JP3737080B2 - 単相誘導電動機の起動装置、起動装置を用いた密閉形電動圧縮機及びこれを用いる機器 - Google Patents
単相誘導電動機の起動装置、起動装置を用いた密閉形電動圧縮機及びこれを用いる機器 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気冷蔵庫用コンプレッサモータ(密閉形電動圧縮機)、或いは、ポンプモータ等の単相誘導電動機の起動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、冷蔵庫,空気調和機等の密閉形コンプレッサを駆動する単相誘導電動機において起動装置が設けられる場合が多い。従来のこの種の起動装置としては、図6(A)に示すように、主巻線Mとともに交流電源90によって通電される補助巻線Sに直列に正特性サーミスタ212を接続する構成のものが供されている。このような起動装置においては、単相誘導電動機70の起動時には、正特性サーミスタ212が低電気抵抗値を呈することから、補助巻線Sに起動電流が流れる。起動電流により正特性サーミスタ212が高抵抗になり、補助巻線Sへの電流が制限される。この構成では、単相誘導電動機の起動完了後の定常運転中においても、正特性サーミスタ212は電源電圧が印加されて自己発熱し続けるので、常に、2〜4W程度の電力を消費するようになり、省エネルギー上問題がある。
【0003】
更に、従来の起動装置では、単相誘導電動機70の停止直後に再起動が困難であるとの問題点があった。即ち、起動用の正特性サーミスタ212は、熱容量が大きいため、運転時に高温、高抵抗になると、電動機70の停止後、常温近くまで温度が下がり、再起動可能な状態になるまでに数十秒から数分かかり、もしもそれ以前に再起動させようとすると、該正特性サーミスタ212が高抵抗なため、補助巻線Sに微少な電流しか流れず、電動機70が回転子拘束状態となり、主巻線Mに大きな電流がながれ、オーバロードリレー80が動作し再起動できなかった。このオーバロードリレーの復帰時間は、当初は正特性サーミスタ212が再起動可能になるまでの冷却時間より短いため、該オーバロードリレーが作動、復帰を数回繰り返し、順次高温となってその復帰時間が長くなる。そして、オーバロードリレーの復帰時間が正特性サーミスタ212よりも長くなることで、電動機70が起動可能になった。係る事態は、冷蔵庫のコンプレッサモータにおいては、庫内温度が下がり、サーモスタットがオフして、コンプレッサモータが停止した直後に、ドアが開けられ、庫内温度が上昇してサーモスタットがオンになった場合等に生じていた。このような時には、再起動に時間を要するだけでなく、上述したオーバロードリレーの寿命を縮める原因ともなった。
【0004】
このため、本出願人は、特許文献1として、図6(B)に示す構成の単相誘導電動機の起動装置を提案した。この回路では、起動装置210内に、正特性サーミスタ212と直列にバイメタル218を設け、正特性サーミスタ212と並列に設けた抵抗214により該バイメタル218を加熱することで、正特性サーミスタ212への電流を遮断する。正特性サーミスタ212よりも小消費電力の抵抗214により、バイメタル218のオフ状態を維持しすることで、小消費電力を図っていた。更に、特許文献2では、正特性サーミスタを2分割して配置する起動装置が開示されている。
【特許文献1】
特開平6-38467号公報(図2)
【0005】
【特許文献2】
実開昭56-38276公報(第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の起動装置では、抵抗214によりバイメタル218のオフ状態を維持するため、図6(A)の回路構成と比べて消費電力を1/3にするのが限界であった。また、特許文献2では、正特性サーミスタを2分割しているため、消費電力を1/2までしか落とせなかった。
【0007】
上述した消費電力ばかりでなく、特許文献1の起動装置では、バイメタル218のオフ状態を維持する抵抗214の熱容量が大きいため、単相誘導電動機の再起動を迅速に行い得なかった。同様に、特許文献2では、正特性サーミスタを2分割しているため、再起動時間を半減させることしかできなかった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、起動用の正特性サーミスタによる定常運転中の消費電力を極力抑制し得て、省エネルギー化を図ることができる単相誘導電動機の起動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段、および発明の作用・効果】
上述した課題を解決するため、請求項1の発明は、交流電源によって通電される主巻線及び補助巻線を有する単相誘導電動機の起動装置において、
ケーシングと、
前記補助巻線に直列に接続された正特性サーミスタと、
前記正特性サーミスタに並列に接続され、前記正特性サーミスタの1/3〜1/10の消費電力の補助正特性サーミスタと、
前記補助巻線及び正特性サーミスタの直列回路に直列に接続され、前記補助正特性サーミスタからの熱を感知してこれが設定温度になるとオフするバイメタルと、
前記ケーシング内に備えられ、前記バイメタル及び前記補助正特性サーミスタを密閉する密閉室と、を具備してなることを技術的特徴とする。
【0010】
請求項1の単相誘導電動機の起動装置によれば、単相誘導電動機の起動時は、正特性サーミスタが低抵抗であるため、正特性サーミスタ及びバイメタルの直列回路を介して補助巻線に起動電流が流れ、単相誘導電動機を起動する。起動電流が流れると、正特性サーミスタが自己発熱して、高抵抗になり、正特性サーミスタと並列に接続された補助正特性サーミスタ側に多く電流が流れる。補助正特性サーミスタが設定温度になると、バイメタルがオフし、正特性サーミスタには電流は流れなくなり、単相誘導電動機は、起動を完了して定常運転となる。
【0011】
バイメタルがオフされると、補助正特性サーミスタ側にのみ電流が流れるようになって発熱し、その発生熱によりバイメタルがオフ状態に保持される。
【0012】
従って、単相誘導電動機の定常運転中には、正特性サーミスタには電流は流れず、代りに、補助正特性サーミスタ側に電流が流れるようになるが、この補助正特性サーミスタに流れる電流は、補助正特性サーミスタにバイメタルをオフ状態に保持するための熱を発生させる程度の極めて小なるものであり、補助正特性サーミスタによる消費電力は従来の正特性サーミスタの消費電力よりも極めて少ない。
【0013】
特に、バイメタルと補助正特性サーミスタとは、ケーシング内の密閉室に収容されているため、熱が外部へ逃げにくく、極めて少ない消費電力でバイメタルのオフを維持することができる。更に、密閉形コンプレッサの冷媒として可燃性ガス(ブタン等の炭化水素化合物)が用いられて、該冷媒が漏れる事態が発生しても、密閉室に収容されているため、バイメタルの開閉動作時の火花により発火することがない。
【0014】
また、単相誘導電動機の定常運転中に、熱容量の大きな起動用正特性サーミスタは冷却して常温になっている。一方、補助正特性サーミスタは、熱容量が小さいため、冷却が早い。従って、単相誘導電動機の停止直後に再起動する際にも、補助正特性サーミスタは直ぐ常温近くまで冷却されるため、再起動が可能になるまでの時間は数秒から数十秒と非常に早く、従来技術のようにオーバロードリレーが作動、復帰を繰り返すことなく速やかに再起動することができる。
【0015】
請求項2では、バイメタルの基部に補助正特性サーミスタが接している。このため、補助正特性サーミスタからの熱をバイメタルへ効率的に伝達でき、少ない消費電力の補助正特性サーミスタで、バイメタルのオフ状態を維持することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態につき、図1〜図3を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る単相誘導電動機の起動装置の回路図である。電源端子92、94は100Vの単相交流電源90に接続されており、更に、その一方の電源端子92は運転スイッチ97及びオーバロードリレー80を直列に介して電源線96に接続され、他方の電源端子94は電源線98に接続されている。オーバロードリレー80は、バイメタル82と、該バイメタル82を加熱するヒータ84とから成り、単相誘導電動機70に過負荷が掛かると、ヒータ84の発熱によりバイメタル82が電流を遮断し、電流の遮断により常温まで温度が下がると、バイメタル82が自動復帰して、通電を再開する。
【0025】
単相誘導電動機70は、主巻線M及び補助巻線Sを有するもので、その主巻線Mは電源線96,98間に接続され、補助巻線Sの一方の端子は電源線96に接続されている。この単相誘導電動機70は、例えば、冷蔵庫における冷凍サイクルの密閉形コンプレッサ(いずれも図示せず)を駆動するようになっている。そして、運転スイッチ97は、例えば、図示しない温度制御装置によってオン,オフされるもので、冷蔵庫内の温度が、上限温度になるとオンし、下限温度になるとオフするようになっている。
【0026】
前記補助巻線Sの他方の端子は、正特性サーミスタ(以下、主PTCとして参照する)12及び常閉形のスローアクションバイメタル18の直列回路を介して電源線98に接続されている。該主PTC12及びスローアクションバイメタル18と並列に、補助正特性サーミスタ(以下、補助PTCとして参照する)14が接続されている。ここで、主PTC12及び補助PTC14は、例えば、チタン酸バリウムを主成分とした酸化物半導体セラミックで構成されていて、キュリー温度をもち、電気抵抗値がこのキュリー温度から急激に増大する特性を有する。正特性サーミスタ12は、図6(A)を参照して上述した正特性サーミスタ212と同様のもので、例えば、常温(25℃前後)では5Ω程度,120℃では0.1kΩ程度,140℃では1kΩ〜10kΩ程度になる。補助PTC14は、主PTC12と同様な抵抗値を有するが、1/3〜1/10の消費電力となるように熱容量が1/3〜1/10(最適には1/6程度)に設定されている。そして、スローアクションバイメタル18は、補助PTC14の発生熱を感知してオン,オフするようになっており、感知熱が、例えば、設定温度140℃になるとオフ動作するようになっている。
【0027】
次に、第1実施形態の起動装置10の作用について説明する。運転スイッチ97がオンされると、運転スイッチ97及びオーバロードリレー80を介して主巻線Mに起動電流が流れる。又、主PTC12は常温では低電気抵抗値(例えば5Ω程度)を呈しているので、補助巻線S、主PTC12及びスローアクションバイメタル18の直列回路、補助PTC14の並列回路とにも起動電流が流れ、以て、単相誘導電動機70は起動する。
【0028】
主PTC12に補助巻線Sの起動電流が流れると、主PTC12、補助PTC14は自己発熱して電気抵抗値が急激に増大する。そして、数秒後に、主PTC12、補助PTC14は140℃の温度に達し、この時の主PTC12の電気抵抗値は、例えば、1kΩ〜10kΩになり、スローアクションバイメタル18に流れる電流は減少する。補助PTC14が140℃の温度に達すると、スローアクションバイメタル18がこれを感知してオフ動作するようになり、主PTC12及びスローアクションバイメタル18の直列回路には電流が流れなくなり、以て、単相誘導電動機70の起動が完了し、定常運転を行なうようになる。
【0029】
スローアクションバイメタル18がオフされると、補助PTC14側にのみ電流が流れるようになって発熱し、その発生熱によりスローアクションバイメタル18がオフ状態に保持される。
【0030】
従って、単相誘導電動機70の定常運転中には、主PTC12には電流は流れず、代りに、補助PTC14側に電流が流れるようになるが、この補助PTC14に流れる電流は、補助PTC14にスローアクションバイメタル18をオフ状態に保持するための熱を発生させる程度の極めて小なるものであり、補助PTC14による消費電力は従来の正特性サーミスタの消費電力よりも極めて少ない。更に、スローアクションバイメタルを用いるため、フォーミングされたスナップアクションバイメタルと比較して、長期の使用に耐え得る。
【0031】
また、単相誘導電動機70の定常運転中に、熱容量の大きな主PTC12は冷却して常温になっている。一方、補助PTC14は、熱容量が小さいため、冷却が早い。従って、単相誘導電動機70の停止直後に再起動する際にも、補助PTC14は直ぐ常温近くまで冷却されるため、再起動が可能になるまでの時間は数秒から数十秒と非常に早く、従来技術のようにオーバロードリレーが作動、復帰を繰り返すことなく速やかに再起動することができる。また、特許文献1,特許文献2の起動装置よりも、補助PTC14の熱容量を小さく設定するため、再起動時間を短くすることが可能である。
【0032】
引き続き、第1実施形態の起動装置10の機械的構造について、図1及び図2を参照して説明する。
図1(B)は、本発明の第1実施形態に係る単相誘導電動機の起動装置の蓋を外した状態の平面図であり、図1(A)は、図1(B)のA−A断面を示し、図1(C)は、図1(B)のC−C断面を示している。図2(A)は、図1(B)のe矢視側の側面図であり、図2(B)は、図1(B)のd矢視側の側面図である。図2(B)に示すように起動装置10は、ケーシング40と蓋46とを備え、外部に図3中に示すオーバロードリレー80を取り付けるためのフランジ48が形成されている。
【0033】
図1(C)に示すようケーシング40の内側には、図3に示す補助巻線S側に接続される端子22が取り付けられている。端子22は、タブ端子22aと、ピン端子22cと、これらを連結する連結部22bとが一体に形成されてなる。該連結部22bには、主PTC12を保持するバネ部26bを備える第1接続板26が取り付けられている。該第1接続板26は、中央部がクランク状に折り曲げられ、バネ部26b側への折り曲げ部には、通孔26aが形成されている。即ち、第1接続板26は、通孔26aで細くなることで、大電流が流れた際に通孔26aの外周で溶断するようになっている。
【0034】
バネ部26bには、第2接続板30の一端が接続されている。第2接続板30の他端のバネ部30aは、補助PTC14にバネ圧を加え保持している。補助PTC14は、スローアクションバイメタル18の基部に接触している。即ち、図1(A)及び図1(B)に示すように、第2接続板30のバネ部30a、補助PTC14、スローアクションバイメタル18の基部及び第3接続板32の一端が隣接接続されている。該第3接続板32の他端は、図3に示す電源線98側及び主巻線Mへ接続するための端子24の連結部24b(図1(A)参照)に接続されている。端子24は、タブ端子24aと、ピン端子24cと、これらを連結する連結部24bとが一体に形成されてなる。
【0035】
一方、スローアクションバイメタル18の先端側には、可動接点18aが設けられ、クランク状に形成された固定接点板36の固定接点36aと接している。該固定接点板36の他端は、主PTC12を保持するための第2バネ34に固定されている。
【0036】
ここで、スローアクションバイメタル18及び補助PTC14は、ケーシング40の内側に設けられたL字状の隔壁42により形成される密閉室44内に収容されている。密閉室44は気密構造となっている。第2接続板30は隔壁42に設けられた通孔42aを介して、第3接続板32は通孔42bを介して、固定接点板36は通孔42cを介して密閉室44内に取り回されている。
【0037】
第1実施形態の起動装置10においてスローアクションバイメタル18と補助PTC14とは、ケーシング40内の密閉室44に収容されているため、熱が外部へ逃げにくく、極めて少ない消費電力でスローアクションバイメタル18のオフを維持することができる。更に、密閉形コンプレッサの冷媒として可燃性ガス(ブタン等の炭化水素化合物)が用いられて、該冷媒が漏れる事態が発生しても、密閉室44に収容されているためスローアクションバイメタル18の開閉動作時の火花により発火することがない。
【0038】
更に、スローアクションバイメタル18の基部に補助PTC14が直接接しているため、補助PTC14からの熱をスローアクションバイメタル18へ効率的に伝達でき、少ない消費電力の補助PTC14で、スローアクションバイメタル18のオフを維持することができる。
【0039】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態につき、図4及び図5を参照しながら説明する。図5は、第2実施形態に係る起動装置の回路図である。
第2実施形態の起動装置10の回路構成は、図3を参照して上述した第1実施形態の起動装置と同様である。ただし、第2実施形態では、主PTC12及びスローアクションバイメタル18に直列に、主PTC12の熱暴走保護用の常閉のスナップアクションバイメタル16が設けられている。
【0040】
次に、第2実施形態に作用につき説明する。運転スイッチ97がオンされると、運転スイッチ97及びオーバロードリレー80を介して主巻線Mに起動電流が流れる。又、主PTC12は常温では低電気抵抗値(例えば5Ω程度)を呈しているので、補助巻線S、主PTC12及びスローアクションバイメタル18の直列回路、補助PTC14の並列回路とにも起動電流が流れ、単相誘導電動機70は起動する。
【0041】
主PTC12に補助巻線Sの起動電流が流れると、主PTC12、補助PTC14は自己発熱して電気抵抗値が急激に増大する。これにより、スローアクションバイメタル18に流れる電流は減少する。補助PTC14が140℃の温度に達すると、スローアクションバイメタル18がこれを感知してオフ動作するようになり、主PTC12、スナップアクションバイメタル16及びスローアクションバイメタル18の直列回路には電流が流れなくなり、単相誘導電動機70の起動を完了する。
【0042】
スローアクションバイメタル18がオフされると、補助PTC14側にのみ電流が流れるようになり、その発生熱によりスローアクションバイメタル18がオフ状態に保持される。
【0043】
従って、単相誘導電動機70の定常運転中には、主PTC12には電流は流れず、代りに、補助PTC14側に電流が流れるようになるが、この補助PTC14に流れる電流は、補助PTC14にスローアクションバイメタル18をオフ状態に保持するための熱を発生させる程度の極めて小なるものであり、補助PTC14による消費電力は従来の正特性サーミスタの消費電力よりも極めて少ない。
【0044】
また、単相誘導電動機70の定常運転中に、熱容量の大きな主PTC12は冷却して常温になっている。一方、補助PTC14は、熱容量が小さいため、冷却が早い。従って、単相誘導電動機70の停止直後に再起動する際にも、補助PTC14は直ぐ常温近くまで冷却されるため、再起動が可能になるまでの時間は数秒から数十秒と非常に早い。
【0045】
引き続き、補助PTC14によるスローアクションバイメタル18の動作以前に、主PTC12が異常発熱した際の作動について説明する。
主PTC12が異常発熱して所定高温度になると、スナップアクションバイメタル16がオフし、補助巻線Sへの電流を遮断する。このため、主PTC12が熱暴走し高温で低抵抗になり、補助巻線Sに大電流が流れて絶縁破壊する事態を防ぐことができる。特に、スナップアクションバイメタル16は、常温で復帰しないように設定されているので、主PTC12の熱暴走を完全に防止できる。
【0046】
更に、第2実施形態の起動装置10の機械的構造について、図4を参照して説明する。なお、第2実施形態の起動装置10の側面は、図2を参照して上述した第1実施形態と同様であるため、同図を参照するとともに、詳細な説明を省略する。
図4(B)は、本発明の第1実施形態に係る単相誘導電動機の起動装置の蓋を外した状態の平面図であり、図4(A)は、図4(B)のA−A断面を示し、図4(C)は、図4(B)のC−C断面を示している。図2(A)は、図4(B)のe矢視側の側面図であり、図2(B)は、図4(B)のd矢視側の側面図である。
【0047】
図4(C)に示すようケーシング40の内側には、図5に示す補助巻線S側に接続される端子22が取り付けられている。端子22は、タブ端子22aと、ピン端子22cとこれらを連結する連結部22bが一体に形成されてなる。該連結部22bには、主PTC12を保持するバネ部26bを備える第1接続板26が取り付けられている。該第1接続板26は、中央部がクランク状に折り曲げられ、バネ部26b側への折り曲げ部には、通孔26aが形成されている。即ち、第1接続板26は、通孔26aで細くなることで、大電流が流れた際に通孔26aの外周で溶断するようになっている。
【0048】
バネ部26bには、第2接続板30の一端が接続されている。第2接続板30の他端に形成されたバネ部30aは、補助PTC14にバネ圧を加え保持している。補助PTC14は、スローアクションバイメタル18の基部に接触している。即ち、図4(A)及び図4(B)に示すように、第2接続板30のバネ部30a、補助PTC14、スローアクションバイメタル18の基部及び第3接続板32の一端が隣接接続されている。該第3接続板32の他端は、図5に示す電源線98側及び主巻線Mへ接続するための端子24の連結部24b(図4(A)参照)に接続されている。端子24は、タブ端子24aとピン端子24cとこれらを連結する連結部24bとが一体に形成されてなる。
【0049】
一方、スローアクションバイメタル18の先端側には、可動接点18aが設けられ、スナップアクションバイメタル16の可動接点16aと接している。該スナップアクションバイメタル16の基部は、主PTC12を保持するための第2バネ34に固定されている。一方、ケーシング40には、スナップアクションバイメタル16の先端部へ延在するストッパー50が設けられ、スナップアクションバイメタル16が、スローアクションバイメタル18の動作を妨げないように構成されている。
【0050】
第2実施形態の起動装置10では、スローアクションバイメタル18の可動接点18aとスナップアクションバイメタル16の可動接点16aとが直接接触し、スローアクションバイメタル18が設定温度になるとスナップアクションバイメタル16側の可動接点16aから離れ、スナップアクションバイメタル16が所定高温度になるとスローアクションバイメタル18側の可動接点18aから離れる。熱が加わり、スローアクションバイメタル18がオフになる際には、スナップアクションバイメタル16側にも熱が加わり、スローアクションバイメタル18側の可動接点18aから離れる側に少し動いているため、長寿命ではあるが動作の遅いスローアクションバイメタルを用いても、適正に起動電流を遮断することができる。即ち、温度上昇につれて、お互いのバイメタルが離れて行く方向にあるので、チャタリングが発生し難い。更に、両接点共に可動接点からなるので、温度変化で常にワイピング現象(こすれ合い)が起き、可動接点16a、18aの接触部がクリーニングされ、金メッキではなく銀接点を用いて長寿命を実現することができる。更に、スローアクションバイメタル18の可動接点18aとスナップアクションバイメタル16の可動接点16aとを直接接触させているため、双方に固定接点を設けた金属板等の端子部材を介在させるのと比べて、低コストと低抵抗とを実現できる。
【0051】
第2実施形態の起動装置10では、スナップアクションバイメタル16の先端に接するストッパー50を設け、スローアクションバイメタル18の動作を妨げないようにしてある。このため、起動が完了して主PTC12が冷却し、スナップアクションバイメタル18が常温に戻ってもスローアクションバイメタル16側へ湾曲するのを防止でき、適正な接点間隔を保つことができる。
【0052】
本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、スローアクションバイメタルの代わりに、僅かな成形加工を加えることで耐久寿命を確保できる程度の軽い動作のスナップアクションバイメタルを用いることもできる。また、例えば、冷蔵庫における冷凍サイクルの密閉形コンプレッサ駆動用のみならず、空気調和機における冷凍サイクルの密閉形コンプレッサ駆動用としても適用し得、更には、コンデンサ起動形或いは分相起動形の単相誘導電動機を駆動源とする機器全般に適用し得る等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変形して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(B)は、本発明の第1実施形態に係る起動装置の蓋を外した状態の平面図であり、図1(A)は、図1(B)のA−A断面を示し、図1(C)は、図1(B)のC−C断面を示している。
【図2】図2(A)、図2(B)は、第1実施形態の起動装置の側面図である。
【図3】第1実施形態に係る起動装置の回路図である。
【図4】図4(B)は、第2実施形態に係る起動装置の蓋を外した状態の平面図であり、図4(A)は、図4(B)のA−A断面を示し、図4(C)は、図4(B)のC−C断面を示している。
【図5】第2実施形態に係る起動装置の回路図である。
【図6】図6(A)は、従来技術に係る起動装置の回路図であり、図6(B)は特許文献1に係る起動装置の回路図である。
【符号の説明】
10 起動装置
12 主PTC(正特性サーミスタ)
14 補助PTC(補助正特性サーミスタ)
16 スローアクションバイメタル
18 スナップアクションバイメタル
40 ケーシング
42 隔壁
44 密閉室
50 ストッパー
70 単相誘導電動機
80 オーバロードリレー
82 バイメタル
84 ヒータ
90 交流電源
M 主巻線
S 補助巻線
Claims (4)
- 交流電源によって通電される主巻線及び補助巻線を有する単相誘導電動機の起動装置において、
ケーシングと、
前記補助巻線に直列に接続された正特性サーミスタと、
前記正特性サーミスタに並列に接続され、前記正特性サーミスタの1/3〜1/10の消費電力の補助正特性サーミスタと、
前記補助巻線及び正特性サーミスタの直列回路に直列に接続され、前記補助正特性サーミスタからの熱を感知してこれが設定温度になるとオフするバイメタルと、
前記ケーシング内に備えられ、前記バイメタル及び前記補助正特性サーミスタを密閉する密閉室と、を具備してなる単相誘導電動機の起動装置。 - 前記バイメタルの基部に前記補助正特性サーミスタが接していることを特徴とする請求項1の単相誘導電動機の起動装置。
- 請求項1又は請求項2の起動装置を用いた密閉形電動圧縮機。
- 請求項1又は請求項2の起動装置を用いた密閉形電動圧縮機を用いる機器。
Priority Applications (7)
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