチューブ6のステアリングヘッド5に近い高さ位置には、吸入筒6aが突出形成されており、吸入筒6aと排出筒6bとをダウンチューブ6の内部が連通している。
【0047】
したがってベルト式無段変速機室70内でクランク軸40の回転により冷却ファン118 が回転すると、ダウンチューブ6の吸入筒6aから空気が吸入され、ダウンチューブ6内を通り排出筒6bから蛇腹ホース14に入り、蛇腹ホース14を通って吸入ダクト36aからベルト式無段変速機室70内に吸入されて、ベルト式無段変速機35を冷却して排出ダクト36bから外部に排出される。
【0048】
このようにベルト式無段変速機室70が構成される左ユニットケース31Lと反対側のクランクケースである右ユニットケース31Rには、前記したようにクランク軸40が貫通する中央円筒部31dが右方に突出形成されており、その下方の若干斜め前方に中央円筒部31dに沿って円開口130 が形成されて、同円開口130 を蓋部材たる円形のベース板131 が閉塞し、内部にオイルポンプ140 が内蔵される。
【0049】
図5は、本内燃機関30のACジェネレータ60およびベース板131 を取り除いた右側面図である。
右ユニットケース31Rは、側壁に前記中央円筒部31dと円開口130 の2つの開口を有し、クランク軸40と同心すなわち中央円筒部31dと中心を同じくして前記ACジェネレータ60のアウタロータ62より若干大きい外径の円筒状リブ132 が突出形成され、さらにその外方に外周壁133 が周設されている。
【0050】
円筒状リブ132 の下方部分は、前記円開口130 により欠落しており、外周壁133 は、同円開口130 によりいくらか下方に膨出している。
このように円開口130 は、クランク軸40の貫通孔である中央円筒部31dを含まず同中央円筒部31dに隣接して、外径が外周壁133 の半径に略等しい大きさであり、内蔵されるオイルポンプ140 とその近傍を覆う程度のものである。
【0051】
かかる円開口130 を閉塞する円形のベース板131 は、図6に図示するように円開口130 にシールリング134 を介装して嵌入され、フランジ部131aが円開口130 の周縁の取付面130aに当接されて前後の雌ネジ部130bにおいてボルト135 により固着される。
ベース板131 の外面には取付ボス131bが膨出しており、同取付ボス131bにパルサー137 が固着される。
【0052】
パルサー137 は、誘導コイル式ピックアップセンサーであり、ACジェネレータ60のアウタロータ62の外周面に対向するよう右方に突出して設けられ、アウターロータ62に設けられたリラクター138 を検出して、クランク位置および回転数の情報を得る。
図5に2点鎖線で示すようにパルサー137 は、円開口130 により円筒状リブ132 の欠落した位置に突設されていて、丁度円筒状リブ132 の欠落部分を補って壁を形成することができる。
【0053】
したがってACジェネレータ60のアウタロータ62の右側面に設けられる強制空冷ファン66の回転によりファンカバー67の中央から吸入される空気を、円筒状リブ132 とともにパルサー137 が略漏れなく中央に導いて、次いでファンシェラウド68により内燃機関30のシリンダブロック32側へ案内し、冷却効率を高めることができる。
【0054】
他方ベース板131 は、その内面中央に円筒状の突起131cを有し、内部のオイルポンプ140 の被動ギヤ141 を押さえている。
被動ギヤ141 には、ポンプ軸142 が一体に形成されており、他方クランク軸40に主軸受41に沿って嵌着された駆動ギヤ143 が同被動ギヤ141 に噛合してクランク軸40の回転をポンプ軸142 に伝達してオイルポンプ140 を駆動するようになっている。
【0055】
図6に示すようにクランクケース部31aの底部に溜まるオイルは、オイルフィルター147 を経て、水平なオイル通路t1 ,略垂直なオイル通路t2 を通り、オイルポンプ140 の吸込口140aより吸い込まれて、吐出口140bより吐出して、各潤滑系装置に供給される。
【0056】
以上のように本内燃機関30のオイルポンプ140 は、ベルト式無段変速機35とは反対側の右ユニットケース31Rに配設され、同右ユニットケース31Rにオイルポンプ140 およびその近傍のみに対応して形成された円開口130 は、クランク軸40を含まない従来に比べ小径であり、かかる円開口130 を閉塞するベース板131 も小径の円板状である。
【0057】
したがってメンテナンス時など、ベース板131 の着脱作業が極めて容易であり、メンテナンス性を向上させることができる。
また円開口130 の内径が小径であるので、その周縁のベース板131 の取付面130aの加工工数も少なくてすみ加工作業が容易である。
【0058】
さらに該円開口130 が小径で面積が小さいので、同円開口130 により形成できない円筒状リブ132 の欠落部は小さくてすみ、強制空冷ファン66による内燃機関への冷却風の損失を少なくすることができ、加えて本内燃機関30では前記欠落部をパルサー137 が補う構造となっているため、益々冷却効率を向上させることができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、ベルト式無段変速機とは反対側のクランクケースにおけるオイルポンプとその近傍の側方部分にクランク軸を含まない程度の面積の開口を形成するので、従来の開口よりは開口面積は小さく、同開口を蓋するベース板も小型であり、かつクランク軸の貫通を必要としないので、ベース板の取付けおよび取り外し作業は極めて容易であり、メンテナンス性に優れている。
【0060】
またクランクケースの開口が小さく、その周縁の取付面の加工工数が少なく、加工作業が容易である。
さらにクランクケースより延出しACジェネレータのアウターロータの外方を覆うリブも小型のベース板によって妨げられる部分が小さく、ACジェネレータのアウターロータに設けられる冷却ファンによる内燃機関への冷却風の損失を少なくし内燃機関の冷却効率を向上させることが可能である。
【0061】
クランク軸の端部に設けられるACジェネレータのアウターロータ上に設けられるリラクターを検出するパルサーを、ベース板に突設することで、前記リブのベース板により妨げられて形成できない箇所をパルサーの配設で代用することができ、パルサーを利用して冷却風の損失をさらに小さくし内燃機関の冷却効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスクータ型自動二輪車の全体側面図である。
【図2】該スクータ型自動二輪車の内燃機関の図1におけるII−II線に沿って截断した断面図である。
【図3】図2におけるIII −III 線に沿って截断した断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿って截断した断面図である。
【図5】同内燃機関のACジェネレータおよびベース板を取り除いた右側面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に沿って截断した断面図である。
【図7】従来の4サイクル内燃機関のACジェネレータ等を省略した右側面図である。
【符号の説明】
1…スクータ型自動二輪車、2…車体前部、3…車体後部、4…フロア部、5…ステアリングヘッド、6…ダウンチューブ、7…メインパイプ、8…シート、9a…フロントカバー、9b…リヤカバー、9c…フロントロアカバー、9d…ハンドルカバー、9e…サイドカバー、10a…ボデイカバー、10b…テールサイドカバー、
11…ハンドル、12…フロントフォーク、13…前輪、14…蛇腹ホース、15…ブラケット、16…リンク部材、17…スイングユニット、18…ハンガーブラケット、19…ピボット軸、21…後輪、22…リヤクッション、23…吸気管、24…気化器、25…エアクリーナ、26…メインスタンド、27…キック軸、28…キックアーム、29…キックペダル、
30…内燃機関、31…ユニットスイングケース、32…シリンダブロック、33…シリンダヘッド、34…シリンダヘッドカバー、35…ベルト式無段変速機、36…伝動カバーケース、37…減速機ケース、38…減速機構、
40…クランク軸、41…主軸受、42…ピストン、43…コネクティングロッド、44…シリンダライナー、45…点火プラグ、
50…動弁機構、51…カムチェーン、52…カムチェーン室、53…カムシャフト、54…被動スプロケット、55…駆動スプロケット、56…吸気バルブ、57…排気バルブ、58…ロッカーシャフト、59…ロッカーアーム、
60…ACジェネレータ、61…ACGボス、62…アウタロータ、63…磁石、64…ステータ、65…ステータコア、66…ファン、67…ファンカバー、68…ファンシェラウド、
70…ベルト式無断変速室、71…仕切り壁、72…シール部材、73…ゴム部材、74a…鋼板、74b…押えリング、75…Vベルト、76…駆動プーリ、77…固定側プーリ半体、78…可動側プーリ半体、79…ボス、80…カムプレート、81…ドライウェイトローラ、86…被動プーリ、87…固定側プーリ半体、88…可動側プーリ半体、89…インナスリーブ、90…アウタスリーブ、91…遠心クラッチ、92…減速機入力軸、93…中間軸、94…出力軸、95…ドラムブレーキ、96…ドラムブレーキ軸、97…ドラムブレーキアーム、
100 …駆動ヘリカルギヤ、101 …リターンスプリング、102 …摺動軸、103 …被動ヘリカルギヤ、104 …ラチェットホイール、105 …フリクションスプリング、
110 …スタータモータ、111 …磁石、112 …コイル、113 …ピニオン、115 …飛び込みギヤ機構、116 …入力ギヤ、117 …飛び込みギヤ、118 …冷却ファン、
130 …円開口、131 …ベース板、132 …円筒状リブ、133 …外周壁、134 …シールリング、135 …ボルト、137 …パルサー、138 …リラクター、
140 …オイルポンプ、141 …被動ギヤ、142 …ポンプ軸、143 …駆動ギヤ、 147 …オイルフィルター。
Claims (2)
- ベルト式無段変速機とは反対側のクランクケースにオイルポンプを備える内燃機関において、
前記クランクケースの前記オイルポンプとその近傍の側方部分にクランク軸を含まない程度の面積の開口を形成し、
同開口の内周面をオイルポンプのベース板の外周面で接するように前記開口に前記ベース板を嵌入し蓋をしてオイルポンプを構成し、
前記クランク軸の端部に設けられるACジェネレータのアウターロータ上に設けられるリラクターを検出するパルサーが、前記ベース板に突設されることを特徴とする内燃機関のオイルポンプ装置。 - 前記クランク軸と中心を同じくして前記アウターロータより大きい外径の円筒状リブが突出形成され、
前記パルサーは、前記開口により円筒状リブの欠落した位置に突設されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のオイルポンプ装置。
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