JP3738674B2 - パチンコ球・メダルの検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ球やメダルの存在や移動の方向などの移動情報を、非接触で検出する検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の検出装置の検出部として、被検出体の磁性あるいは導電性を利用して発振回路の回路定数を変化させ、その近接を検出するものが知られている。図12に示すように、数十kHzの高周波発振回路中の発振コイルLからでた磁界中に被検出体Kが入ると、被検出体K内に渦電流が流れる。この渦電流の発生は、電流損失を生じ、高周波発振回路の発振エネルギを消費することになるから、通常その発振は停止し、この発振状況から被検出体Kの存在を検出するのである。
【0003】
また、被検出体が磁性体である場合にも、発振コイルLの磁界中に被検出体Kが入ると、発振コイルLの鎖交磁束Φが変化することで発振コイルLの自己インダクタンス値が変化して高周波発振条件が崩れ、発振が停止するため、同様に被検出体Kの存在を検出することができる。
【0004】
従って、この様な検出部を複数備え、各検出部の発振状況に基づいて検出状況を判別すれば、被検出体Kの移動方向や移動速度などの近接状況を知ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12に示した検出装置の検出部では、被検出体Kの通路の傍らに比較的寸法の大きな発振コイルLを設ける必要があることから、装置全体をコンパクトに設計することができないといった問題があった。被検出体Kの近接状況を詳細に知ろうとすれば、被検出体Kの移動経路により多くの検出部を設ける必要があり、その問題は一層顕著となる。しかも、被検出体Kの近接速度などを知るためには、被検出体Kが通過したことをおおよその位置で検出するのでは足りず、いわばピンポイントでの検出が必要となるが、従来の装置では、検出位置にはかなりのバラツキがあり、近接速度などの正確な検出は困難であるという問題があった。
【0006】
また、従来の検出装置は、複数の発振コイルLとこれに電気的に接続される回路基板とから構成されていることから、部品点数が多くなり、組立作業が複雑で、信頼性が低いという問題があった。特に、複数の発振コイルLと回路基板との電気的接続にリード線などを用いる場合には、組立工数が増大するのみならず、その接続を間違えて装置の信頼性が低くなるという問題もあった。結線関係を誤れば、被検出体Kの移動方向を実際とは逆方向に認識してしまうことも考えられ、装置の信頼性にも大きく影響してしまう。
【0007】
本発明の検出装置は、こうした問題を解決し、信頼性および組立作業性の向上を図りつつも、装置全体の小型化を可能とすることを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の検出装置は、配線パターンにて形成されるコイルと、該コイルのインダクタンス成分を用いて発振する発振回路と、該発振回路の発振状況に応じてオン・オフするスイッチング回路とからなる検出部を備え、該検出部の少なくともコイルを、磁性体あるいは金属体からなる被検出体の通路に配置すると共に、該コイルを、少なくとも2個、前記一の被検出体を同時に検出可能な隣接位置に設け、前記複数のコイルからの検出状態の入力に基づいて、前記複数のコイルのいずれかが前記被検出体を検出したときに、該被検出体の検出を示す信号を、前記複数のコイルの検出状態の組合せに応じて出力するゲート回路と、前記複数のコイルからの検出状態の入力に基づいて、前記複数のコイルの検出タイミングの組合せの違いにより、前記ゲート回路が出力する前記信号との組合せにより前記被検出体の通過方向を特定可能な出力状態の一つが、異なる信号レベルにセットされるフリップフロップとを設け、前記被検出体は、パチンコ球またはメダルであることを要旨とする。ここで、複数の検出部の2個のコイルを、回路基板の表裏各面に形成された回路パターンにより実現するものとしてもよい。また、コイルを基板に設けられた貫通孔の周囲に形成し、この貫通孔を、遊技装置の遊技球通過経路に配設することも、本発明の一実施態様として好ましいものである。
【0009】
以上のように構成される本発明の検出装置では、各検出部は次のように作用する。磁性体もしくは金属体からなる被検出体が回路基板に配線パターンにて形成されたコイルの近傍(貫通孔が設けられている場合には、その貫通孔内)に存在しない場合、発振回路はコイルのインダクタンス成分を用いて発振する。一方、被検出体がコイルに近接し(貫通孔が存在する場合には、貫通孔を通過し)、コイルの作りだす磁界中に被検出体が位置するとき、コイルの自己インダクタンス値の変化あるいは渦電流損失により発振条件が崩れ、発振回路の発振状態が変化して発振が停止する。スイッチング回路は、この発振回路の発振状況に応じてオン・オフされ、外部に被検出体の有無に応じた信号を出力する。
【0010】
検出部のコイルは、磁性体あるいは金属体からなる被検出体の通路に配置されており、複数のコイルが隣接配置されているから、被検出体の接近もしくは通過により複数の検出部の検出状況は変化する。この検出部の信号は、ゲート回路およびフリップフロップに接続されており、ゲート回路は、複数のコイルからの検出状態の入力に基づいて、複数のコイルのいずれかが被検出体を検出したときに、該被検出体の検出を示す信号を、複数のコイルの検出状態の組合せに応じて出力する。また、フリップフロップは、複数のコイルからの検出状態の入力に基づいて、複数のコイルの検出タイミングの組合せの違いにより、ゲート回路が出力する信号との組合せにより被検出体の通過方向を特定可能な出力状態の一つが、異なる信号レベルにセットされる。従って、このゲート回路の出力信号と、フリップフロップの出力状態を識別すれば、少なくとも被検出体の移動方向を含む移動に関する情報を判定することができる。特に、貫通孔を設けて被検出体を貫通孔に通過させる場合には、各検出部は被検出体を極めて正確に、検出精度を上げればピンポイントで検出することができ、近接状況の検出の精度は向上する。
【0011】
ここで、コイルを2個とし、両コイルを、前記一の被検出体を同時に検出可能な隣接位置に設け、ゲート回路を、二つのコイルの少なくとも一方が前記被検出体を検出したことを示す出力信号により出力がアクティブとなるオアゲートとし、フリップフロップを、一方のコイルの出力信号をデータ入力とし、他方のコイルの出力信号をトリガ入力とするD型フリップフロップとすることができる。この場合には、ゲート回路の出力を、被検出体の通過を検出するきっかけとして用い、フリップフロップの出力状態を、被検出体の通過方向の情報として用いることができる。
【0012】
また、コイルを2個とし、両コイルを、前記一の被検出体を同時に検出可能な隣接位置に設け、ゲート回路を、前記二つのコイルの両方が前記被検出体を検出したことを示す出力信号により出力がアクティブとなるアンドゲートとし、前記フリップフロップを、一方のコイルの出力信号をデータ入力とし、他方のコイルの出力信号をクロック入力とするD型フリップフロップとし、更に、前記アンドゲートの出力と前記D型フリップフロップの正負の両出力のそれぞれとを入力とする二つのアンドゲートを設け、該二つのアンドゲートの出力をカウンタのカウントアップとカウントダウンの入力端子に接続した構成とすることもできる。
【0013】
以上説明したように本発明の検出装置では、磁性体あるいは金属体からなるパチンコ球やメダルの近接方向等の近接状況を非接触で確実に検出することができる。しかも、装置の部品点数を低減して、信頼性および組立作業性の向上を図ると共に、装置全体をコンパクトに収めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の検出装置の好適な実施例について説明する。図1は実施例としての検出部10の外観を示す斜視図、図2は検出装置2を備え付けたパチンコ遊技台1の概略構成を示す説明図、図3は検出部10Aの分解斜視図、図4は検出部10の回路図、図5は検出装置全体の回路図である。以下、各図を適宜参照しつつ説明する。
【0015】
この実施例は、パチンコ玉を被検出体としており、検出装置を、パチンコ遊技台1において遊技盤3に向けて発射され実際に遊技に使用されるパチンコ玉の遊技状況を検出するパチンコ玉発射検出装置として用いたものである。このパチンコ玉発射検出装置は、図1に示した検出部10と、図5に示した制御回路70とから構成されている。パチンコ遊技台1における使用について説明する関係上、検出部10から説明する。検出部10は、図2に示すように、図示しないパチンコ玉発射装置から発射されたパチンコ玉がパチンコ遊技盤3へ飛び出していく発射経路5の途中であって、戻玉経路9との分岐点下流に配置されている。
【0016】
戻玉経路9(図中の一点鎖線)は、パチンコ玉発射装置からの発射初速が不十分であるときの戻玉、あるいはパチンコ遊技台の釘の弾発力により発射経路に戻って来た戻玉を受け皿7へ導き、次のパチンコ玉の発射の妨げとならないように構成されている。従って、検出部10に対してパチンコ玉は、通常は、パチンコ玉発射装置からパチンコ遊技盤3への方向に通過し、発射初速が不十分な場合等には、その逆方向に通過する。
【0017】
次に、パチンコ玉発射検出装置2の構成について説明する。パチンコ玉発射検出装置2の検出部10は、図1に示すように、2個の同一の検出部10A,10Bを重ねた形状をしている。この検出部10A,10Bは、単独でも使用可能なものであり、ここでは、これを2個重ねて接着剤等で張り合わせている。パチンコ玉発射検出装置2は、パチンコ玉の発射経路に、検出部10Aが上流側となるよう、即ち発射装置によって発射されたパチンコ玉の場合、検出部10Aが先に検出するように配置される。検出部10A,10Bの詳細な構造について説明する。なお、2つの検出部10A,10Bは同一の構造であり、説明の重複を避けるために両検出部10A,10Bに共通の構造については符号A,Bを省略して説明する。
【0018】
図1,図3に示すように、検出部10は、上蓋11と下箱12とを備え、両部材を組み合わせた内部に回路基板13を備える。
この上蓋11には、略L字形の1対のL字片21,22と、略T字形の1対のT字片23(図中、片側だけを示す)とが設けられおり、下箱12には、L字片21,22とそれぞれ係合する1対の突出片31、32と、T字片23と係合する1対の突出片33、34(図中、片側だけを示す)とが設けられている。上蓋11および下箱12は、各片が係合することにより、ワンタッチで組み合わされて、立方体形状の箱体を形成する。なお、上蓋11および下箱12には、パチンコ玉Pが貫通する貫通孔41,42がそれぞれ設けられている。
【0019】
回路基板13の一端は、その上蓋11および下箱12からなる箱体の外に飛び出しており、後述する制御回路70への接続用の端子T1,T2として用いられている。回路基板13には、図4に示したコイルL1やトランジスタTr1,Tr2等の電子部品が組み立てられている。なお、図3に示すように、回路基板13には、上蓋11および下箱12を組み合わせたときに貫通孔41,42と連通する位置に、パチンコ玉Pの貫通孔51が設けられており、コイルL1は、その貫通孔51の周囲に形成された表面と裏面それぞれ1ターンの計2ターンの配線パターン52から構成されている。両面基板の裏面は、ファラディシールドとなっており、ノイズを防いで、回路基板13の誤動作を防止している。
【0020】
回路基板13には、図4に示すように、12ボルトが供給される電源端子T1と、検出端子T2とが設けられている。この検出端子T2は、回路のグランドレベルを兼ねており、MPU72側では抵抗器RDを介して接地されている。回路基板13には、発振回路COと、発振回路COの発振状態に基づいてオン・オフするスイッチング回路SWとが設けられている。
【0021】
スイッチング回路SWには、電源端子T1から12ボルトの電圧が加えられているが、検出端子T2が抵抗器RD(本実施例では抵抗値680Ω)により接地されていることから、スイッチング回路SWの電源電圧(端子T1−T2間電圧)は、スイッチング回路SWのトランジスタTr2のオン・オフ状態により変化する。一方、発振回路COには、電源端子T1と検出端子T2との間に介装された抵抗器R1(本実施例では抵抗値27KΩ)とツェナーダイオードD1によって安定化されたツェナー電圧Vz(本実施例では約5.5ボルト)が供給される。
【0022】
発振回路COは、特性が同一の2つのトランジスタを同一チップ内に形成した双トランジスタTr1を備え、この双トランジスタTr1の一方のエミッタとグランドラインとの間に介装されたコンデンサC1およびコイルL1と、双トランジスタTr1の他方のエミッタとコイルL1の中間タップとの間に介装された抵抗器R3およびコンデンサC2とにより、コルピッツ型の高周波発振回路として構成されている。なお、双トランジスタTr1のベースは、抵抗器R2を介して電源ラインに接続されている。この発振回路COの発振周波数は、コイルL1のインダクタンスとコンデンサC1,C2の容量とで決まり、本実施例ではおよそ300KHzとなっている。
【0023】
双トランジスタTr1のコレクタの一方は使用されていないが、他方はスイッチング回路SWのトランジスタTr2のベース端子に接続されている。トランジスタTr2のベース端子には、グランドラインとの間にコンデンサC3が接続されており、また、電源ラインとの間に抵抗器R4が接続されている。エミッタ端子には抵抗器R5(本実施例では220Ω)が接続されている。また、トランジスタTr2のコレクタ端子は、電源ラインに接続されている。発振回路COが発振している状態では、双トランジスタTr1は約300KHzでオン・オフを繰り返しており、双トランジスタTr1がオンのときには、そのコレクタ電流はスイッチング回路SWのトランジスタTr2のベースから流れ込んでトランジスタTr2をターンオンする。一方、発振回路COの発振により双トランジスタTr1が僅かの時間オフとなる間は、トランジスタTr2のベース電流はコンデンサC3の放充電により継続され、トランジスタTr2はオン状態に保たれる。
【0024】
発振回路COが発振している状態で、回路基板13の貫通孔51を金属製の被検出体であるパチンコ玉Pが通過すると、コイルL1の磁束がパチンコ玉Pを通り抜けることになり、パチンコ玉P内には渦電流が流れて電流損失を生じる。パチンコ玉Pは通常金属製であるが、パチンコ玉が金属以外の材料で作られ表面にメッキがしてある場合でも、メッキなどの薄膜では断面積が小さいことからかなり大きな渦電流損失となる。渦電流の発生は発振回路COの発振エネルギを消費することになるから、その高周波発振は著しく減衰しほぼ停止する。
【0025】
パチンコ玉Pが貫通孔51を通過せずコイルL1に接近していない状態、即ち、発振回路COが発振している状態では、トランジスタTr2はオン状態となっており、一方、発振回路COの発振がほぼ停止状態となると、スイッチング回路SWのトランジスタTr2はターンオフする。抵抗器R5は抵抗器R1より抵抗値が小さいから(本実施例では220Ω:27KΩ)、トランジスタTr2がオン状態となると、電源端子T1からトランジスタTr2,抵抗器R5を介してツェナーダイオードD1に流れる電流は、抵抗器R1を介して流れる電流より増大する(本実施例ではおよそ約130倍となる)。この電流は最終的には、検出端子T2に接続された抵抗器RDを介して接地側に流れ込むから、抵抗器RDの両端電圧、即ちMPU72の入力ポートPの電圧は、トランジスタTr2がオフ状態で約0.2ボルト、オン状態で約4.9ボルトとなる。従って、この状態から、検出部10がパチンコ玉Pを検出している状態(ロウレベル)か、検出していない状態(ハイレベル)かを容易に知ることができる。
【0026】
図5は、MPU72を中心として構成される制御回路70の回路構成図である。この制御回路70は、移動情報判定部として作動するが、同時にパチンコ玉発射装置80を構成するモータ82の回転数やパチンコ遊技台の役物などをも駆動制御する。
【0027】
図示するようにMPU72は、プログラムを不揮発的に記憶しているROMや情報を一時的に記憶するRAMなどの周辺回路を内蔵した1チップのコンピュータである。また、このMPU72は、前述した検出部10からの検出信号ばかりでなく、パチンコ玉発射装置80を駆動する直流モータ82への供給電圧を調整するモータドライバ74を制御し、パチンコ遊技盤3に備えられる各種入出力機器90を入出力インタフェース76を介して制御あるいは監視している。入出力機器90としては、ハンドル92の操作を検出するタッチセンサ,入賞球を検出する入賞球センサ等あるいは各種スイッチ等の入力機器、役物の駆動用ソレノイドやランプなどの電装品がある。
【0028】
上述した検出部10A,10Bの出力状態は、図5に、符号200として記載したハードウェア回路を経由して、MPU72に読み込まれる。ハードウェア回路の働きについて、次に説明する。図6は、実施例におけるハードウェア回路の概略構成を示す回路図である。図示するように、この検出装置は、上述した検出部10A,検出部10Bに接続され、ハード的にパチンコ玉の通過方向を含む検出回路を、制御回路70内に備えるものである。検出結果は、MPU72の割込入力INTと入力ポートPCとによりMPU72に通知される。
【0029】
この実施例では、検出部10A,10Bからの出力信号は、CMOSタイプのシュミットトリガ201,202に各々入力されており、ここで波形整形された後、共に2入力ナンドゲート204に入力されると共に、シュミットトリガ201の出力は、D型フリップフロップ205のデータ端子Dに、シュミットトリガ202の出力は、D型フリップフロップ205のクロック端子CLKに、各々入力されている。また、ナンドゲート204の出力は、MPU72の割込入力INTに、D型フリップフロップ205の正出力Qは、MPU72の入力ポートPCに、入力されている。
【0030】
検出装置の検出部10Aもしくは検出部10Bがパチンコ玉Pを検出すると、図7に示すように、ナンドゲート204の出力はハイレベルとなり、MPU72に割込要求INTがかかる。一方、検出部10Aおよび検出部10Bの出力の変化にはパチンコ玉Pの通過に伴うずれが存在するから、D型フリップフロップ205の出力Qは、図7(A)に示すように、パチンコ玉Pが検出部10A側から検出部10B側に通過する場合にはロウレベルに維持され、逆の場合には、図7(B)に示すように、ハイレベルにセットされる。従って、割込要求を受けたMPU72が、所定時間後に入力ポートPCの状態を読み取ることにより、パチンコ玉Pの通過方向を知ることができる。
【0031】
以上説明した実施例によれば、この装置をパチンコ玉の発射経路5の1箇所に設置するだけで、パチンコ玉Pの通過方向を確実に特定し、パチンコ遊技盤3に供給されるパチンコ玉Pの総数CSを確実に検出することができるという効果を奏する上、ハード的にパチンコ玉Pの通過方向を検出することができるので、MPU72の負担を軽減することができる。この回路では、D型フリップフロップ205は、リセットや初期状態の設定を行なう必要がなく、回路構成が簡略である。
【0032】
また、本実施例のパチンコ玉発射検出装置2は、パチンコ玉Pを非接触で確実に検出することができる。しかも、その検出部10は、コイルL1を回路基板13に形成された配線パターン52により構成していることから、回路基板13と一体化され、部品点数が低減される。このため、信頼性の向上を図ることができる。更に、部品点数が低減されることから、組立作業性に優れ、特に、コイルL1の回路基板13への組付けが不要となる。しかも、この検出部10の大きさは、回路基板13そのものの大きさに制限されるだけであり、厚みの薄いコンパクトなものとすることができる。
【0033】
次に本発明の第2の実施例について説明する。この実施例の検出装置は、第1実施例と較べて、発振回路COやスイッチング回路SWを同一基板上に2組設けると共に、更にパチンコ玉Pの通過方向を検出する方向判別回路DDも基板上に組み込んだものである。この検出装置は、図8に示すように、被検出体が通過する開口部209を有する基板210の一方の面に、第1のコイルL1Aと第1の発振回路COAと第1のスイッチング回路SWAと方向判別回路DDとを備える。また、この基板210の裏面には、第2のコイルL2Bと第2の発振回路COBと第2のスイッチング回路SWBとが備えられている。
【0034】
検出装置の電気的な構成を図9に示す。第1,第2のスイッチング回路SWA,SWBからの出力は、方向判別回路DDに入力されており、この方向判別回路DDの出力SA,SBが、マイクロコンピュータに入力されている。方向判別回路DDは、第1,第2のスイッチング回路SWA,SWBからの信号QA,QBを入力して波形整形するシュミットトリガ211,212、シュミットトリガ211,212の出力に接続された2入力ノアゲート214、シュミットトリガ211の出力をデータDとしシュミットトリガ212の出力をクロックCLKとして動作するD型フリップフロップ215、ノアゲート214の出力QCによりマスクされD型フリップフロップ215の負出力Qn,正出力Qpを出力SA,SBとして出力するアンドゲート217,218から構成されている。
【0035】
方向判別回路DDの動作を、図10のタイミングチャートを参照しつつ説明する。図示するように、被検出体がコイルL1A側からコイルL1B側に通過する場合には、第1の発振回路COAの発振が先に止まり、第1のスイッチング回路SWAの出力QAが先にロウレベルに反転する。続いて、第2の発振回路COBの発振が止まり、第2のスイッチング回路SWBの出力QBがロウレベルに反転する。従って、両信号が共にロウレベルに落ちている間、ノアゲート214の出力QCはハイレベルに反転する。
【0036】
このとき、D型フリップフロップ215は、第2実施例と同様に動作し、被検出体がA側からB側に通過する場合には、負出力Qnがハイレベルとなっているので、結果的にアンドゲート217の出力SAは、ノアゲートゲート214の出力QCがハイレベルとなる期間だけハイレベルとなり、出力SAにのみパルス信号が出力されることになる。一方、被検出体がB側からA側に通過する場合には、正出力Qpがハイレベルとなることから、アンドゲート218の出力SBにのみパルス信号が出力される。
【0037】
以上説明したように、第2実施例の検出装置によれば、被検出体の通過を、通過方向によって異なるパルス信号出力として検出できる。従って、例えば第1実施例のように、一方向に通過した被検出体の総数を検出するのであれば、出力SA,SBを1個のアップダウンカウンタのカウントアップ入力端子、カウントダウン入力端子に各々接続すればよく、各方向に通過した被検出体の数を別々に検出するのであれば、独立した2個のカウンタにそれぞれ接続すれば良い。また、本実施例では、発振回路COA,COB等を基板210の両面に構成すると共に、コイルL1A,L1Bを基板210の両面に構成しているので、装置を一層小型化することができる。コイルL1A,L1Bを、基板210の両面に形成していることから、被検出体の動きを極めて高い精度で検出することができる。
【0038】
本実施例では、コイルL1A,L1Bを極めて近接して設けているので、被検出体が、必ずしも貫通孔を通過する構成とする必要はない。例えば、上記実施例において、回路基板210に貫通孔を設けず、基板210のコイルL1A,L1Bが設けられた部位をケースから露出させ、あるいはこの部位をラミネートフィルム等で覆った構成するとことができる。この場合、被検出体は、基板210のコイルL1Aが設けられた面、あるいはコイルL1Bが設けられた面に向かって接近するものとする。第1,第2の発振回路COA,COBの感度を、それらのコイルL1A,L1Bの裏面から被検出体が接近した場合にも発振を停止するよう調整すれば、第1,第2の発振回路COA,COBの発振停止の後先から被検出体がいずれの面に接近したかを検出することは容易である。同様に、コイルが各々形成された複数枚の回路基板を、被検出体の通路を挟む位置に配設し、かつ相互のコイルの位置を被検出体の移動方向に沿って所定距離だけずらしておけば、貫通孔を設けることなく、被検出体の通過を、その通過方向を含めて検出することができる。
【0039】
以上説明した実施例では、回路基板13,210の基材として樹脂製の通常のプリント基板を用いているが、これに替えて、可撓性の高いフィルム状のものを用いる構成としてもよい。こうした構成により、全体をさらに薄くすると共に、貫通孔51,209の周囲の部分が破損しにくい回路基板を提供することができる。また、被検出体が貫通しない上述した検出部10の検出精度を更に上げる上でも好適である。例えば、フィルム状のプリント基板を円筒状あるいは樋状に形成して、この内部を被検出体が通過するものとし、被検出体の通過方向にずれた位置に2以上のコイルを形成して、検出装置を構成することも可能である。なお、回路基板の材質によらず、検出部10とMPU72とを同一基板上に構成することも可能である。
【0040】
以上のいくつかの実施例では、コイルL1を構成する配線パターン52は、表面と裏面に1ターンを設けているに過ぎないが、これに替えて、図11に示すように、回路基板60上のコイルL1を構成する配線パターン61を表面と裏面に2ターンずつ形成してもよい。もとより、更にターン数の多い構成も可能である。また、検出部は、2個に限定されるものではなく、3以上であっても差し支えない。
【0041】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、例えば、回路基板をケース内に収納せず裸のままで使用する構成、貫通孔を回路基板上に複数設けいずれかの貫通孔を被検出体が通過した場合にこれを検出する構成など、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0042】
なお、本発明は、コイルがからする磁束によって金属体内で渦電流を生じ、あるいは磁性体によりコイルの自己インダクタンスが変化し、発振回路の発振条件が変化することに着目してなされたものであり、被検出体としては、パチンコ玉以外の例えばメダルであっても差し支えない。この場合、貫通孔を設けるのであれば、メダルの形状に応じた形状をとることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるパチンコ玉発射検出装置の検出部10の構成を示す斜視図である。
【図2】検出部10のパチンコ遊技台1における配置を示す説明図である。
【図3】検出部10の構成を示す分解斜視図である。
【図4】検出部10の電気的な構成を示す回路図である。
【図5】パチンコ玉発射検出装置2の全体を示す電気回路図である。
【図6】実施例の要部を示すブロック図である。
【図7】実施例の回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図8】第2実施例における検出部10の構成を示す説明図である。
【図9】第2実施例における判定部DDの構成を示すブロック図である。
【図10】同じくその動作を説明するタイミングチャートである。
【図11】コイルを構成する配線パターンの別態様を示す平面図である。
【図12】渦電流を用いた従来の被検出体検出の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
10…検出部
11…上蓋
12…下箱
13…回路基板
51…貫通孔
52…配線パターン
70…制御回路
72…MPU
CO…発振回路
L1…コイル
SW…スイッチング回路
Tr1…双トランジスタ
Claims (4)
- 配線パターンにて形成されるコイルと、該コイルのインダクタンス成分を用いて発振する発振回路と、該発振回路の発振状況に応じてオン・オフするスイッチング回路とからなる検出部を備え、
該検出部の少なくともコイルを、磁性体あるいは金属体からなる被検出体の通路に配置すると共に、該コイルを、少なくとも2個、前記一の被検出体を同時に検出可能な隣接位置に設け、
前記複数のコイルからの検出状態の入力に基づいて、前記複数のコイルのいずれかが前記被検出体を検出したときに、該被検出体の検出を示す信号を、前記複数のコイルの検出状態の組合せに応じて出力するゲート回路と、
前記複数のコイルからの検出状態の入力に基づいて、前記複数のコイルの検出タイミングの組合せの違いにより、前記ゲート回路が出力する前記信号との組合せにより前記被検出体の通過方向を特定可能な出力状態の一つが、異なる信号レベルにセットされるフリップフロップと
を設け、
前記被検出体は、パチンコ球またはメダルである
検出装置。 - 請求項1記載の検出装置であって、
前記コイルは2個であり、両コイルは、前記一の被検出体を同時に検出可能な隣接位置に設けられており、
前記ゲート回路は、前記二つのコイルの少なくとも一方が前記被検出体を検出したことを示す出力信号により出力がアクティブとなるオアゲートであり、
前記フリップフロップは、一方のコイルの出力信号をデータ入力とし、他方のコイルの出力信号をクロック入力とするD型フリップフロップである
検出装置。 - 請求項1記載の検出装置であって
前記コイルは2個であり、両コイルは、前記一の被検出体を同時に検出可能な隣接位置に設けられており、
前記ゲート回路は、前記二つのコイルの両方が前記被検出体を検出したことを示す出力信号により出力がアクティブとなるアンドゲートであり、
前記フリップフロップは、一方のコイルの出力信号をデータ入力とし、他方のコイルの出力信号をクロック入力とするD型フリップフロップであり、更に、
前記アンドゲートの出力と前記D型フリップフロップの正負の両出力のそれぞれとを入力とする二つのアンドゲートを設け、該二つのアンドゲートの出力をカウンタのカウントアップとカウントダウンの入力端子に接続した
検出装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか記載の検出装置であって
前記被検出体は、パチンコ遊技装置に使用されるパチンコ球であり、
前記コイルは、前記パチンコ遊技装置における前記パチンコ球の発射路に設けられ、
前記ゲート回路および前記フリップフロップの出力信号により、前記パチンコ遊技装置の遊技盤に供給されたパチンコ球の数を計数する移動情報判定回路を備えた
検出装置。
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